第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

Ⅰ 経営成績

 当第3四半期連結累計期間(2019年10月1日~2020年6月30日)におけるわが国経済は、緩やかな成長基調でスタートしたものの、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の世界的流行の影響によって極めて厳しい状況となりました。感染症の収束を見通せない中、国内経済の先行きは不透明であり、当社の顧客である会計事務所とその関与先企業への影響も長期化することが予想されます。このような状況において、当社は社員および顧客の安全を優先し、2月末から在宅勤務や時差通勤、Web会議システムによる顧客サポートに取り組んでまいりました。

 当社のお客さまである税理士および公認会計士(以下、TKC会員)は、コロナウイルスの感染拡大の影響で業績が悪化した中小企業者の資金繰りと給付金等の申請支援に尽力されました。会計事務所事業部門では、TKC会員と関与先企業の支援に全力を傾注する方針を掲げ、①TKC会員への最新情報の提供、②「新型コロナウイルス緊急資金繰り対策コーナー」の提供、③「緊急支援関与先チェック機能」の提供、④オンデマンド研修の拡充、⑤在宅勤務に必要となる機器の提供を実施しました。詳細は「3.会計事務所事業部門の営業活動と経営成績」に記載のとおりです。
 地方公共団体事業部門では、基幹系システムをご利用の顧客に対して、政府がコロナウイルスの感染拡大を受けて国民一人当たり10万円を給付することとした「特別定額給付金」の申請手続き事務に係るシステム支援を行いました。
 また、前期までに受注した新規顧客のシステム移行作業、幼児教育・保育の無償化にかかるシステムの改修等を受託・実施しています。
 これらの活動の結果、TKCグループの当第3四半期連結累計期間(以下、当第3四半期)における経営成績は、売上高が51,310百万円(前期比7.5%増)、営業利益は9,977百万円(前期比37.1%増)、経常利益は10,245百万円(前期比35.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,792百万円(前期比31.3%増)となりました。
 当第3四半期における事業部門別の売上高の推移は以下のとおりです。

 

1.当社グループの第3四半期業績の推移

(1)会計事務所事業部門の売上高の推移

 会計事務所事業部門における売上高は34,917百万円(前期比4.5%増)、営業利益は8,649百万円(前期比22.0%増)となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。

①コンピューター・サービス売上高は、前期比4.2%増となりました。これは、コロナウイルスの感染拡大の中、
TKC会員が関与先企業の資金繰りと給付金申請の支援を行うため、財務処理を進められたこと。また、「中堅企業向けクラウド型統合会計情報システム(FX4クラウド)」の顧客数が伸展したこと。これに加え、在宅勤務の必要性が急増したことを受け、自宅から高セキュリティを保ちながらTKCシステムを利用できる「OMSモバイル」と
「TKCサイバーセキュリティサービス」の顧客数が伸展したことによります。

②ソフトウエア売上高は、前期比4.1%増となりました。これは電子帳簿保存法の要件を満たす財務会計システムの顧客数が伸展したこと、および令和2年4月から資本金1億円超の法人に電子申告が義務化されたことに伴い、大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」の顧客数が順調に伸展していることによります。

③ハードウエア売上高は、前期比27.7%増となりました。これはマイクロソフト社によるWindows7のサポートが令和2年1月に終了したことに伴うパソコンの買い換え需要が継続していること、在宅勤務に取り組む会計事務所の増加に伴って、Webカメラ付きのノートパソコンの需要が増加したことによります。

 なお、営業利益が前期と比較して改善したのは、コロナウイルスの影響で在宅勤務を実施したことにより、出張旅費が減少したこと、マーケティング活動をウェビナーに切り替えたことで、セミナー開催費用が減少したことによります。

(2)地方公共団体事業部門の売上高の推移

 地方公共団体事業部門における売上高は13,763百万円(前期比21.6%増)、営業利益は1,104百万円(前期に対して1,235百万円増)となりました。なお、営業利益が前期と比較して大幅に改善した要因は、幼児教育・保育の無償化に伴うシステム改修事業の受託によって、ソフトウエア売上高が増加したことによります。売上高に関する内訳は以下のとおりです。

コンピューター・サービス売上高は、前期比18.0%増となりました。これは地方税共通納税の開始に伴い、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」のデータセンター利用料売上が増加したことなどによります。

