1.全社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、「顧客への貢献」を経営理念として、会社定款(第2条)に定める次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。
①会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営
②地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営
この会社定款に定める基本方針は、創業(昭和41年10月22日)以来のもので、その後の業容の拡大に伴い、定款には他の事業目的が追加されましたが、それらはこの二つの事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっていません。
(2) 経営環境
当社グループが提供する製品およびサービスに大きな影響を与えるものは、法令等の改正とICTの進化です。法令等の改正としては、令和2年4月より開始した大法人の電子申告の義務化、令和3年4月より強制適用される収益認識に関する会計基準、デジタル手続法や地方公会計の統一的な基準などがあり、その対応を求められています。
また、ICTの進化については、クラウドコンピューティング、FinTech、AI、RPAなどがあり、加えて令和3年はデジタル庁の創設やマイナンバーカードと健康保険証の一体化などが予定されています。
こうした環境の変化をいち早く捉え、当社グループの提供する製品およびサービスへと展開することが重要であると考えています。
ただし、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の収束が見通せない中、わが国経済の先行きは不透明であり、当社グループの顧客である会計事務所とその関与先である中小企業、地方公共団体等への影響も長期化することが予想されます。今のところ印刷事業部門である子会社において民間企業からのダイレクトメール(DM)受注の減少が顕在化していますが、当社グループの業績への影響は僅少です。なお、今後の景気減退と企業活動における投資抑制の動向によっては、大きな影響が出る可能性も否定できません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①法令を完全に遵守したシステムの提供
当社グループは、関連法令に完全に準拠し、最新のICTを活用して開発したシステムを提供することによって、会計事務所および地方公共団体の業務を支援しています。このため、当社グループにおいては引き続き法令の改正に迅速に対応できるよう、システム開発体制をより強化していきます。
②グループ・ガバナンス・システムの確立
金融商品取引法への対応を含め、会社法で求められる内部統制システムを整備するとともに、企業経営理念、各種会議体、諸規定を体系的にまとめ、グループ・ガバナンス・システムの向上に取り組みます。
特に、令和元年6月に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」に対応したグループ・ガバナンス体制を構築し運用開始しております。
③働きがいのある組織風土の醸成
当社グループは、個人とチームワークを尊重した職場づくりに努めるとともに、当社の経営理念である「顧客への貢献」の実現のため従業員の能力開発の支援、「働きがいのある組織風土」の醸成に取り組みます。
④業務継続性の確保
大規模な自然災害など不測の事態が発生した場合、全ての顧客が業務の継続あるいは早期再開ができるよう、サービスの強化・拡充に取り組みます。
⑤システム障害時の迅速な対応
万一にも当社システムに障害が発生した場合は、障害に該当するユーザーを特定して障害の内容と対処方法を通知すると共に、「100%顧客救援」の方針のもとに復旧を迅速に支援する体制づくりに努めています。
⑥情報セキュリティーに対する取り組み
当社グループは、会計事務所とその関与先企業、ならびに地方公共団体に対して、常に最新のICTの活用による各種情報サービスを提供しています。情報セキュリティーの確保は当社の事業活動の重要課題であり社会的責務と考えています。
こうした認識の下、当社では顧客が当社のクラウドサービスを安心して利用いただける技術的環境を整備するために、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を取得しています。
また、TKCインターネット・サービスセンター(TISC)では、これらに加えて平成27年10月12日にクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」を、平成29年6月19日にはISMSクラウドサービスセキュリティー認証「ISO/IEC27017」を取得しています。
当社では、引き続き顧客が“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の整備に努めてまいります。
2.会計事務所事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(1万1,400名)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会では、創設50周年(2021年)に向けての政策課題を踏まえ、2019年から2021年までの3カ年にわたる運動方針を次のとおり掲げています。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
①「TKC方式による書面添付」の推進(2020年末目標:法人書面添付14.4万社)
②「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2020年末目標:12万社24.5万件)
③「TKC方式の自計化」の推進(2020年末目標:28.5万社)
当社では、TKC全国会が掲げる運動方針に基づき、2020年戦略目標の達成に向けた活動を実施しています。
また、TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」との綿密な連携を図り、上場企業を中心とする大企業市場向けに税務・会計システム等の提供を通じて、TKC会員の関与先拡大を支援しています。
(2) 経営環境
国税庁が2019年10月に発表した「法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、平成30年度における全法人の黒字申告割合は34.7%でした。前年度に比べて0.5ポイント増と、8年連続で黒字申告割合が増えているものの、依然として法人の約65%が赤字となっています。
さらに、コロナウイルスの感染拡大に伴い、経営難や赤字に陥る中小企業が今後ますます増えるおそれがあります。多くの中小企業は先が見通せない状況で、緊急融資等を受けて手元資金を確保しており、その返済が令和3年以降に始まります。それにより中小企業は今後、返済するための必要利益をいかに確保するかが大きな課題となっています。
そうした中でTKC会員事務所は、黒字決算と適性申告の実現にむけて月次巡回監査と月次決算、経営助言を実施し、「会計で会社を強くする」活動を展開してまいりました。また、借入金返済のための必要利益や必要売上高を算出し、経営計画の策定も支援しています。こうした活動の結果、TKC会員の関与先企業の約60%が黒字決算を実現しており、いまTKC会員事務所の指導力の高さに全国の中小企業や金融機関から大きな期待が寄せられています。
一方、令和2年4月1日以降開始事業年度から、資本金1億円超の法人について法人税等の電子申告が義務化されました。また、地方税においても、資本金の額が1億円超の法人など、一定の法人が提出する法人住民税および法人事業税の納税申告書、申告書に添付すべきものとされている書類について、電子情報処理組織を使用する方法により提供しなければならないこととされました。当社ではこうした法律及び社会制度の改正を、市場開拓とTKC会員の関与先拡大のチャンスととらえています。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
会計事務所事業部門では、会計事務所とその関与先企業の発展に貢献することが最も重要な経営課題であると捉え、今後もTKC全国会の諸活動との密接な連携を図るとともに、TKC会員の活動を支えるシステムやサービスの開発・提供を通じて、その活動を支援してまいります。
①システムの競争力の強化
当社では、以下の取り組みを通じてシステムの競争力の強化を図り、優位性を訴求することで他社との差別化に努めます。
