第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)全社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

 ① 経営方針・経営戦略

 当社は「自利利他(自利トハ利他ヲイフ)」を社是とし、「顧客への貢献」を経営理念として、会社定款(第2条)に定める次の二つの事業目的を達成するために経営を展開しています。

 1)会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営

 2)地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営

 この会社定款に定める基本方針は、創業(昭和41年10月22日)以来のもので、その後の業容の拡大に伴い、定款には他の事業目的が追加されましたが、それらはこの二つの事業目的を補完するものであり、経営の基本方針は変わっていません。

 ② 経営環境

 わが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)に対するワクチン接種の進展とともに、緩やかに持ち直しつつあります。しかしながら、海外での感染拡大は依然として継続しており、国内での再拡大の懸念は払拭されていません。また、サプライチェーンの分断による部材の高騰等の影響が表面化してきており、今後の景気減退と企業活動における投資抑制の動向によっては、大きな影響が出る可能性も否定できません。

 こうした状況の中、政府は、ワクチンの追加接種をはじめ社会経済活動の再開に向けて国民や中小企業を支援する様々な施策を準備しています。当社グループでは、そのような政府の取り組みに迅速に対応したシステムやサービスの提供を通じて地域・社会を支援してまいります。

 また、当社グループが提供する製品およびサービスには法令等の改正とICTの進化が大きな影響を与えます。法令等の改正としては、令和2年4月より開始した大法人の電子申告の義務化、令和4年1月より施行される改正電子帳簿保存法、同4月から施行されるグループ通算税制、令和5年10月から導入されるインボイス制度、並びに電子インボイス等が挙げられます。これに加え、国・地方のデジタル改革の推進や地方公会計の統一的な基準などもあり、その対応を求められています。ICTの進化については、クラウドコンピューティング技術の進歩、FinTechへの対応、AIの活用などがあげられます。

 こうした環境の変化をいち早く捉え、当社グループの提供する製品およびサービスへと展開することが重要であると考えています。

 ③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 1)法令を完全に遵守したシステムの提供

 当社グループは、関連法令に完全に準拠し、最新のICTを活用して開発したシステムを提供することによって、会計事務所および地方公共団体の業務を支援しています。このため、当社グループにおいては引き続き法令の改正に迅速に対応できるよう、システム開発体制をより強化していきます。

 2)グループ・ガバナンス・システムの確立

 金融商品取引法への対応を含め、会社法で求められる内部統制システムを整備するとともに、企業経営理念、各種会議体、諸規定を体系的にまとめ、グループ・ガバナンス・システムの向上に取り組みます。

 特に、令和元年6月に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」に対応したグループ・ガバナンス体制を構築し運用しております。

 3)働きがいのある組織風土の醸成

 当社グループは、個人とチームワークを尊重した職場づくりに努めるとともに、当社の経営理念である「顧客への貢献」の実現のため従業員の能力開発の支援、「働きがいのある組織風土」の醸成に取り組みます。

 4)業務継続性の確保

 大規模な自然災害など不測の事態が発生した場合、全ての顧客が業務の継続あるいは早期再開ができるよう、サービスの強化・拡充に取り組みます。

 5)システム障害時の迅速な対応

 万一にも当社システムに障害が発生した場合は、障害に該当するユーザーを特定して障害の内容と対処方法を通知すると共に、「100%顧客救援」の方針のもとに復旧を迅速に支援する体制づくりに努めています。

 6)情報セキュリティーに対する取り組み

 当社グループは、会計事務所とその関与先企業、ならびに地方公共団体に対して、常に最新のICTの活用による各種情報サービスを提供しています。情報セキュリティーの確保は当社の事業活動の重要課題であり社会的責務と考えています。

 こうした認識の下、当社では顧客が当社のクラウドサービスを安心して利用いただける技術的環境を整備するために、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を取得しています。

 また、TKCインターネット・サービスセンター(TISC)では、これらに加えて平成27年10月12日にクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」、平成29年6月19日にISMSクラウドサービスセキュリティー認証「ISO/IEC27017」、令和3年6月7日にはITサービスマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC20000」を取得しています。

 当社では、引き続き顧客が“安全・安心・便利”にクラウドサービスを利用できる環境の整備に努めてまいります。

 

(2)会計事務所事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

 ① 経営方針・経営戦略

 会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士(1万1,500名)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。

 TKC全国会では、2019年から2021年までの3年間にわたる運動方針を次のとおり掲げています。

[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]

1)「TKC方式による書面添付」の推進(2021年末目標:法人書面添付15.6万社)

2)「TKCモニタリング情報サービス」の推進(2021年末目標:14万社28.0万件)

3)「TKC方式の自計化」の推進(2021年末目標:30.0万社(内、電子帳簿18.0万件))

当社では、TKC全国会が掲げる運動方針に基づき、2021年戦略目標の達成に向けた活動を実施しています。

また、TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」との綿密な連携を図り、上場企業を中心とする大企業市場向けに税務・会計システム等の提供を通じて、TKC会員の関与先拡大を支援しています。

 ② 経営環境

 国税庁が2020年10月に発表した「法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、令和元年度における全法人の黒字申告割合は35.3%でした。前年度に比べて0.6ポイント増と、9年連続で黒字申告割合が増えているものの、依然として法人の約65%が赤字となっています。さらに、コロナウイルスの影響から、中小企業が経営難や赤字に陥るリスクは未だ回避できておりません。多くの中小企業は先が見通せない状況で、緊急融資等を受けて手元資金を確保しており、その返済が令和3年以降に始まりました。それにより中小企業は今後、返済するための必要利益をいかに確保するかが大きな課題となっています。

 そうした中でTKC会員事務所は、黒字決算と適正申告の実現に向けて月次巡回監査と月次決算、経営助言を実施し、「会計で会社を強くする」活動を展開してまいりました。また、借入金返済のための必要利益や必要売上高を算出し、経営計画の策定も支援しています。こうした活動の結果、TKC会員の関与先企業の約56%が黒字決算を実現しており、いまTKC会員事務所の指導力の高さに全国の中小企業や金融機関から大きな期待が寄せられています。

 令和4年1月1日に改正電子帳簿保存法が、また令和5年10月1日に改正消費税法が施行されます。すべての事業者が電子取引のデータ保存や、適格請求書(インボイス)への対応を迫られることとなります。当社ではこうした法律及び社会制度の改正を、TKC会員の関与先拡大の機会と捉えています。

 ③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 会計事務所事業部門では、会計事務所とその関与先企業の発展に貢献することが最も重要な経営課題であると捉え、今後もTKC全国会の諸活動との密接な連携を図り、システムやサービスの開発・提供を通じてTKC会員の活動を支援してまいります。

