文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社を取り巻く事業環境と対処すべき課題
当社を取り巻くITサービス業界の経営環境は、大きく変化しております。市場全体は堅調な成長が見込まれるなか、人月型の労働量対価を前提とした従来型ビジネスの需要が縮小する一方で、AIをはじめとする先端技術の進展により、新たな市場が急速に創出されております。また、サイバーセキュリティの世界におけるAIの進化が企業経営に与える影響は、現実の経営課題となっております。
さらに、近年では、ITサービス企業は単なるシステム導入にとどまらず、顧客の事業成長や経営課題の解決に直結する提案力が求められていることに加え、AI・デジタル活用を前提とした変革を実現する企業の台頭により、競争環境は一層厳しくなっております。
当社は2020年に経営理念「夢ある未来を、共に創る」に基づき、2030年の目指す姿としてグランドデザイン2030を策定し、顧客やパートナーと共に社会課題の解決に貢献するビジネスを創り出すことによって、「2030年共創ITカンパニー」の実現を目指しております。
グランドデザイン2030では、企業価値(経済価値)に加え、人的資本価値、社会価値の非財務要素を包含した“総合的企業価値”の飛躍的な向上を図るとともに、具体的な実現へのステップである新たな中期経営計画に取り組んでおります。
<グランドデザイン2030>

当社グループは、持続的な企業価値向上に向けて、2030年に目指すありたい姿、及び当社が解決に貢献すべき社会課題を明確に定め、その実現に向けた中期経営計画を策定しております。本計画において、成長を牽引する「3つの変革の軸」と「AI戦略」を掛け合わせることで、当社グループの各事業の推進を図ります。また、これらの戦略を着実に実行するための基盤として、経営基盤の強化及び全社横断の重要施策に取り組みます。
「3つの変革の軸」については、以下のとおりであります。
① AI起点の自己変革
前述の環境変化を踏まえ、当社グループはすべての業務においてAIを前提とした変革を推進し、自らの業務プロセス及びビジネスモデルを抜本的に見直してまいります。
② 知財オファリング
これまでのシステム提供から顧客の事業成長・変革への貢献に向け、求められるパートナー像も変化する中、従来のRFP対応型のビジネスモデルからの転換が不可欠となっております。当社グループは、顧客の経営課題を起点とし、自ら課題を定義し、先導的に提案・解決を行うことで、付加価値の高いオファリングビジネスへと進化してまいります。また、グループ内に蓄積された知的財産を体系化し組み合わせ、競合他社との差別化を図るとともに、競争力のあるサービスとして展開してまいります。
③ 事業基盤・ケーパビリティの徹底活用
ネットワンシステムズ㈱との統合や住友商事グループとの新たな関係により、当社グループは新たな事業基盤及び高度なケーパビリティを獲得しております。これらの経営資源を最大限に活用し、シナジーを創出することで、他社にはない競争優位性を確立してまいります。
なお、これら「3つの変革の軸」は、相互に連携・融合させることを前提としており、すべての事業戦略において一体的に展開することで、企業価値の最大化を図ってまいります。
さらに、当社グループは、これらの戦略を推進する原動力として「AX Enabler」を目指しております。これは、AIを単なるツールとして活用するにとどまらず、AIを起点とした業務プロセス及び事業構造の変革を通じて、社会課題の解決を実現する存在へと進化することを意味しております。この実現に向けて、全社横断でAI駆動開発及びAIエージェント基盤の整備を進めるとともに、当社グループ及び住友商事グループの事業リソースを有機的に組み合わせ、AIを前提とした競争力の高い企業への変革を推進してまいります。
<中期経営計画 全体像>

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、代表取締役 執行役員 社長の諮問機関であるサステナビリティ推進委員会にて、サステナビリティに関する全社的な課題、取り組み施策の検討や確認を行っております。
検討内容は、サステナビリティ推進委員会から、経営会議に報告し、経営会議で全社的な経営に係る観点からさらなる議論を行った後に、サステナビリティ推進委員会から定期的に取締役会に報告が行われ、取締役会で適切に監督される体制を整えております。
また、当社では中期経営計画の基本戦略・経営基盤強化策の実効性を高めるため、環境・社会・ガバナンスへの取り組みを含む個人評価が反映される役員報酬制度を採用しております。
サステナビリティに関するガバナンス体制及び各会議体の構成

サステナビリティに関する各会議体の役割と実施状況
当社グループでは、グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを適切にマネジメントするため、リスクマネジメントに関する規程を定めております。
サステナビリティに関するリスクについては、所管リスク担当部署とリスクマネジメント統括部署が共同し、外部レポートや外部有識者の助言をもとにリスク項目を分析しております。
分析したリスク項目は所管リスク担当部署からサステナビリティ推進委員会に報告を行い、同委員会にてリスクの確認、特定を行っております。特定したリスク項目は所管リスク担当部署からリスクマネジメント統括部署に報告を行い、リスクマネジメントに関する規定に則り、適切に管理されております。
当社のリスクマネジメントの詳細は、「
サステナビリティリスクの抽出・特定・評価の状況
①気候変動に関するリスク
当社グループは、気候変動が事業活動に与える当社への影響を評価するために、TCFDの枠組みに基づいて気候変動に関連する物理リスク、移行リスクの把握及び事業機会を整理しております。
気候変動リスク・機会については、各種政府レポートや各種開示基準(SASB、IFRS S2等)を参考に抽出を行っております。当社グループの事業観点を踏まえ影響が大きいと評価されたリスク・機会については、施策の方向性や対応策を検討しております。
2021年度に当社グループの温室効果ガス排出量の8割を占め、気候変動による影響が大きいと考えられる「データセンター事業」を対象にリスク・機会の特定・評価を実施いたしました。2023年度には当社グループ全体への気候変動による影響を把握するため、対象範囲を全事業領域に広げ、リスク・機会の特定・評価を実施しております。
②自然資本に関するリスク
当社グループは、事業が自然資本へ及ぼす依存と影響を評価するために、自然関連財務情報開示タスクフォース(以下「TNFD」)の枠組みに基づいて自然資本に関するリスク・機会の把握及び整理をしております。
自然資本関連のリスク・機会については、当社グループの全事業領域を対象範囲とし、LEAPアプローチ(※1)に沿って抽出、特定いたしました。
特定されたリスク・機会については、リスクの最小化と機会の最大化に向けた取り組みを進めることで、自然環境に配慮した事業活動に努めております。