②ソフトウエア売上高は、前期比49.9%増となりました。これは前述のとおり幼児教育・保育の無償化に伴うシステム改修による売上高が増加したことによります。
 また、コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策として、政府が国民一人当たり10万円を給付する「特別定額給付金」が創設され、市区町村が住民からの申請と給付の事務を負託されました。当社は、基幹系システムをご利用の顧客に対して、関連システムの緊急対応を実施したほか、アウトソーシングサービスとして制度説明や返信用封筒などが一体となった特別定額給付金支給申請書を提供し、業務委託を受けた112団体(152万世帯)の早期給付に貢献しました。
 なお、当社は、地域におけるコロナウイルスの感染予防対策等に役立てていただくことを目的に、基幹系システムをご利用の顧客に対して、システム改修と申請書の印刷にかかる売上高から原価を差し引いた金額を義援金として拠出しました。そのため、「特別定額給付金」の対応支援の業績への影響は僅少であります。

③コンサルティング・サービス売上高は、前期比0.6%減となりました。これは、前期までに受注した新規顧客団体において、基幹系システムの移行および導入に関する売上高が増加したものの、ハードウエア売上高の減少に伴い機器設置等のサービス収入が減少したことによります。

④ハードウエア売上高は前期比21.4%減となりました。これは、前期に導入が集中した住民基本台帳ネットワークシステムの機器更改が当期はなかったことなどによります。

(3)印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の売上高の推移

 印刷事業部門における売上高は2,629百万円(前期比11.5%減)、営業利益は229百万円(前期比27.2%減)の業績となりました。売上高に関する内訳は以下のとおりです。

①データプリントサービス(DPS)関連商品の売上高は、前期比2.4%減となりました。これは地方公共団体などからの通知書関連業務の受注が増加したものの、コロナウイルスの影響により、民間企業からのDM等の受注が大幅に減少したことによります。

②商業美術印刷(カタログ、チラシ、書籍等)関連の売上高は、コロナウイルスの影響により、イベント等の中止や延期が相次いだため、それに付随する冊子、チラシ、書籍等の受注が減少した結果、売上高は前期比27.2%減となりました。

 

2.全社に関わる重要な事項

(1)コロナウイルスの感染防止と事業継続に向けた対応

 コロナウイルスの感染拡大および影響の長期化を踏まえ、社内における感染予防策の実施に加え、当社の顧客である会計事務所とその関与先企業、ならびに地方公共団体に対して情報発信や事業継続を支援するために以下の取り組みを行いました。

①クラウドサービス、帳表印刷サービスやヘルプデスクサービスを、お客さまに安心してご利用いただけるよう、事業継続のための体制強化(ドアノブや手すり等を1日2回除菌する作業や重要事業所への社外関係者の入室禁止、コロナウイルス感染者が発生した場合に備えた遠隔操作のインフラ整備のほか、ヘルプデスクの複数拠点への分散)を実施しました。

②社内における感染予防策として、毎朝の体温測定の実施、飛沫防止パネル、除菌マット、除菌アルコールの設置、マスクの配布、テレワーク用機材の整備などを行いました。

(2)コロナ禍での社会貢献活動

 医療崩壊の防止や経済的苦境に立つ学生などを支援するために以下の取り組みを行いました。

①コロナウイルスによる医療崩壊の防止に役立ててもらうために、栃木県に対する義援金として当社より300百万円、当社名誉会長である飯塚真玄ならびに当社創業者夫人である飯塚るな子からそれぞれ100百万円を個人として寄付しました。

②当社の顧客団体(130市町村)への義援金として総額169百万円の寄付を行いました。

③宇都宮大学でオンライン授業を受講する学生の支援に向けて、当社よりノートパソコン75台を寄付するとともに、当社名誉会長である飯塚真玄より、経済的苦境に立たされている学生の支援を目的に、個人として1,000万円を宇都宮大学に寄付しました。

(3)連結会計システム「eCA-DRIVER」の「運用確認表」において特許を取得

 連結会計システム「eCA-DRIVER」に搭載した「運用確認表」の「システムの処理が順番どおり適切に実行されたかを視覚的に確認できる機能」について、令和2年6月11日、特許を取得しました。(特許第6715886号)
 なお、当システムをはじめとする大企業市場への展開につきましては、後述のとおりです。

