文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、1955年に岐阜県岐阜市で貸布団業から事業を開始し、その後、病院向けのリネンサプライやホテルリネンサプライ、マットやモップなどのレンタルを行うリースキン、介護ベッドや車いすといった介護用品レンタル事業など、廃棄物の抑制を図る「レンタル」というビジネスモデルを通じて、持続可能な社会の実現の一助となるべく事業活動を行ってまいりました。
また、「清潔と健康」をテーマに、事業の選択と集中を継続的に実施し、現在では「医療と介護の現場を支える」「高齢者の自立した生活を支える」「地域の皆様の健康を支える」「日々の清潔な暮らしを支える」という4つの分野において、社会課題の解決に貢献する企業グループとしての成長を目指しております。
引き続き、お客様をはじめとするさまざまなステークホルダーから信頼され、必要とされる企業となるべく企業価値の向上に努めるとともに、事業活動を通じた持続的な社会の実現に貢献してまいります。
以上のような経営方針のもと、2024年に、グループ従業員が共有すべき考え方や価値観を「パーパス・ミッション・ビジョン」の形に改めて整理するとともに、当社グループが10年後にありたい姿として長期ビジョン「Vision2035」を策定いたしました。
<パーパス>
「人」と「地球」の「清潔と健康」を使命とし、縁ある全ての人々の幸せを実現する
<ミッション>
1. 創業以来の基幹事業であるレンタルビジネスを通じて、廃棄物の削減、循環型社会の実現に貢献します
2. 超高齢社会における医療介護の健全な発展に貢献します
3. グループ全従業員が笑顔で、たくさんのありがとうに囲まれた会社を目指します
※2020年に「トーカイグループ 3つの宣言」として掲げたものです。
<ビジョン>
「Vision2035」(2035年にありたい姿)
人々の「清潔」で「健康」な暮らしを支えるインフラ企業として、“健康長寿社会”の実現に貢献する
(2) 中期経営計画
<中期経営計画の位置づけ>
「Vision2035」に掲げる10年後のありたい姿の実現に向けて、当社は2026年3月期から2028年3月期を計画期間とする新たな中期経営計画を策定しております。当中期経営計画期間の3年間を「収益性向上と新たな価値創出に向けた種まき」のフェーズと位置付け、以下の基本方針に沿った取り組みを推進することで、さらなる企業価値向上を目指してまいります。
<基本方針>
① 利益最大化に向けた各事業における事業構造の改革
各事業において、よりニーズの高い高付加価値サービスに特化していくとともに、コスト構造の見直しを通じて持続的な利益成長を実現する事業構造へと変革していきます。また、事業ポートフォリオの認識を踏まえ、各事業が目指す方向性に合わせた戦略の実践により、トーカイグループとしての利益最大化につなげてまいります。
② 10年先の成長をけん引する新規事業の開発
将来人口推計や社会保障制度維持の観点から、「在宅」分野及び「予防・未病」分野の需要拡大を見据え、保険制度に基づくサービスだけでなく「保険外」のサービスを新たに確立させていくことを目指します。当中期経営計画期間においては、既存の主力事業を引き続き強化・拡大していくとともに、これまでの事業展開を通じて豊富な経営資源を有するヘルスケア領域において、強みを生かした新規事業の開発に注力してまいります。
③ グループシナジーの創出および最大化
現在の経営資源、顧客基盤に着目したグループシナジーの創出を図り、トーカイグループとしての価値の最大化を目指してまいります。
④ 人的資本への投資が成長につながる好循環の確立
成長をけん引する「人財」育成強化、従業員の働きがいを高める人事制度や組織の在り方の見直し、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進など、人的資本への積極的な投資を継続することで、企業の持続的な成長を促進してまいります。
⑤ バランスの取れた成長投資と株主還元の実施
資本効率性を高めるため、バランスを考慮した成長投資と株主還元を積極的に行ってまいります。
成長投資については、新規事業の開発やシルバー事業におけるM&Aを中心に新規投資枠として100億円を想定するとともに、レンタル事業の基盤拡充のための投資を継続し、収益性向上に資するシステム投資や新規出店を積極的に推進していく方針です。
株主還元については、計画期間3カ年の累計で「総還元性向70%超」を目安に実施していく方針です。安定配当の継続を最優先に、機動的な自社株買いを含む還元施策の検討により、適切な資本構成の実現を目指してまいります。
(2)に記載の2026年3月期から3カ年の中期経営計画において、最終年度となる2028年3月期の連結数値目標として「売上高1,700億円」「営業利益95億円」「ROE8%」を掲げております。
