当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度は、原油などのエネルギー価格等の上昇により、世界的にインフレが加速し、米国の金融政策の転換に伴う為替の変動や各国の金融引き締めによる景気減速への懸念が高まりました。また、2023年3月の米国での銀行破綻に端を発した欧米での金融不安など、先行きの不透明感はさらに強くなっています。
一方で、コロナ禍によってデジタルシフトは加速され、価値観やライフスタイルの変化が生じました。テクノロジーの進化は、持続可能な社会の実現に向けて産業の効率化や脱炭素化を推し進めています。このような環境の変化は新しいビジネスへの投資機会を創出し、社会課題解決が期待される投資先に対しては強い追い風にもなっています。
日本でも有望なスタートアップが本格的に出現し、次世代を担う若い起業家が台頭しています。ベンチャーキャピタル(VC)の投資ステージも、シードやアーリーステージが大きな割合を占めています。
当社は創業以来、時代をリードする起業家とともに歩んできました。当社には、経験を積み重ねてきた多くのベ
ンチャーキャピタリストに加え、企業成長を促進するための豊富なリソースとネットワークの蓄積があります。
単なる投資家としてではなく、「CO-FOUNDER」として、事業の構想段階から経営に関与します。起業家とともに事業の成長にコミットし、企業価値を高めていきます。
2018年からパートナーシップモデルを導入し、トップキャピタリストとしてファンドの運用責任を負うパートナーを中心としたフラットな組織作りを行っています。
SV6ファンド以降は、パートナーと従業員が当社とともに出資することで、個人としても運用リスクを負いながら、ファンドパフォーマンスと個人の貢献に連動した成果報酬を享受していきます。従来からの当社の強みである組織力にも磨きをかけており、投資先への経営関与を通じて、ファンドパフォーマンスの一段の向上を目指します。
(1)会社の経営の基本方針
①当社のパーパス
「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」
当社は長年にわたる投資経験の中で、「投資の継続が、持続可能な社会を実現する」ことを信じ、企業・起業家の新たな挑戦に対し投資を続けてきました。地球環境やグローバル経済を取り巻く問題がますます複雑化する中、当社は、まだ見ぬ価値を生み出す挑戦に果敢に投資し、その成長にコミットすることにより、新たな成長への循環をつくりだし、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
②当社のミッション
「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」
当社は創業以来、様々な革新的製品やサービスを起業家と生み出してきました。世の中に必要とされる新事業の創造にコミットすることで、ステークホルダーの皆様とともに新しい時代を切り開くことが当社のミッションです。当社はパーパスの実現を目指す中で、創業時から変わらぬ想いをミッションに掲げ、取り組んでまいります。
③パーパス/ミッション実現に向けた方針と戦略
当社は、ファンドを通じたベンチャー投資とバイアウト投資によりパーパス/ミッションの実現を図ります。
新たな事業に挑戦する起業家や機関投資家を中心とするファンド出資者に対するコミットメントをより明確にするべく、創業以来培ってきた組織力に加え、個人を主体としたパートナーシップモデルを導入することで、競争力を一層高めていきます。
当社の事業の本質はESG投資の考え方に強く合致するものです。社会課題を解決する有望企業の発掘、投資後の対話を通じた成長支援、そしてEXITに至るまでの過程にESGの観点を取り入れていきます。投資先の事業成長を通じてサステナビリティの実現に貢献し、当社の競争力と企業価値を高めていきます。
パーパス/ミッションの実現に向け、当社は下記の取り組みを進めます。
・厳選集中投資と経営関与
新事業を創造するために、ポテンシャルの高い投資対象を絞り込み、大胆に投資を行います。投資先企業に対し影響力のあるシェアを確保し、投資先の経営に深く関与することで、企業の成長を促進します。
・ファンドパフォーマンスの持続的向上とリスクマネー供給の拡大
十分な投資資金を獲得するには、ファンドパフォーマンスを持続的に向上させ、安定的にファンドの外部出資者を確保することが不可欠です。投資先企業の成長を通じて得たリターンを、ファンド出資者・株主と分かちあい、新ファンドの募集に繋げることで、リスクマネーの循環・拡大をもたらします。
・「CO-FOUNDER」としてのジャフコ
事業の立ち上げ局面では、投資家である以上に「CO-FOUNDER≒共同創業者」であることが求められます。当社が創業来獲得してきた精神や知識、経験を継承・発展させ、当社及び個々の従業員が
「CO-FOUNDER」として活躍できる組織を目指します。
④企業価値向上の基本方針の策定
当連結会計年度において中長期を見据えた成長戦略の推進と資本効率の向上を「企業価値向上の基本方針」として開示しました。詳細は後記「(2)会社の対処すべき課題」に記載しています。「厳選集中投資」の投資方針や、「CO-FOUNDER」として経営に深く関与する投資姿勢とそれを支える組織のあり方は変えることなく、今後も収益基盤となるファンドパフォーマンスの持続的な向上を追求していきます。
2023年2月に当社初の統合報告書を発行しました。本報告書は、ステークホルダーの皆様に向けて、新たに策定したパーパスを軸に、当社における価値創造について発信しております。
(2)会社の対処すべき課題
①今後の方向性:企業価値向上の基本方針
当社は、株主の皆様の利益拡大に繋がる企業価値向上を目指し、成長戦略の推進と、純資産の圧縮による資本効率の向上を進めることを基本方針とします。
1)成長戦略の推進
投資運用力とファンド募集力が当社の利益の拡大の両輪であり、これらの活動を組織基盤が下支えします。
●投資運用力の向上
当社は2010年以降、厳選集中投資と経営関与を投資方針に掲げ、有望な投資先を早期に発掘し、投資後の成長に能動的に働きかけることで、キャピタルゲインの最大化とファンドパフォーマンスの向上を図ってきました。
今後、投資運用力の更なる向上を目指し、投資の各プロセスにおける厳選集中投資と経営関与への取り組みを次のようにいっそう進化させます。
・投 資:成長ポテンシャルの高い企業を早期に開拓し、リード投資家として投資実行
・成長支援:投資後の事業開発や体制整備での深い関与、様々な経営資源を投下して投資先の成長角度を向上
・EXIT:深い経営関与を通じて企業価値を最大化するIPOや発展的なM&Aを実現
●ファンド募集力の強化(外部出資の拡大)
安定したファンドパフォーマンスに加え、規律と透明性の高い運用と、投資家のニーズに応じた情報提供を行います。これにより、既存の投資家からの継続出資を受けるとともに、ファンドの社会的・経済的意義に共感する新規投資家層を獲得し、外部出資額を増やします。
●組織基盤の強化
継続的な新卒採用・知見伝承と、専門領域におけるスペシャリスト採用を併用した当社独自の採用・育成モデルで、投資運用力の根幹であるキャピタリストを生み出し続けます。
同時に、投資プロセスを一気通貫で支える組織体制をさらに強化し、個人に過度に依存しない投資運用力の持続的な向上に取り組みます。
2)資本効率の向上
当社はこれまで、市場環境に左右されやすいファンド募集において、当社の自己資金を出資することで適切なファンドサイズを確保してきました。その結果、当社のファンド出資比率は、2023年3月末時点で40%程度となっています。
今後は、新設ファンドサイズを対象マーケットに合わせて段階的に拡大させる一方で、当社の出資比率は段階的に低減させ、中長期的には、新規ファンドへの当社出資比率を20%とすることを目標とします。これにより、必要資金を一定額に抑え、営業投資有価証券残高を維持しながら、高い水準のキャピタルゲインを得ることを目指します。投資運用会社として安定的に運用報酬を得るとともに、高い収益性を継続的に上げることができる、独自の投資運用業の姿を追求していきます。
②対処すべき課題
1)厳選集中投資と経営関与の徹底
スタートアップを取り巻く経営環境は当面厳しいと想定されます。しかし、これまでの歴史を振り返ると、そうした環境下でこそ次世代を担う企業が創業されてきました。当社は、投資方針である厳選集中投資をさらに徹底し、成長ポテンシャルの高い投資対象を見極めて絞り込み、大胆に投資を行います。投資先の経営に深く関与することで、企業の成長を促進します。
2)ファンドパフォーマンスの向上
当社は、グロス倍率(売却金額(未売却投資先の評価金額を含む)÷投資金額)2.5倍以上、ネット倍率((分配金累計額+純資産額)÷払込済出資金額)2.0倍以上をファンドパフォーマンスの具体的な目標としています。
今後も魅力的な会社への投資を行うことで、ファンドパフォーマンスの持続的向上を目指します。
3)ファンド募集
基幹ファンドSV7の募集を継続しています。外部出資を積み上げ、2024年3月期中に800億円から最大で950億円程度のファンド総額を目指します。
4)多様な人材の採用と育成
新卒採用に加えてキャリア採用も積極的に行うとともに、人材の育成にも取り組みます。また、採用の推進と人材の活躍を促すよう人事制度も継続的に見直します。こうして、多様な人材が活躍できる組織づくりを進めます。
5)強固な財務基盤
事業環境や当社の財務状況の変化に応じ、資本効率の向上を意識しつつ、成長戦略の裏付けとなる強固な財
務基盤を一定維持していきます。必要に応じて資金調達方法の多様化も図ります。
また、「CO-FOUNDER」というアイデンティティーを確立し、「新事業の創造にコミットし、ともに未来を切り開く」というミッションの実現に向けて、下記に掲げる五つの姿勢を堅持していきます。
・経験知を受け継ぎ成功を再現する
・次世代を追求し事業をつくりだす
・グローバルに展開しローカルに集中する
・起業家と真摯に企業価値を高める
・先駆者として規律と透明性を守り抜く
なお、(1)会社の経営の基本方針 ③パーパス/ミッション実現に向けた方針と戦略 に記載した通り、当社の投資活動の本質は、ESG投資の考え方に強く合致しています。
投資活動の最初の段階となる有望企業の選定における事業ポテンシャルの評価にあたっては、E(environment=環境)やS(social=社会)、SDGsの側面からのリスクや社会のニーズが重要な要素です。その評価をもとに、サステナブルな成長実現のための課題についても、投資候補先企業の経営陣と議論し、投資実行の判断をしています。
