Ⅰ 業績
株式会社TKCおよびその連結子会社等5社を含む連結グループの当期における経営成績は、売上高が59,705百万円(前期比3.4%増)、営業利益は8,567百万円(前期比12.1%増)、経常利益は8,792百万円(前期比15.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,071百万円(前期比27.3%増)となりました。
当期の売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、前期実績を超えると同時に過去最高を更新する結果となりました。その主たる要因は、会計事務所事業部門および地方公共団体事業部門の両部門においてクラウドサービスの受注が順調に伸展したこと、また、地方公共団体事業部門においてマイナンバー制度の開始に伴う情報セキュリティー対策の強化(市町村の庁内ネットワークの情報セキュリティー強靱化対策)に関する受注が予想を上回ったことなどが挙げられます。
当期における部門別の売上高等の推移は以下のとおりです。
1.当社グループの通期業績の推移
(1)会計事務所事業部門の売上高の推移
①会計事務所事業部門における売上高は42,325百万円(前期比4.2%増)、営業利益は7,818百万円(前期比20.7%増)となりました。
②コンピューター・サービス売上高は、前期比4.1%増となりました。これは、前期に引き続き中堅企業向け統合型会計情報システム「FX4クラウド」に加え、マイナンバーの適切な管理を支援する「PXまいポータル」や「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」など、クラウドサービスのユーザー数が伸展したことによるものです。
③ソフトウエア売上高は、前期比5.2%増となりました。これは、FX4クラウドおよび「e21まいスター」のユーザー数が伸展したことによるものです。
④コンサルティング・サービス売上高は、前期比7.2%減となりました。これは、FX4クラウド等のユーザー数が伸展したことに伴い、クライアント/サーバー型システムに関わる立ち上げ支援料およびハードウエア保守料収入が減少したことによるものです。
⑤ハードウエア売上高は、前期比1.7%増となりました。これは会計事務所向けに管理文書ファイルの保存用機器として、ファイルサーバーの取り扱いを開始したことによります。
(2)地方公共団体事業部門の売上高の推移
①地方公共団体事業部門における売上高は13,717百万円(前期比1.9%増)、営業利益は576百万円(前期比43.3%減)となりました。
②コンピューター・サービス売上高は、前期比3.6%増となりました。これは「新世代TASKクラウド」「証明書コンビニ交付システム」などのユーザー数が伸展したことによるものです。
③ソフトウエア売上高は、前期比9.1%減となりました。これは、国民健康保険の運営主体が都道府県に移管されることに基づくシステム改修が増加したものの、前期実施したマイナンバー制度の開始に伴うシステム改修など、大規模な法改正対応案件が当期はなかったことによるものです。
④コンサルティング・サービス売上高は、前期比3.6%減となりました。これはハードウエア販売の増加に伴い現地調整等に係る売り上げが増えたものの、前期にあった地方税電子申告審査サービスの審査システム更改に伴う売り上げが当期はなかったことによるものです。
⑤ハードウエア売上高は、前期比76.6%増となりました。これはマイナンバー制度の開始に伴う情報セキュリティー体制の強化(市町村の庁内ネットワークの情報セキュリティー強靱化対策)が求められたことにより、サーバーやネットワーク機器等の販売台数が予想を上回ったことによるものです。
(3)印刷事業部門(子会社:東京ラインプリンタ印刷株式会社)の売上高の推移
①印刷事業部門における売上高は3,662百万円(前期比0.1%増)、営業利益は166百万円(前期比15.8%増)となりました。
②データプリントサービスの売り上げは前期比1.9%の微増となりました。これは、官公庁、外郭団体からの大口入札案件、選挙関連受注、関連商品の売り上げが増加したことによるものです。
③ビジネスフォーム関連の売り上げは、前期比1.6%減となりました。これは、ビジネス帳票の需要減退が続いていることによるものです。
2.全社に関わる重要な事項
(1)当社飯塚真玄名誉会長によるTKC会員への株式無償譲渡について
飯塚真玄名誉会長は、平成29年7月に本人保有の普通株式を当社の顧客であるTKC全国会会員に対して無償譲渡することを発表しました。これは平成30年7月に当社の創業者である飯塚毅博士の生誕100周年を迎えるにあたり、TKC全国会の事業目的である「租税正義の実現」のため、税理士法第33条の2の書面添付を実践しているTKC会員に感謝を込めて、平成30年から34年の5年間にかけて100万株を上限に飯塚名誉会長個人から無償で譲渡するものです。
(2)カスタマーサポートセンターの建設
当社ユーザーへのサポート体制を強化するため、平成30年4月を業務の開始予定として栃木県鹿沼市に新しいオフィスビル「TKCカスタマーサポートセンター(TCSS)」を建設しています。これに伴い、これまで100名だった電話応対スタッフを300名に順次増員する計画です。
なお、これまで以上にヘルプデスク業務の専門性を高め、お客様に安心して当社のサービスをご利用いただくことを目的として、100%子会社である「TKCカスタマーサポートサービス株式会社」を平成29年10月5日に設立しました。
(3)ISO27017認証取得
TKCインターネット・サービスセンターにおいて、クラウドサービスセキュリティーの国際規格「ISO/IEC27017」の第三者認証を取得しました(認証登録日:平成29年6月19日)。これは、クラウドサービスに関する情報セキュリティーの国際規格です。情報セキュリティー全般に関するマネジメントシステム規格「ISO/IEC27001」に加え、ISO/IEC27017を取得することで、クラウドサービスの情報セキュリティー管理体制の一層の強化を図っています。
(4)情報セキュリティ戦略室の新設
情報セキュリティー管理体制を一段と強化するため、6月1日に「情報セキュリティ戦略室」を設置しました。この組織は、経済産業省および独立行政法人情報処理推進機構が策定した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を踏まえ、当社グループにおける情報セキュリティー対策の実行を担うことを目的としています。