(※1)LEAPアプローチ:TNFDにより開発された、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価する)、Prepare(準備する)のステップを通じて自然との依存・影響関係やリスク・機会など、自然関連の課題を評価する統合的なアプローチ。
③人権に関するリスク
当社グループは、「SCSKグループ人権方針」に基づいて、事業活動が与える人権へのリスクを特定・防止・是正するために、人権デュー・ディリジェンスを実施しております。
当社グループの人権デュー・ディリジェンスは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、「国連指導原則報告フレームワーク」、「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」など、国際的なガイドラインに沿ったプロセスで実施しております。2022年度は、外部専門家を起用し、当社グループ全体の人権への影響・リスクを評価するために、業種、地域、企業固有のリスクを踏まえ、優先的に対応すべき人権リスクを特定しました。2024年度は、新たにSCSKグループに加わった子会社において、人権リスク評価を実施しております。
また、AI技術の急速な進展により、企業はAIを活用することで新たな機会を創出し、社会の利便性向上に寄与していますが、AIの利用方法によっては人権侵害をもたらすリスクも高まっております。
当社グループでは、AIが人権に与える影響を理解し、AIシステム・サービスの開発・提供・利用に関する指針をまとめた「SCSKグループAI基本方針」を策定しております。
特定された人権リスクの防止・軽減策に取り組むとともに、継続したモニタリングを行い、改善・是正に努め、人権に配慮した事業活動を推進しております。
サステナビリティリスクの詳細は、「
サステナビリティに関する戦略と組織目標策定の状況
①気候変動に関する事項
(戦略)
気候変動への対応は企業の長期的価値を左右する重要な経営課題と認識しており、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えております。このような考えのもと、当社グループ全体の気候変動の影響を把握するために、当社グループの全事業領域をシナリオ分析の対象として選定しております。気候変動に関連する物理リスク、移行リスクの把握及び事業機会を整理し、選択シナリオは4℃シナリオと1.5℃シナリオとしております。
選択シナリオの概要
■4℃シナリオ:経済活動を優先し、炭素規制や再生可能エネルギーの利用は進まず、自然災害の激甚化が進むシナリオ
■1.5℃シナリオ:炭素税の高税率化、炭素排出規制の強化などの政策が世界的に広まり、脱炭素化に向けた積極的な移行が進むシナリオ
主なリスク・機会の概要
■リスク:移行リスクとしては、カーボンプライシングの導入・拡大による操業コストの増加や、脱炭素電源拡大などに起因する電力価格の上昇を背景とした電力調達コストの増加などが考えられます。物理リスクとしては、大雨・洪水の発生による拠点の設備・在庫の棄損や、渇水時におけるデータセンターの冷却水使用制限に起因する操業停止による売上減少などが考えられますが、世界資源研究所(WRI)が提供する評価ツールであるAqueductを用いた調査により、大雨や洪水などによる浸水リスクおよび渇水リスクが無いことを確認しました。
■機会:温室効果ガス排出量削減に向けた社会全体の意欲の高まりや、気候変動による異常気象の増加を背景とした脱炭素型データセンターやレジリエントデータセンターの売上増加など、社会環境変化を捉えた新サービスの需要増加による売上増加が機会として考えられます。
主要なインパクト項目に対する評価結果

(※1)財務影響の評価に当たっては、温室効果ガス排出量削減目標の達成を前提としております。
(※2)電力調達コストの増加に起因する販売価格の適正化による売上増加は試算の対象外としております。
対応策定義
各シナリオにおけるリスク・機会を特定し、施策の方向性・対応策の観点を検討しました。今後、リスク回避/軽減および機会獲得に向けた施策の検討を継続的に実施し、策定された対応策を実行することによって事業活動のレジリエンス向上を目指します。

(指標と目標)
当社グループは、温室効果ガス排出量の削減に向けて、SBTイニシアチブの認定を取得した中長期的な削減目標を設定しております。
温室効果ガス排出量の削減に向けて、環境に配慮した事業活動に意欲的に取り組むとともに、脱炭素社会への変革を事業機会ととらえ、幅広い業界にわたるお客様やパートナー企業との共創を通じて脱炭素社会の実現、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
SCSKグループの温室効果ガス排出量削減目標

(※1)Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)。
Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出。
(※2)Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。
(ご参考)
・TCFDシナリオ分析の詳細については、当社WEBサイトをご参照ください。
公開場所:当社WEBサイト(
・気候変動への対応など、その他の環境に関する取り組みにつきましては、
当社WEBサイト(
・2025年度の温室効果ガス排出量(Scope1、Scope2及びScope3の各合計数値)については、第三者保証報告書と共に当社WEBサイトで公開を予定しております。
公開時期:2026年9月
公開場所:当社WEBサイト
(
公開内容:Scope1,2,3排出量、Scope3 カテゴリ別排出量
②自然資本に関する事項
(戦略)
自然資本への対応は、循環型社会への転換が進展する中、企業の長期的価値を決定する重要な経営課題の一つと認識しており、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えております。2024年度には、当社グループにおける自然資本への依存・影響関係の把握、及び関連するリスク・機会を特定するため、TNFDが提唱しているLEAPアプローチに沿った分析を行いました。
Locate、Evaluate
当社グループのバリューチェーン毎に、一般的に自然資本に対しどのような依存・影響関係があるのかを、ENCORE(※1)を用いて分析しました。
分析した一般的な自然資本への依存・影響関係を、当社グループの事業内容や拠点の地理的情報などの定性的な情報と、各事業拠点の温室効果ガス排出量などの定量的なデータを用いて整理し、当社グループにとっての自然資本への依存と影響を特定・評価しました。
その結果、特にデータセンターの操業における水資源への依存や、データセンターやオフィスの操業に伴う、温室効果ガスや廃棄物の排出において、当社グループ単独で直ちに自然環境に及ぼす影響は確認できませんでした。また、温室効果ガスの排出による影響、及び大雨・洪水によるリスクについては、「①気候変動に関する事項」をご参照ください。