なお、初年度となる2026年3月期につきましては、売上高157,976百万円、営業利益8,216百万円を見込んでおります。
(参考:連結数値目標)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社が判断したものであります。
(1) サステナビリティ共通
①サステナビリティ基本方針
当社グループは、創業以来、「レンタル」を中心とする事業活動を通じて、「医療」「介護」「環境」分野における社会課題の解決、持続的な社会の実現に貢献していくことを目指して事業に取り組んでいます。
こうした経営の根幹の考え方をグループ全従業員で共有するため、2020年に以下の「3つの宣言」を掲げ、2022年5月に「サステナビリティ基本方針」として改めて制定いたしました。なお、これらの内容については、当社グループの経営理念体系におけるミッションとしても位置づけています。
当サステナビリティ基本方針に基づき、持続可能な社会の実現に貢献する企業グループとして、その社会的な責任を果たすとともに、更なる企業価値向上を目指してまいります。
当社グループは、「サステナビリティ基本方針」に則した企業活動を体系的かつグループ横断的に実践していくことを目的に、代表取締役社長を委員長とし、業務執行取締役および執行役員を中心に構成する「サステナビリティ委員会」を設置しています。本委員会は年2回以上開催し、気候変動リスク・機会の特定や評価、マネジメントおよび人的資本への対応をはじめとした、当社グループにおけるサステナビリティ課題の共有、各種施策の検討、実施事項の整備・運用に関する協議、ESG戦略の推進などを行っています。また、サステナビリティ委員会の下部委員会として、「リスク管理委員会」「コンプライアンス委員会」「環境委員会」を設置し、各サステナビリティ課題への対応の検討を行っています。
(体制図)

③リスク管理
当社グループは、当社グループに直接又は間接に経済的損失をもたらす可能性、当社グループの事業の継続を中断・停止させる可能性、当社グループの信用を毀損しブランドイメージを失墜させる可能性など、リスクを「企業活動を脅かす潜在的事象」と定義し、継続的な管理・実践を行うことにより、リスクの発生防止、並びに発生時の会社損失の最小化に努めております。
当社グループでは、リスク管理にかかわる課題・対応策を協議する組織として、代表取締役社長を委員長とし、取締役(社外取締役を除く)、執行役員及び主要な子会社の役員で構成されるリスク管理委員会を設置しております。
リスク管理委員会では、毎期、経営を取り巻く各種リスクの中から、特に重要性が高いリスクについて、「リスクの特定」「リスクの評価」「リスクの抑制」の観点から審議を行い、優先的に取り組むべきリスクを重点管理項目としております。これらリスク管理委員会で審議した重点管理項目は、取締役会において承認が行われ、各事業では、重点管理項目に基づき、リスクの抑制に取り組んでおります。
特に気候変動及び人的資本への対応などのサステナビリティ課題に起因する中長期的なリスクについては、各事業において設定した重点管理項目を改めて取りまとめたうえ、「サステナビリティ委員会」にて全社的な観点から評価を行っております。
なお、リスク管理の詳細は、
(2) 気候変動への対応
気候変動問題は、社会の持続可能性を脅かす喫緊の課題となっています。「人と地球の清潔と健康」を経営理念に掲げる当社グループとしても、気候変動への対応を経営の重要課題の一つと位置付け、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づいた情報開示を実施しています。詳細は、
①ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、「(1)サステナビリティ共通 ②ガバナンス」に記載のとおりです。サステナビリティ委員会は気候変動への対応の検討結果を、年に1回以上取締役会に報告し、取締役会は、気候変動に関するリスク・機会をはじめとしたサステナビリティに関する目標設定の監督やその進捗状況のモニタリングを行います。
なお、当社グループの2030年および2050年に向けた温室効果ガス排出量の削減目標は、当社の取締役会で承認しています。
②戦略
気候変動リスク・機会の特定および定性評価
当社グループに影響のある気候変動リスク・機会は次の通りです。
気候変動リスクの定性評価
気候変動機会の定性評価
※気候変動リスク・機会の評価における対象会社は、売上規模、工場保有の有無等から、株式会社トーカイ、株式会社トーカイ(四国)、株式会社同仁社、たんぽぽ薬局株式会社の4社における全事業(バリューチェーンの上流および下流)としました。
※気候変動リスク・機会の特定及び評価に使用したシナリオは、以下の通りです。
