第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当社グループを取り巻く経営環境

新型コロナウイルス感染症については、ワクチン接種が進捗した欧米諸国を中心に大幅な規制緩和による経済再開が進みましたが、その後、新たな変異株(オミクロン株)による感染者が再拡大しています。わが国においても、2021年9月末で緊急事態宣言等が解除され、経済活動の回復の兆しが見え始めましたが、その後は新たな変異株による感染者も拡大し、第6波を迎える状況となっています。こうした状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症による世界経済並びに日本経済に与える影響は2022年後半まで続く可能性があると想定しています。

こうした中で当社グループを取り巻く市場環境を見ると、国内においては、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」(以下、国土強靭化計画)の策定に伴い公共事業分野では、市場機会の拡大が続くことが想定されます。また、2050年までにカーボン・ニュートラルを目指すという政府方針に伴う再生可能エネルギー分野の市場拡大や、世界的な脱炭素化の流れを背景とした化石燃料への需要低下による原油価格低迷が継続することが予想されます。こうした点を踏まえ、当社グループの各事業を取り巻く市場環境を概観すると以下のようになります。

 

 《インフラ・メンテナンス事業》

国内においては、国土強靭化計画の進展や高度成長期に建設された各種社会インフラの老朽化を背景に、公共部門を中心にインフラの補修・維持管理や建替え等に関する需要が今後も継続することが予想されます。また、海外においても先進国を中心に同様な需要増が期待されます。

 

《防災・減災事業》

近年は、台風や豪雨等による自然災害が毎年のように発生・激甚化しており、そうした災害からの復旧工事の需要や災害防止のための需要が高まる傾向があります。加えて、国土強靭化計画の進展や防災・減災意識の高まりを背景に、同事業関連の需要は今後も拡大していくことが期待されます。

 

《環境事業》

環境に関する社会的関心・意識は近年大きく高まってきており、当社グループが実施する環境アセスメントやアスベスト対策サービス、土壌汚染対策等の業務への需要は今後も継続していくことが期待されます。また、自然災害の多発化や資源循環という観点からも、当社グループが提供する災害廃棄物処理支援関連サービスへの需要が高まることが期待されます。

 

《資源・エネルギー事業》

世界的な脱炭素化の流れや政府による2050年までのカーボン・ニュートラル政策発表等を背景に、再生可能エネルギーへの関心が高まっています。これに伴い、当社グループの洋上風力発電関連支援サービス等に対する需要も高まっていくことが期待されます。一方で、コロナ禍の長期化に伴う世界経済への影響や化石燃料への長期的な需要減少の可能性があり、海外においては当社グループのビジネス機会が縮小する懸念があります。

 

② 経営方針並びに対処すべき課題

当社グループは、こうした経営環境を踏まえ、2021年度から2023年度末までの中期経営計画OYO Advance 2023を策定し、遂行しております。

OYO Advance 2023 では、2020年度末まで遂行してきた前中期経営計画OYO Jump18において創出・成長してきた新しい市場や新技術の萌芽を当社グループの次の収益事業として確実に成長させるとともに、ESG経営、SDGs目標の達成に貢献する新たな価値創造プロセスにチャレンジしております。

 

 

『OYO Advance 2023』の概要

a. 基本方針

サステナブル経営(ESG経営とSDGsの目標達成)を基本方針に、本業(4つの事業セグメント)を通じ、「社会価値」「環境価値」「顧客価値」の3つの価値の最大化を目指しております。

 

b. 成長ドライバー

DXを核としたイノベーション戦略に対する積極的な投資を行うことでグループ全体の成長を推進します。具体的には、DX戦略投資として10億円、研究開発戦略として45億円、合計55億円を次の3ヵ年の投資額として設定することにより、イノベーション戦略を進めております。

 

c. 経営基盤

世界における脱炭素化の大きな潮流が加速する中、DXを主軸とするイノベーションの推進、並びに以下の3つの構造改革を推進することで、当社グループの今後の成長基盤の構築に取り組んでおります。

「事業ポートフォリオ改革」

・4事業セグメントの改革

・国内外グループ会社の改革

「事業サービス改革」

・技術融合による改革

・協創による改革

「働き方・ガバナンス改革」

・DX活用による多様な働き方の実現

・中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス改革

 

d. 業績目標

OYO Advance 2023の最終年である2023年12月期における業績目標を、連結売上高620億円、営業利益率8%、自己資本利益率(ROE)5%としております。

