第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

2【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

Ⅰ 経営成績

 株式会社TKCおよびその連結子会社等5社を含む連結グループの当第3四半期連結累計期間(以下、当第3四半期)における経営成績は、売上高が44,625百万円(前年同四半期連結累計期間比(以下、前期比)2.1%増)、営業利益は6,968百万円(前期比9.5%減)、経常利益は7,163百万円(前期比8.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,748百万円(前期比4.2%減)となりました。
 その主たる要因は、会計事務所事業部門および地方公共団体事業部門の両部門においてクラウドサービスの受注が順調に伸展したものの、地方公共団体事業部門において前期にあったマイナンバー制度開始に伴う住基システムの改修が当期はなかったことなどが挙げられます。
 当第3四半期における部門別の売上高等の推移は以下のとおりです。

1.当社グループの第3四半期業績の推移
(1)会計事務所事業部門の売上高の推移

①会計事務所事業部門における売上高は31,130百万円(前期比4.1%増)、営業利益は6,169百万円(前期比6.2%増)となりました。

②コンピューター・サービス売上高は、前期比4.1%増となりました。これは、前期に引き続き中堅企業向け統合型会計情報システム「FX4クラウド」に加え、マイナンバーの適切な管理を支援する「PXまいポータル」や「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」など、クラウドサービスのユーザー数が伸展したことによるものです。

③ソフトウエア売上高は、前期比5.8%増となりました。これは、FX4クラウドおよび「e21まいスター」、相続税や年末調整等の税務申告システムのユーザー数が伸展したことによるものです。

④コンサルティング・サービス売上高は、前期比10.7%減となりました。これは、FX4クラウド等のユーザー数が伸展したことに伴い、クライアント/サーバー型システムに関わる立ち上げ支援料およびハードウエア保守料収入が減少したことによるものです。

⑤ハードウエア売上高は、前期比7.6%増となりました。これは会計事務所向けに管理文書ファイルの保存用機器として、ファイルサーバーの取り扱いを開始したことによります。

(2)地方公共団体事業部門の売上高の推移

①地方公共団体事業部門における売上高は10,650百万円(前期比3.1%減)、営業利益は566百万円(前期比65.4%減)となりました。

②コンピューター・サービス売上高は、前期比3.4%増となりました。これは「新世代TASKクラウド」「証明書コンビニ交付システム」などのユーザー数が伸展したことによるものです。

③ソフトウエア売上高は、前期比21.3%減となりました。これは、前期実施したマイナンバー制度の開始に伴うシステム改修など、大規模な法改正対応案件が当期はなかったことによるものです。

④コンサルティング・サービス売上高は、前期比8.0%減となりました。これはハードウエア売上の増加に伴い現地調整等に係る売り上げが増えたものの、前期にあった地方税電子申告審査サービスの審査システム更改に伴う売り上げが当期ではなかったことによるものです。

⑤ハードウエア売上高は、前期比97.3%増となりました。これはマイナンバー制度の開始に伴う情報セキュリティー体制の強化(市町村の情報セキュリティー強靱化対策)が求められたことにより、サーバーやネットワーク機器等の販売台数が増加したことによるものです。

(3)印刷事業部門(子会社:東京ラインプリンタ印刷株式会社)の売上高の推移

①印刷事業部門における売上高は2,844百万円(前期比1.4%増)、営業利益は223百万円(前期比10.8%減)の業績となりました。

②データプリントサービス関連商品の売上高は、前期比1.8%増となりました。これは民間企業からのDM受注が前期と比較して減少したものの、官公庁、外郭団体からの大口入札物件、選挙関連受注があったことによるものです。

③ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比2.8%減となりました。これは、ビジネス帳票の需要減退が続いていることによるものです。

2.全社に関わる重要な事項
(1)カスタマーサポートセンターの建設

 当社システムを利用するお客さまへのサポート体制を強化するため、平成30年4月を業務開始予定として栃木県鹿沼市に新しいオフィスビル「カスタマーサポートセンター」を建設しています。これに伴い、これまで100名だった電話応対スタッフを、平成30年3月までに300名に順次増員する計画です。