※発生時期:2024年を起算点として、今後5年を「短期」、10年を「中期」、30年を「長期」としました。
※影響度:グループ全体に影響する、あるいは事業停止につながる恐れがあるものは「大」、グループの事業の一部に影響があるものは「中」、影響が僅少なものを「小」としました。
気候変動リスク・機会の定量評価
当社グループにとっての気候変動リスク・機会のうち、2030年までの発生可能性が比較的高いものについては、事業への影響度を定量的に分析いたしました。事業への影響度が特に大きい、浸水等によるリスクについては、工場設備の浸水対策等を実施しています。その他のリスクについても、対応策を今後検討・実施してまいります。
気候変動リスクの定量評価
気候変動機会の定量評価
※1 洪水浸水想定区域の情報を基に、拠点の固定資産簿価に国土交通省の「TCFD提言における物理リスク評価の手引き」記載の浸水深別被害率を乗じて算定しています。
※2 過去の災害時の復旧費用の実績を参考に算定しています。
※3 WRIのAqueductの分析結果に基づき、当社として水ストレスが高いと認識している地域の洗濯工場における、井水から上水への転換に伴う費用として算定しています。
※4 外気温と設備の熱効率に関する当社分析データを基に、熱効率向上に伴うエネルギー使用量削減効果を算定しています。
③リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」をご参照ください。
④指標と目標
当社グループは、自社の燃料使用による温室効果ガス排出量(スコープ1)及び他社から供給された電気・熱・蒸気の使用による温室効果ガス排出量(スコープ2)の合計を、2030年までに2018年度比で50.4%削減し、2050年にはカーボンニュートラルを実現する目標を設定し、目標達成に向けた取り組みを開始しています。

スコープ1およびスコープ2排出量実績(単位:t-CO2)
※目標値および実績値の算定範囲は、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」及び「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」における温室効果ガス排出量の報告義務事業者である3社(株式会社トーカイ、株式会社トーカイ(四国)、株式会社同仁社)としています。
サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量(スコープ3)
サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量(スコープ3)の把握と削減についても、重要な経営課題の一つと認識しており、その算定対象範囲や算定方法については、適宜見直しを行ってまいります。
なお、当社グループにとって削減の重要性が最も高いカテゴリは、スコープ3の大部分を占めるカテゴリ1(購入した製品・サービス)であり、今後サプライヤーと協力し、削減に向けた取り組みを推進してまいります。
スコープ3排出量実績(単位:t-CO2)
※スコープ3排出量の算定範囲は、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」及び「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」における温室効果ガス排出量の報告義務事業者である3社(株式会社トーカイ、株式会社トーカイ(四国)、株式会社同仁社)に、たんぽぽ薬局株式会社を加えた4社としています。
※排出原単位は、環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver3.3)」及び「IDEAv2(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)」のデータを使用しています。
※カテゴリ1:レンタル資材や販売資材の仕入金額や、洗濯や配送等に係る外注委託費用をもとに算定しています。
※カテゴリ5:電子マニフェストを導入している事業所からの廃棄量のみを算定しています。
※カテゴリ8,10,13,15:該当する事業がない、もしくはあったとしても僅少のため非該当としました。
※カテゴリ9,11,12:当社はレンタルビジネスを中心に事業展開を行っているため、これらのカテゴリの排出量は僅少と推察されますが、算定対象とするか引き続き検討してまいります。
※カテゴリ14:一部の加盟店における排出量実績をもとに推計値として算定しています。
(3)人的資本への対応
①ガバナンス
人的資本に関するガバナンスは、「(1)サステナビリティ共通 ②ガバナンス」をご参照ください。
②戦略
ⅰ) 人材育成方針
当社グループは、「清潔と健康」に関わる幅広い事業を展開しており、「医療」「介護」「環境」分野における事業活動を通じて、社会課題の解決に寄与し、持続的な社会の実現に貢献できる企業グループを目指しております。
