第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 決算期統一に伴い連結対象期間を変更しており、前連結会計年度と当連結会計年度は、次のとおりです。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

連結対象期間の増減

単体

H28.1.1~H28.12.31:12ヶ月

H29.1.1~H29.12.31:12ヶ月

増減無し

国内連結子会社

H28.1.1~H28.12.31:12ヶ月

H29.1.1~H29.12.31:12ヶ月

増減無し

海外連結子会社

H27.10.1~H28.12.31:15ヶ月

H29.1.1~H29.12.31:12ヶ月

3ヶ月減少

 

 

<当連結会計年度の経営成績>
 当社グループを取り巻く経営環境は、平成27年から低迷が続いた原油・鉱物資源市場で平成29年はやや資源価格が持ち直したものの、資源関連企業の慎重な支出抑制策の継続等から、期待したほどの明瞭な回復は見られませんでした。ただし、世界経済の回復に伴い資源需要も回復傾向にあり、またOPEC加盟国等の減産継続に伴う石油在庫減少への好感から、期の後半より徐々に市場回復の兆しが現れつつあります。国内においては、建設工事の品質・瑕疵問題や地質に起因する事故等の報道を受けた地質リスクに対する社会的な関心の高まりや、『i-Construction』等情報通信技術(ICT)を活用した建設システムの生産性向上に関わる国の政策、さらには、公共事業における防災・減災分野や維持管理分野への重点配分等、当社グループの市場機会に繋がる様々な好状況が生まれつつあります。一方、建設投資型の公共事業の縮小や、インフラ維持・管理市場における競争の激化等、当社グループの従来の主力分野における市場環境は、一層の厳しさを増しております。

このような状況の下、当社グループは、中期経営計画OYO Step14の最終年となる当期は、国内において公共事業に依存した従来の営業体質を社会課題解決型・ビジネス創出型に導くべく、組織再編と事業転換を進め、多様化する社会ニーズに対応した新サービスの開発、人口知能(AI)やクラウドを活用した新たなビジネス基盤の設計、さらにはCIM(Construction Information Modelling)等次世代の建設生産システムに向けた三次元物理探査技術の研究等に取り組みました。海外においては、石油・探鉱市場の営業エリアの拡大、維持管理分野への新商品の展開、ソリューション型の新たな地震計システムの販売等に取り組みました。

その結果、当社グループの当連結会計年度は、受注高は458億5百万円(前年同期比90.8%)と前期を下回りました。その主な要因は、前期は国内の大型調査業務がグループ全体の受注額を押し上げましたが、当期はその大型調査業務分を十分に補いきれなかったこと、また、決算期の統一に伴い、海外グループ会社の前期の連結対象期間が15ヶ月であったことによります。売上高は、海外グループ会社の前期連結対象期間が15ヶ月であったことに加え、前期に比べ期初の受注残高が少なく、かつ前期にあった大型受注による年内売上分が当期は無かったことから、459億5千7百万円(同89.5%)と減収になりました。営業利益は、上記の売上減少に加え、人件費の増加等により、販売費及び一般管理費の削減幅が小さかったことから、8億5千5百万円(同54.2%)と減益となりました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、それぞれ12億2千万円(同60.6%)、7億4千7百万円(同54.1%)と減益になっております。

 

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

①  調査・コンサルティング事業

受注高は、洋上風力発電等再生可能エネルギー分野や維持管理分野等で好調に推移したものの、前期にあった大型業務が当期は無く、その分を補いきれなかったこと、また、海外の海洋石油探査市場の回復の遅れにより、前期に続き海外グループ会社の受注が低迷したことから、348億7千8百万円(前年同期比90.7%)となりました。売上高は、前期にあった国内の大型受注による年内売上分が当期は無かったこと、また海外グループ会社の前期連結対象期間が15ヶ月であったこと等から、353億9千3百万円(同90.1%)となりました。営業利益については、国内の売上高の減少に加え、海外グループの海洋探査事業で売上が低迷し、営業損失を計上したこと、また、国内においても天候悪化に伴う待機コストの増大や、前述した人件費の増加等により、8億3千5百万円(同47.9%)となりました。