1)当社システムの「強み」は税務と会計の一気通貫にあります。その特長は、財務会計システムにおいて法令および会計基準への完全準拠性を堅持しながら、これと関連する税務情報システムと完全連動させ、会計・税務・電子申告の一気通貫を実現していることです。今後も、法令改正や制度変更に迅速・的確に対応し、こうした強みを強化します。
2)当社システムの最大の特長は、単にシステムやサービスの提供にとどまらず、税務と会計の実務に精通した
TKC会員がシステムの導入から運用まで、きめ細かなサポートを行い企業の適法・適正な税務と会計の処理を支援していることにあります。当社では、こうしたTKC会員の業務品質のさらなる高付加価値化を支援するため、会員への支援体制の強化を図ります。
②自計化推進活動
当社では、TKC全国会の戦略目標達成を支援するため、企業経営者の迅速な意思決定を支援する機能を強化・拡充するとともに、会計データの改ざんを可能とする遡及的な加除・訂正の会計処理ができないシステムの強みを生かした提案活動を展開します。
③TKC会員事務所1万超事務所の達成の支援
TKC全国会が掲げるTKC会員事務所1万超事務所の達成に向けて、TKC会員と連携した会員導入活動へ取り組み、TKC全国会の戦略目標の達成に貢献します。
④TKCローライブラリーの利用拡大
「TKCローライブラリー」を構成する「LEX/DBインターネット」「出版社データベース」の機能強化と収録内容の拡充をさらに進め、利用者の利便性を高めます。それにより競合他社のサービスとの差別化を図り、法律事務所におけるさらなる利用拡大を目指します。
3.地方公共団体事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
また、中長期の事業ビジョンとして「TKCシステムの最適な活用を通して、行政効率の向上・住民サービスの充実・行政コストの削減を実現し、地域の存続と発展に貢献する」との方針を掲げ、その実現に向けた戦略を実行しています。
(2) 経営環境
地方公共団体(特に市区町村)における情報化は、いま大きな転換点を迎えています。
その一つの課題が「スマート自治体」の実現です。地域社会における少子高齢・人口減少に伴う労働力不足を背景に、職員数がこれまでの半数でも持続可能な形で行政サービスを提供するスマート自治体への転換と共同・広域クラウドの推進は、市区町村にとって重要な経営課題となっています。
また、令和元年5月31日には「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(略称:「デジタル手続法」)が公布され、「デジタル化の基本3原則」(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)と「行政手続きのオンライン原則」の方針が示され、市区町村に対しては〈行政手続きのオンライン化は努力義務〉であるとされました。
こうした現状を踏まえて、国は「自治体システムの標準化」への取り組みも加速させています。市区町村の情報システムは、これまで各団体が独自に構築・発展させてきた結果、発注・維持管理や制度改正対応などの面で人的・財政的負担が生じています。また、市区町村ごとに異なる様式・帳票は、それを作成・利用する住民・企業・自治体等の負担にもつながっており、「行政のデジタル化」に向けた基盤整備という点では情報システムの標準化・共同化が不可欠となっています。
加えて、コロナウイルスの感染拡大により日本の社会経済活動が激変し、それまでの価値観を一変させました。特に、特別定額給付金の支給遅れなどの発生は「行政手続きのデジタル化」を加速させる契機となっています。
加えて、国・地方の財政状況が厳しさを増す中で、財政の透明性を高め、その効率化・適正化を図る「行財政改革」も一段と加速しています。そのため、市区町村では財務書類等の適切な更新・開示を行うとともに、財務書類等から得られた情報をもとに経年比較や類似団体間の比較、指標を用いた分析等を行い、施設別の財務書類の作成・分析を通じて公共施設マネジメントに役立てるなど資産管理や予算編成などへ積極的に活用することが急務となっています。
一方、地方公共団体向けビジネス・ベンダーの市場動向に目を向けると、行政サービスのデジタル化分野において「Govtech(ガブテック)ベンチャー」と呼ばれる新興企業の市場参入も相次いでいます。このことから地方公共団体市場における企業間競争は一段と激化し、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステム・サプライヤーだけが生き残っていく厳しい時代を迎えたといえます。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、地方公共団体における「スマート自治体」や「行政サービス・デジタル化」の実現、および「行財政改革」を支援するため、今後も最新のICTを活用した革新的な製品やサービスの開発・提供を通じて「行政効率の向上」と「住民の利便性向上」を支援することが重要な経営課題であると捉え、以下の五つの重点活動に取り組みます。
①基幹系業務システムの新たな顧客市区町村の拡大を図り、自治体クラウドの一層推進により行政サービス・デジタル化の推進と「コスト・ミニマム」の実現を支援します。
②財務データ等の多面的な活用により行政効率を分析できるシステムを提供することで、公会計情報を活用した「根拠に基づく行政経営・政策形成(EBPM)」の実現を支援します。
③eLTAX関連サービスの普及拡大を図り、税務手続きのデジタル化による利用者(行政と住民)の利便性向上を支援します。
④利用者の視点から新しい「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」の開発・提供に取り組みます。
⑤地方公共団体向けサービスを本業とする地域ベンダーとのソフトウエア製品相互供給関係を築くことにより、販売エリアの拡大とサービスの多重化を実現するアライアンス戦略を推進します。
4.印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の経営方針、経営環境、及び対処すべき課題等
(1) 経営方針・経営戦略
印刷事業部門では、「デジタル技術」と「確実な印刷物の提供」により、顧客企業やそのお客さまのコミュニケーションやマーケティングに貢献することを経営方針として掲げました。情報社会の高度化、またコロナウイルスの影響による政府の急速なデジタル化推進が予想されます。社会の急激な変化に伴う、お客さまの多種多様なニーズに対応するために、お客さまへの最大価値を生み出す営業力、品質力、生産力をもとに、最新の設備と技術を駆使して、より付加価値の高いサービスを提供してまいります。そしてお客さまの良きパートナーとして、デジタル技術と印刷物を使ったコミュニケーション環境の整備を通じて企業価値の一層の向上に努めます。
(2) 経営環境
主力商品のデータ・プリント・サービス(DPS)とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)は、インターネット広告の増大、またコロナウイルスの影響により、働き方もテレワーク、在宅勤務など「新しいビジネス様式」へ移行、行政手続等のデジタル化が政府の方針により一気に進むと思われます。この大きな変化に適応し生き残りを図ります。市場はこれまでにない環境変化と新たなビジネス創造に向かっており、この変化に対応した提案活動により顧客満足度の向上に努めます。
ビジネス帳票は長期的に需要の減退が続いておりますが、生産環境の整備、設備の統廃合や生産効率の向上によりコストを抑え、市場内でのシェア拡大を図ります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当グループの印刷事業部門では、データ・プリント・サービス(DPS)およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を主体とした拡販のため次のとおり取り組みます。
①既存顧客のシェアアップおよび新規顧客の開拓のため、データプリントサービス関連商品の販売体制を強化します。
②関西工場及び関西営業所の本格的稼働により、関西以西の西日本エリアの営業拡販につなげます。
③アナログとデジタルを融合した印刷技術を顧客に提案し、その顧客のダイレクトコミュニケーションへ貢献します。
④コロナウイルスの影響により、顧客のアウトソーシング化が加速すると考えられ、BPOの受注では高品質かつ、コストの最小化、情報セキュリティーリスクの低減など顧客の経営効率化に寄与します。
⑤拡充したDPS専門工場の生産環境の一層の整備により、品質力の強化と生産力の増強を図ります。
⑥顧客ニーズへの対応、他社との差別化による提案型の営業展開、生産コスト削減のため新技術開発へ継続して取り組みます。
⑦品質の向上と安定・維持、また品質障害防止のため、全商品の工程ごとの品質チェック体制を強化します。
