文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当社グループを取り巻く経営環境
日本国内では、少子高齢化と慢性的な人手不足を背景に、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)を活用した生産性を高める各種システムへの需要が高まっています。また、急速に老朽化が進む社会インフラの維持管理(整備・維持・更新)需要や、自然災害の多発化・広域化に伴う防災・減災関連需要も以前にも増して高くなっています。加えて、地球温暖化に伴う気候変動や環境保全に対する意識の高まりを背景に、再生可能エネルギーの中でも特に地熱発電と洋上風力発電で市場が活性化しています。
海外においては、米中貿易摩擦の動向や新型肺炎の拡散が世界経済に与える影響など不確定要素も多く、先が見通し難い状況が続いています。そうした中においても、社会インフラの維持管理に対する需要は、アジアを中心とした新興国においても、今後、さらに市場の拡大が見込まれています。また、資源開発分野におけるコスト削減需要も引き続き高まっています。
② 経営方針
当社は、激変する社会情勢の中で、世界の潮流とグローバル化する日本の変化を概観し、当社グループが2020年に向けて目指すべきビジョンとビジョン達成のための基本方針を明らかにした「応用地質グループ長期経営ビジョンOYO 2020」を策定しています。
OYO2020では国内外の持続可能な社会の実現に貢献すべく、地球内外の様々な分野でアイデアに満ちたソリューションを提供する地球科学に関わるグローバルな総合専門企業グループとなることを目指しています。
2020年度は、OYO2020の最終年に当たります。従来型のビジネスモデルの転換は着実に進んでおります。単体では事業部中心の組織に完全に移行し、国内・海外グループでは各社の売り物を明確にし、従来型のビジネスモデルの転換の仕上げに取り組んでおります。当社グループは継続して社会課題や環境変化に対応できる技術・サービスの組み合わせで市場を創出し、目標の達成にチャレンジします。
③ 対処すべき課題
『中期経営計画OYO Jump18(2018年~2020年)』
2020年度は、中期経営計画Jump18の最終年に当たります。Jump18の数値目標に対しては、単体の構造改革の遅れ、M&Aの遅れ、海外グループ企業の収益回復の遅れ等により、その実現が厳しい状況にあります。そこで、下記の4つの戦略について、SDGsの課題解決も含めたソリューションサービスを加速し、それぞれの課題に対処します。
a.成長戦略:4つの領域で事業を拡大し、「OYOブランド」を確立
当社は、Step14で展開してきた事業領域を4セグメントとして設け、事業拡大を推進してまいります。
インフラ・メンテナンス事業セグメントでは、新規の社会インフラの整備とi-Construction市場へ対応してきました。維持管理分野では非破壊検査手法へのニーズがさらに高まることが想定され、AIやモニタリング技術を駆使して、今後も拡大が見込まれる老朽化した設備のメンテナンス需要に対応します。
防災・減災事業セグメントでは、頻発する激甚化災害に対しての取り組みを加速させます。災害危険地帯の調査や危機管理型システムの開発で国土強靭化を支援するためのソリューションサービスを提供します。
環境事業セグメントでは、地球環境の保全、負荷軽減対策に取り組んできました。今後はさらに廃棄物処理関連サービスやアスベスト・マイクロプラスチックなどの環境汚染対策を発展させます。
資源・エネルギー事業セグメントでは、再生可能エネルギー市場が活性化する中、日本の洋上風力市場への取り組みとして、海底地質調査用の足場整備や効率的な海底地質調査技術を提案してきました。今後は、さらに活性化する再生可能エネルギー市場に新しい探査技術等を駆使して対応します。
各セグメント間の連携については事業部統轄本部を設け、情報共有・新サービスの開発を促進し、セグメントをまたぐソリューションサービスを提供します。
b.技術戦略:新たな市場を創出し、事業を拡大してくための開発投資を強化
当社は、良質な都市インフラの整備と維持・更新技術の高度化を実現させるため、公開試験場である三次元探査検定センターをオープンしました。今後はさらに三次元物理探査技術を発展させることで、地下埋設物の正確な位置を把握し、BIM/CIM(Building Information Modeling/Construction Information Modeling)に対応した三次元地盤モデルのデータベースを構築します。データベースを利用して、今後の大規模災害に備えるための再開発プロジェクト計画の提案を行います。
また、技術進歩が著しいAI分野やICT分野では、当社が持つ地盤情報データと他社の技術を融合させて、新市場の創出に取り組みます。
他にも、BIM/CIM市場の裾野の拡大に向け、三次元地質解析ソフトウェアの開発・販売や、海底石油貯留層探査サービスの開発など、事業を拡大していくための開発投資を強化します。
c.グローバル戦略:事業展開戦略をM&Aで加速、ソリューションサービスの海外展開
