第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 世界中で感染拡大した新型コロナウイルスは、当連結会計年度においても、新たな変異株の感染が拡大しました。さらに、昨年末以降は、地政学リスクの顕在化や、原油価格の一段高、米国の金融政策の変化など、当社を取り巻く経営環境の不透明感は一層強くなっています。

 一方で、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた新しいビジネスや、非対面・非接触・遠隔といったキーワー

ドにつながる事業、DX化による効率化を推進する事業などの投資先の強い追い風にもなっています。

 世界的な規模で産業構造の大転換をもたらす「デジタル革命」は、既存産業の仕組みを根本から変え、新たな産

業が生まれています。日本でも有望なスタートアップが本格的に出現し、次世代を担う若い起業家が台頭してい

ます。ベンチャーキャピタルの投資ステージも、シードやアーリーステージが大きな割合を占めています。

 当社は創業以来、時代をリードする起業家とともに歩んできました。当社には、経験を積み重ねてきた多くのベ

ンチャーキャピタリストに加え、企業成長を促進するための豊富なリソースとネットワークの蓄積があります。

単なる投資家としてではなく、「CO-FOUNDER」として、事業の構想段階から経営に関与します。起業家とともに事業の成長にコミットし、企業価値を高めていきます。

 2018年からパートナーシップモデルを導入し、トップキャピタリストとしてファンドの運用責任を負うパートナーを中心としたフラットな組織作りを行っています。

 直近ファンドのSV6ではパートナーと従業員が当社とともに出資しており、個人としても運用リスクを負いながら、ファンドパフォーマンスと個人の貢献に連動した成果報酬を享受していきます。従来からの当社の強みである組織力にも磨きをかけており、投資先への経営関与を通じて、ファンドパフォーマンスの一段の向上を目指し

ます。

 

(1)会社の経営の基本方針

①当社のミッション

「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」

 当社は創業以来、様々な革新的製品やサービスを起業家と生み出してきました。世の中に必要とされる新事業の創造にコミットすることで、ステークホルダーの皆様とともに新しい時代を切り開くことが当社のミッションです。

②ミッション実現に向けた方針と戦略

 当社は、ファンドを通じたベンチャー投資とバイアウト投資によりミッションの実現を図ります。

 新たな事業に挑戦する起業家や、ファンド出資者に対するコミットメントをより明確にするべく、創業以来培ってきた組織力に磨きをかけるとともに、個人としても運用責任を負うパートナーシップモデルを導入することで、競争力を一層高めていきます。

 当社の事業の本質はESG投資の考え方に強く合致するものです。社会課題を解決する有望企業の発掘、投資後の対話を通じた成長支援、そしてEXITに至るまでの過程にESGの観点を取り入れていきます。投資先の事業成長を通じてサステナビリティの実現に貢献し、当社の競争力と企業価値を高めていきます。

 ミッションの実現に向け、当社は下記の取り組みを進めます。

・厳選集中投資と経営関与

 新事業を創造するために、ポテンシャルの高い投資対象を絞り込み、大胆に投資を行います。投資先企業に対し影響力のあるシェアを確保し、投資先の経営に深く関与することで、企業の成長を促進します。

・ファンドパフォーマンスの持続的向上

 十分な投資資金を獲得するには、ファンドパフォーマンスを向上させ、外部出資者を確保することが不可欠です。また当社は自己資金をファンドに出資し、出資者とともにその収益を享受します。厳選集中投資と経営関与により良質なポートフォリオを積み上げ、ファンドパフォーマンスの持続的向上を目指します。

・「CO-FOUNDER」としてのジャフコ

 事業の立ち上げ局面では、投資家である以上に「CO-FOUNDER≒共同創業者」であることが求められます。当社が創業来獲得してきた精神や知識、経験を継承・発展させ、当社及び個々の従業員が
「CO-FOUNDER」として活躍できる組織を目指します。

 

(2)会社の対処すべき課題

 当社が現在取り組んでいる対処すべき課題は以下の5つであります。

①厳選集中投資と経営関与により新事業を創出

 2022年4月以降の新しい役員等の体制でも、これまでの厳選集中投資という方針に変更はありません。新事

業を創造するために、ポテンシャルの高い投資対象を絞り込み、大胆に投資を行います。投資先に対し影響

力のあるシェアを確保し、投資先の経営に深く関与することで、企業の成長を促進します。

②良質なポートフォリオの積み上げとファンドパフォーマンスの持続的向上

 当社は、グロス倍率(売却金額(未売却投資先の評価金額を含む)÷投資金額)2.5倍以上、ネット倍率((分配金累計額+純資産額)÷払込済出資金額)2.0倍以上をファンドパフォーマンスの具体的な目標としていま

す。今後も魅力的な会社への投資を行うことで、ファンドパフォーマンスの持続的向上を目指します。

③次期基幹ファンドの募集

 現在組み入れ中のSV6ファンドに続く、次期基幹ファンドを2023年3月期に募集することを計画しています。

④多様な人材の採用と育成

 新卒採用に加え、中途採用も積極的に行い、多様な人材が活躍できる組織づくりを進めています。加えて、

起業家のいちばん近くで事業の構想段階から経営に関与していく人材の育成に取り組んでいます。

⑤自己資本の充実と株主還元のバランスを重視

 2021年2月に公表した「今後の株主還元についての方針」に則り、事業環境や当社の財務状況の変化に応じ

て自己資本の充実と株主還元のバランスを図っていきます。

 

 また、「CO-FOUNDER」というアイデンティティーを確立し、「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」というミッションの実現に向けて、下記に掲げる五つの姿勢を堅持していきます。

