Ⅰ 業績
株式会社TKCおよびその連結子会社等5社を含む連結グループの当期における経営成績は、売上高が57,750百万円(前期比5.1%増)、営業利益は7,642百万円(前期比13.4%増)、経常利益は7,604百万円(前期比8.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,770百万円(前期比18.9%増)となりました。
当期の売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、前期実績を超えると同時に過去最高を更新する結果となりました。その主たる要因は、前期に引き続き会計事務所事業部門および地方公共団体事業部門の両部門においてクラウドサービスの受注が順調に伸展したこと、また、地方公共団体事業部門においてマイナンバー制度の開始に伴う情報セキュリティー対策の強化(庁内ネットワークのセキュリティー強化)に関する受注があったことなどが挙げられます。
当期における部門別の売上高等の推移は以下のとおりです。
1.当社グループの通期業績の推移
(1)会計事務所事業部門の売上高の推移
①会計事務所事業部門における売上高は40,636百万円(前期比4.0%増)、営業利益は6,479百万円(前期比16.1%増)となりました。
②コンピューター・サービス売上高は、前期比4.0%増となりました。これは、中堅企業向け統合型会計情報システム「FX4クラウド」、およびマイナンバーの適切な管理を支援する「PXまいポータル」、ならびに「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」などのクラウドサービスの利用者数が伸展したことによるものです。
③ソフトウエア売上高は、前期比7.4%増となりました。これは、FX4クラウドおよびe21まいスターも利用者数が伸展したことによるものです。
④コンサルティング・サービス売上高は、前期比10.1%減となりました。これは、FX4クラウド等の利用者数が伸展したことに伴い、クライアント・サーバー型システムに関わる立ち上げ支援料およびハードウエア保守料収入が減少したことによるものです。
⑤パソコン、サーバー等のハードウエア売上高は、前期比3.0%増となりました。これは、第1四半期から取り扱いを開始したWindows10搭載パソコンの販売台数が増加したことによるものです。
(2)地方公共団体事業部門の売上高の推移
①地方公共団体事業部門における売上高は13,455百万円(前期比7.9%増)、営業利益は1,016百万円(前期比7.7%減)となりました。
②コンピューター・サービス売上高は、前期比1.3%増となりました。これは、「新世代TASKクラウド」の顧客団体数の伸展に伴い、利用料が増加したことによるものです。
③ソフトウエア売上高は、前期比4.2%増となりました。これは、マイナンバー制度開始に伴う住基システムの改修および介護保険制度改正に対応したシステムの開発・提供に加えて、平成27年4月から施行された子ども・子育て支援新制度に伴い「子ども・子育て支援システム」の利用団体数が増加したこと、および新世代TASKクラウドを利用する顧客団体数の増加によるものです。
④コンサルティング・サービス売上高は、前期比36.1%増となりました。これは、地方税電子申告審査サービスの審査サーバーの更改および同サービスの機能拡張に伴う導入支援に関する売上高が増加したことによるものです。
⑤パソコン、サーバー等のハードウエア売上高は、前期比29.7%増となりました。これは、マイナンバー制度の開始に伴い、顧客団体において情報セキュリティー体制の強化が求められたことにより、サーバーやネットワーク機器等の販売台数が増加したことによるものです。
(3)印刷事業部門(子会社:東京ラインプリンタ印刷株式会社)の売上高の推移
①印刷事業部門における売上高は3,658百万円(前期比8.0%増)、営業利益は143百万円(前期比166.0%増)となりました。
②データプリントサービス関連商品の売上高は、前期比22.3%増となりました。これは、大手企業からのDM作成などの大口受注を獲得したこと、および参議院選挙や都知事選など官公庁からの受注が増加したことによるものです。
③ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比7.0%減となりました。これは、ビジネス帳票の需要減退が続いていることに加え、前期にあった官公庁からの大口スポット受注が当期はなかったことによるものです。
2.全社に関わる重要な事項
(1)システム・エンジニアリング・センター(SEC)ビルの完成
当社は平成28年4月5日、栃木本社敷地内にSECビル(地上4階建、延床面積3,871.3平方メートル)を完成しました。当ビルはシステム開発における技術研究やTKCインターネット・サービスセンター(TISC)の運営、社員の教育の拠点として4月11日より運用を開始しました。
(2)熊本地震への対応
平成28年4月に熊本県と大分県で相次いで発生した熊本地震により、当社のお客さまである会計事務所とその顧問先企業、またアライアンスパートナーを通じて当社システムを利用される市町村が大きな被害を受けました。なお、当社においても営業所(熊本SCGサービスセンター)が被災しましたが、人的な被害はありませんでした。
今回の地震発生に伴い、当社では被災したお客さまの復旧・復興を支援するため、以下の支援活動を行いました。
①当社社員およびお客さまの安否確認と被災状況の把握
②被災したTKC全国会会員への見舞金の支払い
③社員有志および当社から、義援金1,000万円を拠出
④被災したTKC全国会会員の業務再開を支援
⑤アライアンスパートナーへの支援の申し入れ
⑥被災により会計帳簿等を消失した企業に対する、会計帳簿等の無償再出力
⑦パソコン等の無償貸与
⑧平成28年4月分請求の1カ月繰り延べ
3.会計事務所事業部門の事業内容と経営成績
