第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 当社グループの経営環境について

2025年度以降も当社を取り巻く国内ITサービス業界全体は堅調に拡大すると見込まれています。公共分野においては、「地方公共団体情報システムの標準化対応」が進展し堅調に推移するとともに、標準化対応後の自治体DXが本格化すると予測されています。また、民間分野においても、近年のDX投資需要は底堅く推移しており、ソフトウェア市場を中心に大規模なシステム開発計画が見込まれています。

(2) 当社グループの経営戦略について

当社グループは、「創造と和と挑戦をもって お客さまからの信頼をもとに未来をひらき、世界中のお客さまと感動と喜びを分かち合い、豊かで安全・安心な社会の創生に貢献する」という経営理念に基づき、事業活動を通じた社会課題解決と、ITテクノロジーを活用した新たな価値の創造に取り組んでいます。

<対処すべき課題>

当社グループは2024年度から2026年度までの3年間の「2026中期経営計画」を策定し、各戦略を推進しております。

2025年度は、「2026中期経営計画」の2年目にあたり、計画達成に向けて「地方公共団体システムの標準化対応」、「次世代ソリューションの開発」、「事業基盤拡充」に取り組んでまいります。

「地方公共団体システムの標準化対応」

地方自治体情報システム標準化方針に則り、当社の自治体向けソリューションWebRingsの標準化対応開発を進め、2025年度より本格的に標準化システムへの移行を進めていきます。移行システムや標準化後のシステム品質については、全国の拠点網を活用することにより、プロジェクト体制の強化を図り、アライアンス先の企業とも連携することで、住民サービスの安全・安心を最優先とした標準化計画の推進をしてまいります。

「次世代ソリューションの開発」

自治体システム標準化後を見据えた次世代WebRingsの開発を進めてまいります。自治体職員の事務負荷軽減に留まらず、自治体を中心とした民間事業者との連携、関連自治体・地域との連携、AIを活用した付加価値の高い機能を組み込むなど、多種多様な住民ニーズに応え、住民の安全・安心につながるソリューションの提供を引き続き目指します。

また、株式会社三菱総合研究所との協業関係を深化させ、シンクタンク×ITの実行力を発揮し、住民の課題解決・地域のデジタル化を推進する「地域共創DX」にも取り組んでまいります。

「事業基盤拡充」

事業基盤拡充に向けた取組みとして、AIによる品質向上、人的資本投資に注力してまいります。AIによる品質向上では、AIによる品質分析・進捗課題抽出、コード生成機能を活用したプログラムバグ修正支援・テスト支援などにより、品質向上と生産性向上を図り、品質・顧客を最重視して取り組んでまいります。

また、人的資本投資では、「2026中期経営計画」に基づき、①自律型人材の育成・戦略的配置、②評価・処遇制度の見直し、③多様な人材の確保を推進しています。2025年度に改定したエンジニアの専門性を基軸とした人事制度を中心に、「AI×DX企業」をリードする人材の育成、社内リスキルの推進に取り組んでまいります。社員一人ひとりが輝き、持続的に成長し、活躍することのできる環境・企業風土を醸成し、さらなる成長企業として当社グループは、挑戦・進化してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) サステナビリティ全般

当社グループは、経営理念に謳われている「豊かで安全・安心な社会の創生」に向けて、事業活動を通じて社会課題解決に取り組み、事業成長とサステナブルな社会への貢献を実現していきます。

[ガバナンス]

当社はサステナビリティ活動を経営の重要事項と捉えており、中長期的かつ社外視点を反映させるため、「取締役会」を意思決定機関と定めています。

具体的な活動は、サステナビリティ推進部門が企画し、経営会議で協議、審議されたうえで取締役会に上程され適切かつ迅速に意思決定されます。決定された事項に基づき、執行機関である「経営会議」のもと、サステナビリティ推進部門を中心に各部門・グループ会社でサステナビリティ活動に取り組んでいます。

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[戦略]

当社グループでは、「持続可能な社会の創造に貢献するDX企業」へと変革に向けて「経営基盤強化」に取り組んできました。「2026中期経営計画」では、『挑戦・進化し続ける企業』として、お客様と共に未来をつくるAIを活用したDX企業を目指してまいります。