・経験知を受け継ぎ成功を再現する

・次世代を追求し事業をつくりだす

・グローバルに展開しローカルに集中する

・起業家と真摯に企業価値を高める

・先駆者として規律と透明性を守り抜く

 なお、(1)会社の経営の基本方針 ②ミッション実現に向けた方針と戦略 に記載した通り、当社の投資活動の本質は、ESG投資の考え方に強く合致しています。

 投資活動の最初の段階となる有望企業の発掘では、E(environment=環境)やS(social=社会)、SDGsの側面からのリスクや社会のニーズを加えて事業ポテンシャルの評価を行なっています。その評価をもとに、サステナブルな成長実現のための課題についても、投資候補先企業の経営陣と議論し、投資実行の判断をしています。当連結会計年度において、主にE(environment=環境)の観点では、カーボンニュートラル社会の実現に向け、核融合エネルギーの実用化につながる先端技術の研究開発を行っている会社に投資を行いました。S(social=社会)の観点では、共働きの世帯向けの手作り料理配達サービスの会社に投資しました。女性の家事負担の軽減と社会進出を後押しし、豊かな生活をもたらすサービスの実現を目指しています。

 投資活動の次の段階は、対話による課題解決と経営関与による成長支援です。事業進捗の状況把握に加え、投資先の資金管理や法令順守状況を定期的に確認しています。投資先企業の事業の立ち上げは最優先としつつも、管理体制の整備を並行して進めることが重要です。経営陣とは対話を通じて課題を共有し、その解決を図っています。また、成長の段階に応じて、人材採用を含め、営業体制、開発体制、管理体制の構築をサポートします。投資先企業のG(governance=内部管理)構築は、経営陣に伴走しながら支援します。

 こうした取り組みを通じ、将来的に大きな社会的インパクトを生み出す企業を輩出し、サステナビリティの実現に貢献しています。

 

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2【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び対策に努めてまいります。ただし、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月22日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況

 当社グループは主に当社グループが管理運営するファンドの資金を使って、日本・アジア・米国で未上場株式等への投資を行っております。当社グループはファンドからの管理報酬及び成功報酬に加え、ファンドに自己資金を出資することにより、投資成果であるキャピタルゲインをファンドの他の出資者とともに享受します。
 ファンドのパフォーマンスは、日本、アジア地域及び米国の経済情勢や株式市場の動向に影響を受けます。そこで、当社グループでは、日本・アジア・米国とグローバルに投資を行うことにより地域的なリスクの分散を図っています。また、当社グループが運用する未上場企業投資ファンドは、通常3年前後の期間をかけて投資先企業の組入れを行うため、時間的にも一定期間に渡る分散が行われることになります。さらに、IPOに限らずM&A等によるEXIT(売却)の機会も絶えず追及しており、株式市場やIPO市場の動向が当社グループの収益基盤へ与える影響を低減できるように努めています。
 しかし、不況に陥った場合には、投資先企業の業績不振につながる可能性があり、また起業環境が悪化することで、当社グループの投資対象となりうるスタートアップの数が減少する可能性があります。未上場株式等への投資は、投資からEXITまで数年程度の期間を要するため、EXIT時点での株式市場やIPO市場が低調な場合には、ファンドが保有する株式等の流動化機会が限られる可能性があり、またファンドが得るキャピタルゲイン及び成功報酬も大きく変動する可能性があります。さらに、地政学的なリスク、感染症の世界的流行その他の要因により、世界の広範囲において経済や株式市況が同時期に悪化する場合は、当社グループにおける地域的なリスク分散の効果を発揮できない可能性があります。こうした場合は、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2)未上場株式等への投資

 当社グループ及びファンドは、未上場株式等を投資対象としており、その中でも近年では創業期のシードや事業立ち上げ時期のアーリーステージの割合が高まっています。こうした未上場企業には次のような特徴があります。

・事業の不確実性

未上場企業は一般に収益基盤や財務基盤が不安定であるばかりでなく、売上がないまたは僅少である場合も多く、経営資源に制約があること等から、景気や市場動向、競争状況等の影響を受けやすく、事業の不確実性が高いといった特徴があります。

・経営・管理体制の脆弱性

未上場企業は経営体制や管理体制が未整備であることが多く、そのためコーポレート・ガバナンスが機能しなかったり、内部統制上の不備が生じてしまうことで、その事業の継続性に重大な影響をもたらすことがあります。

 当社グループでは、有望企業を厳選し、1社あたりの投資金額と保有シェアを高め、投資先会社への経営関与を強化しています。

 当社グループにおける投資判断は、日本・アジア・米国の拠点ごとに設けた所定の委員会において行っています。そこでは、投資検討先が対象とする市場の成長性、製品/サービスの革新性や競争力といった事業性、マネジメントチームの評価、投資採算や投資条件、想定する投資後の企業価値向上策やEXIT戦略、さらにはリスクや事業のサステナビリティなどの観点から議論を行った上で投資の可否を決定します。

 しかしながら、シード・アーリーステージ段階にある企業の潜在力を見極めることは容易ではなく、高い潜在成長力を有する企業への投資機会を逸した結果、当社グループ及びファンドが大きな投資収益をあげることができない可能性があります。
 投資後は、成長ステージなど投資先企業ごとの状況に応じて、人材採用、営業・マーケティング、大手企業との資本・業務提携、管理体制整備・上場準備、追加の資金調達といった面でのサポートを提供しています。その際、当社グループが培ってきた豊富なリソースとネットワークの蓄積を活用します。このようにして投資先の事業の成長と企業価値の向上を図り、キャピタルゲインと投資倍率の向上に努めています。
 また、投資先企業の事業が当初の計画通りに進捗せず、財務状況が悪化した結果、他社への事業売却、倒産等に至り、投資資金が全く回収できない場合もあります。さらに、投資先企業の株式上場や第三者との組織再編、事業売却等M&A等による出口が保証されているものではなく、株式上場やM&A等があった場合であっても、その株式等を、投資コストを上回って売却できる保証はありません。加えて、未上場株式等は、上場株式等に比べ、発行体情報の正確性が保証されておらず、流動性が著しく劣る等の性質があるため、未上場段階で売却を行う場合には、その価格が想定を大きく下回ることがあります。未上場株式等への投資にはこうしたリスクが存在することから、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3)専業であること

