当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
Ⅰ 経営成績に関する説明
当第2四半期連結累計期間(以下、当第2四半期)におけるわが国の経済環境は、世界的に拡大している新型コロナウイルス(以下、コロナウイルス)の感染拡大の影響で依然として厳しい状況にあります。国内においても、感染防止策を講じながら経済活動を行うことを余儀なくされ、慎重な判断が求められる状況が続くものと考えております。
このような経済環境のもと、当社は第54期に掲げた「顧客の支援に全力を傾注する方針」を継続し、システム開発やサービスの提供に努めてまいりました。
会計事務所事業部門では、当社のお客さまである税理士および公認会計士(以下、TKC会員)が中小企業の伴走型の支援者として、関与先企業の資金繰りや経営助言に取り組むための支援を実施しました。これに併せて、TKC会員事務所が関与先企業からの委託にもとづいて、決算書などを電子申告と同時に金融機関に開示する「TKCモニタリング情報サービス」の普及に努め、令和3年3月末時点において利用件数は26万件を突破しました。
地方公共団体事業部門では、令和2年10月23日に厚生労働省から事務連絡「新型コロナウイルス感染症ワクチン接種体制確保事業実施要綱」などが発出されたことを受け「予防接種台帳システム等のシステム改修」「ワクチン接種券(クーポン券)の発行サービス」「接種予約・受付システム」等の提供を開始しました。
これらの活動の結果、当第2四半期における株式会社TKCとその連結子会社等6社を含む連結グループの経営成績は、売上高が33,372百万円(前期比5.0%減)、営業利益は7,906百万円(同13.1%増)、経常利益は8,086百万円(同13.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は5,495百万円(同16.6%増)となりました。
売上高が前期と比較して減少した理由は、令和3年4月1日以降開始事業年度から上場企業に強制適用される「収益認識に関する会計基準(以下、収益認識基準)」を当社が早期適用したことによるものです。収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、1,135百万円減少しております。なお、当社が収益認識基準を早期適用した理由は、同基準を適用する過程で得たノウハウを取りまとめ、上場企業向けコンサルティング・サービスとして提供することにあります。
当第2四半期における事業部門別の売上高の推移は以下のとおりです。
1.第2四半期業績の推移
(1)会計事務所事業部門の売上高の推移
会計事務所事業部門における売上高は22,466百万円(前期比4.4%減)、営業利益は5,990百万円(同11.7%増)となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。
なお、収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して876百万円減少し、営業利益は262百万円増加しております。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比1.6%増となりました。これは中堅企業においてDX(Digital Transformation)への取り組みが加速する中で、販売管理システムや給与計算システムといった業務システムと会計データを連携できる「中堅企業向けクラウド型統合会計情報システム(FX4クラウド)」の導入が進んでいること、会計事務所において「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」と外出先・在宅で業務を遂行できる「OMSモバイル」の採用が増加していることによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比6.6%増となりました。これは、「中堅企業向けクラウド型統合会計情報システム(FX4クラウド)」をはじめとする電子帳簿保存法の要件に完全準拠した財務会計システムの顧客数が増加したことや、令和2年4月から資本金1億円超の法人に電子申告が義務化されたことに伴い、大企業向けの「法人電子申告システム(ASP1000R)」の顧客数が順調に伸展していることなどによります。なお、収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、266百万円増加しております。これは、出荷時に売上高を一括して認識していたソフトウエアのうち、期間按分適用するソフトウエアを月別に認識するように変更したためです。また、この差異は、収益認識基準適用初年度限りとなります。
③ハードウエア売上高は、前期比19.4%減となりました。これはマイクロソフト社によるWindows7のサポートが令和2年1月に終了したことで、前期にパソコンの買い換え需要が一巡したため、パソコンの販売台数が例年並みに推移していることによります。
④サプライ用品売上高は、前期比67.0%減となりました。在宅勤務用の事務機器や感染予防用品の販売は好調だったものの、会計事務所に提供している会計伝票や事務機器の取引が収益認識基準における「代理人取引」に該当することから、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、1,099百万円減少したことなどによります。
⑤なお、営業利益が前期と比較して改善したのは、顧客のサポートをWeb会議システムによるリモートサポートに切り替えたことに伴い出張旅費が減少したことや、マーケティング活動をWebセミナーに切り替えたことによりセミナー開催費用が減少したことなどによります。