当連結会計年度において、主にE(environment=環境)の観点からは、戸建住宅向け太陽光発電システムの第三者所有サービスを展開する会社に投資をしました。分散電源を創出し、革新的なプロダクトの提供を通じてエネルギーシステムを変革することで、脱炭素社会の実現に貢献しています。S(social=社会)の観点では、従業員の健康管理を経営課題と捉え、健康経営に取り組む企業が増加する中、従業員の心身の不調に関わるヘルスケアコンテンツをオンラインで提供する新たなサービスを開発、運営する会社に投資しました。
投資活動の次の段階は、対話による課題解決と経営関与による成長支援です。事業進捗の状況把握に加え、投資先の資金管理や法令順守状況等を定期的に確認しています。投資先企業の事業の立ち上げは最優先としつつも、管理体制の整備を並行して進めることが重要です。経営陣とは対話を通じて課題を共有し、その解決を図っています。さらに、成長の段階に応じて、人材採用を含め、営業体制、開発体制、管理体制の構築をサポートします。投資先企業のG(governance=内部管理)構築は、経営陣に伴走しながら支援します。
こうした取り組みを通じ、将来的に大きな社会的インパクトを生み出す企業を輩出し、サステナビリティの実現に貢献しています。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社は、地球環境や社会システムが大きく様変わりする中、「いかなる時でも投資を継続する」という強い信念を持ち、創業以来変わらない「投資」という手段を通じて、「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」というパーパスの実現、ならびに持続可能な社会の実現を目指しています。このようなサステナビリティに関する基本的な考え方や、環境・社会・ガバナンスというESG要素の課題及び対応方針について、ステークホルダーの皆様と共有し、持続可能な環境・社会の実現を目指すために、当社は2023年6月にサステナビリティに関する基本方針を策定しました。
(2)戦略
当社のサステナビリティに対する取り組みは、①企業としてのESGの取り組みの強化と、②事業を通じたサステナビリティへの貢献の2種類に分けられます。当社のみならず、投資という事業を通じて投資先企業がもたらす影響についても積極的に関与していくことで、サステナブルな社会への貢献に努めていきます。
①企業としてのESGの取り組みの強化
当社は、パーパス実現に向け、さまざまなサステナビリティに関する課題の中でも、特に環境、社会、ガバナンスについて以下の課題を認識し、取り組みを行ってまいります。
●E(Environment):当社では、環境を重要な社会課題と認識し、自社の環境負荷低減を推進します。効率的なオフィス運用、積極的なリモートワークの推進などを通じて、エネルギー使用量の削減及び温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。社内会議での紙資料の配付・保管を原則廃止し、ペーパーレス化を徹底するとともにクラウド化を進め、2018年2月の本社オフィス移転を機に、フリーアドレス制を導入しました。また、当社は2023年5月に、金融安定理事会(Financial Stability Board)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force оn Climate-related Financial Discrosures。以下、TCFD)が策定した気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(以下、TCFD提言)へ賛同することを決定しました。今後、必要なデータの収集と分析を行い、TCFD提言に沿ったリスクの評価・管理や情報開示の拡充に取り組んでまいります。
●S(Social):当社の事業の本質は、社会課題を解決する有望企業の発掘と投資、投資後の対話を通じた成長支援とEXITです。また、長年培った豊富なリソースと多くの企業との幅広いネットワークを活かし、起業家と大企業とのマッチングや新事業開発に関する企業との勉強会、スタートアップ向けの経営人材支援事業等の、様々な取り組みを行っています。このように投資事業を通じてスタートアップエコシステムの発展に貢献し、社会及び経済を循環させることで持続的な社会の実現を目指します。このため、投資事業を支えるための人材育成と組織基盤を重視する人材戦略を進めています。例えば、「強い個の育成」のために、当社独自のキャピタリスト育成ノウハウを活用し、パートナーを中心とした採用・育成体制の構築、インストラクター制度やメンター制度の充実を図っています。また、「組織基盤の発展」のために、中途採用の強化や人事制度の継続的な見直し、マネジメントの育成強化、当社のパーパスを軸とした社内カルチャー浸透プロジェクトを実施しています。また、フルフレックスタイム制やリモートワークによる柔軟な働き方を推進し、育児・介護等の支援制度と合わせて、両立しやすい環境を整えています。従業員の心身の健康にも配慮し、各種施策を実施するとともに社内交流を促進する制度等を通じて、より働きがいのある職場作りに努めています。
●G(Governance):ベンチャー投資・バイアウト投資というリスクの高い事業を営む当社にとって、経営のガバナンスを高め、公正で迅速な意思決定を行うことは非常に重要です。当社はこれまで、経営の独立性、株主の皆様との価値共有、資本効率の向上と成長戦略推進等のテーマで、毎年段階的にガバナンスの強化を進めてきました。具体的には、2015年6月に監査等委員会設置会社へ移行して以降、取締役会での社外取締役比率の向上、女性取締役の選任、指名・報酬委員会の設置などを実施してきました。また、2021年3月期には、資本効率の観点から、投資活動の継続に必要な資金を明示し、それを超える部分は株主還元を検討する方針を決め、自社株買いを実施しました。さらに、2022年11月には「企業価値向上の基本方針」を策定し、この実現に向けて組織基盤を強化するとともに、事業を通じたサステナビリティへの貢献の施策に取り組んでいます。
②事業を通じたサステナビリティへの貢献
事業を通じたサステナビリティへの貢献に関しては、投資先企業のESGの取り組みの強化と、投資先企業の事業を通じたサステナビリティへの貢献の2種類があります。
●投資先企業のESGの取り組みの強化
当社の投資先となる企業には、環境・社会・ガバナンスへの取り組みに関して様々なリスクが内在しています。特にシード・アーリーステージのスタートアップにおいては、経営リソースが限られているため、自社のみでESGリスクを改善することが困難なケースも少なくありません。そのため、当社では投資前・投資後のタイミングにおいて、投資先企業のESGリスクの見極めとESGの取り組みの強化に向けた活動を行っています。
投資前においては、起業家・企業・事業の各要素において、ESGのリスクが対応可能な範囲であるかを見極めるため、デュー・デリジェンスに力を入れています。投資調査に関する専門チームを組成したうえで、投資委員会においても十分な議論を行い、ESGリスクの高い企業に対して投資を行わないように努めています。
投資後においては、投資先の企業活動のモニタリングとESGリスクの対応支援に取り組んでいます。半期に1度、すべての投資先企業を対象としたサステナビリティチェックを行い、ESGに関するリスクを未然に洗い出します。潜在的なリスクが認められる投資先企業に対しては、個別に啓蒙活動や各種支援を行い、ESGリスクの最小化に努めています。
●投資先の事業を通じたサステナビリティへの貢献
当社は「すべての投資先企業が、事業を通じてサステナビリティに貢献している」と考えています。投資対象となる有望企業の発掘の際には、これらの企業の「事業が社会的意義を有しているか」や「事業が社会課題の解決に貢献し得るか」も考慮し、この社会的意義の実現こそが、サステナブルな社会への貢献だと捉えています。
近年は、サステナビリティに対して直接的に貢献する投資先企業も増えてきました。地球規模の課題である「脱炭素社会の実現」に寄与する事業や、ニューノーマルと呼ばれる新たな生活様式への対応を支えるデジタルを基盤とした事業などがその代表例です。
当社は、投資対象を特定の業種・領域に限定しない方針であり、「ESGの観点で、脱炭素社会や社会課題の解決に直接的に貢献する企業」に投資対象を限らないことは今後も変わりません。社会に未だ見ぬ価値を見出し、社会的意義を実現する事業への投資を継続することで、投資先企業を通じた持続可能な社会の実現を目指していきます。
(3)ガバナンス
当社は、ESG課題を含むサステナビリティに関する課題への対応を経営上の最重要課題の一つとして認識しています。サステナビリティに関しては全社的に取り組み、管理部がその推進状況を管理し、年に一回以上、取締役会において取り組みを報告します。取締役会は、具体的な活動方針や推進施策等に対し、進捗状況の検証や審議を実施することで取り組みの監督を行います。
なお、当社のサステナビリティに関する取り組みは、前記のとおり企業としてのESGの取り組みの強化と、事業を通じたサステナビリティへの貢献の2種類に分かれ、事業を通じたサステナビリティへの貢献に関しては、投資委員会等において状況を確認し、改善策を検討します。
(4)リスク管理
当社は、パーパスの実現のため、当社の事業におけるサステナビリティに関するリスクと機会を適切に把握、管理するように努めます。具体的には、取締役会から委託を受けて設置している投資委員会では、投資候補企業のESGリスクや、サステナビリティに関するリスクと機会を含む事業の成長性も踏まえて投資の可否を審議します。投資委員会は、取締役社長を含むパートナー等で構成され、原則として毎週開催しています。また、投資先企業のサステナビリティに重要な影響を及ぼす事案が発生した場合には、投資委員会の構成員に対してすみやかに報告する体制を整えています。さらに、投資先企業のサステナビリティチェックを定期的に実施するとともに、四半期に1回、ポートフォリオ全体のリスクを把握し、課題を検討します。
ESGに関するリスク及び機会に関しては、「
なお、人的資本(人材の多様性を含む)に関する指標及び目標については、「(5)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」をご参照ください。その他のサステナビリティに関する取り組みの指標及び目標に関しては、開示の重要性や事業への影響も含め、引き続き検討・議論を重ねてまいります。また、Scope1・Scope2のGHG排出量に関しては、統合報告書にて開示していますのでご参照ください。
(5)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
当社の企業価値向上のためには、人材の強化が欠かせません。具体的には、「強い個の育成」と、「組織基盤の構築」の2点が必要になります。