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、お客さまである税理士または公認会計士(以下、TKC会員)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
(注)TKC全国会については、『TKC全国会のすべて』またはTKCグループホームページ(http://www.tkc.jp/)をご覧ください。
(1)TKC全国会の活動について
①TKC全国会創設50周年(平成33年)に向けての政策課題と戦略目標
TKC全国会では、「TKC全国会創設50周年に向けての政策課題と戦略目標」を掲げ、TKC会員事務所数の拡大と顧問先企業数100万社を目指した戦略目標を設定するとともに、「中小企業の存続・発展の支援」に向けた積極的な取り組みを行っています。
その具体的な戦略目標は以下のとおりです。
1)TKC会員事務所数:1万超事務所
2)TKC会員事務所の税理士数:1万5,000人
3)K(継続MASシステムの徹底活用)・F(TKC自計化システムの普及)・S(税理士法第33条の2による「書面添付」の実践と「記帳適時性証明書」の決算書への積極的な添付と開示、「中小会計要領」の普及):各50万社
4)巡回監査士数:2万人
5)企業防衛加入関与先企業数:30万社
②TKC全国会の重点活動テーマ
TKC全国会では、統一行動テーマ「Chance,Change and Challenge 未来を拓く。TKC会計人の新成長戦略2021!」を掲げ、戦略目標を実現するためのロードマップを策定しました。このロードマップでは創設50周年までの期間を三つに分け、その第1ステージの期限となる平成28年12月末までの具体的な活動を以下のとおり定めています。
1)会計指導力を強化し、企業の存続発展に貢献しよう
2)書面添付を推進し、税理士業務の完璧な履行を目指そう
3)決算書の信頼性向上を図り、金融機関との連携を深めよう
4)会員数の拡大活動に参画し、組織の活性化を図ろう
こうしたTKC全国会の活動は、当社が提供するシステムやサービスの活用が前提となっています。当社ではその活動を支援し、中小企業の存続と発展に役立つコンピューター・サービス、ソフトウエアなどの開発・提供へ積極的に取り組んでいます。
(2)「TKC経営戦略2021」について
当社は、平成26年1月に「TKC経営戦略2021」を発表しました。これはTKC全国会の戦略目標達成を支援するため、当社が重点的に取り組む項目を「TKC会員事務所数1万超事務所」と「TKC自計化システム50万社」の二つとし、その具体的な施策をまとめたものです。
①「TKC会員事務所数1万超事務所」に向けた支援活動
TKC全国会では、平成29年9月末までに、TKC会員事務所数を9,501以上とするための「プロジェクト9501」へ積極的に取り組んでいます。当社ではその達成に向けてTKC全国会と緊密に連携して会員導入活動を行っています。
当期においては、未入会会計人に対してマイナンバー制度や改正消費税法、FinTechへの当社の対応を訴求し、問い合わせ等を受けた1,400名超を対象として入会促進を実施しました。
また、TKC全国会の協力の下で、中・大規模事務所や公認会計士、登録5年未満の税理士、税務官公署退官者を対象として、対象ごとに訴求点を変えた会計事務所経営セミナーを開催しました。これらセミナーには延べ約2,150名の未入会会計人に参加いただいています。特に中・大規模事務所向けのセミナーでは、企業向けFinTechサービス「銀行信販データ受信機能」や金融機関向けFinTechサービスの「TKCモニタリング情報サービス」等の活用による顧問先企業の経理業務の合理化、早期の財務情報の提供による経営者の意思決定の支援、決算書の信頼性の向上等を訴求し、220名を超える未入会会計人に参加いただきました。
こうした活動の結果、TKCの会員数は平成28年9月30日現在で1万1,000名、事務所数は約9,300事務所となっています。
②「TKC自計化システム50万社」に向けた活動
当社では、中小企業経営者によるタイムリーな経営状況の把握と経営計画の進捗状況の確認を支援する自計化システム(「FX2」と「e21まいスター」、以下FXシリーズ)の普及促進に注力しています。
当期においては、以下の推進活動を行った結果、TKC会員事務所での自計化推進活動が活発となり、年間の新規システム受注数が3万社を超えるなどの顕著な実績を残すことができました。FXシリーズは、平成28年9月30日現在で約23万社に利用いただいています。
1)中小企業のマイナンバー対応支援
平成28年1月からスタートしたマイナンバー制度を“てこ”として「戦略給与情報システム(PXシリーズ)」および、マイナンバーの適切な管理を支援するクラウドシステム「PXまいポータル」(平成27年11月提供)の利用促進を行いました。この活動は、a)TKC会員による顧問先の適切で効率的なマイナンバー制度対応支援、b)他社システムでのマイナンバー制度対応をきっかけとした顧問先の離脱防止とTKC会員事務所の収益拡大、c)PXまいポータル導入をきっかけとしたFXシリーズの導入――を実現することを目的としています。
PXまいポータルは平成28年9月30日現在で、約3万5,000社の顧問先で利用されています。
2)企業向けFinTechサービス
FXシリーズの機能強化として平成28年6月1日からTKC会員の顧問先企業向けにFinTechサービス「銀行信販データ受信機能」の提供を開始しました。これは全国で99%超の金融機関※(法人口座)や主要な信販会社から取引データを受信し、あらかじめ設定した仕訳ルールをもとに仕訳を簡単かつ正確に計上できるようにするものです。仕訳の約40%(当社調べ)を占める銀行取引に関わる経理事務の合理化を支援します。
「銀行信販データ受信機能」は、平成28年9月30日現在で約6,000社に利用されています。
※都市銀行、地方銀行、第2地方銀行、信用金庫
3)金融機関向けFinTechサービス