(5)AIリサーチセンターの新設
AIの最新動向を収集・分析し、社内利用および製品・サービスへの活用を図るため、4月1日に社長直轄の部門として、「AIリサーチセンター」を設置しました。当社では、昨年秋にシステム開発部門を中心とした「ビッグデータ・AI活用検討プロジェクト」を立ち上げ、AI活用の可能性について検討を進めてきました。この成果を踏まえて、当センターでは先端技術や製品の研究を行うとともに、1~2年後の実用化を見据えてプロトタイプ版の制作・評価、機能搭載への技術的支援などへ取り組んでいます。
3.会計事務所事業部門の事業内容と経営成績
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、顧客である税理士または公認会計士(以下、TKC会員)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
(注)TKC全国会については、『TKC全国会のすべて』またはTKCグループホームページ(http://www.tkc.jp/)をご覧ください。
(1)TKC全国会の運動について
① TKC全国会の運動方針
TKC全国会では、平成26年1月に開催した「TKC全国会政策発表会」において、事業目的に「中小企業の存続・発展の支援」を新たに加え、その実現に向けた積極的な取り組みを行っています。その第1ステージ(平成26年1月~平成28年12月)では、「TKC会員事務所の総合力の強化と会員数の拡大」をテーマとした運動を行ってきました。これに続き第2ステージ(平成29年1月~平成30年12月)では、以下の二つの重点運動方針を設定し、その実現に向けた積極的な取り組みを行っています。
●重点運動1:三大テーマに取り組み、社会的な役割を全うしよう!
1)「中小会計要領」に準拠した信頼性の高い決算書の作成と金融機関等への普及・啓発
2)「書面添付」の推進(租税法律主義に立脚した税理士業務の遂行)
3)「自計化」の推進(中小企業の存続・発展支援)
●重点運動2:事務所総合力を発揮し、高付加価値体制を構築しよう!
関与先企業等に対して、地域金融機関等と連携して、以下の3点を積極的に展開する。
1)「TKCモニタリング情報サービス」
2)「経営改善支援」(早期経営改善計画策定支援)
3)「創業」「事業承継」「海外展開支援」等
こうしたTKC全国会の活動は、当社が提供するシステムやサービスの活用が前提となっています。当社ではその活動を支援し、中小企業の存続と発展に役立つコンピューター・サービス、ソフトウエアなどの開発・提供へ積極的に取り組んでいます。
(2)TKC全国会の重点運動の支援について
当社ではTKC全国会の運動を支援するため、「TKC方式による自計化推進(FXシリーズの推進)」「優良関与先の離脱防止(FX4クラウドの推進)」「会員導入(TKC全国会への入会促進)」「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)の利用促進」を重点テーマとして活動を展開しています。
① TKC方式による自計化推進(FXシリーズの推進)
1)自計化推進会議によるTKC会員事務所業務の高付加価値化の支援
当期においては、TKC会員事務所が自立的に「TKC方式による自計化推進」に取り組めるよう、重点事務所に対して「自計化推進会議」の開催を支援しました。
この会議では、「銀行信販データ受信機能」(平成28年6月提供)や「TKCモニタリング情報サービス」(平成28年10月提供開始)などのTKC FinTechサービス、「TKC証憑ストレージサービス」(平成29年4月提供開始)、「365日変動損益計算書」の活用に関する研修を実施するなど、TKC会員事務所が関与先企業へ提供するサービスの高付加価値化とFXシリーズの顧客メリットを高める情報の提供を行いました。
2)FXシリーズ利用企業へのサポートの強化
FXシリーズ利用企業の円滑なシステム運用とTKC会員事務所が安心して自計化を推進できる環境を提供するため、6月1日より「TKCシステムまいサポート」を開始しました。これは、ICTの進化やクラウドコンピューティングの普及等により中小企業でのシステム運用環境が複雑化していることを踏まえて、これまで主にTKC会員事務所が行ってきた関与先企業へのシステムサポートを、専門的な教育を受けた当社社員がTKC会員事務所の依頼に基づき行うものです。
こうした活動により、FXシリーズのユーザー数は平成29年9月30日現在で約25万社となりました。
② 優良関与先の離脱防止(FX4クラウドの推進)
TKC会員の優良関与先の離脱防止と関与先拡大を目的として、年商5億~50億円規模の中堅企業向け統合型会計情報システム「FX4クラウド」を提供しています。
1)TKC会員事務所の提案力を強化する支援活動
当期においては、「銀行信販データ受信機能の利用による経理事務の省力化」や「他社業務システムとの仕訳連携による、経理業務の効率化」「部門別・階層別業績管理とマネジメントレポート設計ツールの活用」を切り口とした活動に加え、企業の課題を発見するための「ビジネスモデル俯瞰図」を活用したコンサルティングに関する研修を実施し、TKC会員事務所の提案力強化を支援しました。
2)企業グループに対する経営支援活動
フランチャイズチェーンやボランタリーチェーン等の企業グループに対して、経営力を強化するための「月次決算体制の構築」や「経営計画策定」等の支援活動を展開しています。当期においては、株式会社ロータスや一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワークと提携し、TKC会員事務所による加盟店等への研修や個別相談などのコンサルティングを開始しました。
こうした活動の結果、FX4クラウドの平成29年9月30日現在のユーザー数は1万社超となり、大手調査会社の株式会社富士キメラ総研が実施した『クラウド会計システムに関する調査』(月刊BT 2017年9月号)において、年商5億円以上100億円未満の中堅企業向けクラウド会計ソフト・2016年度として「導入数No.1」を獲得しました。
③ 「TKC会員事務所1万超事務所」に向けた活動
TKC全国会では、平成32年12月末までにTKC会員事務所を1万超とするための運動へ取り組んでいます。当社はその達成に向けてTKC全国会と緊密に連携して会員導入活動を行っています。