⑧封筒製造の設備を新規導入し、さらなる内製化により外注比率を下げ、コスト削減を図ります。
⑨顧客や取引先等からの信頼獲得、および政府が進めるマイナンバーカードの普及促進に合わせ、マイナンバーの管理については「プライバシーマーク」「ISMS」に基づいた情報セキュリティー体制を一層強化します。
⑩「ISO14001」取得の環境配慮型企業として、損紙の削減を図るとともに、生産性の向上と効率化によりエネルギー消費量の削減をさらに進めます。
当社および当社グループの事業等に関連するリスクについては、有価証券報告書に記載した「事業の状況」および「経理の状況」等に関連して、投資者の皆さまにご承知いただくべきと思われる主な事項を以下に記載いたします。また、その他のリスク要因についても、投資者の皆さまのご判断上、重要と思われる事項について、積極的な情報開示を行うこととしています。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスク発生の事前防止および発生した場合の迅速な対応に努める所存ですが、当社株式に関する投資判断は、本項に加えて本報告書全体の記載も参考にされ、十分に検討した上で行われる必要性があると考えています。また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスク要因を全て網羅しているものではありませんので、この点にもご留意ください。
なお、本項において将来にわたる事項は、当連結会計年度末(令和2年9月30日)現在において当社グループが判断したものです。
1.経済状況
当社グループは、TKC会員会計事務所および地方公共団体を主な顧客としています。日本国内の景気動向が、直接的に当社グループの業績に影響を与えることはありませんが、長期的な不況が長引き、TKC会員会計事務所やその顧客である関与先企業の業績が悪化した場合は、当社グループの業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.市場競争力
当社グループは、顧客であるTKC会員会計事務所および関与先企業、並びに地方公共団体に対して業務用ソフトウエアを開発・提供しています。こうしたソフトウエアを開発しているベンダーは当社以外にも存在しており、その品質や操作性において、当社のソフトウエアが劣っている場合は、顧客に選定されない可能性があります。
当社グループは、法令等の改正とICTの進化をいち早く捉え、当社のソフトウエアへと展開するよう開発部門に専門の部署を設けると共に、顧客ユーザーからの要望を広く取り入れる開発体制を整えています。
3.製品およびサービスの品質
当社グループが顧客に対して提供する製品及びサービスには、TKC会員会計事務所の関与先企業に関する会計や税務の情報および地方公共団体の住民情報が含まれます。こうした情報に誤りがあった場合は、顧客に大きな被害を与えることから、当社グループの製品およびサービスの品質は、事業活動において重要な要素と位置づけており、その維持と向上のためにシステム構造の理解を深めるための研修の実施、テストの充実等をもって取り組んでいます。
しかしながら、近年のソフトウエアは大規模化、複雑化によりシステム障害を根絶することは困難であるため、万が一システム障害が発生した場合に対応して迅速かつ直接的な100%顧客救援体制の整備に取り組んでいます。
4.印刷事業部門の原材料調達
当社グループの印刷事業部門においては、原油価格の高騰や国際市場での需給逼迫により需給バランスが崩れる懸念があります。そのような場合には、当社グループの顧客との間の価格交渉を通じて対応していく所存ですが、原材料調達が極めて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは原材料の調達の大部分について、製紙メーカーから直接原紙を購入し、安定的な原材料の確保と最適な価格の維持に努めています。
5.個人情報等の保護
当社グループにおいては、業務上、顧客(会計事務所および地方公共団体等)が保有する法人および個人の情報を大量に預託されているほか、さまざまな内部情報を保有しています。
当社では、こうした情報の管理を徹底するため、情報管理に関するポリシーや手続きを常に見直すとともに、役社員等に対する教育・研修等を行い、情報管理の重要性の周知徹底およびシステム上の情報セキュリティー対策等を実施しています。
また、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を全社で取得するほか、TKCインターネット・サービスセンターでは、ISMSやクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」、クラウドサービスセキュリティー認証「ISC/IEC27017」などの第三者認証を受けるなど、さらなる情報保護管理体制の強化を図っています。
しかしながら、予期せぬ事態により、これらの情報が流出する可能性は皆無ではなく、そのような事態が生じた場合、当社の社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下が、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
6.係争事件等について
現在、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性のある係争事件等はありませんが、今後そのような係争事件が発生する可能性は皆無ではありません。
7.新型コロナウイルス感染症の影響について
コロナウイルスの感染症拡大に伴う世界規模の経済活動の停滞は、今後数年にわたって継続するものとみています。このような環境において、当社の顧客である会計事務所およびその関与先企業の業績に大きな影響を及ぼす場合は、当社においてもその影響を避けられない可能性があります。
しかしながら、コロナ禍を契機としてデジタルトランスフォーメーションの加速や新しい生活様式の中から生まれる需要もあるため、当社は引き続き、顧客を幅広く支援しながら、業績の拡大に取り組んで参ります。
Ⅰ 当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析
1.全社業績
当連結会計年度(令和元年10月1日~令和2年9月30日(以下、当期))におけるわが国経済は、緩やかな成長基調でスタートしたものの、コロナウイルスの世界的な流行の影響によって極めて厳しい状況となりました。コロナウイルスの収束を見通せない中、わが国経済の先行きは不透明であり、当社の顧客である会計事務所、その関与先である中小企業、地方公共団体等への影響も長期化することが予想されます。
このような状況の中、当社は顧客の支援に全力を傾注する方針を掲げて、システム開発やサービスの提供に努めてまいりました。
会計事務所事業部門では、当社のお客さまである税理士および公認会計士(以下、TKC会員)が、中小企業の伴走型の支援者として、業績が悪化した関与先企業の資金繰りと経営助言を行うための支援を行いました。また、
TKC会員が関与先企業からの委託にもとづいて決算書等を電子申告と同時に金融機関に開示する「TKCモニタリング情報サービス」の普及に努めました。
地方公共団体事業部門では、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月20日閣議決定)として実施された「特別定額給付金」と「子育て世帯への臨時特別給付金」の申請・受付手続き事務の支援を行いました。また、幼児教育・保育の無償化にかかるシステムの改修および健康保険法におけるオンライン資格確認(マイナンバーカード保険証利用等)にかかるシステム改修等を受託・実施しています。
これらの活動の結果、TKCグループの当期における経営成績は、売上高が67,814百万円(前期比2.6%増)、営業利益は11,381百万円(前期比21.8%増)、経常利益は11,685百万円(前期比20.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,821百万円(前期比16.4%増)となりました。
当期における事業部門別の売上高の推移は以下のとおりです。
2.会計事務所事業部門の営業活動と経営成績
(1) 会計事務所事業部門の営業活動
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(以下、TKC会員)1万1,400名(令和2年9月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
TKC全国会は、昭和46年に創設され、次の六つの事業目的を掲げて活動しています。
1)租税正義の実現
2)税理士業務の完璧な履行
3)中小企業の存続・発展の支援
4)TKC会員事務所の経営基盤の強化
