文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当社グループを取り巻く経営環境
日本国内では、少子高齢化と慢性的な人手不足を背景に、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)を活用した生産性を高める各種システムへの需要が高まっています。また、観光立国をめざす国の政策に後押しされ、観光地を中心とした再開発事業や交通インフラの整備に引き続き高い需要が見込まれます。エネルギー分野では、成長市場と言われる再生可能エネルギーの中でも、特に地熱発電と洋上風力発電で市場が活性化しています。一方、公共事業分野においては、建設投資型予算の縮小から全体としての伸びは期待できませんが、昨今は災害復旧事業や既存ストックの維持管理事業へ予算が重点的に配分される傾向にあり、中でも既存ストックの維持管理については急速に市場が成長しつつあります。
海外においては、世界経済の回復に伴う資源需要の伸びや石油在庫の減少など、探鉱市場に一定の回復の兆しが見られますが、米国シェールオイルの増産による原油価格の下振れなど、市場好転の見通しにはやや不安定な要素もあります。維持管理分野は、日本を含む先進国のみならずアジアを中心とした新興国においても、今後、さらに市場の拡大が見込まれています。
② 経営方針
当社は、激変する社会情勢の中で、世界の潮流とグローバル化する日本の変化を概観し、当社グループが2020年に向けて目指すべきビジョンとビジョン達成のための基本方針を明らかにした「応用地質グループ長期経営ビジョンOYO 2020」を策定しています。OYO 2020は活動期間を「計画:助走」「試行:Hop」「展開:Step」「飛躍:Jump」の4期に区分しており、当連結会計年度は4期目「OYO Jump18(2018年~2020年)」の初年度になります。
OYO 2020は、公共事業に寄り添った過去の成功体験(高度成長時代に構築した従来型事業)から脱却し、事業スタイルを転換することにより事業を拡大することを目指しています。OYO Jump18では、過年度までに取り組んできた挑戦を成果に変え、グループの持続的な成長をめざし、事業の拡大と経営基盤の更なる強化に取り組みます。
③ 対処すべき課題
『中期経営計画OYO Jump18(2018年~2020年)』
中期経営計画「OYO Jump18」では、過年度までに取り組んできた挑戦を成果に変え、グループの持続的な成長をめざし、事業の拡大と経営基盤の更なる強化に取り組みます。
1)4つの領域で事業を拡大し、“OYOブランド”を確立
a)インフラ・メンテナンス事業
b)防災・減災事業
c)環境事業
d)資源・エネルギー事業
2)新たな市場を創出し、事業を拡大していくための開発投資の強化
・研究開発センターの強化、完成
・地盤三次元化技術の確立で新たな価値を創造し、市場を開拓
・情報通信技術(ICT)の更なる活用による新サービス・商品の開発
・グループ内外の企業との連携、国内外の大学との連携・共同開発(研究員留学、寄附講座)を継続・強化
3)グローバル戦略
・全事業セグメントでの市場のグローバル化
・M&Aによるグローバル事業展開戦略
・情報通信技術(ICT)を活用したソリューション/システムの海外市場への展開
4)コーポレート・ガバナンスの強化
・変化する社会状況に対応するリスク対策の強化、グループガバナンスの徹底
・働きやすい職場環境の更なる整備(社員のQOL向上、ワーク・ライフ・バランスからワーク・ライフ・シナジー
へ)
・CSRの取組み強化(持続可能な開発目標SDGsに関連する事業の拡大、コンソーシアムを活用した新技術の普及活
動推進
当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす主要なリスクは以下のようなものがあります。
当社グループにはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、可能な限り発生の防止に努め、また発生した場合の的確な対応に努めていく方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの各事業は、事業領域の拡大を進めておりますが、公共事業領域は依然として当社の主要市場の一つであり、国及び地方公共団体等は主要顧客になります。国及び地方公共団体等の財政状況の悪化や事業量の縮小に伴う発注量の減少、調達方式の変更などにより、当社グループの営業成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各事業は、国内外で事業を展開しております。各事業における海外での事業は、主に北米地区を拠点とした海外グループ会社が、ドル建てで取引しているため為替変動により財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各事業は、天災、火災等の不測の災害に見舞われた場合には、生産設備やデータの損傷・喪失により、生産能力の低下と業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおける各事業における海外での事業は、新興国や途上国における社会資本整備事業、開発事業を主要な市場と位置付けておりますが、これらの国では、国際紛争やテロ行為が発生する場合があり、紛争活動や武装行為に巻き込まれた場合には、事業の中止もしくは停止など、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各事業は、専門技術を用いた核種サービスや製品を提供しており、知的所有権などの損害賠償を提訴される可能性があります。