1)システムの競争力の強化

 当社では、以下の取り組みを通じてシステムの競争力の強化を図り、優位性を訴求することで他社との差別化に努めます。

a.当社システムの「強み」は税務と会計の一気通貫にあります。それは、財務会計システムにおいて法令および会計基準への完全準拠性を堅持し、税務情報システムと完全連動させ、会計・税務・電子申告の一気通貫を実現していることです。今後も、法令改正や制度改定に迅速・的確に対応します。

b.当社システムの最大の特長は、単にシステムやサービスの提供にとどまらず、税務と会計の実務に精通した TKC会員がシステムの導入から運用まで、きめ細かなサポートを行い企業の適法・適正な税務と会計の処理を支援していることにあります。こうしたTKC会員の業務の高付加価値化の支援強化を図ります。

2)自計化推進活動

 当社では、TKC全国会の戦略目標達成を支援するため、企業経営者の迅速な意思決定を支援する機能を強化・拡充するとともに、会計データの改ざんを可能とする遡及的な加除・訂正の会計処理ができないシステムの強みを生かした自計化推進活動を展開しています。

 

3)TKC会員事務所1万超事務所の達成の支援

 TKC全国会が掲げるTKC会員事務所1万超事務所の達成に向けて、TKC会員と連携した会員導入活動へ取り組み、TKC全国会の戦略目標の達成に貢献します。

4)TKC連結グループソリューションの強化と拡充

 TKC全国会の「中堅・大企業支援研究会」や「海外展開支援研究会」と連携し、「TKC連結グループソリューション」の活用による大企業の税務、会計、海外子会社管理業務等の合理化・効率化を支援します。

5)TKCローライブラリーの利用拡大

 「TKCローライブラリー」を構成するコンテンツ「LEX/DBインターネット」「出版社データベース」「LegalBookSearch」等の機能強化と収録内容の拡充をさらに進め、利用者の利便性を高めます。それにより競合他社のサービスとの差別化を図り、法律事務所におけるさらなる利用拡大を目指します。

 

(3)地方公共団体事業部門の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

 ① 経営方針・経営戦略

 地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。

 また、中長期の事業ビジョンとして「TKCシステムの最適な活用を通して、行政効率の向上・住民サービスの充実・行政コストの削減を実現し、地域の存続と発展に貢献する」との方針を掲げ、その実現に向けた戦略を実行しています。

 ② 経営環境

 地方公共団体(特に市区町村)における情報化は、いま大きな転換点を迎えています。

 地域社会における少子高齢・人口減少に伴う労働力不足を背景に、職員数がこれまでの半数でも持続可能な形で行政サービスを提供する「スマート自治体(デジタル社会)」への転換が、市区町村にとって重要な経営課題となっています。特に、コロナウイルス対応で行政のデジタル化の遅れが社会的課題として顕在化したことで、その動きは一段と加速しています。政府は「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(令和2年12月25日閣議決定)を策定し、デジタル社会の実現のためには住民に身近な行政を担う自治体、とりわけ市区町村の役割が極めて重要であるとして『自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画』(総務省/令和2年12月25日策定)により、全ての自治体が足並みを揃えて以下の施策に取り組んでいくことを求めました。

1)情報システムの標準化・共通化

令和8年3月末までに、基幹系17業務システムについて国が策定する標準仕様に準拠したシステムへ移行するとともに、国による全国的なクラウド(ガバメントクラウド)を活用し、それらのシステムを利用

2)マイナンバーカードの普及促進

令和5年3月末までにほとんどの住民がマイナンバーカードを保有することを目指し、交付円滑化計画に基づき申請を促進するとともに交付体制を充実

3)行政手続のオンライン化

令和5年3月末を目指して、住民が利用する主な手続(31手続)についてマイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能に

4)AI・RPAの利用促進

5)テレワークの推進

6)セキュリティー対策の徹底

 加えて、国・地方の財政状況が厳しさを増す中で、これからも市区町村が行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供していくために〈持続可能な行政経営〉の確立が期待されています。そのため、市区町村では財務書類等の適切な更新・開示を行うとともに、正確な財政状況の見える化を図り、財務書類等から得られた情報を事業評価やトップの意思決定に積極的に活用することが急務となっています。

一方、地方公共団体向けビジネス・ベンダーの市場動向に目を向けると、行政サービスのデジタル化分野において他業種や新興企業の市場参入が相次いでいます。このことから地方公共団体市場における企業間競争は一段と激化し、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステム・サプライヤーだけが生き残っていく厳しい時代を迎えたといえます。

 

 ③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社では、地方公共団体における「自治体DX」の実現、および「持続可能な行財政改革」を支援するため、今後も最新のICTを活用した革新的な製品やサービスの開発・提供を通じて「住民サービスの充実」と「行政効率の向上によるコスト削減」を支援することが重要な経営課題であると捉え、以下の5つの重点活動に取組みます。

1)基幹系業務システムの新たな顧客市区町村の拡大を図り、自治体クラウドの一層の推進により行政サービス・デジタル化の推進と「コスト・ミニマム」の実現を支援します。

 a.令和8年3月末までを期限とした自治体の情報システムの標準化・共通化に対応すべく、国の策定する「標準仕様」に完全準拠したシステムの開発、およびガバメントクラウドへの対応を開始しました。

 b.当社におけるガバメントクラウド対応とは、TISCで運用・稼働しているシステムを国が用意する全国的なクラウド基盤上で運用・稼働させることになります。

 c.なお、ガバメントクラウド対応にあたり、国が調達した「ガバメントクラウド先行事業」に当社顧客(埼玉県美里町・川島町)が採択され、当社はアプリケーション事業者として両町とともに当事業に取り組みます。当事業では主にガバメントクラウドへの移行、移行後システムの機能・動作、情報セキュリティー等の検証を実施します。

2)財務データ等の多面的な活用により行政効率を分析できるシステムを提供することで、公会計情報を活用した「根拠に基づく行政経営・政策形成(EBPM)」の実現を支援します。

3)eLTAX関連サービスの普及拡大を図り、税務手続きのデジタル化による利用者(行政と住民)の利便性向上を支援します。

4)利用者の視点から新しい「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」の開発・提供に取り組みます。

5)地方公共団体向けサービスを本業とする地域ベンダーとのソフトウエア製品相互供給関係を築くことにより、販売エリアの拡大とサービスの多重化を実現するアライアンス戦略を推進します。

 

(4)印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の経営方針、経営環境、及び対処すべき課題等

 ① 経営方針・経営戦略

 印刷事業部門では、「デジタル技術」と「ニーズの変化に対応した製品・サービスの提供」により、顧客企業やそのお客さまのコミュニケーションやマーケティングに貢献することを経営方針として掲げました。またコロナウイルスの感染拡大は情報化社会における政府のデジタル化への急速な流れをもたらしました。社会の環境の変化、お客さまの価値観の変化に対応し、自社の生産技術を活かした製品・サービスの開発、品質改善、付加価値の向上に取り組みます。そしてお客さまの良きパートナーとして、デジタル技術と印刷物を使ったコミュニケーション環境の整備を通じて企業価値の一層の向上に努めます。

