1.全社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、「顧客への貢献」を経営理念として、会社定款(第2条)に定める次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。
①会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営
②地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営
この会社定款に定める基本方針は、創業(昭和41年10月22日)以来のもので、その後の業容の拡大に伴い、定款には他の事業目的が追加されましたが、それらはこの二つの事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっていません。
(2) 経営環境
当社を取り巻く経営環境の変化にはさまざまなものがありますが、とりわけ当社の提供する製品およびサービスに大きな影響を与えるものは、法令等の改正とICTの進化です。
法令等の改正としては、改正消費税法、電子帳簿保存法のJIIMA認証制度、大法人の電子申告の義務化、行政手続きのデジタル化(デジタル手続法)、地方公会計の統一的な基準などがあり、その対応を求められています。
また、ICTの進化については、クラウドコンピューティング、FinTech、AI、RPAなどがあり、これらの技術は急速な変化を遂げています。
こうした環境の変化をいち早く捉え、当社の提供する製品およびサービスへと展開することが重要であると考えています。
(3) 対処すべき課題
①法令を完全に遵守したシステムの提供
当社は、関連法令に完全に準拠し最新のICTを活用して開発したシステムを提供することによって、会計事務所および地方公共団体の業務を支援しています。このため、当社においては引き続き法令の改正に迅速に対応できるよう、システム開発体制をより強化していきます。
②グループ・ガバナンス・システムの確立
金融商品取引法への対応を含め、会社法で求められる内部統制システムを整備するとともに、企業経営理念、各種会議体、諸規定を体系的にまとめ、グループ・ガバナンス・システムの向上に取り組みます。
特に、令和元年6月に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」に対応したグループ・ガバナンス体制を構築し運用開始しております。
③働きがいのある組織風土の醸成
当社は、個人とチームワークを尊重した職場づくりに努めるとともに、当社の経営理念である「顧客への貢献」の実現のため従業員の能力開発の支援、「働きがいのある組織風土」の醸成に取り組みます。
④業務継続性の確保
大規模な自然災害など不測の事態が発生した場合には、全ての顧客が業務の継続あるいは早期再開ができるよう、引き続き既存サービスの強化・拡充に取り組みます。
⑤システム障害時の迅速な対応
万一にも当社システムに障害が発生した場合は、迅速に、すべてのユーザーに対してその影響度を調査し、結果を報告するとともに、被災ユーザーの100パーセントを救援する体制を整えるべく努力しています。
⑥情報セキュリティーに対する取り組み
当社グループは、会計事務所とその関与先企業、並びに地方公共団体に対して、常に最新のICTの活用による各種情報サービスを提供しています。情報セキュリティーの確保は当社の事業活動の重要課題であり社会的責務と考えています。
こうした認識の下、当社グループでは顧客が当社のクラウドサービスを安心して利用いただける技術的環境を整備するために、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を取得しています。
また、TKCインターネット・サービスセンター(TISC)では、これらに加えて平成27年10月12日にクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」を、平成29年6月19日にはISMSクラウドサービスセキュリティー認証「ISO/IEC27017」を取得しています。
当社では、引き続き顧客が“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の整備に努めてまいります。
2.会計事務所事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(1万1,400名)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会では、創設50周年(2021年)に向けての政策課題を踏まえ、2019年から2021年までの3カ年にわたる運動方針を次のとおり掲げています。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
①「TKC方式による書面添付」の推進(2019年末目標:法人書面添付13.4万社)
②「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2019年末目標:12万社24万件)
③「TKC方式の自計化」の推進(2019年末目標:27.7万社)
当社では、TKC全国会が掲げる運動方針に基づき、2019年戦略目標の達成に向けた活動を実施しています。
また、TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」との綿密な連携を図り、上場企業を中心とする大企業市場向けに税務・会計システム等の提供を通じて、TKC会員の関与先拡大を支援しています。
(2) 経営環境
令和元年10月1日から消費税の標準税率が10%に変更されるとともに、8%の軽減税率が導入されました。ただし旧税率の8%と軽減税率の8%は地方消費税の按分割合が異なっています。そのためこの二つの8%を帳簿上、明確に区別する必要が生じてきます。また、企業が発行する請求書においては「区分記載請求書等保存方式」を経て、令和3年4月1日には「適格請求書保存方式」の導入がなされる予定となっています。請求書の記載要件や帳簿の記載事項が増えるとともに、適格請求書の発行事業者登録なども必要になります。関与先企業にとって、消費税改正への対応は単なる税率の改定にとどまらず、請求書発行、会計システムの変更、レジシステムの変更や従業員教育など、多岐にわたるものとなっています。
また、令和元年9月30日より、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下、JIIMA)による「電子帳簿ソフト法的要件認証(以下、JIIMA認証)制度」が開始され、その認定を受けたソフトウエアを利用する場合は、ユーザーは税務署に対する承認申請の手続きが大幅に簡素化されることになりました。JIIMA認証制度は、会計ソフトウエア・ベンダーが事前に電子帳簿保存法の要件を満たしていることをJIIMAに確認を求め、JIIMAが法的要件を充足しているソフトウエアとして認証する制度です。したがって認証を受けたソフトウエアを利用開始するユーザーは、電子帳簿保存法等が要求している機能要件を満たしているかを自ら証明する必要がなく、そのソフトウエアを届出だけで利用することができるようになりました。