②  計測機器事業(国内)

受注高は、地質調査市場の縮小に伴い関連製品需要は減少しつつあるものの、維持管理分野等で堅調に受注が推移した結果、30億1千2百万円(前年同期比111.8%)となりました。売上高は、一部の受注生産品の納期が来期以降となり、当期に売上計上されないことから、27億6千7百万円(同95.1%)となりました。営業利益は、7千2百万円(同51.4%)と減益となりました。

③  計測機器事業(海外)

受注高は、維持管理市場で好調に推移したものの、探鉱市場の回復の遅れや、決算期統一に伴い海外連結子会社の連結対象期間が前期の15ヶ月から12ヶ月に短縮したことにより、受注高は79億1千4百万円(前年同期比85.0%)となりました。売上高も、受注高の減少に伴い、77億9千5百万円(同85.5%)と減収となりました。損益は、5千4百万円の営業損失(前年同期は3億5千3百万円の営業損失)となりました。 

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ21億7千3百万円増加(前年同期は68億1千9百万円の資金減)し、204億7千7百万円(前年同期比111.9%)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は39億2千7百万円(前年同期は13億2千1百万円の資金減)となりました。

これは主に、売上債権の減少36億1千2百万円(同65億5百万円の資金減)等の資金の増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は4億4千万円(前年同期比10.9%)となりました。

これは主に、定期預金の払戻による収入46億3千2百万円(前年同期は7百万円の資産増)や有価証券の売却による収入11億9千9百万円(前年同期比79.9%)等の資金の増加要因があった一方で、定期預金の預入による支出56億9百万円(同157.9%)や、有形及び無形固定資産の取得による支出10億7千1百万円(同137.0%)等の資金の減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は11億6千3百万円(前年同期比125.3%)となりました。

これは主に、配当金の支払額10億3千6百万円(同135.7%)等の資金の減少要因があったことによるものであります。

 

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

 

平成25年
12月期

平成26年
12月期

平成27年
12月期

平成28年
12月期

平成29年
12月期

自己資本比率(%)

80.1

81.2

81.9

80.1

80.9

時価ベースの自己資本比率(%)

58.0

62.2

44.3

44.4

46.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

0.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

270.9

434.0

207.8

686.0

 

※  自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注) 1  各指標は、いずれも連結ベースの財務数値によって算出しております。

2  株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3  キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

4  平成28年12月期のインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載を省略しております。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成29年1月1日

至  平成29年12月31日)

前年同期比(%)

調査・コンサルティング事業

(百万円)

35,393

90.1

計測機器事業(国内)

(百万円)

2,767

95.1

計測機器事業(海外)

(百万円)

7,795

85.5

合計

(百万円)

45,957

89.5

 

(注) 1  金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

調査・コンサルティング事業

34,878

90.7

14,408

96.5

計測機器事業(国内)

3,012

111.8

526

187.5

計測機器事業(海外)

7,914

85.0

1,732

107.4

合計

45,805

90.8

16,667

99.1

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成29年1月1日

至  平成29年12月31日)

前年同期比(%)

調査・コンサルティング事業

(百万円)

35,393

90.1

計測機器事業(国内)

(百万円)

2,767

95.1

計測機器事業(海外)

(百万円)

7,795

85.5

合計

(百万円)

45,957

89.5

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  平成28年1月1日

至  平成28年12月31日)

当連結会計年度

(自  平成29年1月1日

至  平成29年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

国土交通省

6,850

13.3

4,486

9.8

 

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 当社グループを取り巻く経営環境

日本国内では、少子高齢化と慢性的な人手不足を背景に、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)を活用した生産性を高める各種システムへの需要が高まっています。また、観光立国をめざす国の政策に後押しされ、観光地を中心とした再開発事業や交通インフラの整備に引き続き高い需要が見込まれます。エネルギー分野では、成長市場と言われる再生可能エネルギーの中でも、特に地熱発電と洋上風力発電で市場が活性化しています。一方、公共事業分野においては、建設投資型予算の縮小から全体としての伸びは期待できませんが、昨今は災害復旧事業や既存ストックの維持管理事業へ予算が重点的に配分される傾向にあり、中でも既存ストックの維持管理については急速に市場が成長しつつあります。