(2)地方公共団体事業部門の売上高の推移
地方公共団体事業部門における売上高は9,358百万円(前期比4.8%減)、営業利益は2,028百万円(同22.7%増)となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。
なお、収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、233百万円減少し、営業利益が163百万円増加しております。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比12.0%増となりました。これは、令和2年度にシステムを本稼働させた新たな顧客のアウトソーシングサービス売上高やデータセンター利用料が増加したこと、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種体制確保事業におけるクーポン券等の発行業務を受託したことなどによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比21.0%減となりました。これは、前期に計上した幼児教育の無償化に伴うシステム改修費など法律改正に伴う一時的な売上高が前期に比べ減少したことによります。なお、収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、109百万円減少しております。
③コンサルティング・サービス売上高は、前期比12.2%減となりました。これは、収益認識基準の適用に伴う初年度特有の経理処理(前期以前の開発原価を累積的影響額として計上)を行ったことによります。なお、収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、122百万円減少しております。
④ハードウエア売上高は前期比10.3%増となりました。これは、顧客のサーバー機器や周辺機器等の更改が前期と比較して増加したことなどによります。
⑤なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、顧客のサポートおよび提案活動をWeb会議システムによるリモートサポートに切り替えたことに伴い、出張旅費が大幅に減少したことなどによります。
(3)印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の売上高の推移
印刷事業部門における売上高は1,547百万円(前期比13.9%減)、営業損失は117百万円(前期は営業損失17百万円)となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。
なお、収益認識基準を適用した結果、売上高は同基準を適用していなかった場合と比較して、25百万円減少しておりますが、営業損益への影響はありません。
①データ・プリント・サービス(DPS)関連商品の売上高は、前期比7.8%減となりました。これは、コロナウイルスの影響で民間企業が販促用のダイレクトメール(DM)等の発注を抑える傾向が続いていることなどによります。
②ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比10.7%減となりました。これは、コロナウイルスの影響で各社のデジタル化による帳票出力の減少に拍車がかかり、ビジネス帳票の需要が減退していることによります。
③商業美術印刷(カタログ、チラシ、書籍等)関連の売上高は、前期比18.2%減となりました。これは、コロナウイルスの影響によるイベントなどの中止や延期、Webセミナー等への切り替えが続いており、イベントなどで必要とされる資料やチラシ印刷などの需要が減退していることによります。
2.全社に関わる重要な事項
(1)コロナウイルスの感染防止と新しい働き方への対応
コロナウイルスの収束が見通せない中、当社は顧客へのサービス提供を継続するため、以下の感染防止と新しい働き方への対応に取り組んでいます。
①クラウドサービス、帳表印刷サービスやヘルプデスクサービスを継続して提供できるよう、事業継続のための体制強化(重要事業所への社外関係者の立ち入り禁止、データセンターを遠隔拠点からリモート操作するためのインフラ整備)を前期から継続しています。
②在宅勤務制度、時差通勤制度を導入し、緊急事態宣言の対象地域については出勤割合の目標を30%としています。それ以外の地域については、出勤率70%(開発部門は40%)を目標としています。また、顧客のサポートや商談は原則としてWeb会議システムで実施しています。
(2)当社名誉会長によるTKC会員に対する株式無償譲渡について
当社名誉会長である飯塚真玄氏は令和3年3月、税理士法第33条の2に規定される書面添付に取り組むTKC会員155名に対し、個人所有の当社普通株式を無償譲渡しました。
この無償譲渡は平成30年3月から100万株を上限として実施しているものです。対象となるのは「書面添付の推進」に取り組むTKC会員で、本年までの4年間にわたり累計1,138名に無償譲渡を行いました。
なお、飯塚真玄氏は平成18年にも弟故飯塚容晟氏(元当社副社長)と共に個人所有の当社普通株式合計300万株を6,653名のTKC会員に無償譲渡しています。
(3)システム等に関する特許を取得
当社は以下の四つの特許を取得しました。
①「福祉相談支援システム、方法、およびプログラム」に関する特許(令和2年10月16日取得/特許第6780144号)