一方、平成30年度税制改正により、令和2年4月1日以降開始事業年度から、資本金1億円超の法人について法人税等の電子申告が義務化されます。また、地方税においても、資本金の額が1億円超の法人など、一定の法人が提出する法人住民税および法人事業税の納税申告書、申告書に添付すべきものとされている書類について、電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならないこととされました。当社ではこうした法律及び社会制度の改正を、市場開拓とTKC会員の関与先拡大のチャンスととらえています。
(3) 対処すべき課題
会計事務所事業部門では、会計事務所とその関与先企業の発展に貢献することが最も重要な経営課題であると捉え、今後もTKC全国会の諸活動との密接な連携を図るとともに、TKC会員の活動を支えるシステムやサービスの開発・提供を通じて、その活動を支援してまいります。
①システムの競争力の強化
当社では、以下の取り組みを通じてシステムの競争力の強化を図り、優位性を訴求することで他社との差別化に努めます。
1)当社システムの「強み」は税務と会計の一気通貫にあります。その特長は、財務会計システムにおいて法令および会計基準への完全準拠性を堅持しながら、これと関連する税務情報システムと完全連動させ、会計・税務・電子申告の一気通貫を実現していることです。今後も、法令改正や制度変更に迅速・的確に対応し、こうした強みを強化します。
2)当社システムの最大の特長は、単にシステムやサービスの提供にとどまらず、税務と会計の実務に精通した
TKC会員がシステムの導入から運用まで、きめ細かなサポートを行い、企業の適法・適正な税務と会計の処理を支援していることにあります。当社では、こうしたTKC会員の業務品質のさらなる高付加価値化を支援するため、会員への支援体制の強化を図ります。
②自計化推進活動
当社では、TKC全国会の戦略目標達成を支援するため、企業経営者の迅速な意思決定を支援する機能を強化・拡充するとともに、会計データの改ざんを可能とする遡及的な加除・訂正の会計処理ができないシステムの強みを生かした活動を展開します。
③TKC会員事務所1万超事務所の達成の支援
TKC全国会が掲げるTKC会員事務所1万超事務所の達成に向けて、TKC会員と連携した会員導入活動へ取り組み、TKC全国会の戦略目標の達成に貢献します。
④TKCローライブラリーの利用拡大
「TKCローライブラリー」を構成する「LEX/DBインターネット」「出版社データベース」の機能強化と収録内容の拡充をさらに進め、利用者の利便性を高めます。それにより競合他社のサービスとの差別化を図り、法律事務所におけるさらなる利用拡大を目指します。
3.地方公共団体事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
また、中長期の事業ビジョンとして「TKCシステムの最適な活用を通して、行政効率の向上・住民サービスの充実・行政コストの削減を実現し、地域の存続と発展に貢献する」との方針を掲げ、その実現に向けた戦略を実行しています。
(2) 経営環境
地方公共団体(特に市区町村)における情報化は、いま大きな転換点を迎えており、その新しい課題が「スマート自治体」の実現です。地域社会における少子高齢・人口減少に伴う労働力不足を背景に、職員数がこれまでの半数でも持続可能な形で行政サービスを提供するスマート自治体への転換は、市区町村にとって重要な経営課題となっています。
また、令和元年5月31日には「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(略称:「デジタル手続法」)が公布され、「デジタル化の基本3原則」(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)と「行政手続きのオンライン原則」の方針が示され、市区町村に対しては〈行政手続きのオンライン化は努力義務〉であるとされました。
したがって、スマート自治体の推進においては、行政手続きのオンライン化を進め、窓口業務の効率化を図ることが欠かせません。また同時に、行政サービスにかかる受付・審査・決裁・書類の保存などのバックオフィス業務まで一貫してデジタル処理できる環境を整備することも喫緊の課題となっています。さらに、これらに必要なシステム等を市区町村ごとに構築するのは非効率なことから、クラウドの共同利用(自治体クラウド)がこれまでにも増して急速に拡大する見込みです。
加えて、国・地方の財政状況が厳しさを増すなかで、財政の透明性を高め、その効率化・適正化を図る「行財政改革」も一段と加速しています。そのため、市区町村では統一的な会計基準に基づく財務書類等の適切な更新・開示を行うとともに、公会計情報を日々の財務活動や行財政運営へ組み込み、その上で予算編成や行政評価などに活用することが急務となっています。
一方、地方公共団体向けビジネス・ベンダーの市場動向に目を向けると、平成の大合併を境として業界再編が進み、マイナンバー制度以降はさらに業務システムの自社開発からの撤退や特定事業へ集中する事業者が相次いでいます。このことから、経営環境の変化に柔軟に対応できるシステム・サプライヤーだけが生き残っていく時代へとシフトしているといえそうです。
(3) 対処すべき課題
当社では、地方公共団体における「スマート自治体」や「行政サービスデジタル化」の実現、および「行財政改革」を支援するため、地方公共団体事業部門では、今後も最新のICTを活用した革新的な製品やサービスの開発・提供を通じて住民の利便性向上と行政効率の向上を支援することが重要な経営課題であると捉え、以下の五つの重点活動に取り組みます。
①基幹系業務システムの新たな顧客市区町村の拡大を図り、自治体クラウドの一層推進により行政サービス・デジタル化の推進と「コスト・ミニマム」の実現を支援します。
②財務データ等の多面的な活用により行政効率を分析できるシステムを提供することで、公会計情報を活用した「根拠に基づく行政経営・政策形成(EBPM)」の実現を支援します。
③eLTAX関連サービスの普及拡大を図り、税務手続きのデジタル化による利用者(行政と住民)の利便性向上を支援します。
④利用者の視点から新しい「行政サービスデジタル化支援ソリューション」の開発・提供に取り組みます。
⑤地方公共団体向けサービスを本業とする地域ベンダーとのソフトウエア製品相互供給関係を築くことにより、販売エリアの拡大とサービスの多重化を実現するアライアンス戦略を推進します。
4.印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
印刷事業部門では、「確実な印刷物の提供」により、顧客企業やそのお客様に貢献することを企業理念として掲げております。情報社会の高度化に伴うお客様の多種多様なニーズに対応するために、データ出力からメーリングサービスに至るまで、最新の設備と技術を駆使して、より付加価値の高いサービスを提供してまいります。そしてお客様の良きパートナーとして、印刷物を使った情報発信によるコミュニケーション環境の整備を通じて企業価値の一層の向上に努めます。