 ② 経営環境

 主力商品のデータ・プリント・サービス(DPS)とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)は、インターネット環境の拡大、またコロナウイルスの影響により、暮らしは「新しい生活様式」、働き方も「新しいビジネス様式」へと移行、政府の「デジタル改革」の方針のもと行政のデジタル化、規制改革、マイナンバーカードの普及、教育のデジタル化など、市場はこれまでにない環境変化と価値観の変化により新たなビジネスの創造に向かっており、この変化に対応した製品・サービスの提供に努めます。

 ビジネス帳票は長期的に需要の減退が続いておりますが、生産環境の整備、設備の統廃合や生産効率の向上によりコストを抑え、市場内でのシェア拡大を図ります。

 ③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの印刷事業部門では、データ・プリント・サービス(DPS)およびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を主体とした拡販のため次のとおり取り組みます。

1)アナログとデジタルを融合した印刷技術で製品・サービスの付加価値を向上させ、顧客のダイレクトコミュニケーションへ貢献します。

2)顧客ニーズへの対応、他社との差別化による提案型の営業展開のため新技術開発へ継続して取り組みます。

3)コロナウイルスの感染拡大は顧客のアウトソーシング化を加速させました。その受託では高品質かつ、コストの最小化、情報セキュリティーリスクの低減などにより顧客の経営効率化に寄与します。

4)DPS専門工場の生産環境の一層の整備により、品質改善、品質力の強化と生産力の増強を図ります。

5)品質の向上と安定・維持、また品質障害防止のため、全商品の工程ごとの品質チェック体制を強化します。

6)全社においてデジタルトランスフォーメーション(DX)と自動化に取り組み全部門の生産性と業務品質を向上させます。

7)顧客や取引先等からの信頼獲得、および政府が進めるマイナンバーカードの普及促進に合わせ、マイナンバーの管理については「プライバシーマーク」「ISMS」に基づいた情報セキュリティー体制を一層強化します。

8)「ISO14001」取得の環境配慮型企業として、損紙の削減を図るとともに、生産性の向上と効率化によりエネルギー消費量の削減をさらに進めます。

 

2【事業等のリスク】

当社および当社グループの事業等に関連するリスクについては、有価証券報告書に記載した「事業の状況」および「経理の状況」等に関連して、投資者の皆さまにご承知いただくべきと思われる主な事項を以下に記載いたします。また、その他のリスク要因についても、投資者の皆さまのご判断上、重要と思われる事項について、積極的な情報開示を行うこととしています。

当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスク発生の事前防止および発生した場合の迅速な対応に努める所存ですが、当社株式に関する投資判断は、本項に加えて本報告書全体の記載も参考にされ、十分に検討した上で行われる必要性があると考えています。また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスク要因を全て網羅しているものではありませんので、この点にもご留意ください。

なお、本項において将来にわたる事項は、当連結会計年度末(令和3年9月30日)現在において当社グループが判断したものです。

(1)退職給付債務について

当社グループの従業員退職給付債務および関連費用の計上は、割引率等数理計算上で設定される前提条件(基礎率)に基づいて行っています。これらの基礎率が変更となった場合は、結果として当社グループの財政状態および経営成績の変動要因となります。当社グループは、この影響を最小限にすべく退職金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行するなどの施策を実施していますが、その影響を完全になくすことはできません。基礎率の変更は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)固定資産価値の減少について

金融商品取引法に基づいて、平成18年9月期から「固定資産の減損に係る会計基準」が適用されています。

この固定資産の減損会計の適用は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)印刷事業部門の原材料調達費の変動について

当社グループの印刷事業部門においては、原材料の調達の大部分について、製紙メーカーから直接原紙を購入し、安定的な原材料の確保と最適な価格の維持に努めています。しかし、原油価格の高騰や国際市場での需給逼迫により、需給バランスが崩れる懸念があります。そのような場合には、当社グループの顧客との間の価格交渉を通じて対応していく所存ですが、原材料調達が極めて困難になった場合や購入価格が著しく上昇した場合は、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)クラウドサービスの安定稼働について

当社では、会計事務所とその関与先企業、中堅・大企業、地方公共団体などのお客さまが安全かつ安心なICT環境でクラウドサービスを利用し、万一の事態でも業務を維持・継続させることができるよう様々な対策に取り組んでいます。しかし、予期せぬ障害の発生は必ずしもゼロではないため、以下の対策を講じることにより早期検知・復旧、お客さまの業務への影響を極小化することに努めます。

①プログラム提供時の検証体制の強化

②障害発生時のBCP対策の強化

③障害復旧に要する時間の短縮

④第三者機関による各種対策の有効性の評価・検証

(5)個人情報等の保護について

当社グループにおいては、業務上、顧客(会計事務所および地方公共団体等)が保有する法人および個人の情報を大量に預託されているほか、さまざまな内部情報を保有しています。

当社では、こうした情報の管理を徹底するため、情報管理に関するポリシーや手続きを常に見直すとともに、役社員等に対する教育・研修等を行い、情報管理の重要性の周知徹底およびシステム上の情報セキュリティー対策等を実施しています。

また、情報セキュリティーマネジメントシステム認証「ISO/IEC27001」、個人情報保護マネジメントシステム「JIS Q 15001」(プライバシーマーク)などの第三者認証を全社で取得するほか、TKCインターネット・サービスセンターでは、ISMSやクラウド環境における個人情報保護認証「ISO/IEC27018」、クラウドサービスセキュリティー認証「ISC/IEC27017」などの第三者認証を受けるなど、さらなる情報保護管理体制の強化を図っています。

しかしながら、予期せぬ事態により、これらの情報が流出する可能性は皆無ではなく、そのような事態が生じた場合、当社の社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下が、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)係争事件等について

現在、当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性のある係争事件等はありませんが、今後そのような係争事件が発生する可能性は皆無ではありません。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析

 ①全社業績

当連結会計年度(令和2年10月1日~令和3年9月30日(以下、当期))におけるわが国経済は、コロナウイルスに対するワクチン接種の進展とともに、緩やかに持ち直しつつあります。しかしながら、海外での感染拡大は依然として継続しており、国内での再拡大の懸念は払拭されていません。また、サプライチェーンの分断による部材の高騰等の影響が表面化してきており、今後の経済活動には様々な制約が生じる可能性も否定できません。

このような経済環境のもと、当社は新しいシステムやサービスの提供を通じて、積極的に顧客の支援に取り組んでまいりました。

会計事務所事業部門では、顧客である税理士および公認会計士(以下、TKC会員)が、中小企業の伴走型の支援者として、関与先企業の資金繰りや経営助言に取り組むための支援を継続しています。また、クラウド型の会計システムの提供を通じて、中小企業のデジタル化と経理事務の省力化を支援しています。