 

e. M&A

中長期的な企業価値の向上と持続的な成長のために、M&A投資枠70億円を2021年11月に120億円へ拡大いたしました。引き続き国内外の良質案件への投資を進めて参ります。

(注)M&Aによる効果は上記のd.業績目標には含めておりません。

 

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす主要なリスクは以下のようなものがあります。

当社グループにはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、可能な限り発生の防止に努め、また発生した場合の的確な対応に努めていく方針であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 公共セクターからの受注構成比が高いことに関するリスク

当社グループの各事業において、公共事業領域は依然として当社の主要市場の一つであり、国及び地方公共団体等は主要顧客になります。国及び地方公共団体等の財政状況の悪化や事業量の縮小に伴う発注量の減少、調達方式の変更、並びに不測の事態に伴う指名停止措置等により、当社グループの営業成績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、公共事業に依存した従来型のビジネスモデルからの脱却を進めることで、そうしたリスクの抑制に努めています。

 

(2) 為替変動に関するリスク

当社グループの各事業は、国内外で事業を展開しています。各事業における海外での事業は、主に北米地区やシンガポールを拠点とした海外グループ会社が、現地通貨建てで取引しているため、為替変動により財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、必要に応じて為替予約等の措置を検討することで、そうしたリスクの抑制に努めています。

 

(3) 気候変動や自然災害等に関するリスク

当社グループの各事業は、地震や気候変動に伴う台風・豪雨・河川氾濫等の自然災害、火災等の不測の災害に見舞われた場合には、生産設備やデータの損傷・喪失、人的リソースの喪失等により事業活動の縮退、生産能力の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、炭素税の導入や環境負荷の少ない設備導入等により事業運営コストが増加する可能性もあります。当社は、災害等の発生を想定した事業継続計画(BCP)の作成とその定期的な点検・訓練の実施や、気候変動が事業遂行に与える影響を継続的に評価・モニタリングすることで、そうしたリスクを最小限に抑制するよう努めています。

 

(4) 感染症の世界的流行(パンデミック)の発生に関するリスク

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行(パンデミック)は継続しており、世界経済並びに日本経済に与える影響は今年後半まで続く可能性もあります。これに伴い、当社グループの事業に対する需要減少、サプライチェーンにおける納品遅延や調達コスト増加などにより業績に影響を及ぼす可能性もあります。当社は、各種リスクシナリオを想定しながら、そうした影響を最小限に抑える対応を取っております。

 

(5) 国際紛争・テロ行為に関するリスク

当社グループにおける各事業における海外での事業は、新興国や途上国における社会資本整備事業、開発事業を主要な市場と位置付けておりますが、これらの国では、国際紛争やテロ行為が発生する場合があり、紛争活動や武装行為に巻き込まれた場合には、事業の中止もしくは停止など、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社は、随時、諸外国の治安関連情報の収集を行うことで、そうしたリスクの抑制に努めています。

 

(6) 知的財産等に関するリスク

当社グループの各事業は、専門技術を用いた各種サービスや製品を提供するとともに、事業を展開する各国において商標登録等も実施していますが、将来的に知的所有権などの使用差し止めや、商標の使用停止、あるいは損害賠償を請求された場合には業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社は、適切な知財管理を行うための組織を設置することにより、そうしたリスクの低減に努めています。

 

 

(7) 資源価格変動に関するリスク

 当社グループの海外子会社の中には、化石燃料や鉱物資源探査用の機器やシステムを販売している会社があります。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界経済の不透明感が今後も継続する場合や、脱炭素化の流れが加速化することにより化石燃料への需要が減少し資源価格が大きく下落する場合、あるいは世界の需給関係の変動に伴い鉱物資源価格が大きく下落する場合には、子会社の業務に対する需要が停滞・減少し、その業績等に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクを低減するため、グループ会社の再編や事業転換を含めた事業ポートフォリオの見直しに努めてまいります。

 