平成28年10月から金融機関向けFinTechサービス「TKCモニタリング情報サービス」の提供を開始しました。これは、TKC会員が行う月次巡回監査により信頼性の確保された財務データを、TKC会員事務所が顧問先からの依頼に基づいて金融機関に提供するサービスです。
その提供目的は、金融庁が「金融行政方針」(金融庁、平成27年9月公表)により「事業性評価」と「FinTech」への対応を金融機関へ求めていることを踏まえ、その対応支援を行うことで、金融機関に対してTKC会員の業務品質の高さを訴求し、相互連携を深めることにあります。
平成28年6月からは、この取り組みに先行する常陽銀行や西武信用金庫との連携に関する広報・広告活動へ積極的に取り組んだほか、全国で20の地域会とともに各地域の金融機関に対して当サービスの説明会を開催しました。この活動の結果、9月30日までに全国214の金融機関から当サービスに関する利用の意向を受け、そのうち123の金融機関から正式に申し込みをいただきました。
4)TKC方式による自計化ステップアップ研修
TKC方式による自計化の取り組みを開始したTKC会員事務所を支援するため、平成28年4月より全国56カ所で「TKC方式による自計化ステップアップ研修会」を開催しました。
この研修会は「導入編」と「運用編」6講座からなり、自計化支援、経営助言、事務所管理に役立つTKCシステムの各種機能を学ぶものです。これによりTKC自計化システムのスムーズな活用を支援し、TKC全国会が目指す「事務所総合力」の強化へ貢献することを目的としています。
当期においては、自計化推進を一気に進めるため前述の企業向けFinTechサービスの機能を当研修会で紹介するとともに、TKC会員事務所主催の「銀行信販データ受信機能立ち上げ支援研修会」の開催を支援しました。
③中堅企業に対する自計化推進活動(「FX4クラウド」の推進活動)
TKC会員の中堅優良顧問先企業の離脱防止と顧問先企業拡大の支援を目的として、年商5億~50億円規模の中堅企業向け統合型会計情報システム「FX4クラウド」を提供しています。当期においては、1)銀行信販データ受信機能の利用による経理事務の省力化、2)他社業務システムデータを読み込む、仕訳連携機能の利用による経理事務の省力化、3)多段階の部門別体系の設定による業績管理を可能とするMR設計ツールの活用――を切り口とした活動を実施しました。
また、この活動の一環としてすでに1社以上の導入経験を持つ会員事務所職員を対象として、「FX4クラウドステップアップ研修会」を開催しました。これはユーザー企業を直接支援する会員事務所の職員にシステムの導入効果を実感していただき、さらなる導入促進へつなぐことを狙いとしています。
こうした活動の結果、FX4クラウドの利用社数は平成28年9月30日現在で約9,100社となりました。
(3)「TKC全国会7000プロジェクト」への支援活動
TKC全国会では、7,000件の「経営改善計画策定支援事業」を実施することを目標として平成26年4月に「TKC全国会7000プロジェクト」を設置し、認定支援機関であるTKC会員に対して当事業への積極的な参画を勧奨してきました。その結果、これまでにTKC会員が実施した支援件数は約5,600件(平成28年9月30日現在)と利用件数全体の約5割を占め、TKC全国会に対する中小企業庁や金融機関等からの高い評価につながっています。
当社ではその活動を支援するため、「TKC7000プロジェクト推進支援本部」を設置し、信用保証協会や金融機関との関係強化の支援に努めました。
(4)「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動
当社では、TKC会員が作成する決算書の信頼性を高め、顧問先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として「記帳適時性証明書」を発行しています。これは、過去データの遡及的な加除・訂正の会計処理を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたもので、TKC会員が毎月、顧問先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを適時に完了したことを株式会社TKCが第三者として証明するものです。
この記帳適時性証明書は、全国の金融機関から高く評価され、三菱東京UFJ銀行の融資商品「極め」や商工組合中央金庫をはじめとした多くの金融機関おいて、融資や金利優遇の判断にこれを用いる融資商品が提供されています。
(5)税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)の促進
①マイナンバー制度対応支援
TKC会員事務所のマイナンバー対応を支援するため、平成27年10月に「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」を改訂し提供しました。この改訂では、マイナンバー制度にかかる法令および「特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドライン(事業者編)」に定められた特定個人情報の安全管理措置を順守できるよう、入力制限や閲覧制限、出力制限、オフライン利用権限などの仕組みを組み込むとともに、当社のデータセンターでマイナンバーを安全・安心に保管し、TKC会員事務所内のサーバーやパソコン内にマイナンバーを含むデータを残さない仕組みを構築しました。
②OMS利用促進を通じた生産性と業務品質の向上を支援
新たにTKC方式による自計化を推進する事務所を支援することを目的として、平成28年6月から「自計化ステップアップ研修(運用編)」を実施しOMSの機能を紹介するとともに、「実践事務所見学会」への参加を働きかけ、その利用を促進しています。
こうした活動の結果、OMSは平成28年9月30日現在で6,500事務所に導入されています。
(6)大企業市場における顧問先拡大支援
TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務の合理化に貢献するとともに、これらの企業をTKC会員の顧問先とするため積極的に活動しています。
上場企業を中心とする大企業市場においては、昨今の税制改正による法人税の法定実効税率の段階的な引き下げや、企業会計基準委員会より公表された「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」など複雑化する税効果計算に対する解決策、マイナンバー制度や消費税改正への対応、移転価格税制に係る文書化制度に伴い導入される多国籍企業情報の報告制度(国別報告書・マスターファイル提供義務化)への対応など、相次ぐ法・制度改正への対応が求められています。また、IFRS(国際会計基準)の任意適用要件の緩和により上場企業を中心に適用企業が増加傾向にあることや、決算早期化要請の高まり、国税関係書類のスキャナ保存制度の規制緩和に伴う証憑書類の電子保存化ニーズの高まりへの対応なども求められています。加えて、グループの成長戦略として海外展開を準備する企業が増える一方、すでに海外展開している企業では海外子会社の財務情報の適正性、正確性、迅速性などの確保が課題となるなど、海外子会社を含めたグループ業績管理体制の強化が必至となっています。
当社では、このような環境の変化を捉え、大企業向けに「TKC連結グループソリューション」(連結会計システム「eCA-DRIVER」、連結納税システム「eConsoliTax」、税効果会計システム「eTaxEffect」、法人電子申告システム「ASP1000R」、統合型会計情報システム「FX5」、電子申告システム「e-TAXシリーズ」、固定資産管理システム「FAManager」、海外ビジネスモニター「OBMonitor」ほか)を積極的に推進しています。
当期においては、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(平成28年9月30日現在の会員数は約1,240名)、TKC全国会海外展開支援研究会(平成28年9月30日現在の会員数は約430名)と連携して、「税制改正」「税務コーポレートガバナンス」「国税関係書類のスキャナ保存制度」「決算早期化」をテーマとしたセミナーや「連結納税事例」「在アジア子会社のミス・不正の発見・牽制事例」「移転価格課税に係る事例」「海外子会社の予実管理の成功/失敗事例」を紹介するセミナーを開催したほか、当社システムユーザーに対して、企業グループ全体の決算・申告に係る業務を網羅する当社システムの強みを生かしたトータル提案を実施しました。また、平成28年6月30日から「電子帳簿保存法第4条第3項(スキャナ保存制度)」に対応した大企業向けクラウドサービス「TKC証憑ストレージサービス(TDS)」、7月1日から報酬・不動産使用料等の支払先のマイナンバー管理に特化したクラウドサービス「e-TAX法定調書(報酬・不動産マイナンバーオプション)」の提供を開始しました。
こうした活動の結果、TKC連結グループソリューションの利用企業数は、平成28年9月30日現在で約2,500企業グループ(約1万6,600社)となり、日本の上場企業の売上トップ100社のうち70%を超える企業に採用されることになりました。
なお、これらの企業に対しては、800名を超えるTKC会員にシステムコンサルタントとして就任いただいています。
(7)法律情報データベースの市場拡大
法律情報データベース「LEX/DBインターネット」は、明治8年の大審院判例から直近に公開された全ての法律分野にわたる27万5,000件超(平成28年9月30日現在)の判例等を収録しています。また、LEX/DBインターネットを中核コンテンツとする総合法律情報データベース「TKCローライブラリー」には89万5,000件超の文献情報、46の「専門誌等データベース」との連動など、収録情報総数は232万8,900件を超え、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部など、平成28年9月30日現在で約1万6,600超の機関に利用されています。
当期においては、TKCローライブラリー基本サービスセット、交通事故関連やビジネス法務関連など実務に役立つコンテンツを軸とした販売促進へ取り組むとともに、登録5年未満の弁護士(組織内弁護士を含む)を対象とした「法律事務所実務セミナー」を6つのテーマで、9回開催し好評を得ました。また、「最高裁判所判例解説」「NBL(New Business Law)」「資料版商事法務」と組み合わせたセット商品の促進活動により、弁護士や企業法務部等の実務家への販売強化を図っています。
アカデミック市場では、厳しい経営環境にある法科大学院に対してコストパフォーマンスの高い「TKC法科大学院教育支援システム・ロースクールパッケージ」の継続利用を提案し、現在67校で利用されています。また、同パッケージに含まれる学生の自学自習を支援するための演習システム(「基礎力確認テスト」「短答式過去問題演習トレーニング」「論文演習セミナー」)、さらに「学習支援NAVI」「判例学習ドリル」を活用して司法試験に向けた学習計画と進捗管理および必須の判例学習と演習が行える機能を提供したことにより、その利用者数が拡大しています。
なお、「TKCローライブラリー(海外版)」の代理店販売については、韓国や台湾、中国をはじめとするアジア諸国、ドイツ、イギリス、アメリカなど各国の裁判所や政府機関、大学、法律事務所等からの引き合いがあり、平成28年9月30日現在で60件超のライセンスが利用され、アジア諸国を中心に今後も利用拡大が見込まれています。
4.地方公共団体事業部門の事業内容と経営成績
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
(1)市区町村向けクラウドサービスの開発・提供
当社では、全国の市区町村を対象とした「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは、住民向けサービスおよび基幹系・庁内情報系の各種業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」により構成されています。