5)TKCシステムの徹底活用
6)会員相互の啓発、互助及び親睦
(注)TKC全国会については、別冊『TKC全国会のすべて』またはTKCグループホームページ
(https://www.tkc.jp/)をご覧ください。
[TKC全国会が展開する運動について]
TKC全国会では、創設50周年(2021年)に向けての政策課題を踏まえ、2019年から2021年の3カ年の運動方針と戦略目標2020を掲げています。その内容は以下のとおりです。
[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]
①「TKC方式による書面添付」の推進(2020年末目標:法人書面添付14.4万社)
②「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2020年末目標:14万社24.5万件)
③「TKC方式の自計化」の推進(2020年末目標:28.5万社)
併せて、TKC全国会の取り組みが多くの金融機関から注目され始めており、これを好機としてTKC会員事務所の経営基盤をさらに強固なものとするため、以下の方針を打ち出しています。
①「TKC会計人の行動基準書」を理解し、実践しよう
②「巡回監査士」「巡回監査士補」を増大させよう
③「認定支援機関」として経営助言業務を強化しよう
TKC全国会は、コロナウイルスが中小企業の経営環境に影を落とす中、「いままさに、職業会計人の真価を発揮する時!」「税理士は、今回の危機に対して中小企業にとっての『親身の相談相手』であろう」とのメッセージを発し、上記の運動を継続するとともに、コロナウイルスの感染拡大の影響で業績が悪化した中小企業の資金繰りと給付金等の申請支援に努めました。
[会計事務所事業部門による戦略目標達成に向けた活動]
①コロナウイルスの影響を受けた中小企業の支援
当社は、当期において、TKC会員と関与先企業の支援に全力を傾注する方針を掲げて、以下の支援を行いました。
1)TKC会員への最新情報の提供
当社は、政府や中小企業支援団体から発信される中小企業支援策をTKC会員に正確かつ迅速に伝えるため、TKC会員専用のイントラネット(ProFIT)で最新情報を日々提供しました。この活動は2月25日から開始し、当期末時点168本の情報を掲載するに至りました。
2)「新型コロナウイルス緊急資金繰り対策コーナー」の提供
政府、都道府県、市および金融機関の中小企業支援策を「融資」「補助金」「雇用」「税制」の区分で確認できる特設サイトを開発し、TKC会員のホームページから確認できるようにしました。これにより、TKC会員が関与先企業をはじめとする中小企業に緊急資金繰り支援策を網羅的に情報発信できるようにしました。当期末で9,231件の支援策を掲載しています。
3)「緊急支援関与先チェック機能」の提供
「持続化給付金」「雇用調整助成金」「家賃支援給付金」といった緊急経済対策や政府系金融機関の特別融資、中小企業基盤整備機構が運営する「経営セーフティ共済」の一時貸付金など20項目にわたる中小企業支援策の適用の可否を関与先企業ごとに自動判定し、一覧形式で確認できる「緊急支援関与先チェック機能」を「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」に搭載しました。また、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス特別貸付」の申込書である「新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書」をワンクリックで作成できる機能を搭載しました。これにより、TKC会員が迅速に関与先企業の緊急資金繰りを支援できる体制を構築しました。
4)オンデマンド研修の拡充
上記の中小企業支援策や税務申告・納付期限の延長に関する具体的な申請手続き、給付金等の支給を受けた場合の会計と税務の実務を解説するオンデマンド研修を提供し、視聴促進を行いました。
5)在宅勤務に必要となる機器の提供
日本税理士会連合会が4月15日に公表した「税理士の業務とテレワーク(在宅勤務)~新型コロナウイルス感染防止対応版~」に完全に準拠しながら、TKC会員とその職員が在宅勤務を行うために、Web会議システムやヘッドセットマイク、高セキュリティーを保ちながら自宅でもTKCシステムを利用できる通信機器の提供を行いました。
②戦略目標2020の達成に向けた営業活動
当社では、TKC全国会と連携して戦略目標2020の達成に向けた営業活動を展開しています。
1)「TKCモニタリング情報サービス」の推進
TKCモニタリング情報サービスは、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。開示のタイミングは、月次試算表の場合は月次決算終了直後、年度決算書および税務申告書は税務署に対して電子申告した直後です。TKCモニタリング情報サービスの推進と同時に、金融機関に対して中小企業の決算書の信頼性は以下の3帳表で確認できることを訴求しました。
ⅰ.TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」
ⅱ.会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性をTKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」
ⅲ.日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」
こうした活動の結果、当サービスを採用する金融機関は急速に増加し、令和2年9月末日現在で、全国全ての地方銀行(64行)を含む443金融機関に採用されています。また、令和2年9月末日現在で、22万件を超える決算書等が金融機関に開示されました。今般のコロナウイルスの影響に伴う緊急融資の審査においても、TKCモニタリング情報サービスを活用している関与先企業は迅速に融資を受けることができた等の事例が出てきています。これは、TKC会員が作成する決算書は信頼性が高いと金融機関が評価していることの証左だと言えます。また、経済産業省は、コロナウイルスの影響拡大に伴って、中小企業への資金繰り支援を強化するため、実質無利子・無担保での融資を可能とする制度を創設しました。多くの金融機関はこの制度を活用して中小企業に緊急融資を実行しました。これらの金融機関は、融資先企業の業績を定期的に確認し、信用保証協会に報告することが求められています。そのため、TKCモニタリング情報サービスの「月次試算表提供サービス」が金融機関から注目を集めています。当社は、TKC会員と金融機関が共同して同サービスを推進できるよう支援しています。
2)TKC方式の自計化の推進(FXシリーズの推進)
当社は、FXシリーズに、①経営トップが組織全体の動向を即座につかむために利用する「経営戦略レベル」の機能、②管理者が部門業績を検証し、次の打ち手を考えるために利用する「業績管理レベル」の機能、③経理事務の合理化・省力化を図る「業務執行レベル」の三階層の機能を搭載しています。当期は、関与先企業の経営者がコロナウイルスの業績への影響を正確に把握し、次の打ち手を検討できるように、FXシリーズに搭載している「経営戦略レベル」の機能(予算登録、部門別管理、資金繰り実績表)の活用を支援しました。また、経営者がこれらの機能を有効に活用するためには、適時・正確な会計取引の入力が必要となるため、「業務執行レベル」の機能として、インターネットバンキングから取引明細を受信して仕訳に変換する「銀行信販データ受信機能」や「戦略給与情報システム(PX2)」との給与仕訳の連携等を支援しました。さらに令和2年9月25日に「FXクラウドシリーズ」を新規に提供開始しました。当システムは、「会計で会社を強くする」機能の強化と会計事務所による「巡回監査」を支援する機能の強化を図っています。当社は、「FXクラウドシリーズ」の導入支援を通じて中小企業の財務経営力と資金調達力の向上を支援してまいります。
3)電子帳簿保存法への完全対応支援
FXシリーズをはじめとする当社システムは、昨年、同業他社に先駆けて、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から「電子帳簿ソフト法的要件認証制度」の第1号認証を取得しました。この認証を受けたFXシリーズ等の普及を通じて、電子帳簿保存法への完全対応を支援しています。
4)会員導入(TKC全国会への入会促進)
