第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、人財育成企業として「独立自尊の社会・世界に貢献する人財の育成」を教育目標に、教育の分野における技術革新を果敢に推進し、「心・知・体」を総合的に育成できる新しい教育体系を構築することで、社会への貢献を果たすことを経営理念としております。この経営理念のもと、当社では、将来の経営環境の変化にも対応できるよう、組織と経営基盤の強化を図り、成長性、収益性、安定性に優れた企業をつくりあげることを基本方針としております。

 

(2)経営戦略等

当社は「教育の機会均等」を掲げ、「独立自尊の社会・世界に貢献する人財の育成」を教育目標として、新しい教育体系の確立に取り組んでまいりました。主要部門である高校生部門では、東進ハイスクール(直営校)および東進衛星予備校(FC加盟校)のネットワーク、AO・推薦入試の分野で独自のノウハウを持つ早稲田塾が、高い合格実績を背景に全国の高校生から支持され、その基盤を拡大しつつあります。さらに、効果的で質の高い教育の実現に向け、教材や教授法の開発・改善・充実に注力し、コンテンツを蓄積するとともに、生徒の学習効果測定においても、全国模試の充実など着実に成果をあげております。また小・中学生部門では、中学受験で培った高い評価と、全国の有力塾を結ぶネットワークを有する四谷大塚が、またスイミングスクール部門では、多くのオリンピック選手を輩出するイトマンスイミングスクールが、それぞれグループ会社として幼児から社会人までを結び、有機的に展開しております。

今後も既存部門で引き続き質の高い教育サービスを提供するとともに、国際化の進展や情報技術の普及向上に対応した新しい教育事業や、M&Aによる企業グループとしての総合力強化にも精力的に取り組み、全体としてのシナジー効果を高め、より優れた教育の開発、提供に努めてまいります。

収益面においては、収益増強策と併せ、学力向上に焦点を絞った効果的な人件費投入や、経費削減への取り組みなどの業務改善施策を引き続き推進し、効率的な費用投下の面からも高水準で安定した収益体質を作り上げてゆく所存でございます。

 

(3)経営環境

教育業界は、長期にわたる出生率低下による人口減を所与の問題として抱えております。これに加え、大学入試制度の見直し、英語教育の抜本的な改革など多方面に亘る教育改革の進行は、生徒父母のニーズにも変化をもたらし、今後の民間教育機関の在り方自体に大きな影響を与えるものと見込まれます。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

経営環境の変化に対応しつつ、当社グループの教育目標である「独立自尊の社会・世界に貢献する人財の育成」の実現に取り組み、引き続き高品質の教育を提供していくことが当社グループの課題とするところであります。

東進ハイスクールでは、既存校舎の体制整備の他、新規校舎展開も進め、最適な学習環境を追求しながら、学力向上と生徒一人ひとりの第一志望校合格を達成する校舎づくりを強力に推進してまいります。また、東進衛星予備校では、加盟校との連携と支援を強化して、個々の加盟校業績の向上とその積み上げによる安定した収益体制を確立いたします。これと併せ、「四谷大塚NET」から「東進中学NET」、「東進衛星予備校」へとつながる小中高一貫の教育体制を構築いたします。

英語教育の面では、近時の英語教育改革の流れを踏まえて「聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと」の4技能をバランスよく習得できるプログラムの開発に取り組み、児童英語の分野では東進こども英語塾を、大学生や社会人対象の分野では東進ビジネススクールを中心に事業を進め、海外への展開にも注力してまいります。

グループ会社においては、四谷大塚で新規校舎展開も含め、小学校低学年を含めた指導体制を強化するほか、イトマンスイミングスクールでは、オリンピック選手を輩出するスイミングスクールとしての実績に基づき、「心・知・体」のバランスのとれた教育の基盤作りに取り組んでおります。また早稲田塾では、大学入試改革を視野に、AO・推薦入試の分野におけるトップクラスの実績を生かし、東進ハイスクール、東進衛星予備校とのシナジーを高めるなど、より一層の業績回復に向け、連携を強めてまいります。

当社グループ全体が、教育目標の実現に向け、信頼できる人財育成企業としてのブランドイメージを確立するとともに、収益の増大と経費削減に努めることで、さらなる戦略的な投資ができる環境を整備することで、教育業界における確固たる地位を固めてまいります。

なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響については、現時点で予測しがたいものがあり、景気の見通しは依然として不透明で、国内外とも経済の状況を下振れさせるリスクを内包した厳しい状況が続くことが見込まれます。当社グループにおいては、環境変化に適時適切に対応し、情報発信を続けるとともに、生徒父母の期待に応えられる教育の提供に注力し、全国の児童、生徒の学力向上を支援してまいります。

このような環境下で教育機関ができる取り組みとして、「学習意欲はあっても学校に行けない」など、学習の悩みを抱える生徒達を応援するため、当社グループでは、民間教育機関の機動性を活かし、自宅で受講できる高校生対象の「自宅オンライン講習」、小・中学生対象の「全国統一オンライン講座」の無償提供を実施いたしました。「全国統一オンライン講座」には短期間で23万人の申込みという大きな反響があったため、6月15日からは、これをさらに進化させた「東進オンライン学校」を開校、全国の小・中学生を対象に、学校卒業までの期間中、すべて無償で提供することとといたしました。今後も、これまで当社が培ってきたコンテンツと、一連のオンラインによる施策で得たノウハウや知見を活かし、ディスタンス・エデュケーションのさらなる普及、新しい教育手法の開発にあたってまいります。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、株主重視の立場から収益性の向上に努め、売上高経常利益率を重要な指標として、その向上を実現し、内部留保の充実と業績に応じた株主への利益還元を行うことで、経営責任を果たしてまいる所存です。

当連結会計年度の売上高経常利益率は9.4%(前年同期比4.2%増)となり、対前年同期で大巾な改善となりました。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)少子化及び大学受験動向の影響について

 長期にわたる出生率低下による少子化の問題は、学齢人口の減少という形で教育業界における大きな課題となっております。大学入試の分野では、生徒数減少による影響に加え、推薦入試や選抜方法の多様化に伴い、生徒保護者のニーズも大きく変化してきております。

 当社グループの主要部門である東進ハイスクール部門では、主に現役高校生、高卒生を対象とする東進ハイスクール各校の運営を行っております。当社は同業他社に比べ、早期に現役高校生向けの校舎体制確立を図ったため、当連結会計年度の高卒生対象の売上高は164百万円(対前年同期6百万円増)、全売上高に占める構成比は0.4%(前年同期比0.0%増)と、高卒生減少による収益への影響は限定されておりますが、当該売上を含む、大学受験の環境変化の問題は当社グループの業績に影響を与える要因となります。

 また、少子化による教育業界の競争激化は、自ずと生徒父母の選択を厳しいものにしており、以前にも増して教育そのものの「成果」を問われる状況になっております。当社グループは一貫して「本当に学力を伸ばす」教育体系の確立に向け、様々な施策を実施しておりますが、時代のニーズに合った教育への対応が今後の当社の経営成績に影響する可能性があります。

(2)業績の3月に対する依存度について

 当社グループの主要な事業のひとつである衛星事業に関するロイヤリティー収入は、フランチャイズ加盟校での生徒入学、受講申込み時に売上計上されるため、生徒募集の最盛期である3月に営業収入、営業利益が集中する傾向にあります。このため3月の営業収入が全体に占める割合は高くなり、3月の業績により通期の業績が大きく左右される可能性があります。また、期末前後の売上状況により3月に見込んだ売上計上が4月にずれ込むこともあり、期間的なズレが期間損益、業績見込みに影響を与える可能性があります。

(3)新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症の影響に関し、当社グループでは厳重な対策を実施した上での事業活動を継続しておりますが、感染拡大により、今後、生徒募集の遅れなど、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

また、子会社である株式会社イトマンスイミングスクールにおいては、感染拡大防止のための休校措置により、売上高の減少など、当社グループの経営成績に影響を与える可能生があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の向上を背景とした個人消費の持ち直し等により、緩やかな回復傾向を維持して来ました。しかし、2019年10月の消費税率引上げに伴う個人消費マインドの変化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が増大し、先行きの不確実性が極めて高い状況となっております。

当業界においては、2020年度から新たに「大学入学共通テスト」が実施され、小学5・6年生の英語が教科化されるなど、大きな変化が始まる一方で、新型コロナウイルス感染拡大防止のための学校休校措置が長期間継続する状況が発生する中で、いかに児童、生徒に対する学習環境を提供するか、塾、予備校等の民間教育機関にも適切な対応が求められております。さらに、AIやIoTの活用、デジタル化の急速な進展により、必要とされる教育の内容や質が大きく変化しつつあるなか、教育手法の革新という面でも民間教育が担うべき役割や責務がますます大きくなっております。各企業は、少子化による市場縮小に加え、他業種企業の参入や教育制度改革への対応、生徒、保護者の厳しい選別にも直面し、企業間競争はさらに激しさを増しております。