海外においては、世界経済の回復に伴う資源需要の伸びや石油在庫の減少など、探鉱市場に一定の回復の兆しが見られますが、米国シェールオイルの増産による原油価格の下振れなど、市場好転の見通しにはやや不安定な要素もあります。維持管理分野は、日本を含む先進国のみならずアジアを中心とした新興国においても、今後、さらに市場の拡大が見込まれています。

 

② 経営方針

当社は、激変する社会情勢の中で、世界の潮流とグローバル化する日本の変化を概観し、当社グループが平成32年(2020年)に向けて目指すべきビジョンとビジョン達成のための基本方針を明らかにした「応用地質グループ長期経営ビジョンOYO 2020」を策定しています。OYO 2020は活動期間を「計画:助走」「試行:Hop」「展開:Step」「飛躍:Jump」の4期に区分しており、当連結会計年度は3期目「OYO Step14(2014年~2017年)」の最終年になります。OYO 2020は、公共事業に寄り添った過去の成功体験(高度成長時代に構築した従来型事業)から脱却し、事業スタイルを転換することにより事業を拡大することを目指しています。

 

③ 対処すべき課題

OYO Step14では、縮小する従来型事業と事業スタイルを転換した新たな事業との入替えに積極的に取り組みました。その結果、事業の転換と入替えは着実に進んでおりますが、依然として大きなボリュームを持つ従来型事業が並存した状態であり、この従来型事業の市場の縮小と競争の激化、さらには、海外での急激な市場環境の悪化等により、収益構造の改善に向けては今なお踊り場が継続しております。今後、従来事業との入替えを加速し、新たな事業スタイルへ早期に転換することが、現状の踊り場を脱却し、OYO2020の目指す事業拡大に繋がる最善策です。また、急激な社会変化への対応の遅れは、企業の社会的信頼を失墜させる不祥事に繋がるリスクとなる可能性があり、変化に柔軟に対応する組織づくり、経営基盤の更なる強化も喫緊の課題と認識しております。

 

④ 『中期経営計画OYO Jump18(2018年~2020年)』

新たな中期経営計画「OYO Jump18」では、前項での課題認識を踏まえた上で、OYO Step14で得られた成果を拡大し、当社グループの持続的な成長に向けて事業の拡大と経営基盤の更なる強化に取り組みます。

 

1)事業セグメントの再定義

・OYO Step14で展開してきた4つの領域を新たな事業セグメントへ再定義

・4つの領域で事業を拡大し、“OYOブランド”を確立

a)インフラ・メンテナンス事業
b)防災・減災事業
c)環境事業
d)資源・エネルギー事業
 

 

2)新たな市場を創出し、事業を拡大していくための開発投資の強化

・研究開発センターの強化、完成
・地盤三次元化技術の確立で新たな価値を創造し、市場を開拓
・情報通信技術(ICT)のさらなる活用による新サービス・商品の開発
・グループ内外の企業との連携、国内外の大学との連携・共同開発(研究員留学、寄附講座)を継続・強化

 

3)グローバル戦略

・全事業セグメントでの市場のグローバル化
・M&Aによるグローバル事業展開戦略
・情報通信技術(ICT)を活用したソリューション/システムの海外市場への展開
 

4)コーポレート・ガバナンスの強化

・変化する社会状況に対応するリスク対策の強化、グループガバナンスの徹底
・働きやすい職場環境の更なる整備(社員のQOL向上、ワーク・ライフ・バランスからワーク・ライフ・シナジー 
 へ)
・CSRの取組み強化(持続可能な開発目標SDGsに関連する事業の拡大、コンソーシアムを活用した新技術の普及活
 動推進
 

5) 目標とする経営指標

OYO Jump18では、最終年である2020年12月期における業績目標を、連結売上高650億円、連結営業利益率10%、自己資本利益率(ROE)6%以上としております。
 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす主要なリスクは以下のようなものがあります。

当社グループにはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、可能な限り発生の防止に努め、また発生した場合の的確な対応に努めていく方針であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)公共セクターからの受注構成比が高いことに関するリスク

