文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
世界的な規模で産業構造の大転換をもたらす「デジタル革命」は、既存産業の仕組みを根本から変え、新たな産業が生まれようとしています。日本でも有望なスタートアップ企業が本格的に出現し、次世代を担う若い起業家が台頭しています。ベンチャーキャピタルの投資ステージも、シードやアーリーステージに大きくシフトしています。
そのような中、世界中に感染拡大した新型コロナウイルスは、当社の投資先にも大きな影響を与えました。日本における緊急事態宣言や海外におけるロックダウンの期間中、業績が大幅に落ち込む投資先が続出しました。一方で、リモートワークや在宅勤務が増えたことによる特需や、非対面・非接触・遠隔といったキーワードにつながる事業、DX(デジタルトランスフォーメーション)化による効率化を推進する事業など、強い追い風を受けた投資先もありました。延期が相次いだIPOは2020年6月以降本格的に再開され、活況が続いています。
当社は創業以来、時代をリードする起業家とともに歩んできました。当社には、経験を積み重ねてきた多くのベンチャーキャピタリストに加え、企業成長を促進するための豊富なリソースとネットワークの蓄積があります。単なる投資家としてではなく、「CO-FOUNDER」として、事業の構想段階から経営に関与します。起業家とともに事業の成長にコミットし、企業価値を高めていきます。
2018年からパートナーシップモデルを導入し、トップキャピタリストとしてファンドの運用責任を負うパートナーを中心としたフラットな組織作りを行っています。直近ファンドのSV6ではパートナーと従業員が当社とともに出資しており、個人としても運用リスクを負いながら、ファンドパフォーマンスと個人の貢献に連動した成果報酬を享受していきます。従来からの当社の強みである組織力にも磨きをかけており、投資先への経営関与を通じて、ファンドパフォーマンスの一段の向上を目指します。
(1)会社の経営の基本方針
①当社のミッション
「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」
当社は創業以来、様々な革新的製品やサービスを起業家と生み出してきました。世の中に必要とされる新事業の創造にコミットすることで、ステークホルダーの皆様とともに新しい時代を切り開くことが当社のミッションです。
②ミッション実現に向けた方針と戦略
当社は、ファンドを通じたベンチャー投資とバイアウト投資によりミッションの実現を図ります。
ミッションの実現に向け、当社は下記の取り組みを進めます。
・厳選集中投資と経営関与
新事業を創造するために、ポテンシャルの高い投資対象を絞り込み、大胆に投資を行います。投資先企業に対し影響力のあるシェアを確保し、投資先の経営に深く関与することで、企業の成長を促進します。
・ファンドパフォーマンスの持続的向上
十分な投資資金を獲得するには、ファンドパフォーマンスを向上させ、外部出資者を確保することが不可欠です。また当社は自己資金をファンドに出資し、出資者とともにその収益を享受します。厳選集中投資と経営関与により良質なポートフォリオを積み上げ、ファンドパフォーマンスの持続的向上を目指します。
・「CO-FOUNDER」としてのジャフコ
事業の立ち上げ局面では、投資家である以上に「CO-FOUNDER≒共同創業者」であることが求められます。当社が創業来獲得してきた精神や知識、経験を継承・発展させ、当社及び個々の従業員が
「CO-FOUNDER」として活躍できる組織を目指します。
(2)会社の対処すべき課題
当社が対処すべき主要な課題は以下の5つであります。また、当連結会計年度における取り組みについては以下のとおりです。
①厳選集中投資と経営関与により新事業を創出
世の中に必要とされる新しい価値=新事業を継続的に生み出していくことが、当社の使命です。そのためには、ポテンシャルの高い投資対象を絞り込み、大胆に投資を行っていくことが必要です。投資先企業に対し影響力のあるシェアを確保し、投資先の経営に深く関与することで、企業の成長を促進していきます。当連結会計年度においては、コロナ禍での厳しい状況を乗り越える為、投資先の資金確保等、守りを固める為の取り組みを投資先とともに行いました。
②ファンドパフォーマンス向上を持続的に追求
十分な投資資金を確保するには、外部出資者を安定的に確保することが不可欠です。当社は自己資金をファンドに出資し、出資者とともにファンドからの収益を享受しています。長期にわたるファンドパフォーマンスの持続的な向上が、当社の最大の責務です。当連結会計年度においては、好調なIPOを背景に、SV4ファンドのパフォーマンスが大きく伸長しました。また、SV5ファンドの投資先から初めてのIPOと大型の未上場売却が実現しました。
③良質なポートフォリオの積み上げ
「厳選集中投資」「コミットメント投資」による良質なポートフォリオを積み上げていくことが、ファンドパフォーマンスの向上につながります。今後もこの投資方針を堅持し、投資対象マーケットの拡大と投資運用能力を合致させながら、運用資産の拡大を図ります。当連結会計年度においては、コロナ感染拡大により、従来行っていた対面を基本とした投資活動が制約される中でも、リモートでの面談を活用し、第2四半期以降は前年同期を上回る投資を実行しました。
④投資先の「CO-FOUNDER」となりうる人材の育成
当社では、単なる投資家としてではなく投資先の「CO-FOUNDER」として、事業の構想段階から経営に関与していく人材の育成を重視しています。2018年以降、パートナーシップモデルを導入、成果をより重視した評価制度としました。また、新卒の採用手段を多様化するとともに、中途採用も積極的に行っています。
⑤自己資本の充実と株主還元のバランスを重視
スタートアップ企業を主体とした良質なポートフォリオを積み上げ、その価値を高め、最適なEXITをつくりだすためには、長期間を要します。IPOやM&A等によるEXIT価値は、市場環境によって大きく変動します。流動性が乏しい未上場企業に投資をし、高いパフォーマンスを上げると同時に、継続的な株主還元を行っていくために、自己資本の充実と強固な財務基盤の維持を図っていきます。当連結会計年度においては、取締役会で複数回にわたる議論を行ったうえ、2021年2月に、総数700万株、総額350億円を上限とする自己株式の取得を決議し、あわせて「今後の株主還元についての方針」も公表しました。今後はこの方針に則り、事業環境や当社の財務状況の変化に応じて自己資本の充実と株主還元のバランスを図っていきます。
また、「CO-FOUNDER」というアイデンティティーを確立し、「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」というミッションの実現に向けて、下記に掲げる五つの姿勢を堅持していきます。
・経験知を受け継ぎ成功を再現する
・次世代を追求し事業をつくりだす