このような企業グループとなるために、以下3つの観点を組織基盤強化の最重要テーマとして、人材育成に取り組んでいます。
・社会の要請やお客様のニーズに応えるべく、何ができるのかを自ら考え主体性を持って取り組めるホスピタリティを持った人材
・経営環境の変化に対応し、チャレンジ精神をもって変革プロセスを描き具現化できる人材
・次世代につながる新たな価値を生み出すためにイノベーションを起こしうる人材
人が育つ企業を目指し、変化を楽しみ、やりがいをもって働くことが出来る企業風土の醸成に取り組んでまいります。
ⅱ) 社内環境整備方針
当社グループは、従業員を企業の成長を担う「人財」であり、他社との差別化を図る財産であると認識しております。人格、個性、多様性の尊重を基本方針として、従業員一人ひとりの人間力を高めるとともに、個性や能力を活かしながらキャリアプランを形成し、挑戦・活躍・成長することができる環境を整えることを目指します。また、心身の健康を保ちながら、安心して働ける職場環境を確立することで生産性の向上と、ワークライフバランスの実現を図ります。
さらに、持続的な成長の実現と企業価値向上につなげるために、専門性を高める機会の提供、次世代を担う経営層や幹部候補の育成、多様性を尊重した働き方の推進等の環境整備を推進してまいります。
ⅲ) 中核人材の多様性の確保
変化が激しい時代においては、多様な視点、価値観を経営に反映していくことが、当社グループが持続的に成長するうえで重要と認識しており、女性・中途採用者等の活躍推進を含む多様性の確保に努めております。
女性の活躍推進については、次世代育成対策推進法に基づく基準適合事業主(子育てサポート企業)取得等、従来より重要性を認識し、延長保育や病児保育の保育料補助、育休からの早期復帰者への保育手当の増額、育児時短勤務を中学校1年生の始期に達するまで可能とする等、子育て並びにキァリアパス支援等に積極的に取り組んでおります。
また、中途採用者の管理職比率は、約半数を占めている状況であり、中途採用者は女性とともに当社グループの企業価値向上には重要な人材であると認識しております。
中途採用者が企業文化や組織に馴染み、定着し、活躍できる環境整備を推進してまいります。
ⅳ) 具体的な取組み
人材投資については、人材育成方針、社内環境整備方針に則り、人間力強化のための社内勉強会の開催のほか、20代から50代までの各年代別に実施するキャリアデザイン研修、新任役職者を対象に実施する階層別研修、各事業本部で実施する業務研修、DX人材を育てるDXアカデミー、次世代幹部育成を目的とした選抜研修に加え、自らの意思で受講分野を選択できる自主選択型研修や通信教育など、多彩な環境を整え、人が育ち、やりがいを持って働くことができる企業風土の醸成に取り組んでいます。
これらのほか、担当業務を超えて会社の価値向上に寄与した従業員・グループを推薦し表彰する社長表彰制度や、成長を志向する従業員に年齢や性別を問わずチャンスを与え、管理職に抜擢する管理職登用制度、従業員のスキルや業務品質の向上と従業員のモチベーションアップを図るための資格取得祝金制度の導入、広い視点で決断のできる経営幹部(次世代経営者・管理職)の育成のため事業本部間を跨ぐ異動を行う戦略的人事異動などにも取り組んでいます。
③リスク管理
人的資本に関するリスク管理は、「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」をご参照ください。
④指標と目標(連結)
※1 2025年4月1日現在
当社グループは、当社グループに直接又は間接に経済的損失をもたらす可能性、当社グループの事業の継続を中断・停止させる可能性、当社グループの信用を毀損しブランドイメージを失墜させる可能性など、リスクを「企業活動を脅かす潜在的事象」と定義し、継続的な管理・実践を行うことにより、リスクの発生防止及び発生時の会社損失の最小化に努めております。
(1) リスク管理委員会の運用状況
当社グループでは、リスク管理にかかわる課題・対応策を協議する組織として、代表取締役社長を委員長とし、取締役(社外取締役を除く)、執行役員及び主要な子会社の役員で構成されるリスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会では、毎期、経営を取り巻く各種リスクの中から、特に重要性が高いリスクについて、「リスクの特定」(顕在化している、もしくは、潜在的なリスクの把握)、「リスクの評価」、「リスクの抑制」(受容・移転・低減・回避等)の観点から審議を行い、優先的に取り組むべきリスクを重点管理項目としております。これらリスク管理委員会で審議した重点管理項目は、取締役会において承認が行われ、各事業部門では、重点管理項目に基づき、リスクの抑制に取り組んでおります。
