当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
Ⅰ 経営成績
当第1四半期連結累計期間(以下、当第1四半期)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)第5波の終息とともに、緩やかに持ち直しつつありました。一方で、海外でのオミクロン株の感染拡大とサプライチェーンの分断による部材の高騰、原油価格の上昇等の影響は今後の経済活動に深刻な影響を及ぼし始めています。
こうした状況の中、政府は、ワクチンの追加接種をはじめ社会経済活動の再開に向けて国民や中小企業を支援する様々な施策を準備しています。当社グループでは、そのような政府の取り組みに迅速に対応したシステムやサービスの提供を通じて地域・社会に貢献してまいりました。
会計事務所事業部門では、顧客である税理士および公認会計士(以下、TKC会員)が、中小企業の伴走型の支援者として、関与先企業の資金繰りや経営助言に取り組むための支援を継続しています。また、クラウド型の会計システムの提供を通じて、中小企業のデジタル化と経理事務の省力化を支援しています。
地方公共団体事業部門では、令和3年10月20日付で厚生労働省から事務連絡「新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)に係る接種券等の印刷及び発送について」が発出されたことを受け、「ワクチン接種券作成業務」「ワクチン接種予約・受付システムの提供」等を迅速に行い、顧客市区町村におけるコロナウイルスのワクチン接種事業を支援しました。
これらの活動の結果、当第1四半期連結累計期間(以下、当第1四半期)における株式会社TKCとその連結子会社等6社を含む連結グループの経営成績は、売上高が15,292百万円(前期比3.1%増)、営業利益は3,091百万円(同15.7%増)、経常利益は3,242百万円(同15.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,228百万円(同18.9%増)となりました。
当第1四半期における事業部門別の売上高の推移は以下のとおりです。
1.第1四半期業績の推移
(1)会計事務所事業部門の売上高の推移
会計事務所事業部門における売上高は10,638百万円(前期比0.1%増)、営業利益は2,807百万円(同6.6%増)となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比3.7%増となりました。これは中堅企業においてDX(Digital Transformation)への取り組みが加速する中で、販売管理システムや給与計算システムといった業務システムと会計データを連携できる「中堅企業向けクラウド型統合会計情報システム(FX4クラウド)」の導入が進んでいること。会計事務所向けの「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」と外出先・在宅で業務を遂行できる「OMSモバイル」の採用が増加していることによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比2.5%増となりました。これは、令和4年1月から施行された改正電子帳簿保存法に対応するために、優良な電子帳簿の法的要件を満たし、証憑保存機能を標準搭載した「FXクラウド」シリーズを新規に利用する関与先企業が増加したことによります。
③コンサルティング・サービス売上高は、前期比1.1%増となりました。これは「FX4クラウド」の販売が堅調に推移し、立ち上げ支援サービスが増加したことによります。
④ハードウエア売上高は、前期比20.5%減となりました。これは各金融機関のインターネットバンキングがWindows11へ対応されていないことから、最新機種へのリプレースを控える動きが出てきており、パソコンの販売台数が減少したことによります。
⑤サプライ用品売上高は、前期比10.4%減となりました。在宅勤務用の事務機器やコロナウイルス感染予防用品の販売は好調だったものの、関与先企業の自計化の進展に伴いペーパーレス化が進んでおり、紙の会計用品や、印刷関連の消耗品の需要が減少したことによります。
⑥なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、利益率の高いコンピューター・サービス売上高やソフトウエア売上高が増加した一方で、利益率の低いハードウエア売上高やサプライ用品売上高が前年よりも減少したことなどによります。
(2)地方公共団体事業部門の売上高の推移
地方公共団体事業部門における売上高は3,907百万円(前期比10.9%増)、営業利益は354百万円(同67.0%増)となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。