このような環境の下、当社グループは、人財育成企業として、「独立自尊の社会・世界に貢献する人財の育成」という教育理念をグループ全体が共有し、その実現に取り組んでおります。

「心・知・体」の教育を総合的に行うことができる体制の構築を目指し、高校生部門(東進ハイスクール、東進衛星予備校、早稲田塾等)、小・中学生部門(四谷大塚等)、スイミングスクール部門(イトマンスイミングスクール)を中心に、各部門が提供するコンテンツの充実や教育指導方法の深化、受講環境の整備などを進めてまいりました。

当期は、第一志望校合格に向けた生徒の大巾学力向上を最重点課題として、習得すべき単元・ジャンルの問題に優先度をつけて提供する「志望校別単元ジャンル演習講座」をはじめとするAIを活用した講座の開発や、「大学入学共通テスト」に対応した教育手法や模試の開発などを進めてまいりました。こうした取組みは、今春も東京大学現役合格者数で当社史上最高数を更新したほか、旧7帝大、早稲田、慶応など難関大学への高い合格実績として結実しております。

これと併せ、高校1年生、2年生対象の「定期テスト対策特別招待講習」や「一日体験」、学力の高い新中学1年生を対象に早期学習を進める「スーパーエリートコース」、医学部受験に特化した「医学部特進コース」を新たに開始したほか、昨年度、年2回の「学力を伸ばす模試」として小学生から高校生までの一貫体制を整備した、「全国統一テスト」を引き続き実施し、当社グループ生徒層の裾野拡大にも取り組んでまいりました。

また、恒例となった「夏の教育セミナー」や「大学学部研究会」などを通した公教育との連携強化に加え、2019年11月には「ナガセ東京大学『革新的学びの創造学』未来社会協創(FSI)基金」を設立、東京大学と共同して教育の技術革新、次代のリーダー育成に取り組むなど、公私・官民の別に拘らず、より良い教育を希求するネットワークを広げております。

こうしたなか、当連結会計年度の営業収益は、45,182百万円(前年同期比1.1%減)となりました。これは、新年度募集の最盛期である第4四半期に新型コロナウイルス感染拡大の影響により生徒募集が計画を下回ったこと、イトマンスイミングスクールでは3月上旬を休校とし、感染拡大防止のための措置を取った影響などによるものであります。

費用面では、広告宣伝費を中心に削減が進み、費用全体では対前年同期2,409百万円の減少となる40,606百万円(前年同期比5.6%減)となりました。これは、大巾な学力向上の実現に焦点を絞った施策を引き続き積極的に進めた一方で、昨年、中学生テスト・高校生テストの6月新規開催に併せて実施した「全国統一テスト」関連のテレビCM費用圧縮など、広告宣伝費を対前年同期1,841百万円の減少となる、4,389百万円(前年同期比29.6%減)としたほか、各部門において経費の見直しを精力的に進めたことによるものであります。

この結果、営業利益4,575百万円(前年同期比71.6%増)、経常利益4,250百万円(前年同期比77.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,926百万円(前年同期比188.0%増)と、対前年同期で大巾な改善となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、セグメント利益は連結損益計算書の営業利益に調整額を加えたものであります。

(高校生部門)

当部門は、東進ハイスクール、東進衛星予備校、早稲田塾等で、主に高校生を対象とした教育事業を行っており、質の高い授業と革新的な学習システムを提供する我が国最大級の予備校として、当社グループの主要事業となっております。

当連結会計年度末時点の校舎数は、直営校として東進ハイスクール97校、早稲田塾12校、また東進衛星予備校のフランチャイズを構成する加盟校は1,020校となっております。

当連結会計年度のセグメント売上高は27,103百万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益は5,477百万円(前年同期比43.9%増)となりました。

 

(小・中学生部門)

当部門は、四谷大塚、東進四国、東進育英舎等で、主に小学生、中学生を対象とした教育事業を行っております。中学受験指導のパイオニアとして全国最大の中学受験模試「合不合判定テスト」を主催する四谷大塚、各地域に根差して展開する東進四国(東進スクール)、東進育英舎など、それぞれ特色を有し、事業を進めております。

