文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 当社を取り巻く事業環境と対処すべき課題
国内のITサービス市場は、生成AIやブロックチェーン、クラウドコンピューティング、モバイルテクノロジーをはじめとする急速なテクノロジーの進化、データ分析技術の進化に伴うデータ活用の重要性の増加、データ流出やサイバー攻撃などのセキュリティリスクの増加など、企業のIT戦略、IT投資に質的変化が生じ、ビジネスとITの関係は一層密接になっております。
ITサービス企業は、これらの環境を踏まえ、常に新しい技術を取り込み、自社製品・サービスの継続的な提供価値の向上、革新的な製品・サービスの創出が求められております。また、事業環境の変化が加速し、先を見通すことが難しい「不確実な時代」に持続的に成長していくためには、事業分野、事業モデルの再構築による自己変革が重要となります。
このような事業環境の変化の中、当社は経営理念「夢ある未来を、共に創る」に立ち返り、「サステナビリティ経営」を実践していく上で、優先的に取り組む領域を決めて共有するために「マテリアリティ(重要課題)」を策定し、当該方向性を踏まえた2030年の目指す姿としてグランドデザイン2030を策定しました。このグランドデザイン2030の実現に向け2023年4月に第二期の計画となる「中期経営計画(FY2023-FY2025)」を発表いたしました。
<マテリアリティ>
当社グループの事業と当社グループならではの強み、社会に対して果たすべき役割から、以下7つのマテリアリティを策定しております。
<グランドデザイン2030>
グランドデザイン2030では、お客様やパートナーと共に社会課題の解決に貢献するビジネスを創り出すことによって、「2030年共創ITカンパニー」の実現を目指しております。
目指す姿の実現に向けて、当社グループの本質的な企業力を向上するべく、経済価値と社会価値、人的資本価値等の非財務要素を包含した企業価値である“総合的企業価値”の飛躍的な向上を図るとともに、従来とは非連続な価値創出を前提に社会課題の解決をリードする一流の会社を目指すことを意図する「売上高1兆円への挑戦」を掲げ、具体的な実現へのステップである中期経営計画に取り組んでおります。

<中期経営計画>
中期経営計画(FY2023-FY2025)は、グランドデザイン2030の実現に向けた第二期の中期経営計画として位置付けており、事業分野・事業モデルの再構築を進め、当社グループ発で新たな価値を提供する領域に積極的に取り組むことに加えて、収益性・生産性の高い事業モデルへのシフトを進めます。また、社員の能力を最大限に発揮できる業務環境の整備や事業分野・事業モデルの選択・構築を行うことで、社員一人ひとりの市場価値の最大化に取り組んでいきます。それらの推進に向けた具体的な取り組みをグループ基本戦略として取りまとめております。
<グループ基本戦略>
“総合的企業価値”の飛躍的な向上に向け、
・お客様や社会に対して、新たな価値を提供し続けるため、事業分野、事業モデルを再構築する
・社員の成長が会社の成長ドライバーと認識し、社員一人ひとりの市場価値を常に最大化する

(基本戦略1)事業シフトを断行~3つのシフト~
① 顧客市場 - 成長力ある事業領域へのシフト
② 提供価値 - 高付加価値分野へのシフト
③ 事業モデル- 高生産性モデルへのシフト
(基本戦略2)成長市場において、市場をリードする事業を推進
(基本戦略3)社会との共創による「次世代デジタル事業」を創出
(経営基盤強化)
① 技術ドリブン推進
② 人材価値最大化
③ 共感経営の推進
(成長投資)
3年間で1,000億円規模の積極的な投資を実行
(経営指標)
・財務目標
持続的な成長に向けた事業分野・モデルの再構築により高収益成長を実現
<2026年3月期>
- 営業利益:650億円
- 営業利益率:12.5%以上
- ROE:14%
・株主還元
<2026年3月期>
- 配当性向:50%
(2)中期経営計画の進捗
本中期経営計画を、「2030年 共創ITカンパニー」に向けた第二期として位置付け、第一期(FY2020-FY2022)の基本戦略の施策を収益化・業績貢献に繋げるべく、本中期経営計画における3つの基本戦略、経営基盤強化により推進いたします。
●基本戦略1:事業シフトを断行~3つのシフト~
•事業環境の変化に対応し持続的な成長に向け、事業分野・事業モデルを再構築いたします。
•収益率の向上とともに、持続的成長への投資余力・成長余力を創出いたします。
(取り組み例)
① 成長力ある事業領域へのシフト
組織ごとに対象領域を決め、事業の選択と集中を実施し、全社レベルで成長力ある事業領域(製造領域、モビリティ、セキュリティなど)へ要員をシフトし、個別リスキリング施策を実施しております。また全社でも、成長力ある事業領域への対応力を高めるべく、デジタルスキル標準教育を行っております。
② 高付加価値分野へのシフト
システム開発における上流工程へのシフト、及び、上流工程を担う高度人材の育成・獲得に取り組んでおります。また、提供価値に見合った取引価格へと、単価の適正化の取り組みが順調に進展しております。
③ 高生産性モデルへのシフト
生成AI活用による開発生産性向上に向けて、要件定義から運用、営業支援、企画・分析まで、各工程における適用検証を、全社の推進事項として実施しております。
●基本戦略2:成長市場において、市場をリードする事業を推進
•クラウド・デジタル活用にて成長を期する市場・技術領域において、当社グループの保有する強みをもとに、市場成長への貢献と共に、当社グループの高成長を実現いたします。
•現有リソースにとらわれないリソース集中、先進技術を組織的に活用、継続的に対象事業を見出します。
●基本戦略3:社会との共創による「次世代デジタル事業」を創出
•コア事業の知見を活かし、従来とは非連続な「次世代デジタル事業」、社会へ新たな価値創出をリードいたします。
•当社グループ「マテリアリティ」を起点とした領域における継続的な事業の開拓・挑戦を行います。
(基本戦略2及び基本戦略3の取り組み例)
ERP領域においては、複数の大手製造業顧客より大規模な基幹システム構築案件を受注するとともに、エンジニアリングチェーン領域、顧客接点領域、SoI領域を注力領域とし、ノウハウや事例を集約し顧客へ提供できる体制へと進化しております。
モビリティ事業では、リソース強化のため、専門教育とリスキリングを含む教育体制を拡充し、超上流となる専門性の高いエンジニアの採用と育成を強化しております。PROACTIVEにおいては、従来のアーキテクチャを大きくモダナイズし、AIの機能性と外部とのエコシステムを利用できるプロダクトへと転換するとともに、オファリングサービスの中核を目指しております。
セキュリティ・データインテグレーション・クラウドインテグレーション領域では、事業推進・強化を目的として、ネットワンシステムズ㈱に対し公開買付けを実施し、本公開買付けの結果、同社を2024年12月25日付で連結子会社としました。これにより、ネットワーク・ セキュリティ・クラウドからデータ活用等のアプリケーションの提供までを一体化したデジタルサービスとして提供可能となります。
また、カスタマーエクスペリエンス領域における、事業基盤・差別化要素の強化に向け、ダイアモンドヘッド㈱とSCSKプレッシェンド㈱を統合し、同社を連結子会社としました。
●経営基盤強化
「技術ドリブン推進」
先進技術獲得による新たな価値創出・事業開拓、社会実装に向けた高度先進技術者の拡充を行うとともに、長年蓄積された業務ノウハウ・著作物等の知財化、全ての顧客フロントでの顧客課題解決に向けた活用促進による知財価値の向上、ファンド出資等を通じたベンチャー企業との協業等のオープンイノベーションの推進を一層強化いたします。
「人材価値最大化」
本中期経営計画の方針である「社員の成長が会社の成長ドライバーと認識し、社員一人ひとりの市場価値を常に最大化する」の実現のため、多様な人材が活躍できるよう、ダイバーシティ&インクルージョンの実践、Well-Being・健康経営の推進、事業戦略と人材ポートフォリオの最適化、処遇・報酬制度等による基盤整備を行います。
「共感経営の推進」
会社・トップマネジメント・リーダーと社員の双方が“共感”することで、一人ひとり、あるいは一企業では成し得ない、大きく・新たな価値を生む原動力となることを踏まえ、共感経営を推進してまいります。
(経営基盤強化取り組み例)
当社グループ技術戦略「技術ビジョン 2030」を策定し、先進デジタル技術の最大活用による事業構造の変革(デジタルシフト)や生成AIの活用による飛躍的な生産性向上の実現及び自律型マルチAIエージェントを用いた自社サービスへの組み込みに取り組んでおります。また、コンサルティング機能拡充・事業開発強化に向け、実践ワークショップ型育成プログラムの実施や各事業グループでコンサル系人材の定義、目標・KPIを設定し、育成・獲得を推進しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、代表取締役 執行役員 社長の諮問機関であるサステナビリティ推進委員会にて、サステナビリティに関する全社的な課題、取り組み施策の検討や確認を行っております。
検討内容は、サステナビリティ推進委員会から、経営会議に報告し、経営会議で全社的な経営に係る観点からさらなる議論を行った後に、サステナビリティ推進委員会から定期的に取締役会に報告が行われ、取締役会で適切に監督される体制を整えております。
また、当社では中期経営計画の基本戦略・経営基盤強化策の実効性を高めるため、環境・社会・ガバナンスへの取り組みを含む個人評価が反映される役員報酬制度を採用しております。
なお、役員報酬制度の詳細は、「
サステナビリティに関するガバナンス体制及び各会議体の構成

サステナビリティに関する各会議体の役割と実施状況
当社グループでは、グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを適切にマネジメントするため、リスクマネジメントに関する規程を定めております。
サステナビリティに関するリスクについては、所管リスク担当部署とリスクマネジメント統括部署が共同し、外部レポートや外部有識者の助言をもとにリスク項目を分析しております。