(※1)ENCORE:産業別の自然への潜在的な依存・影響などを把握することができるツール
Assess
特定した依存と影響に基づき、当社グループのリスク・機会を抽出しました。抽出する際には、TNFDガイダンス(※2)を参照した他、TCFD開示等で特定した自然に関連するリスク・機会の項目についても再検討し、網羅的に洗い出しを行いました。抽出したリスク・機会については、ステークホルダーにとっての重要性と、当社グループにとっての重要性の観点から評価、特定するとともに、当社グループの対応策を整理しました。
(※2) Guidance on the identification and assessment of nature-related issues: the LEAP approach(version1.1)

Prepare
リスク・機会の分析結果を踏まえ、関連する指標について目標を掲げています。また、今般特定されたリスク・機会、及び指標と目標については、定期的に見直し、対応策の検討を実施していきます。
(指標と目標)
当社グループは、自然関連リスク及び機会を管理・評価するため、温室効果ガス排出量の削減(Scope1,2,3)の定量的な目標を設定しています。
温室効果ガス排出量削減の定量目標については、「①気候変動に関する事項」をご参照ください。
③「人的資本・多様性」に関する事項
当社グループは、「サステナビリティ経営」を成長戦略の中核に位置付け、コアコンピタンスを活用することで、お客様や社会と共にさまざまな社会課題の解決に貢献し、新しい価値を創出しながら、社会と共に持続的に発展することを目指しております。当社グループの経営理念「夢ある未来を、共に創る」を実現するために掲げる“3つの約束”では、最初に「人を大切にします。」と宣言し、社員一人ひとりの個性や価値観を尊重し、互いの力を最大限に活かすことを約束しております。
2030年に向けた中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)では、企業価値(経済価値)に加え、人的資本価値等、社会価値の非財務要素を包含した「総合的企業価値」の飛躍的な向上を、グループ基本戦略の方針として掲げております。人的資本価値の向上については、社員一人ひとりの「人材価値最大化」を基本方針とし、社員の専門性やスキル、経験といった能力開発への継続的な投資を行うとともに、社員の能力を高められる事業・案件を常に選択し、成長できる場・環境を用意すること、及び、社員が持つ能力を最大限に発揮できる事業分野・事業モデルを常に選択・構築することに取り組んでまいりました。また、社員一人ひとりが持てる能力を存分に発揮し、意欲的に挑戦しながら成長し続けられる土壌を整えるため、処遇・報酬制度の整備にも取り組んでまいりました。あわせて、これまでの働き方改革や健康経営を中心に培ってきた働きやすい環境を基盤としつつ、経済価値や社会価値の創出への貢献を通じて働きがいを実感できる会社の実現を目指し、社員のエンゲージメントを高める Well-Being 経営を推進してまいりました。
当社グループは現在、「グランドデザイン2030」で掲げた構想の実現に向け、折り返し地点を迎えております。急速なAI進展に端を発した市場環境の変化に適応したビジネスモデルへの転換が必要となるなか、持続的な企業価値向上のためには、一層の人的資本経営の推進が不可欠であると認識しております。
2027年3月期からの新中期経営計画において「AI起点の自己改革」「知財オファリング」「事業基盤・ケーパビリティの徹底活用」の「3つの変革の軸」と「AI戦略」の掛け合わせによるビジネスモデルの進化・変革を推進するにあたっては、高度な技術力や技術的知見に加え、価値創造力を持って、前例にとらわれず自らのビジネスを自律的に変革していく人材の確保が重要であると考えております。この「自己革新人材」の育成を重要テーマに位置づけ、人事諸制度の抜本改定に加え、キャリアオーナーシップの推進、組織文化やマネジメントの変革も含む人材戦略を推進しております。具体的には積極的な挑戦を促す評価・処遇体系を構築し、メリハリのある人財投資を加速させるとともに、従業員の保有スキルの可視化とアサインへの活用、戦略に基づき事業単位に計画策定された人材ポートフォリオの運用等により、事業成長を支える人的資本経営に取り組んでおります。加えて、Well-Being経営を人的資本経営の基盤として位置づけ、心理的安全性が確保された組織環境のもと、社員一人ひとりが主体的に挑戦し、その能力を最大限発揮できるSCSKらしい人的資本マネジメントサイクルの実現を目指しております。
今後も、社員一人ひとりの主体的な貢献意欲を価値創出の原動力とし、人材価値最大化を軸とした人的資本経営の実践を通じて、グランドデザイン2030に掲げる「共創ITカンパニー」の実現を確実にすべく取り組んでまいります。

(戦略)
「人材価値最大化」の基本方針に則った4つの重点施策を設定し、人材戦略を推進しております。取締役会において定期的に審議することに加え、全社会議体を設置し、経営層と事業部門、コーポレート部門が一体となり、戦略の実行、社内浸透の状況についての議論や経営指標の進捗モニタリングを行っております。また、これらの方針や取り組みを、経営陣と社員の双方が共感し進められるよう、執行役員の年次評価に「共感経営」を導入し、社員意識調査において計測される実践度により、共感を生むリーダーシップの発揮度合いを評価しております。
<人材戦略に関する重点方針と重点施策>
中期経営計画では、人材戦略に関する方針として、「事業戦略に即した人事制度・人材育成」と「社員の“働きがい”を高めるWell-Being経営」を掲げ、4つの重点施策を設定しております。
■事業戦略に即した人事制度・人材育成
事業戦略と人材戦略、そして社員一人ひとりの能力発揮と成長意欲の連動を通じ、人材価値を最大化することを目指しております。
重点施策① 能力・スキルを高める、活かす「事業戦略と人材ポートフォリオ」
重点施策② 能力・スキルを適切に評価し、成果に報いる「処遇・報酬制度」
■社員の“働きがい”を高めるWell-Being経営
社員一人ひとりが心身ともに良いコンディションを保ち、組織への高いエンゲージメントを維持しながら、自律的な成長と事業を通じた新たな価値創出を実現することで、社員の“働きがい”の向上を目指しております。
重点施策③ 価値創出につなげる「Well-Being経営」
重点施策④ 多様性を尊重し活かす「ダイバーシティ&インクルージョン」
※人材戦略の方針及び重点施策の詳細については、「
人材戦略に関する基本方針等
<人材戦略に関する会議体>
■人材戦略会議
人事分掌役員を議長とし、事業遂行の責任者である各事業部門のグループ長と経営企画分掌役員、人材戦略本部で構成しております。事業戦略と人材戦略の連動性向上など、今後の人材戦略に関する取り組みや人事諸制度の刷新に向けた議論を行い、戦略の実行力を高めております。
■DEIB推進委員会