 

3.会計事務所事業部門の営業活動と経営成績

 会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士1万1,400名(令和2年6月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
 TKC全国会は、昭和46年に創設され次の六つの事業目的を掲げて活動しています。

①租税正義の実現
②税理士業務の完璧な履行
③中小企業の存続・発展の支援
④TKC会員事務所の経営基盤の強化
⑤TKCシステムの徹底活用
⑥会員相互の啓発、互助及び親睦

(注)TKC全国会については、別冊『TKC全国会のすべて』またはTKCグループホームページ(https://www.tkc.jp/)をご覧ください。

(1)TKC全国会が展開する運動について

 TKC全国会では、創設50周年(2021年)に向けての政策課題を踏まえ、2019年から2021年の3カ年の運動方針と戦略目標2020を掲げています。その内容は以下のとおりです。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
①「TKC方式による書面添付」の推進(2020年末目標:法人書面添付14.4万社)
②「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2020年末目標:14万社24.5万件)
③「TKC方式の自計化」の推進(2020年末目標:28.5万社)
 併せて、TKC全国会の取り組みが多くの金融機関から注目され始めており、これを好機としてTKC会員事務所の経営基盤をさらに強固なものとするため、以下の方針を打ち出しています。
①「TKC会計人の行動基準書」を理解し、実践しよう
②「巡回監査士」「巡回監査士補」を増大させよう
③「認定支援機関」として経営助言業務を強化しよう
 TKC全国会は、TKC会員に対して「いままさに、職業会計人の真価を発揮する時!」「税理士は、今回の危機に対して中小企業にとっての『親身の相談相手』であろう」とのメッセージを発し、上記の運動を継続するとともに、コロナウイルスの感染拡大の影響で業績が悪化した中小企業の資金繰りと給付金等の申請支援に尽力されました。

(2)会計事務所事業部門による戦略目標達成に向けた活動

①コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた中小企業の支援
 当社は、当第3四半期において、TKC会員と関与先企業の支援に全力を傾注する方針を掲げて、以下の支援を行いました。

1)TKC会員への最新情報の提供

政府や中小企業支援団体から発信される中小企業支援策をTKC会員に正確かつ迅速に伝えるため、TKC会員専用のイントラネット(ProFIT)で最新情報を日々提供しました。この活動は2月25日から開始し、当第3四半期末で152本の情報を発信しています。

2)「新型コロナウイルス緊急資金繰り対策コーナー」の提供

政府、都道府県、市および金融機関の中小企業支援策を「融資」「補助金」「雇用」「税制」の区分で確認できる特設サイトを開発し、TKC会員のホームページから確認できるようにすることで、関与先企業をはじめとする中小企業に対して網羅的に情報発信する体制を構築しました。当第3四半期末で8,469件の支援策を掲載しています。

3)「緊急支援関与先チェック機能」の提供

「持続化給付金」「雇用調整助成金」「家賃支援給付金」といった緊急経済対策や政府系金融機関の特別融資、共済制度の「一時貸付金」など、19項目の適用の可否を関与先企業ごとに自動判定できる「緊急支援関与先チェック機能」を「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」に搭載して提供しました。また、当機能には、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス特別貸付」の申し込みに必要となる「新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書」を自動作成する機能も搭載しました。これにより、TKC会員事務所が関与先企業の最適な資金繰りを助言するとともに、迅速に申請できる体制を構築しました。

4)オンデマンド研修の拡充

上記の中小企業支援策と税務申告・納付期限の延長に関する具体的な申請手続きや、給付金の支給を受けた場合の会計と税務の実務を解説するオンデマンド研修の提供と視聴促進を行いました。

5)在宅勤務に必要となる機器の提供

日本税理士会連合会が4月15日に公表した「税理士の業務とテレワーク(在宅勤務)~新型コロナウイルス感染防止対応版~」に完全に準拠しながらTKC会員とその職員が在宅勤務を行うために、Web会議システムやヘッドセットマイク、自宅から会計事務所にアクセスし高いセキュリティを保ちながらTKCシステムを利用できる通信機器の提供を行いました。

②戦略目標2020の達成に向けた営業活動
 第2四半期に引き続き、当社では、TKC全国会と連携して戦略目標2020の達成に向けた営業活動を展開しています。

1)「TKCモニタリング情報サービス」の推進

TKCモニタリング情報サービスは、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。開示のタイミングは、月次試算表の場合は月次決算終了直後、年度決算書および税務申告書は税務署に対して電子申告した直後です。