当社グループの各企業は、ITシステムを活用した業務処理並びに情報管理を行っていますが、コンピュータウイルスや悪意ある第三者の不正侵入により、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、会社法、金融商品取引法、税法、労働法、独占禁止法及び建設業法等の法規制を始め、品質に関する基準、環境に関する基準、会計基準等、事業展開している国内外のさまざまな法規制の適用を受けており、社会情勢の変化等により、将来において、改正や新たな法的規制が設けられる可能性があります。その場合には当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが直接的または間接的に関係する取引の一部が法規制等に違反していると規制当局が判断した場合には、当社グループが課徴金等の行政処分を受けたり、社会的な信用や評価が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、長期的な取引関係の維持などを目的として有価証券を保有しており、保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、当該企業の財政状態の悪化等があった場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、地価の下落等があった場合、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しています。将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合、あるいは制度面の変更等があった場合には繰延税金資産が減少し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社は、この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損、たな卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、退職給付債務及び年金資産の認識、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。当社の経営陣は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的だと考えられる様々な要因に基づき、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
当連結会計年度における日本経済は、輸出の増加や好調な内需に牽引され、引き続き堅調が持続しましたが、中国経済の減速や米中の経済摩擦などから、先行きには不透明感が増しております。世界経済も堅調な成長が続く一方、米中間の貿易摩擦の激化から世界経済全体へ深刻な影響が及ぶことが懸念されています。
国内では、平成30年7月豪雨の復旧需要や国の国土強靭化政策に伴う防災・減災市場の拡大、インフラの維持管理への社会的要請、洋上風力発電など再生可能エネルギー市場の拡大など、当社グループの市場機会は一層の広がりを見せております。
世界的には、中国や新興国での旺盛なインフラ建設・更新需要が当社グループの市場機会を伸ばしています。その一方で、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす資源探査市場では、中国経済の減速や米国の金融政策、米中の経済摩擦への懸念から、資源事業者による開発投資は依然として抑制的で、大きな回復には至っておりません。
このような状況の下、当社グループでは当期からスタートした中期経営計画Jump18に則り、地盤の三次元可視化技術や情報通信技術(ICT)、ビッグデータ解析、センシング・モニタリング技術をコアとして、多様化する社会課題に対応したソリューションの開発、人工知能(AI)やクラウドを活用した次期ビジネス基盤としてのICTプラットフォームの構築、世界的なBIM(Building Information Modelling)の市場の拡大を見越した研究開発やM&A、さらには、急速に市場が活性化している洋上風力発電など再生可能エネルギー分野に向けた新技術の開発や設備投資に取り組みました。
また、西日本を中心に大規模な被害をもたらした平成30年7月豪雨においては、グループの保有する防災・減災及び災害廃棄物処理に関わる様々な技術を投入し、被災自治体の早期復旧に向けた対応を強力に支援いたしました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、受注高は462億6千2百万円(前期比101.0%)、売上高は452億3千2百万円(同98.4%)となり、営業利益は、原価率の改善および海外事業の損失縮小等により、14億8千1百万円(同173.2%)と増益となりました。経常利益は19億1千3百万円(同156.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億4百万円(前期比107.6%)となっております。