当期においては、「TKCニューメンバーズフォーラム2016」(平成28年11月開催)をはじめとして、中堅・大型未入会事務所や新規開業会計人、独立開業を予定している公認会計士などを対象とした各種セミナーを開催しました。また、こうしたセミナーへ参加した未入会税理士等に対しては「法人税の電子申告義務化」への対応や「早期経営改善計画策定支援」への対応について提案し、入会を促進しました。
こうした活動の結果、平成29年9月30日現在のTKC会員は9,500会計事務所、1万1,000名となりました。
④ 税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)の促進
TKC会員事務所の生産性と業務品質の向上を目的として「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」を提供しています。
当期はマイナンバー制度への対応や会計事務所のコンプライアンス経営(税理士法に基づく「業務処理簿の自動作成機能」および「使用人等に対する監督義務の完全履行」など)の実現、法人電子申告の義務化や情報セキュリティーへの対応を訴求ポイントとして、利用促進を行いました。
こうした活動の結果、OMS利用事務所数は平成29年9月30日現在で約6,700となりました。
(3)FinTechへの取り組み
① 関与先企業向けのFinTechサービス
平成28年6月に提供を開始した関与先企業向けFinTechサービス「銀行信販データ受信機能」は、99%超の金融機関(法人口座)※のインターネットバンキングサービス等の取引データや主要なクレジットカードの明細を自動受信し、あらかじめ設定した仕訳ルールをもとに正確な仕訳を簡単に計上できるFXシリーズの機能です。
当期においては、この利用が仕訳入力の省力化につながる点を訴求し、FXシリーズの利用を促進するとともに、同機能のさらなる利便性向上を図るため、常陽銀行等とAPI連携に向けた取り組みを進めました。
※都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫
② 金融機関向けFinTechサービス
1)「TKCモニタリング情報サービス」の推進
平成28年10月に提供を開始した金融機関向けFinTechサービス「TKCモニタリング情報サービス」は、TKC会員事務所が行う月次巡回監査により真実性、実在性、網羅性が確認された財務データを、TKC会員事務所が関与先企業の経営者からの依頼に基づいて金融機関に提供するクラウドサービスです。
当サービスで提供される月次試算表や決算書等の信頼性の高さが評価され、その活用は全国の金融機関に広がっています。
当期においては全国で20のTKC地域会とともに、地域の金融機関に対する利用提案活動を行いました。その結果、当サービスは平成29年9月30日現在で約280の金融機関に採用され、約1万社に利用されています。
2)「TKCローカルベンチマーク・クラウド」の提供
経済産業省が推進する「ローカルベンチマーク」資料を作成できる「TKCローカルベンチマーク・クラウド」を、6月1日から提供開始しました。
これを利用し作成されたローカルベンチマークは、経営者の依頼に基づきTKC会員事務所からモニタリング情報サービスを通じて金融機関へ提供することができ、関与先企業と金融機関の信頼関係の強化につながります。
(4)「早期経営改善計画策定支援」への対応について
中小企業庁は、平成29年5月10日に認定支援機関による経営改善計画策定支援事業の一環として、早期経営改善計画策定支援を公表しました。
これは、「中小企業・小規模事業者の経営改善への意識を高め、早期からの対応を促すため、認定支援機関による経営改善計画策定支援事業のスキームを活用し、中小企業・小規模事業者等が基本的な内容の経営改善(早期経営改善計画の策定)に取り組むことにより、平常時から資金繰り管理や採算管理が行えるよう支援」するものです。
TKC全国会では、この事業を重点運動テーマの趣旨に合致するものとして積極的に展開しており、当社はこれを支援するためのシステム改訂や研修会の開催に取り組んでいます。
(5)「サービス等生産性向上IT導入支援事業」を活用した推進活動
経済産業省が平成29年1月27日から申請受付を開始した「サービス等生産性向上IT導入支援事業」は、「中小企業・小規模事業者等がITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、中小企業・小規模事業者等の生産性の向上を図る」ことを目的とした制度です。
当社ではこれを機会として、TKC会員事務所に対して当事業を活用したFXシリーズやOMS等の利用促進を提案するとともに、IT導入支援事業者としてコンソーシアムを立ち上げ、TKC会員事務所の当制度の活用を支援しました。
(6)「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い計算書類の作成を支援する」ための活動
① 「記帳適時性証明書」の発行
当社では、TKC会員が作成する決算書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として記帳適時性証明書を発行しています。これは、過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたもので、TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて、正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを適時に完了したことを株式会社TKCが第三者として証明するものです。
記帳適時性証明書は全国の金融機関から高く評価され、三菱東京UFJ銀行の融資商品「極め」をはじめ中京銀行の「太鼓判」など、多くの金融機関から融資や金利優遇の判断にこれを用いる融資商品が提供されています。
② 中小会計要領の普及のための支援活動
TKC全国会では、関与先企業が会計業務を行うにあたって準拠すべき会計基準として「中小企業の会計に関する基本要領」(中小会計要領)を推奨しています。これは、「自社の経営状況把握に役立つ会計」「利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計」「会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計」「中小企業に過重な負担を課さない会計」の考えに沿って作成されたものです。