以下の基本方針に基づいて活動しています。

<基本方針>

地球環境問題への取組み

・脱炭素社会実現への貢献に向け、すべての企業活動において気候変動リスクの低減に取り組みます。

社会との関わり

・すべてのステークホルダーへの適切な情報開示と対話により、信頼構築に努めます。

・持続可能な地域社会の実現に貢献する、高品質かつ価値あるサービスの提供に努めます。

人権の尊重

・あらゆる人権侵害、差別等の加担への回避に努め、いかなる場合にも人権を尊重します。

取引先との公正・適正な取引

・透明かつ適正な取引を行うことで取引先との信頼関係を強化し、あらゆる腐敗行為防止に取り組みます。

社員との関わり

・多様性のある組織づくり、働きがいのある職場づくりに努め、社員一人ひとりが活躍できる環境・風土を醸成します。

ガバナンス

・社会に向け持続的に価値を創出するとともに、透明性・信頼性の高い企業統治を行います。

 

[リスク管理]

当社は、サステナビリティ関連のリスクおよび機会を識別、評価し、管理するためのリスク管理体制を強化しています。

リスク管理については、リスク管理部門が全社リスクマネジメントを統括し、リスク項目ごとに関連する部門がリスクオーナーとして管理しています。リスク管理状況については、リスク管理部門より、取締役会、経営会議に報告を行っています。

<リスクマネジメントプロセス>

企業を取り巻くリスクは多種多様となっていることから、事業の遂行におけるリスクを網羅的、かつ一元的に把握する体制を構築しています。平時においてリスクの洗い出しを行い、リスクシナリオを整理したうえで、「影響度・発生可能性・管理体制充実度の評価」、「リスク対応策の策定」、「初期段階のリスク通報」、「予兆段階・危機段階の活動内容」を整理したリスク管理基準を設けています。

(2) 人的資本

当社は「2026中期経営計画」の重点戦略として「サステナブル経営」を掲げ、人的資本経営の実践を通じて社員一人ひとりが活き活きと輝くことにより、ビジョン「挑戦・進化し続ける企業」の実現に向けて企業価値向上に努めています。

[ガバナンス]

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経営戦略・事業戦略に連動した人材戦略を実現するため、取締役会・経営会議における議論を経た基本戦略をベースに、人事担当役員・人事部門と経営企画部門・財務部門・事業企画部門との横断的な協議を行い、個別施策を立案・推進しています。

加えて、開発部門に設置した「人材開発センター」では、AIを活用するDX企業となり得るためにAI人材育成を重要課題としたうえで、「2026中期経営計画」に合わせた人材育成体系を構築し、事業戦略に沿ったリスキルにも重点をおいた育成に取り組んでいます。

 

[戦略]

大量採用世代の高年齢化、中堅・若年層の人材流動化が進むなかで、各事業分野における技術スキルや品質管理に求められる水準はますます高まっています。そのような状況において、当社が持続的な成長を実現するため、エンジニアの評価・育成、外部人材の登用、シニア人材の活用を推進するとともに、人的資本経営を全社的な重要課題として位置付け、部門横断的に以下の諸施策を策定しています。

「2026中期経営計画」における人的資本投資の戦略としては、①自律型人材の育成・戦略的配置、②評価・処遇制度の見直し、③多様な人材の確保の3点を柱とし、④健康安全・労働慣行など各種施策を推進します。

①自律型人材の育成・戦略的配置

当社は、社員が最大の経営資源と位置付け、社員が仕事を通じて個人の価値を高めることにより、会社の成長と個人の成長を実現していきます。また、変化が速い社会において、お客様の期待を超えた価値の実現に向けて、自ら考えチャレンジし続ける人材を育成します。

このビジョンの下、「2026中期経営計画」における事業戦略推進と、より長期的なサステナブル経営の実現のために、自律型人材の育成と戦略的な人材配置を推進します。

IT人材育成指標である「iCD(iコンピテンシ ディクショナリ)」を活用し、年に一度、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のスキル標準をベースに、当社の現事業および今後のビジネスモデルに必要なタスクを追加したアイネス独自のスキル標準にて診断を行い、人材育成に活用しています。その診断結果を基に社員一人ひとりがスキル開発計画を作成し、上司と計画を共有することで、効果的なスキルアップを目指します。このように、人材アセスメントなどの人材情報を事業戦略と紐づけ、データに基づいたPDCAサイクルを実践することで、事業と個人の成長が連動するキャリアパス形成を支援します。

なお、人材育成に関する指標においては、DX推進に必要となる基礎スキルについて全体的な底上げを図るために全社員を対象とした生成AI活用研修他、選抜者向けの「データサイエンスワークショップ」、営業活動に特化したAI活用研修等、豊富なラインナップの研修カリキュラムを開講しました。今後はさらに「2026中期経営計画」を支える人材に必要なスキルセットを行い、人材育成の高度化を図ります。