①コンピューター・サービス売上高は、前期比13.7%増となりました。これは、前期までに受託した新たな顧客の本稼働に伴いデータセンターサービス利用料が増加したこと、新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)に係る接種券等の印刷業務を受託したこと、衆議院選挙に伴う入場券等作成業務を受託したことなどによります。
②ソフトウエア売上高は、前期比10.1%増となりました。これは、子育て世帯生活支援特別給付金システムの改修業務の受託や前期までに受託した新たな顧客のシステムが本稼働したことからソフトウエア利用料が増加したことによります。
③コンサルティング・サービス売上高は、前期比66.4%増となりました。これは、新たなサービスの受託に伴うシステム導入支援費の売り上げが増加したことなどによります。
④ハードウエア売上高は前期比4.4%減となりました。これは、世界的な半導体不足によるオフィス機器の入庫遅延の影響などによります。
⑤なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、前述したワクチン接種事業における通知作成業務の受託やデータセンターサービス利用料とソフトウエア利用料が増加したことなどによります。
(3)印刷事業部門(子会社:株式会社TLP)の売上高の推移
印刷事業部門における売上高は746百万円(前期比9.3%増)、営業損失は62百万円(前期は営業損失170百万円)となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。
①データ・プリント・サービス(DPS)関連商品の売上高は、前期比30.9%増となりました。これは、コロナウイルスの感染拡大の影響により民間企業のダイレクトメール発信の需要は依然として回復していないものの、衆議院議員選挙入場券、市区町村におけるワクチン接種券、子育て世帯臨時給付金通知の印刷業務を受注できたことによります。
②ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比9.9%減となりました。これは、デジタル化の潮流により、顧客企業のデジタル化推進にともないフォームの需要が減少したことによります。
③商業美術印刷(カタログ、書籍等)関連の売上高は、前期比20.9%増となりました。これは、コロナウイルスの感染拡大の影響からイベントやセミナーで使われる各種印刷物の需要が減少しているものの、改正電子帳簿保存法の制度改正、インボイス対応を解説する書籍等の印刷業務を数多く受注できたことによります。
2.全社に関わる重要な事項
(1)コロナウイルスの感染防止と新しい働き方への対応
コロナウイルス感染拡大の終息が見通せない中、当社は顧客へのサービス提供を継続するため、以下の感染防止と新しい働き方への対応に取り組んでいます。
①クラウドサービス、帳表印刷サービスやヘルプデスクサービスを継続して提供できるよう、事業継続のための体制強化(重要事業所への社外関係者の立ち入り禁止、データセンターを遠隔拠点からリモート操作するためのインフラ整備)を継続しています。
②在宅勤務制度、時差通勤制度を導入し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域については、原則としてテレワーク(在宅勤務)を実施しています。顧客サポートや商談についても原則としてWeb会議システムを活用した取り組みを行っています。
(2)新市場区分「プライム市場」の選択
令和3年11月に開催の取締役会において、当社は株式会社東京証券取引所の新市場区分における「プライム市場」を選択することを決議しました。
(3)「サステナビリティ方針」の開示
当社では、持続可能な社会を次世代に引き継ぎたいとの願いから、さまざまな社会貢献活動に取り組んできました。事業活動で関わりの深い租税に関する資料の公開など、学術・教育分野における活動のほか、創業の地である栃木県のスポーツ文化振興のための支援を行っています。こうした一連の取り組みの活動指針として、令和3年12月17日に「サステナビリティ方針」を制定し、当社のホームページに開示しました。
(4)「OMS電子サインシステム」を提供開始
令和3年12月より、会計事務所向けシステム「OMSクラウド」のユーザーに対して、「OMS電子サインシステム」の提供を開始しました。これは、会計事務所と顧問先企業との間で取り交わす顧問契約書や同意書、確認書などに、「電子サイン」で同意を得られるシステムです。
3.会計事務所事業部門の営業活動と経営成績
会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:「会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営」)に基づき、当社の顧客である税理士および公認会計士1万1,500名(令和3年12月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。
(1)「黒字決算」と「適正申告」の実現に向けた活動
①コロナウイルス感染拡大の影響を受けた中小企業の支援
当社は、当期において、TKC会員と関与先企業の支援に全力を傾注する方針を掲げて、積極的に顧客を支援しています。