(売上高)
売上高は、前期に比べ期初の受注残高が少なく、大型受注による年内売上分が当期は無かったことから、452億3千2百万円(前年同期比98.4%)と前連結会計年度から7億2千4百万円減少いたしました。
売上総利益は、141億5千2百万円(前年同期比107.1%)と前連結会計年度から9億3千9百万円増加いたしました。これは、売上原価率が前連結会計年度に比べ改善したことによります。
販売費及び一般管理費は、126億7千1百万円(前年同期比102.5%)と前連結会計年度から3億1千3百万円増加いたしました。営業利益は、上記の売上減少に加え、人件費の増加などにより、販売費及び一般管理費が増加したことから、14億8千1百万円(前年同期比173.2%)と前連結会計年度から6億2千5百万円増加いたしました。売上高営業利益率は3.3%となり、前連結会計年度から1.4ポイント増加いたしました。
営業外損益は、4億3千2百万円の利益となり、前連結会計年度から6千7百万円増加いたしました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ6億9千2百万円増加し、19億1千3百万円となりました。
特別損益は、3千5百万円の損失となり、前連結会計年度から5千7百万円減少いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ6億3千5百万円増加し、18億7千8百万円となりました。
当連結会計年度における税金費用は、11億3百万円と前連結会計年度に比べ5億7千4百万円増加いたしました。また、当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純損失は2千9百万円(前年同期は3千4百万円の損失)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は8億4百万円となり、前連結会計年度に比べ5千6百万円増加いたしました。
当社グループの事業セグメント別の業績は、以下のとおりです。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。変更の詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」の「2. 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
受注高は、国内および海外での建設・維持管理市場が好調であった一方、東日本大震災復興関連事業の収束などから、受注高は195億5千5百万円(前年同期比95.7%)、売上高は192億1千6百万円(同97.9%)となりましたが、海外事業を中心に利益率が向上し、営業利益は11億4百万円(同123.2%)となりました。
平成30年7月豪雨での復旧支援を中心に国土強靭化分野が好調に推移したことなどから、受注高は98億4千7百万円(前年同期比115.7%)、売上高は92億1千7百万円(同115.3%)、営業利益は3億9千1百万円(同309.9%)と増収増益となりました。
災害廃棄物関連サービスや福島復興関連業務、アスベスト関連業務等が堅調に推移した結果、受注高は88億7千万円(前年同期比110.0%)となりました。一方、売上高は、前年の大型売上の反動から、85億1千2百万円(同88.6%)と減収になり、営業利益も5億2千8百万円(同79.6%)と減益となりました。
東日本大震災後の電力施設関連事業が概ね一巡したことから、受注高は79億8千8百万円(前年同期比90.9%)となりました。売上高は、82億8千7百万円(同95.0%)、損益は、海外の資源探査市場の回復の遅れから5億4千3百万円の損失となりましたが、前年より損失幅は着実に縮小しています(前年は7億9千9百万円の営業損失)。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ40億2千6百万円減少し、807億4百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ18億7千9百万円減少し、578億8千8百万円となりました。これは主として、現金及び預金が、6億8千5百万円減少したこと、有価証券が5億8千万円減少したこと、未成調査支出金が2億5千3百万円減少したこと、及び商品及び製品が1億5千5百万円減少したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ21億4千7百万円減少し、228億1千6百万円となりました。これは主として、繰延税金資産が2億6千8百万円減少したこと、投資有価証券が14億2千8百万円減少したこと、及び退職給付に係る資産が2億1千9百万円減少したことによります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ12億9百万円減少し、146億9千1百万円となりました。これは主として、未成業務受入金が1億9千7百万円増加した一方で、業務未払金が2億2千5百万円減少し、流動負債のその他が9億2千4百万円減少したこと、及び繰延税金負債が3億8千1百万円減少したことによります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ28億1千6百万円減少し、660億1千3百万円となりました。