当社の成長は、その事業の特性上、ベンチャーキャピタリストをはじめとする「個」に大きく依存します。そのため、いかにして優秀な「個」を採用し、育てていくかが、事業上の大きな課題となります。特に投資部門においてはこれまでも継続している新卒採用に加え、様々な経験・スキル・ポテンシャルを有する人材を継続的に採用し、多様なバックグラウンドを持つキャピタリストを擁することが、人材戦略上の起点になります(下図①)。加えて、当社が培ってきた独自のキャピタリスト育成モデルにより、良質な投資を実現する強い「個」を育成していきます(下図②)。
また、当社および、投資先を取り巻く環境も、大きく変化をしています。そのため、強い「個」の育成だけではなく、強い「個」を支えるプロフェッショナル人材の採用や、体制・仕組みの構築も重要です。投資先支援やファンド運用、コーポレート分野など、各領域においても専門性を有した人材の採用および育成にも力をいれていきます(下図③)。加えて、高いパフォーマンスの実現に向けて、社員のモチベーションを高め、心身ともに健康的に働き続けられる体制や仕組みの構築も、当社が取り組んでいる重点事項です(下図④)。
このような、強い「個」と、それを支える組織基盤の実現に向けて欠かすことのできない要素が、当社の強みを継続させるカルチャーの醸成・浸透です。「CO-FOUNDER」というアイデンティティーは、当社が培ってきたカルチャーを表現しています。様々なバックグラウンドを有する多様な人材の集団が、一丸となって高いパフォーマンスを発揮するためには、共通するカルチャーを醸成し、浸透させていくことが必要になります(下図⑤)。
このような取り組みを通じ、強い「個」と、強固な組織基盤の構築を実現することで、高いファンドパフォーマンスを継続し、企業価値の向上に努めてまいります。
①多様なキャピタリストの採用
投資部においては、以前より行ってきた新卒採用を継続して行い、ポテンシャルの高い人材を確保しています。採用にあたっては当社の事業への適性はもとより、アイデンティティーやパーパスに共感し、強いコミットメントを持つ人材であることを重視しています。そのため採用プロセスも、作りこまれたプログラムのインターンシップを複数回実施するなど、より丁寧に行っています。並行して、キャピタリストのキャリア採用も積極的に進めています。多様なバックグラウンドをもつ人材が、その経験やスキルを活かし強い「個」の力を発揮してもらうことで、組織全体が環境や価値観の変化に対応し、パフォーマンス向上につながるものと考えています。
また、即戦力人材を重視し、プロフェッショナル採用を行ってきた事業投資部(バイアウト投資部門)においても、若手人材の採用・育成方針を打ち出し、採用活動を行っていきます。新卒採用を中心とし、組織的なベンチャーキャピタルとしての歴史をもつ当社の強みや経験値を、ここでも活かしつつ取り組みを進めます。
当社ではこうした多様性を確保していることを示す指標として、女性社員比率を3分の1以上にすること、全管理職数に占める女性管理職の割合(女性管理職比率)を2割以上にすること(いずれも2025年3月末まで)及び管理職全体における中途採用者の管理職の割合を3分の1以上確保していくことを目標としています。
②JAFCO独自のキャピタリスト育成
長年にわたり新卒採用を継続してきたことから、様々な経験値が蓄積されており、若手社員の育成モデルもその一つと言えます。若手社員には、一人ひとりにインストラクターがつき、投資担当として独り立ちするまでをサポートする体制をとっています。新卒として入社後は実戦的なプログラムも組み合わせた形で基礎的な研修を実施します。その後はOJT中心で育成していきますが、要所では様々なテーマでのOff-JT研修も絡めながら早期の成長を促しています。インストラクターは週次でのミーティングでインストラクティの状況を共有し、随時、課題発見・解決、育成ノウハウの共通化を図るなど、育成システムの進化に取り組んでいます。加えて、中堅社員に対しても、経験豊富なキャピタリストがメンターとしてサポートを行い、より強い「個」への成長を促進し、パフォーマンス向上につなげています。
③各領域におけるプロフェッショナル人材の採用・育成
投資先支援(ビジネスディベロップメント)部門、ファンド運用部門、コーポレート部門においても性別、年齢、国籍を問わず、プロフェッショナル人材の採用・育成を進めています。投資先支援においては、投資先企業の成長ステージによって必要とされる支援が異なり、Sales&Marketing、人材採用、バックオフィス構築等それぞれの領域において、スペシャリストが在籍し投資先企業の状況に適した支援を行う体制を構築しています。
ファンド運用部門は環境変化に対応しつつ、継続的にリスクマネーを調達・運営する役割をもち、当社事業の根幹を支える部門であることから、既存メンバーが築いてきたステークホルダーとの関係性をはじめ様々な経験値を受け継ぐプロフェッショナル人材の採用・育成を行っています。コーポレート部門においても、常に進化しつつ、全社の高いパフォーマンスを支えるために、高い専門性や豊富な経験を持つプロフェッショナル人材の採用を行っています。
④高いパフォーマンスを支える体制・仕組みの構築
フルフレックスタイム制、開放的なオフィスでのフリーアドレス、リモートワークの推進、副業の推奨など多様な人材が活き活きと働けるための取り組みを継続的に行っています。コロナ禍以前よりシステム環境の整備、ペーパーレス化が進んでおり、フレックスタイム制・リモートワークを併用することで、業務の継続性を保ち、パフォーマンスを支えることができる体制となっています。より働きやすい環境を整えていくことは、社員のエンゲージメントを高めると同時に、優秀人材の獲得・育成、強い「個」の集団形成に直結し、その結果として全体のパフォーマンス向上につながるものと考えています。
また、社員一人ひとりが能力を発揮するためには、心身ともに健康であることが重要であり、健康面においても各種施策に取り組んでいます。産業医・保健師と連携し、個別面談や健康関連情報の発信、健康診断受診率100%の継続を目標に、早期受診の促進と受診後のフォローも積極的に行っています。2023年4月現在、健康優良企業として「銀の認定」を受けており、健康経営に資する各種取り組みを継続的に進めています。
人事制度面では育児・介護休業制度等を整え、課題である男性社員の育児参加については育児休業や配偶者出産休暇の活用を促し、長期間の育児休業実績も出ています。
⑤強みを継続させるカルチャーの醸成・浸透
当社は1973年の設立以来、常に業界をリードする気概を持ちながら事業を継続してきました。2023年2月に策定したパーパス「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」を切り口に、当社の永続的な強みを浸透させる「カルチャー醸成」の取り組みを継続的に行っています。新卒採用とともに近年の積極的なキャリア採用により、多様なバックグラウンドを持つ社員が融合しつつ個々の力を発揮していますが、改めて当社の強みやカルチャーを認識し共有することで、より一層のシナジー効果を生みだそうとしています。各種ワークショップの実施や、OB・OGとのアルムナイ活動などを通じ、当社が50年にわたり培ってきた価値観や強みに触れると同時に、再認識することで、社員一人ひとりが高いパフォーマンスを出せるよう、各種取り組みを進めています。
●人的資本(人材の多様性を含む)に関する指標及び目標
・女性社員比率を2025年3月末までに3分の1以上にすること
2023年3月末実績:29.9%
・全管理職数に占める女性管理職の割合(女性管理職比率)を2025年3月末までに2割以上にすること
2023年3月末実績:16.9%
・管理職全体における中途採用者の管理職の割合を3分の1以上確保
2023年3月末実績:42.3%
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び対策に努めてまいります。ただし、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況
当社グループは主に当社グループが管理運営するファンドの資金を使って、日本・アジア・米国で未上場株式等への投資を行っております。当社グループはファンドからの管理報酬及び成功報酬に加え、ファンドに自己資金を出資することにより、投資成果であるキャピタルゲインをファンドの他の出資者とともに享受します。
ファンドのパフォーマンスは、日本、アジア地域及び米国の政治・経済・社会情勢や株式市場の動向に影響を受けます。そこで、当社グループでは、日本・アジア・米国とグローバルに投資を行うことにより地域的なリスクの分散を図っています。また、当社グループが運用する未上場企業投資ファンドは、通常3年前後の期間をかけて投資先企業の組入れを行うため、時間的にも一定期間に渡る分散が行われることになります。さらに、IPOに限らずM&A等によるEXIT(売却)の機会も絶えず追及しており、株式市場やIPO市場の動向が当社グループの収益基盤へ与える影響を低減できるように努めています。
しかし、不況に陥った場合には、投資先企業の業績不振につながる可能性があり、また起業環境が悪化することで、当社グループの投資対象となりうるスタートアップの数が減少する可能性があります。未上場株式等への投資は、投資からEXITまで数年程度の期間を要するため、EXIT時点での株式市場やIPO市場が低調な場合には、ファンドが保有する株式等の流動化機会が限られる可能性があり、またファンドが得るキャピタルゲイン及び成功報酬も大きく変動する可能性があります。さらに、地政学的なリスク、感染症の世界的流行その他の要因により、世界の広範囲において経済や株式市況が悪化する場合は、当社グループにおける地域的なリスク分散の効果を発揮できない可能性があります。こうした場合は、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)未上場株式等への投資
当社グループ及びファンドは、未上場株式等を投資対象としており、その中でも近年では創業期のシードや事業立ち上げ時期のアーリーステージの割合が高まっています。こうした未上場企業には次のような特徴があります。
・事業の不確実性
未上場企業は一般に収益基盤や財務基盤が不安定であるばかりでなく、売上がないまたは僅少である場合も多く、経営資源に制約があること等から、景気や市場動向、競争状況等の影響を受けやすく、事業の不確実性が高いといった特徴があります。
・経営・管理体制の脆弱性
未上場企業は経営体制や管理体制が未整備であることが多く、そのためコーポレート・ガバナンスが機能しなかったり、内部統制上の不備が生じてしまうことで、その事業の継続性に重大な影響をもたらすことがあります。