分析したリスク項目は所管リスク担当部署からサステナビリティ推進委員会に報告を行い、同委員会にてリスクの確認、特定を行っております。特定したリスク項目は所管リスク担当部署からリスクマネジメント統括部署に報告を行い、リスクマネジメントに関する規定に則り、適切に管理されております。
当社のリスクマネジメントの詳細は、「
サステナビリティリスクの抽出・特定・評価の状況
①気候変動に関するリスク
当社グループは、気候変動が事業活動に与える当社への影響を評価するために、TCFDの枠組みに基づいて気候変動に関連する物理リスク、移行リスクの把握及び事業機会を整理しております。
気候変動リスク・機会については、各種政府レポートや各種開示基準(SASB、IFRS S2等)を参考に抽出を行っております。当社グループの事業観点を踏まえ影響が大きいと評価されたリスク・機会については、施策の方向性や対応策を検討しております。
2021年度に当社グループの温室効果ガス排出量の8割を占め、気候変動による影響が大きいと考えられる「データセンター事業」を対象にリスク・機会の特定・評価を実施いたしました。2023年度には当社グループ全体への気候変動による影響を把握するため、対象範囲を全事業領域に広げ、リスク・機会の特定・評価を実施しております。
②自然資本に関するリスク
当社グループは、事業が自然資本へ及ぼす依存と影響を評価するために、自然関連財務情報開示タスクフォース(以下「TNFD」)の枠組みに基づいて自然資本に関するリスク・機会の把握及び整理をしております。
自然資本関連のリスク・機会については、当社グループの全事業領域を対象範囲とし、LEAPアプローチ(※1)に沿って抽出、特定いたしました。
特定されたリスク・機会については、リスクの最小化と機会の最大化に向けた取り組みを進めることで、自然環境に配慮した事業活動に努めております。
(※1)LEAPアプローチ:TNFDにより開発された、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価する)、Prepare(準備する)のステップを通じて自然との依存・影響関係やリスク・機会など、自然関連の課題を評価する統合的なアプローチ。
③人権に関するリスク
当社グループは、「SCSKグループ人権方針」に基づいて、事業活動が与える人権へのリスクを特定・防止・是正するために、人権デュー・ディリジェンスを実施しております。
当社グループの人権デュー・ディリジェンスは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、「国連指導原則報告フレームワーク」、「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」など、国際的なガイドラインに沿ったプロセスで実施しております。2022年度に、当社グループ全体の人権への影響・リスクを評価するために、業種、地域、企業固有のリスクを踏まえ、優先的に対応すべき人権リスクを特定しました。
また、AI技術の急速な進展により、企業はAIを活用することで新たな機会を創出し、社会の利便性向上に寄与していますが、AIの利用方法によっては人権侵害をもたらすリスクも高まっております。
当社グループでは、事業においてAIが人権に与える影響を理解し、「AI事業者ガイドライン(総務省・経済産業省)」を踏まえ、AIシステム・サービスの開発・提供・利用に関する指針をまとめた「SCSKグループAI基本方針」を策定しました。当社グループでは、既に実施している取り組みの継続・強化に加え、特定された人権課題に対する新たな防止・軽減策の実践を進めることで、人権に配慮した事業活動に努めております。
サステナビリティリスクの詳細は、「
サステナビリティに関する戦略と組織目標策定の状況
①気候変動に関する事項
(戦略)
気候変動への対応は企業の長期的価値を左右する重要な経営課題と認識しており、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えております。このような考えのもと、当社グループ全体の気候変動の影響を把握するために、当社グループの全事業領域をシナリオ分析の対象として選定しております。気候変動に関連する物理リスク、移行リスクの把握及び事業機会を整理し、選択シナリオは4℃シナリオと1.5℃シナリオとしております。
選択シナリオの概要
■4℃シナリオ:経済活動を優先し、炭素規制や再生可能エネルギーの利用は進まず、自然災害の激甚化が進むシナリオ
■1.5℃シナリオ:炭素税の高税率化、炭素排出規制の強化などの政策が世界的に広まり、脱炭素化に向けた積極的な移行が進むシナリオ
主なリスク・機会の概要
■リスク:移行リスクとしては、カーボンプライシングの導入・拡大による操業コストの増加や、脱炭素電源拡大などに起因する電力価格の上昇を背景とした電力調達コストの増加などが考えられます。物理リスクとしては、大雨・洪水の発生による拠点の設備・在庫の棄損や、渇水時におけるデータセンターの冷却水使用制限に起因する操業停止による売上減少などが考えられますが、世界資源研究所(WRI)が提供する評価ツールであるAqueductを用いた調査により、大雨や洪水などによる浸水リスクおよび渇水リスクが無いことを確認しました。
■機会:温室効果ガス排出量削減に向けた社会全体の意欲の高まりや、気候変動による異常気象の増加を背景とした脱炭素型データセンターやレジリエントデータセンターの売上増加など、社会環境変化を捉えた新サービスの需要増加による売上増加が機会として考えられます。
主要なインパクト項目に対する評価結果

(※1)財務影響の評価に当たっては、温室効果ガス排出量削減目標の達成を前提としております。
(※2)電力調達コストの増加に起因する販売価格の適正化による売上増加は試算の対象外としております。
対応策定義
各シナリオにおけるリスク・機会を特定し、施策の方向性・対応策の観点を検討しました。今後、リスク回避/軽減および機会獲得に向けた施策の検討を継続的に実施し、策定された対応策を実行することによって事業活動のレジリエンス向上を目指します。

(指標と目標)
当社グループは、温室効果ガス排出量の削減に向けて、SBTイニシアチブの認定を取得した中長期的な削減目標を設定しております。
温室効果ガス排出量の削減に向けて、環境に配慮した事業活動に意欲的に取り組むとともに、脱炭素社会への変革を事業機会ととらえ、幅広い業界にわたるお客様やパートナー企業との共創を通じて脱炭素社会の実現、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
SCSKグループの温室効果ガス排出量削減目標と実績

(※1)温室効果ガス排出量の開示にあたり、当社WEBサイトに掲載の「2024年度 第三者保証報告書」におけるScope1、Scope2及びScope3の各合計数値についてKPMGあずさサステナビリティ㈱より、第三者保証を取得しております。
(※2)Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)。
Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出。
(※3)Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。
(※4)ネットワンシステムズ㈱を2024年12月25日付で連結子会社としたこと、及びビジネスの拡大に伴い増加しております。
(ご参考)
・TCFDシナリオ分析の詳細については、当社WEBサイトをご参照ください。
公開場所:当社WEBサイト(
・気候変動への対応など、その他の環境に関する取り組みにつきましては、
当社WEBサイト(
・2024年度の温室効果ガス排出量については、第三者保証報告書と共に当社WEBサイトで公開を予定しております。
公開時期:2025年7月
公開場所:当社WEBサイト
(
公開内容:Scope1,2,3排出量、Scope3 カテゴリ別排出量
②自然資本に関する事項
(戦略)
自然資本への対応は、企業の長期的価値を決定する重要な経営課題の一つと認識しており、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えております。2024年度には、当社グループにおける自然資本への依存・影響関係の把握、及び関連するリスク・機会を特定するため、TNFDが提唱しているLEAPアプローチに沿った分析を行いました。
Locate、Evaluate
当社グループのバリューチェーン毎に、一般的に自然資本に対しどのような依存・影響関係があるのかを、ENCORE(※1)を用いて分析しました。
分析した一般的な自然資本への依存・影響関係を、当社グループの事業内容や拠点の地理的情報などの定性的な情報と、各事業拠点の温室効果ガス排出量などの定量的なデータを用いて整理し、当社グループにとっての自然資本への依存と影響を特定・評価しました。
その結果、特にデータセンターの操業における水資源への依存や、データセンターやオフィスの操業に伴う、温室効果ガスや廃棄物の排出において、当社グループ単独で直ちに自然環境に及ぼす影響は確認できませんでした。また、温室効果ガスの排出による影響、及び大雨・洪水によるリスクについては、「①気候変動に関する事項」をご参照ください。
(※1)ENCORE:産業別の自然への潜在的な依存・影響などを把握することができるツール
Assess
特定した依存と影響に基づき、当社グループのリスク・機会を抽出しました。抽出する際には、TNFDガイダンス(※2)を参照した他、TCFD開示等で特定した自然に関連するリスク・機会の項目についても再検討し、網羅的に洗い出しを行いました。抽出したリスク・機会については、ステークホルダーにとっての重要性と、当社グループにとっての重要性の観点から評価、特定するとともに、当社グループの対応策を整理しました。
(※2) Guidance on the identification and assessment of nature-related issues: the LEAP approach(version1.1)