②「ジェノグラム及びエコマップの作成装置、方法、及びプログラム」に関する特許(令和3年1月8日取得/特許第6821846号)
③「カード情報読取装置、方法、およびプログラム」に関する特許(令和3年1月8日取得/特許第6821847号)
④「施設入所調整装置、方法、およびプログラム」に関する特許(令和3年2月19日取得/特許第6840882号)
(4)株式分割の実施
令和3年3月31日を基準日として、同日最終の株主名簿に記載または記録された株主の所有する普通株式を、1株につき2株の割合をもって分割しました。この目的は、株式を分割することにより、当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げ、当社株式の流動性の向上と投資家層のさらなる拡大を目指すことにあります。詳細は「第一部 企業情報 第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりです。
3.会計事務所事業部門の営業活動と経営成績
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社のお客さまである税理士および公認会計士1万1,400名(令和3年3月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
(1)会計事務所事業部門による戦略目標達成に向けた活動
①コロナウイルスの影響を受けた中小企業の支援
当社は、当期において、TKC会員と関与先企業の支援に全力を傾注する方針を掲げて、以下の支援を行いました。
1)TKC会員への最新情報の提供
当社は、政府や中小企業支援団体から発信される中小企業支援策をTKC会員に正確かつ迅速に伝えるため、TKC会員専用のイントラネット(ProFIT)で最新情報を日々提供しました。この活動は令和2年2月25日から開始し、令和3年3月末日時点で222本の情報を掲載するに至りました。
2)「新型コロナウイルス経営支援情報・資金繰り対策コーナー」の提供
政府、都道府県、人口4万人以上の市および金融機関の中小企業支援策を「融資」「雇用」「補助金等」「税制」の区分で確認できる特設サイトを開発し、TKC会員のホームページから確認できるようにしました。これにより、TKC会員は、関与先企業をはじめとする中小企業に緊急資金繰り支援策を網羅的に情報発信することが可能になりました。令和3年3月末日時点で7,216件の支援策を掲載し、わが国最大の中小企業支援策のデータベースとなっています。
なお、この情報は週2回更新しており常に最新の情報を掲載しています。
3)「緊急支援関与先チェック機能」のレベルアップ
国の緊急経済対策や政府系金融機関の特別融資など、中小企業支援策の適用の可否を関与先企業ごとに自動判定し、一覧形式で確認できる「緊急支援関与先チェック機能」を「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMS)」に搭載しています。さらに当第2四半期においては、「事業再構築補助金」にいち早く対応し、適用条件に該当する可能性のある関与先企業をワンクリックで抽出できる機能を搭載しました。これにより、TKC会員が迅速に関与先企業に情報提供できる体制を構築しています。
4)補助金等の公的支援策を案内する冊子の提供
会計事務所が関与先企業に対して重要な公的支援策をご案内するための冊子『第3次補正予算対応(速報版)Q&Aこれから使える資金繰り支援と補助金』を作成し、すべてのTKC会員に提供するとともにPDFファイルのダウンロードを可能にしました。
②TKC全国会が掲げる「戦略目標2020」の達成に向けた営業活動
当社では、TKC全国会と連携して戦略目標2020の達成に向けた営業活動を展開しました。
1)「TKCモニタリング情報サービス」の推進
TKCモニタリング情報サービスは、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。開示のタイミングは、月次試算表の場合は月次決算終了直後、年度決算書および税務申告書は税務署に対して電子申告した直後です。
TKCモニタリング情報サービスの推進と同時に、金融機関に対して中小企業の決算書の信頼性は以下の3帳表で確認できることを訴求しました。
ⅰ.TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」
ⅱ.会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性をTKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」
ⅲ.日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」
こうした活動の結果、当サービスを採用する金融機関は急速に増加し、令和3年3月末日現在で、全国全ての地方銀行(64行)を含む463金融機関に採用されています。また、令和3年3月末日現在で、26万件を超える決算書等が金融機関に開示されました。
今後、金融機関は融資先企業の業績を定期的に確認し、経営支援に取り組むことが期待されています。TKCモニタリング情報サービスの「月次試算表提供サービス」は、関与先企業が月次決算を行うと、その結果を金融機関に電磁的に提出できるため、多くの金融機関から注目を集めています。
2)TKC方式の自計化の推進(FXシリーズの推進)