TKC全国会では、令和3年9月末日までにTKC会員事務所を1万超とする運動に取り組んでいます。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会等と密接に連携して会員導入活動を展開しています。当期においては、コロナ禍で会員導入活動の対象となる会計事務所への訪問が困難だったためオンデマンドセミナーを開催し、関与先企業の資金繰り支援の実務や会計事務所の在宅勤務に関する事例を公開することにより、新規入会を促進しました。こうした活動の結果、令和2年9月末日現在のTKC会員は約9,700会計事務所、1万1,400会員となっています。なお、事務所数と会員数に違いがあるのは、1事務所に複数会員が所属する場合があるためです。
[「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動]
①「中小会計要領」の普及のための支援活動
TKC全国会では、中小企業である関与先企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)を推奨しています。中小会計要領は、ⅰ.自社の経営状況の把握に役立つ会計、ⅱ.利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計、ⅲ.会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計、ⅳ.中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って制定されています。
当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材等の整備と他の中小企業支援団体との連携に継続して取り組んでいます。
②「記帳適時性証明書」の発行
当社では、TKC会員が当社の会計システムを利用する際に当社データセンターに自動的に保存される処理履歴データと過去の時系列データを活用して、金融機関等の第三者が客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定するための資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたものでありTKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを当社が第三者として証明するものです。
[大企業市場への展開]
当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンスと合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。
この活動に資するシステムとして、「TKC連結グループソリューション」(連結会計システム「eCA-DRIVER」、連結納税システム「eConsoliTax」、税効果会計システム「eTaxEffect」、法人電子申告システム「ASP1000R」、統合型会計情報システム「FX5」、電子申告システム「e-TAXシリーズ」、固定資産管理システム「FAManager」、TKC証憑ストレージサービス「TDS」、海外ビジネスモニター「OBMonitor」ほか)を提供しています。
令和2年4月から資本金1億円超の大企業に法人税・消費税・地方税の電子申告が義務化されることになりました。これにより、大企業では、法人税申告書の電子申告の実施に加え、その添付書類(財務諸表、勘定科目内訳明細書等)についても電子データで提出しなければならなくなりました。法人税の電子申告は、国税庁の統計によれば、平成30年度で226万8,473件、電子申告率84.3%となっているものの、大企業における電子申告率は66.1%にとどまっています。そのため、義務化の対象となる多くの大企業がはじめて電子申告に取り組むことになります。
当社では、これらの企業が円滑に電子申告義務化に対応できるようにするため、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(令和2年9月末日現在の会員数は1,447名)と連携し、『電子申告義務化対応ガイドブック』をホームページに公開するとともに、オンデマンドセミナー等を開催しました。また、ERPベンダー4社とアライアンス契約を締結し、財務諸表のデータ連携システムの構築に取り組んでいます。さらに、コロナウイルスの影響で在宅勤務に取り組む上場企業が増加したことを受け、訪問型だった営業活動をインサイドセールスに切り替え、移動時間を削減した結果、商談数を増加させることができました。
その結果、法人電子申告システム(ASP1000R)のユーザー数は令和2年9月末日現在で3,170社となりました。
こうした活動の結果、「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和2年9月末日現在で約4,100企業グループとなりました。なお、当社の税務申告システムは日本の上場企業の売上高トップ100社のうち87%の企業で採用されています。また、日本の上場企業における市場シェアは32%となりました。
[法律情報データベースの市場拡大]
当社が独自に構築した法律情報データベース「LEX/DBインターネット」は、明治8年の大審院判例から直近に公開された全法律分野にわたる判例・裁決例等を収録しており、令和2年9月末日現在で31万1,500件超とわが国最大の文献収録件数を誇るサービスとなっています。
また、LEX/DBインターネットを中核とする総合的な法律情報データベースである、「TKCローライブラリー」は、95万9,000件を超える論文等の所在情報に加えて、ぎょうせい殿、日本評論社殿、有斐閣殿、中央経済社殿、判例タイムズ殿、商事法務研究会殿などの法律専門出版社等18社が運用する62の法律情報データベースと連動しており、そのアクセス可能な情報総数は265万件を超えています。
①「TKCローライブラリー」の利用拡大
多くの顧客が、コロナウイルスの影響による在宅勤務への移行に伴い、オンラインで業務を遂行せざるを得なくなりました。これにより、資料室や図書館等を利用した調査ができないユーザーから、法令・判例・文献情報に加え、主要法律専門誌をカバーするほか、いつでもどこでも利用できるという特長をもつTKCローライブラリーの利点が再評価されるようになりました。その結果、ID数やコンテンツを追加する契約が増えています。当期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部などへのホームページやSNS等によるオンライン提案活動の結果、ユーザー数は5万2,000IDを超え、令和2年9月末日現在で2万3,000超の諸機関で利用されています。
②アカデミック市場における展開
コロナウイルスの影響で大学は入構禁止となり、ほぼすべての大学が前期はオンライン授業を実施しています。当社が提供している「TKC教育研究支援システム」「TKCローライブラリー」等のシステムは、いつでもどこでもオンラインで利用でき、他社を凌ぐ多様かつ多数のコンテンツの収録、レポートや演習、テスト機能が搭載されています。これらの特長がコロナ禍において教員、学生のオンライン授業および学習を支えるものとして再評価されています。4月以降、各大学と随時Web会議を実施し、基本サービスにおけるアクセス権の追加対応や、大学の実情に応じたオンラインによる学習環境整備を支援しました。
また、大学の法学部を中心に提供している学習ツール(公務員試験、ビジネス実務法務検定)は、令和2年9月末日現在で25校が利用しています。学生は、各試験の延期や学習環境が整わない状況下で、充実した教材が収録されたオンライン学習ツールによる学習に頼らざるを得ないことから、利用頻度が大幅に増加しています。9月には、新たに法学検定学習ツールの提供を開始しました。今年度の法学検定試験(11月)は団体受験のみ実施となったことから、対象大学63校を中心に次年度利用拡大にむけたモニター利用を推進しています。
(2) 会計事務所事業部門の経営成績の分析
会計事務所事業部門における売上高は47,150百万円(前期比2.7%増)、営業利益は10,237百万円(前期比17.3%増)となりました。
①コンピューター・サービス売上高は前期比4.1%増となりました。これは、コロナウイルスの感染拡大に伴う経済の停滞によって資金繰りに窮する中小企業が増加する中で、関与先企業の業績管理と緊急資金繰り対策、給付金申請等の支援を実施するためにTKC会員事務所による財務処理件数が進展したこと。在宅勤務を実施する企業が増加する中で、子会社も含めた業績を親会社で一括管理するために「中堅企業向けクラウド型統合会計情報システム(FX4クラウド)」を導入する中堅企業が増加したこと。また、在宅勤務に対応する会計事務所が増加した中で、高セキュリティーを保ちながら自宅でもTKCシステムを利用できる「OMSモバイル」「TKCサイバーセキュリティサービス」の顧客数が伸展したことなどによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比4.0%増となりました。これは電子帳簿保存法の要件を満たす財務会計システムの顧客数が増加したこと、および令和2年4月から資本金1億円超の法人に電子申告が義務化されたことに伴い、大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」の顧客数が順調に伸展していることなどによります。