地方公共団体事業部門では、令和2年10月23日に厚生労働省から事務連絡「新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業実施要綱」が発出されたことを受け、「予防接種台帳システムや関連システムの改修」「ワクチン接種券(クーポン券)通知作成業務の受託」「ワクチン接種予約・受付システムの提供」等を迅速に行い、顧客市区町村におけるコロナウイルスのワクチン接種事業を支援しました。

これらの活動の結果、当期における株式会社TKCとその連結子会社等6社を含む連結グループの経営成績は、売上高が66,221百万円(前期比2.3%減)、営業利益は12,314百万円(同8.2%増)、経常利益は12,673百万円(同8.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,686百万円(同11.1%増)となりました。

売上高が前期と比較して減少した理由は、令和3年4月1日以降開始事業年度から上場企業に強制適用される「収益認識に関する会計基準(以下、収益認識基準)」を早期適用したことによるものです。収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、2,460百万円減少しております。なお、当社が収益認識基準を早期適用した理由は、同基準を適用する過程で獲得したノウハウを取りまとめ、上場企業向けのコンサルティング・サービスとして提供することにあります。

当期における事業部門別の売上高の推移は以下のとおりです。

 

 ②会計事務所事業部門の営業活動と経営成績

1) 会計事務所事業部門の営業活動

会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社の顧客である税理士および公認会計士1万1,500名(令和3年9月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。

[会計事務所事業部門による戦略目標達成に向けた活動]

a.コロナウイルスの影響を受けた中小企業の支援

 当社は、当期において、TKC会員と関与先企業の支援に全力を傾注する方針を掲げて、積極的に顧客を支援しました。

ⅰ)TKC会員への最新情報の提供

TKC会員に政府や中小企業支援団体から発信された「雇用調整助成金」や「事業再構築補助金」といった中小企業支援策の情報を正確かつ迅速に伝えるため、TKC会員専用のイントラネット(ProFIT)で最新情報とこれらの制度を解説するオンデマンド研修を提供しました。この活動は令和2年2月25日から開始し、令和3年9月末日時点で253本の情報を掲載するに至りました。

ⅱ)「TKC月次指標(月次BAST)」の提供

令和3年5月に「TKC月次指標(以下、月次BAST)」の無償提供を開始しました。月次BASTには、TKC会員による月次巡回監査で月次決算の信頼性を確認された25万社超の「月次決算データ」を収録しており、国内に類を見ない統計資料です。直近の売上高や借入金の推移などを全国・都道府県別・年商規模別・業種別に確認することができます。金融機関や行政機関等の中小企業支援者、中小企業の動向を分析する経済学者などが今後の中小企業支援策の検討に活用することを期待しています。

ⅲ)「新型コロナウイルス経営支援情報・資金繰り対策コーナー」の提供

政府、都道府県、人口4万人以上の市および金融機関の中小企業支援策を「融資」「雇用」「補助金等」「税制」の区分で確認できる特設サイトを開発し、TKC会員のホームページから確認できるようにしています。TKC会員は、関与先企業をはじめとする中小企業に緊急資金繰り支援策を網羅的に情報発信することが可能です。令和3年9月末日時点で8,002件の支援策を掲載し、わが国最大の中小企業支援策のデータベースとなっています。なお、このコーナーは開設当初から週2回更新しており、常に最新の情報を掲載しています。

ⅳ)「緊急支援関与先チェック機能」のレベルアップ

国の緊急経済対策や政府系金融機関の特別融資など、中小企業支援策の適用の可否を関与先企業ごとに自動判定し、一覧形式で確認できる「緊急支援関与先チェック機能」を「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」に搭載しています。さらに当期においては、「事業再構築補助金」の第3回公募要領において、補助金の申請要件が変更されたことにも即座に対応し、対象となる関与先企業をワンクリックで抽出できる機能を搭載しました。

b.TKC全国会が掲げる「戦略目標2021」の達成に向けた営業活動

 TKC全国会は、2019年から2021年の3か年の運動方針と戦略目標2021を掲げています。その内容は以下のとおりです。

[TKCブランドで社会を変えるための運動方針]

ⅰ)「TKC方式による書面添付」の推進

ⅱ)「TKCモニタリング情報サービス」の推進

ⅲ)「TKC方式の自計化」の推進

 TKC全国会の取り組みが多くの金融機関から注目され始めています。これを機会としてTKC会員事務所の経営基盤をさらに強固なものとするため、以下の方針を打ち出しています。

ⅰ)「TKC会計人の行動基準書」を理解し、実践しよう。

ⅱ)「巡回監査士」「巡回監査士補」を増大させよう。

ⅲ)「認定支援機関」として経営助言業務を強化しよう。

 当社では、TKC全国会と連携して戦略目標2021の達成に向けた営業活動を展開しました。

ⅰ)「TKCモニタリング情報サービス」の推進

 「TKCモニタリング情報サービス」は、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。開示のタイミングは、月次試算表の場合は月次決算終了直後、年度決算書および税務申告書の場合は税務署に対して電子申告した直後です。

 また、当社は「TKCモニタリング情報サービス」の推進と同時に、金融機関に対して中小企業の決算書の信頼性は以下の3帳表で確認できることを訴求しました。

・TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」

・会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性を株式会社TKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」

・日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」

 こうした活動の結果、当サービスを採用する金融機関は急速に増加し、令和3年9月末日現在で、全国全ての地方銀行(64行)を含む468金融機関に採用されています。また、令和3年9月末日にはTKC全国会の戦略目標2021で掲げた目標である28万件超を達成しました。

 コロナ禍において中小企業の過剰債務問題が顕在化し始めている中、「TKCモニタリング情報サービス」は、月次試算表、年度決算書、税務申告書を迅速に提供される点において、中小企業の経営支援に取り組んでいる金融機関と信用保証協会から高く評価されています。当サービスは、中小企業の経営支援において、金融機関とTKC会員の架け橋となることが期待されています。

ⅱ)TKC方式の自計化の推進(FXシリーズの推進)

 当期も、多くの中小企業が政府系金融機関および民間金融機関において実質無利子・無担保融資の返済に備える必要があることに着目し、引き続き「FXシリーズ」に搭載している「経営戦略レベル」の機能(予算登録、部門別管理、資金繰り実績表)の活用を支援しました。また、経営者がこれらの機能を有効に活用するためには、適時・正確な会計取引の入力が必要となるため、「日常業務レベル」の機能として、インターネットバンキングから取引明細を受信して仕訳に変換する「銀行信販データ受信機能」や「戦略給与情報システム(PX2)」との給与仕訳の連携などを支援しています。さらに令和2年9月25日に提供を開始した「FXクラウドシリーズ」では、「会計で会社を強くする」機能の強化と会計事務所による「巡回監査」を支援する機能の強化を図っています。当社は、「FXクラウドシリーズ」の導入支援を通じて中小企業の財務経営力と資金調達力の向上を支援してまいります。