当第2四半期は、関与先企業の経営者がコロナ禍の業績への影響を正確に把握し、次の打ち手を検討できるように、FXシリーズに搭載している「経営戦略レベル」の機能(予算登録、部門別管理、資金繰り実績表)の活用を支援しました。また、経営者がこれらの機能を有効に活用するためには、適時・正確な会計取引の入力が必要となるため、「日常業務レベル」の機能として、インターネットバンキングから取引明細を受信して仕訳に変換する「銀行信販データ受信機能」や「戦略給与情報システム(PX2)」との給与仕訳の連携などを支援しました。
さらに令和2年9月25日に提供を開始した「FXクラウドシリーズ」は、「会計で会社を強くする」機能の強化と会計事務所による「巡回監査」を支援する機能の強化を図っています。当社は、「FXクラウドシリーズ」の導入支援を通じて中小企業の財務経営力と資金調達力の向上を支援してまいります。
3)電子帳簿保存法への完全対応支援
令和2年12月21日に閣議決定された「令和3年度税制改正大綱」では、電子帳簿保存法の要件が緩和されました。これにより、国税関係帳簿の電磁的記録である「電子帳簿」は、①従前の規定に従って過去の仕訳データの加除訂正履歴(トレーサビリティ)を残している「優良な電子帳簿」と、②帳簿の加除訂正履歴を保存しない会計ソフトで作成した「トレーサビリティのない電子帳簿」の二つとされることになりました。これは「帳簿の証拠力」を消滅させるような法改正であり、帳簿を改ざんできる会計ソフトの利用を国が認めたことになります。
当社はこの問題に対処するため、「優良な電子帳簿」を作成する「TKC方式の自計化」を推進するとともに、その電子帳簿と一気通貫で作成された決算書並びに税理士法第33条の2に基づく書面添付に裏付けられた適正な税務申告書等を金融機関に開示する「TKCモニタリング情報サービス」の圧倒的な普及によって、この危機を打開すべく、全国規模での導入支援を行ってまいります。
4)会員導入(TKC全国会への入会促進)
TKC全国会では、令和3年9月末日までにTKC会員事務所を1万超とする運動に取り組んでいます。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会などと密接に連携して会員導入活動を展開しています。
コロナ禍で会員導入活動の対象となる会計事務所への訪問が困難であったため、Webセミナーを積極的に開催しています。
こうした活動の結果、令和3年3月末日現在のTKC会員は9,800会計事務所、1万1,400会員となっています。 なお、事務所数と会員数に違いがあるのは、1事務所に複数会員が所属する場合があるためです。
(2)「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動
①「中小会計要領」の普及のための支援活動
TKC全国会では、中小企業である関与先企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)を推奨しています。
中小会計要領は、ⅰ.自社の経営状況の把握に役立つ会計、ⅱ.利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計、ⅲ.会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計、ⅳ.中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って制定されています。
当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材などの整備と他の中小企業支援団体との連携に継続して取り組んでいます。
②「記帳適時性証明書」の発行
当社では、TKC会員が当社の会計システムを利用する際に当社データセンターに自動的に保存される処理履歴データと過去の時系列データを活用して、金融機関などの第三者が客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定するための資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。
このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたものでありTKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを当社が第三者として証明するものです。
(3)大企業市場への展開
当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンスと合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。
令和2年4月から資本金1億円超の大企業に法人税・消費税・地方税の電子申告が義務化されることになりました。これに伴い、大企業は、法人税申告書の電子申告の実施に加え、その添付書類(財務諸表、勘定科目内訳明細書等)についても電子データで提出しなければならなくなりました。当社では、これらの企業が円滑に電子申告義務化に対応できるようにするため、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(令和3年3月末日現在の会員数は1,495名)と連携し、『電子申告義務化対応ガイドブック』をホームページに公開するとともに、Webセミナーなどを開催しました。また、ERPベンダー4社とアライアンス契約を締結し、財務諸表のデータ連携システムの構築に取り組んでいます。さらに、コロナウイルスの影響で在宅勤務に取り組む上場企業が増加したことを受け、訪問型だった営業活動をインサイドセールスに切り替え、移動時間を削減したことで、商談数を増加させることができました。