・グローバルに展開しローカルに集中する
・起業家と真摯に企業価値を高める
・先駆者として規律と透明性を守り抜く
なお、当社の投資活動の本質は、サスティナブル投資の考え方に強く合致するものです。スタートアップの多くは、社会的な問題を解決したい、社会の役に立ちたいといった動機をもとに起業しています。当社はこれらの企業に深く関与し、経営者と伴走することで、将来的に大きな社会的インパクトを生み出す企業を輩出することに貢献してまいります。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び対策に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月16日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況
当社グループは主に当社グループが管理運営するファンドの資金を使って、日本・アジア・米国で未上場株式等への投資を行っております。当社グループはファンドからの管理報酬及び成功報酬に加え、ファンドに自己資金を出資することにより、投資成果であるキャピタルゲインをファンドの他の出資者とともに享受します。
ファンドのパフォーマンスは、日本、アジア地域及び米国の経済情勢や株式市場の動向に影響を受けます。そこで、当社グループでは、日本・アジア・米国とグローバルに投資を行うことにより地域的なリスクの分散を図っています。また、当社グループが運用する未上場企業投資ファンドは、通常3年前後の期間をかけて投資先企業の組入れを行うため、時間的にも一定期間に渡る分散が行われることになります。さらに、IPOに限らずM&A等によるEXIT(売却)の機会も絶えず追及しており、株式市場やIPO市場の動向が当社グループの収益基盤へ与える影響を低減できるように努めています。
しかし、世界経済が不況に陥った場合には投資先企業の業績不振につながる可能性があり、また起業環境が悪化することで当社グループの投資対象となりうるスタートアップの数が減少する可能性があります。また、未上場株式等への投資は、多くが投資からEXITまで数年程度の期間を要するため、EXIT時点での株式市場やIPO市場が低調な場合には、ファンドが保有する株式等の流動化機会が限られる可能性があり、さらにファンドが得るキャピタルゲイン及び成功報酬も大きく変動する可能性があります。こうした場合は、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)未上場株式等への投資
当社グループ及びファンドは、未上場株式等を投資対象としており、その中でも近年では創業期のシードや事業立ち上げ時期のアーリーステージの割合が高まっています。こうした未上場企業には次のような特徴があります。
・事業の不確実性
未上場企業は一般に収益基盤や財務基盤が不安定であるばかりでなく、売上がないまたは僅少である場合も多く、経営資源に制約があること等から、景気や市場動向、競争状況等の影響を受けやすく、事業の不確実性が高いといった特徴があります。
・経営・管理体制の脆弱性
未上場企業は経営体制や管理体制が未整備であることが多く、そのためコーポレート・ガバナンスが機能しなかったり、内部統制上の不備が生じてしまうことで、その事業の継続性に重大な影響をもたらすことがあります。
当社グループにおける投資判断は、日本・アジア・米国の拠点ごとに設けた所定の委員会において行っています。そこでは、投資検討先が対象とする市場の成長性、製品/サービスの革新性や競争力といった事業性、マネジメントチームの評価、投資採算や投資条件、想定する投資後の企業価値向上策やEXIT戦略、さらにはリスクなどの観点から議論を行った上で投資の可否を決定します。
また当社グループでは、有望企業を厳選し、1社あたりの投資金額と保有シェアを高め、投資先会社への経営関与を強化しています。投資後は、成長ステージなど投資先企業ごとの状況に応じて、人材採用、営業・マーケティング、大手企業との資本・業務提携、管理体制整備・上場準備、追加の資金調達といった面でのサポートを提供しています。その際、当社グループが培ってきた豊富なリソースとネットワークの蓄積を活用します。このようにして投資先の事業の成長と企業価値の向上を図り、キャピタルゲインと投資倍率の向上に努めています。
しかし、投資先である未上場企業の事業が当初の計画通りに進捗せず、財務状況が悪化した結果、他社への事業売却、倒産等に至り、投資資金が全く回収できない場合もあります。また、投資先企業の株式上場や第三者との組織再編、事業売却等M&A等による出口が保証されているものではなく、株式上場やM&A等があった場合であっても、その株式等を、投資コストを上回って売却できる保証はありません。さらに、未上場株式等は、上場株式等に比べ、発行体情報の正確性が保証されない、流動性が著しく劣る等の制約があるため、未上場段階で売却を行う場合には、その価格が投資コストを下回ることがあります。未上場株式等への投資にはこうしたリスクが存在することから、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)専業であること
当社グループは、ファンドの管理運営、日本・アジア・米国での未上場株式投資に経営資源を集中し事業活動を行っており、現状では未上場株式投資以外に事業を拡大することは考えておりません。2018年3月に導入したパートナーシップモデルを進化させ、これまでに蓄積してきた組織力との協働を図りながら、ファンドパフォーマンスの向上を目指しています。しかし、当業界は世界経済の情勢変化や世界各国の株式市場・IPO市場の影響を強く受ける業態であるため、このような変化等が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)競合
当社グループの主たる業務である未上場株式投資では、当社グループに類する専業のベンチャーキャピタルや、事業会社によるいわゆるコーポレートベンチャーキャピタルといった競合他社との間で、有望な未上場企業への投資案件獲得競争が激しさを増しております。当社は、2018年3月に導入したパートナーシップモデルを進化させ、同時にこれまでに蓄積してきた組織力やネットワークも活用して投資先企業の成長をサポートすることで競合他社との差別化を図り、ファンドパフォーマンスの向上を目指しています。
また、2020年10月には、国内ベンチャー投資の対象であるスタートアップを率いる若手起業家に訴求するため、当社のロゴを変更し、「起業家のいちばん近くに」をブランドスローガンに掲げ、「& JAFCO」というコンセプトワードによるリブランディングを行いました。
しかし、こうした競合状況により有望企業への投資機会を逸した場合や、必ずしも当社グループが望む条件ではない場合は、十分なキャピタルゲインをあげることができず、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)株価下落