(スキル開発プランニング)

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データドリブン経営の一環として社員の能力や経験、人事評価、スキル等を可視化し、これらのデータを根拠とした戦略的配置を実現しています。事業計画に必要なスキルとのギャップを把握し対策立案を行う際、全社横断的にデータドリブンを推進します。これにより、人的資本に関するデータのみならず事業全般に関するデータを活用し、事業戦略と個人のキャリア志向の双方を考慮した配置の最適化を戦略的に推し進めます。

②評価・処遇制度の見直し

アイネスの中長期的な成長を実現するには、事業戦略の遂行に必要な専門職の質の向上と人数の拡充が最重要であることから、2025年4月に事業の創出・推進に貢献する人材の早期成長を促進し、また重点的な育成を可能とする人事制度に刷新して専門職等級を軸とする等級体系を構築しました。これにより、専門職の人材を戦略的に育成し、早期に登用するとともに、アソシエイト専門職から上席レベルの専門職までスキル、経験・実績等により多角的かつ公平に評価し、処遇する仕組みを整備いたしました。また若手専門職が自発的に手を挙げ、高度な職務へチャレンジすることができる職級を新設し、自律的なキャリア形成を支援しています。

 

③多様な人材の確保

多様なプロフェッショナルを採用・育成するために、処遇面の見直しや人材投資の継続、職場の魅力向上に努め、人材の付加価値向上を目指します。特に人事制度を見直し、多様な個が活躍できる組織風土を整備することにより、社員の活躍・定着へと繋げてまいります。

外部人材の登用については、採用手段の多様化を積極的に進め、外部プロフェッショナル人材の数と質の拡充を図り、即戦力となる高度な専門的知識や豊富な経験を有した人材の登用を機動的に行っております。

また、シニア人材の活用は、定年後再雇用制度の見直しを行い、高度な専門的知識や技術を有した定年者の活用を促進し、「2026中期経営計画」の事業推進およびノウハウの蓄積を図ります。

④健康安全・労働慣行

社員が活き活きと働きがいをもって活躍し、持続的に価値を創出していくためには、「社員一人ひとりの心身の健康」の維持・増進が不可欠です。当社では、社員のフィジカル面はもちろん、メンタル面の健康維持・促進のため、定期のストレスチェックに加え、いつでもメンタル面のセルフチェックや社外のカウンセリングを利用できる環境を整え、社員の心身の健康維持に力を入れています。

また、全役職員が年一回のコンプライアンス研修を受講することにより、人権の尊重、差別・ハラスメントの禁止をはじめとする業務を行う上で守るべき行動基準を確認し、受講後テストを義務付けています。労務管理面では、総労働時間や有給休暇の取得状況などの労務管理に関する報告を毎月の経営会議にて行うとともに、研修や人事部門から管理職・対象者への個別指導を通じて、規範意識の醸成と適切な労働環境の維持に努めています。

[リスク管理]

若年層人口の減少および採用市場の競争激化による採用の難易度が高まることが最大のリスクと考えています。このリスクに対処するために、きめ細かな採用、雇用条件の見直し、社員の成長機会と活躍できる環境づくりに努めております。教育研修の充実、ダイバーシティ施策の推進、新しい働き方の推進、社員の心身のケアのための制度等による環境整備と風土醸成に取り組んでいます。

 

[指標と目標]

人的資本に関する指標と目標(当社単体)

当社グループでは、人的資本戦略に関する戦略および指標については、当社において関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みを行っているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループでの指標等の記載が困難であります。このため以下の指標における目標と実績は当社単体のものを記載しております。

 

2023年度

2024年度

目標値

補足

人材育成に関する指標

一人当たり研修時間

117.6時間

117.8時間

120時間

 

一人当たり研修費用

371千円

433千円

430千円

 

DX人材育成研修受講者数

(2020年度からの累計人数)

498名

582

---

選抜研修受講者数

 

流動性に関する指標

3年後離職率

31.4%

6.4

30

若年層への取組み強化

平均勤続年数

18.48年

18.03

18

 

多様性に関する指標

女性社員比率

23.1%

25.1

20%以上

次年度期初数値

女性採用比率

33.3%

31.3

35%以上

 

女性管理職比率

13.5%

10.8

13%以上

次年度期初数値

男女間賃金差異

83.0%

85.0

85%以上

男性を100とした場合の女性の割合(正規労働者)

育児休業取得率(男性)