(2) 経営環境
主力商品のデータプリントサービス(DPS)とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)は、インターネット広告の台頭や行政手続等のデジタル化の普及がありながらも、年々成長を続けております。市場は「紙とデジタル」双方の利点を生かしたクロスメディア化という新たな価値の創造に向かっております。この傾向を捉えた提案活動により顧客満足度の向上に努めます。
ビジネス帳票は需要減少が続いておりますが、設備の統廃合や生産効率の向上によりコストを抑え、市場内でのシェア拡大を図ります。
(3) 対処すべき課題
当グループの印刷事業部門では、データプリントサービス(DPS)およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を主体とした拡販のため次のとおり取り組みます。
①新規顧客の開拓により、データプリントサービス関連商品の販売促進に注力します。
②関西工場及び関西営業所の開設により、関西以西の西日本エリアの新規開拓を行い営業拡販につなげます。
③アナログとデジタルを融合した印刷技術を顧客に提案し、その顧客とのダイレクトコミュニケーションへ貢献します。
④BPOの一環として顧客の間接業務を受託し、高品質を担保しつつ業務効率化、コスト削減、情報セキュリティーリスクの低減など顧客の経営効率化に寄与します。
⑤既存顧客との関係をさらに深め、シェアアップを図ります。
⑥顧客ニーズへの対応、他社との差別化による提案型の営業展開、生産コスト削減のため新技術開発へ継続して取り組みます。
⑦製造工程の機械化による正確性の担保と生産効率化による納期短縮の提案を行い、官公庁案件のシェアを拡大します。
⑧品質の向上と安定・維持、また品質障害防止のため、全商品の工程ごとの品質チェック体制を強化します。
⑨さらなる内製化を進めることで外注比率を下げ、コスト削減を図ります。
⑩顧客や取引先等からの信頼獲得およびマイナンバー管理を確かなものとするため「プライバシーマーク」「ISMS」に基づいた情報セキュリティー体制を一層強化します。
⑪「ISO14001」取得の環境配慮型企業として、損紙の削減を図るとともに、生産性の向上と効率化によりエネルギー消費量の削減をさらに進めます。
当社および当社グループの事業等に関連するリスクについては、有価証券報告書に記載した「事業の状況」および「経理の状況」等に関連して、投資者の皆さまにご承知いただくべきと思われる主な事項を以下に記載いたします。また、その他のリスク要因についても、投資者の皆さまのご判断上、重要と思われる事項について、積極的な情報開示を行うこととしています。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスク発生の事前防止および発生した場合の迅速な対応に努める所存ですが、当社株式に関する投資判断は、本項に加えて本報告書全体の記載も参考にされ、十分に検討した上で行われる必要性があると考えています。また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスク要因を全て網羅しているものではありませんので、この点にもご留意ください。
なお、本項において将来にわたる事項は、当連結会計年度末(令和元年9月30日)現在において当社グループが判断したものです。
1.退職給付債務について
当社グループの従業員退職給付債務および関連費用の計上は、割引率等数理計算上で設定される前提条件(基礎率)に基づいて行っています。これらの基礎率が変更となった場合は、結果として当社グループの財政状態および経営成績の変動要因となります。当社グループは、この影響を最小限にすべく退職金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行するなどの施策を実施していますが、その影響を完全になくすことはできません。基礎率の変更は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.固定資産価値の減少について
金融商品取引法に基づいて、2006年9月期から「固定資産の減損に係る会計基準」が適用されています。
この固定資産の減損会計の適用は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.印刷事業部門の原材料調達費の変動について
当社グループの印刷事業部門においては、原材料の調達の大部分について、製紙メーカーから直接原紙を購入し、安定的な原材料の確保と最適な価格の維持に努めています。しかし、原油価格の高騰や国際市場での需給逼迫により、需給バランスが崩れる懸念があります。そのような場合には、当社グループの顧客との間の価格交渉を通じて対応していく所存ですが、原材料調達が極めて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
4.個人情報等の保護について
当社グループにおいては、業務上、顧客(会計事務所および地方公共団体等)が保有する法人および個人の情報を大量に預託されているほか、さまざまな内部情報を保有しています。
当社では、こうした情報の管理を徹底するため、情報管理に関するポリシーや手続きを常に見直すとともに、役社員等に対する教育・研修等を行い、情報管理の重要性の周知徹底およびシステム上の情報セキュリティー対策等を実施しています。
また、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を全社で取得するほか、TKCインターネット・サービスセンターでは、ISMSやクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」、クラウドサービスセキュリティー認証「ISC/IEC27017」などの第三者認証を受けるなど、さらなる情報保護管理体制の強化を図っています。
しかしながら、予期せぬ事態により、これらの情報が流出する可能性は皆無ではなく、そのような事態が生じた場合、当社の社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下が、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
5.係争事件等について
現在、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性のある係争事件等はありませんが、今後そのような係争事件が発生する可能性は皆無ではありません。
Ⅰ 当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析
1.全社業績
株式会社TKCおよびその連結子会社等6社を含む連結グループの当期における経営成績は、売上高が66,120百万円(前期比7.3%増)、営業利益は9,347百万円(前期比7.7%増)、経常利益は9,669百万円(前期比7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,721百万円(前期比9.1%増)となりました。