 当社グループは、ファンドの管理運営、日本・アジア・米国での未上場株式投資に経営資源を集中し事業活動を行っており、現状では未上場株式投資以外に事業を拡大することは考えておりません。2018年3月に導入したパートナーシップモデルを進化させ、これまでに蓄積してきた組織力との協働を図りながら、ファンドパフォーマンスの向上を目指しています。しかし、当業界は世界経済の情勢変化や世界各国の株式市場・IPO市場の影響を強く受ける業態であるため、このような変化等が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4)競合

 当社グループの主たる業務である未上場株式投資では、当社グループに類する専業のベンチャーキャピタルや、事業会社によるいわゆるコーポレートベンチャーキャピタルといった競合他社との間で、有望な未上場企業への投資案件獲得競争が激しさを増しております。当社は、2018年3月に導入したパートナーシップモデルを進化させ、同時にこれまでに蓄積してきた組織力やネットワークも活用して投資先企業の成長をサポートすることで競合他社との差別化を図り、ファンドパフォーマンスの向上を目指しています。
 こうした当社の投資スタンスをスタートアップを率いる起業家に訴求するため、2020年10月より「起業家のいちばん近くに」というブランドスローガンと「& JAFCO」というコンセプトワードを掲げています。当社HPでは、オウンドメディア等を通じて、投資先企業、当社の投資活動やビジネスディベロップメントの取り組みを紹介しています。

 しかし、こうした競合状況により有望企業への投資機会を逸した場合や、必ずしも当社グループが望む条件ではない場合は、十分なキャピタルゲインをあげることができず、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)株価下落

 投資先企業のIPO後は、株式市況、取得コストや保有残高、株価、出来高の動向、当該投資先企業の事業の状況、当該株式を保有するファンドの契約期間等を総合的に勘案しながら、当社グループ及びファンドが保有する株式を売却しています。また、買い手となる機関投資家との間で証券会社を介して諸条件が折り合った場合、「ブロックトレード」と呼ばれる相対取引等により一定程度まとまった株数を売却することもあります。
 しかし、保有する上場株式の株価の下落は、ファンドのパフォーマンスならびに当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、厳選集中投資により当社グループ及びファンドによるIPO時点の持株比率が比較的高い水準である場合は、株価下落による悪影響が一層大きくなる可能性があります。

(6)為替レートの変動

 当社グループは、日本だけでなく、アジア・米国を主とする海外での地域分散投資を行っております。こうした海外投資により保有する資産は、米ドルを中心とする外貨建であるため、為替レートの変動は、ファンドのパフォーマンスに影響します。当社グループが運用する未上場企業投資ファンドは、通常3年前後の期間をかけて海外投資を含む投資先企業の組入れを行います。また、組入れ後の海外投資先企業の株式売却及び当該売却代金の分配は、ファンド運用期間(通常10年間)満了までの期間にわたって行われます。その結果、海外投資により外貨建て資産を保有する際及び当該外貨建て資産を流動化する際の為替レートについては、一定期間に渡る分散が行われることになります。しかしながら、未上場株式等への投資は、多くが投資からEXITまで数年程度の期間を要し、その間の為替レートの変動の影響を完全に払拭することは困難であり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)ファンド募集

 当社グループにおける投資は、基本的にファンドの資金を使って行っております。当社ファンドの出資者は主に、運用を目的とする金融機関等の機関投資家層や、スタートアップとの接点を求める事業会社です。ファンド出資者に対しては、ファンドの運用状況、投資先企業の事業の状況等に関する定期的なレポートを送付するほか、出資者のニーズに応じて随時面談し、コミュニケーションを図っています。こうして、運用の透明性を確保するとともに、出資者が必要としている情報を提供することで、信頼関係の醸成に努めています。

 ファンド募集と出資者対応を主な業務とする当社のファンド運用部は、投資先企業の製品・サービスの紹介や、セミナー等のイベント開催など多様な接点を通じて、当社の投資活動やファンド運用に対する理解を深めてもらう機会をつくり、潜在的なファンド出資者層を開拓しています。

 ファンド募集は、新規投資の組入期間に合わせて、3年から4年の周期で行うこととしており、2023年3月期においては、米国のベンチャー企業を投資対象とするファンド(前年度から募集を継続)のほか、主に日本国内でのベンチャー投資及びバイアウト投資を行う次期基幹ファンドを募集しています。

 こうした取り組みにもかかわらず、経済環境その他ファンド募集に係る環境の悪化、ファンドパフォーマンスの低迷、ファンド条件や管理運営手法に対するファンド出資者ニーズとの乖離といった要因により、今後のファンド募集においてファンド出資者から十分な資金を集めることができない場合、投資活動に支障をきたす可能性があるほか、管理報酬が減少し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(8)情報の管理

 当社グループが保有する取引先の重要な情報及び個人情報の管理については、情報管理規程、プライバシーポリシー及び各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティ強化等、情報管理体制の整備を行っております。世界的にサイバー攻撃の脅威が高まる中、当社グループでは、ファイアウォールの整備、マルウェア対策やデータ暗号化といったサイバーセキュリティ対策を実施・強化しております。また、ペーパーレス化を積極的に推進することで役職員が書類を社外に持ち出す機会を減らし、重要書類の紛失リスク低減を図っております。さらに、役職員に対し通達や研修等を通じて情報セキュリティに関する意識の涵養に努めております。しかし、今後、外部からの不正アクセス、役職員その他の関係者の悪意または過失による流出等といった事態によりこうした情報が漏洩した場合は、損害賠償請求や社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9)法的規制

 当社グループは、ファンドの運営管理、未上場株式投資を日本・アジア・米国を中心に行っており、その活動にあたっては日本及び各関係国の種々の法的規制(会社法・独占禁止法・租税法・金融商品取引法・投資事業有限責任組合契約に関する法律・外国為替管理法・マネロン対策関連・財務会計関連等)を受けることとなります。当社グループでは、管理部門を中心とする関係部署が業務に係る法的規制の導入・改廃に関する情報収集と対応を行っております。しかし、法的規制が及ぶことにより当社グループの活動が制限される場合及びこれら規制との関係で費用が増加する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(10)法令違反等