TKCモニタリング情報サービスの推進と同時に、金融機関に対して中小企業の決算書の信頼性は以下の3帳表で確認できることを訴求しました。
 a.TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」

 b.会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性をTKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」

 c.日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」
こうした活動の結果、当サービスを採用する金融機関は急速に増加し、令和2年6月末日現在で、全国全ての地方銀行(64行)を含む445金融機関に採用されています。また、令和2年6月末日現在、21万件を超える決算書等が金融機関に開示されました。
今般のコロナウイルスの影響拡大に伴う融資審査においても、TKCモニタリング情報サービスの活用により、迅速に融資を受けることができた等の事例が出てきています。これは、TKC会員が作成する決算書は信頼性が高いと金融機関が評価している証左だと言えます。
また、経済産業省は、コロナウイルスの影響拡大に伴って、中小企業への資金繰り支援を強化するため、実質無利子・無担保での融資を可能とする制度を創設しました。多くの金融機関はこの制度を活用して中小企業に緊急融資を実行しました。これらの金融機関は、融資先企業の業績を定期的に確認し、信用保証協会に報告することが求められています。そのため、TKCモニタリング情報サービスの「月次試算表提供サービス」が注目を集めています。当社は、TKC会員と金融機関が共同して同サービスを推進できるよう支援しています。

2)TKC方式の自計化の推進(FXシリーズの推進)

当社は、関与先企業経営者の戦略的意思決定を支援するため、「365日変動損益計算書」や「資金管理」といった戦略機能をFXシリーズに搭載してまいりました。併せて、ここ数年のICTの進化に伴い、関与先企業の経営者が、いつでもどこでもスマートフォンで自社の最新業績を確認できる「スマート業績確認機能」を提供しています。関与先企業の経営者がこれらの機能を使いこなすためには、経理担当者が会計取引をタイムリーかつ効率的に入力する必要があります。これを支援するため、インターネットバンキングから預金取引データを受信して、仕訳を自動生成する「銀行信販データ受信機能」を開発・提供しています。これらの機能によって、関与先企業経営者は、自社の業績、資金有高、支払予定や入金予定をいつでもどこでも確認できます。
当第3四半期は、コロナウイルスの業績への影響を懸念する関与先企業の経営者のために、FXシリーズの活用支援を実施しました。

3)電子帳簿保存法への完全対応支援

FXシリーズをはじめとする当社システムは、昨年、同業他社に先駆けて、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から「電子帳簿ソフト法的要件認証制度」の第1号認証を取得しました。この認証を受けたFXシリーズ等の普及を通じて、電子帳簿保存法への完全対応を支援しています。

4)会員導入(TKC全国会への入会促進)

TKC全国会では、令和3年9月末日までにTKC会員事務所を1万超とする運動に取り組んでいます。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会等と密接に連携して会員導入活動を展開しています。
当第3四半期においては、コロナ禍で会員導入活動の対象となる会計事務所への訪問もままならなかったため、オンデマンドセミナーを開催し、関与先企業の資金繰り支援の実務や会計事務所の在宅勤務に関する事例を公開することにより、新規入会を促進しました。
こうした活動の結果、令和2年6月末日現在のTKC会員は約9,700会計事務所、1万1,400会員となっています。なお事務所数と会員数に違いがあるのは、1事務所に複数会員が所属する場合があるためです。

(3)「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動

①「中小会計要領」の普及のための支援活動

 TKC全国会では、中小企業である関与先企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)を推奨しています。
 本要領は、1)自社の経営状況の把握に役立つ会計、2)利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計、3)会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計、4)中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って制定されています。
 当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材等の整備と他の中小企業支援団体との連携に継続的に取り組んでいます。
②「記帳適時性証明書」の発行
 当社では、TKC会員が当社の会計システムを利用する際に当社データセンターに自動的に保存される処理履歴データと過去の時系列データを活用して、金融機関などの第三者が客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定するための資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。
 このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたものであり、TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを、当社が第三者として証明するものです。

 