当社グループでは、有望企業を厳選し、1社あたりの投資金額と保有シェアを高め、投資先会社への経営関与を強化しています。
当社グループにおける投資判断は、日本・アジア・米国の拠点ごとに設けた所定の委員会において行っています。そこでは、投資検討先が対象とする市場の成長性、製品/サービスの革新性や競争力といった事業性、マネジメントチームの評価、投資採算や投資条件、想定する投資後の企業価値向上策やEXIT戦略、さらにはリスクや事業のサステナビリティなどの観点から議論を行った上で投資の可否を決定します。
しかしながら、シード・アーリーステージ段階にある企業の潜在力を見極めることは容易ではなく、高い潜在成長力を有する企業への投資機会を逸した結果、当社グループ及びファンドが大きな投資収益をあげることができない可能性があります。
投資後は、成長ステージなど投資先企業ごとの状況に応じて、人材採用、営業・マーケティング、大手企業との資本・業務提携、管理体制整備・上場準備、追加の資金調達といった面でのサポートを提供しています。その際、当社グループが培ってきた豊富なリソースとネットワークの蓄積を活用します。このようにして投資先の事業の成長と企業価値の向上を図り、キャピタルゲインと投資倍率の向上に努めています。
また、投資先企業の事業が当初の計画通りに進捗せず、財務状況が悪化した結果、他社への事業売却、倒産等に至り、投資資金が全く回収できない場合もあります。さらに、投資先企業の株式上場や第三者との組織再編、事業売却等M&A等による出口が保証されているものではなく、株式上場やM&A等があった場合であっても、その株式等を、投資コストを上回って売却できる保証はありません。加えて、未上場株式等は、上場株式等に比べ、発行体情報の正確性が保証されておらず、流動性が著しく劣る等の性質があるため、未上場段階で売却を行う場合には、その価格が想定を大きく下回ることがあります。未上場株式等への投資にはこうしたリスクが存在することから、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)専業であること
当社グループは、ファンドの管理運営、日本・アジア・米国での未上場株式投資に経営資源を集中し事業活動を行っており、現状では未上場株式投資以外に事業を拡大することは考えておりません。2018年3月に導入したパートナーシップモデルを進化させ、これまでに蓄積してきた組織基盤との協働を図りながら、投資運用力の向上によるファンドパフォーマンスの向上やファンド募集力の強化を目指しています。しかし、当業界は世界の政治・経済・社会の情勢変化や世界各国の株式市場・IPO市場の影響を強く受ける業態であるため、このような変化等が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)競合
当社グループの主たる業務である未上場株式投資では、当社グループに類する専業のベンチャーキャピタルや、事業会社によるいわゆるコーポレートベンチャーキャピタルといった競合他社との間で、有望な未上場企業への投資案件獲得競争が激しさを増しております。当社は、2018年3月に導入したパートナーシップモデルを進化させ、同時にこれまでに蓄積してきた組織基盤やネットワークも活用して投資先企業の成長をサポートすることで競合他社との差別化を図り、ファンドパフォーマンスの向上を目指しています。
こうした当社の投資スタンスをスタートアップを率いる起業家に訴求するため、2020年10月より「起業家のいちばん近くに」というブランドスローガンと「& JAFCO」というコンセプトワードを掲げています。当社HPでは、オウンドメディア等を通じて、投資先企業、当社の投資活動やビジネスディベロップメントの取り組みを紹介しています。
しかし、こうした競合状況により有望企業への投資機会を逸した場合や、必ずしも当社グループが望む条件ではない場合は、十分なキャピタルゲインをあげることができず、ファンドのパフォーマンスに影響し、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)株価下落
投資先企業のIPO後は、株式市況、取得コストや保有残高、株価、出来高の動向、当該投資先企業の事業の状況、当該株式を保有するファンドの契約期間等を総合的に勘案しながら、当社グループ及びファンドが保有する株式を売却しています。また、買い手となる機関投資家との間で証券会社を介して諸条件が折り合った場合、「ブロックトレード」と呼ばれる相対取引等により一定程度まとまった株数を売却することもあります。
しかし、保有する上場株式の株価の下落は、ファンドのパフォーマンスならびに当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、厳選集中投資により当社グループ及びファンドによるIPO時点の持株比率が比較的高い水準である場合は、株価下落による悪影響が一層大きくなる可能性があります。
(6)為替レートの変動
当社グループは、日本だけでなく、アジア・米国を主とする海外での地域分散投資を行っております。こうした海外投資により保有する資産は、米ドルを中心とする外貨建であるため、為替レートの変動は、ファンドのパフォーマンスに影響します。当社グループが運用する未上場企業投資ファンドは、通常3年前後の期間をかけて海外投資を含む投資先企業の組入れを行います。また、組入れ後の海外投資先企業の株式売却及び当該売却代金の分配は、ファンド運用期間(通常10年間)満了までの期間にわたって行われます。その結果、海外投資により外貨建て資産を保有する際及び当該外貨建て資産を流動化する際の為替レートについては、一定期間に渡る分散が行われることになります。しかしながら、未上場株式等への投資は、多くが投資からEXITまで数年程度の期間を要し、その間の為替レートの変動の影響を完全に払拭することは困難であり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)ファンド募集
当社グループにおける投資は、基本的にファンドの資金を使って行っております。当社ファンドの出資者は主に、運用を目的とする金融機関等の機関投資家層や、スタートアップとの接点を求める事業会社です。ファンド出資者に対しては、ファンドの運用状況、投資先企業の事業の状況等に関する定期的なレポートを送付するほか、出資者のニーズに応じて随時面談し、コミュニケーションを図っています。こうして、運用の透明性を確保するとともに、出資者が必要としている情報を提供することで、信頼関係の醸成に努めています。
ファンド募集と出資者対応を主な業務とする当社のファンド運用部は、投資先企業の製品・サービスの紹介や、セミナー等のイベント開催など多様な接点を通じて、ファンドの社会的意義、当社の投資活動やファンド運用に対する理解を深めてもらう機会をつくり、潜在的なファンド出資者層を開拓しています。
ファンド募集は、新規投資の組入期間に合わせて、3年から4年の周期で行うこととしており、2023年3月期においては、主に日本国内でのベンチャー投資及びバイアウト投資を行う基幹ファンド(ジャフコSV7シリーズ)ならびに台湾の投資ファンドを設立しています。
こうしたファンド募集力向上の取り組みにもかかわらず、政治・経済・社会情勢その他ファンド募集に係る環境の悪化、ファンドパフォーマンスの低迷、ファンド条件や管理運営手法に対するファンド出資者ニーズとの乖離といった要因により、今後のファンド募集においてファンド出資者から十分な資金を集めることができない場合、投資活動に支障をきたす可能性があるほか、管理報酬が減少し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は当社グループが運営管理するファンドに一定の自己資金を出資することで、継続安定的にファンドを組成してリスクマネーの供給という社会的使命を果たすとともに、当社自身もキャピタルゲインを獲得してきました。2023年3月末時点の当社のファンド出資比率は40%程度ですが、新設ファンドサイズを対象マーケットにあわせて段階的に拡大させる一方で、当社の出資比率は段階的に低減させ、中長期的には新設ファンドへの当社出資比率を20%にすることで、資本効率を向上させることを目標としています。しかし、外部投資家からの出資額を想定どおりに増やすことができない場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報の管理
当社グループが保有する取引先の重要な情報及び個人情報の管理については、情報管理規程、プライバシーポリシー及び各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティ強化等、情報管理体制の整備を行っております。世界的にサイバー攻撃の脅威が高まる中、当社グループでは、ファイアウォールの整備、マルウェア対策やデータ暗号化といったサイバーセキュリティ対策を実施・強化しております。また、ペーパーレス化を積極的に推進することで役職員が書類を社外に持ち出す機会を減らし、重要書類の紛失リスク低減を図っております。さらに、役職員に対し通達や研修等を通じて情報セキュリティに関する意識の涵養に努めております。しかし、今後、外部からの不正アクセス、役職員その他の関係者の悪意または過失による流出等といった事態によりこうした情報が漏洩した場合は、損害賠償請求や社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)法的規制
当社グループは、ファンドの運営管理、未上場株式投資を日本・アジア・米国を中心に行っており、その活動にあたっては日本及び各関係国の種々の法的規制(会社法・独占禁止法・租税法・金融商品取引法・投資事業有限責任組合契約に関する法律・外国為替管理法・マネロン対策関連・財務会計関連等)を受けることとなります。当社グループでは、管理部門を中心とする関係部署が業務に係る法的規制の導入・改廃に関する情報収集と対応を行っております。しかし、法的規制が及ぶことにより当社グループの活動が制限される場合及びこれら規制との関係で費用が増加する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)法令違反等
当社グループでのコンプライアンスに係る情報は、コンプライアンスへの取り組み全般を統括するコンプライアンス・オフィサーに集約されます。また、各部門の長が担当部門におけるコンプライアンス責任者として日常におけるコンプライアンスを推進し、統括部署としての管理部がその取り組みを支援・管理するとともに、内部監査部門がこうした状況を監査します。また、管理部門は法令等の制定・改廃に関する役職員への情報発信や、コンプライアンスに係る研修や勉強会を実施しています。万が一法令や社内規則等に抵触する事案や事務事故等が発生した場合は、コンプライアンス・オフィサーとコンプライアンス統括部署に情報集約した上で、当面の善後策の検討・実施と再発防止の徹底を図ります。さらに、コンプライアンスに係る事項の通報制度として、コンプライアンス・オフィサー、管理部門および独立社外取締役を通報窓口とする「ジャフコホットライン」を設置しています。