ⅲ)電子帳簿保存法への完全対応支援

 令和4年1月1日から施行される改正電子帳簿保存法では、電子帳簿の保存要件が緩和されています。これにより、国税関係帳簿の電磁的記録である「電子帳簿」は、①過去の仕訳データの加除訂正履歴(トレーサビリティ)を残している「優良な電子帳簿」(改正電子帳簿保存法の施行規則第2条及び第5条の要件を満たす電子帳簿)と、②帳簿の加除訂正履歴を保存しない会計ソフトで作成した「その他の電子帳簿」(改正電子帳簿保存法の施行規則第2条の要件だけを満たす電子帳簿)の二つとされることになりました。「その他の電子帳簿」が認められたことは、「帳簿の証拠力」を消滅させる法改正であり、帳簿を改ざんできる会計ソフトの利用を国が認めたことになります。

 当社はこの問題に対処するため、「優良な電子帳簿」を作成する「FXシリーズ」の全国規模での導入を支援しています。

ⅳ)インボイス制度への完全対応支援

 令和5年10月1日以降インボイス制度が開始されます。課税事業者においては、適用開始までの2年間の間に、適格請求書発行事業者の登録申請、適格請求書の発行への対応、適格請求書からの仕訳計上方法の学習等の準備を進める必要があります。こういった対応の支援を会計事務所が中小企業にスムーズに行えるよう、資料の提供、オンデマンド研修の整備等進めています。

ⅴ)会員導入(TKC全国会への入会促進)

 TKC全国会では、令和3年12月末日までにTKC会員事務所を1万超とする運動に取り組んでいます。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会などと密接に連携し、Webセミナーを積極的に開催するなど会員導入活動を展開しています。

 こうした活動の結果として令和3年9月末日現在のTKC会員事務所数は9,800事務所、(会員数は1万1,500名)となっています。なお事務所数と会員数に違いがあるのは、1事務所に複数会員が所属する場合があるためです。

[「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動]

a.「中小会計要領」の普及のための支援活動

 TKC全国会では、中小企業である関与先企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)を推奨しています。

 中小会計要領は、ⅰ.自社の経営状況の把握に役立つ会計、ⅱ.利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計、ⅲ.会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計、ⅳ.中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って制定されています。

 当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材などの整備と他の中小企業支援団体との連携に継続して取り組んでいます。

b.「記帳適時性証明書」の発行

 当社では、TKC会員が当社の会計システムを利用する際に当社データセンターに自動的に保存される処理履歴データと過去の時系列データを活用し、金融機関などの第三者が客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定する資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。

 このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたものでありTKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを当社が第三者として証明するものです。

 来年にはTKCシステムで会計処理と税務申告処理を行い、記帳適時性証明書(個人事業者用)が発行された個人事業者を対象として、青色申告決算書等を金融機関に提出できるように機能強化いたします。さらなる金融機関との連携強化を支援します。

[大企業市場への展開]

 当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンス向上と合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。

 令和2年4月から資本金1億円超の大企業に法人税・消費税・地方税の電子申告が義務化されました。これに伴い、大企業は、法人税申告書の電子申告の実施に加え、その添付書類(財務諸表、勘定科目内訳明細書等)についても電子データで提出しなければならなくなりました。当社では、これらの企業が円滑に電子申告義務化に対応できるように、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(令和3年9月末日現在の会員数は1,518名)と連携し、『電子申告義務化対応ガイドブック』をホームページに公開するとともに、「法人電子申告システム(ASP1000R)」「連結納税システム(eConsoliTax)」ユーザーの電子申告実践を支援する活動を実施しました。その結果、「法人電子申告システム(ASP1000R)」「連結納税システム(eConsoliTax)」のユーザー数は令和3年9月末日現在で7,644社となりました。約2万3,000社あるといわれる資本金1億円超の企業の約33%に達しています。

 また、海外に展開している企業は、コロナウイルスの感染拡大で海外渡航が制限されているため、海外子会社の業績管理とガバナンスの確保に課題を抱えています。当社が提供する「海外ビジネスモニター(OBMonitor)」は、海外子会社の財務データを日本にいながら確認できるクラウドサービスであるため、このような課題を抱えている企業での採用が増加しています。OBMonitorのユーザー数は1,200社となり、世界37カ国で活用されています。

 こうした活動の結果、「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和3年9月末日現在で約4,720企業グループとなりました。それにより当社の税務申告システムは日本の上場企業の売上高トップ100社のうち89%の企業で採用されています。また、日本の上場企業における市場シェアは41%となりました。

 なお、当社は、収益認識基準を早期適用したノウハウをもとに、収益認識基準への実務対応を解説するWebセミナーを開催し、当社の収益認識基準の早期適用事例をご紹介しています。このWebセミナーには延べ4,250名超の視聴申し込みがありました。

[法律情報データベースの市場拡大]

a.「TKCローライブラリー」の利用拡大

 法律事務所や企業法務部門を始めとするTKCローライブラリーの顧客の多くが、コロナウイルス感染拡大の影響を受け、オンラインで業務を遂行するようになりました。これにより、資料室や図書館などを利用した調査ができない状況が生まれており、法令・判例・文献情報に加え、主要法律専門誌の記事をいつでもどこでも利用できるTKCローライブラリーの評価が高まっています。その結果として、利用者数やコンテンツ追加の契約が増加しました。

 また、令和3年6月には、TKCローライブラリーの新たなオプションサービスとして、法律、会計、税務、経営等専門書籍をPDFで閲覧できるサービス「Legal Book Search」の提供を開始しました。このサービスは、弁護士が書籍情報を無償で検索し、PDF化された書籍をタブレットやパソコンで閲覧(有償)できる定額制のサービスです。

 当期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、 特許事務所、企業法務部などへのオンライン提案活動の結果、ユーザー数は5万3,000IDを超え、令和3年9月末日現在で2万3,000超の諸機関で利用されています。

b.アカデミック市場における展開

 令和3年4月以降もコロナウイルスの影響で多くの大学・法科大学院は、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型もしくは完全オンライン型の授業を実施しています。

 当社が提供する「TKC教育研究支援システム」「TKCローライブラリー」などのシステムは、いつでもどこでもオンラインで利用でき、他社をしのぐ多様かつ多数のコンテンツの収録、レポートや演習、テスト機能が搭載されています。これらの特長が教員、学生のオンライン授業および学習を支えるものとして再評価されています。現在も、各大学と随時Web会議を実施し、大学の実情に応じたオンラインによる学習環境整備の支援を継続しています。

 また、大学の法学部を中心に提供しているオンライン学習ツール(公務員試験、ビジネス実務法務検定、法学検定試験)は、令和3年9月末日現在で26校が利用しています。現在、多くの資格試験がCBT/IBT方式によるコンピューター利用試験を採用しています。そのため、オンラインテスト機能などコンピューター試験対策としても有効な当社のオンライン学習ツールの活用を、資格試験の実施団体や受験生に訴求してまいります。