(8) データの偽装・改ざん・流用に関するリスク

 当社グループの各事業の遂行過程において、社内ルールに反して各種データの偽装や改ざん、及び過去データ等の流用が発生した場合には、信用失墜や損害賠償請求などが発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、コンプライアンス教育の徹底や業務監査室による業務プロセスの検証や、業務マニュアルの見直しなどを進めることで、こうしたリスクの顕在化の抑制に努めています。

 

(9) ITシステムのセキュリティー管理に関するリスク

当社グループの各企業は、ITシステムを活用した業務処理並びに情報管理を行っています。コンピュータウイルスや悪意ある第三者の不正侵入により、ITシステムの停止やランサムウェア攻撃、情報漏洩等が発生した場合には、業務遂行に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社は、ITシステムの安全性及び情報セキュリティの強化に努めるとともに、関連する諸規定を整備し、ランサムウェア攻撃に対する防御策強化や外部からの不審メールに対する定期的な訓練を行うなどリスクの低減に努めています。

 

(10) 人材確保に関するリスク

 当社グループの安定的成長を持続させるためには、高度な専門性を有する優秀な人材の確保・育成が必要不可欠です。しかしながら、少子高齢化による労働人口の減少が進む中で、こうした優秀な人材の確保・育成が進まない場合には、業務遂行や業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社は、働きやすい職場の形成の推進や従業員の定着率向上、安定的な新卒者採用並びに優秀な中途採用者の確保等によりリスクの低減に努めています。

 

(11) 法的規制に関するリスク

当社グループは、会社法、金融商品取引法、税法、労働法、独占禁止法及び建設業法等の法規制を始め、品質に関する基準、環境に関する基準、会計基準等、事業展開している国内外のさまざまな法規制の適用を受けており、社会情勢の変化等により、将来において、改正や新たな法的規制が設けられる可能性があります。その場合には当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループが直接的または間接的に関係する取引の一部が法規制等に違反していると規制当局が判断した場合には、課徴金等の行政処分や社会的な信用の失墜等の影響を受ける可能性があります。当社は、随時、関連する法規制の最新情報や改正動向に関する情報収集に努めるとともに、社内での法令順守教育を徹底することでリスクの抑制に努めています。

 

(12) 保有資産の減損リスク

当社グループは、長期的な取引関係の維持などを目的として株式等の有価証券を保有しており、保有する有価証券の大幅な市場価格の下落、当該企業の財政状態の悪化等があった場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは国内外の事業拠点の不動産を所有していますが、不動産価格の下落等があった場合、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 繰延税金資産に関するリスク

繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しています。将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合、あるいは制度面の変更等があった場合には繰延税金資産が減少し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

売上高は、516億7千5百万円前年同期比104.2%)と前連結会計年度から20億6千7百万円増加いたしました。

売上総利益は、171億2百万円前年同期比109.4%)と前連結会計年度から14億6千6百万円増加いたしました。

販売費及び一般管理費は、134億3千5百万円前年同期比102.5%)と前連結会計年度から3億2千3百万円増加いたしました。

営業利益は、36億6千6百万円前年同期比145.3%)と前連結会計年度から11億4千3百万円増加いたしました。売上高営業利益率は7.1%となり、前連結会計年度から2.0ポイント増加いたしました。

営業外損益は、5億1千3百万円の利益となり、前連結会計年度から1億1千万円減少いたしました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ10億3千2百万円増加し、41億7千9百万円となりました。

特別損益は、1千8百万円の損失となり、前連結会計年度から3億円減少いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ13億3千3百万円増加し、41億6千1百万円となりました。

当連結会計年度における税金費用は、12億7千7百万円前連結会計年度に比べ1億4千4百万円増加いたしました。また、当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は1千7百万円前年同期は8千6百万円の損失)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は28億6千6百万円となり、前連結会計年度に比べ10億8千5百万円増加いたしました。

 

(インフラ・メンテナンス事業)

受注高は187億6千5百万円(前期比92.5%)となりました。売上高は183億5千9百万円(同98.0%)と若干の減収となりましたが、営業利益は、10億2千6百万円(同101.8%)と増益となりました。

 

(防災・減災事業)

受注高は122億2千9百万円(前期比87.8%)となりました。売上高は123億6千6百万円(同93.5%)となり、営業利益は5億4千万円(同62.8%)と減収・減益となりました。

 

(環境事業)