③ハードウエア売上高は、前期比6.4%増となりました。これはマイクロソフト社によるWindows7のサポートが令和2年1月に終了したことによるパソコンの買い換え需要に加えて、コロナウイルスにより在宅勤務に取り組む会計事務所の増加によって、Webカメラ付きのノートパソコンやモバイルモニターの需要が増加したことによります。
④なお、営業利益が前期と比較して改善したのは、訪問型の顧客サポートをWeb会議システムによるリモートサポートに切り替えた結果、出張旅費が減少したこと、マーケティング活動をWebセミナーに切り替えたことでセミナー開催費用等が減少したことなどによります。
3.地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績
(1) 地方公共団体事業部門の営業活動
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
①基幹系関連サービスの開発・提供
当社は、地方公共団体(主に市区町村)に対して、「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは基幹系業務と内部情報系業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」から構成するクラウドサービスです。
政府は、令和2年7月17日に「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を閣議決定し、行政コストの削減、業務の共通化・標準化、情報セキュリティー水準の向上、災害時の業務継続性の確保を目的に、令和5年度末までに行政システムのクラウド導入団体数を約1,600団体(うち複数団体による共同化を行う自治体クラウドは約1,100団体)にするとの目標を掲げました。
当社の「TASKクラウドサービス」は、当社データセンターを運用拠点とした単一バージョンのパッケージシステムでありながら、複数団体による共同利用を前提とした設計としているため、政府が推進する「自治体クラウド」に対応するのに最適なシステムとして注目されており、全国11の共同利用組織に採用されています。また、全国7社のアライアンスパートナー企業も「TASKクラウドサービス」を積極的に推進しています。この結果、令和2年9月末日現在で「TASKクラウドサービス」は、160を超える地方公共団体に採用されています。
当期においては、引き続き新規受注に向けた提案活動を行ったほか、令和2年9月までに本稼働を迎える新規受注団体について円滑なシステム移行を支援しました。
また、「福祉相談支援システム」において生活支援記録法 F-SOAIP(※)に基づく〈記録作成の効率化〉と〈関係者間の円滑な情報共有〉の支援機能を提供するなど、各種システムの機能強化に努めました。
加えて、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として実施された「特別定額給付金事業」では、関連システムの緊急対応を実施したほか、アウトソーシングサービスとして制度説明や返信用封筒などが一体となった特別定額給付金支給申請書を提供し、業務委託を受けた112団体(152万世帯)の早期給付に貢献しました。
※生活支援記録法 F-SOAIPとは
福祉・介護・保健医療分野の共通言語となることを目的として開発された経過記録のための手法です。必要な情報を項目形式で記録に残すため表現の標準化が可能で、効率的かつ的確な経過記録ができるほか関係者間の情報共有も容易になると注目されています。
②行政サービス・デジタル化への対応
当社では、「TASKクラウド証明書コンビニ交付システム」や、この仕組みを利用した「TASKクラウドかんたん窓口システム」などを〈行政サービス・デジタル化支援ソリューション〉と位置付け、機能強化および商品ラインアップの拡充に取り組んでいます。
証明書コンビニ交付システムでは、当社システムを利用してコンビニ交付サービスを順次スタートする神奈川県町村情報システム共同事業組合(管理者:湯川裕司山北町長)9町の導入準備、および円滑なシステム運用を支援しました。
また、かんたん窓口システムでは、奈良県奈良市が実施する「ICTを活用した窓口改善(スマート窓口)の実証実験」(実施期間:令和元年11月~令和2年9月予定)へ参加し、新たなスマート窓口システムの研究・開発へ取り組みました。
さらに、当期においては、かねてより開発を進めてきた以下のシステムを新たに提供しました。
1)「TASKクラウド マイナンバーカード交付予約・管理システム」(令和2年5月提供開始)
ファーストユーザー 茨城県五霞町
2)「TASKクラウド スマート申請システム」(令和2年8月提供開始)
ファーストユーザー 大阪府大阪市
そのほか、各種システムの機能強化および積極的な提案活動に取り組んだ結果、令和2年9月末日現在で、コンビニ交付システムは神戸市や北九州市などの政令指定都市を含め130を超える団体に、また、かんたん窓口システムは約10団体に、マイナンバーカード交付予約・管理システムは20を超える団体に、それぞれ採用されています。
③地方税税務手続きのデジタル化への対応
地方共同法人地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)の審査システム等の標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として各市町村の税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を結ぶ50社のパートナー企業とともに提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和2年9月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる約780団体に採用されています。
当期においては、地方税共通納税システムの開始に伴う関連システムの機能強化・拡充に取り組むほか、当社独自サービスであるデータ連携サービスの積極的な提案活動に取り組みました。
④地方公会計の統一的な基準への対応
市区町村においては、地方公会計の取り組みの一層の推進とともに、財務書類等の作成業務の効率化により財務分析などの活用に注力することが求められています。令和2年3月に総務省が公表した『地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書』では、「財務会計システムと一体的な地方公会計システムを導入し、あらかじめ歳出科目と勘定科目の紐付けを行うことや、予算執行時に自動的に仕訳変換をする仕組みを構築することにより、日々仕訳の円滑な導入や期末一括仕訳における確認作業の軽減も可能になると考えられます。
また、公有財産台帳と固定資産台帳のデータを連携・統合することにより、各台帳への登録業務を効率化することが可能になると考えられる」として、システム更新等のタイミングで「財務会計システムと一体的な地方公会計システム」と「日々仕訳」の導入を検討するよう促しています。
当社では、国が推奨する日々仕訳方式に対応した財務会計システムと一体的な地方公会計システムとして「TASKクラウド公会計システム」と、その関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。
当期においては、鹿児島県町村会・熊本県町村会・長崎県市町村行政振興協議会・京都府自治体情報化推進協議会に参加する全51団体(7市26町4村、14一部事務組合等)をはじめ、多くの団体から新規に受注し、それらの円滑なシステムの立ち上げ・運用を支援しました。
また、地方公会計情報の〈見える化〉と〈活用〉を支援する各種機能の開発・強化に取り組んだほか、積極的な提案活動を展開しました。その結果、公会計システムは令和2年9月末日現在で270を超える団体に採用されています。
⑤次世代製品の研究・開発
コロナウイルスの感染拡大を機に行政分野でのデジタル化・オンライン化の遅れが浮き彫りとなったことを受けて、『経済財政運営と改革の基本方針2020』(令和2年7月閣議決定)ではデジタル・ガバメントの構築を“一丁目一番地”の最優先課題と位置付け、行政手続きのオンライン化やワンストップ・ワンスオンリー化などデジタル化を加速することとされました。加えて、同方針ではマイナンバー制度および国・地方を通じたデジタル基盤の構築に向け、地方自治体の業務システムの早急な統一・標準化を進めることが強調されています。このような現状を踏まえ、市区町村における行政サービス・デジタル化の取り組みにも一層拍車がかかっています。