(2)ISO27017認証取得

 TKCインターネット・サービスセンターにおいて、クラウドサービスセキュリティーの国際規格「ISO/IEC27017」の第三者認証を取得しました(認証登録日:平成29年6月19日)。ISO/IEC27017は、クラウドサービスに関する情報セキュリティーの国際規格です。情報セキュリティー全般に関するマネジメントシステム規格「ISO/IEC27001」の取り組みを、ISO/IEC27017で補完することにより、クラウドサービスの情報セキュリティー管理体制の一層の強化を図ることができます。

 当社では、平成27年10月に日本で初めてパブリッククラウドサービスにおける個人情報保護の国際規格「ISO/IEC27018」の第三者認証を取得しています。今回、ISO/IEC27017を取得したことで、クラウドサービス事業者として情報セキュリティー体制の整備・運用への取り組みをさらに強化するとともに、引き続き、お客さまが“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の提供に努めてまいります。

(3)AIリサーチセンターの新設

 AIの最新動向を収集・分析し、社内利用および製品・サービスへの活用を図るため、4月1日に社長直轄の部門として、「AIリサーチセンター」を設置しました。当社では、昨年秋にシステム開発部門を中心とした「ビッグデータ・AI活用検討プロジェクト」を立ち上げ、AI活用の可能性について検討を進めてきました。この成果を踏まえて、当センターでは先端技術や製品の研究を行うとともに、1~2年後の実用化を見据えて社内外から活用アイデアを募り、プロトタイプ版の制作・評価、機能搭載への技術的支援などへ取り組みます。

(4)情報セキュリティ戦略室の新設

 当社は、情報セキュリティー管理体制の一段の強化を図るため、6月1日に「情報セキュリティ戦略室」を設置しました。これは、経済産業省および独立行政法人情報処理推進機構が公表した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」(2015年12月)を踏まえた対策を講じるとともに、情報セキュリティー管理体制の強化を中心的に進める組織です。

 ICTの利活用が進む一方で、組織が保有する個人情報をはじめとする重要な情報を狙うサイバー攻撃が増加傾向にあり、またその手口は巧妙化しています。

 当社は、会計事務所とその関与先企業、地方公共団体を対象として、常に最新のICTの最適な活用を通して、各種情報サービスを提供しています。このため当社は、情報セキュリティーの確保を事業活動の重要課題であると認識するとともに、社会的責務であると位置づけ、当社の提供する各種サービスをお客さまに安心してご利用いただけるよう情報セキュリティー管理体制の強化に継続して取り組んでまいります。

3.会計事務所事業部門の事業内容と経営成績
 会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、お客さまである税理士または公認会計士(以下、TKC会員)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
 (注)TKC全国会については、『TKC全国会のすべて』またはTKCグループホームページ

(http://www.tkc.jp/)をご覧ください。
(1)TKC全国会の運動について

①TKC全国会の運動方針

 TKC全国会では、平成26年1月に開催した「TKC全国会政策発表会」において、その事業目的に「中小企業の存続・発展の支援」を新たに加えるとともに、その実現に向けた積極的な取り組みを行っています。
 その第1ステージ(平成26年1月~平成28年12月)では、「TKC会員事務所の総合力の強化と会員数の拡大」をテーマとした運動を行ってきました。
 平成29年1月からは、平成30年12月までを第2ステージとして以下の2つの重点運動方針を設定し、その実現に向けた積極的な取り組みを行っています。
 ●重点運動1:三大テーマに取り組み、社会的な役割を全うしよう!
  1)「中小会計要領」に準拠した信頼性の高い決算書の作成と金融機関等への普及・啓発
  2)「書面添付」の推進(租税法律主義に立脚した税理士業務の遂行)
  3)「自計化」の推進(中小企業の存続・発展支援)
 ●重点運動2:事務所総合力を発揮し、高付加価値体制を構築しよう!
  関与先企業等に対して、地域金融機関等と連携して、以下の3点を積極的に展開する。
  1)「TKCモニタリング情報サービス」
  2)「経営改善支援」(早期経営改善計画策定支援)
  3)「創業」「事業承継」「海外展開支援」等