当連結会計年度末時点の校舎数は、首都圏に四谷大塚29校(当連結会計年度中、6月に西船橋校舎、1月に日暮里校舎を開校。他にYTnet・四谷大塚NET加盟教室数863教室)、愛媛県で株式会社東進四国が運営する東進スクール15校、茨城県で株式会社東進育英舎が運営する東進育英舎3校となっております。

当連結会計年度のセグメント売上高は8,732百万円(前年同期比1.1%増)、セグメント利益は1,368百万円(前年同期比67.5%増)となりました。

 

(スイミングスクール部門)

当部門は、スイミングスクールの草分けであり、乳幼児から小中学生、成人に至る幅広い年齢層に支持されるイトマンスイミングスクールとして、国内最大級のスイミング事業を展開し、主に水泳教室、フィットネスクラブの運営を行っております。世界に通じる選手育成にも力を入れており、これまで30名以上のオリンピック選手を輩出し、スイミング界の名門として、高い評価をいただいております。

当連結会計年度末時点の校舎数は35校(他に提携校19校)となっております。

当連結会計年度のセグメント売上高7,141百万円(前年同期比4.7%減)、セグメント利益は475百万円(前年同期比15.9%減)となりました。

 

(ビジネススクール部門)

当部門は、東進ビジネススクール等で、主に大学生、社会人を対象とした教育事業を行っております。大学入学前の未履修科目補習、入学後の教養・基礎分野教材提供など、大学生の基礎学力向上に貢献する大学事業部、企業向けに映像・インターネットを駆使した各種語学研修プログラムを提供する企業営業部でそれぞれ事業を展開しております。

当連結会計年度のセグメント売上高は1,550百万円(前年同期比0.7%増)、セグメント利益は566百万円(前年同期比2.1%減)となりました。

 

(その他部門)

その他部門には、出版事業部門、こども英語塾部門、国際事業部門を含んでおります。

出版事業部門では、“東進ブックス”として数多くの学習参考書・語学書を出版、高校生向けの「名人の授業」「レベル別問題集」「高速マスター」等のシリーズものが堅調であります。また、特色ある「大学受験案内」の発行などを通し、東進のブランド力を高め、東進ハイスクール、東進衛星予備校等とのシナジー効果をあげております。

こども英語塾部門は、セサミ・ストリートを教材とした「セサミ・ストリート・イングリッシュ」を使用して「自ら進んで楽しみながら学習する」新しい英語学習を提案しております。

当連結会計年度のセグメント売上高は1,641百万円(前年同期比5.8%減)、セグメント利益は313百万円(前年同期比23.9%増)となりました。

当期の財政状態の概況は、次のとおりであります。

当連結会計年度末における財政状態は、前連結会計年度末に比べ総資産が312百万円減少し、66,812百万円に、また、純資産は2,159百万円増加して、19,104百万円となっております。

総資産の異動は、流動資産の減少1,036百万円および固定資産の増加723百万円が主な要因であります。この流動資産の減少は、固定資産の取得などによる現金及び預金の減少620百万円と、受取手形及び売掛金の減少744百万円に対し、流動資産のその他に含まれる短期貸付金が394百万円増加したことなどによるものであります。また、固定資産の増加は、有形固定資産の増加6百万円、借地権、ソフトウェアの取得による無形固定資産の増加230百万円、および投資その他の資産の増加486百万円があったことによるものであります。有形固定資産の増加は、文京区本郷事業用資産の取得があった一方で、文京区本郷事業用資産の売却、四谷大塚の柏校舎及び津田沼校舎の売却があったことを主要因とするものであります。なお、投資その他の資産の増加には、期末時価評価などによる投資有価証券の増加1,231百万円を含んでおります。