投資先企業のIPO後は、株式市況、取得コストや保有残高、株価、出来高の動向、当該投資先企業の事業の状況、当該株式を保有するファンドの契約期間等を総合的に勘案しながら、当社グループ及びファンドが保有する株式を売却しています。また、買い手となる機関投資家との間で証券会社を介して諸条件が折り合った場合、「ブロックトレード」と呼ばれる相対取引等により一定程度まとまった株数を売却することもあります。
しかし、保有する上場株式の株価の下落は、ファンドのパフォーマンスならびに当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、厳選集中投資により当社グループ及びファンドによるIPO時点の持株比率が比較的高い水準である場合は、株価下落による悪影響が一層大きくなる可能性があります。
(6)為替レートの変動
当社グループは、日本だけでなく、アジア・米国を主とする海外での地域分散投資を行っております。こうした海外投資により保有する資産は、米ドルを中心とする外貨建であるため、為替レートの変動は、ファンドのパフォーマンスに影響します。当社グループが運用する未上場企業投資ファンドは、通常3年前後の期間をかけて海外投資を含む投資先企業の組入れを行います。また、組入れ後の海外投資先企業の株式売却及び当該売却代金の分配は、ファンド運用期間(通常10年間)満了までの期間にわたって行われます。その結果、海外投資により外貨建て資産を保有する際及び当該外貨建て資産を流動化する際の為替レートについては、一定期間に渡る分散が行われることになります。しかしながら、未上場株式等への投資は、多くが投資からEXITまで数年程度の期間を要し、その間の為替レートの変動の影響を完全に払拭することは困難であり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)ファンド募集
当社グループは、主にファンドの資金を使って投資を行っております。ファンド出資者とは、ファンドパフォーマンスの状況、投資先企業の概況その他ファンド運用に係る情報を、担当者の訪問その他の方法で定期的かつ必要に応じ随時提供すること等を通じて、信頼関係の醸成に努めています。また、金融機関等のいわゆる機関投資家のほか、ベンチャー投資ファンドへの出資を通じベンチャー企業に関する情報収集に関心を持つ事業法人等と当社担当者が接触し、当社グループの投資活動に係る理解を深めてもらうこと等を通じて、ファンド出資者層としての開拓を行っています。さらに、当社自身も、ファンド出資を含む投資活動を継続するための自己資本の充実と財務基盤の強化に取り組んでいます。
2022年3月期においては、アジア及び米国のベンチャー企業を投資対象とするファンドをそれぞれ募集しています。また、2023年3月期には、主に日本国内の未上場企業を投資対象とする次期基幹ファンドの募集を予定しています。
こうした取り組みにもかかわらず、経済環境その他ファンド募集に係る環境の悪化、ファンドパフォーマンスの低迷、ファンド条件や管理運営手法に対するファンド出資者ニーズとの乖離といった要因により、今後のファンド募集においてファンド出資者から十分な資金を集めることができない場合、投資活動に支障をきたす可能性があるほか、管理報酬が減少し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報の管理
当社グループが保有する取引先の重要な情報及び個人情報の管理については、情報管理規程、プライバシーポリシー及び各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティ強化等、情報管理体制の整備を行っております。世界的にサイバー攻撃の脅威が高まる中、当社グループでは、ファイアウォールの整備、マルウェア対策やデータ暗号化といったサイバーセキュリティ対策を実施・強化しております。また、ペーパーレス化を積極的に推進することで役職員が書類を社外に持ち出す機会を減らし、重要書類の紛失リスク低減を図っております。さらに、役職員に対し通達や研修等を通じて情報セキュリティに関する意識の涵養に努めております。しかし、今後、外部からの不正アクセス、役職員その他の関係者の悪意または過失による流出等といった事態によりこうした情報が漏洩した場合は、損害賠償請求や社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)法的規制
当社グループは、ファンドの運営管理、未上場株式投資を日本・アジア・米国を中心に行っており、その活動にあたっては日本及び各関係国の種々の法的規制(会社法(商法)・独占禁止法・租税法・金融商品取引法・投資事業有限責任組合契約に関する法律・外国為替管理法・マネロン対策関連・財務会計関連等)を受けることとなります。当社グループでは、管理部門を中心とする関係部署が業務に係る法的規制の導入・改廃に関する情報収集と対応を行っております。しかし、法的規制が及ぶことにより当社グループの活動が制限される場合及びこれら規制との関係で費用が増加する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)法令違反等
当社グループでのコンプライアンスに係る情報は、コンプライアンスへの取組み全般を統括するコンプライアンス・オフィサーに集約されます。また、各部門の長が担当部門におけるコンプライアンス責任者として日常におけるコンプライアンスを推進し、統括部署としての管理部がその取組みを支援・管理するとともに、内部監査部門がこうした状況を監査します。また、管理部門は法令等の制定・改廃に関する役職員への情報発信や、コンプライアンスに係る研修や勉強会を実施しています。万が一法令や社内規則等に抵触する事案や事務事故等が発生した場合は、コンプライアンス・オフィサーとコンプライアンス統括部署に情報集約した上で、当面の善後策の検討・実施と再発防止の徹底を図ります。さらに、コンプライアンスに係る事項の通報制度として、コンプライアンス・オフィサー、管理部門および独立社外取締役を通報窓口とする「ジャフコホットライン」を設置しています。
こうした取り組みにもかかわらず、当社グループ及びその役職員が、投資活動における関連法規や各種の契約等への違反、ファンドの無限責任組合員又はゼネラルパートナーとしての善管注意義務違反、又は業務上の過誤や不祥事等により、投資先企業、ファンド出資者その他の第三者に損害を与えた場合は、当該損害に対する賠償責任を当社グループが負う可能性があります。さらに、こうした法令違反等による社会的信用の低下や監督当局の行政処分等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)役員派遣