当社グループの売上の約3/4を占める国内における調査・コンサルティング事業は、事業領域の拡大を進めておりますが、公共事業領域は依然として当社の主要市場の一つであり、国及び地方公共団体等は主要顧客になります。国及び地方公共団体等の財政状況の悪化や事業量の縮小に伴う発注量の減少、調達方式の変更などにより、当社グループの営業成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替変動に関するリスク

当社グループの売上の約1/4を占める計測機器事業は、主に北米地区を拠点とし、ドル建てで取引しているため為替変動により財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

(3) 災害等による生産活動の阻害に関するリスク

当社グループの調査・コンサルティング事業並びに計測機器事業は、天災、火災等の不測の災害に見舞われた場合には、生産設備やデータの損傷・喪失により、生産能力の低下と業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 国際紛争・テロ行為に関するリスク

当社グループにおける調査・コンサルティング事業の海外事業は、新興国や途上国における社会資本整備事業、開発事業を主体に実施しておりますが、これらの国では、国際紛争やテロ行為が発生する場合があり、紛争活動や武装行為に巻き込まれた場合には、事業の中止もしくは停止など、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 知的財産等に関するリスク

当社グループの調査・コンサルティング事業並びに計測機器事業は、専門技術を用いた事業であり、知的所有権などの損害賠償を提訴される可能性があります。

 

(6) ITシステムのセキュリティー管理に関するリスク

当社グループの各企業は、ITシステムを活用した業務処理並びに情報管理を行っていますが、コンピューターウイルスや悪意ある第三者の不正侵入により、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 法的規制に関するリスク

当社グループは、会社法、金融商品取引法、税法、労働法、独占禁止法及び建設業法等の法規制を始め、品質に関する基準、環境に関する基準、会計基準等、事業展開している国内外のさまざまな法規制の適用を受けており、社会情勢の変化等により、将来において、改正や新たな法的規制が設けられる可能性があります。その場合には当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが直接的または間接的に関係する取引の一部が法規制等に違反していると規制当局が判断した場合には、当社グループが課徴金等の行政処分を受けたり、社会的な信用や評価が影響を受ける可能性があります。

 

(8) 保有資産の減損リスク

当社グループは、長期的な取引関係の維持などを目的として有価証券を保有しており、保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、当該企業の財政状態の悪化等があった場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、地価の下落等があった場合、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 繰延税金資産に関するリスク

繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しています。将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合、あるいは制度面の変更等があった場合には繰延税金資産が減少し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、地震災害、斜面災害などに対する防災や減災、社会インフラの維持管理、地球環境保全などの問題に対して、最適なソリューションを提供するための技術及び製品の研究開発を進めております。

研究開発を推し進める組織体系としては、本社情報技術企画室、技術本部研究開発センター、計測システム事業部、エネルギー事業部、社会システム事業部、地球環境事業部、維持管理事業部、砂防・防災事業部が主となり、各支社及びグループ会社の連携のもとに、研究開発及び市場展開を行っております。また、研究開発を効率的に推進するため、外部機関の優れた技術の活用を図ることに積極的に取り組み、公的研究機関、大学、民間企業との共同研究を進めるとともに、大学への寄付講座の設定、並びに、研究員の派遣も行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は、16億5千4百万円でありました。研究開発の主な内容は次のとおりであります。

 

(1) 調査・コンサルティング事業

国が推し進めているi-Constructionや働き方改革などに関わる諸施策、IoT、AI、及び、大量のデータを蓄積するDB(データベース)などの情報技術をベースとする第4次産業革命が、当社グループの研究開発の考え方を大きく変えつつあります。当社もこれらの動きに迅速に対応できるように、研究開発課題の実施項目を設定し、その実施項目に対して集中的に経営資源を投入する形で研究開発を進めているところであります。
 基本的には、当社グループビジョンである「地球科学に関わるグローバルな総合専門企業グループ」として、私たちが暮らしている地球上で発生する様々な自然災害による被害の軽減のために、グループ会社の総力を挙げて取り組んでおります。その究極の目標は、地球がもたらすさまざまなリスク(地質リスク)を正しく認識し、そのリスクを専門家以外の方々からの理解も得て、社会全体で共有できる技術を提供することと考えております。そして、平成29年度においては、下記の2つの事項を優先課題として研究開発に取り組んできました。
  ①地盤の3次元可視化に関わる地盤調査技術の開発と既保有技術との体系化
  ②地盤情報のICTプラットフォームの整備