なお、純資産の異動は、親会社株主に帰属する当期純利益2,926百万円およびその他有価証券評価差額金等、その他の包括利益累計額の増加783百万円を計上した一方で、配当金の支払1,150百万円、自己株式の取得399百万円があったことによるものであります。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより14,542百万円となり、前連結会計年度に比べて576百万円減少いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは7,409百万円の資金増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益4,150百万円の計上に対し、減価償却費2,279百万円および減損損失195百万円の加算、売上債権の減少額744百万円、前受金の増加額473百万円があったことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは2,827百万円の資金減少となりました。これは、有形固定資産の取得による支出3,832百万円(文京区本郷事業用資産他)、有形固定資産の売却による収入2,172百万円(文京区本郷事業用資産、四谷大塚柏校舎、津田沼校舎他)、無形固定資産の取得による支出730百万円(ソフトウエア、借地権他)及び、長期前払費用の取得による支出260百万円、短期貸付金の増加額148百万円などの要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、5,157百万円の資金減少となりました。これは長期借入金の返済による支出680百万円及び社債の償還による支出2,923百万円のほか、配当金の支払額1,150百万円などの資金減少があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当社グループは、生徒に対して授業を行うことを主な業務としておりますので、生産能力として表示すべき適当な指標はありません。

b.受注状況

 該当事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

高校生部門(千円)

26,832,856

99.4

小・中学生部門(千円)

8,696,387

101.2

スイミングスクール部門(千円)

7,141,520

95.3

ビジネススクール部門(千円)

1,550,966

100.7

その他(千円)

960,411

89.9

合計(千円)

45,182,142

98.9

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来の関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

 a.当連結会計年度の経営成績等

 当連結会計年度の経営成績は、営業収益45,182百万円(前年同期比1.1%減)、営業利益4,575百万円(前年同期比71.6%増)、経常利益4,250百万円(前年同期比77.4%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は2,926百万円(前年同期比188.0%増)と対前年同期で大巾な改善となりました。

 b.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの主要な事業のひとつである東進衛星予備校は、全国のフランチャイズ加盟校を結び、大学受験を中心として、中学生、高校生から高卒生までの生徒に豊富な講座を提供しております。これらフランチャイズ加盟校の業績は、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼします。これに対し、当社グループでは、教材や募集ツールの開発、提供に止まらず、東進ハイスクール直営校や衛星事業の各加盟校での成功事例の標準化や、運営スタッフの教育・研修など、踏み込んだ加盟校バックアップを進め、「本当に学力を伸ばす」実績を作り上げることで、各加盟校の業績向上を図っております。

 c.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(高校生部門)

当部門では、2020年度の大学入試制度改革に向けた対応が求められるなか、第一志望校合格に向けた生徒の大巾学力向上を最重点課題とした施策を進めました。「志望校別単元ジャンル演習講座」をはじめとするAIを活用した講座の開発や、「大学入学共通テスト」に対応した教育手法や模試の開発を進めましたが、生徒募集の最盛期である第4四半期に新型コロナウイルス感染拡大の影響により生徒募集が計画を下回ったため、期中の生徒数推移は前年並みに留まることとなりました。

費用面では、「全国統一テスト」関連のテレビCM費用圧縮など、広告宣伝費を中心に経費の削減を進めました。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上高は27,103百万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益は5,477百万円(前年同期比43.9%増)となりました。

 

(小・中学生部門)

当部門では、四谷大塚を中心に生徒数が引き続き増勢にあることに加え、「全国統一テスト」関連のテレビCM費用圧縮による経費の削減があり、売上高、利益とも前年を上回りました。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上高は8,732百万円(前年同期比1.1%増)、セグメント利益は1,368百万円(前年同期比67.5%増)となりました。

 

(スイミングスクール部門)

当部門では、3月に新型コロナウイルス感染拡大防止のためイトマンスイミングスクールが休校措置を取った影響による減収303百万円があり、売上高・利益とも前年を下回りました。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上高7,141百万円(前年同期比4.7%減)、セグメント利益は475百万円(前年同期比15.9%減)となりました。

 

(ビジネススクール部門)

当部門では、大学事業部、企業営業部の研修受注が引き続き順調に伸びている一方で、人件費等固定費の増加があり、利益面では前年を下回りました。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上高は1,550百万円(前年同期比0.7%増)、セグメント利益は566百万円(前年同期比2.1%減)となりました。

 

(その他部門)

当部門では、セグメント売上高は出版事業部門の売上減少があった一方で、広告宣伝費をはじめとした経費の圧縮があり、利益面では前年を上回りました。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上高は1,641百万円(前年同期比5.8%減)、セグメント利益は313百万円(前年同期比23.9%増)となりました。

 

 d.財政状態

当連結会計年度末における財政状態は、前連結会計年度末に比べ総資産が312百万円減少し、66,812百万円に、また、純資産は2,159百万円増加して、19,104百万円となっております。