その結果、「法人電子申告システム(ASP1000R)」「連結納税システム(eConsoliTax)」のユーザ数は令和3年3月末日現在で7,280社となりました。約2万3,000社あるといわれる資本金1億円超の企業の約31%に達しています。
また、海外に展開している企業は、コロナウイルスの感染拡大で海外渡航が制限されているため、海外子会社の業績管理とガバナンスの確保に課題を抱えています。当社が提供する「海外ビジネスモニター(OBMonitor)」は、海外子会社の財務データを日本にいながら確認できるクラウドサービスであるため、このような課題を抱えている企業での採用が増加しています。OBMonitorのユーザ数は1,050社となり、世界37カ国で活用されています。
こうした活動の結果、「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和3年3月末日現在で約4,570企業グループとなりました。なお、当社の税務申告システムは日本の上場企業の売上高トップ100社のうち89%の企業で採用されています。また、日本の上場企業における市場シェアは35%となりました。
なお、収益認識基準を早期適用したノウハウをもとに、収益認識基準への実務対応を解説するWebセミナーを開催し、当社の収益認識基準の早期適用事例をご紹介しています。このWebセミナーには延べ4,000名超の視聴申し込みがありました。
(4)法律情報データベースの市場拡大
①「TKCローライブラリー」の利用拡大
多くの顧客が、コロナウイルスの影響による在宅勤務への移行に伴い、オンラインで業務を遂行せざるを得なくなりました。これにより、資料室や図書館などを利用した調査ができないユーザから、法令・判例・文献情報に加え、主要法律専門誌をカバーするほか、いつでもどこでも利用できるという特長を持つTKCローライブラリーの利点が再評価されるようになりました。その結果、ID数やコンテンツを追加する契約が増えています。当第2四半期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部などへのホームページやSNSなどによるオンライン提案活動の結果、ユーザ数は5万2,200IDを超え、令和3年3月末日現在で2万3,000超の諸機関で利用されています。
②アカデミック市場における展開
令和2年10月以降、コロナウイルスの影響で多くの大学は、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型で授業を実施しています。当社が提供する「TKC教育研究支援システム」「TKCローライブラリー」などのシステムは、いつでもどこでもオンラインで利用でき、他社をしのぐ多様かつ多数のコンテンツの収録、レポートや演習、テスト機能が搭載されています。これらの特長が教員、学生のオンライン授業および学習を支えるものとして再評価されています。現在も、各大学と随時Web会議を実施し、基本サービスにおけるアクセス権の追加対応や、大学の実情に応じたオンラインによる学習環境整備の支援を継続しています。
また、大学の法学部を中心に提供している学習ツール(公務員試験、ビジネス実務法務検定)は、令和3年3月末日現在で25校が利用しています。学生は、各試験の延期や学習環境が整わない状況下で、充実した教材が収録されたオンライン学習ツールによる学習に頼らざるを得ないことから、利用頻度が大幅に増加しました。さらに令和2年9月から、「法学検定学習ツール」の提供を開始しました。団体受験対象大学63校を中心に利用拡大に向けたモニター利用とアンケート調査を推進しています。またビジネス実務法務検定試験などの資格試験が、実績のあるコンピューターを用いた試験(CBT/IBT方式)の導入と実施を発表されています。これをチャンスと捉え、利用者ニーズの把握を進めるとともに、Webテスト機能などコンピューター試験対策としても有効な当社の学習ツールの利用を訴求してまいります。
4.地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
(1)基幹系サービスの開発・提供
当社は、地方公共団体(主に市区町村)に対して、「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは基幹系業務と内部情報系業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」から構成するクラウドサービスです。
当社の「TASKクラウドサービス」は、当社データセンターを運用拠点とした単一バージョンのパッケージシステムでありながら、複数団体による共同利用を前提とした設計としています。そのため、政府が推進する「自治体クラウド」に対応する最適なシステムとして注目されており、全国12の共同利用組織に採用されています。
また、全国7社のアライアンスパートナー企業も「TASKクラウドサービス」を積極的に推進しています。この結果、令和3年3月末日現在で「TASKクラウドサービス」は、160を超える地方公共団体に採用されています。
当期においては、引き続き新規受注に向けた提案活動を行ったほか、令和3年3月までに本稼働を迎える新規受注団体について円滑なシステム移行を支援しました。
加えて、「新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保事業」にお客さまが迅速・的確に対応できるよう最新情報を提供するとともに、「予防接種台帳システム」等の改修や「新型コロナワクチン接種予約・受付システム」の提供を開始しました。