92.3%

94.1

100

当社独自制度のパパ育児休暇を含む(2010年度より導入)

育児休業取得率(女性)

100%

100

100

 

健康安全・労働慣行に関する指標

平均残業時間/月(法定外)

14.8時間

15.4時間

---

目標:総実労働時間年間2,000時間

平均有給休暇取得日数

16.2日

15.9

17

 

テレワーク実施率

53.6%

47.1

---

年平均

(注)正規雇用労働者を対象として集計

 

(3) 気候変動への対応

[ガバナンス]

当社では、環境保全活動を推進するにあたり、環境に関する国際規格「ISO14001」に準じた環境マネジメントシステム(EMS:Environmental Management System)を構築し、継続的な改善に取り組んでいます。

[戦略]

当社は、「事業活動を通じた環境負荷の低減」「オフィス活動を通じた環境負荷の低減」「環境関連法規制の遵守」の3つを柱に、「もったいない5R」を合言葉に当社独自の環境活動に取り組んでいます。「もったいない5R」とは、環境省が推進する3R(Reduce、Reuse、Recycle)に2つのR(Relationship、Reengineering)を加え、当社の目指すべき姿を目指した環境アクションプランを実践しやすく表したものです。

 

 

環境側面(5R)

活動

事業活動を通じた環境負荷の低減

Reengineering

(環境に配慮した製品の提供)

・お客様への環境配慮システムとインフラの提供

・高品質な製品の提供

オフィス活動を通じた環境負荷の低減

Reduce(省エネ)

Reuse(再利用)

Reduce・Recycle

(廃棄物の削減・抑制)

Relationship

(地域貢献)

・再生可能エネルギーを使用、省エネの設備搭載オフィスを選定(カーボンニュートラル)

・リサイクル原料使用のオフィス家具

・紙使用量、電力使用量の削減

・グリーン購入

・社内事務用品の再利用

・環境教育の実施による、従業員の環境に対する意識の向上

環境関連法規制の遵守

Reduce・Recycle

(廃棄物の削減・抑制)

・廃棄物の発生抑制と徹底管理

・産業廃棄物管理マニフェストの管理

・外部機関による認証や内部監査による確認・評価

2004年~:ISO14001の認証取得

2015年~:経済産業省「SABC評価制度」10年連続S評価取得

 

[リスク管理]

環境問題に関わるリスクについてはサステナビリティ全般のリスク管理に含み、リスクおよび機会を識別、評価し事業に与える影響に関して分析を進めるとともに、分析結果を踏まえた対応策に沿って取組みを進めています。

 

[指標と目標]

ゼロカーボン(脱炭素)を意識した取組みと、当社の事業に関連した環境法規制の100%遵守を目標に、環境活動を通じてエネルギー使用量などの削減に継続的に取り組んでいます。

環境パフォーマンスデータ

※経済産業省資源エネルギー庁に提出した「省エネルギー法定期報告書」より一部抜粋したものです。

※2023年度は事業所閉鎖等のファシリティマネジメントによりエネルギー使用量等が減少しました。

①エネルギー使用量

 

2021年度

2022年度

2023年度

消費電力(kWh)

7,214

6,664

5,156

ガス(千㎥)

23

15

31

原油換算(kl)

1,846

1,680

1,158

 

②CO2排出量

 

2021年度

2022年度

2023年度

CO2排出量(t-CO2)

3,264

3,070

2,362

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の防止及び発生した場合の適切な対処に努めておりますが、予測されない事態が発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境リスク

当社グループの属する情報サービス産業においては、顧客の情報化投資動向や情報技術動向の急激な変化、新規参入企業の増加等により事業環境が大きく変化する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。この事業環境の変化に対応するため、当社グループでは、顧客・業界における情報化投資の実行時期や実行規模を見極め、適宜事業ポートフォリオを見直し、適切な資源配分を行っております。また、常に技術革新動向を注視し質の高い技術者の育成に取り組んでおります。

(2) システム開発リスク

ソフトウェアの受託開発及びパッケージ製品などにおいて、品質不良や納期遅延等が発生し、コスト増加により不採算案件が生じるリスクやソフトウェアの不具合により顧客の業務に影響を及ぼすリスクがあります。その結果、顧客との取引契約に関して債務不履行が発生した場合、顧客から契約上の損害賠償請求または提訴を受けるリスクや情報サービス企業として信用失墜のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社では品質管理部門を設置し、担当役員や外部専門家を配置するなど、管理体制の強化に取り組んでおります。