当社はその普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、諸環境の整備と他の中小企業支援団体との連携を継続的に推進しています。
(7)大企業市場への展開
当社は大企業市場を開拓し、TKCシステムの活用により税務・会計業務の合理化に貢献するとともに、これらの企業をTKC会員の関与先とするため積極的に活動しています。
上場企業を中心とする大企業市場においては、法人税等について電子申告義務化の方針が示されたことや「収益認識に関する会計基準(案)」への対応準備、消費税改正への対応、移転価格税制に係る文書化制度に伴い導入される多国籍企業情報の報告制度(国別報告書・マスターファイル提供義務化)への対応、国税関係書類のスキャナ保存制度の規制緩和に伴う証憑書類の電子保存化ニーズの高まりなど、相次ぐ法・制度改正への対応が求められています。加えて、グループの成長戦略として海外展開している企業では海外子会社の財務情報の適正性、正確性、迅速性の確保とともに不正リスクの管理が課題となるなど、海外子会社を含めたグループ業績管理体制の強化が必至となっています。
当社では、このような環境の変化を捉え、大企業向けに「TKC連結グループソリューション」(連結会計システム「eCA-DRIVER」、連結納税システム「eConsoliTax」、税効果会計システム「eTaxEffect」、法人電子申告システム「ASP1000R」、統合型会計情報システム「FX5」、電子申告システム「e-TAXシリーズ」、固定資産管理システム「FAManager」、海外ビジネスモニター「OBMonitor」ほか)を積極的に推進しています。
当期においては、新規顧客の獲得を目的としてシステムの認知度・ブランド力の向上を図るため、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(平成29年9月30日現在の会員数は約1,270名)およびTKC全国会海外展開支援研究会(平成29年9月30日現在の会員数は約520名)と連携して、「税制改正」「最新の会計制度」「経理業務の生産性向上」「海外の会計・税制」をテーマとするセミナーやTKC連結グループソリューションの活用事例を紹介するセミナーを開催しました。さらに、内閣府規制改革推進会議・行政手続部会において大法人の電子申告義務化の方針が示されたことを受け、5月から「はじめての電子申告(法人税・地方税)セミナー」を東京、大阪、名古屋で毎月開催しているほか、8月には「電子申告」をテーマに大規模セミナーを開催しました。また、既存の顧客に対しては、企業グループ全体の決算・申告に係る業務を網羅する当社システムの強みを生かし、サービスの多重化・複数システムの推進に取り組みました。
こうした活動の結果、TKC連結グループソリューションの利用企業数は、平成29年9月30日現在で約2,700企業グループ(約1万8,600社)となり、日本の上場企業の売上トップ100社のうち約80%の企業に採用されています。さらに、これらの企業に対して、約900名のTKC会員がシステムコンサルタントとして就任しています。
(8)法律情報データベースの市場拡大
法律情報データベース「LEX/DBインターネット」は、明治8年の大審院判例から直近に公開された全ての法律分野にわたる判例等と当社独自ルートでの収集判例等を加え、その件数は29万件超(平成29年9月30日現在)と、日本最大の収録数となっています。また、LEX/DBインターネットを中核コンテンツとする総合法律情報データベース「TKCローライブラリー」は91万件超の文献情報、51の「専門誌等データベース」との連動など、収録情報総数は236万件を超え、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部など、平成29年9月30日現在でその利用者は5万IDを超え、1万6,600超の機関で利用されています。
当期においては、引き続きTKCローライブラリーの実務に役立つコンテンツを顧客別にパッケージ化(法律事務所向け「法律事務所パック」、企業法務向け「企業法務パック」)することで、実務での活用をアピールし販売促進に注力しています。また、提携先である株式会社労働開発研究会と共同開発した労働法関連ポータルサイト「労働法EX+」を平成29年3月から提供し、今後、労働法学研究会会員向けおよびTKCローライブラリーのオプションコンテンツとして新たな販路での利用拡大を目指します。
アカデミック市場では、「TKC法科大学院教育支援システム」を利用している56校の法科大学院に対し、その利用を基盤とした早期学修支援制度導入を提案し、文部科学省の「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」へ応募ができるよう支援しています。また、このシステムには学生の自学自習を支援する演習システム(「基礎力確認テスト」「短答式過去問題演習トレーニング」「論文演習セミナー」)と、「学習支援NAVI」「判例学習ドリル」を有し、これらを活用して司法試験に向けた学習計画と進捗管理および必須の判例学習と演習が行える機能が評価され、その利用者は年々拡大しています。
なお、「TKCローライブラリー(海外版)」の代理店販売については、韓国や台湾、中国をはじめとするアジア諸国、ドイツ、イギリス、アメリカなど各国の裁判所や政府機関、大学、法律事務所等からの引き合いがあり、平成29年9月30日現在で60件超のライセンスが利用され、アジア諸国を中心に今後も利用拡大が見込まれています。
4.地方公共団体事業部門の事業内容と経営成績
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
(1)地方公共団体向けクラウドサービスの開発・提供
当社では、全国の地方公共団体(主に市区町村)を対象とした「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは、住民向けサービスおよび基幹系・庁内情報系の各種業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」により構成されています。