(2)行政サービス・デジタル化への対応
当社では、自治体DX推進に貢献すべく〈書かせない・待たせない・来させない〉窓口サービスの実現を支援する「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」を提供しています。
当期においては、大阪府大阪市様の協力を得ながら「TASKクラウドスマート申請システム」の開発を進めたほか、「TASKクラウドかんたん窓口システム」や「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」などの機能強化を図りました。
これらのシステム・サービスについて積極的な提案活動に取り組んだ結果、令和3年3月末日現在で、「TASKクラウドコンビニ交付システム」は神戸市様や北九州市様などの政令指定都市を含め150を超える団体に、TASKクラウド かんたん窓口システムは20を超える団体に、TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システムは40を超える団体に、それぞれ採用されています。
(3)地方税税務手続きのデジタル化への対応
地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)の審査システムなどの標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として各市町村の税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。
本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を結ぶ50社のパートナー企業と共に提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和3年3月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる約780団体に採用されています。
当期においては、当社独自サービスであるデータ連携サービスの機能強化に取り組むほか、パートナー企業と共に積極的な提案活動および導入支援に取り組みました。
(4)地方公会計の統一的な基準への対応
市区町村においては、地方公会計の取り組みの一層の推進とともに、財務書類などの作成業務の効率化により財務分析などの活用に注力することが求められています。
令和2年3月に総務省が公表した『地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書』では、「財務会計システムと一体的な地方公会計システムを導入し、あらかじめ歳出科目と勘定科目の紐付けを行うことや、予算執行時に自動的に仕訳変換をする仕組みを構築することにより、日々仕訳の円滑な導入や期末一括仕訳における確認作業の軽減も可能になると考えられる。また、公有財産台帳と固定資産台帳のデータを連携・統合することにより、各台帳への登録業務を効率化することが可能になると考えられる」として、システム更新などのタイミングで「財務会計システムと一体的な地方公会計システム」と「日々仕訳」の導入を検討するよう促しています。
当社では、国が推奨する日々仕訳方式に対応した財務会計システムと一体的な地方公会計システムとして「TASKクラウド公会計システム」と、その関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。
当期においては、千葉県袖ケ浦市様、栃木県鹿沼市様など多くの団体から新規に受注し、それらの円滑なシステムの立ち上げ・運用を支援しました。
また、地方公会計情報の〈見える化〉と〈活用〉を支援する各種機能の開発・強化に取り組んだほか、積極的な提案活動を展開しました。その結果、公会計システムは令和3年3月末日現在で270を超える団体に採用されています。
(5)次世代製品の研究・開発
コロナウイルスの感染拡大を機に行政分野でのデジタル化・オンライン化の遅れが浮き彫りとなったことを受けて、『経済財政運営と改革の基本方針2020』(令和2年7月閣議決定)ではデジタル・ガバメントの構築を“一丁目一番地”の最優先課題と位置付け、行政手続きのオンライン化やワンストップ・ワンスオンリー化などデジタル化を加速することとされました。加えて、令和2年12月25日には総務省から『自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画』が公表され、令和8年3月末までを対象期間として、〈自治体の情報システムの標準化・共通化〉〈マイナンバーカードの普及促進〉〈自治体の行政手続のオンライン化〉などに重点的に取り組むことを明言しました。これに伴い、市区町村における行政サービス・デジタル化の取り組みにも一層拍車がかかっています。
当社では、こうした顧客を取り巻く環境変化に対応するため、新製品の企画・開発を加速するとともに、最新情報の収集・発信など顧客サポートの強化に努めています。
当期においては〈行政サービス・デジタル化〉や〈業務システムの標準化〉などに関する情報収集・発信を行うことに加え、先進団体との実証事業などを通じてポストコロナ時代の“新たな日常”を支える次世代ソリューションの調査・研究、開発に取り組みました。
5.印刷事業部門の営業活動と経営成績
当社グループの印刷事業部門は、データ・プリント・サービス(DPS)事業およびビジネスフォーム印刷事業を基軸に事業展開しています。