当社グループは、投資先企業の価値向上のため、役職員を投資先企業の役員として派遣することがあります。しかし、その役職員個人に対し役員損害賠償請求等があった場合、当社グループによるその個人に生じた経済的損失の全部又は一部の負担、当社グループの使用者責任や社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、投資先企業において可能な範囲で会社役員賠償責任保険(D&O保険)の付保や責任限定契約を締結するとともに、当社加入のD&O保険では役員派遣されている役職員も補償対象に加えておりますが、当社グループの業績及び財政状態への悪影響を完全には回避できない可能性があります。
(12)有能な人材の確保や育成
当社グループの将来の成長と成功は、その事業の特性上有能なベンチャーキャピタリスト等の人材に大きく依存いたします。当社では、継続的に行ってきた新卒採用と、必要に応じたキャリア採用活動により人材を獲得し、OJTを中心にその育成に取り組んでいます。2018年3月よりパートナーシップモデルを導入し、実績ある個人(パートナー)が投資運用の重要な意思決定を行い、ファンドパフォーマンスにコミットするとともに、ファンドの運用成果を個人が享受できる仕組みとしました。あわせて、投資の成果に対する直接・間接の貢献に応じ、職員が成果配分を受ける制度を設けています。また、完全フレックス制、オフィスのフリーアドレスやリモートワークの推進、副業を推奨するなど柔軟性が高いワークスタイルを導入しております。こうした制度・施策を実施することで、優秀な人材の確保・育成に努めております。
これらの取り組みにもかかわらず、有能な人材を確保できなかった場合には、当社グループの将来の成長、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、有能な人材を確保・育成し定着させるためには費用が増加する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)新型コロナウイルス感染症の影響
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の拡大に対し、役職員や顧客等の健康と安全を最優先して感染拡大防止に取り組んできました。投資先企業への関与や新規投資候補先の開拓を含めた業務は、出社・訪問等を控え可能な限りリモートで行っています。また、感染拡大の長期化を想定して、投資先企業の資金調達、コスト削減、収益計画の抜本的見直し等に、投資先の経営陣らとともに取り組みました。加えて、当社自体の純現預金残高や自己資本等は、中長期の事業運営や投資活動に特段の支障がないような水準を維持するよう努めています。
非対面・非接触・遠隔といったキーワードにつながる事業、DX(デジタルトランスフォーメーション)化による業務革新や効率化を推進する事業など、強い追い風を受ける投資先企業もあります。しかし、ワクチン接種の進展状況や変異株の拡大等により新型コロナウイルス感染拡大の影響が長引き、売上減少や資金調達難という影響を受ける投資先企業が今後増える場合は、当社グループで投資損失引当金を繰入れるケースが増加するリスクや、投資先企業のIPO、M&AなどのEXITが低迷するリスクがあります。また、投資先・投資候補先企業や出資者等への訪問・面談、当社オフィスへの出社が感染防止のため長期間に渡り制限される場合や、当社グループの役職員が感染した場合には、業務効率の低下その他業務上の制約が生じる可能性があります。こうしたことがファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大が世界経済や市場環境、機関投資家の投資活動等に与える影響は、今後の当社グループのファンド募集が遅延する等の悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
(1)連結経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、売上高21,512百万円(前期29,855百万円、増減率△27.9%)、営業利益8,964百万円(前期14,970百万円、増減率△40.1%)、経常利益11,707百万円(前期17,045百万円、増減率△31.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益38,504百万円(前期11,839百万円、増減率225.2%)となりました。
当連結会計年度における当社グループの投資先の新規IPOは6社(国内5社、海外1社)であり、キャピタルゲインは対前年同期比では減少しました。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などから投資損失引当金の繰入が増加しております。
当連結会計年度において当社が純投資目的で保有する株式会社野村総合研究所(以下、「野村総合研究所」)の普通株式15,500,000株(当社が保有する野村総合研究所の株式総数39,468,150株の39.3%)の売却を決議し、実行しました。これにより、44,764百万円を投資有価証券売却益(特別利益)として計上しております。
当社グループはファンド運用事業の単一セグメントであります。
②キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは8百万円のキャッシュインフロー(前期12,177百万円のキャッシュインフロー)となりました。これは主に営業投資有価証券の売却等による収入によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは49,154百万円のキャッシュインフロー(前期277百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に投資有価証券(野村総合研究所株式)の売却による収入によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは13,944百万円のキャッシュアウトフロー(前期3,581百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に自己株式の取得による支出によるものであります。
これらの結果、現金及び現金同等物は35,476百万円増加し、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は107,517百万円(前期末72,040百万円)となりました。そのうち7,843百万円(前期末5,776百万円)はファンド出資持分であります。また、当社グループが管理運営するファンドに対して当社グループが出資金として今後支払を約束している金額は、当連結会計年度末で31,624百万円(前期末31,939百万円)であります。
(2)生産、受注及び販売の実績
営業投資活動の状況
当社グループは、下図のとおり、原則としてファンド(下図①)の資金により、国内外の有望未上場企業等への投資を行っております。