こうした取り組みにもかかわらず、当社グループ及びその役職員が、投資活動における関連法規や各種の契約等への違反、ファンドの無限責任組合員又はゼネラルパートナーとしての善管注意義務違反、又は業務上の過誤や不祥事等により、投資先企業、ファンド出資者その他の第三者に損害を与えた場合は、当該損害に対する賠償責任を当社グループが負う可能性があります。さらに、こうした法令違反等による社会的信用の低下や監督当局の行政処分等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)役員派遣
当社グループは、投資先企業の価値向上のため、役職員を投資先企業の役員として派遣することがあります。しかし、その役職員個人に対し役員損害賠償請求等があった場合、当社グループによるその個人に生じた経済的損失の全部又は一部の負担、当社グループの使用者責任や社会的信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、投資先企業において可能な範囲で会社役員賠償責任保険(D&O保険)の付保や責任限定契約を締結するとともに、当社加入のD&O保険では役員派遣されている役職員も補償対象に加えておりますが、当社グループの業績及び財政状態への悪影響を完全には回避できない可能性があります。
(12)有能な人材の確保や育成
当社グループの将来の成長と成功は、その事業の特性上有能なベンチャーキャピタリスト等の人材に大きく依存します。当社では、継続的に行ってきた新卒採用と、積極的なキャリア採用活動により人材を獲得し、若手職員についてはインストラクターやメンターとして任命した役職員がサポートするなど、OJTを中心にその育成に取り組んでいます。2018年3月よりパートナーシップモデルを導入し、実績ある個人(パートナー)が投資運用の重要な意思決定を行い、ファンドパフォーマンスにコミットするとともに、ファンドの運用成果を個人が享受できる仕組みとしました。あわせて、投資の成果に対する直接・間接の貢献に応じ、職員が成果配分を受ける制度を設けています。また、フルフレックスタイム制、オフィスのフリーアドレスやリモートワークの推進、副業を推奨するなど柔軟性が高いワークスタイルを導入するとともに、職員の健康面や人事制度面においても各種施策に取り組んでおります。さらに、当社グループの強みを継続させるためカルチャーの醸成・浸透を図り、職員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮できるよう取り組んでおります。こうした制度・施策を実施することで、多様なかつ優秀な人材の確保・育成に努めております。
これらの取り組みにもかかわらず、有能な人材を確保できなかった場合には、当社グループの将来の成長、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、有能な人材を確保・育成し定着させるためには費用が増加する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)感染症や自然災害の影響
新型コロナウイルス感染症は、国内において2023年5月より感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同等の「5類感染症」に見直され、経済活動の再開や回復が続いています。
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の拡大に対し、役職員や顧客等の健康と安全を最優先して感染拡大防止を図るとともに、投資先企業の資金調達、コスト削減、収益計画の抜本的見直し等に、投資先の経営陣らとともに取り組みました。
しかし、新たな変異株の出現・拡大等により新型コロナウイルス感染症の影響が再拡大・長期化し、売上減少や資金調達難という影響を受ける投資先企業が再び増える場合は、当社グループで投資損失引当金を繰入れるケースが増加するリスクや、投資先企業のIPO、M&AなどのEXITが低迷するリスクがあります。
また、感染症の流行のほか、地震・台風等の自然災害やテロ活動等により人的・物的損害やシステム障害といった事象が発生し、当社や投資先企業等の事業活動に制約が生じる可能性があります。当社では事業の継続のため情報システムのクラウド化などの措置を図っていますが、こうした事態がファンドのパフォーマンスに影響し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)ESG関連
企業経営や投資活動において環境、社会、ガバナンス(以下「ESG」)やサステナビリティの観点が重要視され、当社においても継続的に取り組んでいくことが求められます。
当社は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」にあるようなサステナビリティに関する取り組みを行っております。しかし、こうした取り組みの効果が十分に発揮されず、当社におけるESG投資や、サステナビリティ実現への取り組み、ひいては当社のESG関連リスクへの対応が脆弱であると認識された場合、当社のステークホルダーからの支持が得られずに、ファンド募集や投資活動、人的資本の確保に悪影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社はまた、TCFD提言への賛同を表明し、今後、重要なグローバル課題の一つである気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、TCFD提言に沿ったリスクの評価・管理や適切な情報開示に努めます。しかし、こうした開示が十分でないとみなされた場合は、当社グループの企業価値の毀損につながるおそれがあり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
(1)連結経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、売上高14,073百万円(前期27,677百万円、増減率△49.2%)、営業利益△4,414百万円(前期16,876百万円)、経常利益△3,048百万円(前期18,360百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益40,571百万円(前期15,080百万円、増減率169.0%)となりました。
当連結会計年度における当社グループの投資先の新規IPOは5社(国内5社、海外なし)でありましたが、厳しい市場環境の影響を受け、投資倍率は低下しキャピタルゲインは低水準にとどまり、また、投資損失引当金の繰入も増加しました。
当連結会計年度において当社が保有する株式会社野村総合研究所の全株(普通株式 23,968,100株、ただし単元未満株を除く。)を売却しました。これにより、売却益63,796百万円(うち特別利益62,783百万円)を計上しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態について、当連結会計年度において当社が保有する株式会社野村総合研究所の全株を売却した一方、自己株式17,002,200株(取得価額42,384百万円)を取得したことから、資産・負債・純資産が減少しております。
2021年10月22日開催の取締役会決議に基づき2022年4月1日から2022年4月4日までに自己株式384百万円、2022年12月21日開催の取締役会決議に基づき、自己株式の公開買付けによって、自己株式42,000百万円の取得を実行しました。
また、2022年4月22日開催の取締役会決議に基づき2022年5月10日付で7,630,000株、2023年2月16日開催の取締役会決議に基づき2023年3月1日付で17,220,000株の自己株式の消却を実施したことから、利益剰余金及び自己株式が58,318百万円減少しました。
当社グループはファンド運用事業の単一セグメントであります。
②キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは7,245百万円のキャッシュアウトフロー(前期12,958百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に営業投資有価証券の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは69,640百万円のキャッシュインフロー(前期748百万円のキャッシュインフロー)となりました。これは主に投資有価証券の売却等による収入によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは46,225百万円のキャッシュアウトフロー(前期43,474百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に自己株式の取得による支出によるものであります。
これらの結果、現金及び現金同等物は16,878百万円増加し、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は69,481百万円(前期末52,603百万円)となりました。そのうち8,491百万円(前期末8,838百万円)はファンド出資持分であります。また、当社グループが管理運営するファンドに対して当社グループが出資金として今後支払を約束している金額は、当連結会計年度末で40,868百万円(前期末28,125百万円)であります。
(2)生産、受注及び販売の実績
営業投資活動の状況
当社グループは、下図のとおり、原則としてファンド(下図①)の資金により、国内外の有望未上場企業等への投資を行っております。
ファンドにおける営業投資有価証券の売却損益等は、ファンドの出資持分に応じて、当社グループに直接帰属いたします。また、当社グループは、ファンドから契約に基づいて管理運営に対する管理報酬と投資成果に対する成功報酬を受領しております。
連結貸借対照表の営業投資有価証券残高は、ファンドの当社グループ出資持分(下図②)に応じた営業投資有価証券残高と当社グループ(下図③)の営業投資有価証券残高の合計額であります。
次ページ以降の「投資実行額」「投資残高」につきましては、当社グループの営業投資活動(投資及びファンドの管理運営)を表すため、ファンド(下図①)と当社グループ(下図③)を合算した投資活動の状況を記載しております。
(注)用語説明
|
名 称 |
定 義 |
|