 

①  地盤の3次元可視化に関わる地盤調査技術の開発と既保有技術との体系化

当社は、各種地盤調査技術を保有しております。そのうち、物理探査技術は地盤の状況を広範囲に把握できるところに特徴があります。世界的には、3次元の物理探査技術は、石油資源探査などの分野では既に実用化されているものではありますが、それを日本の国土に適用し、土木事業を進めるための調査技術として適用していくためには、コストの低減や操作性の向上など、様々な工夫、改良が必要です。
 そこでまずは、当社が保有する地中レーダー、電気探査法、表面波探査法の3次元化の実用化に取り組みました。インフラストラクチャ―の構築や都市部での再開発などに必要な地盤状況を把握することに特化し、地表から概ね30mまでの浅い深度の地盤で利用する3次元探査技術の開発を行っております。これらの物理探査に必要な機器類は全て海外グループ会社製のものですが、昨今の電子技術の発展により、GPSの標準装備化、取得した観測データのワイヤレス伝送化、そして、インターネットに接続することで解析作業をクラウド上で実施することができるシステム化を図っております。また、得られた解析結果は、3次元の地盤モデルの構築に反映できるようにし、国が推進しようとしている土木事業におけるCIM(Construction Information Modeling)に組み込むことを検討しております。

 

このように土木事業の中に物理探査技術を組み込むことで、単に3次元物理探査が可能な機器の販売や調査サービスの提供という事業展開に止まるのではなく、「機器」と「サービス」を融合させた新たな事業を展開することを目指しております。平成29年度においては、調査・解析技術の実用化には目途をつけることができました。今後の課題は、専門家以外の方々でも誰もが皆、その解析結果をわかりやすく理解することのできる表現技術の提供とリーズナブルなコスト設定ができるように検討を行うことです。

 

② 地盤情報のICTプラットフォームの整備

当社グループが保有する地盤に関わる様々な知見、多くの地盤データ、観測データ、調査データを蓄積したDBを骨格とするICTプラットフォームの整備に取り組みました。創業以来蓄積してきた地盤に関わる情報や知見をDB上に蓄積し、そのDBを利用してコンサルティングサービスや機器販売事業に新たな付加価値を加え、既存事業の拡大と新たなサービス展開を目指すものです。
 今後、当社グループ会社製の計測機器で計測されるデータ、当社のコアラボ試験センターで実施した室内試験結果、各支社、事業部で実施した地盤調査結果がこのDBに蓄積されるよう体系化することを目指しております。そして、様々なアプリケーションソフトウェアを充実させて、DB上のデータを活用した国土保全マネジメント、自然災害リスクコンサルティングサービス、インフラストラクチャ―の維持管理サービスなどを展開することを考えております。

 

(2) 計測機器事業(国内)

国内における計測機器事業は、応用地質株式会社の計測システム事業部が主管しているモニタリング機器や原位置試験機の製造、販売、応用地震計測株式会社が主管している地震計の製造、販売、そして、応用計測サービス株式会社が主管している原位置試験の製造、販売と地盤調査機全般に関わるレンタル事業の3つの柱から構築されております。
 IoT化の進展により、モニタリング機器及び原位置試験機は、インターネット接続可能なものにするように順次改良を加えております。

応用地質株式会社が提供するモニタリング機器(i-SENSOR2)は、全てインターネットに接続可能であり、グループ会社のOYOリソースマネージメント株式会社が運営するクラウドデータサーバにデータを伝送することで、データ蓄積と図化、表示サービスを提供することが可能なものになっております。その他、新しい電気探査装置としてMcOHM Profiler-8iの開発が終了し、販売を開始いたしました。現場測定の効率化を図るために、マルチチャンネル化した電気探査装置です。製品には市販のタブレットPCをベースにしたコントローラを組み込むなど、製造上の工夫も行うことで、開発の短縮化、開発コストの抑制を図りました。