 こうしたTKC全国会の運動は、当社が提供するシステムやサービスの活用が前提となっています。当社はその運動を支援し、中小企業の存続と発展に役立つコンピューター・サービス、ソフトウエアなどの開発・提供へ積極的に取り組んでいます。

(2)TKC全国会の重点運動の支援について

 TKC全国会の運動を支援するため、「TKC方式による自計化推進(FXシリーズの推進)」「優良関与先の離脱防止(FX4クラウドの推進)」「会員導入(TKC全国会への入会促進)」「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)の利用促進」を重点テーマとして積極的な活動を行っています。
①TKC方式による自計化推進(FXシリーズの推進)

 1)TKC会員事務所が自立的に「TKC方式による自計化推進」が行えるよう、約1,850の事務所に対して「自計化推進会議」の開催を支援しています。この会議では、推進目標の設定や推進方法の検討、FXシリーズの機能強化に関する情報提供、その活用方法に関する研修、推進事例などの情報共有を行っており、継続的に開催している事務所のFXシリーズの導入社数は全体で前期比109.8%と顕著な成果を残しています。

当第3四半期においては、「365日変動損益計算書」や部門別管理の活用に関する研修、FXシリーズの機能として4月1日から搭載した「TKC証憑ストレージサービス」の活用など、TKC会員事務所が関与先企業へ提供するサービスの高付加価値化とFXシリーズの顧客メリットを高める情報の提供を行いました。

 2)FXシリーズ利用企業の円滑なシステム運用とTKC会員事務所が安心して自計化推進が行える環境を提供するため、6月1日より「TKCシステムまいサポート」を開始しました。これは、昨今のICTの進化やクラウドコンピューティングの普及等により中小企業でのシステム運用環境が複雑化していることを踏まえ、これまで主にTKC会員事務所が行ってきた関与先企業へのシステムサポートを、専門的な教育を受けた当社社員がTKC会員事務所の依頼に基づき行うものです。

 こうした活動により、FXシリーズのユーザー数は平成29年6月30日現在で約24万5,000社となりました。

②優良関与先の離脱防止(FX4クラウドの推進)

 TKC会員の優良関与先の離脱防止と関与先拡大を目的として、年商5億~50億円規模の中堅企業向け統合型会計情報システム「FX4クラウド」を提供しています。
 1)TKC会員事務所の提案力を強化する支援活動

 当第3四半期においては、「銀行信販データ受信機能の利用による経理事務の省力化」「他社業務システムとの仕訳連携による経理業務の効率化」「部門別・階層別業績管理とマネジメントレポート設計ツールの活用」を訴求ポイントとした推進活動に加え、企業の課題を発見するための「ビジネスモデル俯瞰図」を活用した関与先企業へのコンサルティングに関する研修を実施し、TKC会員事務所の提案力の強化を支援しました。

 2)企業グループに対する経営支援活動

 当社では、TKC会員の関与先拡大支援とFXシリーズのユーザー拡大を目的として、フランチャイズチェーンやボランタリーチェーン等の企業グループに対して「月次決算体制の構築支援」や「経営計画策定支援」等による各加盟店等の経営力強化を支援する活動を展開しています。当第3四半期においては、株式会社ロータス(4月11日契約)や一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワーク(6月1日契約)と提携し、TKC会員事務所による加盟店等への研修や個別相談などのコンサルティングを開始しました。

 こうした活動の結果、FX4クラウドのユーザー数は、平成29年6月30日現在で約1万社となりました。

③「TKC会員事務所数1万超事務所」に向けた活動

 TKC全国会では、平成29年9月末までにTKC会員事務所数を9,501以上とするための「プロジェクト9501」へ積極的に取り組んでいます。当社はその達成に向けてTKC全国会と緊密に連携して会員導入活動を行っています。
 当第3四半期においては、7月以降に実施予定の未入会向けセミナーへの動員を図るため、TKC会員から未入会税理士の紹介を受ける活動を展開しました。これにより6月末までに約850名の紹介を受けています。これら未入会税理士に対しては「法人税の電子申告義務化」へのTKCおよびTKC全国会の対応や、「早期経営改善計画策定支援」に関するTKC全国会の対応方針などの情報提供を行い、入会を促進しました。
 こうした活動の結果、TKC会員は平成29年6月30日現在で9,400事務所、1万1,000名となりました。