ファンドにおける営業投資有価証券の売却損益等は、ファンドの出資持分に応じて、当社グループに直接帰属いたします。また、当社グループは、ファンドから契約に基づいて管理運営に対する管理報酬と投資成果に対する成功報酬を受領しております。
連結貸借対照表の営業投資有価証券残高は、ファンドの当社グループ出資持分(下図②)に応じた営業投資有価証券残高と当社グループ(下図③)の営業投資有価証券残高の合計額であります。
次ページ以降の「投資実行額」「投資残高」につきましては、当社グループの営業投資活動(投資及びファンドの管理運営)を表すため、ファンド(下図①)と当社グループ(下図③)を合算した投資活動の状況を記載しております。
(注)用語説明
|
名 称 |
定 義 |
|
ファンド |
当社グループが管理運営するファンド(投資事業有限責任組合契約に関する法律上の組合、外国の法制上のリミテッドパートナーシップ等) |
|
当社グループ |
当社及び連結子会社 |
①投資実行状況
①-1 エクイティ投資実行額:業種別
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
|
|
金 額 |
金 額 |
|
エレクトロニクス |
614 |
576 |
|
ソフトウェア |
1,425 |
1,337 |
|
ITサービス |
23,060 |
17,264 |
|
医療・バイオ |
2,057 |
2,691 |
|
サービス |
3,937 |
7,156 |
|
製造業 |
2,918 |
1,328 |
|
流通・小売・外食 |
- |
2,292 |
|
住宅・金融 |
754 |
166 |
|
合計 |
34,769 |
32,813 |
①-2 エクイティ投資実行額:地域別
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
|||
|
金額 |
社数 |
金額 |
社数 |
||
|
日本 |
24,883 |
35 |
21,491 |
35 |
|
|
米国 |
8,425 |
24 |
7,637 |
18 |
|
|
アジア |
1,459 |
12 |
3,684 |
13 |
|
|
合計 |
34,769 |
71 |
32,813 |
66 |
|
(注)1.「投資実行額」は、当社グループ及びファンドの投資実行額の合計であります。
2.外貨建の「投資実行額」については、四半期連結会計期間ごとにそれぞれの四半期末為替レートで換算した額を合計しております。
3.日本のベンチャー投資部門が担当する海外投資先は日本に含めております。
②投資残高
②-1 投資残高
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2020年3月31日) |
当連結会計年度 (2021年3月31日) |
||||
|
金 額 |
社 数 |
金 額 |
社 数 |
|||
|
上場 |
3,196 |
29 |
2,811 |
31 |
||
|
未上場 |
141,031 |
206 |
161,334 |
220 |
||
|
合計 |
144,227 |
235 |
164,146 |
251 |
||
②-2 未上場エクイティ投資残高:業種別
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2020年3月31日) |
当連結会計年度 (2021年3月31日) |
|
|
金 額 |
金 額 |
|
エレクトロニクス |
10,308 |
8,402 |
|
ソフトウェア |
12,663 |
11,151 |
|
ITサービス |
88,075 |
101,229 |
|
医療・バイオ |
6,925 |
9,512 |
|
サービス |
8,881 |
14,896 |
|
製造業 |
7,759 |
9,152 |
|
流通・小売・外食 |
4,656 |
5,048 |
|
住宅・金融等 |
1,761 |
1,941 |
|
合計 |
141,031 |
161,334 |
②-3 未上場エクイティ投資残高:地域別
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2020年3月31日) |
当連結会計年度 (2021年3月31日) |
|
|
金 額 |
金 額 |
|
日本 |
82,336 |
99,239 |
|
米国 |
40,594 |
42,856 |
|
アジア |
18,101 |
19,237 |
|
合計 |
141,031 |
161,334 |
(注)1.「投資残高」は、当社グループ及びファンドの投資残高の合計であります。
2.「投資残高」は取得原価で表示しております。
3.外貨建の「投資残高」については、各連結会計年度末為替レートで換算しております。
4.日本のベンチャー投資部門が担当する海外投資先は日本に含めております。
③ファンドの運用状況
前連結会計年度に設立した台湾ドル建ファンド「JAFCO Taiwan I Venture Capital Limited Partnership」は最終クロージングを迎え、出資金総額は2,006百万台湾ドルとなりました。また、当連結会計年度において「Icon Ventures Ⅶ, L.P.」(2021年3月末コミットメント総額178百万米ドル ※募集活動継続中)を設立しました。
|
|
前連結会計年度 (2020年3月31日) |
当連結会計年度 (2021年3月31日) |
|||
|
ファンド数 |
出資金総額 |
ファンド数 |
出資金総額 |
||
|
円建 |
|
|
(百万円) |
|
(百万円) |
|
運用中 |
11 |
215,000 |
11 |
215,000 |
|
|
延長中 |
7 |
150,000 |
7 |
150,000 |
|
|
小計 |
18 |
365,000 |
18 |
365,000 |
|
|
米ドル建 |
|
|
(千米ドル) |
|
(千米ドル) |
|
運用中 |
4 |
486,131 |
5 |
664,918 |
|
|
延長中 |
4 |
113,500 |
3 |
45,700 |
|
|
小計 |
8 |
599,631 |
8 |
710,618 |
|
|
台湾ドル建 |
|
|
(百万台湾ドル) |
|
(百万台湾ドル) |
|
運用中 |
1 |
1,037 |
1 |
2,006 |
|
|
小計 |
1 |
1,037 |
1 |
2,006 |
|
|
合計 |
|
|
(百万円) |
|
(百万円) |
|
運用中 |
16 |
271,586 |
17 |
296,416 |
|
|
延長中 |
11 |
162,352 |
10 |
155,059 |
|
|
合計 |
27 |
433,939 |
27 |
451,475 |
|
出資金総額に占める 当社グループの 出資持分割合 |
40.8% |
40.4% |
|||
(注)1.「出資金総額」は、契約上出資が約束されている額の総額であります。