Prepare
リスク・機会の分析結果を踏まえ、関連する指標について目標を掲げています。また、今般特定されたリスク・機会、及び指標と目標については、定期的に見直し、対応策の検討を実施していきます。
(指標と目標)
当社グループは、自然関連リスク及び機会を管理・評価するため、温室効果ガス排出量の削減(Scope1,2,3)の定量的な目標を設定しています。
温室効果ガス排出量削減の定量目標については、「①気候変動に関する事項」をご参照ください。
③「人的資本・多様性」に関する事項
当社グループは、「サステナビリティ経営」を成長戦略として取り組むことを掲げており、コアコンピタンスを活用して、お客様や社会と共にさまざまな社会課題の解決に貢献し、社会が必要とする新しい価値を創出しながら、社会と共に持続的に発展することを目指しております。
当社グループの経営理念「夢ある未来を、共に創る」を実現するために掲げている“3つの約束”では、最初に「人を大切にします。」ということを宣言し、社員一人ひとりの個性や価値観を尊重し、互いの力を最大限に活かすことを約束しております。
2024年3月期よりスタートした中期経営計画では、経済価値と社会価値、人的資本価値等の非財務要素を包含した企業価値である「総合的企業価値」の飛躍的な向上に取り組むことを方針として掲げております。
人的資本価値の向上については、社員一人ひとりの「人材価値最大化」を基本方針としており、社員の能力開発(専門性、スキル、経験等)への投資とともに、社員の能力を高められる事業・案件を常に選択し、成長できる場・環境を用意すること、また、社員が持つ能力を最大限に発揮できる事業分野・事業モデルを常に選択・構築することに取り組んでおります。また、これまでの働き方改革や健康経営を中心に培ってきた働きやすい環境に加え「働きがい」を実感できる会社を目指し、社会価値や経済価値創出への貢献を通じた働きがいやエンゲージメントを高める Well-Being 経営を推進しております。
これらの方針や取り組みを、経営・マネジメントと社員の双方が共感し進められるよう、役員評価に「共感経営」を導入し、理念・ビジョンを共有し共感を生むリーダーシップを発揮することを評価し、その実践度を社員意識調査で計測しております。今後も、社員一人ひとりの主体的な貢献意欲を価値創出の原動力とし、人材価値を最大化する人的資本経営の実践により、グランドデザイン2030に掲げる「共創ITカンパニー」の実現を確実にすべく取り組んでまいります。
(戦略)
人材価値最大化の基本方針に則った4つの重点施策と全社会議体を設定し、取り組みを進めております。
<人材戦略に関する重点施策>
■事業戦略と人材ポートフォリオ
事業戦略と動的に連動する中期の人材ポートフォリオ計画を、各事業をマネジメントする組織単位で策定し、その計画に基づきOJTとOFF-JTを組み合わせた人材育成やリスキリングを実行することで、事業戦略に合致したスキルや高度な専門性を有する社員を育成しております。事業戦略をリードする高度デジタル人材の育成においては、実務を通じて実践的なスキルを磨くことに加え、基礎的な知識や手法を体系的に学び実践力を高めるトレーニングが必要なため、デジタル実装力を高めるAIやクラウド等の先進技術者向けの全社教育を拡充しております。
また、多様な社員がそれぞれの能力や意欲を最大限発揮できるよう、事業の構造改革、適材適所の人材配置、職場環境の整備などを同時に進めることで、人材価値最大化を目指しております。そのためには、事業戦略と人材戦略の連動、そして社員一人ひとりの能力発揮と成長意欲が不可欠であることから、自律的・戦略的・統合的なキャリア開発基盤として「iCDP(Integrated Career Development Plan)」を策定し、複数の制度・施策のつながりを重視した人材価値最大化の基本サイクルを回すとともに、人的資本管理システム「LAP-HCM」の導入により人材情報の可視化・分析を行っております。これにより、全社の人材戦略をはじめ、組織のマネジメントや育成計画の策定、社員一人ひとりのスキルアップと自律的なキャリア開発を促し、ラーニングカルチャーの醸成にもつなげております。

■処遇・報酬制度
競争の激しいIT人材市場において優秀な人材の確保・定着を実現するとともに、社員一人ひとりが高い目標を掲げて意欲的に挑戦できる風土を醸成し、持てる能力を最大限に発揮し成長し続けるために、人材価値を適切に評価し報いる処遇・報酬制度を整備しております。
人材価値最大化の基盤となる人事制度では、組織運営を通じて事業成長を担う経営・マネジメント人材の「GM職掌」、実力をダイナミックに評価するプロフェッショナル人材の「基幹職掌」など、キャリアパスごとの期待・役割に応じて、最適な人材育成と処遇を実現する複線型の人事制度を採用しており、多様な人材が能力開発に取り組み、チャレンジ志向と成長志向を持つ自律的な人材が集う会社を目指しております。また、高い市場価値を有し事業成長に寄与する優秀な人材の確保においては、年収3,000万円超での処遇を可能とする「ADV職掌」を設け、高度な人材の拡充にも取り組んでおります。IT人材の獲得競争が激化し市場価値が高まる中、優秀な人材の確保および社員エンゲージメントをさらに向上させるため、直近2年間では、2024年7月に全社平均で6.1%、等級別の平均では最大10%程度の報酬水準の引き上げを実施しました。2025年7月には例月給与を全社平均で15,000円引き上げ、人事評価や昇格に伴う昇給額と合わせ全社平均では5.2%の報酬水準の引き上げと、新卒採用者の初任給については月額10,000円の増額を予定しております。今後さらに激しく変化が続く事業環境を見据え、事業戦略や市場価値に応じた柔軟な処遇設計を可能とし上位職務への挑戦を促す人事制度への改定に取り組んでまいります。
社員の専門領域での能力は「SCSKキャリアフレームワーク」に基づき7段階のレベルで評価・認定する専門性認定制度により、プロフェッショナル人材の専門性とそのキャリアステップを可視化し、社員の成長を促しております。専門性認定審査のプロセスを通じて目指すレベルとのギャップを把握し、社員と上司が具体的な人材育成計画を策定することで、効果的な専門能力向上のための育成を行っております。専門性認定上位レベルの認定者には、専門性認定手当・一時金を支給し、高度専門人材への適切な処遇を実施するとともに、上位レベル認定に向けたより高レベルの業務への挑戦や学習の促進を図るなど、社員一人ひとりの市場価値の最大化に取り組んでおります。さまざまな事業領域においてデジタル技術の活用やソリューションへの実装を促進するため、高度デジタル人材の人材像と必要なスキルを定義し可視化するデジタルスキル認定制度の創設に向け準備を進めております。
■Well-Being経営
当社グループの最大の財産、かつ成長の原動力は“人”であり、社員一人ひとりの健康こそが、社員やその家族の幸せと事業発展の礎であることから「社員が心身の健康を保ち、仕事にやりがいを持ち、最高のパフォーマンスを発揮してこそ、お客様の喜びと感動につながる最高のサービスが提供できる。」という健康経営の理念を2016年3月期に明文化し、健康経営を経営上の重点課題として取り組んでまいりました。
2024年3月期からは、これまでの取り組みで培ってきた働きやすい環境を土台とし、価値創出を通じた社会への貢献と働きがいを実感できるWell-Being経営を実践しております。Well-Being経営の実践においては、当社グループにおけるWell-Beingの7つの価値観と25の指標を独自に定義し、アンケート調査にて社員のWell-Beingの実感値を可視化しております。その結果は「SCSK Well-Being Score」として組織にフィードバックし、組織の実態と照らし合わせながら、Well-Being度を高めるサイクルの確立を目指しております。また、当社グループの全社員がアクセスできるWell-Beingポータルサイトを開設し、Well-Beingの解説動画コンテンツやトップメッセージに加え、当社グループの各社・各組織でのWell-Being向上活動を支援する施策ガイドなどの情報を提供しております。Well-Being経営の理解浸透と組織・社員の主体的なWell-Being向上活動の取り組みにより、2024年3月と11月に実施したアンケート調査では「働きやすさ」「働きがい」ともにWell-Beingの実感値が向上しております。
今後も、当社グループ全体でのWell-Being経営の実践を通して、社員一人ひとりの主体的な貢献意欲を価値創出の原動力とし、「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる会社を実現することで、当社グループのエンゲージメント向上を目指してまいります。

■ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)
2025年3月期から、D&IにEquity(公平性・公正性)とBelonging(“共に働く”と定義)の要素を加え、DEIB(Diversity, Equity, Inclusion, Belonging)へとその概念を進化させ、すべての人材がその能力を最大限発揮できる「働きやすい」「働きがい」のある会社を目指しております。

これまで、さまざまなバックグラウンドを持つ多様な社員が同じステージで活躍できるよう、長時間労働を是正し生産性の高い働き方を目指すスマートワーク・チャレンジや、勤務場所や勤務時間に柔軟性を持たせるリモートワークやフレックスタイム制度、各世代のライフイベントをサポートする各種休暇制度の導入などの環境整備に取り組んでまいりました。これらの取り組みは、社員の自律的な意識の醸成やワークライフバランスの確立に寄与し、DEIB推進の土台にもなっております。