人事分掌役員を委員長、人事分掌役員補佐(DEIB・Well-Being推進担当)を副委員長とし、各事業部門代表の本部長、DEIB・Well-Being推進専任組織責任者で構成しております。意思決定の多様性を確保する女性登用の取り組みやWell-Being経営の実践に向けた具体的な施策について議論を行い、多様な人材が保有する力を最大限に発揮できる職場環境整備と企業風土醸成を推進しております。
※人材の確保・育成に関するリスクについては、「
スク ⑤人材の確保・育成に関するリスク
(指標と目標)
中期経営計画においては、先進技術者の育成に加え、コンサルティング機能の拡充や新規事業開発強化を担うコンサル・ビジネスデザイン人材、質の高いプロジェクト遂行とマネジメントができる高度プロジェクト・マネージャ人材の人材確保や育成強化について具体的な経営指標を設定し、取り組みを進めております。また、各人材の育成施策及び人材獲得、競争力を確保するための報酬水準の引き上げに100億円~200億円規模の人財投資を実行しております。
「働きやすさ」と「働きがい」を実感できる会社であること、「心身の健康」が整い高いパフォーマンスを発揮できることは、技術の変遷や事業環境の変化に関わらず求められる基礎的な事項であることから経営指標を設定し、目標水準を達成・維持するための取り組みを行っております。また、DEIBを推進する代表指標として、マネジメント層の多様性を確保することを目的とした女性社員の登用の拡大を目標として設定し、キャリア開発やパイプラインの構築に取り組んでおります。
<経営指標(非財務)の目標と実績>
※1:2025年3月期以降、各事業グループにて独自に定義した「コンサル・ビジネスデザイン人材」の人数を加算。
※2:社員意識調査で、「働きやすい会社」及び「やりがいのある会社」の両項目にポジティブ回答を行った社員の割合。2026年3月期の実績(連結)は、それぞれ86.1%、76.8%。
※3: 社員意識調査で、「自分の能力が十分活かされている」項目にポジティブ回答し、さらに健康アンケートで「健康な状態で発揮できるパフォーマンスを100%としたときに80%以上発揮できている」と回答した社員の割合。2026年3月期の実績(連結)は、それぞれ75.2%、75.5%。
※4:2023年3月期(実績)に対する比率を算出。
<SCSKの人的資本経営の全体像>

(ご参考)
・「人的資本リーダーズ2025」および「人的資本経営品質(ゴールド)」を受賞(2026年2月)
(1)リスクマネジメントの基本方針と体制
当社では、リスクを「損失を被る可能性、又は事業活動から得られるリターンが想定から外れる可能性」と定義し、当社グループの事業活動の安定化と企業価値の向上を図るため、事業活動遂行時の様々なリスクを可能な限り想定し、以下の目的をもって、主な重要リスクを中心に継続的なリスクマネジメントを実施しております。
当社では、グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを適切にマネジメントするため、リスクマネジメントに関する規程を定め、併せてリスクマネジメントの統括部署としてリスクマネジメント本部を設置しております。
リスクマネジメント本部は、リスクマネジメント活動が適正に機能するよう、全社視点で一元的にリスク管理状況の把握・評価を行い、定期的に執行役員 社長、及び経営会議に対して状況を報告すること等により、リスク管理における質の向上に努めております。また、これらの状況全般については、取締役会にも報告を行っております。 その際、事前に十分な説明をすること等により、取締役会による監督機能の強化に努めております。

上述のリスクマネジメント活動を通じて、事業環境の変化に適応するためにリスクマネジメントの高度化に努めております。
(2)事業等のリスク
当社グループの事業(経営成績と財政状態)に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業環境リスク
当社グループが属するITサービス業界において、クラウド化やDX化の進行や顧客企業も含めたAI技術の利活用が進展・定着すること等による市場の質的変化に加え、慢性的なIT人材不足や顧客企業の内製化の進行が引き続き見られる状況にあり、ITサービスの開発・利用環境が大きく変わりつつあります。また、サステナビリティ意識の高まりを受け、政府や企業等においても「脱炭素」、「循環経済」等、社会課題解決への取り組みが進む一方で、世界的な紛争が拡大・長期化傾向にあり、地政学リスクの高まり等の不透明な状況が継続しております。さらに国内においては、為替相場や国内労働市場の変化等を背景にした物価や人件費の上昇局面が継続しております。このような環境の下、事業環境・経営環境の変化等により顧客企業のIT投資への意欲が急速かつ大きく変化した場合や、業界内部での価格競争が今より激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客企業におけるIT投資実行の時期と規模は、経済環境、金利・為替動向等に影響を受けるため、間接的に当社グループの業績も影響を受ける可能性があります。
このため、当社グループは経営の基本スタンスとして「成長戦略としてのサステナビリティ経営」を掲げ、AI技術も含めたコアコンピタンスであるデジタル技術を活用して、様々な業種・業態の顧客企業と社会と共に、各種の社会課題にビジネス機会を見出し、社会が必要とする経済価値と社会価値の創出を実現することに取り組んでおります。従来の事業分野や事業モデルにとらわれることなく、成長可能性のある市場・事業領域を選択し、より収益性・生産性の高い事業モデルへとシフトすることを目指します。
② システム開発リスク
当社グループは、顧客企業の各種情報システムの受託開発業務を行っておりますが、大型かつ複雑化・短納期化するシステムの開発においては、計画どおりの品質を確保できない場合や、開発期間内に完了しないことによるコスト増大の可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、生産能力の確保、コストの効率化、技術力・ノウハウ活用のためにニアショアを含む多数の業務委託会社と取引しておりますが、期待した生産性や品質が維持できない可能性があります。
このため、当社グループでは、専門部署による引合い・見積り段階でのチェックや、案件の進捗管理、品質チェックの実施等に関する全社標準を整備・運用しております。さらには業務委託会社の総合的審査の実施や委託業務の進捗及び品質管理の徹底により、納入するシステム全体に、予定しない不具合が生じないよう組織的に努力し、リスクの低減に努めております。
③ 技術革新への対応に伴うリスク
ITの技術革新は激しく、既存技術の進化や新たな技術へのキャッチアップの遅れ、またITサービス市場における技術標準の急速な変化によって、当社グループが保有する技能・ノウハウ等が陳腐化し、競争優位性を喪失する可能性があります。このような環境下、当社グループが技術変化の方向性を予測・認識できない場合や、予測し得ても適切に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、技術革新に適時・的確に対応する以下のような戦略的取り組みを行っております。