 当社グループでのコンプライアンスに係る情報は、コンプライアンスへの取り組み全般を統括するコンプライアンス・オフィサーに集約されます。また、各部門の長が担当部門におけるコンプライアンス責任者として日常におけるコンプライアンスを推進し、統括部署としての管理部がその取り組みを支援・管理するとともに、内部監査部門がこうした状況を監査します。また、管理部門は法令等の制定・改廃に関する役職員への情報発信や、コンプライアンスに係る研修や勉強会を実施しています。万が一法令や社内規則等に抵触する事案や事務事故等が発生した場合は、コンプライアンス・オフィサーとコンプライアンス統括部署に情報集約した上で、当面の善後策の検討・実施と再発防止の徹底を図ります。さらに、コンプライアンスに係る事項の通報制度として、コンプライアンス・オフィサー、管理部門および独立社外取締役を通報窓口とする「ジャフコホットライン」を設置しています。
 こうした取り組みにもかかわらず、当社グループ及びその役職員が、投資活動における関連法規や各種の契約等への違反、ファンドの無限責任組合員又はゼネラルパートナーとしての善管注意義務違反、又は業務上の過誤や不祥事等により、投資先企業、ファンド出資者その他の第三者に損害を与えた場合は、当該損害に対する賠償責任を当社グループが負う可能性があります。さらに、こうした法令違反等による社会的信用の低下や監督当局の行政処分等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(11)役員派遣

 当社グループは、投資先企業の価値向上のため、役職員を投資先企業の役員として派遣することがあります。しかし、その役職員個人に対し役員損害賠償請求等があった場合、当社グループによるその個人に生じた経済的損失の全部又は一部の負担、当社グループの使用者責任や社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 また、投資先企業において可能な範囲で会社役員賠償責任保険(D&O保険)の付保や責任限定契約を締結するとともに、当社加入のD&O保険では役員派遣されている役職員も補償対象に加えておりますが、当社グループの業績及び財政状態への悪影響を完全には回避できない可能性があります。

(12)有能な人材の確保や育成

 当社グループの将来の成長と成功は、その事業の特性上有能なベンチャーキャピタリスト等の人材に大きく依存いたします。当社では、継続的に行ってきた新卒採用と、積極的なキャリア採用活動により人材を獲得し、若手職員についてはインストラクターやメンターとして任命した役職員がサポートするなど、OJTを中心にその育成に取り組んでいます。2018年3月よりパートナーシップモデルを導入し、実績ある個人(パートナー)が投資運用の重要な意思決定を行い、ファンドパフォーマンスにコミットするとともに、ファンドの運用成果を個人が享受できる仕組みとしました。あわせて、投資の成果に対する直接・間接の貢献に応じ、職員が成果配分を受ける制度を設けています。また、完全フレックス制、オフィスのフリーアドレスやリモートワークの推進、副業を推奨するなど柔軟性が高いワークスタイルを導入しております。こうした制度・施策を実施することで、多様なかつ優秀な人材の確保・育成に努めております。
 これらの取り組みにもかかわらず、有能な人材を確保できなかった場合には、当社グループの将来の成長、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、有能な人材を確保・育成し定着させるためには費用が増加する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(13)新型コロナウイルス感染症の影響

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の拡大に対し、役職員や顧客等の健康と安全を最優先して感染拡大防止に取り組んできました。投資先企業への関与や新規投資候補先の開拓を含めた業務は、目的や感染症拡大の状況を見極めつつ、出社・訪問等とリモートを併用しています。また、感染症拡大の長期化を想定して、投資先企業の資金調達、コスト削減、収益計画の抜本的見直し等に、投資先の経営陣らとともに取り組みました。加えて、当社自体の純現預金残高や自己資本等は、中長期の事業運営や投資活動に特段の支障がないような水準を維持するよう努めています。

 非対面・非接触・遠隔といったキーワードにつながる事業、DX(デジタルトランスフォーメーション)化による業務革新や効率化を推進する事業など、強い追い風を受ける投資先企業もあります。しかし、新たな変異株の出現・拡大等により新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、売上減少や資金調達難という影響を受ける投資先企業が今後増える場合は、当社グループで投資損失引当金を繰入れるケースが増加するリスクや、投資先企業のIPO、M&AなどのEXITが低迷するリスクがあります。また、投資先・投資候補先企業や出資者等への訪問・面談、当社オフィスへの出社が感染症防止のため長期間に渡り制限される場合や、当社グループの役職員が感染した場合には、業務効率の低下その他業務上の制約が生じる可能性があります。こうしたことがファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、新型コロナウイルス感染症の長期化が世界経済や市場環境、機関投資家の投資活動等に与える影響は、今後の当社グループのファンド募集が遅延する等の悪影響を及ぼす可能性があります。

(14)ESG関連

 企業経営や投資活動において環境、社会、ガバナンス(以下「ESG」)の観点が重要視され、当社グループにおいても継続的に取り組んでいくことが求められます。

 投資対象となる有望企業の発掘においては、ESG観点でのリスク認識や、その事業がどういった社会課題を解決するのかが、事業ポテンシャルを評価するために重要な要素の一つとなっています。今後、投資先企業とのESGの観点での対話を促進したり、投資先企業におけるリスク管理体制の構築支援等を含む投資プロセスを整備していく予定です。2022年5月に設けたプロジェクト推進室では、当社におけるサステナビリティプロジェクトの推進を主な活動に据え、当社の事業戦略にサステナビリティの考え方をより具体的に組み込んでいくことを検討しています。

 しかし、こうした取り組みの効果が十分に発揮されず、当社グループにおけるESG投資や、サステナビリティ実現への取り組み、ひいては当社のESG関連リスクへの対応が脆弱であると認識された場合、当社のステークホルダーからの支持が得られずに、ファンド募集や投資活動、人的資本の確保に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社はまた、重要なグローバル課題の一つである気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、上場会社としての適切な情報開示に努めます。しかし、こうした開示が十分でないとみなされた場合は、当社グループの企業価値の毀損につながるおそれがあり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)連結経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の当社グループの連結業績は、売上高27,677百万円(前期21,512百万円、増減率28.7%)、営業利益16,876百万円(前期8,964百万円、増減率88.2%)、経常利益18,360百万円(前期11,707百万円、増減率56.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益15,080百万円(前期38,504百万円、増減率△60.8%)となりました。