応用地震計測株式会社の製造販売している小型地震計(EPDP)は、建物に設置することで精度の高い揺れの大きさを計測し、建物の損傷度の迅速把握など“地震時に役立つ地震情報”を配信する地震情報配信システムを開発しております。当システムもOYOリソースマネージメント株式会社が提供するクラウドサーバに接続することで、同社の広域地盤情報WEB-GISシステム「ReportMAP」と組み合わせ、地震情報に加えて多彩な情報提供が可能となります。また、これまで1000mクラスの大深度観測用として特注作成していた孔中地震計の標準化に着手いたしました。センサとしては加速度計の他に速度計も組み込める拡張性を持ち、運搬時の扱いやすさ、及び、現地での作業効率を考慮し、組み立て時間を短縮できる構造になっております。当技術は他の孔中地震計へもフィードバックし、製品群の高付加価値化を図る予定です。本装置は重要施設における地震時の地盤の増幅度特性の掌握や地震発生機構の研究等の基礎データとして利活用が期待されます。

応用計測サービス株式会社では、平成29年に自走式ミニラムの開発と多目的透水試験装置の改造を開始いたしました。従前のミニラムは、貫入装置、ポンプユニット、コントロールユニット、引抜装置から構成されていました。そのため、多地点での貫入試験時には多くの労力と時間を要し、また、貫入装置の設置においては人力で立てた後、サポーターで固定する構造となっていたため、危険性の高い作業となっていました。そこで、上記装置を小型キャタピラーに一体化させ、作業効率と安全性を高めた自走式ミニラムを開発し、平成29年6月より販売とレンタルを開始いたしました。多目的透水試験装置は、平成15年に開発し、販売とレンタルを開始した装置です。長きに亘って使用されている顧客の声を本装置に生かし、流量と圧力コントロールの精度を高めた装置の開発を行っております。平成29年11月にプロトタイプを開発し、平成30年中にレンタル品の改造と販売を目指しております。

 

 

(3) 計測機器事業(海外)

①  地震観測・監視装置

KINEMETRICS,INC.(米国)は、地震観測機器の専門メーカーとして、地震計や地震観測システムの開発・製造・販売を行っております。KINEMETRICS,INC.では、地震観測システムをベースにした地震防災ソリューション事業を展開しており、商業施設やテナントビルのユーザー向け事業継続マネジメントソリューションとして、地震発生時の入居建物の健全性と入居者の避難行動を支援する情報を発信するサービス「OASIS+」の提供を開始いたしました。また、モニタリング機器では消費電力の抑制が重要になることから、低消費電力の地震波形データ収録装置「Q8」の開発を進めております。

 

②  物理探査装置

GEOMETRICS,INC.(米国)は、弾性波探査装置、磁気探査装置及び電磁探査装置の開発・製造・販売を行っております。平成29年には、ワイヤレス弾性波探査装置「Atom」の販売を開始いたしました。また、新たに開発した超小型磁気センサ(MFAM)をドローンに搭載した「MagArrow」の開発を進めております。

GEOPHYSICAL SURVEY SYSTEMS,INC.(米国)は、地下レーダー探査装置において世界トップシェアを占めております。平成29年には、コンクリート検査市場を対象としたStractureScanシリーズのアクセサリとして狭隘部探査用の「PalmXT Antenna」を開発した他、埋設管市場を対象としたUtilityScanシリーズに、従来より安価で小型、軽量、一体型の新製品を加えるなど、既存製品群の充実に取り組んでおります。

ROBERTSON GEOLOGGING LTD.(英国)は、ボーリング孔を利用した検層機の開発、製造、販売を行っております。ROBERTSON GEOLOGGING LTD.は、検層業界の世界的な潮流であるメモリ内蔵型検層機の開発を進めるとともに、次世代検層システムとしてネットワーク機能などを有する新型データ収録装置MICROLOGGER IIIの開発を進めております。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループにおける財政状態及び経営成績の分析は、次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