2026年3月期の重点管理項目に関する取締役会での審議におきましては、リスク管理委員会にて審議された内容及び各事業における中長期的なリスクの重要度を総合的に勘案し、重点管理項目を承認いたしました。
当該重点管理項目に対する、対策状況等については、リスク管理委員会及び取締役会において、定期的な評価・モニタリングを実施するとともに内部監査室においては重点管理項目を含めたリスク全般に関する内部監査を実施しております。
(2) 投資家の判断に重要な影響を及ぼす主要なリスク
当社グループの経営成績及び財政状態は、今後起こりうるさまざまな事象により影響を受ける可能性があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主要なリスクには、「社会保障制度の改定等によるリスク」、「人材確保に関するリスク」があり、以下にリスクの概要等について記載しております。
文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであり、国内外の経済情勢等の影響を受ける可能性があり、将来に渡るリスクすべてを網羅したものではありません。また、リスクへの対応策につきましても、リスクの発生防止を確約するものではありません。
① 社会保障制度の改定等によるリスク
我が国においては、他国に例を見ないスピードで進行する高齢化を背景として、医療・介護費の抑制が喫緊の課題となる中、法改正等により社会保障制度に大きな変更があった場合、ヘルスケア業界で主力事業を展開する当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
シルバー事業においては、3年に1度実施される介護保険法の改正等により、当社が提供する福祉用具貸与等のサービス内容や保険適用範囲の見直しが図られることで、当事業の収益に影響を及ぼす可能性があります。
調剤薬局事業においては、その収益のほとんどを保険調剤売上が占めております。そのため、2年に1度の診療報酬改定及び毎年の薬価改定等の内容によっては、当社調剤薬局事業の収益構造に大きな変化をもたらし、当社グループの経営状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、リネンサプライサービスの提供などを中心とする病院関連事業のほか、給食事業、清掃事業など、当社グループは医療機関や介護福祉施設等からさまざまな業務を受託しております。これら事業においては、社会保障制度の改定等により、当社グループの顧客である医療機関等の経営状況が変化することで、受託業務の内容や契約条件の見直しなど間接的な影響を受ける可能性があります。
これら社会保障制度の改定等については、関係省庁、各種業界団体等からの情報収集に努め、事業環境の変化に適切に対応していくとともに、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期経営計画」に記載のとおり、事業戦略に定めた事項を実行していくことで、経営への影響の極小化に努めてまいります。
② 人材確保に関するリスク
当社グループでは、医療機関や介護福祉施設等、高度な衛生管理が求められる場所を中心に各種事業を展開しており、衛生管理のプロとして、また、調剤薬局においては薬学の専門家として、その専門的な知識や経験を活かし、お客様にとって安心かつ安全なサービスの提供を心がけております。
当社グループの事業の多くは、「人を介したサービス・商品の提供」を通じて医療・介護の現場を支えております。これらのサービスが当社グループの強みである一方、医療・介護の現場を支える事業を維持・継続していくためには、労働力不足がますます深刻化していく状況下においても、人材を十分に確保していく必要があります。現業のサービス提供に必要な人材を確保できなかった場合、主要事業における機会損失が発生する恐れがあるほか、人材確保のための各種待遇改善等に伴う労務費が増加するなど、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況のなか、当社グループでは「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期経営計画及び (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に基づき、多様な人材が活躍できる労働環境・働き方の整備、積極的な採用活動、専門性を高める人材育成・教育に注力することで、より高品質なサービス提供を可能にする「人的資本」の強化に努めてまいります。