当社では、こうした顧客を取り巻く環境変化に対応するため、新製品の企画・開発を加速するとともに、最新情報の収集・発信など顧客サポートの強化に努めています。
当期においては〈行政サービス・デジタル化〉や〈業務システムの標準化〉などに関する情報収集・発信を行うとともに、先進団体との実証事業などを通じてポストコロナ時代の“新たな日常”を支える次世代ソリューションの調査・研究、開発に取り組みました。
(2) 地方公共団体事業部門の経営成績の分析
地方公共団体事業部門における売上高は17,377百万円(前期比5.9%増)、営業利益は1,037百万円(前期に対して612百万円増)となりました。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比16.1%増となりました。これは、令和元年10月1日から国の地方税共通納税システムが稼働したことに伴い、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」の利用によるデータセンター利用料売上が増加したことなどによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比33.2%増となりました。これは、幼児教育・保育の無償化および健康保険法におけるオンライン資格確認等、大規模なシステム改修により売上高が増加したことによります。また、コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策として、国民一人当たり10万円を給付する「特別定額給付金」が創設され、市区町村が住民からの申請と給付の事務を負託されました。当社は、基幹系システムをご利用の顧客に対して、「特別定額給付金」に関連するシステムの緊急対応を実施したほか、アウトソーシングサービスとして制度説明や返信用封筒などが一体となった特別定額給付金支給申請書を提供し、業務委託を受けた112団体(152万世帯)の早期給付に貢献しました。
③コンサルティング・サービス売上高は、前期比34.9%減となりました。これは、前期のeLTAX審査システム更改および共通納税システム導入に伴う導入支援作業費が当期はなかったことによります。
④ハードウエア売上高は前期比37.9%減となりました。これは、前期に導入が集中した住民基本台帳ネットワークシステムの機器更改が当期はなかったことなどによります。
4.印刷事業部門の営業活動と経営成績
(1) 印刷事業部門の営業活動
当社グループの印刷事業部門は、データ・プリント・サービス(DPS)事業およびビジネスフォーム印刷を基軸に事業展開しています。
DPS分野では、地方公共団体などからの通知書関連業務の受注増があったものの、コロナウイルスの影響から、民間企業の需要が急激に減速、DM等の受注が減少したことにより、売上高は前期比5.6%減となりました。
ビジネスフォーム印刷分野では、ビジネス帳票の需要減退、またコロナウイルスの影響で、物流が停滞し、ビジネス帳票の利用が減少したことから、売上高は前期比7.8%減となりました。
商業美術印刷分野(カタログ、チラシ、ページ物、書籍等)では、電子データによる閲覧等の進展により、紙媒体の需要が減少、またコロナウイルスの影響から、イベント等の中止や延期が相次いだため、冊子、チラシ、書籍等の受注が大幅に減少した結果、売上高は前期比27.9%減となりました。
(2) 印刷事業部門の経営成績の分析
①印刷事業部門における売上高は3,286百万円(前期比13.7%減)、営業利益は106百万円(前期比43.6%減)となりました。
②データ・プリント・サービス(DPS)関連商品の売上高は、前期比5.6%減となりました。これは地方公共団体などから受託した通知書関連業務が増加したものの、コロナウイルスの影響により民間企業からのダイレクトメール(DM)等の大口需要が減少したことによります。
③ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比7.8%減となりました。近年のビジネス帳票の需要減退、並びにコロナウイルスの影響で物流が停滞し、ビジネス帳票の利用が減少したことによるものです。
④商業美術印刷(カタログ、チラシ、書籍等)関連の売上高は、前期比27.9%減となりました。これはコロナウイルスの影響により、イベント等の中止や延期が相次いだため、冊子、チラシ、書籍等の受注が大幅に減少したことによります。
5.全社に関わる重要な事項
(1) コロナウイルスの感染防止と新しい働き方への対応
コロナウイルスの収束を見通せない中、当社は顧客へのサービス提供を継続するため、以下の感染防止と新しい働き方への対応に取り組んでいます。
①クラウドサービス、帳表印刷サービスやヘルプデスクサービスを継続して提供できるよう、事業継続のための体制強化(重要事業所への社外関係者の立入禁止、ヘルプデスクの複数事業所への分散、データセンター内にコロナウイルス感染者が発生した場合に、データセンターを遠隔拠点からリモート操作するためのインフラ整備)を実施しました。
②在宅勤務制度、時差通勤制度の導入に加え、社内における感染防止策として、自動検温器、飛沫防止パネル、除菌マット、除菌アルコールの設置、マスクの配付などを行いました。
③新しい働き方に対応するため『Web会議システムによる顧客サポートのガイドライン』を策定し、在宅勤務を実施している場合であっても顧客との面談回数を向上するための取り組みを行っています。これに併せて、全社員へのモバイル通信機器の配付、Web会議システムの増強等を行っています。
(2) お客さまの新しい働き方への対応支援
①会計事務所事業部門では、令和2年4月から9月末までの間、TKC全国会にWeb会議システムを無償貸与し、TKC全国会の委員会活動とTKC会員の情報交換を支援しました。また、TKC会員事務所が在宅勤務制度等を導入し、新しい働き方への対応を行えるよう、一定の条件に該当するTKC会員に対してモバイルモニターとスピーカーマイクを提供(無償貸与)しました。
②基幹系システムをご利用の顧客団体(市区町村)約170団体に対して、リモートでのサポートを実施するために、Web会議システムをご利用いただける環境(大型ディスプレー、スピーカー、Webカメラ)を提供(無償貸与)しました。
③これらの施策を実施することで、顧客と社員の感染防止を図るとともに、これまでと同様の顧客サポート品質の維持に努めました。
(3) コロナ禍での社会貢献活動
医療崩壊の防止や経済的苦境に立つ学生などを支援するために以下の取り組みを行いました。
①コロナウイルスによる医療崩壊の防止に役立ててもらうために、栃木県に対する義援金として、当社より300百万円、当社名誉会長である飯塚真玄ならびに当社創業者夫人である飯塚るな子からそれぞれ100百万円を個人として寄付しました。
②当社の顧客団体(130市町村)への義援金として総額169百万円を寄付しました。
③宇都宮大学でオンライン授業を受講する学生を支援するために、当社からノートパソコン75台を寄付しました。また、当社名誉会長である飯塚真玄から、経済的苦境に立たされている大学生の支援を目的に、個人として1,000万円を宇都宮大学に寄付しました。
(4) 大規模災害の発生に備えた事業継続計画(BCP)の見直し
大規模災害の備えとして、すべての事業所と社員の借上社宅・借上寮の安全性を確認し、被災想定地域に所在する事業所と社員の借上社宅・借上寮をより安全な地域に移転しました。
(5) 連結会計システム「eCA-DRIVER」の「運用確認表」において特許を取得
連結会計システム「eCA-DRIVER」に搭載した「運用確認表」の「システムの処理が順番どおり適切に実行されたかを視覚的に確認できる機能」について、令和2年6月11日、特許を取得しました。(特許第6715886号)
(6)「収益認識に関する会計基準」の早期適用
当社は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号平成30年3月30日)および「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号平成30年3月30日)を、令和2年10月1日から開始する事業年度(第55期)において早期適用することにしました。これは、当社が「収益認識に関する会計基準」を適用する過程で得たノウハウを取りまとめ、上場企業向けコンサルティング・サービスとして提供することを目的としています。
当社グループが新収益認識基準を適用する場合、売上高の計上プロセスにおいて、①契約時に一括して売上高を計上していた一部の製品について、その売上高を契約期間にわたって按分する会計処理への変更や、②他社から仕入れて販売していた製品について、その取引金額から原価を差し引いた金額を売上高として認識する会計処理への変更が必要になります。