育児との両立支援においては、育児休業や育児休暇を取得する期間に限らず、恒常的に男女ともに育児に参画しながら仕事との両立ができることを目標としております。育児初期においては、育児休業の分割取得や育児に関する特別休暇の拡大に取り組んだ結果、男性社員の育児休業取得率は5年前に比べると10倍に増え、育児休暇も含めると育児に関する休業・休暇の取得率は80%を超えております。男性社員の育児へ参画意識が高まっていることから、2025年3月期には「配偶者の出産休暇」制度を改定し、対象期間と付与日数を最大20日間へ拡充しました。今後も男性の家庭参画を後押しする職場環境を整備し、性別を問わず仕事と育児の両立がしやすい組織風土のさらなる醸成を目指します。
また、多様な人材の能力を引き出し、組織の意思決定における多様性を確保するためには、マネジメント層の人材の多様性を確保する必要があることから、2012年にD&I推進の専任組織を設置して以来、女性の登用については継続的に取り組んでまいりました。社会的背景やアンコンシャスバイアスを克服し、女性の登用を着実に進捗させるため、女性ライン管理職の登用目標を設定するとともに、2階層上のライン職によるメンター制度の導入や、必要なスキルを習得するための社外研修への参加機会、経営層やロールモデルとの対話の場を提供するなどの各役職別の育成・登用に向けた各種プログラムを実施しております。
提出会社の女性登用・育成目標
さらに、属性に関わらず安心して働き、活躍できる職場環境を作るため、LGBTQのインクルージョンを目的とした社員の理解促進、意識啓発にも取り組んでおります。今後は、グループ会社社員も参加可能なオンラインセミナーの開催やアライネットワークの交流の場を通じて、当社グループ全体に取り組みを広げて行く予定です。また、障がい者雇用に関しては、当社グループ及び特例子会社である東京グリーンシステムズ㈱での雇用推進に加え、2025年3月期からパラアスリートの雇用を本格的に拡充し、パラスポーツ競技で活躍しているアスリートへの理解を通して多様性を受け入れるマインドの醸成に取り組んでおります。
属性に関わらず多様な人材がその能力を最大限発揮できる「働きやすい」「働きがい」のある会社を目指し、今後も様々な取り組みを推進してまいります。
(ご参考)
<人材戦略に関する全社会議>
■人材戦略会議
人事分掌役員を議長とし、事業遂行の責任者である各事業部門のグループ長と経営企画分掌役員、人材戦略本部で構成しております。事業戦略と人材戦略の連動性向上など、今後の人材戦略に関する取組みや人事諸制度の刷新に向けた議論を行い、戦略の実行力を高めております。
■DEIB推進委員会
人事分掌役員を委員長、人事分掌役員補佐(DEIB・Well-Being推進担当)を副委員長とし、各事業部門代表の本部長、DEIB・Well-Being推進専任組織責任者で構成しております。意思決定の多様性を確保する女性登用の取り組みやWell-Being経営の実践に向けた具体的な施策について議論を行い、多様な人材が保有する力を最大限に発揮できる職場環境整備と企業風土醸成を推進します。
(指標と目標)
中期経営計画においては、先進技術者の育成に加え、コンサルティング機能の拡充や新規事業開発強化を担うコンサル・ビジネスデザイン人材、質の高いプロジェクト遂行とマネジメントができる高度プロジェクト・マネージャ人材の採用や育成強化について具体的な目標を設定して取り組みを進めております。また、各人材の育成施策および人材獲得、競争力を確保するための報酬水準の引き上げに100億円~200億円規模の人財投資を実行しております。
「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる会社であること、「心身の健康」が整い高いパフォーマンスを発揮できることは、技術の変遷や事業環境の変化に関わらず求められる基礎的な事項であることから経営指標として設定し、目標水準を達成・維持するための取り組みを行っております。また、DEIBを推進する代表指標として、マネジメント層の多様性を確保することを目的とした女性社員の登用の拡大を目標として設定し、キャリア開発やパイプラインの構築に取り組んでおります。
人材関連データ
※1 連結での数値。(「デジタルスキル標準教育修了者」以外は単体での数値)
※2 正社員・専門型正社員のキャリア採用者数。
※3 期中の平均従業員数に対する依願退職者の割合。
※4 正社員・専門型正社員・シニア正社員の平均年間給与。
※5 詳細は「
※6 社員意識調査で、「働きやすい会社」および「やりがいのある会社」の両項目にポジティブ回答を行った社員の割合。2025年3月期の実績(連結)は、それぞれ87.2%、77.5%。
※7 社員意識調査で、「自分の能力が十分活かされている」項目にポジティブ回答し、さらに健康アンケートで「健康な状態で発揮できるパフォーマンスを100%としたときに80%以上発揮できている」と回答した社員の割合。2025年3月期の実績(連結)は、それぞれ75.1%、75.4%。
※8 取締役は除く、受け入れ出向者は含む。目標「部長級の女性数3倍以上」については2023年3月期実績に対する比率を算出。
※9 期中に育児休業等の利用を開始した社員の数。
※10 期中に本人もしくは配偶者が出産した社員のうち、期中に育児休業等の利用を開始した社員の割合。
※11 期中に育児休業等を終了し復職もしくは退職した社員のうち、復職した社員の割合。
※12 育児休業等を利用し、期中に復職した社員における育児休業等の平均取得日数。
※13 家族の看護、中学校卒業までの子の育児に必要な疾病予防および学校行事への参加、不妊治療による通院の際に時間単位で取得可能な休暇(年間5日間)。
※14 裁量労働制適用者、管理監督者を含む全社員の平均。
・「人的資本・多様性」に関する詳細な情報については、当社WEBサイトに公表されている「
(1)リスクマネジメントの基本方針と体制
当社では、リスクを「損失を被る可能性、又は事業活動から得られるリターンが想定から外れる可能性」と定義し、当社グループの事業活動の安定化と企業価値の向上を図るため、事業活動遂行時のさまざまなリスクを可能な限り想定し、以下の目的を持って継続的なリスクマネジメントを実施しております。
当社では、グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを適切にマネジメントするため、リスクマネジメントに関する規程を定め、併せてリスクマネジメントの統括部署としてリスクマネジメント部を設置しております。本規程に基づき、国内外のグループ会社も含めリスクアセスメント(リスクの特定・分析・評価)を実施しております。実施にあたっては、リスク所管部署並びに事業グループ等の各組織が、リスクマネジメント部と協力して、リスクを洗い出し、影響度と発生可能性の2軸で定量的及び定性的に評価をしております。その後、リスクマネジメント部において各リスクを全社リスクマップとして可視化させ、重点的対応が必要と考えられるリスクについては、当該リスクの性質や状況に着目しつつ、適切な対策が講じられるよう取組んでおります。
リスクマネジメント部は、これら一連のリスクマネジメント活動が適正に機能するよう、全社視点で一元的にリスク管理状況の把握・評価を行い、定期的に執行役員 社長に対して報告するとともに、適宜リスク対応方針の指示を受けております。また、これらの状況全般について、経営会議へ報告の上、取締役会に報告しております。

上述のリスクマネジメント活動を通じて、事業環境の変化に適応するためにリスクマネジメントの高度化に努めております。
(2)事業等のリスク
当社グループの事業(経営成績と財政状態)に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業環境リスク
当社グループが属するITサービス業界において、クラウド化やDX化の進行や顧客企業も含めたAI技術の利活用の急速な拡がりによる市場の質的変化に加え、慢性的なIT人材不足や顧客企業の内製化が加速している状況にあり、ITサービスの開発・利用環境が大きく変わりつつあります。また、サステナビリティ意識の高まりを受け、政府や企業等においても「脱炭素」、「循環経済」等、社会課題解決への取り組みが進む一方で、世界的な紛争が拡大・長期化傾向にあり、地政学リスクの顕在化も懸念されております。さらに国内においては、為替相場や国内労働市場の変化等を背景にした物価や人件費の高騰が起きております。このような環境の下、事業環境・経営環境の変化等により顧客企業のIT投資への意欲が急速かつ大きく変化した場合や、業界内部での価格競争が今より激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客企業におけるIT投資実行の時期と規模は、経済環境、金利・為替動向等に影響を受けるため、間接的に当社グループの業績も影響を受ける可能性があります。
このため、当社グループは経営の基本スタンスとして「成長戦略としてのサステナビリティ経営」を掲げ、AI技術も含めたコアコンピタンスであるデジタル技術を活用して、様々な業種・業態の顧客企業と社会と共に、各種の社会課題にビジネス機会を見出し、社会が必要とする経済価値と社会価値の創出を実現することに取り組んでおります。従来の事業分野や事業モデルにとらわれることなく、成長可能性のある市場・事業領域を選択し、より収益性・生産性の高い事業モデルへとシフトすることを目指します。
② システム開発リスク
当社グループは、顧客企業の各種情報システムの受託開発業務を行っておりますが、大型かつ複雑化・短納期化するシステムの開発においては、計画どおりの品質を確保できない場合や、開発期間内に完了しないことによるコスト増大の可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、生産能力の確保、コストの効率化、技術力・ノウハウ活用のためにニアショアを含む多数の業務委託会社と取引しておりますが、期待した生産性や品質が維持できない可能性があります。
このため、当社グループでは、専門部署による引合い・見積り段階でのチェックや、案件の進捗管理、品質チェックの実施等に関する全社標準を整備・運用しております。さらには業務委託会社の総合的審査の実施や委託業務の進捗及び品質管理の徹底により、納入するシステム全体に、予定しない不具合が生じないよう組織的に努力し、リスクの低減に努めております。
③ 技術革新への対応に伴うリスク