当社は、グローバル戦略の拡大に向けて、2019年にFONG CONSULT PTE. LTD.(以下、F社)と、FC INSPECTION PTE. LTD.(以下、FCI社)の株式を取得しました。F社とFCI社はシンガポールを中心とした東南アジアの土木・建築市場を対象に事業を行っています。当社グループが保有する各種ソリューションサービスを市場投入することで、2社とのシナジー効果を発揮した事業展開を進めています。人口が増大するアジア地域では引き続きインフラ需要が旺盛であることが見込まれており、日本のインフラ整備で培った経験と豊富な地盤情報データによるソリューションサービスを展開します。
また、グローバル戦略の計画・立案については専門部署を設けグループ全体で国際的な営業展開を図ります。海外M&Aについては良質案件の発掘に注力し、継続的に検討します。
d.ガバナンス戦略:コーポレートガバナンスの強化
当社は、変化する社会状況に対しリスク対策を強化するため、グループに最適な形のコーポレートガバナンス体制の構築と運用に努めてきました。取締役会のモニタリング機能を強化するため取締役の1/3以上を社外取締役とし、内部統制システムの整備運用や内部監査機能も強化してきました。
当社は、社員の働きやすい職場環境整備のため、働き方革命委員会を組成し施策の検討を行ってきました。在宅勤務制の導入や子育て支援、女性活躍支援の継続といった施策を実行しています。こうした活動を踏まえ、社員のワークライフシナジーの実現、社員定着率の向上、人事制度改革、中長期を見すえた人材育成に今後も取り組んでいきます。また、米国の当社グループ会社であるGEOPHYSICAL SURVEY SYSTEMS, INC.は拠点を置くニューハンプシャー州で最も働きがいのある企業の1社に選出されました。こうした取り組みもグループ全体で共有します。
さらに、ステークホルダーに対して広報活動の充実促進にも取り組みます。SNSやプレスリリース、ウェブサイトを通じて当社グループの魅力や社会的役割、ESG経営、SDGsの取り組みを社会に発信します。
③ 目標とする経営指標
当社グループは2020年度を最終年とする中期経営計画Jump18において業績目標を下記のように設定しています。
当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす主要なリスクは以下のようなものがあります。
当社グループにはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、可能な限り発生の防止に努め、また発生した場合の的確な対応に努めていく方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの各事業は、公共事業領域は依然として当社の主要市場の一つであり、国及び地方公共団体等は主要顧客になります。当社グループは、中期計画Jump18において、公共事業に依存した従来型のビジネスモデルからの脱却を目指していますが、国及び地方公共団体等の財政状況の悪化や事業量の縮小に伴う発注量の減少、調達方式の変更などにより、当社グループの営業成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各事業は、国内外で事業を展開しております。各事業における海外での事業は、主に北米地区やシンガポールを拠点とした海外グループ会社が、現地通貨建てで取引しているため為替変動により財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各事業は、地震や気候変動に伴う台風・豪雨・河川氾濫等の自然災害、火災等の不測の災害に見舞われた場合や感染症の世界的流行(パンデミック)が発生した場合には、その活動に支障が生じる可能性があります。そうした影響を最小限に抑えるため、災害等の発生を想定した事業継続計画(BCP)の作成とその定期的な点検・訓練を実施していますが、生産設備やデータの損傷・喪失、人的リソースの喪失等により事業活動の縮退、生産能力の低下を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおける各事業における海外での事業は、新興国や途上国における社会資本整備事業、開発事業を主要な市場と位置付けておりますが、これらの国では、国際紛争やテロ行為が発生する場合があり、紛争活動や武装行為に巻き込まれた場合には、事業の中止もしくは停止など、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各事業は、専門技術を用いた各種サービスや製品を提供しており、知的所有権などの使用差し止めや損害賠償を請求される可能性があります。当社グループは、適切な知財管理を行うための組織設置によりリスクの低減に努めていますが、サービスや製品の提供の中止もしくは停止、あるいは損害賠償を請求された場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの海外子会社の中には、海底3次元石油貯留層探査サービスを提供している会社や地下の鉱物資源探査用の機器やシステムを販売している会社があります。今後、温暖化ガス排出削減・規制の高まりや再生可能エネルギーの普及により化石燃料への需要が減少し原油価格が大きく下落する場合、あるいは世界の需給関係の変動に伴い鉱物資源価格が大きく下落する場合には、子会社の業務に対する需要が停滞・減少し、その業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) ITシステムのセキュリティー管理に関するリスク