(4)大企業市場への展開

 当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンスと合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。
 この活動に資するシステムとして、「TKC連結グループソリューション」(連結会計システム「eCA-DRIVER」、連結納税システム「eConsoliTax」、税効果会計システム「eTaxEffect」、法人電子申告システム「ASP1000R」、統合型会計情報システム「FX5」、電子申告システム「e-TAXシリーズ」、固定資産管理システム「FAManager」、TKC証憑ストレージサービス「TDS」、海外ビジネスモニター「OBMonitor」ほか)を提供しています。
 令和2年4月から資本金1億円超の大企業に法人税・消費税・地方税の電子申告が義務化されることになりました。これにより、大企業では、法人税申告書の電子申告の実施に加え、その添付書類(財務諸表、勘定科目内訳明細書等)についても電子データで提出しなければならなくなりました。法人税の電子申告は、国税庁の統計によれば、平成30年度で226万8,473件、電子申告率84.3%となっているものの、大企業における電子申告率は66.1%にとどまっています。そのため、義務化の対象となる多くの大企業がはじめて電子申告に取り組むことになります。当社では、これらの企業が円滑に電子申告義務化に対応できるようにするため、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(令和2年6月末日現在の会員数は1,431名)と連携し、『電子申告義務化対応ガイドブック』をホームページに公開するとともに、オンデマンドセミナー等を開催しました。また、ERPベンダー4社とアライアンス契約を締結し、財務諸表のデータ連携システムの構築に取り組んでいます。その結果、法人電子申告システム(ASP1000R)のユーザー数は令和2年6月末日現在で3,170社となりました。
 こうした活動の結果、「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和2年6月末日現在で約4,000企業グループとなりました。なお、当社の税務申告システムは日本の上場企業の売上高トップ100社のうち86%の企業で採用されています。また、日本の上場企業における市場シェアは32%となりました。

(5)法律情報データベースの市場拡大

 当社が独自に構築した法律情報データベース「LEX/DBインターネット」は、明治8年の大審院判例から直近に公開された全法律分野にわたる判例・裁決例等を収録しており、令和2年6月末日現在で30万9,000件超とわが国最大の文献収録件数を誇るサービスとなっています。
 またLEX/DBインターネットを中核とする総合的な法律情報データベースである、
「TKCローライブラリー」は、95万6,000件を超える論文等の所在情報に加えて、ぎょうせい殿、日本評論社殿、有斐閣殿、中央経済社殿、判例タイムズ殿、商事法務研究会殿などの法律専門出版社等18社が運用する60の法律情報データベースと連動しており、そのアクセス可能な情報総数は264万件を超えています。
①「TKCローライブラリー」の利用拡大
 多くの顧客が、コロナウイルスの影響による在宅勤務への移行に伴い、オンラインで業務を遂行せざるを得なくなりました。これにより、資料室や図書館等を利用した調査ができないユーザーから、法令・判例・文献情報に加え、主要法律専門誌をカバーするほか、いつでもどこでも利用できるという特長をもつTKCローライブラリーの利点が再評価されるようになりました。その結果、ID数やコンテンツを追加する契約が増えています。当第3四半期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部などへのホームページやSNS等によるオンライン提案活動の結果、ユーザー数は5万2,000IDを超え、令和2年6月末日現在で2万3,000超の諸機関で利用されています。
②アカデミック市場における展開
 コロナウイルスの影響で大学は入構禁止となり、ほぼすべての大学がオンライン授業を実施しています。当社が提供している「TKC教育研究支援システム」「TKCローライブラリー」等のシステムは、いつでもどこでもオンラインで利用でき、他社を凌ぐ多様かつ多数のコンテンツの収録、レポートや演習、テスト機能が搭載されています。これらの特長がコロナ禍において教員、学生のオンライン授業および学習を支えるものとして再評価されています。4月以降、各大学と随時Web会議を実施し、基本サービスにおけるアクセス権の追加対応や、大学の実情に応じたオンラインによる学習環境整備を支援しました。
 また、大学の法学部を中心に提供している「公務員試験、ビジネス実務法務検定等の学習ツール」に対する評価も高まっています。学生は、各試験の延期や学習環境が整わない状況下で、充実した教材が収録されたオンライン学習ツールによる学習に一本化せざるを得ないことから、利用する頻度を増やしています。令和2年6月末日現在で24校と契約しており、特に公務員試験延期に対応するため4年生の利用期間を延長し支援しています。併せて、次年度の利用拡大に向けたモニター利用を推進しています。