また一方で、システム投資やDXの推進等により業務効率化や生産性向上を継続的に図ることで、労働力不足といわれる環境下にあっても、攻めの企業活動を推進できるように取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)におけるわが国経済は、インバウンド需要の拡大、雇用・所得環境の改善などにより緩やかな回復基調で推移しております。一方、人手不足を背景とする物流費や人件費などのコスト上昇、地政学リスクの高まりといった国際情勢に起因する物価上昇懸念が残るなか、株価や為替が急激に変動するなど不確実性の高まる金融市場の動向や、米国の通商政策等の影響にも注視が必要であり、依然として経営環境は先行き不透明な状況が続いております。
このような環境のもと、当社グループにおいては、2025年3月期までを計画期間とする中期経営計画「Challenge for the new stage!」に掲げる各種施策の推進に取り組むことで、より一層の事業成長を図ってまいりました。
その最終年度となる当期においては、当社グループの成長をけん引するシルバー事業において、2024年12月に長野県でトップシェアを誇る株式会社介護センター花岡の全株式を取得し連結子会社化するなど、成長戦略の一つとしてM&Aにも積極的に取り組んでまいりました。さらに、2024年8月には、九州エリアに当社として初めての介護用品メンテナンスセンターを開設し、同エリアでの事業拡大を加速させるべく、福岡県内で新たに2拠点(M&Aを含む)を設置しております。
また、2024年7月に、リハビリ特化型デイサービス事業やドラッグストア事業などを展開する株式会社mik japan(大阪市旭区)の全株式を当社連結子会社であるたんぽぽ薬局が取得し、連結対象としております。引き続き人々の「清潔」と「健康」に関わる事業を展開する当社グループとして、一層の企業価値向上を目指してまいります。
① 前期比分析
当連結会計年度につきましては、主力のレンタル売上が好調に推移したことに加え、株式会社mik japanと株式会社介護センター花岡の連結子会社化等により増収となりました。
利益面では、新工場稼働に伴う減価償却費の増加、のれんの償却を含むM&A関連費用の計上、調剤薬局事業における原価上昇等を増収効果により吸収し、営業利益が増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績につきましては、売上高149,542百万円(前年同期比11,319百万円増、8.2%増)、営業利益8,205百万円(前年同期比123百万円増、1.5%増)、経常利益8,838百万円(前年同期比332百万円増、3.9%増)となり、売上高につきましては過去最高を更新いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、調剤薬局事業の一部店舗やシルバー事業の九州メンテナンスセンター及び株式会社mik japanに係るのれんを含む固定資産について減損損失を計上したことにより4,733百万円(前年同期比1,076百万円減、18.5%減)となりました。
(単位:百万円)
(注) 調整額は、主に事業セグメントに帰属しない一般管理費及びセグメント間取引消去であります。
病院関連事業では、前期に引き続き、戦略商品である「入院・入居セット」の介護福祉施設への営業を強化し、新規獲得に努めるとともに、サービス提供価格の適正化に取り組みました。シルバー事業においては、九州エリアのサービス体制強化に向けて九州メンテナンスセンターを開設したほか、リハビリデイサービス事業を展開する株式会社mik japan、長野県に盤石な営業基盤を有する株式会社介護センター花岡を連結子会社化するなど、シェア拡大、事業拡大に向けた取り組みを行いました。
これらの結果、病院関連事業の「入院・入居セット」をはじめとしたレンタル売上やシルバー事業の介護用品レンタル売上が好調に推移しました。また、寝具・リネンサプライ事業の売上が観光需要拡大に伴い伸長したことに加え、クリーニング設備製造事業の売上が省人・省力化設備への投資意欲の高まりにより伸長したことから、当セグメントは前年同期比増収となりました。利益面につきましては、2023年10月より稼働の埼玉工場に係る減価償却費の増加に加え、2024年12月に取得、連結子会社化した株式会社介護センター花岡の取得関連費用計上などの利益圧迫要因はあるものの、上記の増収効果、並びに寝具・リネンサプライ事業を中心としたサービス提供価格の適正化等により、前年同期比増益となりました。
(参考:主な指標等)
当期5店舗の出店、1店舗の閉店により店舗数が合計158店舗となった調剤薬局事業におきましては、かかりつけ薬局として、医療機関や他職種との連携を強化するとともに、継続的な薬学管理を通じた薬物療法の質と安全性の向上に努めております。さらに、DX体制の整備により患者さまの利便性向上を図るなど、地域で一番選ばれる薬局になるための取り組みを推進しております。