(3) システム運用リスク

アウトソーシングなどの運用サービスにおいて、大規模災害による想定外の損害や長期の電力不足、サイバー攻撃、運用ミスなどにより、システムダウンや回線障害が発生し、顧客の事業が停止もしくは中断した場合、顧客から契約上の損害賠償請求または提訴を受けるリスクや情報サービス企業として信用失墜のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社グループではITIL(※1)に準拠した体制の整備、バックアップ機能の充実、運用ツールの強化等の設備投資、運用管理レベルの向上、技術者教育、

BCP(※2)の策定などに継続的に取り組んでおります。

(4) 投資に関するリスク

当社グループは、事業拡大や競争力強化のため新規事業の立ち上げ、ソフトウェア開発投資、設備投資、資本提携などを行っております。しかしながら、社会情勢の変化や景気悪化などにより、投資案件が計画どおりに進まず当初見込んでいた利益が得られない場合、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社グループでは、投資に伴う事業計画、投資効果やリスク等について十分に検討したうえで、投資を実施しております。

(5) 情報漏洩リスク

当社グループは、業務上、顧客が保有する特定個人情報を含む個人情報や機密情報を含む情報資産を取り扱う場合があります。このような状況下において、コンピュータウイルスによる感染や不正アクセス等のサイバー攻撃、もしくは人為的過失等により、機密情報の漏洩や改ざん等が発生する可能性があります。この結果、顧客から契約上の損害賠償請求または提訴を受けるリスクや情報サービス企業として信用失墜のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社グループではサイバーセキュリティの強化として、ファイアウォールや侵入検知システムの強化を図り、サイバー攻撃に対応する体制を整備する社内IT基盤の高度化を推進しております。また、ISMS(※3)やプライバシーマーク(※4)など各種認証の維持・取得に積極的に取り組むとともに、コンプライアンス研修や教育などを通じて社員への啓蒙活動を継続的に実施しております。

 

(6) 大規模災害に関するリスク

当社グループは、BCPを策定し従業員の安全確保、被害の防止・軽減及び早期復旧等危機管理の徹底に取り組んでおります。しかしながら、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模震災をはじめとする自然災害の発生などにより事業継続に支障が起きた場合や事業の一部調整を行った場合は、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これを回避または軽減するために、当社では、(3)システム運用リスクで述べた対策のほか、連絡体制の整備、訓練等社員への教育、事業拠点の見直し等を行っております。

(7) 感染症等の流行に関するリスク

当社グループは、重大な感染症等の流行に対し、従業員の安全確保、感染の防止及び感染者が発生した場合の対応等危機管理の徹底に取り組んでおります。新たな感染症等の流行により事業継続に支障が起きた場合や事業の一部調整を行った場合は、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これを回避または軽減するために、当社では、テレワークの活用、事業のオンライン化、事業拠点の再編等を行っております。

(8) 人材確保に関するリスク

当社グループの事業活動は人材に大きく依存しています。中長期的に、少子高齢化の環境のもと、社員流出や採用難が今後深刻化し、人員不足を起因としたサービスの低下や風評等につながる場合には、顧客の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは、人材の採用や育成を強化するとともに、人事制度や福利厚生制度の見直しを図ることで、多様で柔軟な働き方を提供する等、各種対策に取り組んでおります。

 

[用語解説]

※1 ITIL(アイティル):Information Technology Infrastructure Libraryの略

英国商務局が策定した、コンピュータシステムの運用・管理業務に関する体系的なガイドライン。ITサービス管理を実行する上での業務プロセスと手法を体系的に標準化しています。

※2 BCP(ビー・シー・ピー):Business Continuity Planの略

企業が、自然災害、大火災、パンデミック、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく事業継続計画です。

※3 ISMS(アイ・エス・エム・エス):Information Security Management Systemの略

情報セキュリティ管理の国際標準に基づき定められた情報セキュリティマネジメントシステムの適合性評価制度です。継続的に情報セキュリティリスクを管理しリスク回避や軽減を図り、この認証基準に適合したマネジメントシステムを構築・維持できている企業や団体が第三者機関により認証されます。

※4 プライバシーマーク

プライバシーマーク制度は、日本産業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に準拠した「プライバシーマークにおける個人情報保護マネジメントシステム構築・運用指針」に基づいて、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している事業者等を、第三者機関が客観的に審査・評価して、事業活動に関してプライバシーマークの使用を認める制度です。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます)の状況の概要は次のとおりであります。