受注高は98億7千万円(前期比102.7%)となりました。売上高は99億3千2百万円(同106.3%)、営業利益は9億8千1百万円(同102.0%)と増収・増益となりました。

 

(資源・エネルギー事業)

受注高は138億8千5百万円(前期比164.3%)と大きく伸長しました。売上高は110億1千7百万円(同132.7%)と増収、営業利益は11億1千8百万円(前期は3億3千5百万円の営業損失)となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ16億1千5百万円増加し、856億6千1百万円となりました。 

流動資産は、前連結会計年度末に比べ22億1千9百万円増加し、647億6千8百万円となりました。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ6億3百万円減少し、208億9千2百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3億6千6百万円減少し、158億5千6百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ19億8千2百万円増加し、698億4百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億8千5百万円減少(前期は37億1千9百万円の資金増)し、235億9千9百万円(前期比97.2%)となりました

営業活動によるキャッシュ・フローは、営業活動の結果、得られた資金は23億7百万円(前期比46.9%)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資活動の結果、使用した資金は8億8千8百万円(前期は1千5百万円)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、財務活動の結果、使用した資金は25億4百万円(前期比255.6%)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

前年同期比(%)

インフラ・メンテナンス事業

(百万円)

18,359

98.0

防災・減災事業

(百万円)

12,366

93.5

環境事業

(百万円)

9,932

106.3

資源・エネルギー事業

(百万円)

11,017

132.7

合計

(百万円)

51,675

104.2

 

(注) 1  金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが中期経営計画 OYO Advance 2023 で目標としている経営指標における実績値は次のとおりであります。

目標とする経営指標

前連結会計年度

2020年12月期)

当連結会計年度

2021年12月期)

目標数値

(2023年12月期)

連結売上高

496億円

516億円

620億円

連結営業利益率

5.1%

7.1%

8.0%

自己資本利益率(ROE)

2.6%

4.2%

5.0%

 

 

b. 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

インフラ・メンテナンス事業

18,765

92.5

10,665

99.3

防災・減災事業

12,229

87.8

5,892

96.1

環境事業

9,870

102.7

3,302

95.2

資源・エネルギー事業

13,885

164.3

5,275

204.5

合計

54,750

104.8

25,136

109.7

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を当連結会計年度の期首から適用したことにより、前連結会計年度末の受注残高と当連結会計年度の期首受注残高は一致いたしません。

 

4 換算為替レートの相違により、「第5 経理の状況 (1)連結財務諸表等 注記事項(収益認識関係)(3) 当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報 ②残存する履行義務に配分された取引価格」の金額とは一致いたしません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

前年同期比(%)

インフラ・メンテナンス事業

(百万円)

18,359

98.0

防災・減災事業

(百万円)

12,366

93.5

環境事業

(百万円)

9,932

106.3

資源・エネルギー事業

(百万円)

11,017

132.7

合計

(百万円)

51,675

104.2

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年1月1日

至  2020年12月31日)

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

国土交通省

6,672

13.5

6,976

13.5

 

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、ワクチン接種の進行や緊急事態宣言等の解除実施に伴い経済活動の回復も期待されました。しかしながら、その後、海外で新たな変異株(オミクロン株)による感染再拡大が発生するとともに、わが国でも第6波の到来が警戒される状況となりました。こうした状況に加え、世界的な半導体不足の継続や原材料価格の高騰、急激な為替の変動などもあり、国内外の経済の先行きは引き続き不透明な状況が続いています。

当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては社会インフラの老朽化や「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の実施などにより、公共事業分野を中心に市場機会の継続が期待されています。また、世界的な気候変動に対する関心が高まる中、わが国でも政府のカーボン・ニュートラル方針や第6次エネルギー基本計画の策定などを背景に再生可能エネルギー市場拡大への動きが加速化するとともに、持続可能な社会の構築に向け市場の関心や意識も高まりを見せています。

このような状況の下、当社グループは当連結会計年度よりサステナブル経営の積極推進を基本方針とする中期計画「OYO Advance 2023」をスタートさせ、4つの事業セグメントを通じて「社会価値」「環境価値」「顧客価値」の3つの価値の最大化に取り組んでまいりました。具体的には、脱炭素化社会の構築に向けてデジタルトランスフォーメーション(DX)を核としてイノベーション戦略を推進するとともに、地盤3次元化技術を活用した地中可視化サービスの本格展開やハザードマッピングセンサを活用した新しい防災ソリューションの提供、洋上風力発電関連支援サービス等に注力してきました。