 当連結会計年度における当社グループの投資先の新規IPOは6社(国内4社、海外2社)であり、大型の新規IPOによる株式売却等の結果、キャピタルゲインは対前期比では増加しました。また、成功報酬は対前期比で大幅に増加しました。

 当連結会計年度における当社グループの財政状態について、2021年2月10日開催の取締役会決議に基づき、2021年4月1日から2021年6月15日までに自己株式9,767,700株を取得したことにより、自己株式が24,846百万円増加しました(なお、2021年2月12日から3月31日までの自己株式取得は、4,532,100株、10,153百万円であり、2021年2月12日から2021年6月15日までの自己株式取得合計は、14,299,800株、34,999百万円であります)。また、2021年4月21日開催の取締役会決議に基づき2021年5月7日付で自己株式6,750,000株、2021年6月16日開催の取締役会決議に基づき2021年6月29日付で自己株式9,990,000株の消却を実施し、利益剰余金及び自己株式が36,938百万円減少しました。さらに、2021年10月22日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得は、2022年3月31日までに7,207,600株(取得価額14,615百万円)を取得しております。これらの結果、当連結会計年度末において、利益剰余金は前連結会計年度末から25,917百万円減少し、自己株式は2,526百万円増加しております。なお、当社は、2022年2月1日付で普通株式1株を3株にする株式分割を行っており、上記の株式数は当該株式分割後の株式数に換算しております。

 当社グループはファンド運用事業の単一セグメントであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは12,958百万円のキャッシュアウトフロー(前期8百万円のキャッシュインフロー)となりました。これは主に法人税等の支払等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは748百万円のキャッシュインフロー(前期49,154百万円のキャッシュインフロー)となりました。これは主に他社ファンドの分配による収入によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは43,474百万円のキャッシュアウトフロー(前期13,944百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に自己株式の取得による支出によるものであります。

 これらの結果、現金及び現金同等物は54,914百万円減少し、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は52,603百万円(前期末107,517百万円)となりました。そのうち8,838百万円(前期末7,843百万円)はファンド出資持分であります。また、当社グループが管理運営するファンドに対して当社グループが出資金として今後支払を約束している金額は、当連結会計年度末で28,125百万円(前期末31,624百万円)であります。

 

 

(2)生産、受注及び販売の実績

 

営業投資活動の状況

 当社グループは、下図のとおり、原則としてファンド(下図①)の資金により、国内外の有望未上場企業等への投資を行っております。

 ファンドにおける営業投資有価証券の売却損益等は、ファンドの出資持分に応じて、当社グループに直接帰属いたします。また、当社グループは、ファンドから契約に基づいて管理運営に対する管理報酬と投資成果に対する成功報酬を受領しております。

 連結貸借対照表の営業投資有価証券残高は、ファンドの当社グループ出資持分(下図②)に応じた営業投資有価証券残高と当社グループ(下図③)の営業投資有価証券残高の合計額であります。

 次ページ以降の「投資実行額」「投資残高」につきましては、当社グループの営業投資活動(投資及びファンドの管理運営)を表すため、ファンド(下図①)と当社グループ(下図③)を合算した投資活動の状況を記載しております。

 

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(注)用語説明

名  称

定    義

ファンド

当社グループが管理運営するファンド(投資事業有限責任組合契約に関する法律上の組合、外国の法制上のリミテッドパートナーシップ等)

当社グループ

当社及び連結子会社

 

①投資実行状況

①-1 エクイティ投資実行額:業種別

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

 

金 額

金 額

エレクトロニクス

576

1,917

ソフトウェア

1,337

1,860

ITサービス

17,264

27,138

医療・バイオ

2,691

1,484

サービス

7,156

500

製造業

1,328

3,740

流通・小売・外食

2,292

300

住宅・金融

166

111

合計

32,813

37,053

 

①-2 エクイティ投資実行額:地域別

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額

社数

金額

社数

日本

21,491

35

23,216

56

米国

7,637

18

7,775

16

アジア

3,684

13

6,060

21

合計

32,813

66

37,053

93

(注)1.「投資実行額」は、当社グループ及びファンドの投資実行額の合計であります。

2.外貨建の「投資実行額」については、四半期連結会計期間ごとにそれぞれの四半期末為替レートで換算した額を合計しております。

3.日本のベンチャー投資部門が担当する海外投資先は日本に含めております。

 

②投資残高

②-1 投資残高

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

金 額

社 数

金 額

社 数

上場

2,811

31

4,698

33

未上場

161,334

220

185,347

236

合計

164,146

251

190,046

269

 

②-2 未上場エクイティ投資残高:業種別

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

 

金 額

金 額

エレクトロニクス

8,402

8,561

ソフトウェア

11,151

9,893

ITサービス

101,229

124,679

医療・バイオ

9,512

8,451

サービス

14,896

14,369

製造業

9,152

11,877

流通・小売・外食

5,048

5,348

住宅・金融等

1,941

2,166

合計

161,334

185,347

 

②-3 未上場エクイティ投資残高:地域別

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

 

金 額

金 額

日本

99,239

110,201

米国

42,856

50,314

アジア

19,237

24,831

合計

161,334

185,347

(注)1.「投資残高」は、当社グループ及びファンドの投資残高の合計であります。

2.「投資残高」は取得原価で表示しております。

3.外貨建の「投資残高」については、各連結会計年度末為替レートで換算しております。

4.日本のベンチャー投資部門が担当する海外投資先は日本に含めております。

 

③ファンドの運用状況

 前連結会計年度に設立した「Icon Ventures Ⅶ, L.P.」は、2022年3月末コミットメント総額が227百万米ドルとなりました(募集活動継続中)。また、第1四半期連結会計期間において設立した「JAFCO Asia S-8 Fund Limited Partnership」「JAFCO Asia S-8(A) Fund Limited Partnership」は、2021年12月に最終クロージングし2ファンド合計のコミットメント総額は130百万米ドルとなりました。