・研究開発組織を設置し、先端・先進技術の開発や市場の技術動向分析、政府のIT戦略と重点分野の把握、保有技術把握の実施。
・スタートアップ・アクセラレーターやコーポレート・ベンチャーキャピタルファンドを通じた新しい技術の組織的発掘の推進(技術提携を含む)。
・従業員の技術スキル向上を目的とした取り組みの実施。
また、システム構築やサービス提供にかかる技術並びに製品の調達の分散化を図ると同時に、特定の技術・ノウハウ・製品に過度の収益を依存することなく、ビジネスを推進しております。
④ 情報セキュリティリスク
当社グループでは、顧客向けに各種のITサービスを提供しており、システム開発から運用に至るまで、業務を通じて、顧客企業が保有する個人情報やシステム技術情報等の各種機密情報を知り得る場合があります。このような状況において、コンピュータウイルスや不正アクセス等のサイバー攻撃、もしくは人為的過失等により、機密情報の漏えい・改ざん等が発生する可能性があります。あるいは顧客システムの運用障害やその他の理由により、顧客向けITサービスが停止を余儀なくされる可能性があります。この結果、顧客企業等からの損害賠償請求や当社グループへの信頼喪失を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、セキュリティシステムを導入し、サイバー攻撃の検知時に的確に対応する体制を整備しております。また、役職員のコンプライアンス意識の徹底を図るとともに、当社グループのみならず各種機密情報を取り扱う業務委託会社も含めて啓発と教育を徹底する、全社開発標準に情報セキュリティ観点を組み込み、情報セキュリティ監査を実施する等の情報セキュリティ強化策を講じております。業務委託会社には当社の規定する「情報セキュリティガイドライン」の遵守を求め、確認書による定期的なモニタリング、必要に応じたオンサイトレビュー(立入調査)及び是正指導等により、当社グループと同レベルの情報セキュリティの確保と情報管理の徹底を要請しております。また、予期せぬ情報流出・漏えいの発生に備え、専用保険に加入しております。
⑤ 人材の確保・育成に関するリスク
当社グループの事業活動においては人材が最大の経営資産であり、人材の確保・育成と定着が想定どおりに進まない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、事業規模拡大にあわせた人材確保による多様なポートフォリオの構築に加え、育成・配置・評価・処遇を通じて人材の安定的確保と人材価値の最大化に努めております。事業戦略の実現に向けては、事業戦略に応じて策定される人材ポートフォリオ計画に基づいた機動的な人材確保・育成・配置を推進するとともに、IT人材の市場価値に鑑みた評価・報酬制度の導入や、社員の能力発揮を妨げない多様な働き方の実現を図っております。また、安心・安全に仕事ができる働きやすい職場環境づくりと、健康の維持・増進を目指す健康経営を基盤とし、仕事に対する充実感や働きがいの実感による組織への高いエンゲージメントの維持を目指すWell-Being経営を実践しております。こうした事業戦略と連動した人材戦略の実践により、事業成長とエンゲージメント向上の好循環を実現し、優秀な人材の確保・育成と定着を図っております。
⑥ コンプライアンスに関するリスク
当社グループにおいて、事業活動のなかで各種法令・規制に抵触する事態や、不正行為等の重大なコンプライアンス違反が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下や、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社をはじめ、グループ各社においてコンプライアンス委員会を設置するとともに、当社グループとしての内部通報制度の整備運用、及びコンプライアンスに関するアンケート、教育研修等の仕組みの運用、及び啓発活動を継続して実施しております。
当社は2024年12月にネットワンシステムズ㈱を子会社化しております。同社は、過去に発生した不祥事をふまえ、二度と起こさないための「不適切行為にかかる再発防止策」を策定しており、これに基づき、企業文化の抜本的改革、企業文化醸成の基盤を着実に構築し、継続してコーポレート・ガバナンスの強化、企業理念・行動指針の浸透、風化させない仕組みの運営、社員の声を集める仕組みの最適化等を掲げ、信頼回復に向けた、取り組みのさらなる強化を進めております。
⑦ 製品調達及び販売リスク
当社グループでは、国内外のベンダー各社から、幅広く選りすぐりのソフトウェア・ハードウェア等の製品を調達して顧客企業に提供しておりますが、これらベンダー各社の事業戦略の突然の変更による製品仕様の変更やグローバル化が進むサプライチェーンが様々な世界情勢によって停滞すること等による製品供給の停止が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、独自の海外拠点・ネットワークを活用して海外製品・技術の発掘、情報収集に努めている他、国内外のベンダー各社と良好な取引関係を維持して製品販売戦略を共有しつつ、必要な場合は当社が適量の在庫を保持することにより安定的な製品の調達を図っております。
他方、調達製品の品質不良、顧客企業への導入時の設定誤り、及び委託先企業を通じた不完全な役務提供等により、顧客のネットワークシステムに大きな影響を与える可能性があります。このため、製品の受入時・納品時の検査等、品質チェック、さらに委託先企業の業務品質担保に向けたモニタリング、明確な各種条件の合意、委託先企業への教育、及びセキュリティ環境の提供等を進めております。
⑧ 投資リスク
当社グループでは、ソリューション提供力強化、生産能力確保、最先端分野における技術力獲得・向上、最新のソフトウェア・ハードウェア等の製品調達力確保等を目的に国内外の事業会社やベンチャー企業への投融資、これら企業からの試作製品の購入を行っております。また、重点分野や新規分野におけるソフトウェア開発やサービス開発のための投資を行っております。こうした投資は事業投資先の業績悪化や計画未達成等のため、当初見込んだリターンが得られない、もしくは損失を被り、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、投資に際しては、事業投資先や投資に伴う事業計画、リスク・リターン等について十分に検討し、また、投資後であっても、計画進捗のチェックやモニタリングを行う等リスク管理体制を整え、強化に努めております。
⑨ 知的財産権に関するリスク
当社グループは、外部ベンダーの開発・製造によるソフトウェア・ハードウェア等の製品を多数の顧客企業に対し販売・納入しており、このような事業活動において、第三者が知的財産権の侵害を含む訴訟等を当社グループに対して提起する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは第三者の知的財産権に関する調査等を行うとともに、知的財産権に関する社内での教育・啓発を図り、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めております。