ファンド |
当社グループが管理運営するファンド(投資事業有限責任組合契約に関する法律上の組合、外国の法制上のリミテッドパートナーシップ等) |
|
当社グループ |
当社及び連結子会社 |
①投資実行状況
①-1 エクイティ投資実行額:業種別
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
|
金 額 |
金 額 |
|
エレクトロニクス |
1,917 |
293 |
|
ソフトウェア |
1,860 |
1,621 |
|
ITサービス |
27,138 |
21,631 |
|
医療・バイオ |
1,484 |
1,580 |
|
サービス |
500 |
6,149 |
|
製造業 |
3,740 |
4,360 |
|
流通・小売・外食 |
300 |
6,017 |
|
住宅・金融 |
111 |
136 |
|
合計 |
37,053 |
41,790 |
①-2 エクイティ投資実行額:地域別
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額 |
社数 |
金額 |
社数 |
|
|
日本 |
23,216 |
56 |
27,873 |
47 |
|
米国 |
7,775 |
16 |
8,630 |
16 |
|
アジア |
6,060 |
21 |
5,286 |
22 |
|
合計 |
37,053 |
93 |
41,790 |
85 |
(注)1.「投資実行額」は、当社グループ及びファンドの投資実行額の合計であります。
2.外貨建の「投資実行額」については、四半期連結会計期間ごとにそれぞれの四半期末為替レートで換算した額を合計しております。
3.日本のベンチャー投資部門が担当する海外投資先は日本に含めております。
②投資残高
②-1 投資残高
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
||
|
金 額 |
社 数 |
金 額 |
社 数 |
|
|
上場 |
4,698 |
33 |
7,332 |
33 |
|
未上場 |
185,347 |
236 |
217,696 |
261 |
|
合計 |
190,046 |
269 |
225,028 |
294 |
②-2 未上場エクイティ投資残高:業種別
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
|
|
金 額 |
金 額 |
|
エレクトロニクス |
8,561 |
9,030 |
|
ソフトウェア |
9,893 |
11,710 |
|
ITサービス |
124,679 |
140,725 |
|
医療・バイオ |
8,451 |
9,690 |
|
サービス |
14,369 |
19,004 |
|
製造業 |
11,877 |
15,323 |
|
流通・小売・外食 |
5,348 |
9,804 |
|
住宅・金融等 |
2,166 |
2,406 |
|
合計 |
185,347 |
217,696 |
②-3 未上場エクイティ投資残高:地域別
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
|
|
金 額 |
金 額 |
|
日本 |
110,201 |
129,940 |
|
米国 |
50,314 |
61,698 |
|
アジア |
24,831 |
26,057 |
|
合計 |
185,347 |
217,696 |
(注)1.「投資残高」は、当社グループ及びファンドの投資残高の合計であります。
2.「投資残高」は取得原価で表示しております。
3.外貨建の「投資残高」については、各連結会計年度末為替レートで換算しております。
4.日本のベンチャー投資部門が担当する海外投資先は日本に含めております。
③ファンドの運用状況
当連結会計年度に設立したジャフコSV7シリーズは、募集活動を継続しており、2023年3月末コミットメント総額は74,400百万円であります。なお、ジャフコSV7シリーズ全体のファンド総額は、前回SV6シリーズの総額80,000百万円を上回る金額(上限額95,000百万円)を目標としております。また、第3四半期連結会計期間において設立した「JAFCO Taiwan II Venture Capital Limited Partnership」は、2023年3月末コミットメント総額は、501百万台湾ドルであり、募集活動を継続中であります
|
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
|||
|
ファンド数 |
コミットメント 総額 |
ファンド数 |
コミットメント 総額 |
||
|
円建 |
|
|
(百万円) |
|
(百万円) |
|
運用中 |
11 |
215,000 |
11 |
229,400 |
|
|
延長中 |
- |
- |
5 |
60,000 |
|
|
小計 |
11 |
215,000 |
16 |
289,400 |
|
|
米ドル建 |
|
|
(千米ドル) |
|
(千米ドル) |
|
運用中 |
7 |
843,656 |
5 |
654,978 |
|
|
延長中 |
2 |
44,700 |
4 |
235,700 |
|
|
小計 |
9 |
888,356 |
9 |
890,678 |
|
|
台湾ドル建 |
|
|
(百万台湾ドル) |
|
(百万台湾ドル) |
|
運用中 |
1 |
2,006 |
2 |
2,507 |
|
|
小計 |
1 |
2,006 |
2 |
2,507 |
|
|
合計 |
|
|
(百万円) |
|
(百万円) |
|
運用中 |
19 |
326,780 |
18 |
327,764 |
|
|
延長中 |
2 |
5,470 |
9 |
91,473 |
|
|
合計 |
21 |
332,251 |
27 |
419,237 |
|
コミットメント総額に占める 当社グループの 出資持分割合 |
40.9% |
40.1% |
(注)1.「コミットメント総額」は、契約上出資が約束されている額の総額であります。
2.合計欄における外貨建「コミットメント総額」は、各連結会計年度末為替レートで換算しております。
④投資先会社IPO(新規上場)の状況
前連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)
|
|
投資先会社名 |
上場年月日 |
上場市場 |
事業内容 |
本 社 所在地 |
|
国内:4社 |
ビジョナル㈱ |
2021年4月22日 |
マザーズ (現 グロース) |
HR Techプラットフォーム、HR SaaS、事業承継M&A、SaaSマー ケティング、サイバーセキュリティ、物流DXプラットフォーム等 |
東京都 |
|
ワンダープラネット㈱ |
2021年6月10日 |
マザーズ (現 グロース) |
エンターテインメントサービス事業 |
愛知県 |
|
|
㈱Photosynth |
2021年11月5日 |
マザーズ (現 グロース) |
Akerun入退室管理システム等のクラウド型IoTサービスの開発・提供 |
東京都 |
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㈱Finatextホールディングス |
2021年12月22日 |
マザーズ (現 グロース) |
次世代ウェルス・マネジメント・サービスの開発、提供 |
東京都 |
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海外:2社 |
PLAYSTUDIOS, Inc. |
2021年6月22日 |
NASDAQ |
オンラインゲーム開発・提供 |
米国 |
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Confluent, Inc. |
2021年6月24日 |
NASDAQ |
イベントストリーミングプラットフォームの提供 |
米国 |
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)
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投資先会社名 |
上場年月日 |
上場市場 |
事業内容 |
本 社 所在地 |
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国内:5社 |
マイクロ波化学㈱ |
2022年6月24日 |
グロース |
マイクロ波化学プロセスを用いた製造・販売及びライセンス事業 |
大阪府 |
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㈱エアークローゼット |
2022年7月29日 |
グロース |
インターネットを用いたファッションのスタイリングおよびレンタルサービス「airCloset」の運営 |
東京都 |
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リンカーズ㈱ |
2022年10月26日 |
グロース |
事業パートナー・サプライヤーの探索サービス「Linkers」の運営 |
東京都 |
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note㈱ |
2022年12月21日 |
グロース |
個人/法人クリエイターの作品配信メディアプラットフォームの運営 |
東京都 |
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AnyMind Group㈱ |
2023年3月29日 |
グロース |
ワンストップ型次世代コマース・イネーブルメント・プラットフォームの開発、運営 |
東京都 |
(注)海外企業の本社所在地は、主たる営業地域又は実質的な本社所在地を基準に記載しております。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。 これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。
当社の連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