特に、TASKクラウドサービスは、当社データセンターを運用拠点として全国の市区町村が共同で利用(単独利用・複数団体による共同利用のいずれも可)する単一のパッケージシステムであり、国が推進する「自治体クラウド」のモデルとしても注目されています。このため、基幹系業務システム(住基・税・福祉など)において、当社サービスを採用されているのは「埼玉県町村情報システム共同化推進協議会」(18町村)や「いばらき自治体クラウド基幹業務運営協議会」(4市町)、「群馬県吾妻郡町村情報システム共同化推進協議会」(6町村)、「野田村・普代村・大槌町 自治体クラウド」(3町村)、「河津町・南伊豆町・松崎町・西伊豆町自治体クラウド推進協議会」(4町)など全国約130団体(平成28年9月30日現在)となっています。
また、平成27年3月に提供を開始した基幹系業務システム「新世代TASKクラウド(番号制度対応版)」は、マイナンバー制度へ対応するとともに、業務に不慣れな新任職員や臨時職員でも迷わず正しい業務処理を可能とするなど大幅な機能強化を図りました。当期においては、平成29年7月からスタートする国・地方間での情報連携への対応準備を進めたほか、これまでに累計66団体(平成28年9月30日現在)において新世代TASKクラウドへの移行作業を実施しました。なお、平成29年1月までには全ての当社基幹系業務システム利用団体の移行を完了する見込みです。
(2)住民向けクラウドサービスの拡充
平成28年1月から交付が開始されたマイナンバーカードの普及に伴い、総務省が推進する「コンビニエンスストアにおける証明書等の交付」サービスの導入団体が急増しています。当社では、これを実現するシステムとして「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」を提供しています。
全国の市区町村を対象とした初のクラウドサービスとして多くの稼働実績を持つことから、政令指定都市を含め全国から引き合いが相次ぎ、当期においては新たに25団体から受注しました。これにより、TASKクラウド証明書コンビニ交付システムは、平成28年9月30日現在で54団体に採用されています。
(3)地方税の電子申告への対応
当社では、一般社団法人地方税電子化協議会の認定委託先事業者として、同会が運営する地方税電子申告・電子納税のサービスをクラウド方式で提供するとともに、各団体が運用する税務システムとのデータ連携サービスを独自に開発・提供しています。本サービスの推進にあたっては、アライアンスパートナー契約を結ぶ全国40社超のシステム・ベンダーとともに提案活動を展開しており、現在、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、全都道府県・市区町村の約4割にあたる720団体(平成28年9月30日現在)に採用されています。
また、税務業務の効率化とコスト削減に加え、最近では紙媒体に起因する情報漏えいの防止策としても「TASKクラウド課税資料イメージ管理サービス」に対する注目度が高まっており、平成28年9月30日現在で53団体に利用されています。
(4)地方公会計の統一的な基準への対応
いま市区町村では「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」(総務大臣通知/平成27年1月23日公表)を受け、原則として平成29年度までに「複式簿記の導入」「固定資産台帳の整備」を前提とした統一基準による財務書類等を作成することが求められています。当社では、これに対応した「TASKクラウド公会計システム」とその関連システム「TASKクラウド固定資産管理システム」を提供しています。
その最初のユーザーとして、平成28年4月1日から、奈良県香芝市および栃木県益子町で全国に先駆けて日々仕訳方式(リアルタイム変換)による運用がスタートしました。これらの導入実績に加え、当社独自の機能等が注目されたことで同システムへの引き合いが相次ぎ、当期においては新たに25団体から受注しました。これにより、TASKクラウド公会計システムは、平成28年9月30日現在で約150団体に採用されています。
(5)その他、法律および制度改正等への対応
マイナンバー制度の開始に伴い、関連するシステムの機能追加を図りました。また、「個人番号を適切に管理するために必要な措置(安全管理措置)」に欠かせない情報セキュリティー対策ソリューションについて積極的な提案活動を行いました。
さらに、平成29年7月から始まる国・地方間の情報連携を見据え、関連システムおよび各種機能の強化拡充策について調査・分析を進めました。
5.印刷事業部門の事業内容と経営成績
当社グループの印刷事業部門は、ビジネスフォームの印刷およびデータプリントサービス事業を軸に製造・販売を展開しています。
ビジネスフォーム印刷分野では、一般的にビジネス帳票の売上高が減少傾向にあるものの、当期においては大手顧客からの帳票受注を獲得し小幅な減少で推移しています。
また、データプリントサービス分野では、官公庁等の入札物件、参議院選挙関連、民間企業からのDM印刷・発送、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)案件などの大口受注があり、当期の印刷事業全体の売上高は、前期比8.0%増となりました。
Ⅱ.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ66百万円減少し、16,552百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。
1.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローについては、9,181百万円増加(前連結会計年度比2,696百万円収入増)しました。その主な理由は、税金等調整前当期純利益が7,573百万円計上されたこと等によるものです。