2.合計欄における外貨建「出資金総額」については、各連結会計年度末為替レートで換算しております。
④投資先会社IPO(新規上場)の状況
前連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)
|
|
投資先会社名 |
上場年月日 |
上場市場 |
事業内容 |
本 社 所在地 |
|
国内:3社 |
ブランディングテクノロジー㈱ |
2019年6月21日 |
マザーズ |
インターネットを利用した各種情報提供サービス、広告業および広告代理店業、インターネットホームページの企画立案、開発、管理及びそれに附帯する業務 |
東京都 |
|
㈱ギフティ |
2019年9月20日 |
マザーズ |
個人、法人、自治体を対象とした各種eギフトサービスの企画・開発・運営等 |
東京都 |
|
|
Chatwork㈱ |
2019年9月24日 |
マザーズ |
ビジネスチャットツール「Chatwork」の開発・提供、セキュリティソフトウェア「ESET」の代理販売 |
兵庫県 |
|
|
海外:1社 |
Bill.com Holdings, Inc. |
2019年12月12日 |
NYSE |
中小企業向け経理業務支援サービス |
米国 |
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)
|
|
投資先会社名 |
上場年月日 |
上場市場 |
事業内容 |
本 社 所在地 |
|
国内:5社 |
㈱アイキューブドシステムズ |
2020年7月15日 |
マザーズ |
法人向けMDM(モバイルデバイス管理)サービス『CLOMO』、ビジネス用モバイルアプリ『CLOMO SECURED APPs』の提供 |
福岡県 |
|
㈱スタメン |
2020年12月15日 |
マザーズ |
エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」の展開 |
愛知県 |
|
|
㈱WACUL |
2021年2月19日 |
マザーズ |
UI/UX改善コンサル、WEB/スマホサイトのUI/UX自動最適化ツール『AIアナリスト』の開発 |
東京都 |
|
|
㈱ココナラ |
2021年3月19日 |
マザーズ |
知識・スキル・経験を商品化して「ECのように売買できる」マッチングプラットフォーム |
東京都 |
|
|
Appier Group㈱ |
2021年3月30日 |
マザーズ |
AI(人工知能)を活用したマーケティングオートメーションプラットフォームの開発 |
東京都 |
|
|
海外:1社 |
Boqii Holding Limited |
2020年9月30日 |
NYSE |
ペット関連商品オンライン販売 |
中国 |
(注)海外企業の本社所在地は、主たる営業地域又は実質的な本社所在地を基準に記載しております。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。 これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。
当社の連結財務諸表にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
「(1)連結経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通り、当年度の当社グループの売上高21,512百万円(前期比27.9%減)、営業利益8,964百万円(前期比40.1%減)となりました。営業外収益は、受取配当金は減少したものの他社ファンド運用益の発生などにより、2,761百万円(前期比27.3%増)となりました。また、営業外費用は、為替差損の減少などにより、18百万円(前期比80.3%減)となりました。この結果、経常利益は11,707百万円(前期比31.3%減)となりました。特別利益については、当社が純投資目的で保有する野村総合研究所株式15,500,000株(当社が保有する野村総合研究所の株式総数39,468,150株の39.3%)の売却をし、これにより44,764百万円を投資有価証券売却益として計上しております(前年度の特別利益の計上はありません)。特別損失の計上はありませんでした(前年度の特別損失の計上もありません)。税効果会計適用後の法人税等は17,967百万円(前期比245.1%増)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は38,504百万円(前期比225.2%増)となりました。
b.財政状態
当連結会計年度末における当社グループの財政状態は、流動資産177,455百万円(前期比38.2%増)、固定資産84,928百万円(前期比9.3%減)、流動負債20,351百万円(前期比168.4%増)、固定負債26,794百万円(前期比2.6%増)、純資産は215,237百万円(前期比14.3%増)となり、総資産は262,383百万円(前期比18.2%増)となりました。流動資産については、現金及び預金が主に親会社株主に帰属する当期純利益の増加により前年度から37,976百万円増加し、営業投資有価証券が投資先の新規IPOによる評価益増加に加え投資の進捗により前年度から16,014百万円増加しています。固定資産については、投資有価証券が主に売却により前年度から8,553百万円減少しています。流動負債については、未払法人税等が前年度から12,779百万円増加し、固定負債については繰延税金負債が前年度から620百万円増加しております。
c.キャッシュ・フローの状況
「(1)連結経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。
d.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等に特に重要な影響を与える要因である、投資実行、キャピタルゲイン、投資損失引当金、営業投資有価証券の残高、ファンドの管理運営業務の各状況に関する認識及び分析・検討は次の通りです。
(投資実行の状況)
「(2)生産、受注及び販売の実績 ①投資実行状況」に記載の通り、当連結会計年度の当社グループ及びファンドの投資実行額は、32,813百万円(前期34,769百万円)、投資会社数は66社(前期71社)となりました。新型コロナウイルスの影響もあり第1四半期は投資金額が落ち込みましたが、第2四半期以降は対面と非対面を組み合わせた投資検討・実行の形が定着し、前年同期を上回るペースで投資が進捗しました。
当連結会計年度の国内ベンチャー投資における業種分類では、引き続きインターネットスペースの投資先が大半となっています。IT関連の投資先の比率が高まっていますが、ITサービスの中には、最新のテクノロジーにより様々な既存産業のビジネスモデルを変えていくようなスタートアップが数多く含まれています。