 

4.地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績
 地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
 

(1)基幹系関連サービスの開発・提供

 国は、令和5年度末までにクラウド導入団体数を約1,600団体(うち自治体クラウドは約1,100団体)にするとの目標を掲げ、導入促進の取り組みを加速させています。
 当社では、地方公共団体(主に市区町村)へ「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは基幹系業務と内部情報系業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」により構成されています。
 特にTASKクラウドサービスは、当社データセンターを運用拠点として全国を対象にクラウドの共同利用を可能とする単一のパッケージシステムであることから、総務省が推進する「自治体クラウド」としても注目され、基幹系システムについては全国9グループの共同利用組織に採用されています。当社の基幹系システムはアライアンスパートナー契約を結ぶ全国7社のパートナー企業とともに積極的な提案活動を展開し、令和2年6月末日現在で全国150を超える団体に採用されています。
 当第3四半期においては、令和2年6月以降に基幹系システムが本稼働を迎える新規受注団体について円滑なシステム移行を支援しました。
 また、「福祉相談支援システム」において令和2年4月に生活支援記録法 F-SOAIP(※)に基づく〈記録作成の効率化〉と〈関係者間の円滑な情報共有〉を支援する機能を提供するなど、各種システムの機能強化に努めました。
 加えて、緊急経済対策として実施された特別定額給付金事業では、関連システムの緊急対応を実施したほか、アウトソーシングサービスとして制度説明や返信用封筒などが一体となった特別定額給付金支給申請書を提供し、業務委託を受けた112団体(152万世帯)の早期給付に貢献しました。
※生活支援記録法 F-SOAIPとは

 福祉・介護・保健医療分野の共通言語となることを目的として開発された経過記録のための手法です。必要な情報を項目形式で記録に残すため表現の標準化が可能で、効率的かつ的確な経過記録ができるほか関係者間の情報共有も容易になると注目されています。

(2)行政サービス・デジタル化への対応

 当社では、「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」や、この仕組みを利用した「TASKクラウドかんたん窓口システム」などを〈行政サービス・デジタル化支援ソリューション〉と位置付け、機能強化および商品ラインアップの拡充に取り組んでいます。
 証明書コンビニ交付システムでは第2四半期に引き続き、当社システムを利用してコンビニ交付サービスを順次スタートする神奈川県町村情報システム共同事業組合(管理者:湯川裕司山北町長)9町の導入準備、および円滑なシステム運用を支援しました。
 また、かんたん窓口システムでは、奈良県奈良市が実施する「ICTを活用した窓口改善(スマート窓口)の実証実験」へ参加し、新たなスマート窓口システムの研究・開発へ取り組みました。
 さらに、かねてより開発を進めてきた「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」を提供し、ファーストユーザー(茨城県五霞町)で運用を開始しました。
 そのほか、各種システムの機能強化および積極的な提案活動に取り組んだ結果、令和2年6月末日現在で、コンビニ交付システムは神戸市や北九州市などの政令指定都市を含め全国120を超える団体に、また、かんたん窓口システムは約10団体に、それぞれ採用されています。

(3)地方税税務手続きのデジタル化への対応

 地方共同法人地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)の審査システム等の標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として各市町村の税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。
 本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を結ぶ全国50社のパートナー企業とともに提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和2年6月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる770を超える団体で採用されています。
 当第3四半期においては、関連システムの機能強化・拡充に取り組むほかデータ連携サービスの積極的な提案活動に取り組みました。

(4)地方公会計の統一的な基準への対応

 市区町村においては、これまでの「現金主義会計」(単式簿記)に代えて「発生主義会計」(複式簿記)を採用して、財務書類などを作成・開示するとともに、そのデータを行政経営に活用することが求められています。
 これを支援するため、当社では国が推奨する日々仕訳方式に対応した「TASKクラウド公会計システム」とその関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。
 当第3四半期においては、鹿児島県町村会・熊本県町村会・長崎県市町村行政振興協議会・京都府自治体情報化推進協議会に参加する全51団体(7市26町4村、14一部事務組合等)をはじめ、多くの団体から新規に受注し、それらの円滑なシステムの立ち上げ・運用を支援しました。また、地方公会計情報の〈見える化〉と〈活用〉を支援する各種機能の開発・強化に取り組んだほか、積極的な提案活動を展開しました。その結果、公会計システムは令和2年6月末日現在で260を超える団体に採用されています。