ITの技術革新は激しく、既存技術の進化や新たな技術へのキャッチアップの遅れ、またITサービス市場における技術標準の急速な変化によって、当社グループが保有する技能・ノウハウ等が陳腐化し、競争優位性を喪失する可能性があります。このような環境下、当社グループが技術変化の方向性を予測・認識できない場合や、予測し得ても適切に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、技術革新に適時・的確に対応する以下のような戦略的取り組みを行っております。
・研究開発組織を設置し、先端・先進技術の開発や市場の技術動向分析、政府のIT戦略と重点分野の把握、保有技術把握の実施。
・スタートアップ・アクセラレーターやコーポレート・ベンチャーキャピタルファンドを通じた新しい技術の組織的発掘の推進(技術提携を含む)。
・従業員の技術スキル向上を目的とした取り組みの実施。
また、システム構築やサービス提供にかかる技術並びに製品の調達の分散化を図ると同時に、特定の技術・ノウハウ・製品に過度の収益を依存することなく、ビジネスを推進しております。
④ 情報セキュリティリスク
当社グループでは、顧客向けに各種のITサービスを提供しており、システム開発から運用に至るまで、業務を通じて、顧客企業が保有する個人情報やシステム技術情報等の各種機密情報を知り得る場合があります。このような状況において、コンピュータウイルスや不正アクセス等のサイバー攻撃、もしくは人為的過失等により、機密情報の漏えい・改ざん等が発生する可能性があります。あるいは顧客システムの運用障害やその他の理由により、顧客向けITサービスが停止を余儀なくされる可能性があります。この結果、顧客企業等からの損害賠償請求や当社グループへの信頼喪失を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、セキュリティシステムを導入し、サイバー攻撃の検知時に的確に対応する体制を整備しております。また、役職員のコンプライアンス意識の徹底を図るとともに、当社グループのみならず各種機密情報を取り扱う業務委託会社も含めて啓発と教育を徹底する、全社開発標準に情報セキュリティ観点を組み込み、情報セキュリティ監査を実施する等の情報セキュリティ強化策を講じております。業務委託会社には当社の規定する「情報セキュリティガイドライン」の遵守を求め、確認書による定期的なモニタリング、必要に応じたオンサイトレビュー(立入調査)及び是正指導等により、当社グループと同レベルの情報セキュリティの確保と情報管理の徹底を要請しております。また、予期せぬ情報流出・漏えいの発生に備え、専用保険に加入しております。
⑤ 人材の確保・育成に関するリスク
当社グループの事業活動においては人材が最大の経営資産であり、人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、事業規模拡大にあわせた新卒採用に加え、即戦力となるキャリア採用を強化することで、事業革新及び新たな事業創出のために必要な人材の安定的確保に努めております。事業戦略の実現に向けては、事業領域ごとの戦略に応じた人材ポートフォリオ計画の策定により計画的な採用・育成を推進し、IT人材の市場価値の高まりへ対応するための評価・報酬制度を整備するとともに、多様な働き方を実現することで、優秀な人材の確保と定着を図っております。また、安心・安全に仕事ができる働きやすい職場環境づくりと、健康の維持・増進を目指す健康経営を土台とし、社員の能力を最大限に引き出し、仕事に対する充実感や働きがいの実感による組織への高いエンゲージメントの維持を目指すWell-Being経営を実践しております。事業戦略と連動した人材戦略を実行することで、事業成長とエンゲージメント向上の好循環を実現し、優秀な人材の確保・育成を図っております。
⑥ コンプライアンスに関するリスク
当社グループにおいて、事業活動のなかで各種法令・規制に抵触する事態や、不正行為等の重大なコンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下や、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社をはじめ、グループ各社においてコンプライアンス委員会を設置するとともに、当社グループとしての内部通報制度の整備運用、及びコンプライアンスに関するアンケート、教育研修等の仕組みの運用、及び啓発活動を継続して実施しております。
当社は2024年12月にネットワンシステムズ㈱を子会社化しております。同社は、過去に発生した不祥事をふまえ、二度と起こさないための「不適切行為にかかる再発防止策」を策定しており、これに基づき、企業文化の抜本的改革、企業文化醸成の基盤を着実に構築し、継続してコーポレート・ガバナンスの強化、企業理念・行動指針の浸透、風化させない仕組みの運営、社員の声を集める仕組みの最適化等を掲げ、信頼回復に向けた、取り組みのさらなる強化を進めております。
⑦ 製品調達及び販売リスク
当社グループでは、国内外のベンダー各社から、幅広く選りすぐりのソフトウェア・ハードウェア等の製品を調達して顧客企業に提供しておりますが、これらベンダー各社の事業戦略の突然の変更による製品仕様の変更やグローバル化が進むサプライチェーンが様々な世界情勢によって停滞すること等による製品供給の停止が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、独自の海外拠点・ネットワークを活用して海外製品・技術の発掘、情報収集に努めている他、国内外のベンダー各社と良好な取引関係を維持して製品販売戦略を共有しつつ、必要な場合は当社が適量の在庫を保持することにより安定的な製品の調達を図っております。
他方、調達製品の品質不良、顧客企業への導入時の設定誤り、及び委託先企業を通じた不完全な役務提供等により、顧客のネットワークシステムに大きな影響を与える可能性があります。製品の受入時・納品時の検査等、品質チェック、さらに委託先企業の業務品質担保に向けたモニタリング、明確な各種条件の合意、委託先企業への教育、及びセキュリティ環境の提供等を進めております。
⑧ 投資リスク
当社グループでは、ソリューション提供力強化、生産能力確保、最先端分野における技術力獲得・向上、最新のソフトウェア・ハードウェア等の製品調達力確保等を目的に国内外の事業会社やベンチャー企業への投融資、これら企業からの試作製品の購入を行っております。また、重点分野や新規分野におけるソフトウェア開発やサービス開発のための投資を行っております。こうした投資は事業投資先の業績悪化や計画未達成等のため、当初見込んだリターンが得られない、もしくは損失を被り、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、投資に際しては、事業投資先や投資に伴う事業計画、リスク・リターン等について十分に検討し、また、投資後であっても、計画進捗のチェックやモニタリングを行う等リスク管理体制を整え、強化に努めております。
⑨ 知的財産権に関するリスク
当社グループは、外部ベンダーの開発・製造によるソフトウェア・ハードウェア等の製品を多数の顧客企業に対し販売・納入しており、このような事業活動において、第三者が知的財産権の侵害を含む訴訟等を当社グループに対して提起する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは第三者の知的財産権に関する調査等を行うとともに、知的財産権に関する社内での教育・啓発を図り、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めております。
⑩ 資金調達・金利変動のリスク
当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等により資金調達を行っており、金融市場が正常に機能しない場合、又は当社グループの経営成績や信用力が悪化した場合には、資金調達が困難となる可能性があります。
また、市場金利の急激な上昇や当社の信用格付低下により資金調達コストが増大した場合、支払利息等の金利負担増加により金融収支が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このため、資金調達の実行リスクに対しては、資金調達手段の多様化やコミットメントラインを含む融資枠を確保する等の対策を講じております。また、資金調達コストの増大リスクに対しては、変動金利だけではなく固定金利での長期資金調達を行うこと等により、金利変動リスクの抑制に努めております。
当社グループは引き続き財務体質の強化に取り組み、資金調達力の維持・向上を図ってまいります。
⑪ 為替変動リスク
当社グループにおいては、海外からの直接調達取引を行っており、為替変動による仕入コスト上昇分を販売価格へ反映できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、為替相場の変動によるリスクをヘッジする目的で、外貨建て仕入れに関する確定債務残高と予定債務残高を管理し、適切な先物為替予約の実行に努めております。
⑫ 大規模な自然災害等によるリスク
本社を含めた大都市圏の拠点と資産が首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模震災により被災した場合や気候変動に起因した大規模自然災害及び世界的な流行が懸念される新型ウイルス等の感染症が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、不測の事態の発生に備え、事業継続計画の策定や災害対策本部の整備、経営機能を代行可能なバックアップ拠点の整備等の他、当社グループ社員や当社グループで働くパートナーの在宅勤務等を通じ、従業員の安全の確保に努めつつ、事業継続のための体制強化を図っております。
⑬ サステナビリティに関するリスク
(a)気候変動に関するリスク