株主資本は、前連結会計年度に比べ、13億1千4百万円減少し、668億8千1百万円となりました。これは主として、自己株式の消却に伴い資本剰余金が14億4千1百万円減少したことによります。
その他の包括利益累計額は、前連結会計年度に比べ13億5千6百万円減少し、△10億円となりました。これは主として、その他有価証券評価差額金が6億9千3百万円減少したこと、及び為替の影響により為替換算調整勘定が3億7千5百万円減少したことによります。
この結果、自己資本比率は81.6%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10億7千8百万円減少(前年同期は21億7千3百万円の資金増)し、193億9千9百万円(前年同期比94.7%)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は21億5千2百万円(前年同期比54.8%)となりました。
これは主に、売上債権の増加1億1千2百万円(前年同期は36億1千2百万円の資金減)等の資金の増加要因があったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は6億7千7百万円(前年同期比153.8%)となりました。
これは主に、定期預金の払戻による収入53億3千万円(同115.1%)や有価証券の売却による収入12億円(前年同期比100.0%)等の資金の増加要因があった一方で、定期預金の預入による支出55億2千1百万円(同98.4%)や、有形及び無形固定資産の取得による支出10億5千7百万円(同98.7%)等の資金の減少要因があったことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は23億8千1百万円(前年同期比204.7%)となりました。
これは主に、自己株式の取得に伴う支出14億1千万円(前年同期は0百万円)、配当金の支払額7億5千2百万円(同72.6%)等の資金の減少要因があったことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下の通りであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費及び人件費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、研究開発、設備投資及びM&A等によるものであります。これらの資金につきましては、原則として自己資金で賄うこととしております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値によって算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4 2016年12月期のインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載を省略しております。
該当事項はありません。
当社グループは、インフラ・メンテナンス事業、防災・減災事業、環境事業、資源・エネルギー事業の4つのセグメントにおいて、顧客ニーズに応えるソリューションを提供するための技術及び製品の研究開発を進めております。
日本では、国土交通省のi-Constructionの施策など、少子高齢化時代の中で技術者不足が深刻になってきたため、情報技術を駆使して品質の確保と労働生産性の向上に関する施策が取り入れられようとしています。また、海外では、欧州やシンガポールなどで、BIM(BuildingInformation Modeling)が通常業務の中に既に取り込まれ始めております。情報技術の革新により、計画、調査、施工、維持管理までの全てのプロセスの情報が一元管理されていく状況に対して応えていくことが必要です。しかし、BIMの現状を鑑みますと、各種建築物が構築されている下部の地盤構造、地中埋設物のモデル化とそれをBIMに組み込むまでのプロセスは、国内外ともまだ標準化がなされていません。当社グループは、世界に先駆けて地盤構造のBIM化に向けて実用化、標準化をすることを優先課題としています。2018年に、当社はbSI(building SMART International、本部:英国)に加入いたしました。地盤のモデル化やBIMに載せるための技術的課題への対処と標準化に向けた提言を積極的に発信するとともに、関連する研究開発を行っております。
研究開発体制は、当社の技術本部研究開発センターと7事業部(計測システム事業部、エネルギー事業部、社会システム事業部、地球環境事業部、メンテナンス事業部、砂防・防災事業部、流域・水資源事業部)が、当社グループ会社と連携して実施しております。また、研究開発を効率的に推進するため、外部機関の優れた技術の活用を図ることに積極的に取り組み、公的研究機関、大学、民間企業との共同研究を進めるとともに、大学への寄付講座の設定、並びに、研究員の派遣を行っております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は、16億7千5百万円でありました。