これらの結果、前期に出店した7店舗を含めた新店効果による処方箋枚数の増加及び処方箋単価の上昇に加え、ドラッグストア事業などを展開する株式会社mik japanの連結加入により前年同期比増収となりました。利益面につきましては、かかりつけ機能の強化等による技術料売上増加に伴う利益増の一方、薬価改定や医薬品の供給ひっ迫などを背景とした原価上昇、診療報酬改定をきっかけに給与体系を見直したことによる労務費・人件費の増加等により、前年同期比減益となりました。
(参考:主な指標等)
c.環境サービス
リースキン事業では、トイレ周り商品の拡販に注力し、「トイレアドバイザー」の育成に取り組むとともに、サニタリーボックスと生理用品配布ボックスをセットにした商品提案など、新たな取り組みにも挑戦しております。ビル清掃管理事業では、院内感染防止のための清掃に注力し、より高い専門性が求められる手術室清掃にも取り組んでおります。
これらの結果、トイレ周り商品の売上、病院清掃売上が好調に推移したものの、リースキン事業における加盟店向け商品販売の減少等により、当セグメントの売上は前年同期をわずかに下回りました。利益面につきましては、適正価格でのサービス提供、ビル清掃管理事業における工程改善等収益性向上に取り組んだものの、連結子会社におけるリースキン工場建て替えに伴う減価償却費の増加等により前年同期比減益となりました。
(参考:主な指標等)
② 数値目標(計画:2024年5月10日公表業績予想)比分析
当連結会計年度につきましては、売上高142,925百万円、営業利益7,695百万円を数値目標として掲げ、その達成に向けて取り組んでまいりました。
売上高につきましては、環境サービスにおいて計画を下回ったものの、株式会社mik japan、株式会社介護センター花岡の連結子会社化による増収を含む健康生活サービス及び調剤薬局サービスの売上伸長により、計画比6,616百万円増(4.6%増)の149,542百万円となりました。
営業利益につきましては、のれんの償却を含むM&A関連費用の計上等利益圧迫要因はあるものの、健康生活サービスにおける増収効果に加え、生産性向上、サービス提供価格の見直しに取り組んだことなどにより、計画比510百万円増(6.6%増)の8,205百万円となりました。
(単位:百万円)
(注) 調整額は、主に事業セグメントに帰属しない一般管理費及びセグメント間取引消去であります。
寝具・リネンサプライ事業をはじめとしてレンタル売上が好調に推移したことに加え、株式会社mik japan、株式会社介護センター花岡の連結子会社化により計画比増収となりました。利益面につきましては、連結子会社取得関連費用の計上等利益圧迫要因はあるものの、サービス提供価格の見直しを含めた増収効果により計画比増益となりました。
処方箋単価が計画を上回って推移したことに加え、株式会社mik japanの連結加入により、計画比増収となりました。利益面につきましては、増収効果の一方、医薬品の供給ひっ迫などを背景とした原価上昇、のれんの償却を含むM&A関連費用の計上等により計画比減益となりました。
ビル清掃管理事業が順調に推移したものの、リースキン事業が売上計画未達となったことなどから、当セグメントの売上高は計画比減収となりました。一方、利益面につきましては、サービス提供価格の見直しやコスト低減に努めた結果、計画比増益となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の114,926百万円から974百万円減少し、113,951百万円となりました。これは、のれんが3,938百万円、建物及び構築物が1,009百万円、棚卸資産が945百万円、有価証券が707百万円増加したものの、現金及び預金が5,530百万円、投資有価証券が1,868百万円減少したことが主な要因となっております。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末の28,137百万円から31百万円減少し、28,105百万円となりました。これは、未払消費税等(流動負債「その他」)が896百万円、未払法人税等が693百万円、短期借入金が570百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が1,073百万円、未払金が508百万円、預り金(流動負債「その他」)が283百万円、繰延税金負債が272百万円、長期借入金が216百万円減少したことが主な要因となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末の86,789百万円から943百万円減少し、85,845百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益4,733百万円を計上したものの、自己株式取得による減少が2,906百万円、配当金の支払いによる減少が2,142百万円、その他有価証券評価差額金の減少が704百万円あったことが主な要因となっております。