また、新規投資のステージでは、創業期のシードや、事業の立ち上げ時期のアーリーステージがほとんどです。その大半がインターネットスペースにあります。事業の立ち上げ方次第で、スタートアップの変化率は非常に高いものになります。一方で、競合先も多く立ち上げの遅れが致命傷になりかねません。当社は、投資先の「CO-FOUNDER」として、事業の構想段階から関わり、起業家とともに事業の成長に踏み込んでいきます。
(キャピタルゲインの状況)
当連結会計年度における当社グループの投資先の新規IPOは6社(国内5社、海外1社)であり、海外投資先のマザーズ上場を含めた国内5社のIPOに加えて、バイアウト投資先のM&Aが、キャピタルゲインに大きく貢献しています。
高水準のファンドパフォーマンスを長期にわたって継続していくことが、当社の経営における最大のテーマです。今後もIPOの数にこだわることなく、大きなキャピタルゲインを伴うIPOやM&A等のEXITを追求していきます。各年度の業績は、大型のEXITの実現数により大きく変動します。運用中の各ファンドのパフォーマンスを高めていくことが、長期的な好業績につながっていきます。
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度(A) (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度(B) (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
対前期比(%) (B)/(A) |
|
|
金 額 |
金 額 |
|||
|
営業投資有価証券 売上高① |
23,697 |
16,164 |
68.2 |
|
|
|
売却高 |
23,540 |
16,074 |
68.3 |
|
|
配当金・債券利子 |
156 |
90 |
57.8 |
|
営業投資有価証券 売上原価② |
8,337 |
4,903 |
58.8 |
|
|
|
売却原価 |
8,116 |
4,903 |
60.4 |
|
|
強制評価損 |
221 |
- |
- |
|
キャピタルゲイン①-② |
15,359 |
11,260 |
73.3 |
|
|
投資倍率①÷② |
2.84 |
3.30 |
- |
|
|
上場キャピタルゲイン |
2,627 |
7,567 |
288.0 |
|
|
上場以外キャピタルゲイン |
12,732 |
3,693 |
29.0 |
|
|
|
売却益 |
16,726 |
4,435 |
26.5 |
|
売却損 |
3,994 |
742 |
18.6 |
|
(投資損失引当金の状況)
厳選集中投資により、ポートフォリオの入れ替えを図り、経営関与を高めたことで、引当金残高、引当率の減少が続いてきましたが、当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、引当金繰入額が3,483百万円(うち1,737百万円が新型コロナウイルス関連)と前連結会計年度に続き増加しています。引当金残高も10,917百万円と、2010年3月期以来、11期ぶりの増加に転じています。新型コロナウイルスの感染状況は、今後も予断を許さない状況にあります。コスト管理や資金調達を含めた投資先への経営関与に力を入れています。
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度(A) (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度(B) (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
対前期比(%) (B)/(A) |
|
|
金 額 |
金 額 |
|||
|
投資損失引当金繰入額① |
3,084 |
3,483 |
112.9 |
|
|
|
個別繰入額 |
3,731 |
3,541 |
94.9 |
|
|
一括繰入(△取崩)額 |
△647 |
△58 |
- |
|
投資損失引当金取崩額② |
3,599 |
803 |
22.3 |
|
|
投資損失引当金繰入額 (純額・△は戻入額) ①-② |
△514 |
2,679 |
- |
|
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2020年3月31日) |
当連結会計年度 (2021年3月31日) |
|
|
金 額 |
金 額 |
||
|
投資損失引当金残高 |
8,229 |
10,917 |
|
|
|
個別引当残高 |
8,026 |
10,772 |
|
|
一括引当残高 |
203 |
145 |
|
未上場営業投資有価証券残高に対する引当率 |
14.9% |
17.3% |
|
(営業投資有価証券残高の状況)
コロナ禍にあっても新規投資、追加投資ともに比較的堅調に積み上がったことにより、ファンド投資を通じた投資残高における当社の持分も増加しています。また、当連結会計年度は国内5社、海外1社のIPOがあり、その保有株の売却を進めていますが、投資先の上場投資残高も増加しています。
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2020年3月31日) |
当連結会計年度 (2021年3月31日) |
|
|
金 額 |
金 額 |
||
|
上場営業投資有価証券の取得原価と時価の差額 |
6,975 |
14,850 |
|
|
|
時価が取得原価を超えるもの |
7,126 |
14,850 |
|
|
時価が取得原価を超えないもの |
△151 |
- |
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
|
金 額 |
金 額 |
|
|
部分純資産直入法に基づく営業投資有価証券評価損(△戻入益) |
△88 |
△150 |
営業投資有価証券残高
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2020年3月31日) |
当連結会計年度 (2021年3月31日) |
|||
|
取得原価 |
連結貸借対照表計上額 |
取得原価 |
連結貸借対照表計上額 |
||
|
上場 |
1,494 |
8,470 |
1,594 |
16,444 |
|
|
未上場 |
54,696 |
55,061 |
62,511 |
63,102 |
|
|
合計 |
56,191 |
63,532 |
64,105 |
79,547 |
|
(注)「未上場」の取得原価と連結貸借対照表計上額との差異は、外国為替の評価差額のみを反映しています。
(ファンドの管理運営業務)
前連結会計年度において設立したSV6ファンド及びJAFCO Taiwan I Venture Capital Limited Partnershipからの管理報酬が増加しております。また、SV4ファンド、JATF6号ファンド及びIcon4号ファンドといった出資者への分配額がファンド総額を超えたファンドからの成功報酬が継続的に出ています