前連結会計年度に引き続き、基盤技術開発として下記の2課題に取り組みました。
① 地盤の3次元可視化に関わる地盤調査技術の開発と既保有技術との体系化
② 地盤情報のIcTプラットフォームの整備
地盤の3次元可視化に関わるものとしては、物理探査技術の3次元化(従来のように2次元探査の組み合わせで3次元の解析や表示をするのではない)については、微動アレイ探査、電気探査、地中レーダー探査において、そのシステム化が終了いたしました。現在は、実証試験を通じて適用事例の蓄積を図っている段階です。
地盤情報のIcTプラットフォームの整備については、情報技術ツールの導入による現場作業の効率化・自動化、創業以来蓄積してきた地盤データのデータベース化、安価・小型センサの開発などに取り組んでおります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
インフラ・メンテナンス事業セグメントにおいては、堤防、トンネル、道路、工場施設などのインフラストラクチャーの維持管理に関するソリューション開発を行っております。当社では、トンネル点検や路面下空洞調査の観測結果の判定にAI技術を導入することにより、調査~解析~評価までをパッケージ化することに取り組んでおります。また、Geophysical Survey Systems, Inc.(米国)では、非接触でアスファルト舗装の品質を測定できるPaveScan RDMを開発いたしました。米国の複数の州においてアスファルト舗装管理技術として承認を受けています。また、現在、自動運転を補助するための地下マップデータを取得するための地下レーダー探査装置の開発を進めております。さらに、Geometrics,Inc.(米国)では、ドローンに搭載可能な磁気探査装置MagArrowを開発いたしました。航空機による従来の磁気探査法に比べて安価に実施でき、山岳部など人が立ちいることが難しい場所での磁気探査が可能です。当連結会計年度における研究開発費の金額は6億7千3百万円であります。
防災・減災事業セグメントにおいては、自然災害に対する防災・減災に関わるソリューション開発を行っております。当社は、名古屋大学減災連携研究センターに寄付講座を設け、最新の地盤モデルによる被害想定から経済被害予測手法の開発、減災策の提案・提言までの流れを作るべく研究を行っております。また、火山防災分野では、火山噴火に起因する降灰厚を安価な自動降灰量計を開発し、現在、検証試験中です。さらに、Kinemetrics, Inc.(米国)では、地震観測機器の専門メーカーですが、2018年は核実験監視モニタリングシステム向け地震波形データ収録装置「Q330M+」を開発いたしました。長期観測を実施することができる地震計として、低消費電力地震データ収録装置「Q8」の開発を現在進めております。また、地震時の建物健全性評価および地震時の避難行動支援のための情報発信を組み合わせたサービスである「OASIS PLUS」の病院施設への展開を進めております。当連結会計年度における研究開発費の金額は4億5千4百万円であります。
環境事業セグメントにおいては、環境保全を支援するソリューション開発に取り組んでおります。当社は、北海道大学大学院工学研究院の循環・エネルギー技術システム分野に寄付を行い、バイオマス(廃棄物系、未利用、資源作物)を中心とした安全・安心な再生可能エネルギーの普及化促進技術システムと、廃棄物のリサイクル・処理技術の効率化と採算性向上を目指した研究開発を行っております。また、福島県三春町の応用生態工学研究所では、淡水域における魚類の効率的なモニタリング手法として、環境DNA(魚の糞や鱗などから溶け出したDNA)を用いた魚類の現存量把握に関する研究を進めております。さらに、グリーンインフラ整備に資するものとして、ウズベキスタンで「アラル海」及びその周辺荒廃地の緑化と、経済価値の高い低木林を造り、不法伐採を防ぎ経済が回るシステムの構築にも取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の金額は6千8百万円であります。
資源・エネルギー事業セグメントにおいては、資源・エネルギーの探査、及び、エネルギー関連施設の維持管理、再生エネルギー事業開発に必要な基盤技術の開発を行っております。洋上風力発電所の立地に関わる地盤調査技術として、Geometrics, Inc.(米国)が、海洋土木調査向けの小型超高分解能探査システムの開発を進めるとともに、同社製の微動アレイ探査システムを海底に設置できるように改良して、地盤構造を把握する方法を開発いたしました。また、Robertson Geologging, Limited(英国)では、ボーリング孔を利用した調査(検層)機器の開発・製造・販売を行っておりますが、鉱山市場向け検層市場において、実用性を向上させた複数の検層機器を連結したシステム(スタッカブルシステム)の開発を進めております。当連結会計年度における研究開発費の金額は4億7千8百万円であります。