異常気象や風水害が社会生活や事業活動に及ぼす影響が甚大であることから、企業に対して社会全体から温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みや、再生可能エネルギーの導入など「脱炭素社会」へ向けた積極的な対応が求められております。このようななか、顧客企業をはじめとする様々なステークホルダーから当社グループの脱炭素社会実現に向けた取り組みが不十分だとみなされた場合、事業機会の逸失や社会的評価の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、SBTイニシアチブの認定を取得した中長期的な温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、削減に向けて、環境に配慮した事業活動に意欲的に取り組むとともに、幅広い業界にわたる顧客企業やパートナー企業との共創を通じて脱炭素社会の実現に貢献しております。
(b)自然資本に関するリスク
自然資本の損失は経済・社会に悪影響を与えるため、事業における自然資本への依存と影響の分析を通じたリスクの特定や、自然資本の損失を抑制し回復を促すネイチャーポジティブ経済への移行に向けた取り組みが求められております。
また、TNFDが自然資本に関連するリスクや機会等の評価や情報開示に関する最終提言を公表するなど、企業に対して情報開示に向けた要請が高まっております。
このような状況のなかで、自然資本に関する課題への対応が適切に行われなかった場合、操業コストの増加や事業機会の逸失、社会的評価の低下に伴う業績への影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループは、2023年にTNFDフォーラムに参画し、2024年には自然資本に関する依存・影響の把握、自然関連のリスク・機会の特定を行いました。特定されたリスク・機会については、対応策を検討しリスクの軽減を図るとともに、環境に配慮した事業の創出・拡大を通じて、より良い自然環境の実現に貢献しております。
(c)人権に関するリスク
国連で「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されるなど、社会的責任の観点から企業に対して人権に配慮した適切な対応が要請されております。また、急速に社会に浸透しているAIについても、人権に配慮した適切な利用が求められております。これら人権にかかわる対応が不十分な場合、当社グループの社会的な信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、事業活動に関わる一人ひとりの個性や価値観を尊重し、互いの力を最大限に活かせるよう、経営理念とともに約束の一つとして「人を大切にします。」を掲げております。これらに基づき、当社グループの事業活動の影響を受けるすべての人々の人権を尊重するという考え方や責任について示すものとして「SCSKグループ人権方針」を定めております。また、AIが人権へ与える影響を理解し、AIシステム・サービスの開発・提供・利用の指針をまとめた「SCSKグループAI基本方針」を策定しております。
また、当社グループでは、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施し事業とサプライチェーン全体で起こりうる人権への負の影響を特定しております。特定した人権リスクについては、その防止、軽減に努め、企業として社会的責任を果たしております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、エネルギー・原材料価格の高騰に伴う物価上昇や、アメリカの政策動向に伴う金利変動及び為替動向等の影響はありましたが、国内での経済活動の活発化によって、緩やかながらも景気は回復の動きが続きました。
日本経済の先行きにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、継続的な財政政策や金融政策の効果もあり、緩やかながらも回復基調が続くことが期待されます。ただし、物価の上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策などアメリカの政策動向による影響が、日本経済を下押しするリスクになっています。また、中東地域を巡る情勢、金融資本市場の変動による影響には十分に注意する必要があります。
このような経済環境の下、ITサービス市場におきましては、顧客企業におけるIT投資は幅広い業種にわたり拡大基調が続いており、事業の拡大や競争力強化を目的としたIT投資への意欲は力強いものがあります。アメリカの政策動向における景気の下押しリスクはあるものの、社会のデジタル化に対応するための既存システムのクラウド対応需要等、IT投資需要は継続しています。
当社グループにおける顧客企業の動向につきましては、製造業企業においては、基幹システムの再構築や事業基盤強化のための戦略的投資等、デジタル化に向けたIT投資需要は増加を続けております。金融業企業においては、不正取引・資金洗浄の検知・防止を目的とした投資需要や金融取引のオンライン対応等が堅調に推移しました。
また、顧客企業の業務効率と生産性向上への強い意欲等を背景に、各種クラウド型ITサービスへの需要や、ソフトウェアのエンドオブサービスに対応する基幹システム再構築等の投資需要は継続しており、こうした動きのなかで、システムの再構築や戦略的IT投資需要は、今後も継続するものと考えております。
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し413,629百万円増加し、885,029百万円となりました。
(a) 流動資産
当連結会計年度末の流動資産は、営業債権及びその他の債権の増加等により、前連結会計年度末に対し75,770百万円増加し、348,605百万円となりました。
(b) 非流動資産
当連結会計年度末の非流動資産は、のれん及び無形資産の取得による増加等により、前連結会計年度末に対し337,858百万円増加し、536,424百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に対し423,974百万円増加し、592,464百万円となりました。
(a) 流動負債
当連結会計年度末の流動負債は、営業債務及びその他の債務や社債及び借入金、リース負債の増加等により、前連結会計年度末に対し251,494百万円増加し、357,030百万円となりました。
(b) 非流動負債
当連結会計年度末の非流動負債は、社債及び借入金、リース負債の増加等により、前連結会計年度末に対し172,479百万円増加し、235,433百万円となりました。
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末に対し10,345百万円減少し、292,565百万円となりました。
主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益45,035百万円によるものであります。
主な減少要因は、2024年3月期期末配当金(1株当たり32.00円)9,997百万円並びに2025年3月期中間配当金(1株当たり34.00円)10,625百万円によるものであります。
また、2024年12月25日付で、ネットワンシステムズ㈱の株式を取得したことにより、非支配持分が増加しました。なお、ネットワンシステムズ㈱の株式併合を始めとするスクイーズアウト手続により金融負債を認識し、非支配持分及び資本剰余金を減額させております。
セグメント別資産の状況
(産業IT)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、13,690百万円増加し、79,902百万円となりました。
(金融IT)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、1,313百万円増加し、20,568百万円となりました。
(ITソリューション)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、531百万円増加し、29,746百万円となりました。
(ITプラットフォーム)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、455,552百万円増加し、499,905百万円となりました。
(ITマネジメント)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、1,928百万円増加し、76,522百万円となりました。
(その他)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、3,485百万円増加し、33,701百万円となりました。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高はネットワンシステムズ㈱の連結加算の影響や、拡大を続ける顧客企業のIT投資需要から、システム開発、保守運用・サービス、システム販売、全ての売上区分で増加し、前期比24.1%増の596,065百万円となりました。
営業利益は、PROACTIVE事業における事業強化コストや一部ソフトウェアの除却損、また、BPOビジネスのコロナ特需からの反動・構造改革コストに加え、PPAを含む統合関連費用がありましたが、増収による増益や不採算案件の改善を含めシステム開発の利益率が向上したこと、また、ネットワンシステムズ㈱の連結加算により、前期比16.0%増の66,121百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては、投資有価証券の減損と統合に係る金融費用の影響もあり、前期比11.3%増の45,035百万円となりました。
当社グループはさらなる成長に向け、成長戦略として「サステナビリティ経営」を推進します。経営理念とマテリアリティを当社グループの存在意義としたうえで、社会と共に持続的発展を目指し、「2030年 共創ITカンパニー」の実現のため、「顧客や社会に対して、新たな価値を提供し続けるため、事業分野、事業モデルを再構築すること」、「社員の成長が会社の成長ドライバーと認識し、社員一人ひとりの市場価値を常に最大化すること」を、策定した中期経営計画の方針とし、総合的企業価値の飛躍的な向上に向け取り組んでまいります。