DPS分野では官公庁大口物件の失注、また価格低下による受注額の減少、コロナウイルス感染拡大の影響で民間企業からの集客向けDM等の発注が減少したことなどにより、売上高は減少となりました。現在、市区町村から受注した「新型コロナウイルスワクチン接種案内」に関する業務を確実に実施するとともに、民間企業に対しては、回復基調にあるDM案件の新規獲得に向け営業活動を実施しています。
ビジネスフォーム印刷分野では、ビジネス帳票の需要減退、主要な取引先の帳票需要の減少、またコロナウイルスの影響でビジネス帳票の利用が減少したことなどから、売上高は減少となりました。
商業美術印刷分野(カタログ、チラシ、ページ物、書籍等)では、コロナウイルスの影響から、イベントなどの中止や延期が続いていること、Webによるセミナーなどの開催が増加したことにより、これまで必要とされた資料類、チラシなどの発注が減少した結果、売上高は減少となりました。
Ⅱ 財政状態
当第2四半期連結会計期間末における資産・負債及び純資産の状況は次の通りです。
1.資産の部について
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、101,067百万円となり、前連結会計年度末97,671百万円と比較して3,396百万円増加しました。
(1)流動資産
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は、37,325百万円となり、前連結会計年度末35,844百万円と比較して1,480百万円増加しました。
その主な理由は、現金及び預金が1,771百万円減少したものの、受取手形及び売掛金が3,096百万円増加したことによります。
(2)固定資産
当第2四半期連結会計期間末における固定資産は、63,742百万円となり、前連結会計年度末61,826百万円と比較して、1,915百万円増加しました。
その主な理由は、投資その他の資産のその他に含まれる繰延税金資産が468百万円、有形固定資産のその他(純額)に含まれる工具器具備品が246百万円、建物及び構築物(純額)が232百万円減少したものの、投資有価証券が3,065百万円増加したことによります。
2.負債の部について
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、19,456百万円となり、前連結会計年度末20,595百万円と比較して1,139百万円減少しました。
(1)流動負債
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は、14,090百万円となり、前連結会計年度末14,701百万円と比較して、611百万円減少しました。
その主な理由は、買掛金が1,029百万円増加したものの、未払金に含まれる未払消費税等が1,520百万円減少したことによります。
(2)固定負債
当第2四半期連結会計期間末における固定負債は、5,365百万円となり、前連結会計年度末5,893百万円と比較して、527百万円減少しました。
その主な理由は、株式給付引当金が293百万円、その他に含まれる長期リース債務(転リース)が159百万円減少したことによります。
3.純資産の部について
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、81,611百万円となり、前連結会計年度末77,075百万円と比較して4,535百万円増加しました。
その主な理由は、利益剰余金が3,407百万円、その他有価証券評価差額金が738百万円増加したことによります。
なお、当第2四半期連結会計期間末における自己資本比率は、80.7%となり、前連結会計年度末78.9%と比較して1.8ポイント増加しました。
Ⅲ キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末に比べ1,771百万円減少し、21,697百万円になりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。
(1)営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローについては、3,154百万円増加(前年同四半期比427百万円収入増)しました。これは、税金等調整前四半期純利益8,050百万円の計上、売上債権3,128百万円の増加、および法人税等の支払2,442百万円などによるものです。
(2)投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローについては、3,074百万円減少(前年同四半期比3,628百万円支出減)しました。これは、定期預金の預入1,700百万円の支出、定期預金の払戻1,700百万円の収入、投資有価証券の取得2,030百万円の支出、有形固定資産の取得473百万円の支出、および無形固定資産の取得604百万円の支出などによるものです。
(3)財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローについては、1,852百万円減少(前年同四半期比306百万円支出増)しました。これは、令和2年9月期期末配当1,726百万円(1株当たり配当65円)を支払ったことなどによるものです。
Ⅳ 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
Ⅴ 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費はありません。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。