2.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローについては、7,022百万円減少(前連結会計年度比2,464百万円支出増)しました。その主な理由は、投資有価証券の取得16,163百万円を支払ったこと、および投資有価証券の償還7,500百万円の入金があったこと等によるものです。
3.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローについては、2,225百万円減少(前連結会計年度比892百万円支出増)しました。その主な理由は、平成27年9月期期末配当ならびに平成28年9月期中間配当2,069百万円を支払ったこと等によるものです。
(1)生産実績
特に記載すべき事項はありません。
(2)受注状況
特に記載すべき事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
会計事務所事業 |
40,636 |
104.0 |
|
地方公共団体事業 |
13,455 |
107.9 |
|
印刷事業 |
3,658 |
108.0 |
|
合計 |
57,750 |
105.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
各部門の対処すべき課題は次のとおりです。
1.会計事務所事業部門の対処すべき課題
会計事務所事業部門では、会計事務所とその顧問先企業の発展に貢献することが最も重要な経営課題であると捉え、今後もTKC全国会の諸活動との密接な連携を図るとともに、TKC会員の活動を支えるシステムやサービスの開発・提供を通じて、その活動を支援してまいります。
(1)システムの競争力の強化
当社では、以下の取り組みを通じてシステムの競争力の強化を図り、優位性を訴求することで他社との差別化に努めます。
①当社システムの「強み」は税務と会計の一気通貫にあります。その特長は、法令および会計基準への完全準拠性を堅持しながら、関連する税務申告書と連動させ、会計・税務・電子申告の一気通貫を実現していることです。今後も、法令改正や制度変更に迅速・的確に対応し、こうした強みを強化します。
②当社システムの最大の特長は、単にシステムやサービスの提供にとどまらず、税務と会計の実務に精通したTKC会員がシステムの導入から運用まで、きめ細かなサポートを行い、企業の適法・適正な税務と会計の処理を支援していることにあります。当社では、こうしたTKC会員の業務品質のさらなる高付加価値化を支援するため、会員への支援体制の強化を図ります。
(2)自計化推進活動
当社では、TKC全国会の戦略目標達成を支援するため、企業経営者の迅速な意思決定を支援する機能の強化・拡充と、遡及的な加除・訂正の会計処理ができないシステムの強みを生かした活動を展開します。
(3)TKC会員事務所1万超事務所の達成の支援
TKC全国会の戦略目標を達成するためには、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会が掲げるTKC会員事務所1万超事務所の達成が前提となります。当社では、TKC会員と連携した会員導入活動へ取り組み、TKC全国会の戦略目標の達成に貢献します。
(4)TKCローライブラリーの利用拡大
TKCローライブラリーの利用拡大を目指し、LEX/DBインターネット等の主要コンテンツの機能を強化するとともに、実務家の業務を支援するデータベースや専門誌等のデータベース化によりコンテンツを拡充することで、法律事務所の業務を支援します。
2.地方公共団体事業部門の対処すべき課題
地方公共団体事業部門では、今後も最新のICTを活用した革新的な製品やサービスの開発・提供を通じて、住民の利便性向上と行政効率の向上を支援することが重要な経営課題であると捉え、以下に取り組みます。
(1)マイナンバー制度開始後を見据えた新たな住民サービスの開発
平成28年1月の番号利用、ならびに平成29年7月の情報連携が開始されることに伴い、市区町村においてはマイナンバーを活用してさらなる利便性向上を図る新たな住民サービスの提供が期待されています。このため、国の動向等を注目しつつ最新のICT(タブレット端末やスマートフォン等)を活用し、「新世代TASKクラウド」と連携した新たな住民向けサービスの開発に取り組みます。
(2)最適な業務プロセスの実現
地方公共団体市場における当社の強みは、当社データセンターを運用拠点として全国の市区町村が単一システムを共同で利用(単独利用・複数団体による共同利用のいずれも可)できることにあります。これらの強みを生かしながら、柔軟性や拡張性、安全性といったクラウドコンピューティングの特長を取り入れ、最適なコストで、最適な業務プロセスを実現できるシステムを継続して探求します。
3.印刷事業部門の対処すべき課題
当グループの印刷事業部門では、「得意先のダイレクトコミュニケーションへの貢献」と「得意先の間接業務アウトソーシング受託」を掲げ、アナログ印刷技術とデジタル印刷技術を融合した受注体制と生産体制を確立し、データプリントサービス(DPS)、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)の拡販のため以下へ取り組みます。
(1)新規顧客の開拓により、データプリントサービス関連商品の販売促進へ注力します。
(2)アナログとデジタルを融合した印刷技術を得意先に提案し、その顧客とのダイレクトコミュニケーションへ貢献します。
(3)ビジネス・プロセス・アウトソーシングとして顧客の間接業務を受託し、高品質を担保しつつ業務効率化、コスト削減、情報セキュリティーリスクの低減など顧客の経営効率化に寄与します。
(4)既存得意先との関係をさらに深め、シェアアップを図ります。
(5)顧客ニーズへの対応、他社との差別化による提案型の営業展開、生産コスト削減のため新技術開発へ継続して取り組みます。