1)TKC会員への最新情報の提供
TKC会員に政府や中小企業支援団体から発信される中小企業支援策の情報を迅速かつ正確に伝えるため、TKC会員専用のイントラネット(ProFIT)で最新情報と制度等を解説するオンデマンド研修を提供しています。この活動は令和2年2月25日から開始し、令和3年12月末日時点で256本の情報を掲載するに至りました。
2)「新型コロナウイルス経営支援情報・資金繰り対策コーナー」の提供
政府、都道府県、人口4万人以上の市および金融機関の中小企業支援策を「融資」「雇用」「補助金等」「税制」の区分で確認できる特設サイトを開発し、TKC会員のホームページから確認できるようにしています。TKC会員は、関与先企業をはじめとする中小企業に緊急資金繰り支援策を網羅的に情報発信することが可能です。令和3年12月末日時点で7,734件の支援策を掲載し、わが国最大の中小企業支援策のデータベースとなっています。
なお、このコーナーは開設当初から週2回更新しており、常に最新の情報を掲載しています。
3)「緊急支援関与先チェック機能」のレベルアップ
国の緊急経済対策や政府系金融機関の特別融資など、中小企業支援策の適用の可否を関与先企業ごとに自動判定し、一覧形式で確認できる「緊急支援関与先チェック機能」を「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」に搭載しています。新たな補助金・緊急融資等の申請要件が明らかになる都度更新し、対象となる関与先企業をワンクリックで抽出できる機能を提供しています。
4)「TKC月次指標(月次BAST)」の提供
「TKC月次指標(以下、月次BAST)」を無償提供しています。月次BASTには、TKC会員による月次巡回監査で月次決算の信頼性を確認された25万社超の「月次決算データ」を収録しており、国内に類を見ない統計資料です。直近の売上高や借入金の推移などを全国・都道府県別・年商規模別・業種別に確認することができます。今後の中小企業支援策の検討のため、金融機関や行政機関等の中小企業支援者、中小企業の動向を分析する経済学者などに活用いただいています。
②TKC全国会が掲げる「戦略目標2021」の達成に向けた営業活動の実施
1)「TKCモニタリング情報サービス」の推進
「TKCモニタリング情報サービス」は、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。開示のタイミングは、月次試算表の場合は月次決算終了直後、年度決算書および税務申告書の場合は税務署に対して電子申告した直後です。
また、当社は「TKCモニタリング情報サービス」の推進と同時に、金融機関に対して中小企業の決算書の信頼性は以下の3帳表で確認できることを訴求しました。
ⅰ.TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」
ⅱ.会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性を株式会社TKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」
ⅲ.日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」
こうした活動の結果、当サービスを採用する金融機関は急速に増加し、令和3年12月末日現在で、全国全ての地方銀行(64行)を含む470金融機関に採用されています。また、令和3年12月末日にはTKC全国会の戦略目標2021で掲げた目標である同サービス利用件数28万件を大きく上回り、29万件超を達成しました。
コロナ禍において中小企業の過剰債務問題が顕在化し始めている中、「TKCモニタリング情報サービス」は、月次試算表、年度決算書、税務申告書を迅速に提供される点において、中小企業の経営支援に取り組んでいる金融機関と信用保証協会から高く評価されています。当サービスは、中小企業の経営支援において、金融機関とTKC会員の架け橋となることが期待されています。
2)TKC方式の自計化の推進(「FXシリーズ」の推進)
当期も、多くの中小企業が政府系金融機関および民間金融機関において実質無利子・無担保融資の返済に備える必要があることに着目し、引き続き「FXシリーズ」に搭載している「経営戦略レベル」の機能(予算登録、部門別管理、資金繰り実績表)の活用を支援しました。また、経営者がこれらの機能を有効に活用するためには、適時・正確な会計取引の入力が必要となるため、「日常業務レベル」の機能として、インターネットバンキングから取引明細を受信して仕訳に変換する「銀行信販データ受信機能」の活用や、「戦略給与情報システム(PX2)」との給与仕訳の連携などを支援しています。
また、クラウド型の財務会計システムである「FXクラウドシリーズ」では、経営者が高い頻度でシステムにアクセスし業績を確認する傾向があります。経営者自身のパソコンからアクセスできるクラウドのメリットが生かされています。当社は、「FXクラウドシリーズ」の導入支援を通じて中小企業の「黒字決算」と「適正申告」を支援します。