⑩ 資金調達・金利変動のリスク
当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等により資金調達を行っており、金融市場が正常に機能しない場合、又は当社グループの経営成績や信用力が悪化した場合には、資金調達が困難となる可能性があります。
また、市場金利の急激な上昇や当社の信用格付低下により資金調達コストが増大した場合、支払利息等の金利負担増加により金融収支が悪化し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このため、資金調達の実行リスクに対しては、資金調達手段の多様化やコミットメントラインを含む融資枠を確保する等の対策を講じております。また、資金調達コストの増大リスクに対しては、変動金利だけではなく固定金利での長期資金調達を行うこと等により、金利変動リスクの抑制に努めております。
当社グループは引き続き財務体質の強化に取り組み、資金調達力の維持・向上を図ってまいります。
⑪ 為替変動リスク
当社グループにおいては、海外からの直接調達取引を行っており、為替変動による仕入コスト上昇分を販売価格へ反映できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、為替相場の変動によるリスクをヘッジする目的で、外貨建て仕入れに関する確定債務残高と予定債務残高を管理し、適切な先物為替予約の実行に努めております。
⑫ 大規模な自然災害等によるリスク
本社を含めた大都市圏の拠点と資産が首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模震災により被災した場合や気候変動に起因した大規模自然災害及び世界的な流行が懸念される新型ウイルス等の感染症が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、不測の事態の発生に備え、事業継続計画の策定と定期的な見直し、災害対策本部の整備、及び経営機能を代行可能なバックアップ拠点の整備等を進めております。あわせて、当社グループ社員や当社グループで働くパートナーの在宅勤務等を通じ、従業員の安全の確保に努めつつ、事業継続のための体制強化を図っております。
⑬ サステナビリティに関するリスク
(a)気候変動に関するリスク
異常気象や風水害が社会生活や事業活動に及ぼす影響が甚大であることから、企業に対して社会全体から温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みや、再生可能エネルギーの導入など「脱炭素社会」へ向けた積極的な対応が求められております。このようななか、顧客企業をはじめとする様々なステークホルダーから当社グループの脱炭素社会実現に向けた取り組みが不十分だとみなされた場合、事業機会の逸失や社会的評価の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、SBTイニシアチブの認定を取得した中長期的な温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、削減に向けて、環境に配慮した事業活動に意欲的に取り組むとともに、幅広い業界にわたる顧客企業やパートナー企業との共創を通じて脱炭素社会の実現に貢献しております。
(b)自然資本に関するリスク
自然資本の損失は経済・社会に悪影響を与えるため、事業における自然資本への依存と影響の分析を通じたリスクの特定や、自然資本の損失を抑制し回復を促すネイチャーポジティブ経済への移行に向けた取り組みが求められております。
また、TNFDが自然資本に関連するリスクや機会等の評価や情報開示に関する最終提言を公表するなど、企業に対して情報開示に向けた要請が高まっております。
このような状況のなかで、自然資本に関する課題への対応が適切に行われなかった場合、操業コストの増加や事業機会の逸失、社会的評価の低下に伴う業績への影響が生じる可能性があります。
このため、当社グループは、2023年にTNFDフォーラムに参画し、2024年には自然資本に関する依存・影響の把握、自然関連のリスク・機会の特定を行いました。特定されたリスク・機会については、対応策を検討しリスクの軽減を図るとともに、環境に配慮した事業の創出・拡大を通じて、より良い自然環境の実現に貢献しております。
(c)人権に関するリスク
国連で「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されるなど、社会的責任の観点から企業に対して人権に配慮した適切な対応が要請されております。また、急速に社会に浸透しているAIについても、人権に配慮した適切な利用が求められております。これら人権にかかわる対応が不十分な場合、当社グループの社会的な信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、事業活動に関わる一人ひとりの個性や価値観を尊重し、互いの力を最大限に活かせるよう、経営理念とともに約束の一つとして「人を大切にします。」を掲げております。これらに基づき、当社グループの事業活動の影響を受けるすべての人々の人権を尊重するという考え方や責任について示すものとして「SCSKグループ人権方針」を定めております。また、AIが人権へ与える影響を理解し、AIシステム・サービスの開発・提供・利用の指針をまとめた「SCSKグループAI基本方針」を策定しております。
当社グループでは、事業とサプライチェーン全体で起こりうる人権リスクの特定のため、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施し、特定した人権リスクについては、その防止、軽減に努め、企業として社会的責任を果たしております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移し、設備投資も持ち直しの動きがみられるなど、景気は総じて緩やかな回復基調で推移しました。一方で、海外経済の減速懸念に加え、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇、これに起因する物価動向や為替相場の変動、金融資本市場の不安定化など、先行きについては依然として不透明感が残る状況にあります。
このような経済環境の下、ITサービス市場におきましては、企業の競争力強化や業務効率化を目的としたIT投資需要は引き続き堅調に推移しました。一方で、マクロ環境や市況の不透明感を背景に、翌期に向けたIT投資計画については一部に慎重な姿勢もみられますが、業務の高度化やデジタル化を目的とした基幹系システムの刷新やモダナイゼーションを中心とする構造的な需要には大きな変化はなく、IT投資全体としては底堅く推移しております。
当社グループにおける顧客企業の動向につきましては、製造業企業においては、デジタル化に向けた基幹システムの再構築や戦略的投資等、IT投資需要は増加を続けております。また、通信業企業においては、生成AIを活用した新たなサービス開発や、オンラインを含む顧客接点の高度化に向けた投資が進展しており、これらを背景にIT投資需要が拡大しました。