「(1)連結経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通り、当年度の当社グループの売上高は14,073百万円(前期比49.2%減)、営業利益は△4,414百万円(前期16,876百万円)となりました。営業外収益は、為替差益、他社ファンド運用益の減少等により、1,505百万円(前期比4.8%減)となりました。また、営業外費用は、自己株式取得費用等により、139百万円(前期比43.8%増)となりました。この結果、経常利益は△3,048百万円(前期18,360百万円)となりました。特別利益は、投資有価証券売却益、償却債権取立益により、64,417百万円(前期186百万円)となりました。特別損失の計上はありませんでした(前年度の特別損失の計上もありません)。税効果会計適用後の法人税等は20,797百万円(前期比499.8%増)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は40,571百万円(前期比169.0%増)となりました。
b.財政状態
当連結会計年度末における当社グループの財政状態は、流動資産156,079百万円(前期比16.1%増)、固定資産3,767百万円(前期比96.2%減)、流動負債25,678百万円(前期比462.7%増)、固定負債3,423百万円(前期比89.0%減)、純資産は130,745百万円(前期比33.8%減)となり、総資産は159,847百万円(前期比31.4%減)となりました。
流動資産については、現金及び預金が主に投資有価証券の売却により前年度から16,878百万円、営業投資有価証券は投資の進捗により前年度から10,350百万円増加しています。固定資産については、投資有価証券の売却による減少により前年度から94,848百万円減少しています。流動負債については、未払法人税等が前年度から21,455百万円増加し、固定負債については繰延税金負債が前年度から27,634百万円減少しております。純資産のうち、自己資本については、2021年10月22日開催の取締役会決議に基づき、2022年4月1日から2022年4月4日までに自己株式384百万円、 2022年12月21日開催の取締役会決議に基づき、自己株式の公開買付けによって、自己株式42,000百万円の取得を実行しました。また、2022年4月22日開催の取締役会決議に基づき2022年5月10日付で7,630,000株、2023年2月16日開催の取締役会決議に基づき2023年3月1日付で17,220,000株の自己株式の消却を実施したことから、利益剰余金及び自己株式が58,318百万円減少しました。
これらの結果、当連結会計年度末において、利益剰余金は前連結会計年度末から21,431百万円減少し、自己株式は16,153百万円減少しております。
c.キャッシュ・フローの状況
「(1)連結経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。
d.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等に特に重要な影響を与える要因である、投資実行、キャピタルゲイン、投資損失引当金、営業投資有価証券の残高、ファンドの管理運営業務の各状況に関する認識及び分析・検討は次の通りです。
(投資実行の状況)
「(2)生産、受注及び販売の実績 ①投資実行状況」に記載の通り、当連結会計年度の当社グループ及びファンドの投資実行額は、41,790百万円(前期37,053百万円)、投資会社数は85社(前期93社)となりました。事業承継ニーズの増加等を背景に国内バイアウト投資を中心に投資が進捗しました。
当連結会計年度の国内ベンチャー投資における業種分類では、引き続きインターネットスペースの投資先が大半となっています。IT関連の投資先の比率が高まっていますが、ITサービスの中には、最新のテクノロジーにより様々な既存産業のビジネスモデルを変えていくようなスタートアップが数多く含まれています。
また、新規投資のステージでは、創業期のシードや、事業の立ち上げ時期のアーリーステージがほとんどで
す。その大半がインターネットスペースにあります。事業の立ち上げ方次第で、スタートアップの変化率は
非常に高いものになります。一方で、競合先も多く立ち上げの遅れが致命傷になりかねません。当社は、投
資先の「CO-FOUNDER」として、事業の構想段階から関わり、起業家とともに事業の成長に踏み込んでいきます。
(キャピタルゲインの状況)
当連結会計年度における当社グループの投資先の新規IPOは5社(国内5社、海外なし)でありましたが、厳しい市場環境の影響を受け、投資倍率は低下し、キャピタルゲインは低水準にとどまりました。前連結会計年度には大型の新規IPOがあったこともあり、キャピタルゲインは対前期比で大幅に減少しました。
高水準のファンドパフォーマンスを長期にわたって継続していくことが、当社の経営における最大のテーマです。今後もIPOの数にこだわることなく、大きなキャピタルゲインを伴うIPOやM&A等のEXITを追求していきます。各年度の業績は、大型のEXITの実現数により大きく変動するものの、運用中の各ファンドのパフォーマンスを継続的に高めていくことが、当社の長期的な好業績につながっていきます。
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度(A) (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度(B) (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
対前期比(%) (B)/(A) |
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金 額 |
金 額 |
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営業投資有価証券 売上高① |
20,257 |
9,665 |
47.7 |
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売却高 |
20,147 |
9,523 |
47.3 |
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配当金・債券利子 |
109 |
142 |
130.7 |
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営業投資有価証券 売上原価② |
7,619 |
5,981 |
78.5 |
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売却原価 |
6,848 |
5,508 |
80.4 |
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強制評価損 |
770 |
473 |
61.4 |
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キャピタルゲイン①-② |
12,638 |
3,684 |
29.2 |
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投資倍率①÷② |
2.66 |
1.62 |
- |
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上場キャピタルゲイン |
12,596 |
3,026 |
24.0 |
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上場以外キャピタルゲイン |
41 |
658 |
1,586.4 |
|
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売却益 |
3,142 |
2,153 |
68.5 |
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売却損 |
3,100 |
1,495 |
48.2 |
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(投資損失引当金の状況)
当連結会計年度においては、金融環境の悪化やEXITマーケットが低迷する想定を織り込んだ投資損失引当金 を第4四半期に大幅に計上した結果、投資損失引当金の繰入が取崩を大きく上回り、投資損失引当金残高は増加し ております。未上場営業投資有価証券残高に対する引当率も増加いたしました。
なお、一括引当金は残高が僅少になったため、当連結会計年度末において全額取り崩しました。
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度(A) (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度(B) (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
対前期比(%) (B)/(A) |
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金 額 |
金 額 |
|||
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投資損失引当金繰入額① |
1,108 |
7,853 |
708.4 |
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個別繰入額 |
1,137 |
7,969 |
700.5 |
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一括繰入(△取崩)額 |
△29 |
△116 |
- |
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投資損失引当金取崩額② |
3,094 |
2,369 |
76.6 |
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投資損失引当金繰入額 (純額・△は戻入額) ①-② |
△1,985 |
5,484 |
- |
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
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金 額 |
金 額 |
||
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投資損失引当金残高 |
8,969 |
14,490 |
|
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個別引当残高 |
8,853 |
14,490 |
|