④税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)の促進

 TKC会員事務所の生産性と業務品質の向上を目的として「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」を提供しています。
 当第3四半期は「業務処理簿の自動作成機能」や「使用人等に対する監督義務の完全履行」など、会計事務所のコンプライアンス経営の実現を訴求ポイントとして、利用促進を行いました。
 こうした活動の結果、OMS利用事務所数は平成29年6月30日現在で約6,600となりました。

(3)FinTechへの取り組み

①関与先企業向けFinTechサービス

 平成28年6月に提供を開始したFinTechサービス「銀行信販データ受信機能」の利用促進に注力しています。これは、99%超の金融機関(法人口座)※のインターネットバンキングサービス等の取引データや主要なクレジットカードの明細を自動受信し、あらかじめ設定した仕訳ルールをもとに正確な仕訳を簡単に計上できるよう支援する機能です。
 当第3四半期においては、当機能の利用が仕訳入力の省力化につながる点を訴求ポイントとしてFXシリーズの利用を促進するとともに、同機能のさらなる利便性向上を図るため、三菱東京UFJ銀行や常陽銀行とAPI連携に向けた取り組みを進めました。
 ※都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫

②金融機関向けFinTechサービス

 1)「TKCモニタリング情報サービス」の推進

 平成28年10月に提供を開始した金融機関向けFinTechサービス「TKCモニタリング情報サービス」の利用拡大に注力しています。
 これは、TKC会員事務所が行う月次巡回監査によりその真実性、実在性、網羅性が確認された財務データを、TKC会員事務所が関与先企業の経営者からの依頼に基づいて金融機関に提供するクラウドサービスです。当サービスで提供される月次試算表や決算書等の信頼性の高さが金融機関から評価され、その活用が全国の金融機関に広がっています。
 当第3四半期においては、前期に引き続き全国で20のTKC地域会と金融機関の協議会の開催を支援してその普及促進を行いました。その結果、当サービスは平成29年6月30日現在で240超の金融機関に利用されています。

 2)「ローカルベンチマーク・クラウド」の提供

 6月1日から、経済産業省が推進する「ローカルベンチマーク」を作成できる「TKCローカルベンチマーク・クラウド」の提供を開始しました。
 このサービスにより作成されたローカルベンチマークは、経営者の了解の下でTKCモニタリング情報サービスを通じて金融機関へ提供することができ、これにより関与先企業と金融機関相互の信頼関係の醸成を支援します。

(4)「早期経営改善計画策定支援」への対応について

 中小企業庁は、5月10日に認定支援機関による経営改善計画策定支援事業の一環として、早期経営改善計画策定支援を公表しました。
 これは、「中小企業・小規模事業者の経営改善への意識を高め、早期からの対応を促すため、認定支援機関による経営改善計画策定支援事業のスキームを活用し、中小企業・小規模事業者等が基本的な内容の経営改善(早期経営改善計画の策定)に取り組むことにより、平常時から資金繰り管理や採算管理が行えるよう支援」するものです。
 TKC全国会では、この事業を重点運動テーマの趣旨に合致するものとして積極的に展開しており、当社ではこれを支援するためシステムの改訂や研修会の企画に努めました。

(5)「サービス等生産性向上IT導入支援事業」を活用した推進活動

 経済産業省が平成29年1月27日から申請受付を開始した「サービス等生産性向上IT導入支援事業」は、「中小企業・小規模事業者等がITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、中小企業・小規模事業者等の生産性の向上を図る」ことを目的とした制度です。
 当社ではこれを機会として、TKC会員事務所に対して当事業を活用したFXシリーズやOMS等の利用促進を提案するとともに、具体的な申請方法等に関する情報提供を行いました。