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

ファンド数

コミットメント

総額

ファンド数

コミットメント

総額

円建

 

 

(百万円)

 

(百万円)

運用中

11

215,000

11

215,000

延長中

7

150,000

小計

18

365,000

11

215,000

米ドル建

 

 

(千米ドル)

 

(千米ドル)

運用中

5

664,918

7

843,656

延長中

3

45,700

2

44,700

小計

8

710,618

9

888,356

台湾ドル建

 

 

(百万台湾ドル)

 

(百万台湾ドル)

運用中

1

2,006

1

2,006

小計

1

2,006

1

2,006

 

合計

 

 

(百万円)

 

(百万円)

運用中

17

296,416

19

326,780

延長中

10

155,059

2

5,470

合計

27

451,475

21

332,251

 

コミットメント総額に占める

当社グループの

出資持分割合

40.4%

40.9%

(注)1.「コミットメント総額」は、契約上出資が約束されている額の総額であります。

2.合計欄における外貨建「コミットメント総額」は、各連結会計年度末為替レートで換算しております。

 

④投資先会社IPO(新規上場)の状況

前連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)

 

投資先会社名

上場年月日

上場市場

事業内容

本 社

所在地

国内:5社

㈱アイキューブドシステムズ

2020年7月15日

マザーズ

(現 グロース)

法人向けMDM(モバイルデバイス管理)サービス『CLOMO』、ビジネス用モバイルアプリ『CLOMO SECURED APPs』の提供

福岡県

㈱スタメン

2020年12月15日

マザーズ

(現 グロース)

エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」の展開

愛知県

㈱WACUL

2021年2月19日

マザーズ

(現 グロース)

UI/UX改善コンサル、WEB/スマホサイトのUI/UX自動最適化ツール『AIアナリスト』の開発

東京都

㈱ココナラ

2021年3月19日

マザーズ

(現 グロース)

知識・スキル・経験を商品化して「ECのように売買できる」マッチングプラットフォーム

東京都

Appier Group㈱

2021年3月30日

マザーズ

(現 グロース)

AI(人工知能)を活用したマーケティングオートメーションプラットフォームの開発

東京都

海外:1社

Boqii Holding Limited

2020年9月30日

NYSE

ペット関連商品オンライン販売

中国

 

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)

 

投資先会社名

上場年月日

上場市場

事業内容

本 社

所在地

国内:4社

ビジョナル㈱

2021年4月22日

マザーズ

(現 グロース)

HR Techプラットフォーム、HR SaaS、事業承継M&A、SaaSマー

ケティング、サイバーセキュリティ、物流DXプラットフォーム等

東京都

ワンダープラネット㈱

2021年6月10日

マザーズ

(現 グロース)

エンターテインメントサービス事業

愛知県

㈱Photosynth

2021年11月5日

マザーズ

(現 グロース)

Akerun入退室管理システム等のクラウド型IoTサービスの開発・提供

東京都

㈱Finatextホールディングス

2021年12月22日

マザーズ

(現 グロース)

次世代ウェルス・マネジメント・サービスの開発、提供

東京都

海外:2社

PLAYSTUDIOS, Inc.

2021年6月22日

NASDAQ

オンラインゲーム開発・提供

米国

Confluent, Inc.

2021年6月24日

NASDAQ

イベントストリーミングプラットフォームの提供

米国

(注)海外企業の本社所在地は、主たる営業地域又は実質的な本社所在地を基準に記載しております。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

 ①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。 これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 ②当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績

 「(1)連結経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通り、当年度の当社グループの売上高は27,677百万円(前期比28.7%増)、営業利益は16,876百万円(前期比88.2%増)となりました。営業外収益は、受取配当金、他社ファンド運用益の減少等により、1,581百万円(前期比42.7%減)となりました。また、営業外費用は、自己株式取得費用等により、97百万円(前期比421.3%増)となりました。この結果、経常利益は18,360百万円(前期比56.8%増)となりました。特別利益については、投資有価証券売却益186百万円を計上しております(前年度は当社が純投資目的で保有する野村総合研究所株式15,500,000株を売却し44,764百万円を投資有価証券売却益として計上しております)。特別損失の計上はありませんでした(前年度の特別損失の計上もありません)。税効果会計適用後の法人税等は3,467百万円(前期比80.7%減)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は15,080百万円(前期比60.8%減)となりました。

 

b.財政状態

 当連結会計年度末における当社グループの財政状態は、流動資産134,407百万円(前期比24.3%減)、固定資産98,616百万円(前期比16.1%増)、流動負債4,563百万円(前期比77.6%減)、固定負債31,070百万円(前期比16.0%増)、純資産は197,390百万円(前期比8.3%減)となり、総資産は233,024百万円(前期比11.2%減)となりました。

 流動資産については、現金及び預金が主に自己株式の取得による支出、法人税等の支払により前年度から54,914百万円減少する一方で、営業投資有価証券は投資の進捗により前年度から8,633百万円増加しています。固定資産については、投資有価証券が主に評価差額の増加により前年度から13,673百万円増加しています。流動負債については、未払法人税等が前年度から16,766百万円減少し、固定負債については繰延税金負債が前年度から4,370百万円増加しております。純資産のうち、自己資本については、2021年2月10日開催の取締役会決議に基づき、2021年4月1日から2021年6月15日までに自己株式9,767,700株を取得したことにより、自己株式が24,846百万円増加しました。また、2021年4月21日開催の取締役会決議に基づき2021年5月7日付で自己株式6,750,000株、2021年6月16日開催の取締役会決議に基づき2021年6月29日付で自己株式9,990,000株の消却を実施し、利益剰余金及び自己株式が36,938百万円減少しました。さらに、2021年10月22日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得は、2022年3月31日までに7,207,600株(取得価額14,615百万円)を取得しております。これらの結果、当連結会計年度末において、利益剰余金は前連結会計年度末から25,917百万円減少し、自己株式は2,526百万円増加しております。なお、当社は、2022年2月1日付で普通株式1株を3株にする株式分割を行っており、上記の株式数は当該株式分割後の株式数に換算しております。