特に、TASKクラウドサービスは、当社データセンターを運用拠点として全国の市区町村が共同で利用(単独利用・複数団体による共同利用のいずれも可)する単一のパッケージシステムであり、国が推進する「自治体クラウド」の観点から注目されています。
当期においては、平成29年秋に本格運用を開始する国・地方間での情報連携に向けて、基幹系業務(住基・税・福祉など)システム「新世代TASKクラウド(番号制度対応版)」※の機能強化および第二次開発(12システム)に取り組んだほか、顧客団体における総合運用テストなど対応準備を支援しました。また、全国19都市で開催した「TASKクラウドフェア2017」では例年を上回る約400団体、約1,400名が参加し、研究・開発中のプロトタイプ版システムを含め当社の最新ソリューションを紹介しました。
その結果、神奈川県町村情報システム共同事業組合(構成14町村)などを新規に受注し、新世代TASKクラウドは平成29年9月30日現在で全国約150団体に採用されています。
※「新世代TASKクラウド(番号制度対応版)」は、TASKクラウドサービスの基幹業務システムのブランド名です。
(2)住民向けクラウドサービスの拡充
平成28年9月に発出された、総務大臣通知「マイナンバーカードを活用した住民サービスの向上と地域活性化の検討について(依頼)」を受け、「コンビニエンスストアにおける証明書等の交付」サービスの導入を検討する団体が急増しています。
当社では、これを実現するシステムとして「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」を提供しています。本システムは全国の市区町村を対象とした初のクラウドサービスとして数多くの稼働実績を持つことから、政令指定都市を含め全国から引き合いが相次いでいます。
当期においては、各種機能の強化拡充のほか、サービス導入が進まない町村(928団体)への普及促進策として国が打ち出した「廉価版クラウド」への対応に取り組みました。その結果、TASKクラウド証明書コンビニ交付システムは平成29年9月30日現在で全国60団体以上に採用されています。
(3)地方税の電子申告への対応
一般社団法人地方税電子化協議会の認定委託先事業者として、同会が運営する地方税電子申告・電子納税のサービスをクラウド方式で提供するとともに、各団体が運用する税務システムとのデータ連携サービスを独自に開発・提供しています。
本サービスの推進にあたっては、アライアンスパートナー契約を結ぶ全国46社のシステム・ベンダーとともに提案活動を展開しており、現在「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、全都道府県・市区町村の4割以上にあたる740団体(平成29年9月30日現在)に採用されています。
また、税務業務の効率化とコスト削減に加え、最近では紙媒体に起因する情報漏えいの防止策として「TASKクラウド課税資料イメージ管理サービス」に対する注目度が高まっており、平成29年9月30日現在で90団体以上に採用されています。
当期においては、総合行政ネットワーク(LGWAN)を介して、確定申告書のデータをe-Tax(国税電子申告・納税システム)へ直接送信できる「TASKクラウドe-Tax連携サービス」(仮称)の新規開発を進めたほか、2年後の運用開始が見込まれる地方税共通納税システムに関する調査・研究に取り組みました。
(4)地方公会計の統一的な基準への対応
市区町村では、原則として平成29年度までに現行の「現金主義会計」(単式簿記)を補完する仕組みとして「発生主義会計」(複式簿記)を整備し、これを活用した財務書類などを作成・開示することが求められています。
当社では、これに対応した「TASKクラウド公会計システム」とその関連システム「TASKクラウド固定資産管理システム」を提供しています。特にTASKクラウド公会計システムは「日々仕訳」に対応したパッケージシステムであるとともに、特許技術による“精度の高い自動仕訳”を実現するなどシステムの使いやすさが認められ、全国から引き合いが相次いでいます。
当期においては、各種機能の強化拡充に加えて、新たに経営支援のための活用機能などの開発を進めたほか、90団体を超える日々仕訳の導入実績を強みとして新規顧客の開拓へ取り組みました。その結果、神奈川県町村情報システム共同事業組合(構成14町村)などを新規に受注し、TASKクラウド公会計システムは平成29年9月30日現在で170団体以上に採用されています。
(5)その他、法律および制度改正等への対応
市区町村においては、マイナンバーカード等の利活用による「国民の利便性向上」と「行政の業務効率化」に加え、来春施行が予定される「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」などへの対応が求められています。
これを支援するため、当期においては、新商品企画推進室(平成28年10月1日設置)を中心として、マイナンバーカードやマイナポータル、あるいはAIなど最先端ICTを活用した新製品・サービス(かんたん窓口システム、子育てワンストップ支援サービス、福祉相談支援システムなど)の調査・研究、開発を進めました。
また、平成29年3月1日付で「民間事業者におけるマイナンバーカードの利活用」の第1号となる総務大臣認定を受け、今秋から「セキュリティールームへの入室権限の認証・許可」「個人情報を取り扱う端末の利用権限の認証・許可」での活用を開始すべく準備に取り組みました。
5.印刷事業部門の事業内容と経営成績
当社グループの印刷事業部門は、「伝えたいことを伝えたい先に確実に伝える印刷で世の中やお客さまに貢献する」を使命として、データプリントサービス事業(DPS)およびビジネスフォームの印刷を軸に製造・販売を展開しています。
DPS分野では、民間企業からの大口DM物件の受注が減少しているものの、官公庁等の大口物件や東京都議選の選挙関連の受注、関連商品の受注が増加し、DPS事業全体としては前期比で微増となりました。
ビジネスフォーム印刷分野では、一般にビジネス帳票の需要が減少傾向にあるものの、当社においては大手顧客からの定期的な帳票受注があり、小幅な減少となりました。
Ⅱ.キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ486百万円増加し、17,039百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。