(6)「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い計算書類の作成を支援する」ための活動

①「記帳適時性証明書」の発行

 当社では、TKC会員が作成する決算書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として記帳適時性証明書を発行しています。これは、過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたもので、TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて、正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを適時に完了したことを株式会社TKCが第三者として証明するものです。
 この記帳適時性証明書は全国の金融機関から高く評価され、三菱東京UFJ銀行の融資商品「極め」をはじめ、商工組合中央金庫など多くの金融機関において融資や金利優遇の判断にこれを用いる融資商品が提供されています。

②中小会計要領の普及のための支援活動

 TKC全国会では、関与先企業が会計業務を行うにあたって準拠すべき会計基準として「中小企業の会計に関する基本要領」(中小会計要領)を推奨しています。この中小会計要領は、「自社の経営状況把握に役立つ会計」「利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計」「会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計」「中小企業に過重な負担を課さない会計」の考えに沿って作成されたものです。平成24年8月には、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の5省から公表された告示により、中小企業経営力強化支援法に基づいて認定された経営革新等支援機関(税理士、金融機関等)は、中小会計要領(または中小企業の会計に関する指針)の利用を推奨することとされました。
 当社はその普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、諸環境の整備と他の中小企業支援団体との連携を継続的に推進しています。

 

(7)大企業市場への展開

 TKCシステムの活用により、上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務の合理化に貢献するとともに、これらの企業をTKC会員の関与先とするため積極的に活動しています。
 当社は、大企業向けに「TKC連結グループソリューション」(連結会計システム「eCA-DRIVER」、連結納税システム「eConsoliTax」、税効果会計システム「eTaxEffect」、法人電子申告システム「ASP1000R」、統合型会計情報システム「FX5」、電子申告システム「e-TAXシリーズ」、固定資産管理システム「FAManager」、証憑ストレージサービス(TDS)、海外ビジネスモニター「OBMonitor」ほか)を推進しています。
 当第3四半期においては、新規顧客の獲得を目的として、①TKC全国会中堅・大企業支援研究会(平成29年6月30日現在の会員数は約1,270名)と連携した「税制改正」や「人工知能(AI)を活用した経理業務」などをテーマとしたセミナー②TKC全国会海外展開支援研究会(平成29年6月30日現在の会員数は約500名)と連携した「中国会計・チャイナリスク」をテーマとしたセミナー――を開催しました。また、内閣府規制改革推進会議・行政手続部会において大法人の電子申告義務化の方針が示されたことを受け、5月より「はじめての電子申告(法人税・地方税)セミナー」を東京、大阪、名古屋において毎月開催しています。さらに当社システムユーザーに対しては、企業グループ全体の決算・申告に係る業務を網羅する当社システムの強みを生かし、サービスの多重化・複数システムの推進を実施しました。
 こうした活動の結果、TKC連結グループソリューションの利用企業数は、平成29年6月30日現在で約2,700企業グループ(約1万8,200社)となり、日本の上場企業の売上トップ100社のうち75%を超える企業に採用されています。なお、これらの企業に対しては、800名を超えるTKC会員にシステムコンサルタントとして就任いただいています。