こうした活動の結果、令和3年12月末現在でFXシリーズの導入件数は29万社を突破しました。
3)電子帳簿保存法への完全対応支援
令和4年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法では、電子帳簿の保存要件が緩和されています。これにより、国税関係帳簿の電磁的記録である「電子帳簿」は、①過去の仕訳データの加除訂正履歴(トレーサビリティ)を残している「優良な電子帳簿」(改正電子帳簿保存法の施行規則第2条及び第5条の要件を満たす電子帳簿)と、②帳簿の加除訂正履歴を保存しない会計ソフトで作成した「その他の電子帳簿」(改正電子帳簿保存法の施行規則第2条の要件だけを満たす電子帳簿)に区別されることになりました。「その他の電子帳簿」が認められたことは、「帳簿の証拠力」を消滅させる法改正であり、帳簿を改ざんできる会計ソフトの利用を国が認めたことになります。当社はこの問題に対処するため、「優良な電子帳簿」を作成する「FXシリーズ」の全国規模での導入を支援しています。
また、改正電子帳簿保存法では電子取引データの電子保存の義務化への対応も求められています。令和5年12月まで紙での保存も宥恕されていますが、全ての事業者が2年以内にその対応を迫られることとなります。「FXシリーズ」は令和4年1月に電子取引データを電子保存できる機能を標準搭載しました。
4)インボイス制度への完全対応支援
令和5年10月1日にインボイス制度が開始されます。課税事業者においては、適用開始までの期間で、適格請求書発行事業者の登録申請、適格請求書の発行への対応、適格請求書からの仕訳計上方法の学習等の準備を進める必要があります。このような対応の支援を会計事務所が中小企業にスムーズに行えるよう、オンデマンド研修の整備や資料の提供等を進めています。
5)会員導入(TKC全国会への入会促進)
TKC全国会では、令和3年12月末日までにTKC会員事務所を1万超とする運動に取り組んでいました。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会などと密接に連携し、Webセミナーを積極的に開催するなど会員導入活動を展開しました。
この結果として令和3年12月末日現在のTKC会員事務所数は9,800事務所、(会員数は1万1,500名)となっています。なお事務所数と会員数に違いがあるのは、1事務所に複数会員が所属する場合があるためです。
(2)「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動
①「中小会計要領」の普及のための支援活動
TKC全国会では、中小企業である関与先企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)を推奨しています。
中小会計要領は、ⅰ.自社の経営状況の把握に役立つ会計、ⅱ.利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計、ⅲ.会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計、ⅳ.中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って制定されています。
当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材などの整備と他の中小企業支援団体との連携に継続して取り組んでいます。
②「記帳適時性証明書」の発行
当社では、TKC会員が当社の会計システムを利用する際に当社データセンターに自動的に保存される処理履歴データと過去の時系列データを活用し、金融機関などの第三者が客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定する資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。
このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたものでありTKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを当社が第三者として証明するものです。
令和5年1月からTKCシステムで会計処理と税務申告処理を行い、記帳適時性証明書(個人事業者用)が発行された個人事業者を対象として、青色申告決算書等を金融機関に提出できるように機能強化いたしました。さらなる金融機関との連携強化を支援します。
(3)大企業市場への展開
当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンス向上と合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。
①グループ通算制度への対応