こうした取組みの結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、受注高は547億5千万円(前期比104.8%)となりました。売上高は516億7千5百万円(同104.2%)、営業利益は、36億6千6百万円(同145.3%)となりました。これにより、経常利益は41億7千9百万円(同132.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は28億6千6百万円(同160.9%)と増収増益となりました。

 

(売上高)

売上高は、516億7千5百万円前年同期比104.2%)と前連結会計年度から20億6千7百万円増加いたしました。これは、洋上風力関連事業を中心に、当社の売上高が大きく増加したこと、及び昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた海外グループ会社の売上高が回復したことによります。

 

(売上総利益)

売上総利益は、171億2百万円前年同期比109.4%)と前連結会計年度から14億6千6百万円増加いたしました。これは、上記のとおり売上高が増加したこと、及び当社および当社グループにおいて業務の効率化等により原価率が改善したことによるものです。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、134億3千5百万円前年同期比102.5%)と前連結会計年度から3億2千3百万円増加いたしました。営業利益は、人件費の増加などにより、販売費及び一般管理費が増加したものの、上記の売上高の増加、原価率の改善により、36億6千6百万円前年同期比145.3%)と前連結会計年度から11億4千3百万円増加いたしました。売上高営業利益率は7.1%となり、前連結会計年度から2.0ポイント増加いたしました。

 

(営業外損益、経常利益)

営業外損益は、5億1千3百万円の利益となり、前連結会計年度から1億1千万円減少いたしました。これは、主に米国の金利の低下や新型コロナウイルス感染症の助成金が減少したことによります。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ10億3千2百万円増加し、41億7千9百万円となりました。

 

(特別損益、税金等調整前当期純利益)

特別損益は、1千8百万円の損失となり、前連結会計年度から3億円増加いたしました。これは、主に前連結会計年度に米国連結子会社の業績不振により固定資産の減損を実施したことによります。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ13億3千3百万円増加し、41億6千1百万円となりました。

 

(法人税等(法人税等調整額を含む)、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における税金費用は、12億7千7百万円前連結会計年度に比べ1億4千4百万円増加いたしました。また、当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は1千7百万円前年同期は8千6百万円の損失)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は28億6千6百万円となり、前連結会計年度に比べ10億8千5百万円増加いたしました。

 

当社グループの事業セグメント別の業績に関する分析は、以下のとおりです。

 

(インフラ・メンテナンス事業)

国内グループ会社での低採算大口入札案件の対応見直しを行ったことや、シンガポール子会社で前年度受注した社会インフラ整備関連業務の反動減等の影響もあり、受注高は187億6千5百万円(前期比92.5%)となりました。売上高は183億5千9百万円(同98.0%)と若干の減収となりましたが、営業利益は、契約の増額変更等やDXや新技術を活用した商品・サービスの展開に注力したことにより10億2千6百万円(同101.8%)と増益となりました。

 

(防災・減災事業)

地震・津波等の災害予測業務等は堅調に推移したものの、前年度受注した防災関連機器業務の反動があったこともあり、受注高は122億2千9百万円(前期比87.8%)となりました。この結果、売上高は123億6千6百万円(同93.5%)となり、加えてパンデミックに伴う機器部品のコストアップ等もあり、営業利益は5億4千万円(同62.8%)と減収・減益となりました。

 

 

(環境事業)

過年度の災害発生を踏まえて森林保全業務が順調に伸長したこと、環境再生支援事業等が引き続き堅調に推移したことにより、受注高は98億7千万円(前期比102.7%)となりました。売上高は、99億3千2百万円(同106.3%)、営業利益は9億8千1百万円(同102.0%)と増収・増益となりました。

 

(資源・エネルギー事業)

国内における洋上風力発電関連業において受注が順調に拡大したことに加え、同分野での大口受注案件が発生したこと、前年度はコロナ禍による影響を大きく受けていた海外グループ会社の受注が順調に回復したこと等により、受注高は138億8千5百万円(前期比164.3%)と大きく伸長しました。売上高は110億1千7百万円(同132.7%)と増収、営業利益は11億1千8百万円(前期は3億3千5百万円の営業損失)となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ16億1千5百万円増加し、856億6千1百万円となりました。 