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度(A) (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度(B) (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
対前期比(%) (B)/(A) |
|
|
金 額 |
金 額 |
|||
|
投資事業組合管理収入 |
6,155 |
5,340 |
86.8 |
|
|
|
管理報酬 |
2,586 |
2,871 |
111.0 |
|
|
成功報酬 |
3,569 |
2,469 |
69.2 |
(注)管理報酬及び成功報酬は、当社グループの出資持分相当額を相殺した後の金額となっております。
e.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要のうち主なものはファンドへの投資資金、販売費及び一般管理費等であり、販売費及び一般管理費等の主なものは、人件費及び不動産費等であります。ファンドの運用資産の大半は未上場企業であり、時価もなく流動性が極めて限定されます。従って、どのような環境にあっても、継続して投資を行うために自己資本の充実と強い財務基盤が求められます。当連結会計年度は、純資産額は215,237百万円(前期末188,366百万円)、自己資本比率については82.0%(前期末84.8%)と▲2.8ポイント下落しましたが、これは未払法人税等が増加したためです。貸借対照表に計上されている107,517百万円の現金及び預金の中には、各ファンドに当社が既に出資した分も含まれています。
当連結会計年度において、当社は保有する野村総合研究所株式の約40%を売却しました。また、取得総数700万株、取得総額35,000百万円を上限とする自己株式の取得を決議し、あわせて「今後の株主還元についての方針」も公表しました。今後はこの方針に則り、事業環境や当社の財務状況の変化に応じて自己資本の充実と株主還元のバランスを図っていきます。
今後の株主還元についての方針(2021年2月10日公表)
●当社における自己資金と自己資本について
当社の事業は、未上場企業へ投資を行うファンドの運用であり、当社自身も自己資金をファンド総額の4割程度出資しています。外部出資者から得られるファンドの出資金は、ファンド募集時の経済環境、株式市況、当社ファンドのパフォーマンスに大きく左右されます。当社は、豊富な自己資金によって、継続安定的にファンドを組成してまいりました。また、当社が純投資目的で保有する、株式会社野村総合研究所(以下、「NRI」)株式は、流動性の高い将来の投資のための資産と位置づけ、継続して保有してまいりました。一定規模以上の自己資金と自己資本の水準を保持することが、リスクマネーの供給という社会的使命を果たし、当社事業の永続性を高めることにつながります。そして、当社が掲げる「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」というミッションの実現、ひいては企業価値向上にも資するものと考えています。
●将来のために必要な投資資金及び今後の株主還元の考え方
今後も、いかなる環境においても投資を継続できる財務基盤を維持していくため、現預金とNRI株式は一体として将来の投資資金と位置付けてまいります。将来の投資のために必要となる資金は、現在運用中のファンドに対し今後払込が必要な金額(ファンド未払込金額)や次期ファンドへの当社出資分に加え、将来のファンドサイズ拡大、その他の投資機会や不測の事態への備えとして、現状では1,200億円程度と考えています。現預金とNRI株式の時価評価額(税引後)の合計額がこれを一定程度超えることとなった場合には、自己株式の取得を検討することとします。この場合、株価が1株当たり純資産を下回るときは、より積極的に検討します。また、自己株式を取得した場合には、保有する自己株式が発行済株式数の3%となるよう適宜消却していくことを予定しています。また、配当金につきましては、2017年3月8日に開示した基本方針(1株当たり株主資本の期首期末の平均値の3%を目途とする。)を継続いたします。
f.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社グループにおける最大の経営テーマは、ファンドパフォーマンスを持続的に向上させることです。当社グループは、ファンド運用事業の単一セグメントであり、収益の源泉はファンドからの管理収入(管理報酬・成功報酬)とファンドへの直接出資持分からのキャピタルゲインであることから、運用中の各ファンドのパフォーマンスを高めていくことが、中長期的な好業績の継続につながっていきます。
当社は、以下をファンドパフォーマンスの具体的な目標としております。
グロス倍率(売却金額(未売却投資先の評価金額を含む)÷投資金額)2.5倍以上
ネット倍率((分配金累計額+純資産額)÷払込済出資金額)2.0倍以上
また、運用中(延長中を含む)の主な国内ファンドのパフォーマンスは次の通りです。
|
ファンド |
設立年月 |
出資金 総額 (億円) |
払込済 出資金額 (億円) |
分配金 累計額 (億円) |
純資 産額 (億円) |
グロス倍率 (倍) |
ネット倍率 (倍) |
||
|
2021年3月末 |
2020年3月末 |
2021年3月末 |
2020年3月末 |
2021年3月末 |
|||||
|
SV-3(B) |
2007年7月 |
610 |
610 |
957 |
9 |
2.04 |
2.05 |
1.58 |
1.59 |
|
SV-4(B) |
2013年3月 |
291 |
291 |
390 |
133 |
1.82 |
2.14 |
1.54 |
1.80 |
|
SV-5(B) |
2016年8月 |
498 |
460 |
24 |
375 |
0.89 |
0.96 |
0.82 |
0.87 |
|
SV-6 |
2019年6月 |
640 |
307 |
- |
274 |
1.00 |
0.99 |
0.90 |
0.89 |
(注)純資産額において、未売却投資先の評価については、上場株式は期末日の時価で評価しており、外貨建の上場株式は期末日の為替レートで換算しております。また、未上場株式は、マークアップ(未実現評価益の計上)せず、マークダウン(未実現評価損の計上)のみを行っています。なお、外貨建の未上場株式についても期末日の為替レートで換算しております。
g.セグメントごとの財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、ファンド運用事業の単一セグメントであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。