当社は、これまで資本金1億円超の大企業の電子申告義務化への対応を積極的に支援してまいりました。それにより、令和3年12月末日現在で約2万2,000社あるといわれる資本金1億円超の企業の約36%において「法人電子申告システム(ASP1000R)」「連結納税システム(eConsoliTax)」をご利用いただいております。
また、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から連結納税制度が見直され、グループ通算制度が適用されることになりました。グループ通算制度では法人税等の申告について電子申告が義務化されます。
当社ではこれまで培ったノウハウを生かし、グループ通算制度に対応する「グループ通算申告システム」を開発すると共に、グループ通算制度を選択適用される企業グループが円滑に対応できるように、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(令和3年12月末日現在の会員数は1,524名)と連携した支援をしています。
②改正電子帳簿保存法、消費税インボイス制度への対応
令和4年1月から施行された改正電子帳簿保存法では、電子帳簿の保存要件が緩和されると共に電子取引データの電子保存が義務化されました。さらに、令和5年10月から消費税インボイス制度が開始されます。これらの法改正への対応を支援するため「インボイス・マネジャー」を令和4年1月から提供開始しました。
③海外子会社の業績管理支援
海外に展開している企業は、コロナウイルスの感染拡大で海外渡航が制限されているため、海外子会社の業績管理とガバナンスの確保に課題を抱えています。当社が提供する「海外ビジネスモニター(OBMonitor)」は、海外子会社の財務データを日本にいながら確認できるクラウドサービスであるため、このような課題を抱えている企業での採用が増加しています。OBMonitorのユーザー数は1,200社となり、世界37カ国で活用されています。
こうした活動の結果、「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和3年12月末日現在で約4,864企業グループとなりました。それにより当社のシステムは日本の上場企業の売上高トップ100社のうち91%の企業で採用されています。また、日本の上場企業における市場シェアは41%となりました。
(4)法律情報データベースの市場拡大
①「TKCローライブラリー」の利用拡大
法律事務所や企業法務部門をはじめとするTKCローライブラリーの顧客の多くが、コロナウイルスの影響を受け、オンラインで業務を遂行するようになりました。これにより、資料室や図書館などを利用した調査ができない状況が生まれており、法令・判例・文献情報に加え、主要法律専門誌の記事をいつでもどこでも利用できるTKCローライブラリーの評価が高まっています。その結果として、利用者数やコンテンツ追加の契約が増加しました。
また、令和3年6月には、TKCローライブラリーの新たなオプションサービスとして、法律、会計、税務、経営等の専門書籍をPDFで閲覧できるサービス「Legal Book Search」の提供を開始しました。このサービスは、弁護士が書籍情報を無償で検索し、PDF化された書籍をタブレットやパソコンで閲覧(有償)できる定額制のサービスです。
当第1四半期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部などへのオンライン提案活動の結果、ユーザー数は5万6,000IDを超え、令和3年12月末日現在で2万3,000超の諸機関で利用されています。
②アカデミック市場における展開
令和3年10月以降もコロナウイルスの影響で多くの大学・法科大学院は、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型もしくは完全オンライン型の授業を実施しています。当社が提供する「TKC教育研究支援システム」「TKCローライブラリー」などのシステムは、いつでもどこでもオンラインで利用でき、他社をしのぐ多様かつ多数のコンテンツの収録、レポートや演習、テスト機能が搭載されています。これらの特長が教員、学生のオンライン授業および学習を支えるものとして再評価されています。現在も、各大学と随時Web会議を実施し、大学の実情に応じたオンラインによる学習環境整備の支援を継続しています。
また、大学の法学部を中心に提供しているオンライン学習ツール(公務員試験、ビジネス実務法務検定、法学検定試験)は、令和3年12月末日現在で26校が利用しています。現在、多くの資格試験がCBT/IBT方式によるコンピューター利用試験を採用しています。そのため、オンラインテスト機能などコンピューター試験対策としても有効な当社のオンライン学習ツールの活用を、資格試験の実施団体や受験生に訴求してまいります。
4.地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績
地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。
(1)基幹系サービスの開発・提供