流動資産は、前連結会計年度末に比べ22億1千9百万円増加し、647億6千8百万円となりました。これは主として、当連結会計年度末に洋上風力関連の大型案件で完成業務未収入金が多く計上されていたため、前連結会計年度末と比較し、完成業務未収入金が12億3千1百万円増加(収益認識に関する基準を前期に適用していたと仮定した場合には6億7千万円増加)したことや、有価証券が固定資産からの振り替えで7億2千7百万円増加したこと、新型コロナウイルスの蔓延に伴うサプライチェーンの混乱を見越して原材料及び貯蔵品が5億9千5百万円増加したことによります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ6億3百万円減少し、208億9千2百万円となりました。これは主として、退職給付に係る資産が1億4千7百万円増加した一方で、流動資産への振り替えや株式の売却で投資有価証券が9億3百万円減少したことによります。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3億6千6百万円減少し、158億5千6百万円となりました。これは主として、受注損失引当金が1億7千9百万円減少したこと、J-ESOPの支給により流動負債及び固定負債の株式給付引当金が合計で1億5千万円減少したことによります。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ19億8千2百万円増加し、698億4百万円となりました。これは主として、自己株式の消却等で資本剰余金が12億1千4百万円減少した一方で、利益剰余金が20億6千7百万円増加したこと、新型コロナウイルス感染症等の影響で為替相場が大きく変動したことにより為替換算調整勘定が14億8千6百万円増加したことによります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億8千5百万円減少(前期は37億1千9百万円の資金増)し、235億9千9百万円(前期比97.2%)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は23億7百万円(前期比46.9%)となりました。これは主として、洋上風力関連の大型案件で売上債権が多く計上されたことから、売上債権の増加5億1千6百万円で資金が減少(前期は16億4千3百万円の資金増)した一方で、税金等調整前当期純利益41億6千1百万円(前期比147.1%)等の資金の増加要因があったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は8億8千8百万円(前期は1千5百万円)となりました。これは主として、土地の売却等で有形及び無形固定資産売却に係る収入2億1千2百万円(前期比55.0%)があった一方で、その他有形及び無形固定資産の取得による支出11億1百万円(前期比123.2%)等の資金の減少要因があったことによります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は25億4百万円(前期比255.6%)となりました。これは主として、自己株式の買付16億4百万円(前期は0百万円)、配当金の支払額8億3千8百万円(前期比99.0%)等の資金の減少要因があったことによります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下の通りであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費及び人件費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、研究開発、設備投資及びM&A等によるものであります。これらの資金につきましては、原則として自己資金で賄うこととしております。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」をご参照ください。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

 

2017年

12月期

2018年

12月期

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

自己資本比率(%)

80.9

81.9

81.1

80.4

81.0

時価ベースの自己資本比率(%)

46.2

36.0

47.8

38.1

62.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

4.2

1.9

7.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

686.0

490.0

332.5

422.7

251.3

 

※  自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注) 1  各指標は、いずれも連結ベースの財務数値によって算出しております。

2  株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3  キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りの仮定は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(追加情報)に記載のとおりです。なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。

 

(a)調査業務契約の履行義務の充足に係る進捗度の見積りによる収益認識

「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

 

(b)固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(c)繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、将来の技術開発を支える基盤的技術として、三次元化技術やIOT技術そして地盤情報データベースの開発を行うとともに、インフラ・メンテナンス事業、防災・減災事業、環境事業、資源・エネルギー事業の4つのセグメントにおいて、AI等のDX技術を積極的に活用して、顧客ニーズに応えるソリューションを提供するための技術および製品の研究開発を進めております。

今期も新型コロナウィルスの感染が全世界で猛威を振るい、さらにこれに起因するサプライチェーンの混乱による影響を製品製造部門は受けております。各国の経済対策に加え、原油等の資源価格も回復したことにより炭素エネルギーを始めとした地下資源産業に多くを依存してきた海外に拠点をもつ当社グループ各社にとっては部分的に追風となった側面はあるものの、周囲をとりまく経営環境は依然不透明です。一方、地球温暖化にともなう気候変動による洪水や地すべり等の土砂災害は激甚化し、地震災害なども含む自然災害の脅威はますます増大しています。