この結果、自己資本比率は74.8%(前連結会計年度末比0.2%減)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,522百万円(21.5%)減少し、当連結会計年度末には23,885百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動により得られた資金は、10,096百万円(前年同期比2,059百万円増、25.6%増)となりました。
この主な要因は、税金等調整前当期純利益7,353百万円、減価償却費4,850百万円による資金増加要因が、仕入債務の減少1,369百万円、法人税等の支払2,064百万円による資金減少要因を上回ったことによるものであります。
当連結会計年度における投資活動により支出した資金は、11,411百万円(前年同期比1,205百万円増、11.8%増)となりました。
この主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出6,564百万円、有形固定資産の取得4,111百万円による資金減少要因が、投資有価証券の売却による収入1,131百万円による資金増加要因を上回ったものであります。
当連結会計年度における財務活動により支出した資金は、5,197百万円(前年同期比2,001百万円増、62.6%増)となりました。
この主な要因は、自己株式の取得2,906百万円、配当金の支払2,141百万円によるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性について
① 資本の財源
当社グループは、当連結会計年度末において2,652百万円の有利子負債残高があります。財政基盤の強化については収益力及び資産効率の向上によることを基本としております。
② 資金の流動性管理
当社グループの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の30,407百万円に比べて6,522百万円減少し、当連結会計年度末には23,885百万円となりました。
資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしております。また、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しております。
なお、キャッシュ・フローの関連数値は以下のとおりであります。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成にあたっては、連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられるさまざまな要因に基づき見積りを行ったうえで、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社は、リースキン・エンタープライズ・チェーン(以下「L.E.C.」という。)のフランチャイザーとして地方本部及び代理店と伴に全国に跨る営業網を確立し、また、永続的な互助共栄の友好関係を保持し、併せて社会環境衛生向上の一端を担うために、地方本部及び代理店とフランチャイズ契約関係を形成しております。契約の概要は次のとおりです。
(注) 1 「L.E.C.」のフランチャイズ組織は、フランチャイザーである「本部」(当社)、サブフランチャイザーである「地方本部」、フランチャイジーである「代理店」の3層構造となっており、それぞれが独立した法人によって経営されております。「リースキン代理店契約書」は独立した法人である「地方本部」と「代理店」を当事者とする契約でありますが、当社は、「本部」機能を有するとともに、「地方本部」「代理店」への指導を目的として、地方本部機能・代理店機能も同時に有しているため、当社が「地方本部」として直接代理店と「リースキン代理店契約書」を締結する場合があります。なお、2025年3月31日現在における「L.E.C.」組織の地方本部数は46社、代理店数は822店となっております。
2 ロイヤリティの徴収はございません。
(株式取得による連結子会社化)
当社は、2024年6月15日開催の役員会において、当社の連結子会社であるたんぽぽ薬局株式会社が株式会社ミック・ジャパンから株式会社mik japanの発行株式の100%を取得することを決議し、2024年7月1日付で株式を取得いたしました。
また、当社は、2024年11月16日開催の役員会において、株式会社介護センター花岡の発行株式の100%を取得することを決議し、2024年12月3日付で株式を取得いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご覧ください。
特記すべき事項はありません。