当期の売上高、営業利益、経常利益、および親会社株主に帰属する当期純利益は、前期実績を超えると同時に過去最高を更新する結果となりました。その主な要因として会計事務所事業部門においては、電子帳簿保存法の要件を満たす財務会計システムのユーザー数が伸展したこと、および法人税の電子申告義務化に伴い大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」のユーザー数が伸展したことによってコンピューター・サービス売上高とソフトウエア売上高が増加したことによります。地方公共団体事業部門においては、基幹系システムの利用団体が増加したことによってコンピューター・サービス売上高が増加したこと、および「地方税電子申告支援サービス(eLTAX)」のシステム更改等に係るコンサルティング・サービス売上高が増加したことなどが挙げられます。
2.会計事務所事業部門の営業活動と経営成績
(1) 会計事務所事業部門の営業活動
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(以下、TKC会員)1万1,400名(令和元年9月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会は、昭和46年に創設され次の六つの事業目的を掲げて活動しています。
1)租税正義の実現
2)税理士業務の完璧な履行
3)中小企業の存続・発展の支援
4)TKC会員事務所の経営基盤の強化
5)TKCシステムの徹底活用
6)会員相互の啓発、互助及び親睦
(注)TKC全国会については、別冊『TKC全国会のすべて』またはTKCグループホームページ
(https://www.tkc.jp/)をご覧ください。
[TKC全国会が展開する運動について]
TKC全国会では、創設50周年(2021年)に向けての政策課題を踏まえ、2019年から2021年の3カ年の運動方針と2019年戦略目標を発表しました。その内容は以下のとおりです。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
①「TKC方式による書面添付」の推進(2019年末目標:法人書面添付13.4万社)
②「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2019年末目標:12万社24万件)
③「TKC方式の自計化」の推進(2019年末目標:27.7万社)
併せて、TKC全国会の取り組みが多くの金融機関から注目され始めており、これを好機としてTKC会員事務所の経営基盤を強固なものとするため、以下の方針が打ち出されています。
①「TKC会計人の行動基準書」を理解し、実践しよう!
②「巡回監査士」「巡回監査士補」を増大させよう!
③「認定支援機関」として経営助言業務を強化しよう!
[会計事務所事業部門による戦略目標達成に向けた活動]
当社では、TKC全国会と連携して2019年戦略目標の達成に向けた営業活動を展開しています。
①TKCモニタリング情報サービスの推進
当期は、TKCモニタリング情報サービスの推進を会計事務所事業部門の最重要戦略目標に設定し、TKC会員事務所と金融機関に普及を図りました。TKCモニタリング情報サービスは、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて、金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。開示のタイミングは、月次試算表の場合は月次決算終了直後、年度決算書および税務申告書は税務署に対して電子申告した直後に行われます。
TKCモニタリング情報サービスの推進と同時に、金融機関に対して中小企業の決算書の信頼性は以下の3帳表で確認できることを訴求しました。
1)TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」
2)会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性をTKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」
3)日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」
こうした活動の結果、当サービスを採用する金融機関は急速に増加し、令和元年9月末日現在で、全国全ての地方銀行(64行)を含む418金融機関に採用されています。また、本年は15万件を超える決算書等が金融機関に開示されました。
②TKC方式による自計化の推進(FXシリーズの推進)
当期においては、平成から令和への改元対応や令和元年10月施行の改正消費税法に対応するため、TKC会員事務所向けの研修会を全国で開催しました。また、軽減税率導入に伴う実務上の注意点やキャッシュレス制度への対応について情報提供を行うとともに、会計事務所が関与先企業向けに開催するセミナーの支援を実施しました。また、事務所ごとに自計化推進目標の決定と対象企業の絞り込み、および具体的な推進方法を検討する自計化推進会議の開催を支援しています。その結果、FXシリーズのユーザー数は令和元年9月末日現在で27万社を突破しました。
③電子帳簿保存法への完全対応支援
平成30年度税制改正において、所得税の申告に際して、1)帳簿の保管に関して電子帳簿保存法の適用を受けている場合、または、2)電子申告を実施した場合は、青色申告の特別控除額を10万円優遇する旨の内容が盛り込まれました。これは、電子帳簿保存法に基づいて申告の基礎となる帳簿記録の訂正・削除履歴を保存している事業者を税制上優遇するという点で画期的な改正であり、この流れは今後、法人税にも波及していくと考えられています。
また、「FXシリーズ」をはじめとする当社システムは、同業他社に先駆けて、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から「電子帳簿ソフト法的要件認証制度」の第1号認証を取得しました。この制度は、「5.全社に関わる重要な事項 (3)「電子帳簿ソフト法的要件認証」の取得」に記載のとおりです。この認証を受けたFXシリーズ等の普及を通じて、電子帳簿保存法への完全対応を支援しています。
④会員導入(TKC全国会への入会促進)
TKC全国会では、令和3年9月末日までにTKC会員事務所を1万超とする運動に取り組んでいます。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会等と密接に連携して会員導入活動を展開しています。
当期においては、中堅・大型事務所および独立開業を予定している税理士・公認会計士などを対象とした各種セミナーを開催し、新規入会を促進しました。
こうした活動の結果、令和元年9月末日現在のTKC会員は約9,700会計事務所、1万1,400会員となりました。なお事務所数と会員数の違いは、1事務所に複数会員が所属することによります。
[「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動]
①「中小会計要領」の普及のための支援活動