① 当連結会計年度の取組み

当連結会計年度は「2026中期経営計画」の初年度として、「地方公共団体情報システムの標準化対応」、「次世代ソリューションの開発」、「事業基盤拡充」の3本の柱をベースとして事業を推進してまいりました。

「地方公共団体情報システムの標準化対応」

当社のコア事業である公共分野においては、地方公共団体情報システムの標準化対応(自治体システム標準化対応)を進めています。しかしながら、各種品質テストの結果、弊社基準を充足しない事象が発生したことにより、品質対策を行っています。この影響で、標準化移行の作業スケジュールを見直ししており、一部の自治体においては稼働時期が後ろ倒しとなりますが、住民サービスへ影響をきたさぬよう安全・安心なシステムを確実にご提供してまいります。

「次世代ソリューションの開発」

自治体向け行政システム「WebRings」の次世代版となる「つながる」をコンセプトとしたシステム開発を進めています。また、株式会社三菱総合研究所と共同で地方部における高齢者層の移動の利便性向上を目的としたオンデマンド交通の実証実験の実施や、「地域共創ポータル」を活用した地域社会の課題を解決するソリューションの実装に向けた取組みを行ってまいりました。

「事業基盤拡充」

事業基盤の拡充では、パートナーシップ推進の効果を発揮させ、アライアンス先も活用した顧客数の拡大・顧客基盤の強化に向けた取組みを実施してきました。また、社内IT基盤の高度化を推進し、セキュリティリスクを低減する社内インフラの整備や、生成AIを活用した高品質・短期間を実現する開発環境の構築を進めてまいりました。

2025年4月には当社の財産である人材を早期に育成し登用するべく、エンジニアの専門性の評価を主軸とする人事制度への改定を行いました。専門職を人材育成の柱とするほか、外部人材の登用・活用による当社事業戦略の推進、シニア人材の活用を進めてまいります。

なお、当社は2024年4月に東京都中央区日本橋蛎殻町に本社を移転しました。アイネスグループの本部機能を集約し、グループ経営の意思決定迅速化を図るとともに、中期経営計画のビジョンである「挑戦・進化し続ける企業」を体現し、経営基盤強化と企業価値の向上を目指してまいります。

② 経営成績及び財政状態の状況

当連結会計年度の売上高は前年度と概ね同水準の405億63百万円となりました。

公共分野につきましては、グループ会社におけるアウトソーシング事業の一部撤退に伴う減収はあったものの、標準化対応システムの導入による増収等により、198億73百万円(前期比7.4%増)となりました。

民間分野につきましては、保険業向けのシステム開発や運用案件の受注減及び小売業向けシステム開発案件の減収等により206億89百万円(同6.2%減)となりました。

商品・サービス別では、標準化対応システムの導入によりシステム開発が増加し、大型BPO案件の減少などにより運用が減少及びグループ会社におけるアウトソーシング事業の一部撤退によりその他が減少しました。

当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、以下、業種別及び商品・サービス別の売上高を示しております。

[業種別連結売上高]

(単位:百万円)

 

区分\期別

前連結会計年度

当連結会計年度

対前年
増減率

自 2023年4月1日
至 2024年3月31日

自 2024年4月1日
至 2025年3月31日

金額

構成比

金額

構成比

公     共

18,504

45.6%

19,873

49.0%

7.4%

民     間

22,053

54.4%

20,689

51.0%

△6.2%

合     計

40,557

100.0%

40,563

100.0%

0.0%

(注)当連結会計年度より、管理会計区分の変更に伴い、従来「金融」「産業」に区分していた売上高を、民間分野へ表示しました。前連結会計年度についても同様に組替再表示しております。

 

 

[商品・サービス別連結売上高]

(単位:百万円)

 

 

区分\期別

前連結会計年度

自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

当連結会計年度

自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

対前年

増減率

金額

構成比

金額

構成比

システム開発

16,371

40.3%

19,797

48.8%

20.9%

運用

13,903

34.3%

12,672

31.2%

△8.9%

システム保守

4,984

12.3%

4,929

12.2%

△1.1%

情報機器販売

1,245

3.1%

1,143

2.8%

△8.2%

その他

4,051

10.0%

2,019

5.0%

△50.2%

合     計

40,557

100.0%

40,563

100.0%

0.0%

損益面においては、主に前年度に計上したファシリティコストの反動減により、営業利益は35億36百万円(前期比22.9%増)、経常利益は36億8百万円(同32.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は24億36百万円(同35.7%増)となりました。

当連結会計年度末における財政状態は、総資産は567億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億99百万円増加しました。