2) 会計事務所事業部門の経営成績の分析

会計事務所事業部門における売上高は45,412百万円(前期比3.7%減)、営業利益は10,563百万円(同3.2%増)となりました。収益認識基準を適用した影響額は、売上高において2,344百万円の減少、営業利益において17百万円の減少となっております。売上高の内訳は以下のとおりです。

a.コンピューター・サービス売上高は、前期比1.6%増となりました。これは中堅企業においてDX(Digital Transformation)への取り組みが加速する中で、販売管理システムや給与計算システムといった業務システムと会計データを連携できる「中堅企業向けクラウド型統合会計情報システム(FX4クラウド)」の導入が進んでいること、会計事務所において「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」と外出先・在宅で業務を遂行できる「OMSモバイル」の採用が増加していることによります。

b.ソフトウエア売上高は、前期比3.7%増となりました。これは、「中堅企業向けクラウド型統合会計情報システム(FX4クラウド)」をはじめとする電子帳簿保存法の要件に完全準拠した財務会計システムの顧客数が増加したこと。令和2年4月から資本金1億円超の法人に電子申告が義務化されたことに伴い、大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」の顧客数が順調に伸展していることなどによります。

 なお、収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、36百万円減少しております。これは、出荷時に売上高を一括して認識していたソフトウエアのうち、契約の履行義務が一定期間にわたるものについて、契約期間に応じて売上高を月別按分して認識するように変更したためです。

c.コンサルティング・サービス売上高は、前年比微増となりました。これは「中堅企業向けクラウド型統合会計情報システム(FX4クラウド)」の販売が堅調に推移し、立ち上げ支援サービスが増加したことによります。

d.ハードウエア売上高は、前期比11.8%減となりました。これは令和2年1月にマイクロソフト社によるWindows7のサポートが終了し、前期にパソコンの買い換え需要が一巡したことによって、パソコンの販売台数が例年並みに推移していることによります。

e.サプライ用品売上高は、前期比68.1%減となりました。在宅勤務用の事務機器やコロナウイルス感染予防用品の販売は好調だったものの、会計事務所に提供している会計伝票や事務機器の取引の多くが収益認識基準における「代理人取引」に該当することになり、当期からは取引額から仕入原価を差し引いた額を売上高として認識することになったためです。売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、2,101百万円減少しております。

f.なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、顧客のサポートおよび提案活動をWeb会議システムによるリモートサポートに切り替えたこと。予定していた大規模イベント等を対面とWebのハイブリッドに切り替えたことによって出張旅費が減少したこと。新規顧客の獲得活動を対面型のセミナーからWebセミナーに切り替えたことによって、セミナー開催費用が減少したことなどによります。

 

 ③地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績

1) 地方公共団体事業部門の営業活動

地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。

a.基幹系関連サービスの開発・提供

 当社は、地方公共団体(主に市区町村)に対して、「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは基幹系業務と内部情報系業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」から構成するクラウドサービスです。

 当社の「TASKクラウドサービス」は、当社データセンターを運用拠点とした単一バージョンのパッケージシステムでありながら、複数団体による共同利用を前提に設計しています。また、サービス利用料金は、団体規模に応じた定額のサブスクリプション方式を採用しており、この利用料金の範囲内で、年1回の定期バージョンアップを実施しています。こうした点が評価され「TASKクラウドサービス」は、令和3年9月末日現在で160を超える地方公共団体に採用されました。

 当期においては、これらの団体に対し、ワクチン接種事業に迅速・的確に対応できるよう最新情報を提供するとともに、「予防接種台帳システム」等の改修や「新型コロナワクチン接種予約・受付システム」を迅速に提供し、顧客市区町村のワクチン接種事業を積極的に支援しました。

b.行政サービス・デジタル化への対応

 当社では、自治体DX推進に貢献すべく〈書かせない・待たせない・来させない〉窓口サービスの実現を支援する「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」を提供しています。

 当期においては、「TASKクラウドかんたん窓口システム」や「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」、大阪府大阪市様の協力を得ながら開発・提供を開始した「TASKクラウドスマート申請システム」について、大幅な機能強化を行いました。

 また、これらのサービスについて積極的な提案に取り組んだ結果、「TASKクラウド スマート申請システム」は大阪市様、横浜市様、堺市様などの政令指定都市を含め10を超える団体に、「TASKクラウド かんたん窓口システム」は20を超える団体に、「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」は70を超える団体に、それぞれ採用されています。

c.地方税税務手続きのデジタル化への対応

 地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)の審査システムなどの標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として各市町村の税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。

 本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を結ぶ50社のパートナー企業と共に提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和3年9月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる約780団体に採用されています。

 当期においては、当社独自サービスであるデータ連携サービスの機能強化に取り組むほか、パートナー企業と共に積極的な提案活動および導入支援に取り組みました。

d.地方公会計の統一的な基準への対応

 令和2年3月に総務省が公表した『地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書』には、次のような記載があります。「財務会計システムと一体的な地方公会計システムを導入し、あらかじめ歳出科目と勘定科目の紐付けを行うことや、予算執行時に自動的に仕訳変換をする仕組みを構築することにより、日々仕訳の円滑な導入や期末一括仕訳における確認作業の軽減も可能になると考えられる。また、公有財産台帳と固定資産台帳のデータを連携・統合することにより、各台帳への登録業務を効率化することが可能になると考えられる」。これをもとに顧客市区町村に対して、システム更新などのタイミングで「財務会計システムと一体的な地方公会計システム」と「日々仕訳」の導入を検討するよう提案しています。

 当社では、国が推奨する日々仕訳方式に対応した財務会計システムと一体的な地方公会計システムとして「TASKクラウド公会計システム」と、その関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。

 当期においては、これら地方公会計システムの公会計情報を活用した経年比較分析やグラフ表示など各種機能強化に取り組んだほか、千葉県袖ケ浦市様、栃木県鹿沼市様など多くの団体から新規に受注し、それらの円滑な立ち上げ・運用を支援しました。

 その結果、地方公会計システムは令和3年9月末日現在で280を超える団体に採用されています。

e.次世代製品の研究・開発

 コロナウイルスの感染拡大を機に行政分野でのデジタル化・オンライン化の遅れが浮き彫りとなりました。これを受けて、『経済財政運営と改革の基本方針2020』(令和2年7月閣議決定)ではデジタル・ガバメントの構築を“一丁目一番地”の最優先課題と位置付け、行政手続きのオンライン化やワンストップ・ワンスオンリー化などデジタル化を加速することとされました。また、令和2年12月25日に総務省から『自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画』が公表され、令和3年5月12日にはデジタル改革関連の6法案が成立し、令和8年3月末までを期限とした自治体の情報システムの標準化・共通化への対応が求められることになりました。