(6)品質の向上と安定・維持、また品質障害防止のための「品質検査」を強化します。
(7)さらなる内製化を進めることで外注比率を下げ、コスト削減を図ります。
(8)顧客・取引先企業からの信頼獲得およびマイナンバー法の施行に伴い「プライバシーマーク」「ISMS」に基づいた情報セキュリティー体制を一段と強化します。
(9)「ISO14001」取得の環境配慮型企業として、損紙の削減を図るとともに、使用済みのりの浄化処理や大豆を主原料とするインキへの切り替えをさらに進めます。
4.全社の対処すべき課題
(1)法令を完全に遵守したシステムの提供
当社の業務は、税法、会社法、民法、金融商品取引法、地方自治法などの法律に深く関わりながら、高度な社会的責務を持つ税理士・公認会計士および地方公務員の業務遂行を最新のICTを媒介として支援することにあります。このため、当社においては引き続き法令の改正に迅速に対応できるよう、システム開発体制を整備していきます。
(2)グループガバナンスシステムの確立
金融商品取引法への対応を含め、会社法で求められる内部統制システムを整備するとともに、企業経営理念、各種会議体、諸規程を体系的にまとめ上げ、グループガバナンスシステムの向上に取り組みます。
(3)働きがいのある組織風土の醸成
「経営の行動指針」に基づき、個人とチームワークを尊重した職場づくりへ努めるとともに、「顧客への貢献」の実現に必要となる従業員の能力開発を積極的に行うことにより、「働きがいのある組織風土」の醸成を推進します。
(4)業務継続性の確保
大規模な自然災害など不測の事態が発生した場合でも、全ての当社顧客が業務の継続あるいは早期再開ができるよう、引き続き既存サービスの強化・拡充へ取り組みます。
(5)情報セキュリティに対する取り組み
当社グループは、会計事務所とその顧問先企業、地方公共団体を対象として常に最新のICTの活用を通して各種情報サービスを提供しており、情報セキュリティーの確保は当社の事業活動の重要課題であり社会的責務です。
また、平成27年10月からマイナンバー制度が開始されたことにより、当社顧客から預託される個人情報に特定個人情報である個人番号が加わり、これらの個人情報の漏えいリスクを低減することがますます重要になってきています。
こうした認識の下、当社グループでは顧客が当社のクラウドサービスを安心して利用いただけるよう、従来より「情報セキュリティー・マネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度」、「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム―要求事項(プライバシーマーク)」などの第三者認証を取得し、またTISCにおいて日本公認会計士協会の「監査・保証実務委員会実務指針第86号」に基づく「受託業務に係る内部統制の保証報告書(86号監査報告書)」を受領しています。
さらに平成27年10月12日には、クラウドサービスにおける個人情報の保護に特化した国際規格ISO/IEC27018の国内第1号となる認証を取得しました。今回、この認証を取得したことで、当社が会計事務所や地方公共団体からお預かりしている中堅・中小企業の役社員、住民等のマイナンバーを含む個人情報を、世界最高水準の情報セキュリティー体制下で安全に運用管理していることの客観的な評価を得たこととなり、顧客からの当社のクラウドサービスに対する一層の信頼向上につながるものと考えています。
当社グループでは、引き続き顧客が“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の提供に努めてまいります。
当社および当社グループの事業等に関連するリスクについては、有価証券報告書に記載した「事業の状況」および「経理の状況」等に関連して、投資者の皆さまにご承知いただくべきと思われる主な事項を以下に記載いたします。また、その他のリスク要因についても、投資者の皆さまのご判断上、重要と思われる事項について、積極的な情報開示の観点から開示することとしています。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスク発生の事前防止および発生した場合の迅速な対応に努める所存ですが、当社株式に関する投資判断は、本項に加えて本報告書全体の記載も参考にされ、十分に検討した上で行われる必要性があると考えています。また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスク要因を全て網羅しているものではありませんので、この点にもご留意ください。
なお、本項において将来にわたる事項は、当連結会計年度末(平成28年9月30日)現在において当社グループが判断したものです。
1.退職給付債務について
当社グループの従業員退職給付債務および関連費用の計上は、割引率等数理計算上で設定される前提条件(基礎率)に基づいて行っています。これらの基礎率が変更となった場合は、結果として当社グループの財政状態および経営成績の変動要因となります。当社グループは、この影響を最小限にすべく退職金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行するなどの施策を実施していますが、その影響を完全になくすことはできません。基礎率の変更は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.固定資産価値の減少について
金融商品取引法に基づいて、平成18年9月期から「固定資産の減損に係る会計基準」が適用されています。
この固定資産の減損会計の適用は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.印刷事業部門の原材料調達費の変動について