当社は、この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損、たな卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、退職給付債務及び年金資産の認識、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。当社の経営陣は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的だと考えられる様々な要因に基づき、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2) 経営成績の分析

当連結会計年度の当社グループの経営成績の概要は「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりでありますが、そのポイントは主に次のとおりであります。

①  売上高

売上高は、海外グループ会社の前期連結対象期間が15ヶ月であったことに加え、前期に比べ期初の受注残高が少なく、かつ前期にあった大型受注による年内売上分が当期は無かったことから、459億5千7百万円前年同期比89.5%)と前連結会計年度から53億6千6百万円減少いたしました。

セグメント別の売上の特徴としては、国内市場を主体とする調査・コンサルティング事業が353億9千3百万円(同90.1%)と39億2百万円減少し、計測機器事業(国内)が27億6千7百万円(同95.1%)と1億4千1百万円減少しております。

計測機器事業(海外)は、北米の企業を主体としており、売上高は、77億9千5百万円(同85.5%)と13億2千2百万円の減少となりました。

②  売上総利益

売上総利益は、132億1千3百万円前年同期比92.7%)と前連結会計年度から10億4千4百万円減少いたしました。これは、売上原価率は前連結会計年度に比べ改善したものの、上記のとおり売上高が減少がしたことによります。

③  販売費及び一般管理費、営業利益

販売費及び一般管理費は、123億5千7百万円前年同期比97.5%)と前連結会計年度から3億2千万円減少いたしました。営業利益は、上記売上減少に加え、人件費の増加などにより、販売費及び一般管理費の削減幅が小さかったことから、8億5千5百万円前年同期比54.2%)と前連結会計年度から7億2千3百万円減少いたしました。売上高営業利益率は1.9%となり、前連結会計年度から1.2ポイント減少いたしました。

④  営業外損益、経常利益

営業外損益は、3億6千5百万円の利益となり、前連結会計年度から6千8百万円減少いたしました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ7億9千2百万円減少し、12億2千万円となりました。

⑤  特別損益、税金等調整前当期純利益

特別損益は、2千1百万円の利益となり、前連結会計年度から5千4百万円増加いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ7億3千7百万円減少し、12億4千2百万円となりました。

⑥  法人税等(法人税等調整額を含む)、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度における税金費用は、5億2千9百万円前連結会計年度に比べ1億2千3百万円減少いたしました。また、当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純損失は3千4百万円前年同期は5千4百万円の損失)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7億4千7百万円となり、前連結会計年度に比べ6億3千3百万円減少いたしました。

 

(3) 財政状態の分析

 ① 資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ7億7千8百万円減少し、847億3千1百万円となりました。 

流動資産は、前連結会計年度末に比べ4億7千8百万円減少し、597億6千7百万円となりました。これは主として、完成業務未収入金が37億6千3百万円減少した一方で、有価証券が2億7千8百万円増加し、現金及び預金が24億6千4百万円増加したこと、及び未成業務支出金が4億6千5百万円増加したことによります。 

固定資産は、前連結会計年度末に比べ2億9千9百万円減少し、249億6千3百万円となりました。これは主として、不動産の売却に伴い建物及び構築物(純額)が3億2千8百万円減少し、土地が5億8千5百万円減少した一方で、投資有価証券が5億6千8百万円増加したことによります。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ7億4千2百万円減少し、159億1百万円となりました。これは主として、業務未払金が11億8千9百万円減少し、未払法人税等が3億7千9百万円減少した一方で、未成業務受入金が3億7千8百万円増加し、流動負債のその他が6億3千9百万円増加したことによります。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3千5百万円減少し、688億3千万円となりました。これは主として、その他有価証券評価差額金が5億1千9百万円増加した一方で、土地の売却にともない土地再評価差額金が1億9千7百万円減少し、為替の影響により為替換算調整勘定が3億6千3百万円減少したことによります。 

この結果、自己資本比率は80.9%となりました。

②  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2  事業の状況  1  業績等の概要  (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2  事業の状況  4  事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(5) 経営戦略の現状と見通し

「第2  事業の状況  3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について

「第2  事業の状況  3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。