(8)法律情報データベースの市場拡大

 法律情報データベース「LEX/DBインターネット」は、明治8年の大審院判例から直近に公開された全ての法律分野にわたる判例等と当社独自ルートでの収集判例等を加え、その件数は28万2,000件超(平成29年6月30日現在)と、日本最大の収録数となっています。また、LEX/DBインターネットを中核コンテンツとする総合法律情報データベース「TKCローライブラリー」は90万7,000件超の文献情報、51の「専門誌等データベース」との連動など、収録情報総数は235万件を超え、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部など、平成29年6月30日現在でその利用者は約5万IDを超え、1万6,600超の機関で利用されています。
 当第3四半期においては、引き続きTKCローライブラリーの実務に役立つコンテンツを顧客別にパッケージ化(法律事務所向け「法律事務所パック」、企業法務向け「企業法務パック」)することで、実務への活用をアピールし販売促進に注力しています。また、提携先である労働開発研究会と共同開発した労働法関連ポータルサイト「労働法EX+」を平成29年3月から提供し、今後、労働法学研究会会員向けおよびTKCローライブラリーのオプションコンテンツとして新たな販路での利用拡大を目指します。
 アカデミック市場では、「TKC法科大学院教育支援システム」を利用している56校の法科大学院に対し、その利用を基盤とした早期学修支援制度導入を提案し、文部科学省の「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」へ応募ができるよう支援しています。また、このシステムには学生の自学自習を支援する演習システム(「基礎力確認テスト」「短答式過去問題演習トレーニング」「論文演習セミナー」)と、「学習支援NAVI」「判例学習ドリル」を有し、これらを活用して司法試験に向けた学習計画と進捗管理および必須の判例学習と演習が行える機能が評価され、その利用者は年々拡大しています。
 なお、「TKCローライブラリー(海外版)」の代理店販売については、韓国や台湾、中国をはじめとするアジア諸国、ドイツ、イギリス、アメリカなど各国の裁判所や政府機関、大学、法律事務所等からの引き合いがあり、平成29年6月30日現在で60件超のライセンスが利用され、アジア諸国を中心に今後も利用拡大が見込まれています。

4.地方公共団体事業部門の事業内容と経営成績
 地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
(1)市区町村向けクラウドサービスの開発・提供

 当社では、全国の市区町村を対象とした「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは、住民向けサービスおよび基幹系・庁内情報系の各種業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」により構成されています。
 特に、TASKクラウドサービスは、当社データセンターを運用拠点として全国の市区町村が共同で利用(単独利用・複数団体による共同利用のいずれも可)する単一のパッケージシステムであり、国が推進する「自治体クラウド」のモデルとしても注目されており、これまで5グループ(36団体)で利用されています。
 平成29年6月30日現在、当社サービスを採用しているのは全国140団体超となっています。
 当第3四半期においては、平成29年秋に本格運用を開始する国・地方間での情報連携に向けて基幹系業務(住基・税・福祉など)システム「新世代TASKクラウド(番号制度対応版)」※の機能強化に取り組んだほか、顧客団体における総合運用テストなど対応準備を支援しました。
 ※「新世代TASKクラウド(番号制度対応版)」は、TASKクラウドサービスの基幹業務システムのブランド名です。

(2)住民向けクラウドサービスの拡充

 平成28年9月に発出された、総務大臣通知「マイナンバーカードを活用した住民サービスの向上と地域活性化の検討について(依頼)」を受け、「コンビニエンスストアにおける証明書等の交付」サービスの導入を検討する団体が急増しています。
 これを実現するシステムとして「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」を提供しています。全国の市区町村を対象とした初のクラウドサービスとして数多くの稼働実績を持つことから、政令指定都市を含め全国から引き合いが相次ぎ、TASKクラウド証明書コンビニ交付システムは平成29年6月30日現在で60団体に採用されています。

(3)地方税の電子申告への対応

 一般社団法人地方税電子化協議会の認定委託先事業者として、同会が運営する地方税電子申告・電子納税のサービスをクラウド方式で提供するとともに、各団体が運用する税務システムとのデータ連携サービスを独自に開発・提供しています。
 本サービスの推進にあたっては、アライアンスパートナー契約を結ぶ全国46社のシステム・ベンダーとともに提案活動を展開しており、現在「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、全都道府県・市区町村の約4割にあたる727団体(平成29年6月30日現在)に採用されています。
 また、税務業務の効率化とコスト削減に加え、最近では紙媒体に起因する情報漏えいの防止策として「TASKクラウド課税資料イメージ管理サービス」に対する注目度が高まっており、平成29年6月30日現在で80団体超に採用されています。