 当社では、こうした顧客を取り巻く環境変化に対応するため、新製品の企画・開発を加速するとともに、最新情報の収集・発信など顧客サポートの強化に努めています。

 当期においては〈行政サービス・デジタル化〉や〈基幹業務システムの標準化〉などに関する情報収集・発信を行うことに加え、先進団体との実証事業などを通じてポストコロナ時代の“新たな日常”を支える次世代ソリューションの調査・研究、開発に取り組みました。

2) 地方公共団体事業部門の経営成績の分析

 地方公共団体事業部門における売上高は17,704百万円(前期比1.9%増)、営業利益は1,705百万円(同64.4%増)となりました。収益認識基準を適用した影響額は、売上高において72百万円の減少、営業利益において118百万円の減少となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。

a.コンピューター・サービス売上高は、前期比10.1%増となりました。これは、令和2年度にシステムを本稼働させた顧客のアウトソーシングサービス売上高やデータセンター利用料が増加したこと。ワクチン接種事業におけるワクチン接種券通知作成業務を受託したことなどによります。

b.ソフトウエア売上高は、前期比10.9%減となりました。これは、前期に実施した子ども・子育て支援法の一部改正に伴う幼児教育・保育の無償化のシステム改修など、法律改正に伴う一時的な売上高が、前期と比較して減少したことによります。なお、収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、176百万円減少しております。

c.コンサルティング・サービス売上高は、前期比22.3%増となりました。これは、ワクチン接種予約・受付システムやマイナンバーカード交付予約・管理システムなど新たなサービスの受注に伴うシステム導入支援費売上が増加したことなどによります。また、収益認識基準の適用に伴う初年度特有の経理処理(前期以前の開発原価を累積的影響額として計上)を行った結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、116百万円増加しております。

d.ハードウエア売上高は前期比5.7%増となりました。これは、顧客のサーバー機器や周辺機器等の更改が前期と比較して増加したことなどによります。

e.なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、前述したワクチン接種事業における通知作成業務の受託やワクチン接種予約・受付システムの提供に加え、顧客のサポートおよび提案活動をWeb会議システムによるリモートサポートに切り替えたことに伴い、出張旅費が大幅に減少したことなどによります。

 

 ④印刷事業部門の営業活動と経営成績

1) 印刷事業部門の営業活動

当社グループの印刷事業部門は、データ・プリント・サービス(以下、DPS)事業、ビジネスフォーム印刷事業および商業美術印刷事業を基軸に事業を展開しています。

DPS分野では、案件の小ロット化による受注額の減少、官公庁大口物件の失注、民間企業におけるダイレクトメールの需要減少などの影響があったものの、市区町村からワクチン接種事業におけるワクチン接種券の印刷業務を受注したことにより、売上高は増加しました。

ビジネスフォーム印刷分野では、ペーパーレス化の進展によるビジネス帳票の需要の減少、さらにコロナウイルス感染拡大の影響によるビジネス帳票の需要が減少したことなどにより、売上高は減少しました。

商業美術印刷分野(カタログ、チラシ、ページ物、書籍等)では、コロナウイルス感染拡大の影響で、イベントなどの中止や延期が続いたこと、Webによるセミナー等の開催が増加したことにより、資料類、チラシなどの印刷受注額が減少し、売上高は減少しました。

2) 印刷事業部門の経営成績の分析

 印刷事業部門における売上高は3,105百万円(前期比5.5%減)、営業利益は39百万円(同63.5%減)となりました。収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、43百万円減少しております。また、営業損益への影響はありませんでした。売上高の内訳は以下のとおりです。

a.データ・プリント・サービス(DPS)関連商品の売上高は、前期比1.7%増となりました。コロナウイルスの感染拡大によって、民間企業におけるダイレクトメールの需要は依然として減少傾向にあるものの、市区町村におけるワクチン接種券の印刷業務を受注したことにより業績を改善することができました。

b.ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比4.3%減となりました。これは、顧客企業がデジタル化を進めたことによって、ビジネスフォームの需要が減少したことによります。

c.商業美術印刷(カタログ、チラシ、書籍等)関連の売上高は、前期比13.1%減となりました。これは、コロナウイルス感染拡大の影響によるイベントなどの中止や延期、Webセミナー等への切り替えによって、イベント等で使用される資料やチラシなどの需要が減少したことによります。

 

 ⑤全社に関わる重要な事項

1) コロナウイルスの感染防止と新しい働き方への対応

 コロナウイルス感染拡大の終息が見通せない中、当社は顧客へのサービス提供を継続するため、以下の感染防止と新しい働き方への対応に取り組んでいます。

a.クラウドサービス、帳表印刷サービスやヘルプデスクサービスを継続して提供できるよう、事業継続のための体制強化(重要事業所への社外関係者の立ち入り禁止、データセンターを遠隔拠点からリモート操作するためのインフラ整備)を前期から継続しています。

b.在宅勤務制度、時差通勤制度を導入し、緊急事態宣言の発令中は対象地域の1週間あたりの出勤率目標を30%未満として取り組みました。また、顧客のサポートや商談は原則としてWeb会議システムで実施しました。

2) 「収益認識基準」の適用

 「収益認識基準」を当期(令和2年10月1日から開始する事業年度)において早期適用しました。これは、当社が「収益認識基準」を適用する過程で得たノウハウを取りまとめ、上場企業向けコンサルティング・サービスとして提供することを目的としています。

3) 株式分割の実施

 令和3年3月31日を基準日として、同日最終の株主名簿に記載または記録された株主の所有する普通株式を、1株につき2株の割合をもって分割しました。この目的は、株式を分割することにより、当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げ、当社株式の流動性の向上と投資家層のさらなる拡大を目指すことにあります。

4) システム等に関する特許を取得

 以下の6つの特許を取得しました。

a.「福祉相談支援システム、方法、およびプログラム」に関する特許(令和2年10月16日取得/特許第6780144号)

b.「ジェノグラム及びエコマップの作成装置、方法、及びプログラム」に関する特許(令和3年1月8日取得/特許第6821846号)

c.「カード情報読取装置、方法、およびプログラム」に関する特許(令和3年1月8日取得/特許第6821847号)

d.「施設入所調整装置、方法、およびプログラム」に関する特許(令和3年2月19日取得/特許第6840882号)

e.「グラフ表示システム、方法、及びプログラム」に関する特許(令和3年4月15日取得/特許第6869408号)

f.「会計データ作成装置、方法、およびプログラム」に関する特許(令和3年9月27日取得/特許第6950107号)

5) ISO/IEC20000を取得

 当社のデータセンターである「TKCインターネット・サービスセンター」(以下、TISC)が、ITサービスマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC20000」を令和3年6月7日に取得しました。これによりTISC内に構築したTKCクラウドサービスの稼働基盤が、「品質管理」「ITサービスマネジメント」「情報セキュリティー」の面において、国際規格にのっとり管理・運営していると評価されることができました。今後も当データセンターを拠点として“安全・安心・便利”なクラウドサービスを継続的に提供し、顧客の事業活動を支援します。