当社グループの印刷事業部門においては、原材料の調達の大部分について、製紙メーカーから直接原紙を購入し、安定的な原材料の確保と最適な価格の維持に努めています。しかし、原油価格の高騰や国際市場での需給逼迫により、需給バランスが崩れる懸念があります。そのような場合には、当社グループの顧客との間の価格交渉を通じて対応していく所存ですが、原材料調達が極めて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
4.個人情報等の保護について
当社グループにおいては、業務上、顧客(会計事務所および地方公共団体等)は保有する法人および個人の情報を大量に預託されているほか、さまざまな内部情報を保有しています。
当社では、こうした情報の管理を徹底するため、情報管理に関するポリシーや手続きを常に見直すとともに、役社員等に対する教育・研修等を行い、情報管理の重要性の周知徹底およびシステム上のセキュリティー対策等を実施しています。
また、「情報セキュリティー・マネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度」、「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム―要求事項(プライバシーマーク)」、クラウドサービスにおける個人情報の保護に特化した国際規格ISO/IEC27018の第三者認証を受けるなど、さらなる情報保護管理体制の強化を図っています。
しかしながら、予期せぬ事態により、これらの情報が流出する可能性は皆無ではなく、そのような事態が生じた場合、当社の社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下が、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
5.係争事件等について
現在、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性のある係争事件等はありませんが、今後そのような係争事件が発生する可能性は皆無ではありません。
該当事項はありません。
当社グループでは、会計事務所とその関与先企業に対し、革新的な情報とマネジメント・ツールを提供するため、並びに地方公共団体に対して、行政事務の効率化・標準化・ネットワーク化を推進するために、ソフトウェアの研究・開発を行っております。
また、研究・開発を行う部門では、システム開発業務における品質管理・品質保証体制の確立・強化を目的として、品質保証の国際規格である「品質システム-設計、開発、製造、据付及び附帯サービスにおける品質保証モデル(ISO9001)」の認証を平成11年7月に取得しております。また平成22年9月にはその範囲を拡大し、地方公共団体事業部システム開発本部においても取得いたしました。
当連結会計年度における研究開発費は74百万円であり、主要な研究開発の成果は次のとおりであります。
(1) 会計事務所事業
TKC給与計算システム(PXシリーズ)のオプションシステムとして、マイナンバー(個人番号)管理を安全・安心・簡単に行える「PXまいポータル」等を開発いたしました。
当事業に係る研究開発費は73百万円であります。
(2) 地方公共団体事業
福祉情報の入力業務が行えるクラウド型システムとして、TASKクラウド福祉情報入力システムを開発しています。
当事業に係る研究開発費は1百万円であります。
(1)財政状態の分析
1.資産の部について
当連結会計年度末における資産合計は、81,116百万円となり、前連結会計年度末76,836百万円と比較して4,279百万円増加しました。
①流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、29,554百万円となり、前連結会計年度末31,666百万円と比較して2,112百万円減少しました。
その主な理由は、「現金及び預金」が2,366百万円減少したことなどによるものです。
②固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、51,562百万円となり、前連結会計年度末45,169百万円と比較して、6,392百万円増加しました。
その主な理由は、「差入保証金」が149百万円減少したものの、「投資有価証券」が6,891百万円増加したことなどによるものです。
2.負債の部について
当連結会計年度末における負債合計は、16,559百万円となり、前連結会計年度末14,206百万円と比較して2,353百万円増加しました
①流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、13,419百万円となり、前連結会計年度末11,749百万円と比較して、1,669百万円増加しました。
その主な理由は、「未払法人税等」が959百万円、「その他」に含まれている「前受金」が581百万円増加したことなどによるものです。
②固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、3,140百万円となり、前連結会計年度末2,456百万円と比較して、683百万円増加しました。
その主な理由は、「退職給付に係る負債」が764百万円増加したことなどによるものです。
3.純資産の部について
当連結会計年度末における純資産合計は、64,556百万円となり、前連結会計年度末62,630百万円と比較して1,926百万円増加しました。
その主な理由は、「その他有価証券評価差額金」が848百万円減少したものの、「利益剰余金」が2,699百万円増加したことなどによるものです。
なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、77.7%となり、前連結会計年度末79.6%と比較して1.9ポイント減少しました。
(2)経営成績の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 Ⅰ 業績」を参照してください。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 Ⅱ キャッシュ・フロー」を参照してください。