 

c.キャッシュ・フローの状況

 「(1)連結経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。

 

d.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績等に特に重要な影響を与える要因である、投資実行、キャピタルゲイン、投資損失引当金、営業投資有価証券の残高、ファンドの管理運営業務の各状況に関する認識及び分析・検討は次の通りです。

(投資実行の状況)

 「(2)生産、受注及び販売の実績 ①投資実行状況」に記載の通り、当連結会計年度の当社グループ及びファンドの投資実行額は、37,053百万円(前期32,813百万円)、投資会社数は93社(前期66社)となりました。特に国内ベンチャー投資は、投資先の資金調達も増加、追加投資も含め、前期を上回るハイペースで投資が進捗しました。

 当連結会計年度の国内ベンチャー投資における業種分類では、引き続きインターネットスペースの投資先が大半となっています。IT関連の投資先の比率が高まっていますが、ITサービスの中には、最新のテクノロジーにより様々な既存産業のビジネスモデルを変えていくようなスタートアップが数多く含まれています。

 また、新規投資のステージでは、創業期のシードや、事業の立ち上げ時期のアーリーステージがほとんどで

す。その大半がインターネットスペースにあります。事業の立ち上げ方次第で、スタートアップの変化率は

非常に高いものになります。一方で、競合先も多く立ち上げの遅れが致命傷になりかねません。当社は、投

資先の「CO-FOUNDER」として、事業の構想段階から関わり、起業家とともに事業の成長に踏み込んでいきます。

 

(キャピタルゲインの状況)

 当連結会計年度における当社グループの投資先の新規IPOは6社(国内4社、海外2社)であり、大型の新規IPOによる株式売却等の結果、上場キャピタルゲインは対前期比では増加しましたが、上場以外キャピタルゲインは減少しました。

 高水準のファンドパフォーマンスを長期にわたって継続していくことが、当社の経営における最大のテーマです。今後もIPOの数にこだわることなく、大きなキャピタルゲインを伴うIPOやM&A等のEXITを追求していきます。各年度の業績は、大型のEXITの実現数により大きく変動するものの、運用中の各ファンドのパフォーマンスを継続的に高めていくことが、当社の長期的な好業績につながっていきます。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度(A)

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

当連結会計年度(B)

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

対前期比(%)

(B)/(A)

金 額

金 額

営業投資有価証券

売上高①

16,164

20,257

125.3

 

売却高

16,074

20,147

125.3

 

配当金・債券利子

90

109

120.8

営業投資有価証券

売上原価②

4,903

7,619

155.4

 

売却原価

4,903

6,848

139.6

 

強制評価損

770

 

キャピタルゲイン①-②

11,260

12,638

112.2

投資倍率①÷②

3.30

2.66

 

上場キャピタルゲイン

7,567

12,596

166.5

上場以外キャピタルゲイン

3,693

41

1.1

 

売却益

4,435

3,142

70.8

売却損

742

3,100

417.7

 

 

(投資損失引当金の状況)

 厳選集中投資により、ポートフォリオの入れ替えを図り、経営関与を高めたことで、引当金残高、引当率の減少が続いてきました。前連結会計年度まで新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり増加した引当金繰入額は、この影響が限定的となった当連結会計年度においては1,108百万円(前期3,483百万円)と大幅に減少しました。引当金残高も、新規の引当繰入れの減少、SV3ファンドの清算も含め引当先の売却が進んだことにより8,969百万円(前期末10,917百万円)と減少しています。投資の進捗と引当金繰入額の減少により引当率も12.1%(前期17.3%)と極めて低い水準となりました。しかしながら、前述の経営環境の変化が未上場市場に与える影響は注視しており、今後も予断を許さない状況にあります。今後投資先の業績や資金調達に影響が生じた場合、引当金が増加する可能性があります。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度(A)

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度(B)

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

対前期比(%)

(B)/(A)

金 額

金 額

投資損失引当金繰入額①

3,483

1,108

31.8

 

個別繰入額

3,541

1,137

32.1

 

一括繰入(△取崩)額

△58

△29

投資損失引当金取崩額②

803

3,094

384.9

投資損失引当金繰入額

(純額・△は戻入額)

①-②

2,679

△1,985

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

金 額

金 額

投資損失引当金残高

10,917

8,969

 

個別引当残高

10,772

8,853

 

一括引当残高

145

116

未上場営業投資有価証券残高に対する引当率

17.3%

12.1%

 

(営業投資有価証券残高の状況)

 新規投資、追加投資ともに堅調に積み上がったことにより、ファンド投資を通じた投資残高における当社の持分も増加しています。上場した投資先の含み益は12,510百万円(前期末14,850百万円)となっています。投資先上場株式の売却や一部株式の株価下落等により前連結会計年度より2,340百万円減少しています。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

金 額

金 額

上場営業投資有価証券の取得原価と時価の差額

14,850

12,510

 

時価が取得原価を超えるもの

14,850

12,510

 

時価が取得原価を超えないもの

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金 額

金 額

部分純資産直入法に基づく営業投資有価証券評価損(△戻入益)

△150

 

営業投資有価証券残高

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

取得原価

連結貸借対照表計上額

取得原価

連結貸借対照表計上額

上場

1,594

16,444

1,755

14,266

未上場

62,511

63,102

70,515

73,914

合計

64,105

79,547

72,271

88,180

 

 

(ファンドの管理運営業務の状況)

 当連結会計年度における成功報酬は、大型の新規IPOによるSV3ファンドのほか、SV4ファンド、JATF6ファンド等といった出資者への分配額がファンド総額を超えたファンドから継続的に発生しており、対前期比で大幅に増加しました。管理報酬は前期とほぼ同水準であります。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度(A)

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

当連結会計年度(B)

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

対前期比(%)

(B)/(A)

金 額

金 額

投資事業組合管理収入

5,340

7,410

138.7

 