当社は、地方公共団体(主に市区町村)に対して、「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは基幹系業務と内部情報系業務を支援する「TASKクラウドサービス」と、納税通知書などの大量一括出力処理を支援する「TASKアウトソーシングサービス」から構成するクラウドサービスです。
当社の「TASKクラウドサービス」は、当社データセンターを運用拠点とした単一バージョンのパッケージシステムでありながら、複数団体による共同利用を前提に設計しています。また、サービス利用料金は、団体規模に応じた定額のサブスクリプション方式を採用しており、この利用料金の範囲内で、年1回の定期バージョンアップを実施しています。こうした点が評価され「TASKクラウドサービス」は、令和3年12月末日現在で約170団体に採用されています。
当期においては、これらの団体に対し新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)に係るシステムを迅速に提供し、顧客市区町村のワクチン接種事業を積極的に支援しました。
(2)行政サービス・デジタル化への対応
当社では、自治体DX推進に貢献すべく〈来させない・待たせない・書かせない〉窓口サービスの実現を支援する「行政サービス・デジタル化支援ソリューション」を提供しています。
当期においては、「TASKクラウドかんたん窓口システム」や「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」、「TASKクラウドスマート申請システム」について、大幅な機能強化を行いました。
また、これらのサービスについて積極的な提案に取り組んだ結果、令和3年12月末日現在において「TASKクラウド スマート申請システム」は大阪市様、横浜市様、堺市様など政令指定都市を含む約20団体に、「TASKクラウド かんたん窓口システム」は約30団体に、「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」は約100団体に、それぞれ採用されています。
(3)地方税税務手続きのデジタル化への対応
地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)の審査システムなどの標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として各市町村の税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。
本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を結ぶ50社のパートナー企業と共に提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和3年12月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる約780団体に採用されています。
当期においては、当社独自のサービスであるデータ連携サービスの機能強化に取り組むほか、パートナー企業と共に積極的な提案活動および導入支援に取り組みました。
(4)地方公会計の統一的な基準への対応
当社では、国が推奨する日々仕訳方式に対応した財務会計システムと一体的な地方公会計システムである「TASKクラウド公会計システム」と、その関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。
令和2年3月に総務省が公表した『地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)報告書』には、次のような記載があります。〈財務会計システムと一体的な地方公会計システムを導入し、あらかじめ予算科目と勘定科目の紐付けを行うことや、予算執行時に自動的に仕訳変換をする仕組みを構築することにより、日々仕訳の円滑な導入や期末一括仕訳における確認作業の軽減も可能になると考えられる。また、公有財産台帳と固定資産台帳のデータを連携・統合することにより、各台帳への登録業務を効率化することが可能になると考えられる〉
こうした国の方針を踏まえ、当社ではシステム更新などのタイミングで国が推奨する日々仕訳方式に対応した公会計システムとして「TASKクラウド公会計システム」の導入を提案しています。
当期においては、〈正確な財政状況の見える化〉や〈会計情報の活用〉など持続可能な行政経営の実現を支援する機能を拡充した次世代版公会計システムの提供を開始しました。
その結果、地方公会計システムは令和3年12月末日現在で約290団体に採用されています。
(5)次世代製品の研究・開発
コロナウイルスの感染拡大を機に行政分野でのデジタル化・オンライン化の遅れが顕著となりました。こうした状況を踏まえ、政府は『経済財政運営と改革の基本方針2020』(令和2年7月閣議決定)において、デジタル・ガバメントの構築を“一丁目一番地”の最優先課題と位置付け、行政手続きのオンライン化やワンストップ・ワンスオンリー化などデジタル化の取り組みを加速しています。また、令和2年12月25日に総務省から『自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画』が公表され、令和3年5月12日にはデジタル改革関連の6法が成立しました。これにより、全国の市区町村は令和8年3月末までに「情報システムの標準化・共通化」に対応することが求められています。