当社グループの各企業は、ITシステムを活用した業務処理並びに情報管理を行っています。当社グループは、ITシステムの安全性及び情報セキュリティーの強化に努めるとともに、関連する諸規定を整備し、外部からの不審メールに対する定期的な訓練を行うなどリスクの低減に努めていますが、コンピュータウイルスや悪意ある第三者の不正侵入により、ITシステムの停止や情報漏洩等が発生した場合には、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの安定的成長を持続させるためには、高度な専門性を有する優秀な人材の確保・育成が必要不可欠です。しかしながら、少子高齢化による労働人口の減少が進む中で、こうした優秀な人材の確保・育成が進まない場合には、当社グループの業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 法的規制に関するリスク
当社グループは、会社法、金融商品取引法、税法、労働法、独占禁止法及び建設業法等の法規制を始め、品質に関する基準、環境に関する基準、会計基準等、事業展開している国内外のさまざまな法規制の適用を受けており、社会情勢の変化等により、将来において、改正や新たな法的規制が設けられる可能性があります。その場合には当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが直接的または間接的に関係する取引の一部が法規制等に違反していると規制当局が判断した場合には、課徴金等の行政処分や社会的な信用の失墜等の影響を受ける可能性があります。
当社グループは、長期的な取引関係の維持などを目的として株式等の有価証券を保有しており、保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、当該企業の財政状態の悪化等があった場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは国内外の事業拠点の不動産を所有していますが、不動産価格の下落等があった場合、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しています。将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合、あるいは制度面の変更等があった場合には繰延税金資産が減少し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社は、この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損、たな卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、退職給付債務及び年金資産の認識、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。当社の経営陣は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的だと考えられる様々な要因に基づき、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
当連結会計年度における日本経済は、国内設備投資や消費税増税前の駆け込み需要増など内需を中心に堅調でしたが、海外経済の減速に伴う外需低迷もあり、先行きにはやや不透明感が残りました。また、世界経済には中国の経済成長鈍化や米中間の貿易摩擦激化、中東情勢の悪化などが見られました。
国内においては、台風による大規模な河川災害等の復旧対応の本格化や国土強靭化に伴う防災・減災市場の拡大、インフラの効率的な維持管理への社会的要請、洋上風力発電に代表される再生可能エネルギー市場の拡大など、当社グループの市場機会には一層の広がりが見られました。
海外においては、アジアを中心としたインフラ・メンテナンス市場の成長や資源関連市場の持ち直しなどがグループの成長の追い風となる一方で、米中貿易摩擦の激化やそれに伴う世界経済の低迷など、先行きの不透明感が増加しました。
このような状況の下、当社グループでは中期経営計画Jump18に基づき、地盤の三次元可視化技術による新たな価値創造と市場開拓を目的とした技術開発を継続してきました。具体的には、三次元探査センターの開設や地下埋設物情報提供サービスに向けた異業種連携などに取り組みました。さらに、AIを活用したコンクリート構造物の健全度判定サービスや洋上風力発電関連業務、災害廃棄物処理関連業務などにも積極的に取り組みました。グローバル事業展開の面では、海外M&Aの実施やソリューションサービスの海外市場開拓にも努めました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、受注高は564億5千2百万円(前期比122.0%、今期から連結に加わったシンガポール企業の受注高には前期末の受注残高を含む)、売上高は538億8千3百万円(同119.1%)となり、営業利益は、防災・減災事業が好調であったことや海外グループ会社の業績復調等により、25億8千1百万円(同174.3%)と増益になりました。経常利益は30億5千8百万円(同159.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億7千6百万円(前期比270.5%)となりました。