流動資産は、現金及び預金や受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により44億80百万円増加し、247億64百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少等により21億80百万円減少し、319億63百万円となりました。

流動負債は、短期借入金の増加等により23億63百万円増加し、99億65百万円となりました。固定負債は、長期借入金の減少等により14億65百万円減少し、75億69百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により14億2百万円増加し、391億92百万円となりました。

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます)は前連結会計年度末に比べ27億26百万円増加し、79億91百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は14億78百万円(前期比31.0%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上35億11百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は2億88百万円(同97.1%減)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出15億8百万円及び投資有価証券の償還による収入18億円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は15億36百万円(同61.1%減)となりました。これは主に、短期借入れによる収入30億円等によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における商品・サービス別の生産実績を示しております。

商品・サービスの名称

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

前年同期比(%)

システム開発(百万円)

19,887

119.9

運用(百万円)

12,658

91.4

システム保守(百万円)

4,929

99.6

情報機器販売(百万円)

1,086

85.0

その他(百万円)

2,004

49.2

合計(百万円)

40,566

99.6

 (注)金額は売価換算によっております。

 

b.受注実績

当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における当社グループ全体の受注実績を示しております。

受注高(百万円)

前年同期比(%)

45,416

113.9

 

c.販売実績

当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における商品・サービス別の販売実績を示しております。

商品・サービスの名称

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

前年同期比(%)

システム開発(百万円)

19,797

120.9

運用(百万円)

12,672

91.1

システム保守(百万円)

4,929

98.9

情報機器販売(百万円)

1,143

91.8

その他(百万円)

2,019

49.8

合計(百万円)

40,563

100.0

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載については、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績及び財政状態の状況」に記載しております。

当社の過去10年の連結業績推移は図1のとおりであります。

売上高の推移では、2018年度以前は300億円台後半が続いていましたが、2019年度以降は400億円台に拡大しました。

要因は、強固な自治体顧客基盤を強みとする公共分野において、少子高齢化などを背景とした福祉関連等のさまざまな法制度改正の需要を着実に取り込み、同分野における売上高の安定化を図ってきたことが大きく寄与しています。

2020年度、2021年度は新型コロナの影響により減収傾向となりましたが、2024年度は、大型BPO案件の減収やグループ会社におけるアウトソーシング事業の一部撤退等があったものの、標準化対応システムの導入による増収効果等により、2023年度並みの406億円となりました。

損益の推移は、2018年度以降、営業利益および当期純利益ともに回復基調となっておりましたが、2020年度、2021年度は売上高と同様の要因により、減益となりました。2024年度は、2023年度に計上した八重洲オフィスの開設に伴うコストや本社移転に伴う一時費用等の反動減により、営業利益と当期純利益のいずれも増益となりました。

0102010_004.png

 

図2の基礎的収益力を示す売上高営業利益率については、「2026中期経営計画」の初年度となる2024年度は、ファシリティコストの反動減等により、2023年度の7.1%から1.6ポイント改善し、8.7%となっております。

図3の自己資本利益率(ROE)につきましても同様の傾向となっており、2024年度は、親会社株主に帰属する当期純利益が増加したことにより、2023年度の4.8%から1.5ポイント改善し、6.3%となりました。なお、2025年度は、当中期経営計画の2年目となりますが、業績や指標の目標を達成できるよう、引き続き各種施策を強力に推進してまいります。

0102010_005.png

(経営成績に重要な影響を与える要因について)

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローについて)

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況等は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

(資本の財源及び資金の流動性について)

資本の財源につきましては、財務の健全性や資本の効率性など当社グループにとって最適な資本構成を追求しながら、将来の成長のための内部留保の充実と株主の皆様への利益還元との最適なバランスを考え、安定した財源を維持することを基本としております。

当社グループは、短期の運転資金につきましては原則自己資金で賄うこととしており、資金の調達が必要な場合には、主に金融機関からの借入を行っております。設備投資や長期の運転資金につきましては自己資金または金融機関からの長期借入で賄うこととしており、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。

これらの方針に基づき、図4のとおり、株主の皆様への利益配当につきましても、急速な市場の変化に対応するため財務基盤の充実を図りつつ、業績および経営環境等を総合的に勘案しながら安定かつ継続的に配当を実施してまいりました。

0102010_006.png

今後も営業活動により得られたキャッシュ・フローやグループ内余剰資金の有効活用等による運転資金の効率化を進め、これらの活動で得られた資金を活用して、事業の更なる成長に合わせた戦略的投資や資本構成の最適化、また株主様への還元施策などを推進することにより、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。