6) 当社システム利用による法人税申告処理社数が60万社を突破

 当社は、昭和56年に日本で最初となる「法人税申告書作成システム(TPS1000)」の提供を開始しました。その後、平成元年に導入された消費税法への対応、電子申告への対応などの法律改正に対応するとともに、継続して機能性の向上に取り組んでまいりました。現在は、法人の決算申告に最適な業務プロセスを搭載し、決算から電子申告まで一気通貫で処理できる「法人決算申告システム(TPS1000)」を提供しています。また、平成14年に導入された連結納税制度に対応した「連結納税システム(eConsoliTax)」を平成15年に提供開始。平成19年には法人税申告書の作成から電子申告まで処理できる大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」を提供しております。これらの法人税申告書作成システムは、多くのTKC会員事務所や上場企業に評価をいただき、令和3年5月31日に当社システム利用による法人税申告処理社数が60万社を突破しました。

 これは、日本の法人の4.6社に1社はTKCの法人税申告書作成システムで処理されているということを意味します。

 

 ⑥当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析

1) 資産の部について

 当連結会計年度末における資産合計は、103,406百万円となり、前連結会計年度末97,671百万円と比較して5,734百万円増加しました。

a.流動資産

 当連結会計年度末における流動資産は、36,107百万円となり、前連結会計年度末35,844百万円と比較して263百万円増加しました。
 その主な理由は、その他に含まれる前渡金が233百万円増加したことによります。

b.固定資産

 当連結会計年度末における固定資産は、67,298百万円となり、前連結会計年度末61,826百万円と比較して、5,471百万円増加しました。
 その主な理由は、投資有価証券が3,423百万円、長期預金が2,000百万円増加したことによります。

2) 負債の部について

 当連結会計年度末における負債合計は、19,990百万円となり、前連結会計年度末20,595百万円と比較して605百万円減少しました。

a.流動負債

 当連結会計年度末における流動負債は、14,721百万円となり、前連結会計年度末14,701百万円と比較して、19百万円増加しました。
 その主な理由は、未払金が398百万円減少したものの、賞与引当金が400百万円増加したことによります。

b.固定負債

 当連結会計年度末における固定負債は、5,268百万円となり、前連結会計年度末5,893百万円と比較して、625百万円減少しました。
 その主な理由は、リース債務が418百万円、株式給付引当金が291百万円減少したことによります。

3) 純資産の部について

 当連結会計年度末における純資産合計は、83,416百万円となり、前連結会計年度末77,075百万円と比較して6,340百万円増加しました。
 その主な理由は、利益剰余金が4,878百万円、その他有価証券評価差額金が1,002百万円増加したことによります。

 なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、80.7%となり、前連結会計年度末78.9%と比較して1.8ポイント増加しました。

 

 ⑦当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ342百万円減少し、23,126百万円になりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。

1) 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは、10,550百万円増加(前連結会計年度比18百万円収入減)しました。これは、税金等調整前当期純利益12,660百万円、減価償却費2,945百万円の計上、法人税等の支払い4,516百万円などによるものです。

2) 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動によるキャッシュ・フローは、7,201百万円減少(前連結会計年度比2,922百万円支出減)しました。これは、定期預金の預入5,300百万円の支出、定期預金の払戻3,300百万円の収入、有形固定資産の取得1,420百万円の支出、および無形固定資産の取得1,887百万円の支出などによるものです。

3) 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動によるキャッシュ・フローは、3,691百万円減少(前連結会計年度比95百万円支出減)しました。これは、令和2年9月期期末配当ならびに令和3年9月期中間配当3,449百万円(1株当たり配当65円)の支出などによるものです。

 なお、当企業集団のキャッシュ・フロー指標のトレンドは、下記のとおりです。

 

 

 

平成30年9月期

令和元年9月期

令和2年9月期

令和3年9月期

自己資本比率(%)

78.6

73.8

78.9

80.7

時価ベースの自己資本比率(%)

139.1

126.8

183.2

179.2

債務償還年数(年)

0.1

0.1

0.1

0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

3,385.5

4,566.9

6,492.7

27,055.7

 自己資本比率           :自己資本        ÷ 総資産 ×100

 時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額      ÷ 総資産 ×100

 債務償還年数           :有利子負債       ÷ 営業キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー ÷ 利払い

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

   2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 特に記載すべき事項はありません。

②受注実績

 特に記載すべき事項はありません。

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

会計事務所事業

45,412

96.3

地方公共団体事業

17,704

101.9

印刷事業

3,105

94.5

合計

66,221

97.7

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び仮定を用いている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。

 当社グループの重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、使用される当社の見積り等が、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えられるものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 「2 事業等のリスク」をご参照ください。

③当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、経営体質の強化を図りながら持続的に企業価値を向上するにあたり、事業活動に必要な資金は、自己資金を中心とすることを基本方針としております。この方針のもと事業活動の維持に必要な手元資金を保有し、充分な流動性を確保していると考えております。

 また、情報通信技術(ICT)が急速に進歩するとともに、社会の諸制度が大きく変化していく中で当社のお客さまのビジネスを成功に導きながら、市場環境の変化に迅速に対応し競争優位を実現するために、先行的な研究開発投資と積極的な設備投資を実施しております。

④当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提の下に、毎事業年度の配当原資を当該期間利益に求めることを原則としています。この考え方に基づき、重要な経営指標として以下のものを設定するとともに管理しています。

1)連結数値に基づく経営指標

a.対前年度売上高比率:3%以上

b.自己資本利益率:8%以上

2)個別数値に基づく経営指標

a.自己資本比率:80%超

b.売上高経常利益率:8%以上

c.総合限界利益率:60%以上

※限界利益とは、売上高から売上高に比例して変動する費用(変動費)を控除した金額であり、製品ミックスにより変動します。総合限界利益率とは、この限界利益の額が売上高に占める割合を言います。

 このような状況のなか、当期の連結対前年度売上高比率は△2.3%(前期比4.9ポイント減)、連結自己資本利益率は10.8%(前期比0.3ポイント増)となりました。なお、連結対前年度売上高比率が前期と比較して減少しているのは、令和3年4月1日以降開始事業年度から上場企業に強制適用される「収益認識基準」を早期適用したことによるものです。

 また、個別自己資本比率は84.5%(前期比1.3ポイント増)、個別売上高経常利益率は19.6%(前期比2.0ポイント増)、個別総合限界利益率は76.0%(前期比1.2ポイント増)となりました。

 引き続き高い水準を維持するために、収益構造および資本効率の改善に取り組んで参ります。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当連結会計年度における当社グループの研究開発費はありません。

 なお、当連結会計年度において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。