TKC全国会では、中小企業である関与先企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)を推奨しています。
本要領は、1)自社の経営状況の把握に役立つ会計、2)利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計、3)会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計、4)中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って制定されています。
当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材等の整備と他の中小企業支援団体との連携に継続的に取り組んでいます。
②「記帳適時性証明書」の発行
当社では、TKC会員が当社の会計システムを利用する際にTKCインターネット・サービスセンターに自動的に保存される処理履歴データと過去の時系列データを活用して、金融機関などの第三者が客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定するための資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。
このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたものであり、TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを、当社が第三者として証明するものです。
[大企業市場への展開]
当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンスと合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。
この活動に資するシステムとして、「TKC連結グループソリューション」(連結会計システム「eCA-DRIVER」、連結納税システム「eConsoliTax」、税効果会計システム「eTaxEffect」、法人電子申告システム「ASP1000R」、統合型会計情報システム「FX5」、電子申告システム「e-TAXシリーズ」、固定資産管理システム「FAManager」、TKC証憑ストレージサービス「TDS」、海外ビジネスモニター「OBMonitor」ほか)を提供しています。
平成30年度税制改正で、法人税・地方税・消費税の電子申告が令和2年4月から資本金1億円超の大企業に義務化されることになりました。これにより、大企業では、法人税申告書の電子申告の実施に加え、その添付書類(財務諸表、勘定科目内訳明細書等)についても電子データで提出しなければならなくなりました。法人税の電子申告は、国税庁の統計によれば、2016年度で2,085,431件、電子申告率79.3%となっているものの、大企業における電子申告率は56.9%にとどまっています。そのため、義務化の対象となる多くの大企業がはじめて電子申告に取り組むことになります。当社では、これらの企業が円滑に電子申告義務化対応を行えるようにするため、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(令和元年9月末日現在の会員数は1,349名)と連携し、『電子申告義務化対応ガイドブック』をホームページに公開するとともに、セミナーや電子申告体験会を開催しました。また、ERPベンダー4社とアライアンス契約を締結し、財務諸表のデータ連携システムの構築に取り組んでいます。その結果、法人電子申告システム(ASP1000R)のユーザー数は令和元年9月末日現在2,700社となりました。
また、収益認識に関する会計基準への対応、海外子会社の不正リスク対応をテーマとしたセミナーを開催し、システムとTKC会員によるシステム・コンサルティングを提案しました。
こうした活動の結果、「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和元年9月末日現在で約3,700企業グループとなりました。なお、当社の税務申告システムは日本の上場企業の売上高トップ100社のうち88%の企業で採用されています。また、日本の上場企業における市場シェアは30%となりました。
[法律情報データベースの市場拡大]
当社が独自に構築した法律情報データベース「LEX/DBインターネット」は、明治8年の大審院判例から直近に公開された全法律分野にわたる判例・裁決例等を収録しており、令和元年9月末日現在で30万2,000件超とわが国最大の文献収録件数を誇るサービスとなっています。
また「LEX/DBインターネット」を中核とする総合的な法律情報データベースである「TKCローライブラリー」は、94万件を超える論文等の所在情報に加えて、ぎょうせい殿、日本評論社殿、有斐閣殿、中央経済社ホールディングス殿、判例タイムズホールディングス殿などの法律専門出版社等18社が運用する60の法律情報データベースと連動しており、そのアクセス可能な情報総数は262万件を超えています。
①「TKCローライブラリー」の利用拡大
「TKCローライブラリー」の販売促進では、実務に役立つコンテンツを顧客別にパッケージ化(法律事務所向け「法律事務所パック」、企業法務部向け「企業法務パック」)し、その活用をアピールすることに取り組んできました。
当期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部などへの積極的な提案活動の結果、ユーザー数は5万IDを超え、令和元年9月末日現在で2万1,000超の諸機関で利用されています。
②アカデミック市場における展開
「TKC法科大学院教育研究支援システム」を利用する54校の法科大学院に対し、当システムの利用を基盤とした早期学修支援制度の導入を提案し、文部科学省の「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」に応募できるよう支援しています。
また、当期から大学の学部を対象に「公務員試験学習ツール」の販売促進活動を本格化し、令和元年9月末日現在で25校と契約しています。引き続き、モニター利用大学の拡大と正式利用への切り替えを促進しています。
(2) 会計事務所事業部門の経営成績の分析
会計事務所事業部門における売上高は45,899百万円(前期比4.8%増)、営業利益は8,725百万円(前期比2.6%増)となりました。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比4.1%増となりました。これは「中堅企業向け統合型会計情報システム(FX4クラウド)」や「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」、高セキュリティー環境のもとで、外出先からOMSにアクセスして業務を遂行できる「OMSモバイル」のユーザー数が伸展したことによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比3.1%増となりました。これは前述したように電子帳簿保存法の要件を満たす財務会計システムのユーザー数が伸展したこと、および法人税の電子申告義務化に伴い大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」のユーザー数が伸展したことによります。