なお、今後の日本経済は、雇用環境の改善や各種政策の効果等により景気は緩やかな回復が続くことが期待される一方で、ウクライナや中東地域の紛争長期化や米国の政策動向により、依然として先行き不透明な状況が続いていくことが予想されます。

このような状況下、当社グループにおきましても今後の業績にマイナス影響を及ぼす可能性はありますが、現状の純資産額の水準ならびに資金状況から事業運営上、支障はありません。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。

(受注制作のソフトウェアに係る収益及び費用の計上基準)

受注制作のソフトウェア開発について、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合に、その進捗を発生したコストに基づくインプット法(原価比例法)により見積って収益を認識しております。なお、収益総額、見積原価総額及び決算日における進捗率について、当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。

(受注損失引当金)

受注制作のソフトウェア開発のうち、原価総額が収益総額を超過する可能性が高く、かつその金額を合理的に見積ることができる場合、損失見込額を受注損失引当金として計上しています。ただし、受注制作のソフトウェア開発は契約ごとの個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、契約時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況及び採算性等によって損失額が大きく変動する可能性があります。

(市場販売目的のソフトウェア)

市場販売目的のソフトウェアの減価償却方法につき、見込販売本数に基づく償却額と残存有効期間に基づく均等配分額のいずれか大きい額を減価償却費として計上しております。なお見積有効期間は3年以内であります。販売期間の経過に伴い、減価償却を実施した後の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回った場合、当該超過額を一時の費用として計上しております。したがって、これらの金額は将来の当該ソフトウェアの販売見込により影響を受ける可能性があります。

(退職給付に係る負債)

退職給付債務及び年金資産は、割引率、年金資産の長期期待運用収益率等の将来に関する一定の見積数値に基づいて算定されています。退職給付債務の計算に用いる割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しています。また、年金資産の長期期待運用収益率は、将来の収益に対する予測や過去の運用実績を考慮して決定しています。見積数値と実績数値との差異や、見積数値の変更は、将来の退職給付債務及び退職給付費用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(繰延税金資産)

繰延税金資産の回収可能性の判断に際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が変動した場合は繰延税金資産の計上額が大きく変動する可能性があります。

5【重要な契約等】

当連結会計年度中において、重要な契約等はありません。

なお、2024年4月1日前に締結された契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、急激な変化を続けている社会環境の中で、新たな社会ニーズを見据え、今後の事業の中心となる製品・サービスの研究開発及び長期的成長の基盤となる基礎的研究や新技術の研究に注力しております。なお、当連結会計年度の研究開発活動に要した研究開発費は266百万円であります。

当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発活動を示しております。

今後の事業の中心となる製品・サービスの研究開発

2024年のIT市場は、前年に引き続き顕著な成長を示しました。とりわけ生成AI技術の成熟と実用化が進展し、市場全体に大きな影響を及ぼしております。生成AIの活用は、もはや先進的な試みの域を超え、幅広いビジネス領域で実運用段階へ移行しました。ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)は、業務自動化、顧客対応の効率化およびコンテンツ生成の各分野で具体的な成果を挙げております。特に、自治体向けAI相談サービスの本格導入が進み、LGWAN環境下におけるAI活用が拡大しました。

さらに、クラウドネイティブなシステム開発・運用の普及に伴い、AIインフラ向けGPU搭載クラウドサービスへの需要が急増しました。リモートワークの常態化を背景に、セキュリティ強化および運用管理の高度化を図るゼロトラスト・アーキテクチャの採用も拡大しております。

DX推進の加速傾向は継続しており、とりわけ生成AIを活用したデータ分析や顧客体験の最適化に多くの企業が取り組んでいます。これに伴い、デジタル人材の育成および再教育も重要なテーマとなっております。

このような事業環境の下、当社グループでは次の研究活動を推進いたしました。

① 生成AI技術の実用化に向けた研究

・生成AIの社内業務全面展開および成果検証(生産性向上・業務効率化)

・自治体向け「AI相談パートナー」の本格導入と自治体連携による効果検証

・オープンソースLLMを活用した特化型生成AIモデルの研究・開発

② アイネスグループの新規事業創出に向けた技術研究

・XR技術を用いたトレーニング・教育分野での実証実験

・メタバースを活用した地域活性化プロジェクトの推進

・高齢者健康支援を目的としたAI予測分析技術の高度化

当社グループは、上記取組みを通じて生成AIを軸としたDXの加速および企業価値向上に向け、引き続き研究開発を推進してまいります。