これにより「収益認識に関する会計基準」等の適用による連結財務諸表に与える影響額については、収益認識基準適用前の売上高として69,000百万円、収益認識基準適用後の売上高は66,000百万円を予想しており、新収益認識基準の売上高への影響は、3,000百万円と見込んでおります。
6.当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析
(1) 資産の部について
当連結会計年度末における資産合計は、97,671百万円となり、前連結会計年度末96,989百万円と比較して681百万円増加しました。
①流動資産
当連結会計年度末における流動資産は、35,844百万円となり、前連結会計年度末41,073百万円と比較して5,229百万円減少しました。
その主な理由は、現金及び預金が3,041百万円、受取手形及び売掛金が1,740百万円、仕掛品が326百万円とそれぞれ減少したことによります。
②固定資産
当連結会計年度末における固定資産は、61,826百万円となり、前連結会計年度末55,915百万円と比較して、5,910百万円増加しました。
その主な理由は、ソフトウエア仮勘定が437百万円、建物及び構築物(純額)が222百万円とそれぞれ減少したものの、長期預金が5,100百万円、投資有価証券が755百万円、繰延税金資産が344百万円、ソフトウエアが267百万円とそれぞれ増加したことによります。
(2) 負債の部について
当連結会計年度末における負債合計は、20,595百万円となり、前連結会計年度末23,868百万円と比較して3,273百万円減少しました。
①流動負債
当連結会計年度末における流動負債は、14,701百万円となり、前連結会計年度末16,278百万円と比較して、1,576百万円減少しました。
その主な理由は、未払消費税等が798百万円増加したものの、買掛金が1,421百万円、その他に含まれる前受金が483百万円、未払金が476百万円とそれぞれ減少したことによります。
②固定負債
当連結会計年度末における固定負債は、5,893百万円となり、前連結会計年度末7,590百万円と比較して、1,696百万円減少しました。
その主な理由は、退職給付に係る負債が1,364百万円、リース債務が220百万円とそれぞれ減少したことによります。
(3) 純資産の部について
当連結会計年度末における純資産合計は、77,075百万円となり、前連結会計年度末73,121百万円と比較して3,954百万円増加しました。
その主な理由は、非支配株主持分が1,504百万円、その他有価証券評価差額金が469百万円とそれぞれ減少したものの、利益剰余金が4,909百万円、資本剰余金が877百万円増加したことによります。
なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、78.9%となり、前連結会計年度末73.8%と比較して5.1ポイント増加しました。
7.当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ3,341百万円減少し、23,469百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。
(1) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、10,569百万円増加(前連結会計年度比18百万円収入増)しました。これは、税金等調整前当期純利益11,646百万円の計上、および退職給付信託の設定額1,200百万円の支出などによるものです。
(2) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、10,124百万円減少(前連結会計年度比10,535百万円支出増)しました。これは、定期預金の預入8,400百万円の支出、定期預金の払戻3,000百万円の収入、有形固定資産の取得1,738百万円の支出、および無形固定資産の取得1,369百万円の支出などによるものです。
(3) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,786百万円減少(前連結会計年度比5百万円支出減)しました。これは、令和元年9月期期末配当ならびに令和2年9月期中間配当2,905百万円(1株当たり配当55円)の支出、および連結子会社株式の取得593百万円の支出などによるものです。
Ⅱ 生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
特に記載すべき事項はありません。
2.受注実績
特に記載すべき事項はありません。
3.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
会計事務所事業 |
47,150 |
102.7 |
|
地方公共団体事業 |
17,377 |
105.9 |
|
印刷事業 |
3,286 |
86.3 |
|
合計 |
67,814 |
102.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
Ⅲ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
1.重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要とします。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
2.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」をご参照ください。
3.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、経営体質の強化を図りながら持続的に企業価値を向上するにあたり、事業活動に必要な資金は、自己資金を中心とすることを基本方針としております。この方針のもと事業活動の維持に必要な手元資金を保有し、充分な流動性を確保していると考えております。
また、情報通信技術(ICT)が急速に進歩するとともに、社会の諸制度が大きく変化していく中で当社のお客さまのビジネスを成功に導きながら、市場環境の変化に迅速に対応し競争優位を実現するために、先行的な研究開発投資と積極的な設備投資を実施しております。
4.当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提の下に、毎事業年度の配当原資を当該期間利益に求めることを原則としています。この考え方に基づき、重要な経営指標として以下のものを設定するとともに管理しています。
①連結数値に基づく経営指標
1)対前年度売上高比率:3%以上
2)自己資本利益率:8%以上
②個別数値に基づく経営指標
1)自己資本比率:80%超
2)売上高経常利益率:8%以上
3)総合限界利益率:60%以上
※限界利益とは、売上高から売上高に比例して変動する費用(変動費)を控除した金額であり、製品ミックスにより変動します。総合限界利益率とは、この限界利益の額が売上高に占める割合を言います。
このような状況のなか、当期の連結対前年度売上高比率は2.6%(前期比4.7ポイント減)、連結自己資本利益率は10.5%(前期比1.1ポイント増)となりました。
また、個別自己資本比率は83.2%(前期比3.1ポイント増)、個別売上高経常利益率は17.6%(前期比2.9ポイント増)、個別総合限界利益率は74.8%(前期比2.0ポイント増)となりました。
引き続き高い水準を維持するために、収益構造および資本効率の改善に取り組んで参ります。
該当事項はありません。
当社グループでは、会計事務所とその関与先企業に対し、革新的な情報とマネジメント・ツールを提供するため、並びに地方公共団体に対して、行政事務の効率化・標準化・ネットワーク化を推進するために、ソフトウエアの研究・開発を行っております。
また、研究・開発を行う部門では、システム開発業務における品質管理・品質保証体制の確立・強化を目的として、品質保証の国際規格である「品質システム-設計、開発、製造、据付及び附帯サービスにおける品質保証モデル(ISO9001)」の認証を平成11年7月に取得しております。また平成22年9月にはその範囲を拡大し、地方公共団体事業部システム開発本部においても取得いたしました。
当連結会計年度における研究開発費は
(1) 会計事務所事業
ASP1000R、eConsoliTaxご利用企業向けの電子納税システムを研究開発しています。これにより、申告書作成から電子納税までの業務をTKCシステムで一貫して行えるようになります。
当事業に係る研究開発費は
(2) 地方公共団体事業
該当事項はありません。