当連結会計年度の売上高は、前期比24.1%増の596,065百万円となりました。
また、サービス特性別の「システム開発」「保守運用・サービス」「システム販売」の各売上区分別売上高は次のとおりであります。
システム開発は、流通業向け案件の反動減はありましたが、自動車業界を中心とした製造業向けの開発案件や銀行業向けの案件等が増加し、売上高は前期比10.3%増の223,642百万円となりました。
保守運用・サービスは、BPOビジネスの反動減がありましたが、マネジメントサービスや検証サービスなどが堅調に推移したことで、売上高は前期比17.9%増の222,065百万円となりました。
システム販売は、通信業の特定顧客向けネットワーク機器販売やセキュリティ製品の販売、また、学術研究機関向けのハードウェア販売の増加によって、売上高は前期比68.6%増の150,357百万円となりました。
なお、ネットワンシステムズ㈱の子会社化によって、各売上区分において連結加算の影響があります。
当連結会計年度の売上総利益は、増収に伴う増益や生産性向上等により、前期比24.6%増の159,476百万円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費については、前期比29.0%増の91,515百万円となりました。
当連結会計年度のその他収益(費用)は、前連結会計年度の26百万円の費用[純額]から1,812百万円減少し、1,838百万円の費用[純額]となりました。
以上により、当連結会計年度の営業利益は、前期比16.0%増の66,121百万円となりました。
当連結会計年度の金融収益(費用)は、前連結会計年度の938百万円の費用[純額]から1,048百万円減少し、1,987百万円の費用[純額]となりました。また、当連結会計年度の持分法による投資利益(損失)は、前連結会計年度の1,394百万円の利益[純額]から19百万円増加し、1,413百万円の利益[純額]となりました。
当連結会計年度の税引前当期利益は、前期比14.1%増の65,547百万円となりました。
当連結会計年度の法人所得税費用は、前期比12.9%増の19,052百万円となりました。
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期利益は、1,459百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比11.3%増の45,035百万円となりました。また、1株当たり当期利益は、前連結会計年度の129.51円から14.59円増加し144.10円となりました。
セグメント別業績の概要は次のとおりとなっております。なお、売上高につきましては外部顧客への売上高を表示しております。
(単位:百万円)
(産業IT)
自動車業界向けのシステム開発投資需要の拡大や検証サービスが増加したこと、デジタルサプライチェーン事業において製造業顧客から案件が増加したことにより、流通業向けの案件収束の影響を吸収し、売上高は前期比11.0%増の195,654百万円、営業利益につきましては、前期比19.0%増の28,957百万円となりました。
(金融IT)
信販・リース業、損保業向け案件減少の影響がありましたが、銀行業におけるAML案件や証券業向け顧客基幹システム案件等が継続して取り込めた影響により、売上高は前期比2.6%増の65,163百万円となりました。営業利益につきましては、前期比22.4%増の8,948百万円となりました。
(ITソリューション)
BPOビジネスでの公共向け案件終了やPROACTIVEでのインボイス関連の反動減が影響し、売上高は前期比1.6%減の58,905百万円となりました。営業利益につきましては、売上高の動向に加えて、ソフトウェア資産の除却が発生した影響により、△1,931百万円となりました。
(ITプラットフォーム)
学術研究機関向けハードウェア販売や運輸業・金融業へのセキュリティ製品の販売が堅調に推移した事に加えて、ネットワンシステムズ㈱の連結加算の影響により、売上高は前期比98.5%増の175,752百万円、営業利益につきましては、前期比62.4%増の21,706百万円となりました。
(ITマネジメント)
金融業、製造業向けの顧客を中心にマネジメントサービスの取引が増加した事、また、クラウドサービスにて流通業顧客向けにライセンス販売があったことから、売上高は前期比10.9%増の71,779百万円となりました。営業利益につきましては、前期比19.9%増の11,302百万円となりました。
(その他)
売上高は前期比6.6%増の28,807百万円、営業利益につきましては、前期比1.0%増の1,938百万円となりました。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.見積り及び判断の利用」に記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、「ITプラットフォーム」の
セグメントにおきまして、ネットワンシステムズ㈱を、2024年12月25日付で連結子会社とし、
連結の範囲に含めたことによるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、「ITプラットフォーム」の
セグメントにおきまして、ネットワンシステムズ㈱を、2024年12月25日付で連結子会社とし、
連結の範囲に含めたことによるものであります。
なお、当社グループは受注実績を下記の基準にて従来より開示しております。
・役務サービス等に関する複数年契約について、基準日以降1年間の売上高を算出し、受注残高とする。
・保守サービス等の自動更新条項が付与された契約について、契約が継続されることを前提とし、基準日以降1年間の売上を算出し、受注残高とする。
上記の基準で作成した受注実績は以下のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績(直接販売)及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
※外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
3 各報告セグメントの概要につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」の「(1)報告セグメントの概要」をご参照ください。
4 その他には、収益認識におけるIFRSとの調整額2百万円が含まれております。
5 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、「ITプラットフォーム」の
セグメントにおきまして、ネットワンシステムズ㈱を、2024年12月25日付で連結子会社とし、
連結の範囲に含めたことによるものであります。
また、生産実績・受注実績・販売実績について、サービス特性により分類したシステム開発、保守運用・サービス、システム販売等に分類すると次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
上記各区分の概要は以下のとおりであります。
システム開発
広範な業種の顧客に対する、最新の情報通信技術と長年蓄積された豊富な業務ノウハウによる、一貫した信頼性の高いトータルソリューションサービスの提供
保守運用・サービス
専用データセンターの構築・運営管理並びに、長年の経験と培われたノウハウ、「ISO9001」をベースにした運用管理技術による、安全で、信頼性の高いコンピュータ、通信ネットワークシステムの保守・運用サービスなどの提供
システム販売
各メーカーの各種サーバ、クライアント機器、ストレージ機器、通信ネットワーク関連機器及びパッケージ・ソフトウェア商品等を組み合わせたソリューションの提供
なお、当社グループは受注実績を下記の基準にて従来より開示しております。
・役務サービス等に関する複数年契約について、基準日以降1年間の売上高を算出し、受注残高とする。
・保守サービス等の自動更新条項が付与された契約について、契約が継続されることを前提とし、基準日以降1年間の売上を算出し、受注残高とする。
上記の基準で作成した受注実績は以下のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ38,736百万円減少し、105,623百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果、増加した資金は68,037百万円(前期比136百万円増加)となりました。
主な増加要因は、税引前当期利益65,547百万円、減価償却費及び償却費24,866百万円、棚卸資産の減少による資金の増加10,994百万円によるものであります。主な減少要因は、営業債権及びその他の債権の増加による資金の減少22,763百万円、法人所得税の支払による資金の減少18,094百万円によるものであります。
投資活動の結果、減少した資金は275,488百万円(前期比255,589百万円減少)となりました。
主な増加要因は、その他金融資産の売却及び償還による資金の増加45,233百万円によるものであります。
主な減少要因は、その他金融資産の取得による資金の減少46,592百万円、有形固定資産の取得による資金の減少10,035百万円、無形資産の取得による資金の減少7,242百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による資金の減少258,225百万円によるものであります。
財務活動の結果、増加した資金は167,946百万円(前期比193,827百万円増加)となりました。
主な増加要因は、借入による収入261,123百万円、社債の発行による収入49,798百万円によるものであります。主な減少要因は、借入金の返済による支出111,913百万円、リース負債の返済による支出9,690百万円、2024年3月期期末配当金(1株当たり32.0円)9,997百万円及び2025年3月期中間配当金(1株当たり34.0円)10,625百万円の支払によるものであります。