総資産の異動は、流動資産の減少1,036百万円および固定資産の増加723百万円が主な要因であります。流動資産の減少は、当期にクレジット売上に関する入金サイクルを短縮できたことなどにより、受取手形及び売掛金が減少したことなどによるものであります。固定資産は、当期に、AIを活用した講座開発の拠点として文京区本郷に事業用不動産を取得したこと等により増加となりました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は14,542百万円となり、前連結会計年度に比べて576百万円の減少(前連結会計年度は2,575百万円の減少)となりました。これは営業活動によるキャッシュ・フローが7,409百万円の資金増加(前連結会計年度は2,453百万円の資金増加)、投資活動によるキャッシュ・フローが2,827百万円の資金減少(前連結会計年度は4,654百万円の資金減少)、財務活動によるキャッシュ・フローが5,157百万円の資金減少(前連結会計年度は387百万円の資金減少)となったことによるものであります。

営業活動によるキャッシュ・フローの異動の主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加2,227百万円及び売上債権の減少781百万円であります。税金等調整前当期純利益の増加は、広告宣伝費を中心とした経費の削減により、費用全体で対前年同期2,409百万円の減少となったことが主な要因であります。売上債権の減少は、当期にクレジット売上に関する入金サイクルを短縮できたことなどによるものであります。

 b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、既存の事業活動継続のほか、事業拡大に必要な競争力獲得や、新規事業の立ち上げ等の営業費用であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

主な資金調達の手段としては、継続的な事業収益の計上による自己資金の積み上げを中心に、経営の機動性を確保するために金融機関からの借入・社債などを活用しております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、対前年同期3,607百万円減少し、28,944百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は14,542百万円となっております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。具体的には、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、当該見積りに用いた新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (追加情報)」に記載のとおりであります。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、割引前将来キャッシュ・フローの総額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

なお、これらの見積り及び評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

4【経営上の重要な契約等】

(1)当社は、衛星予備校の加盟校展開を図るためフランチャイジーと校舎毎に下記の内容の契約を締結しております。

① 契約の本旨

 当社が教育のノウハウを投入して開発した講義の実施および学習指導に係る一連のシステムパッケージと経営ノウハウとによって構成されるシステム「東進衛星予備校システム」を「東進衛星予備校ネットワーク加盟契約書」に基づきサービスを加盟校に提供する。

② 内容

 加盟校は、東進衛星予備校システムを使用した教育事業を許諾される対価として、次の金員を支払う。

イ)加盟校は、本契約の締結と同時に加盟金として金300万円を支払う。

ロ)加盟校は、東進衛星予備校ネットワーク加盟契約書で認められた校舎における売上から契約に基づくロイヤリティーを支払う。

③ 契約期間

 契約日より5年間。但し、この5年間経過の日が2月末日でない場合は、同日経過後に到来する直近の2月末日をもって、満了とする。契約満了の1年前までに、当事者のいずれからも書面による更新拒絶の意思表示がない場合は、さらに5年間自動更新される。

④ 契約校数

2020年3月末現在    1,020校

(2)連結子会社の株式会社四谷大塚は、「四谷大塚テスティングネットワーク」(YTnetと称する。)実施規約に基づいて首都圏提携塾契約を締結しております。

① 契約の本旨

 中学受験業界の活性化を促進するため、参加塾は互いの優れた技術や経験を持ちより、よりよい教育環境を父母・児童に提供すると共に首都圏提携塾相互に協力することを目的とする。

② 内容

 小学4・5・6年生の進学志望者に対し販売するジュニア予習シリーズ・予習シリーズ(基本編)・予習シリーズ等を主たる教材として使用し、YTnetが実施する各種テスト及び行事に参加の上、参加塾相互の発展・共存共栄を図る。

 1.参加塾の資格要件

  YTnetが定める要件を満たした塾。

1)必要な設備の設置
2)総合回テストへの参加
3)公開テスト等YTnetが主催する行事への参加協力
4)合格者を共有すること
5)保証金の納入

 2.参加する児童の資格要件

テストに参加する児童を「YTnet会員」と称し、その資格要件はYTnetが定めた基準を満たした者とし、認定は参加塾に一任する。

③ 契約期間

 契約日より2年間。契約満了日の6ヶ月前までに双方に異議のない場合は以後も同様とする。

④ 契約校数

2020年3月末現在    YTnet加盟教室数 512教室

5【研究開発活動】

 特記すべきものはありません。