(5)次世代製品の研究・開発

 すべての行政手続きを原則オンライン化する「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上ならびに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(デジタル手続法/令和元年5月成立)に続き、令和元年12月に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」では、地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続きが示されました。これに加えて、昨今のコロナウイルスの感染拡大を受け、市区町村における行政サービス・デジタル化の取り組みに拍車がかかっています。
 当社では、こうした顧客を取り巻く環境変化に対応するための新製品の企画・開発を加速するとともに、最新情報の収集・発信など顧客サポートの強化に努めています。
 当第3四半期においては、〈行政サービス・デジタル化〉に関する情報収集・発信を行うとともに、「TASKクラウドスマート申請システム」(令和2年8月提供開始)をはじめ、これからの新たな日常を支える次世代ソリューションの調査・研究、開発に取り組みました。

 

5.印刷事業部門の営業活動と経営成績
 当社グループの印刷事業部門は、データプリントサービス(DPS)事業およびビジネスフォーム印刷を基軸に事業展開しています。
 DPS分野では、地方公共団体などからの通知書関連業務の受注増があったものの、コロナウイルスの影響により、民間企業からのDM等の受注が大幅に減少したことにより、売上高は前期比2.4%減となりました。
 ビジネスフォーム印刷分野では、ビジネス帳票の需要減退、またコロナウイルスの影響により、消費低迷が続いていることから、売上高は前期比4.1%減となりました。
 商業美術印刷分野(カタログ、チラシ、ページ物、書籍等)では、電子データによる閲覧等の進展により、紙媒体の需要が減少、またコロナウイルスの影響により、イベント等の中止、延期による冊子もの、チラシ、書籍等の受注が大幅に減少したことにより、売上高は前期比27.2%減となりました。

 

Ⅱ.財政状態

当第3四半期連結会計期間末における資産・負債及び純資産の状況は次の通りです。

1.資産の部について

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、93,622百万円となり、前連結会計年度末96,989百万円と比較して3,367百万円減少しました。

(1)流動資産

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、34,123百万円となり、前連結会計年度末41,073百万円と比較して6,950百万円減少しました。
 その主な理由は、「現金及び預金」が5,002百万円、「売掛金及び受取手形」が1,521百万円、「仕掛品」が348百万円とそれぞれ減少したことによります。

(2)固定資産

 当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、59,498百万円となり、前連結会計年度末55,915百万円と比較して、3,582百万円増加しました。
 その主な理由は、「長期繰延税金資産」が543百万円、「無形固定資産」が280百万円、「建物及び構築物(純額)」が271百万円、「その他(純額)」に含まれる「工具器具備品」が189百万円とそれぞれ減少したものの、「長期預金」が4,100百万円増加、「投資有価証券」が623百万円、「長期貸付金」が130百万円とそれぞれ増加したことによります。

2.負債の部について

当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、17,748百万円となり、前連結会計年度末23,868百万円と比較して6,119百万円減少しました。

(1)流動負債

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、11,335百万円となり、前連結会計年度末16,278百万円と比較して、4,942百万円減少しました。
 その主な理由は、「仮受消費税等」が1,404百万円、「電子記録債権」が204百万円とそれぞれ増加したものの、「賞与引当金」が2,123百万円、「買掛金」が1,783百万円、「未払金」が1,378百万円、「未払法人税等」が1,362百万円とそれぞれ減少したことによります。

(2)固定負債

 当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、6,413百万円となり、前連結会計年度末7,590百万円と比較して、1,177百万円減少しました。
 その主な理由は、「退職給付に係る負債」が1,069百万円減少したことによります。

3.純資産の部について

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、75,873百万円となり、前連結会計年度末73,121百万円と比較して2,752百万円増加しました。
 その主な理由は、「非支配株主持分」が1,504百万円、「その他有価証券評価差額金」が600百万円とそれぞれ減少したものの、「利益剰余金」が3,880百万円、「資本剰余金」が877百万円増加したことによります。
 なお、当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は、
81.0%となり、前連結会計年度末73.8%と比較して7.2ポイント増加しました

 

Ⅲ 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

Ⅳ 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費は1百万円であります。

また、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。