当社では、こうした顧客を取り巻く環境変化に対応するため、令和3年11月1日付で自治体DX推進本部を新設し、新製品・サービスの企画、開発を一段と加速するとともに、最新情報の収集・発信など顧客サポートの強化に努めています。
また当期においては、デジタル庁の「ガバメントクラウド先行事業」に当社顧客(埼玉県美里町、川島町)の共同提案が採択され、当社はアプリケーション開発事業者として両町とともに当事業への取り組みを開始しました。また、〈行政サービス・デジタル化〉を支援するため先進団体との実証事業などを通じて次世代ソリューションの調査・研究、開発にも継続して取り組みました。
5.印刷事業部門の営業活動と経営成績
当社グループの印刷事業部門は、データ・プリント・サービス(以下、DPS)事業、ビジネスフォーム印刷事業および商業美術印刷事業を基軸に事業を展開しています。
当第1四半期においては、特に、市区町村から衆議院議員選挙入場券、ワクチン接種事業におけるワクチン接種券、子育て世帯臨時特別給付金通知の印刷業務を受注したことにより、売上高は前年に比べて増加しました。
DPS分野では、市区町村における住民への通知業務や、民間企業におけるダイレクトメール発送業務等を支援するため、独自の圧着技術によって封入・封緘作業を不要とする製品や、可変印刷・印字の技術を用いた印刷製品を提供しています。
ビジネスフォーム印刷分野では、ペーパーレス化の進展とコロナウイルス感染拡大の影響により、ビジネス帳票の需要が減少し、売上高は前年に比べて減少しました。
商業美術印刷分野(カタログ、書籍等)では、コロナウイルス感染拡大の影響により、イベントなどの中止や延期が続き、Webによるセミナー等の開催が増加したことにより受注が減少しました。一方で改正電子帳簿保存法の制度改正、インボイス制度への対応を解説する書籍等の印刷業務を受注したことにより、売上高は前年に比べて増加しました。
Ⅱ.連結財政状態に関する定性的情報
1.資産の部について
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、98,860百万円となり、前連結会計年度末103,406百万円と比較して4,546百万円減少しました。
(1)流動資産
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、32,979百万円となり、前連結会計年度末36,107百万円と比較して3,128百万円減少しました。
その主な理由は、現金及び預金が2,508百万円減少したことによります。
(2)固定資産
当第1四半期連結会計期間末における固定資産は、65,880百万円となり、前連結会計年度末67,298百万円と比較して、1,417百万円減少しました。
その主な理由は、その他に含まれる長期繰延税金資産が919百万円減少したことによります。
2.負債の部について
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、16,450百万円となり、前連結会計年度末19,990百万円と比較して3,539百万円減少しました。
(1)流動負債
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、11,158百万円となり、前連結会計年度末14,721百万円と比較して、3,563百万円減少しました。
その主な理由は、その他に含まれる預り金が1,171百万円増加したものの、賞与引当金が2,582百万円、未払法人税等が2,104百万円減少したことによります。
(2)固定負債
当第1四半期連結会計期間末における固定負債は、5,292百万円となり、前連結会計年度末5,268百万円と比較して、23百万円増加しました。
その主な理由は、退職給付に係る負債が22百万円増加したことによります。
3.純資産の部について
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、82,409百万円となり、前連結会計年度末83,416百万円と比較して1,006百万円減少しました。
その主な理由は、自己株式が1,033百万円増加したことによります。
なお、当第1四半期連結会計期間末における自己資本比率は、83.4%となり、前連結会計年度末80.7%と比較して2.7ポイント増加しました。
Ⅲ 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
Ⅳ 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費はありません。
また、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。