管理報酬

2,871

2,949

102.7

 

成功報酬

2,469

4,461

180.6

(注)管理報酬及び成功報酬は、当社グループの出資持分相当額を相殺した後の金額となっております。

 

e.当社グループの資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要のうち主なものはファンドへの投資資金、販売費及び一般管理費等であり、販売費及び一般管理費等の主なものは、人件費及び不動産費等であります。ファンドの運用資産の大半は未上場企業であり、時価もなく流動性が極めて限定されます。従って、どのような環境にあっても、継続して投資を行うために自己資本の充実と強い財務基盤が求められます。当連結会計年度は、純資産額は197,390百万円(前期末215,237百万円)、自己資本比率については84.7%(前期末82.0%)となりました。貸借対照表に計上されている52,603百万円の現金及び預金の中には、各ファンドに当社が既に出資した分も含まれています。

 当連結会計年度においては、2021年2月10日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得(2021年4月1日から2021年6月15日までに9,767,700株、取得価額24,846百万円、2021年2月12日から2021年6月15日までの自己株式取得合計株数、14,299,800株、取得価額34,999百万円)、2021年10月22日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得(2021年10月25日から2022年3月31日までに7,207,600株、取得価額14,615百万円)を行い、2021年4月21日開催の取締役会決議に基づき2021年5月7日付で自己株式6,750,000株、2021年6月16日開催の取締役会決議に基づき2021年6月29日付で自己株式9,990,000株の消却を実施しております(当社は、2022年2月1日付で普通株式1株を3株にする株式分割を行っており、上記の株式数は当該株式分割後の株式数に換算しております)。前連結会計年度に策定した後述の「今後の株主還元についての方針」に基づき、今後の出資分や次期ファンドへの出資予定分など、いかなる状況においても継続出資していくために必要な資金を確保しつつ、必要金額を一定程度超過する部分については株主還元を検討します。引き続き投資方針を堅持した積極的な投資と、株主還元継続の両立を目指していきます。

 

今後の株主還元についての方針(2021年2月10日公表)

●当社における自己資金と自己資本について

当社の事業は、未上場企業へ投資を行うファンドの運用であり、当社自身も自己資金をファンド総額の4割程度出資しています。外部出資者から得られるファンドの出資金は、ファンド募集時の経済環境、株式市況、当社ファンドのパフォーマンスに大きく左右されます。当社は、豊富な自己資金によって、継続安定的にファンドを組成してまいりました。また、当社が純投資目的で保有する、株式会社野村総合研究所(以下、「NRI」)株式は、流動性の高い将来の投資のための資産と位置づけ、継続して保有してまいりました。一定規模以上の自己資金と自己資本の水準を保持することが、リスクマネーの供給という社会的使命を果たし、当社事業の永続性を高めることにつながります。そして、当社が掲げる「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」というミッションの実現、ひいては企業価値向上にも資するものと考えています。

●将来のために必要な投資資金及び今後の株主還元の考え方

今後も、いかなる環境においても投資を継続できる財務基盤を維持していくため、現預金とNRI株式は一体として将来の投資資金と位置付けてまいります。将来の投資のために必要となる資金は、現在運用中のファンドに対し今後払込が必要な金額(ファンド未払込金額)や次期ファンドへの当社出資分に加え、将来のファンドサイズ拡大、その他の投資機会や不測の事態への備えとして、現状では1,200億円程度と考えています。現預金とNRI株式の時価評価額(税引後)の合計額がこれを一定程度超えることとなった場合には、自己株式の取得を検討することとします。この場合、株価が1株当たり純資産を下回るときは、より積極的に検討します。また、自己株式を取得した場合には、保有する自己株式が発行済株式数の3%となるよう適宜消却していくことを予定しています。また、配当金につきましては、2017年3月8日に開示した基本方針(1株当たり株主資本の期首期末の平均値の3%を目途とする。)を継続いたします。

 

f.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社グループにおける最大の経営テーマは、ファンドパフォーマンスを持続的に向上させることです。当社グループは、ファンド運用事業の単一セグメントであり、収益の源泉はファンドからの管理収入(管理報酬・成功報酬)とファンドへの直接出資持分からのキャピタルゲインであることから、運用中の各ファンドのパフォーマンスを高めていくことが、中長期的な好業績の継続につながっていきます。

 当社は、以下をファンドパフォーマンスの具体的な目標としております。

  グロス倍率(売却金額(未売却投資先の評価金額を含む)÷投資金額)2.5倍以上

  ネット倍率((分配金累計額+純資産額)÷払込済出資金額)2.0倍以上

 また、運用中(延長中を含む)の主な国内ファンドのパフォーマンスは次の通りです。

 

ファンド

設立年月

出資金

総額

(億円)

払込済

出資金額

(億円)

分配金

累計額

(億円)

純資

産額

(億円)

グロス倍率

(倍)

ネット倍率

(倍)

2022年3月末

2021年3月末

2022年3月末

2021年3月末

2022年3月末

SV-3(B)

2007年7月

610

610

1,037

-

2.05

2.22

1.59

1.70

SV-4(B)

2013年3月

291

291

424

97

2.14

2.15

1.80

1.79

SV-5(B)

2016年8月

498

460

37

386

0.96

1.03

0.87

0.92

SV-6

2019年6月

640

492

-

447

0.99

1.01

0.89

0.91

(注)1.SV-3(B)は、2021年12月までに全投資先の流動化を完了し2022年2月に最終分配を行いました。

2.純資産額において、未売却投資先の評価については、上場株式は期末日の時価で評価しており、外貨建の上場株式は期末日の為替レートで換算しております。未上場投資先については、時価算定会計基準の適用に伴い、新株予約権付社債、新株予約権等の株式以外の投資等は時価で評価し、未上場株式は、マークアップ(未実現評価益の計上)せず、マークダウン(未実現評価損の計上)のみを行っています。なお、外貨建の未上場株式についても期末日の為替レートで換算しております。

 

g.セグメントごとの財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、ファンド運用事業の単一セグメントであります。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。