(売上高)
売上高は、538億8千3百万円(前年同期比119.1%)と前連結会計年度から86億5千万円増加いたしました。
売上総利益は、158億8千3百万円(前年同期比112.2%)と前連結会計年度から17億3千万円増加いたしました。これは、売上が増加したことによります。
販売費及び一般管理費は、133億1百万円(前年同期比105.0%)と前連結会計年度から6億2千9百万円増加いたしました。営業利益は、人件費の増加などにより、販売費及び一般管理費が増加したものの、上記の売上高の増加により、25億8千1百万円(前年同期比174.3%)と前連結会計年度から11億円増加いたしました。売上高営業利益率は4.8%となり、前連結会計年度から1.5ポイント増加いたしました。
営業外損益は、4億7千6百万円の利益となり、前連結会計年度から4千4百万円増加いたしました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ11億4千4百万円増加し、30億5千8百万円となりました。
特別損益は、8千4百万円の利益となり、前連結会計年度から1億2千万円増加いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ12億6千4百万円増加し、31億4千2百万円となりました。
当連結会計年度における税金費用は、9億5千2百万円と前連結会計年度に比べ1億5千万円減少いたしました。また、当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は1千3百万円(前年同期は2千9百万円の損失)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は21億7千6百万円となり、前連結会計年度に比べ13億7千2百万円増加いたしました。
当社グループの事業セグメント別の業績は、以下のとおりです。
国土強靭化関連予算を背景に建設・維持管理市場が好調であったことから、受注高は250億4千2百万円(前期比128.1%、今期から連結に加わったシンガポール企業の受注高には前期末の受注残高を含む)、売上高は229億2千3百万円(同119.3%)、営業利益は12億5千万円(同113.3%)と増収増益となりました。
平成30年7月豪雨に伴う復旧支援業務の継続や令和元年の台風による大規模な河川災害等の復旧対応、国土強靭化関連業務の需要拡大もあり、受注高は120億3千3百万円(前期比122.2%)、売上高は117億2千7百万円(同127.2%)、営業利益は8億6百万円(同206.1%)と増収増益となりました。
災害廃棄物処理関連業務ならびに建物の建替え需要に伴うアスベスト対策関連業務等が堅調に推移した結果、受注高は91億8千4百万円(前期比103.5%)となりました。売上高は、89億6千2百万円(同105.3%)、営業利益は6億4千9百万円(同122.9%)と増収増益となりました。
原子力関連市場の縮小が続いたものの、再生可能エネルギーの洋上風力発電関連業務が引き続き好調であったこと、また、海外での海洋資源探査分野が順調に回復したことから、受注高は101億9千2百万円(前期比127.6%)、売上高は102億6千9百万円(同123.9%)となりました。一方で、営業損益は1億2千1百万円の損失となりましたが、前年より損失幅は縮小しました(前期は5億4千3百万円の営業損失)。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが中期経営計画Jump18で目標としている経営指標における実績値は次のとおりであります。
Jump18の数値目標に対しては、単体の構造改革の遅れ、M&Aの遅れ、海外グループ企業の収益回復の遅れ等により、その実現が厳しい状況にありますが、引き続きこれらの経営指標の目標達成に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ31億4千万円増加し、835億5千9百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ25億2千万円増加し、601億5百万円となりました。これは主として、大型案件の完成に伴い未成業務支出金が16億4千万円減少した一方で、完成業務未収入金が33億9千2百万円増加したこと、現金及び預金が8億1千6百万円増加したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ6億2千万円増加し、234億5千3百万円となりました。これは主として、投資有価証券が2億7千9百万円増加したこと、及び退職給付に係る資産が2億6千3百万円増加したことによります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ9億9千7百万円増加し、154億2百万円となりました。これは主として、大型案件の完成に伴い未成業務受入金が11億9千6百万円減少した一方で、未払法人税等が4億4千2百万円増加したこと、業務未払金が3億9千7百万円増加したこと、流動負債のその他が5億6千9百万円増加したこと、及び固定負債のリース債務が3億5千6百万円増加したことによります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ21億4千3百万円増加し、681億5千7百万円となりました。