・基本方針・資金需要の主な内容
中期経営計画における基本戦略を着実に推進するため、投資活動として自社知財の開発・拡充に向けた研究および開発投資、経営基盤強化に向けた設備投資、先端技術研究を目的とした国内外ベンチャー企業との業務資本提携、先進技術者やコンサル人材等の育成・採用にかかる人財投資等を実行してまいります。また、成長領域における競争力強化に資する技術・知見・リソースの獲得を目的とした国内外のM&Aに関する検討も継続的に行っております。
・資金調達
これら投資活動に係る資金需要につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応する考えでおりますが、必要に応じて、後述の強固な財務基盤を背景にした多様な資金調達(金融機関からの借入・シンジケートローン、各種社債の発行等)にて対応してまいります。
当連結会計年度においては、ネットワンシステムズ㈱に対する公開買付に充当する資金として㈱三井住友銀行と締結した総額2,735億円のブリッジローン契約の内、2,008億円の借入を実行いたしました。そのうち1,000億円につき、無担保社債500億円の発行ならびに銀行借入500億円の実行による弁済を実施いたしました。
なお、当社グループの当連結会計年度末における有利子負債(リース債務含む)の残高は315,409百万円、現金及び現金同等物等の残高は105,623百万円、D/Eレシオ(リース債務含む)は1.08倍となっております。
当社グループは、本報告書提出時点において、㈱日本格付研究所より長期発行体格付A+(安定的)を取得し高い信用力を維持しているほか、主要な取引金融機関と良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては十分な能力を有しているものと認識しております。
引き続き、財務基盤の強化、外部資金調達能力の維持・向上に向けた財務運営を行ってまいります。
・株主還元に関する考え方
株主還元については、財務状況、収益動向、また将来の事業投資に備えての内部留保などを総合的に勘案した上で、成長を続ける当社グループのキャッシュ・フローを、将来の成長領域等への事業投資資金として最大限活用しながらも、同時に業績拡大に応じて配当性向を高めることで株主還元を拡充する方針です。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済普通株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(㈱三井住友銀行とのブリッジローン契約)
当連結会計年度においては、ネットワンシステムズ㈱に対する公開買付に充当する資金として㈱三井住友銀行と総額2,735億円のブリッジローン契約を締結いたしました。
本ブリッジローン契約の概要は以下の通りです。
(注) 1 当事業年度末日現在において、本ブリッジローンの借入残高は1,008億円、ブリッジローン未実行残高は726億円です。
2 借入実行残高2,008億円のうち1,000億円につき、無担保社債500億円の発行ならびに銀行借入500億円の実行による弁済を2025年3月24日に実施いたしました。
当社グループでは、国内はもとより欧米・アジアの各拠点と一体となりグローバルな視点から最新のIT動向を鋭敏に捉え、市場創造に向けて当社グループ全体で最新技術の導入と技術レベルの高度化・充実を図るべく、研究開発活動を推進しております。中期的な技術戦略に基づいた研究開発に取り組んでおり、社会環境やお客様の事業環境の変化・変容にも迅速・弾力的に対応する、より最適なソリューションやサービスを早期に実現いたします。また、中長期的視点での研究開発を推進するために専門組織を設置し、大学・研究機関等とも連携した活動を行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、
自動車業界は、百年に一度と言われる大きな転換点を迎えております。モビリティの価値を決定づける要素が従来のハードウェアから、ソフトウェアへと移行し、自動車という製品そのものから移動に伴うサービスや体感に価値が置かれるようになりつつあります。当社では、この変化を「Software Defined Mobility(SDM)」及び「Service Oriented Mobility (SoM)」の概念で表現しております。
SDMに必要な技術は多岐に渡り、グローバル各国、各業界からの先進技術の取り入れが不可欠です。同時に、膨大なモビリティデータを基にした新たなサービス開発が競争の新たな軸となりつつあります。国内自動車産業はSDV関連のアーキテクチャのシフト・水平分業型開発スタイルへの対応・サービス提供型モデルへのシフト等に向けて模索を続けている状況にあります。
当社はこうした産業構造の転換を貴重な機会と捉え、SDM/SoM戦略のもと、グローバルな技術動向を見極めつつ、パートナー企業との共創を通じてソフトウェア起点の製品・サービスの具体化を進めております。特に、自動運転や電動化、車室内空間などSDM関連技術の開発を進めるととともに、モビリティと社会インフラをつなぐデータの融合・利活用にも注力することで、未来のモビリティ社会に向けた新たな価値創出に取り組んでおります。
世界的にカーボンニュートラルへの取り組みが加速するなか、国内でもCO2削減が進んでおります。排出量全体の約17%を占める商業・サービス・事業所などの業務部門については、政府は2030年度までにCO2排出量を2013年度比51%削減する目標を掲げており、建築物省エネ法が全面施行される2017年以前に建設された業務ビル、特に棟数の多い延床面積5,000㎡未満の中小規模業務ビルにおいては、環境性能の向上が求められております。
快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことを「ZEB(Net Zero Energy Building)」といい、近年、業務用建築物を中心にZEB化が強く求められております。当社では中小規模の業務ビルオーナー様向けに、建物の省エネ・CO2排出量削減を支援するサービスとして「ZEBiT」を2024年4月から提供し、主に下記機能の実装を行ってまいりました。
・CO2排出量可視化:エネルギーデータの自動収集機能、Scope3対応、多棟グループ管理など
・法令対応:定期報告書用データ出力、低炭素ベンチマーク評価など
・設備制御:DALI2照明制御、空調制御、センサー連動制御など
今後も、ZEBの社会実装を推進するさまざまなパートナー企業の製品・サービスとの組み合わせにより、創エネのソリューションなど、業務用建築物の脱炭素化に向けてサービス拡充を図ってまいります。
当社グループでは技術戦略「技術ビジョン2030」を策定しており、先進デジタル技術の価値をお客様に還元するために「デジタルオファリング集団への変革」への取り組みを進めております。その一環として当社では、生成AIを最大活用する「AI駆動型開発」を組織的に利用できるプラットフォーム化を進め、成果物や開発工程のパイプライン化、システム仕様や業務情報を含む成果物の知財化を行うことにより、組織レベルでの包括的な課題解決に向けた概念実証を行っております。
AI駆動型開発プラットフォームは、プロンプト実行機能、生成機能、及び成果物格納機能(データストア)の3つの主要な機能を持ち、開発者向けユーザーインタフェースも含む開発環境として位置付けております。
・プロンプト実行機能:生成機能の使用方法をサポートするプロンプトなどのノウハウを組み込んだ実行制御機能を用意し、生成 AI の効果的な活用を支援します。
・生成機能:プロンプトに従い生成AIが成果物を生成、開発者が確認可能な成果物を提供します。開発工程全体を通して、生成AIが情報の整合性を担保し、一貫性のある品質を確保します。
・成果物格納機能(データストア):生成結果(成果物)を生成 AI が取り扱いやすいデジタルデータとして格納、生成された成果物を一括して管理・再利用可能とするリポジトリ機能を有します。
当社における「AI駆動型開発」への転換を速やかに進めるために、概念実証でのフィードバックをもとに、さらなる有用性の向上を図り全社適用を推進していきます。
当社グループでは、全役職員・パートナーが業務において、安全・安心に生成AIを体験・利用できる環境「SCSK Generative AI(SCSK-GAI)」を提供しており、日々、作業効率化のアイデアやユースケースの創出に取り組んでおります。また、当社はAIが社会へ与える影響の大きさを理解し、AIシステム・サービスの開発・提供・利用に関する指針をまとめた「SCSKグループAI基本方針」も策定しました。
従来の生成AIでは、問い合わせへの回答生成といった特定タスクにおける業務効率化を実現しているものの、ノウハウやナレッジを必要とする業務は人の手に委ねられております。ただ、そのノウハウやナレッジを必要とする業務を担う人材は、少子高齢化の要因もあり不足していることが社会課題となっており、当社では生成AIを利活用してこの課題に取り組んでおります。例えば、顧客からの問い合わせがあれば必要な情報を自ら収集・分析し、最適な解決策を提示するなど能動的な対応を可能とする「自律型AIエージェント」を、関連する業務を担う複数の自律型AIエージェント同士を連携させることで、より広範な業務プロセスを自動化できる「自律型“マルチ”AIエージェント」の実現に向けて研究開発しております。企業内に複数の業務エキスパートとして自律型AIエージェントが存在する、「人とAIが協調するオフィス」という革新的な働き方を実現する可能性を目指しております。
生成AI以外にも技術戦略「技術ビジョン2030」に基づいた複数の研究開発を実施しております。
・XR:当社ブランディング拠点(SCSK LINK SQUARE)での「デジタル・ヒューマン」の展示
・WEB3:コンソーシアムでの「分散型アイデンティティ/デジタル証明書(DID/VC)」の実証実験
・量子コンピューティング:「生成モデル量子機械学習」や「連続量量子鍵配送(CVQKD)」の共同研究
今後も当社グループの技術戦略「技術ビジョン2030」に基づき、社会実装の実現や社会課題の解決につながる研究開発を推進します。