企業活動に対しては、脱炭素の流れが加速し、SDGsやESGに配慮した経営への関心が高まっており、このような世界の情勢に対応した技術を創出していくことが求められています。地球科学に関わる事業を担っている当社グループにとっても、最新の地球科学にもとづく研究開発をさらに加速して推進していくことが求められます。

BIM(Building Information Modeling)は、インフラストラクチャの計画、調査、設計、施工、維持管理までの全てのステージの情報を連携させ、事業者や施工者のみならず地域住民も含む全てのステークホルダー間で共有し、管理するライフサイクルマネジメントの取り組みです。海外では、欧州やシンガポールなどで、建設事業における三次元情報の相互連携を可能にするBIMが公共事業のみならず民間プロジェクトでも普及しつつあります。BIMは建築構造物を対象として発展してきたため、地盤の構造や地中埋設物のモデル化と、それをBIMに組み込むまでのプロセスの標準化が遅れています。当社グループは、世界に先駆けてBIMにおける地盤モデルの開発と標準化に取り組んでおります。当社は2018年にBIMの国際標準化機関であるbSI(building SMART International、本部:英国)に加入し、地盤モデルの規格案を策定するコモンスキーマプロジェクトとトンネルプロジェクトに運営メンバーとして参画し、地盤のモデル化と標準化に向けた提言を積極的に発信するとともに、関連する研究開発を行っております。また、地盤モデルの作成、解析、情報連携に必要なソフトウェア群をGeoToolsとして開発し、販売しております。

研究開発は、当社の技術本部研究開発センターが中心となり、IOT技術やAI技術を利用してDXを推進する情報企画本部や8事業部(計測システム事業部、情報システム事業部、メンテナンス事業部、砂防・防災事業部、地震防災事業部、地球環境事業部、流域・水資源事業部、エネルギー事業部)そして当社グループ会社が連携して実施しております。

研究開発を効率的に推進するため、外部機関の優れた技術の活用を図ることにも積極的に取り組み、公的研究機関、大学、民間企業との共同研究を進めるとともに、国内外の大学への寄付講座の設定、研究員の派遣、コンソーシアムへの参加を行っております。また、オープンイノベーションを実現するため、業種の異なる企業との技術開発や製品開発を積極的に行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は1,454百万円でありました。

 

(1) インフラ・メンテナンス事業

インフラ・メンテナンス事業セグメントにおいては、道路、トンネル、堤防、建築基礎などのインフラストラクチャの建設と維持管理に関するソリューション開発を行っております。

今期は、当社の有する地中レーダ探査装置やノウハウと株式会社日立製作所の有するAIや画像解析技術を組み合わせて地中のガス管や水道管といった埋設物に関する位置や寸法などを高精度に可視化・一元管理し、地下掘削工事などで必要となる埋設物情報を提供する「地中可視化サービス」を開発し、サービス提供を開始しました。

また、老朽化する道路構造物の維持管理分野では、トンネルやカルバートの三次元形状や表面の状況を自動計測し、AIを用いて診断するシステムや道路のり面の安全確保のために設置されたグランドアンカーの状況を効率的に検査する方法を開発し、市場投入を開始しました。

海外グループ会社のGEOPHYSICAL SURVEY SYSTEMS,INC.(米国)は、インフラ・メンテナンス用途向けの地中レーダの次世代機の開発、および、それに付随するサービス提供に関わる開発を行っています。

現在、コンクリート構造物点検用として多くのユーザにお使いいただいているStructure Scanシリーズの地中レーダなどの後継機種の検討を行っています。今後の開発においては、設計・製造方法を一新して他のシリーズの製品と共通化を図ることで、顧客ニーズに応じた多品種機種の開発、製造、修理対応が効率的に、かつ、迅速に応えることができる体制に転換することを目指しています。

当連結会計年度における研究開発費の金額は659百万円であります。

 

(2) 防災・減災事業

 防災・減災事業セグメントにおいては、自然災害に対する防災・減災に関わるソリューション開発を行っております。

今期は、激甚化する降雨災害や降雨に伴う斜面災害に対応するため広域災害監視ソリューションの構築を目指したクラウドベース監視システムの機能強化を図るとともに、災害を早期に検知するネットワーク対応の監視センサとして、クリノポール(斜面傾斜計)の品揃えの強化や簡易雨量計の開発を行い、センサーラインナップを強化しました。