③コンサルティング・サービス売上高は、前期比3.0%減となりました。これは「FX4クラウド」および「OMSクラウド」等のクラウドサービスのユーザー数が伸展したことに伴い、従来のクライアント/サーバー型システムに関わる立ち上げ支援料およびハードウエア保守料収入が減少したことによります。
④ハードウエア売上高は、前期比15.9%増となりました。これは、Windows7のサポート終了が令和2年1月に予定されていること、および消費税増税前にパソコンを買い換える需要が増加したことによります。
3.地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績
(1) 地方公共団体事業部門の営業活動
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
①基幹系関連サービスの開発・提供
国は、令和5年度末までにクラウド導入団体数を約1,600団体(うち自治体クラウドは約1,100団体)にするとの目標を掲げ、導入促進の取り組みを加速させています。
当社では、全国の地方公共団体(主に市区町村)を対象とした「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは基幹系業務と内部情報系業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」により構成されています。
特にTASKクラウドサービスは、当社データセンターを運用拠点として全国域を対象にクラウドの共同利用を可能とする単一のパッケージシステムであることから、総務省が推進する「自治体クラウド」の観点からも注目され、基幹系システムでは全国8グループの共同利用組織に採用されています。
当期においては、今秋以降に本稼働を迎える新規受注団体の円滑なシステム移行を支援したほか、改元や消費税法改正等への対応など各種システムの機能強化に努めました。また、積極的な提案活動を展開した結果、当社の基幹系システムは令和元年9月末日現在で全国150を超える団体に採用されています。
②住民向けクラウドサービスの拡充
マイナンバーカードの活用策として、コンビニエンスストアにおける証明書等の交付サービスを導入・検討する市区町村が増えています。
当社では、これを実現するシステムとして「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」を提供しています。本システムは全国の市区町村を対象とした初のクラウドサービスとして数多くの導入実績を持ち、令和元年9月末日現在で神戸市、北九州市などの政令指定都市を含め全国100を超える団体に採用されています。
また、本システムの仕組みを利用する「TASKクラウドかんたん窓口システム」は、住民サービスの向上と窓口業務改革の両面から注目が高まっており、令和元年9月末日現在で約10団体に採用されています。
当期においては、かんたん窓口システムの機能強化に取り組むほか、証明書コンビニ交付システムの積極的な提案活動を実施しました。
③地方税電子申告のクラウド化への対応
地方共同法人地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)の審査システム等の標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。
また、本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を結ぶ全国50社のパートナー企業とともに提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和元年9月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる770を超える団体で採用されています。
当期においては、令和元年10月から全国一斉に運用が始まる「地方税共通納税システム」の導入準備を支援したほか、データ連携サービスの機能強化および積極的な提案活動に取り組みました。
④地方公会計の統一的な基準への対応
市区町村においては、これまでの「現金主義会計」(単式簿記)に代えて「発生主義会計」(複式簿記)を採用して、財務書類などを作成・開示するとともに、そのデータを行政経営に活用することが求められています。
これを支援するため、当社では国が推奨する日々仕訳方式に対応した「TASKクラウド公会計システム」とその関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。
当期においては、鹿児島県町村会・熊本県町村会・長崎県市町村行政振興協議会・京都府自治体情報化推進協議会に参加する全51団体(7市26町4村、14一部事務組合等)のうち、先行して令和元年10月から財務会計システムを切り替える13団体について移行準備を支援(今後2年間をかけて順次切り替え予定)するほか、地方公会計情報の〈見える化〉と〈活用〉を支援する各種機能の開発・強化に取り組みました。また、積極的な提案活動を展開した結果、公会計システムは令和元年9月末日現在で約250団体に採用されています。
⑤行政サービスデジタル化への対応
令和元年5月、すべての行政手続きを原則としてオンライン化する「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(デジタル手続法)が成立しました。
当社では、かねてより新製品・サービスの企画と開発を一段と加速させるとともに、最新情報の収集・発信など顧客サポートの強化に努めてきました。当期においては、システム企画本部を中心に営業・開発・運用の各部門が連携し〈行政サービスデジタル化〉に関する情報収集・発信へ取り組むとともに、「TASKクラウドマイナンバーカード交付事務支援システム」をはじめ〈住民サービスの向上〉と〈業務の効率化・標準化〉を支援する行政サービスデジタル化支援ソリューションの調査・研究、開発を進めてきました。
(2) 地方公共団体事業部門の経営成績の分析
地方公共団体事業部門における売上高は16,413百万円(前期比16.3%増)、営業利益は425百万円(前期に対して422百万円増)となりました。
なお、営業利益が前期と比較して大幅に改善したのは、前期に受注した新規団体のシステム移行に伴う開発業務の外注などの仕入れが当期は発生していないこと、および「地方税電子申告支援サービス(eLTAX)」のシステム更改に伴う導入業務の受注によるものです。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比10.5%増となりました。これは前期において新たに受注した基幹系システムユーザーからアウトソーシングサービスを受注したこと、データセンターの利用が拡大したことに加え、LGWANクラウドサービスである「証明書コンビニ交付システム」や「課税資料イメージ管理システム」などのユーザー数が伸展したことによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比8.9%減となりました。これは、前期に計上したマイナンバー制度へのシステム対応、国民健康保険制度および介護保険制度の改正といった法律の改正に伴うシステム改修がなかったことによります。