(4)地方公会計の統一的な基準への対応

 市区町村では、原則として平成29年度までに現行の「現金主義会計」(単式簿記)を補完する仕組みとして「発生主義会計」(複式簿記)を整備し、これを活用した財務書類などを作成・開示することが求められています。
 当社では、これに対応した「TASKクラウド公会計システム」とその関連システム「TASKクラウド固定資産管理システム」を提供しています。当第3四半期においては、TASKクラウド公会計システムの新機能である財務書類(貸借対照表と行政コスト計算書)の活用機能の強化拡充に取り組みました。また、TASKクラウド公会計システムは「日々仕訳」に対応したパッケージシステムであるとともに、特許技術による“精度の高い自動仕訳”を実現するなどシステムの使いやすさが認められ、平成29年6月30日現在で170団体超に採用されています。

(5)その他、法律および制度改正等への対応

 市区町村においては、マイナンバーカード等の利活用による「国民の利便性向上」と「行政の業務効率化」に加え、来春施行が予定される「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」などへの対応が求められています。
 これを支援するため、新商品企画推進室(平成28年10月1日発足)を中心として、マイナンバーカードやマイナポータル、あるいはAIなど最先端ICTを活用した新製品・サービス(かんたん窓口システム、子育てワンストップ支援サービス、福祉相談支援システムなど)の調査・研究、開発を進めました。
 また、当社は国が推進する「民間事業者におけるマイナンバーカードの利活用」で第1号となる総務大臣認定を受け、今年3月1日付で告示されました。当第3四半期においては、今夏から「セキュリティールームへの入室権限の認証・許可」「個人情報を取り扱う端末の利用権限の認証・許可」での活用を開始すべく、その準備に取り組みました。

5.印刷事業部門の事業内容と経営成績

 当社グループの印刷事業部門は、ビジネスフォームの印刷およびデータプリントサービス事業を軸に製造・販売を展開しています。
 ビジネスフォーム印刷分野では、一般的にビジネス帳票の需要が減少傾向にあるものの、当第3四半期においても大手顧客からの定期的な帳票受注があり、小幅な減少となりました。
 データプリントサービス分野では、官公庁等の大口物件、東京都議選の選挙関連受注、民間企業からのDM物件、また請求書・通知書業務などのビジネス・プロセス・アウトソーシング定期案件等の受注により、前期比1.4%増の売上高となりました。
 

 

Ⅱ.財政状態

 当第3四半期連結会計期間末における資産・負債及び純資産の状況は次のとおりです。

1.資産の部について

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、81,095百万円となり、前連結会計年度末81,116百万円と比較して20百万円減少しました。

(1)流動資産

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、26,414百万円となり、前連結会計年度末29,554百万円と比較して3,139百万円減少しました。
 その主な理由は、「現金及び預金」が2,440百万円、「売掛金」が61百万円、「その他」に含まれる「繰延税金資産」が634百万円減少したことなどによるものです

(2)固定資産

 当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、54,680百万円となり、前連結会計年度末51,562百万円と比較して、3,118百万円増加しました。
 その主な理由は、「長期預金」が1,000百万円減少したものの、「投資有価証券」が3,535百万円、有形固定資産の「その他」に含まれる「建設仮勘定」が633百万円増加したことなどによるものです

2.負債の部について

当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、12,995百万円となり、前連結会計年度末16,559百万円と比較して3,564百万円減少しました。

(1)流動負債

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、9,685百万円となり、前連結会計年度末13,419百万円と比較して、3,733百万円減少しました。
 その主な理由は、「その他」に含まれる「預り金」が415百万円増加したものの、「買掛金」が924百万円、「未払法人税等」が1,784百万円、「賞与引当金」が1,374百万円減少したことなどによるものです

(2)固定負債

 当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、3,309百万円となり、前連結会計年度末3,140百万円と比較して、169百万円増加しました。
 その主な理由は、「退職給付に係る負債」が144百万円増加したことなどによるものです

3.純資産の部について

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、68,099百万円となり、前連結会計年度末64,556百万円と比較して3,543百万円増加しました。
 その主な理由は、「利益剰余金」が2,621百万円、「その他有価証券評価差額金」が1,069百万円増加したことなどによるものです。
 なお、当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は、82.0%となり、前連結会計年度末77.7%と比較して4.3ポイント増加しました

 

Ⅲ 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

Ⅳ 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は33百万円であります。

また、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。