加えて、顧客企業における業務効率化・生産性向上への意識の高まりを背景に、ソフトウェアのエンドオブサービス対応に伴う基幹システム再構築や、クラウド型ITサービスへの移行需要は引き続き堅調に推移しており、このような動向を背景としたシステム再構築や戦略的IT投資需要は、今後も継続するものと考えております。
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し16,822百万円減少し、868,206百万円となりました。
(a) 流動資産
当連結会計年度末の流動資産は、現金及び現金同等物の増加等により、前連結会計年度末に対し4,706百万円増加し、353,311百万円となりました。
(b) 非流動資産
当連結会計年度末の非流動資産は、繰延税金資産の減少等により、前連結会計年度末に対し21,529百万円減少し、514,895百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に対し57,077百万円減少し、535,386百万円となりました。
(a) 流動負債
当連結会計年度末の流動負債は、営業債務及びその他の債務の減少等により、前連結会計年度末に対し32,995百万円減少し、324,034百万円となりました。
(b) 非流動負債
当連結会計年度末の非流動負債は、繰延税金負債の減少等により、前連結会計年度末に対し24,082百万円減少し、211,351百万円となりました。
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末に対し40,255百万円増加し、332,820百万円となりました。
主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益66,870百万円によるものであります。
主な減少要因は、2025年3月期期末配当金(1株当たり37.00円)11,563百万円並びに2026年3月期中間配当金(1株当たり47.00円)14,700百万円によるものであります。
セグメント別資産の状況
(産業IT)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、879百万円増加し、82,597百万円となりました。
(金融IT)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、192百万円増加し、20,760百万円となりました。
(ITソリューション)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、955百万円増加し、29,955百万円となりました。
(ITプラットフォーム)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、25,576百万円減少し、474,242百万円となりました。
(ITマネジメント)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、3,575百万円増加し、79,116百万円となりました。
(その他)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に対し、3,187百万円減少し、30,104百万円となりました。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、ネットワンシステムズ㈱の連結加算の影響や、拡大を続ける顧客企業のIT投資需要から、システム開発、保守運用・サービス、システム販売、全ての売上区分で増加し、前期比30.9%増の780,326百万円となりました。
営業利益は、増収による増益やシステム開発や保守運用・サービスの利益率が向上したこと、また、PROACTIVEビジネスやBPOビジネスの業績改善に加えて、ネットワンシステムズ㈱の連結加算により、前期比30.5%増の86,260百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては、持分法適用会社に対する投資の売却益を計上した影響により、前期比48.5%増の66,870百万円となりました。
当連結会計年度の売上高は、前期比30.9%増の780,326百万円となりました。
また、サービス特性別の「システム開発」「保守運用・サービス」「システム販売」の各売上区分別売上高は次のとおりであります。
システム開発は、流通業向け案件の反動減はありましたが、電機業を中心とした製造業向けの開発案件や通信業向けの案件等が増加したことにより、売上高は前期比13.0%増の252,749百万円となりました。
保守運用・サービスは、新規連結効果によるEC関連ビジネスの増加や、マネジメントサービスやクラウドサービスなどが堅調に推移したことにより、売上高は前期比34.3%増の298,152百万円となりました。
システム販売は、通信業の特定顧客向けネットワーク機器販売や自動車業向けハードウェア販売の減少の影響はありましたが、ネットワーク、セキュリティ製品の需要増による増加により、売上高は前期比52.6%増の229,425百万円となりました。
なお、ネットワンシステムズ㈱の連結子会社化によって各売上区分において連結加算の影響があります。
当連結会計年度の売上総利益は、増収に伴う増益や生産性向上等に加えて、ネットワンシステムズ㈱の連結加算により、前期比33.5%増の212,863百万円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費については、ベースアップや中計達成賞与の支給などに伴う人件費の増加や、ITインフラ整備による増加などに加えて、ネットワンシステムズ㈱の連結加算により、前期比40.9%増の128,919百万円となりました。
当連結会計年度のその他収益(費用)は、前連結会計年度の1,838百万円の費用[純額]から4,155百万円増加し、2,316百万円の収益[純額]となりました。
以上により、当連結会計年度の営業利益は、前期比30.5%増の86,260百万円となりました。
当連結会計年度の金融収益(費用)は、前連結会計年度の1,987百万円の費用[純額]から9,076百万円増加し、7,088百万円の収益[純額]となりました。また、当連結会計年度の持分法による投資利益(損失)は、持分法適用会社に対する投資の売却により、前連結会計年度の1,413百万円の利益[純額]から1,375百万円減少し、38百万円の利益[純額]となりました。
当連結会計年度の税引前当期利益は、前期比42.5%増の93,388百万円となりました。
当連結会計年度の法人所得税費用は、前期比38.7%増の26,435百万円となりました。
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期利益は、81百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比48.5%増の66,870百万円となりました。また、1株当たり当期利益は、前連結会計年度の4,556,363,835.25円から2,231,592,680.58円増加し6,787,956,515.83円となりました。