政府が主導するSIPプロジェクトでは、災害危険個所を自動抽出する技術や大規模災害時に飲料水を確保する技術の開発に参画しております。また、自治体や地域住民へ避難情報を迅速に提供するため、センサーネットワークで観測された災害関連データに加え公的に利用可能な情報を一元管理して提供するシステムの社会実装にも取り組んでおります。

海外グループ会社のKINEMETRICS,INC.(米国)は、地震観測機器の専門メーカーとして地震防災に必要な地震計の製品開発、および、ソリューション提供を行っています。しかしCOVID-19によって発生した全世界的な物流の停滞への対応、老朽化した使用部品の代替のための製品の再設計が発生するなどで開発作業への影響があるものの、昨年に引き続いて低価格タイプの新しい地震データ収録機の開発に取り組んでいます。

また、橋梁、ダム、プラントなどの構造物の維持管理などの新たな市場開拓に向けて、それに対応できる地震観測システムの構築も行っています。

 当連結会計年度における研究開発費の金額は353百万円であります。

 

(3) 環境事業

環境事業セグメントにおいては、環境保全を支援するソリューション開発に取り組んでおります。

2020年から開始した建設工事で発生する有害重金属を含んだ廃土を安全かつ経済的に処理する技術の開発では、今期は実証事件を実施するとともに、実用化に向けて公的研究機関や総合建設会社とコンソーシアムを設立しました。

地方自治体のSDGsやESGに係わる目標設定やその達成を支援するため、地域の地盤特性や自然環境の特性を活かした開発可能性を評価するポジティブゾーニングの技術開発を行い、自治体向けの提案活動を開始しました。

また、発展途上国のグリーンインフラ整備を通じて国際的な事業展開を図るために実施しているウズベキスタンの荒廃地の緑化プロジェクトでは、緑化に用いる植物の選定や保育苗の育成技術の実証実験で効果が確認されました。2022年以降は、得られた知見や開発した技術を用いて緑化プロジェクトの事業化を開始する予定です。

当連結会計年度における研究開発費の金額は43百万円であります。

 

(4) 資源・エネルギー事業

資源・エネルギー事業セグメントにおいては、資源・エネルギーの探査、再生エネルギー事業開発、ならびにエネルギー関連施設の維持管理に必要な技術開発を行っております。

今期は、洋上風力発電所の立地に関わる地盤調査業務が大きく進展し、海底地盤の形状や強度を探査する海底微動アレイ探査の業務が急増しました。海底浅部地盤の状況を正確に知りたいという要望に応えるため、海底微動アレイ探査の浅部分解能を向上させ、かつROV(海中ロボット)で設置するだけで測定が可能な一体型の極小探査システムを開発し、サービスを開始しました。

海外グループ会社のGEOMETRICS,INC.(米国)は、地震探査、磁気探査装置などの専門メーカーとして、鉱物資源探査や土木地質調査向けの製品の開発を行っております。

既にリリースしているドローンに吊り下げて使用する小型の磁気探査装置のMagArrowについては鉱物資源探査だけではなく、土木地質調査用途への発展の期待が大きいものとして、搭載しているGPSの精度向上、顧客の使用時の操作性向上のためのソフトウェアの改良を行っています。

また、MagArrowで使用されている超小型磁気センサ技術を活用して、陸域で使用する既存の磁気探査装置の小型化、軽量化を図ることにも取り組んでいます。

海外グループ会社のROBERTSON GEOLOGGING LTD.(英国)は、ボーリング孔を利用した調査(検層)機器の開発・製造・販売を行っています。最近は鉱物資源探査分野以外の洋上風力発電所の立地調査やインフラ整備にともなう土木地質調査用途にも多くの検層機器が使われていますので、鉱物資源探査、土木地質調査の両方の用途に使えるような製品ラインナップの拡充を目指しています。

既に孔内観察用のボアホールカメラはリリースが開始されました。また、解析ソフトウェア(GeoCad)のうち超音波で孔内状況を画像化するモジュールが完成し、次には音波検層の解析ができるモジュールの開発へと順次作業を行っています。

当連結会計年度における研究開発費の金額は397百万円であります。