これは主として、利益剰余金が16億3千7百万円増加したこと、及びその他有価証券評価差額金が5億1千1百万円増加したことによります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11億6千6百万円増加(前期は10億7千8百万円の資金減)し、205億6千5百万円(前期比106.0%)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は25億1千5百万円(前期比116.8%)となりました。
これは主に、売上債権の増加29億2千6百万円(前期は1億1千2百万円の資金減)や未成業務受入金の減少11億9千5百万円(同1億9千7百万円の資金増)等の資金の減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益31億4千2百万円(前期比167.3%)や未成業務支出金の減少16億3千9百万円(同647.7%)等の資金の増加要因があったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は6億2千4百万円(前期比92.2%)となりました。
これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出11億5千1百万円(同108.9%)等の資金の減少要因があったことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は7億5千6百万円(前期比31.8%)となりました。
これは主に、配当金の支払額7億4千万円(同98.5%)等の資金の減少要因があったことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下の通りであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費及び人件費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、研究開発、設備投資及びM&A等によるものであります。これらの資金につきましては、原則として自己資金で賄うこととしております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値によって算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4 2016年12月期のインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載を省略しております。
該当事項はありません。
当社グループは、インフラ・メンテナンス事業、防災・減災事業、環境事業、資源・エネルギー事業の4つのセグメントにおいて、顧客ニーズに応えるソリューションを提供するための技術および製品の研究開発を進めております。
日本では、少子高齢化時代の中で技術者不足が深刻になってきたため、国土交通省のi-Constructionの施策など、情報技術を駆使して品質の確保と労働生産性の向上に関する施策が取り入れられようとしています。i-Constructionでは、構造物を三次元として可視化することで当事者間の合意形成を容易にし、計画、調査、設計、施工、維持管理の品質の確保と生産性の向上が重要となります。また、海外では、欧州やシンガポールなどで、建設事業における三次元情報の相互連携を可能にするBIM(Building Information Modeling)が公共事業のみならず民間プロジェクトでも普及しつつあります。BIMでは、インフラストラクチャの計画、調査、設計、施工、維持管理までの全てのプロセスの情報を、最新の情報技術を利用して管理するライフサイクルマネジメントの取り組みが始まっております。しかし、BIMは建築構造物を対象として発展してきたため、各種建築物が構築されている地盤の構造や地中埋設物のモデル化と、それをBIMに組み込むまでのプロセスが、国内外ともに標準化がなされていません。当社グループは、世界に先駆けてBIMにおける地盤モデルの標準化と実用化に取り組んでおります。当社は2018年にBIMの国際標準化機関であるbSI(building SMART International、本部:英国)に加入しました。そして、2019年には、地盤モデルの規格案を策定するコモンスキーマプロジェクトとトンネルプロジェクトに運営メンバーとして参画し、地盤のモデル化と標準化に向けた提言を積極的に発信するとともに、関連する研究開発を行っております。
研究開発体制は、当社の技術本部研究開発センターと8事業部(計測システム事業部、情報システム事業部、メンテナンス事業部、砂防・防災事業部、地震防災事業部、地球環境事業部、流域・水資源事業部、エネルギー事業部)が、当社グループ会社と連携して実施しております。研究開発を効率的に推進するため、外部機関の優れた技術の活用を図ることに積極的に取り組み、公的研究機関、大学、民間企業との共同研究を進めるとともに、国内外の大学への寄付講座の設定、研究員の派遣、コンソーシアムへの参加を行っております。また、オープンイノベーションを実現するため、業種の異なる企業との技術開発や製品開発を積極的に行っております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は、16億1千2百万円でありました。