1.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローについては、8,123百万円増加(前連結会計年度比1,058百万円収入減)しました。その主な理由は、税金等調整前当期純利益が8,798百万円計上されたこと等によるものです。
2.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローについては、4,617百万円減少(前連結会計年度比2,405百万円支出減)しました。その主な理由は、投資有価証券の取得2,561百万円を支払ったこと、および有形固定資産の取得2,124百万円を支払ったこと等によるものです。
3.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローについては、3,019百万円減少(前連結会計年度比794百万円支出増)しました。その主な理由は、平成28年9月期期末配当ならびに平成29年9月期中間配当2,119百万円を支払ったこと、および自己株式の取得677百万円を支払ったこと等によるものです。
(1)生産実績
特に記載すべき事項はありません。
(2)受注状況
特に記載すべき事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
会計事務所事業 |
42,325 |
104.2 |
|
地方公共団体事業 |
13,717 |
101.9 |
|
印刷事業 |
3,662 |
100.1 |
|
合計 |
59,705 |
103.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、「顧客への貢献」を経営理念として、会社定款(第2条)に定める次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。
1.会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営
2.地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営
この会社定款に定める基本方針は、創業(昭和41年10月22日)以来のもので、その後の業容の拡大に伴い、定款には他の事業目的が追加されましたが、それらはこの二つの事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっていません。
Ⅰ.目標とする経営指標
当社は、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提の下に、毎事業年度の配当原資を当該期間利益に求めることを原則としています。従いまして、持続的な成長を維持するための中期的経営指標と適正な当期利益を確保するための短期的経営指標を同時に管理することが必要であると考えています。
短期的経営指標の観点からは、全ての費用を変動費と固定費とに分類し、売上高から変動費を差し引いて求められる限界利益の動向を重視しています。限界利益は製品ミックスにより変動しますが、総合限界利益率の目標を60%以上としています。また、限界利益に占める人件費の割合を労働分配率として捉え、50%を目標としています。売上高経常利益率については8%以上を目標としています。
また、長期的経営指標としては、対前年売上高比率(3%以上)、株主資本比率(70%以上)および株主資本利益率(8%以上)を重視しています。
Ⅱ.各部門の対処すべき課題
1.会計事務所事業部門の対処すべき課題
会計事務所事業部門では、会計事務所とその関与先企業の発展に貢献することが最も重要な経営課題であると捉え、今後もTKC全国会の諸活動との密接な連携を図るとともに、TKC会員の活動を支えるシステムやサービスの開発・提供を通じて、その活動を支援してまいります。
(1)システムの競争力の強化
当社では、以下の取り組みを通じてシステムの競争力の強化を図り、優位性を訴求することで他社との差別化に努めます。
①当社システムの「強み」は税務と会計の一気通貫にあります。その特長は、法令および会計基準への完全準拠性を堅持しながら、関連する税務申告書と連動させ、会計・税務・電子申告の一気通貫を実現していることです。今後も、法令改正や制度変更に迅速・的確に対応し、こうした強みを強化します。
②当社システムの最大の特長は、単にシステムやサービスの提供にとどまらず、税務と会計の実務に精通したTKC会員がシステムの導入から運用まで、きめ細かなサポートを行い、企業の適法・適正な税務と会計の処理を支援していることにあります。当社では、こうしたTKC会員の業務品質のさらなる高付加価値化を支援するため、会員への支援体制の強化を図ります。
(2)自計化推進活動
当社では、TKC全国会の戦略目標達成を支援するため、企業経営者の迅速な意思決定を支援する機能の強化・拡充と、遡及的な加除・訂正の会計処理ができないシステムの強みを生かした活動を展開します。
(3)TKC会員事務所1万超事務所の達成の支援
TKC全国会が掲げるTKC会員事務所1万超事務所の達成に向けて、TKC会員と連携した会員導入活動へ取り組み、TKC全国会の戦略目標の達成に貢献します。
(4)TKCローライブラリーの利用拡大
「TKCローライブラリー」の利用拡大を目指し、「LEX/DBインターネット」などの主要コンテンツの機能を強化するとともに、実務家の業務を支援するデータベースや専門誌等のデータベース化によりコンテンツを拡充すること、および「リーガルテックサービス」の提供により、法律事務所などの業務を支援します。
2.地方公共団体事業部門の対処すべき課題
地方公共団体事業部門では、今後も最新のICTを活用した革新的な製品やサービスの開発・提供を通じて、住民の利便性向上と行政効率の向上を支援することが重要な経営課題であると捉え、以下の六つの重点活動に取り組みます。
① 新世代TASKクラウドによる新規顧客の開拓
② 公会計システムによる新規顧客の開拓
③ 地方税共通納税システム等によるeLTAX事業の拡大
④ マイナンバーカードなどを活用した新たな住民サービスの推進
⑤ 最新技術を活用した新たなクラウドサービスの提供
⑥ アライアンス戦略の推進
3.印刷事業部門の対処すべき課題
当グループの印刷事業部門では、データプリントサービス(DPS)およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を主体とした拡販のため以下へ取り組みます。