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一括引当残高 |
116 |
- |
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未上場営業投資有価証券残高に対する引当率 |
12.1% |
17.0% |
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(営業投資有価証券残高の状況)
新規投資、追加投資ともに堅調に積み上がったことにより、ファンド投資を通じた投資残高における当社の持
分も増加しています。上場した投資先の含み益は10,809百万円(前期末12,510百万円)となっています。投資先
上場株式の売却や一部株式の株価下落等により前連結会計年度より減少しています。
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
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金 額 |
金 額 |
||
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上場営業投資有価証券の取得原価と時価の差額 |
12,510 |
10,809 |
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時価が取得原価を超えるもの |
12,510 |
10,990 |
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時価が取得原価を超えないもの |
- |
△181 |
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
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金 額 |
金 額 |
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部分純資産直入法に基づく営業投資有価証券評価損(△戻入益) |
- |
181 |
営業投資有価証券残高
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
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取得原価 |
連結貸借対照表計上額 |
取得原価 |
連結貸借対照表計上額 |
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上場 |
1,755 |
14,266 |
2,462 |
13,271 |
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未上場 |
70,515 |
73,914 |
80,507 |
85,258 |
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合計 |
72,271 |
88,180 |
82,970 |
98,530 |
(ファンドの管理運営業務の状況)
前連結会計年度には大型の新規IPOがあったこともあり、成功報酬は対前期比で大幅に減少しました。管理報酬はSV7シリーズの運用開始に伴い、対前期比で増加しました。
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度(A) (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度(B) (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
対前期比(%) (B)/(A) |
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金 額 |
金 額 |
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投資事業組合管理収入 |
7,410 |
4,402 |
59.4 |
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管理報酬 |
2,949 |
3,391 |
115.0 |
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成功報酬 |
4,461 |
1,011 |
22.7 |
(注)管理報酬及び成功報酬は、当社グループの出資持分相当額を相殺した後の金額となっております。
e.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものはファンドへの投資資金、販売費及び一般管理費等であり、販売費及び一般管理費等の主なものは、人件費及び不動産費等であります。ファンドの運用資産の大半は未上場企業であり、時価もなく流動性が極めて限定されます。従って、どのような環境にあっても、継続して投資を行うために強固な財務基盤が求められます。当連結会計年度は、純資産額は130,745百万円(前期末197,390百万円)、自己資本比率については81.8%(前期末84.7%)となりました。連結貸借対照表に計上されている69,481百万円の現金及び預金の中には、各ファンドに当社が既に出資した分も含まれています。
当連結会計年度においては、2021年10月22日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得(2022年4月1日から2022年4月4日までに202,200株、取得価額384百万円)、2022年12月21日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得(2022年12月22日から2023年1月25日までを買付け期間とする公開買付けを実施し、2023年2月16日を決済日として16,800,000株、取得価額42,000百万円)を行い、2022年4月22日開催の取締役会決議に基づき2022年5月10日付で自己株式7,630,000株、2023年2月16日開催の取締役会決議に基づき2023年3月1日付で自己株式17,220,000株の消却を実施しております。後述の「株主還元についての方針」に基づき、投資継続のための必要資金を将来にわたり段階的に縮小させ、必要金額を一定程度超過する部分については自己株式取得を含めた株主還元を検討します。
株主還元についての方針
当社は、当連結会計年度において株主還元方針を見直し、以下の内容を新たな方針といたしました。
配当金については、1株当たり株主資本の期首期末の平均値の3%と当期純利益の50%のいずれか大きい金額とします。
ただし、2023年3月期の配当金に限りましては、当社株式1株当たり、以下のうちいずれか大きいほうの金額とします。
a. 150円
b. 株式会社野村総合研究所の株式売却に係る売却益も含めた2023年3月期における当社の親会社株主に帰属する当期純利益から、2022年12月21日開示の公開買付けに基づく自己株式取得額を控除した金額を、配当基準日時点の当社の発行済株式総数(ただし、同時点の当社が所有する自己株式数を除きます。)で除して計算される金額
上記の配当方針に加え、投資継続のために確保すべき必要資金600億円程度(有利子負債、未払税金、各年度 3月末においては配当支払予定額を控除した金額)を将来にわたり段階的に縮小させ、それを超える部分は自己株式取得を含めた株主還元を検討します。
f.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社グループにおける最大の経営テーマは、ファンドパフォーマンスを持続的に向上させることです。当社グループは、ファンド運用事業の単一セグメントであり、収益の源泉はファンドからの管理収入(管理報酬・成功報酬)とファンドへの直接出資持分からのキャピタルゲインであることから、運用中の各ファンドのパフォーマンスを高めていくことが、中長期的な好業績の継続につながっていきます。
当社は、以下をファンドパフォーマンスの具体的な目標としております。
グロス倍率(売却金額(未売却投資先の評価金額を含む)÷投資金額)2.5倍以上
ネット倍率((分配金累計額+純資産額)÷払込済出資金額)2.0倍以上
また、運用中(延長中を含む)の主な国内ファンドのパフォーマンスは次の通りです。
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ファンド |
設立年月 |
出資金 総額 (億円) |
払込済 出資金額 (億円) |
分配金 累計額 (億円) |
純資 産額 (億円) |
グロス倍率 (倍) |
ネット倍率 (倍) |
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2023年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
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SV-4(B) |
2013年3月 |
291 |
291 |
469 |
64 |
2.15 |
2.21 |
1.79 |
1.84 |
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SV-5(B) |
2016年8月 |
498 |
473 |
58 |
345 |
1.03 |
0.98 |
0.92 |
0.85 |
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SV-6 |
2019年6月 |
640 |
595 |
- |
512 |
1.01 |
0.97 |
0.91 |
0.86 |
(注)純資産額において、未売却投資先の評価については、上場株式は期末日の時価で評価しており、外貨建の上場株式は期末日の為替レートで換算しております。未上場投資先については、時価算定会計基準の適用に伴い、新株予約権付社債、新株予約権等の株式以外の投資等は時価で評価し、未上場株式は、マークアップ(未実現評価益の計上)せず、マークダウン(未実現評価損の計上)のみを行っています。なお、外貨建の未上場株式についても期末日の為替レートで換算しております。
g.セグメントごとの財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、ファンド運用事業の単一セグメントであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。