③コンサルティング・サービス売上高は、前期比97.0%増となりました。これは前期において新たに受注した基幹系システムユーザーへのシステム導入に加え「地方税電子申告支援サービス(eLTAX)」のシステム更改、および地方税共通納税システムの導入事業を受託したことによります。
④ハードウエア売上高は、前期比55.4%増となりました。これは住基ネット関連機器更改に伴うサーバーやネットワーク機器等の売上高が増加したことによります。
4.印刷事業部門の営業活動と経営成績
(1) 印刷事業部門の営業活動
当社グループの印刷事業部門は、データプリントサービス(DPS)事業およびビジネスフォームの印刷を基軸に事業展開しています。
DPS分野では民間企業の販促用ダイレクトメールが小ロット化の傾向にある中、オフセット印刷とデジタル可変出力双方の技術提案により受注拡大を図りました。また、官公庁・地方自治体に対しては、そのサービスを受ける方々への個人情報の保護と正確性を担保し、より短い納期によるサービス強化を目的に、入札前段階からの機械設備に合わせた仕様提案を行いました。ビジネスフォーム印刷分野では、生産性の向上と高付加価値商品の企画販促に努めました。
(2) 印刷事業部門の経営成績の分析
①印刷事業部門における売上高は3,808百万円(前期比2.2%増)、営業利益は189百万円(前期比12.4%増)となりました。
②データプリントサービス(DPS)関連商品の売上高は、前期比10.3%増となりました。これは民間企業からのDM受注増、ビジネス・プロセス・アウトソーシング関連業務の安定受注、4月の統一地方選挙、7月の参議院選挙関連の受注、地方自治体からの通知書関連業務の受注、官公庁外郭団体からの通知書関連業務の受注などによります。
③ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比1.1%減となりました。これは近年ビジネス帳票の需要減退が続いていることによります。
5.全社に関わる重要な事項
(1) 指名・報酬諮問委員会の設置
社外取締役および社内取締役等で構成する任意の「指名・報酬諮問委員会」を、令和元年9月に設置しました。この委員会は、当社取締役会の諮問機関として、取締役等の選解任、候補者の指名、ならびに取締役等の報酬に関する意思決定について、独立社外取締役等からの関与・助言を得る機会を確保し、取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化することによって、コーポレート・ガバナンス体制をより一層充実させることを目的としています。
(2) 株式会社TKC出版の完全子会社化
令和元年9月24日、株式交換の手続きを実施し、関連会社である株式会社TKC出版を完全子会社化しました。株式会社TKC出版は昭和47年にTKC会員への情報発信および会員事務所の業務の合理化と関与先企業からの信頼性の向上に貢献するための広報および出版活動を行うことを目的として設立されました。完全子会社化により、株式会社TKC出版が培ってきた編集ノウハウを活用し、当社の事業や企画と組み合わせることで、広報、出版活動に大きく貢献できるものと期待しております。
(3) 「電子帳簿ソフト法的要件認証」の取得
当社が会計事務所の関与先企業に提供する財務会計システム(FX2、FX4クラウド、e21まいスターなど)は、同業他社に先駆けて、平成31年3月29日、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から「電子帳簿ソフト法的要件認証制度」の第1号認証を取得しました。この電子帳簿ソフト法的要件認証制度は、国税関係帳簿の作成・保存を行う市販ソフトウエアが電子帳簿保存法の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を充足していると判断されたソフトウエアに対して、JIIMAが認証する制度です。この認証を受けた財務会計システムは国税庁ホームページにも一覧が掲載されています。
電子帳簿保存法を利用する企業は、所轄税務署に申請書を提出する必要があります。従前は、電子帳簿を申請する際に、企業が利用している財務会計システムが電子帳簿保存法の要件を満たしていることを申告する必要がありました。平成31年度税制改正によりJIIMAの認証を取得している財務会計システムを利用の場合は、その申告作業が不要となり、電子帳簿の申請書類も1/2に減らすことができるようになりました。
今日、わが国においては多くの財務会計システムが企業において利用されていますが、その中で「電子帳簿保存法」に完全準拠したものが極めて少ないのが実態です。当社の財務会計システムは企業を納税義務者ととらえ、青色申告制度の要件を満たすように設計されており、これから強く注目されていくものと期待しております。
(4) 海外ビジネスモニターの内部監査支援機能に関する特許を取得
「海外ビジネスモニター」(以下、OBM)の内部監査支援機能について平成31年1月11日、特許を取得しました(特許第6463532号)。
OBMは、海外に進出している日系企業(海外子会社)の業績を日本の親会社が「見える化」できるクラウドサービスです。海外子会社が会計システムから会計データを切り出して、TKCインターネット・サービスセンター
(TISC)にアップロードすると、日本の親会社は、海外子会社の業績を、統一した科目体系で、かつ現地語を日本語または英語に自動翻訳して確認できます。さらにOBMは、会計データを自動的に分析し、ミスや不正と思われる取引を抽出する内部監査支援機能を搭載しています。この機能が「内部監査支援装置、内部監査支援方法および内部監査支援プログラム」に関する発明として特許が認められました。
(5) 当社名誉会長によるTKC会員に対する株式無償譲渡について
当社名誉会長である飯塚真玄氏は平成31年3月、税理士法第33条の2に規定される書面添付に取り組むTKC会員222名に対し、個人で保有する当社普通株式を無償譲渡されました。この無償譲渡は平成30年3月から令和4年3月までの5年間、累計100万株を上限として実施しているものです。昨年に続き2回目となる譲渡を行いました。
なお、飯塚真玄氏は平成18年にも弟故飯塚容晟氏(元当社副社長)と共に個人所有の当社株式合計300万株を、6,657名のTKC会員に贈与されています。
6.当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析
(1) 資産の部について
当連結会計年度末における資産合計は、96,989百万円となり、前連結会計年度末90,202百万円と比較して6,787百万円増加しました。
①流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、41,073百万円となり、前連結会計年度末31,747百万円と比較して9,325百万円増加しました。