① 新規顧客の開拓により、データプリントサービス関連商品の販売促進に注力します。
② アナログとデジタルを融合した印刷技術を顧客に提案し、その顧客とのダイレクトコミュニケーションへ貢献します。
③ BPOとして顧客の間接業務を受託し、高品質を担保しつつ業務効率化、コスト削減、情報セキュリティーリスクの低減など顧客の経営効率化に寄与します。
④ 既存顧客との関係をさらに深め、シェアアップを図ります。
⑤ 顧客ニーズへの対応、他社との差別化による提案型の営業展開、生産コスト削減のため新技術開発へ継続して取り組みます。
⑥ 製造工程の機械化による正確性の担保と生産効率化による納期短縮の提案を行い、官公庁案件のシェアを拡大します。
⑦ 品質の向上と安定・維持、また品質障害防止のため、全商品の工程ごとの品質チェック体制を強化します。
⑧ さらなる内製化を進めることで外注比率を下げ、コスト削減を図ります。
⑨ 顧客や取引先等からの信頼獲得およびマイナンバー管理を確かなものとするため「プライバシーマーク」「ISMS」に基づいた情報セキュリティー体制を一層強化します。
⑩ 「ISO14001」取得の環境配慮型企業として、損紙の削減を図るとともに、使用済みのりの浄化処理や生産性の向上と効率化によりエネルギー消費量の削減をさらに進めます。
4.全社の対処すべき課題
(1)法令を完全に遵守したシステムの提供
当社の業務は、税法、会社法、民法、金融商品取引法、地方自治法などの法律に深く関わりながら、高度な社会的責務を持つ税理士・公認会計士および地方公務員の業務遂行を最新のICTを媒介として支援することにあります。このため、当社においては引き続き法令の改正に迅速に対応できるよう、システム開発体制を整備していきます。
(2)グループガバナンスシステムの確立
金融商品取引法への対応を含め、会社法で求められる内部統制システムを整備するとともに、企業経営理念、各種会議体、諸規定を体系的にまとめ上げ、グループガバナンスシステムの向上に取り組みます。
(3)働きがいのある組織風土の醸成
「経営の行動指針」に基づき、個人とチームワークを尊重した職場づくりへ努めるとともに、「顧客への貢献」の実現に必要となる従業員の能力開発を積極的に行うことにより、「働きがいのある組織風土」の醸成を推進します。
(4)業務継続性の確保
大規模な自然災害など不測の事態が発生した場合でも、全ての顧客が業務の継続あるいは早期再開ができるよう、引き続き既存サービスの強化・拡充に取り組みます。
(5)情報セキュリティに対する取り組み
当社グループは、会計事務所とその関与先企業、地方公共団体を対象として常に最新のICTの活用を通して各種情報サービスを提供しており、情報セキュリティーの確保は当社の事業活動の重要課題であり社会的責務です。
また、平成27年10月からマイナンバー制度が開始されたことにより、当社顧客から預託される個人情報に特定個人情報である個人番号が加わりました。さらに、平成29年5月30日には「改正個人情報保護法」が全面施行され、個人情報の漏えいリスクを低減することがますます重要になってきています。
こうした認識の下、当社グループでは顧客が当社のクラウドサービスを安心して利用いただけるよう、「情報セキュリティー・マネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度」、「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム―要求事項(プライバシーマーク)」などの第三者認証を取得しています。
また、TKCインターネット・サービスセンターにおいては、平成27年10月12日にクラウドサービスにおける個人情報の保護に特化した国際規格「ISO/IEC27018」を、平成29年6月19日には、クラウドサービスセキュリティーの国際規格「ISO/IEC27017」を取得しています。
当社グループでは、引き続き顧客が“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の提供に努めてまいります。
当社および当社グループの事業等に関連するリスクについては、有価証券報告書に記載した「事業の状況」および「経理の状況」等に関連して、投資者の皆さまにご承知いただくべきと思われる主な事項を以下に記載いたします。また、その他のリスク要因についても、投資者の皆さまのご判断上、重要と思われる事項について、積極的な情報開示の観点から開示することとしています。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスク発生の事前防止および発生した場合の迅速な対応に努める所存ですが、当社株式に関する投資判断は、本項に加えて本報告書全体の記載も参考にされ、十分に検討した上で行われる必要性があると考えています。また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスク要因を全て網羅しているものではありませんので、この点にもご留意ください。
なお、本項において将来にわたる事項は、当連結会計年度末(平成29年9月30日)現在において当社グループが判断したものです。
1.退職給付債務について
当社グループの従業員退職給付債務および関連費用の計上は、割引率等数理計算上で設定される前提条件(基礎率)に基づいて行っています。これらの基礎率が変更となった場合は、結果として当社グループの財政状態および経営成績の変動要因となります。当社グループは、この影響を最小限にすべく退職金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行するなどの施策を実施していますが、その影響を完全になくすことはできません。基礎率の変更は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.固定資産価値の減少について
金融商品取引法に基づいて、平成18年9月期から「固定資産の減損に係る会計基準」が適用されています。
この固定資産の減損会計の適用は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.印刷事業部門の原材料調達費の変動について