インフラ・メンテナンス事業セグメントにおいては、トンネル、道路、堤防、工場施設などのインフラストラクチャの維持管理に関するソリューション開発を行っております。今期は、路面下の埋設管や空洞調査およびトンネル点検にAI技術等の自動解析・判定技術を導入し、調査~解析~評価までをパッケージ化することに取り組んでおります。また、堤防の漏水問題や斜面の維持管理の自動化にも取り組んでおります。海外グループでは、GEOPHYSICAL SURVEY SYSRWMS,INC.(米国)が、地中レーダ技術を各種インフラストラクチャの診断や地質調査に用いるために、それぞれの使用用途に合わせた製品ラインナップの拡充を行っております。今期においては、従来の200MHz用アンテナを用いた地中レーダに比較して、探査可能深度が1.5倍に向上させた”200MHz HS (Hyper Stacking)”を開発しました。これにより、今まで探索が困難であった深部に埋設されている水道管、ガス管などの調査、深部の地質構造や歴史遺産構造物などの調査に有効なものとして期待しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は6億5千1百万円であります。
防災・減災事業セグメントにおいては、自然災害に対する防災・減災に関わるソリューション開発を行っております。今期は、激甚化する降雨災害や降雨に伴う斜面災害に対応するため広域災害監視ソリューションの構築を目指して、ネットワーク用センサーとクラウドベース監視システムの開発を行いました。また、火山防災分野では、火山噴火に起因する降灰を監視するための自動降灰量計を開発しました。政府が主導するSIPプロジェクトでは、災害危険個所を自動抽出する技術や大規模災害時に飲料水を確保する技術の開発に参画しております。海外グループでは、KINEMETRICS,INC.(米国)が、地震観測機器の専門メーカーとして地震防災に必要な地震計の製品開発を行っています。現在、低価格タイプの新しい地震データ収録機の開発を進めております。また、米国西部で発生した大規模山火事に対するモニタリング機器の開発を米国の研究機関、大学と共同で開始しました。当連結会計年度における研究開発費の金額は4億3千1百万円であります。
環境事業セグメントにおいては、環境保全を支援するソリューション開発に取り組んでおります。今期は、地盤あるいは建設工事で発生する廃土の重金属汚染を迅速簡易に測定するため、これまで土壌への適用が難しいとされていたハンドヘルド蛍光X線分析装置を用いた土壌の測定法とその分析精度を高める試薬の開発を行いました。また、自然災害からの復旧を阻害する要因である災害廃棄物の処理ノウハウを自治体の管理者に指導するための教育研修アプリの開発を行い、実習効果の向上に効果を発揮しました。福島県三春町の応用生態工学研究所では、淡水域における魚類の効率的なモニタリング手法として、環境DNA(魚の糞や鱗などから溶け出したDNA)を用いた魚類の現存量把握や外来魚の効果的な駆除と駆除効果確認方法に関する研究を進めております。さらに、発展途上国のグリーンインフラ整備を通じて国際的な事業展開を図るため、ウズベキスタンで「アラル海」及びその周辺荒廃地の緑化と、経済価値の高い低木林栽培を通じた不法伐採防止にも取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の金額は6千1百万円であります。
資源・エネルギー事業セグメントにおいては、資源・エネルギーの探査、再生エネルギー事業開発、ならびにエネルギー関連施設の維持管理、必要な技術開発を行っております。洋上風力発電所の洋上立地に関わる地盤調査技術として、これまで陸上の探査法として開発してきた微動アレイ探査システムを海底から、またCPT(コーン貫入試験)を海上櫓から経済的に実施できるように改良しました。海外グループでは、GEOMETRICS,INC.(米国)が、地震探査、磁気探査装置などの専門メーカーとして、鉱物資源探査や土木地質調査向けの製品開発を行っております。3次元探査に有効な地震探査装置の”ATOM”は、既に製品発売がなされてその出荷台数も徐々に増えてきております。さらに、今期においてはその高機能化を図るために直交3方向の地盤振動を同時測定できる探査機を当社の計測システム事業部と共同で開発しました。これを使用することで地盤の震動特性を評価することも可能になり、地震工学分野においても利用できる地震探査装置として期待をしております。ROBERTSON GEOLOGGING LTD.(英国)は、ボーリング孔を利用した調査(検層)機器の開発・製造・販売を行っています。石油や鉱山などの資源調査市場では、最近価格競争の激化に対応するために、小型でかつ、複数の検層機器を連結したシステム(スタッカブルシステム)の開発を行っております。これにより、一回の検層作業で複数の測定項目の測定が可能になり検層作業時間の短縮化を図ることができます。当連結会計年度における研究開発費の金額は4億6千8百万円であります。