その主な理由は、「現金及び預金」が7,541百万円、「売掛金及び受取手形」が1,064百万円増加したことなどによるものです。
②固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、55,915百万円となり、前連結会計年度末58,454百万円と比較して、2,538百万円減少しました。
その主な理由は、「長期預金」が3,500百万円、「繰延税金資産」が1,803百万円、「長期リース投資資産」が682百万円増加したものの、「投資有価証券」が8,499百万円減少したことなどによるものです。
(2) 負債の部について
当連結会計年度末における負債合計は、23,868百万円となり、前連結会計年度末17,651百万円と比較して6,217百万円増加しました。
①流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、16,278百万円となり、前連結会計年度末13,955百万円と比較して、2,322百万円増加しました。
その主な理由は、「未払法人税等」が761百万円、「賞与引当金」が430百万円、「その他」に含まれる「前受金」が331百万円増加したことなどによるものです。
②固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、7,590百万円となり、前連結会計年度末3,696百万円と比較して、3,894百万円増加しました。
その主な理由は、「退職給付に係る負債」が2,728百万円、「リース債務」が756百万円増加したことなどによるものです。
(3) 純資産の部について
当連結会計年度末における純資産合計は、73,121百万円となり、前連結会計年度末72,550百万円と比較して570百万円増加しました。
その主な理由は、「利益剰余金」が3,816百万円増加したものの、「退職給付に係る調整額」が1,704百万円、「その他有価証券評価差額金」が1,001百万円、「新株予約権」が235百万円減少したことなどによるものです。
なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、73.8%となり、前連結会計年度末78.6%と比較して4.7ポイント減少しました。
7.当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ7,541百万円増加し、26,810百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。
(1) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、10,550百万円増加(前連結会計年度比1,740百万円収入増)しました。その主な理由は、税金等調整前当期純利益が10,004百万円計上されたこと等によるものです。
(2) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、411百万円増加(前連結会計年度比4,424百万円支出減)しました。その主な理由は、定期預金の預入6,500百万円を支払ったこと、および投資有価証券の取得3,001百万円を支払ったこと、また、一方で投資有価証券の償還の収入10,000百万円があったこと等によるものです。
(3) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,792百万円減少(前連結会計年度比1,224百万円支出増)しました。その主な理由は、平成30年9月期期末配当ならびに令和元年9月期中間配当2,900百万円を支払ったこと、および自己株式の取得1,387百万円を支払ったこと等によるものです。
Ⅱ 生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
特に記載すべき事項はありません。
2.受注実績
特に記載すべき事項はありません。
3.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
会計事務所事業 |
45,899 |
104.8 |
|
地方公共団体事業 |
16,413 |
116.3 |
|
印刷事業 |
3,808 |
102.2 |
|
合計 |
66,120 |
107.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
Ⅲ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
1.重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要とします。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
2.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」をご参照ください。
3.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、経営体質の強化を図りながら持続的に企業価値を向上するにあたり、事業活動に必要な資金は、自己資金を中心とすることを基本方針としております。この方針のもと事業活動の維持に必要な手元資金を保有し、充分な流動性を確保していると考えております。
また、情報通信技術(ICT)が急速に進歩するとともに、社会の諸制度が大きく変化していく中で当社のお客さまのビジネスを成功に導きながら、市場環境の変化に迅速に対応し競争優位を実現するために、先行的な研究開発投資と積極的な設備投資を実施しております。
4.当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提の下に、毎事業年度の配当原資を当該期間利益に求めることを原則としています。この考え方に基づき、重要な経営指標として以下のものを設定するとともに管理しています。
①連結数値に基づく経営指標
1)対前年度売上高比率:3%以上
2)自己資本利益率:8%以上
②個別数値に基づく経営指標
1)自己資本比率:80%超
2)売上高経常利益率:8%以上
3)総合限界利益率:60%以上
※限界利益とは、売上高から売上高に比例して変動する費用(変動費)を控除した金額であり、製品ミックスにより変動します。総合限界利益率とは、この限界利益の額が売上高に占める割合を言います。
このような状況のなか、当期の連結対前年度売上高比率は7.3%(前期比4.1ポイント増)、連結自己資本利益率は9.4%(前期比0.5ポイント増)となりました。
また、個別自己資本比率は80.1%(前期比2.8ポイント減)、個別売上高経常利益率は14.7%(前期比0.4ポイント減)、個別総合限界利益率は73.1%(前期比0.9ポイント減)となりました。
引き続き高い水準を維持するために、収益構造および資本効率の改善に取り組んで参ります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費はありません。
なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。