当社グループの印刷事業部門においては、原材料の調達の大部分について、製紙メーカーから直接原紙を購入し、安定的な原材料の確保と最適な価格の維持に努めています。しかし、原油価格の高騰や国際市場での需給逼迫により、需給バランスが崩れる懸念があります。そのような場合には、当社グループの顧客との間の価格交渉を通じて対応していく所存ですが、原材料調達が極めて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
4.個人情報等の保護について
当社グループにおいては、業務上、顧客(会計事務所および地方公共団体等)は保有する法人および個人の情報を大量に預託されているほか、さまざまな内部情報を保有しています。
当社では、こうした情報の管理を徹底するため、情報管理に関するポリシーや手続きを常に見直すとともに、役社員等に対する教育・研修等を行い、情報管理の重要性の周知徹底およびシステム上のセキュリティー対策等を実施しています。
また、「情報セキュリティー・マネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度」、「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム―要求事項(プライバシーマーク)」、クラウドサービスにおける個人情報の保護に特化した国際規格ISO/IEC27018の第三者認証を受けるなど、さらなる情報保護管理体制の強化を図っています。
しかしながら、予期せぬ事態により、これらの情報が流出する可能性は皆無ではなく、そのような事態が生じた場合、当社の社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下が、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
5.係争事件等について
現在、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性のある係争事件等はありませんが、今後そのような係争事件が発生する可能性は皆無ではありません。
該当事項はありません。
当社グループでは、会計事務所とその関与先企業に対し、革新的な情報とマネジメント・ツールを提供するため、並びに地方公共団体に対して、行政事務の効率化・標準化・ネットワーク化を推進するために、ソフトウェアの研究・開発を行っております。
また、研究・開発を行う部門では、システム開発業務における品質管理・品質保証体制の確立・強化を目的として、品質保証の国際規格である「品質システム-設計、開発、製造、据付及び附帯サービスにおける品質保証モデル(ISO9001)」の認証を平成11年7月に取得しております。また平成22年9月にはその範囲を拡大し、地方公共団体事業部システム開発本部においても取得いたしました。
当連結会計年度における研究開発費は106百万円であり、主要な研究開発の成果は次のとおりであります。
(1) 会計事務所事業
連結納税採用の企業グループ、事業所・事務所が多数ある企業向けの税務申請・届出書の作成と電子申請を行うクラウドシステムを、FX2・FX4クラウドと法人用/継続MASシステムを利用する関与先企業において、会計事務所の支援のもと社長と部門長が議論しながら予算を策定する『部門別予算策定システム(クラウドシステム)』を開発しています。
当事業に係る研究開発費は92百万円であります。
(2) 地方公共団体事業
該当事項はありません。
(1)財政状態の分析
1.資産の部について
当連結会計年度末における資産合計は、85,428百万円となり、前連結会計年度末81,116百万円と比較して4,312百万円増加しました。
①流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、30,545百万円となり、前連結会計年度末29,554百万円と比較して991百万円増加しました。
その主な理由は、「現金及び預金」が486百万円、「売掛金及び受取手形」が219百万円、「仕掛品」176百万円、「その他」に含まれる「未収入金」が88百万円増加したことなどによるものです。
②固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、54,883百万円となり、前連結会計年度末51,562百万円と比較して、3,320百万円増加しました。
その主な理由は、「長期預金」が1,000百万円、「繰延税金資産」が237百万円減少したものの、「投資有価証券」が3,442百万円、「建設仮勘定」が569百万円、「土地」が314百万円、「リース資産(純額)」が213百万円増加したことなどによるものです。
2.負債の部について
当連結会計年度末における負債合計は、16,536百万円となり、前連結会計年度末16,559百万円と比較して22百万円減少しました
①流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、13,345百万円となり、前連結会計年度末13,419百万円と比較して、74百万円減少しました。
その主な理由は、「電子記録債務」が897百万円、「賞与引当金」が174百万円、「リース債務」が62百万円増加したものの、「未払法人税等」が757百万円、「未払金」が452百万円減少したことなどによるものです。
②固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、3,191百万円となり、前連結会計年度末3,140百万円と比較して、51百万円増加しました。
その主な理由は、「退職給付に係る負債」が85百万円増加したことなどによるものです。
3.純資産の部について
当連結会計年度末における純資産合計は、68,892百万円となり、前連結会計年度末64,556百万円と比較して4,335百万円増加しました。
その主な理由は、「自己株式」が617百万円、「利益剰余金」が3,943百万円、「その他有価証券評価差額金」が961百万円増加したことなどによるものです。
なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、78.8%となり、前連結会計年度末77.7%と比較して1.1ポイント増加しました。
(2)経営成績の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 Ⅰ 業績」を参照してください。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 Ⅱ キャッシュ・フロー」を参照してください。