セグメント別業績の概要は次のとおりとなっております。なお、売上高につきましては外部顧客への売上高を表示しております。
(単位:百万円)
(産業IT)
通信業、自動車業向けのシステム開発投資需要の拡大や、デジタルサプライチェーン事業において製造業顧客から案件が増加したことにより、流通業向けの案件収束の影響を吸収し、売上高は前期比5.5%増の210,398百万円、営業利益につきましては、検証サービスを中心とした自動車業向け案件の収益率悪化などにより、前期比1.8%減の29,602百万円となりました。
(金融IT)
銀行業向けなどを中心とした自社ソリューション事業の拡大や、証券業向けシステム開発案件等が継続して取り込めた影響により、売上高は前期比4.0%増の67,666百万円となりました。営業利益につきましては、前期比11.6%増の10,225百万円となりました。
(ITソリューション)
新規連結効果によるEC関連ビジネスの増加や、昨年度不調であったPROACTIVE事業、BPO事業の回復により、売上高は前期比9.4%増の61,332百万円となりました。営業利益につきましては、売上高の動向に加えて、昨年度のPROACTIVE事業におけるソフトウェア資産の除却影響の反動により、前期の△1,662百万円から2,609百万円となりました。
(ITプラットフォーム)
通信業の特定顧客向けのハードウェア販売の減少がありましたが、複数の業種向けにネットワーク、セキュリティ製品の販売が堅調に推移した事に加えて、ネットワンシステムズ㈱の連結加算により、売上高は前期比90.8%増の335,253百万円、営業利益につきましては、前期比56.8%増の34,094百万円となりました。
(ITマネジメント)
マネジメントサービス、クラウドサービスが複数の顧客向けに堅調に推移したことに加えて、データセンター事業においても案件が増加したことから、売上高は前期比7.6%増の76,473百万円となりました。営業利益につきましては、売上高の動向に加えて、データセンターの収益性改善もあり、前期比25.5%増の12,873百万円となりました。
(その他)
売上高は前期比1.3%増の29,185百万円、営業利益につきましては、前期比51.1%増の1,914百万円となりました。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.見積り及び判断の利用」に記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、「ITプラットフォーム」の
セグメントにおきまして、ネットワンシステムズ㈱を、2024年12月25日付で連結子会社とし、
連結の範囲に含めたことによるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、「ITプラットフォーム」の
セグメントにおきまして、ネットワンシステムズ㈱を、2024年12月25日付で連結子会社とし、
連結の範囲に含めたことによるものであります。
なお、当社グループは受注実績を下記の基準にて従来より開示しております。
・役務サービス等に関する複数年契約について、基準日以降1年間の売上高を算出し、受注残高とする。
・保守サービス等の自動更新条項が付与された契約について、契約が継続されることを前提とし、基準日以降1年間の売上を算出し、受注残高とする。
上記の基準で作成した受注実績は以下のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績(直接販売)及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
※外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
3 各報告セグメントの概要につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」の「(1)報告セグメントの概要」をご参照ください。
4 その他には、収益認識におけるIFRSとの調整額17百万円が含まれております。
5 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、「ITプラットフォーム」の
セグメントにおきまして、ネットワンシステムズ㈱を、2024年12月25日付で連結子会社とし、
連結の範囲に含めたことによるものであります。
また、生産実績・受注実績・販売実績について、サービス特性により分類したシステム開発、保守運用・サービス、システム販売等に分類すると次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
上記各区分の概要は以下のとおりであります。
システム開発
広範な業種の顧客に対する、最新の情報通信技術と長年蓄積された豊富な業務ノウハウによる、一貫した信頼性の高いトータルソリューションサービスの提供
保守運用・サービス
専用データセンターの構築・運営管理並びに、長年の経験と培われたノウハウ、「ISO9001」をベースにした運用管理技術による、安全で、信頼性の高いコンピュータ、通信ネットワークシステムの保守・運用サービスなどの提供
システム販売
各メーカーの各種サーバ、クライアント機器、ストレージ機器、通信ネットワーク関連機器及びパッケージ・ソフトウェア商品等を組み合わせたソリューションの提供
なお、当社グループは受注実績を下記の基準にて従来より開示しております。
・役務サービス等に関する複数年契約について、基準日以降1年間の売上高を算出し、受注残高とする。
・保守サービス等の自動更新条項が付与された契約について、契約が継続されることを前提とし、基準日以降1年間の売上を算出し、受注残高とする。
上記の基準で作成した受注実績は以下のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8,593百万円増加し、114,216百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果、増加した資金は90,561百万円(前期比22,524百万円増加)となりました。
主な増加要因は、税引前当期利益93,388百万円、減価償却費及び償却費35,270百万円、契約負債の増加6,945百万円によるものであります。主な減少要因は、金融収益12,027百万円、引当金の減少5,768百万円、法人所得税の支払による資金の減少29,574百万円によるものであります。
投資活動の結果、減少した資金は1,032百万円(前期比274,456百万円増加)となりました。
主な増加要因は、その他金融資産の売却及び償還による資金の増加25,014百万円によるものであります。
主な減少要因は、その他金融資産の取得による資金の減少20,823百万円、有形固定資産の取得による資金の減少11,598百万円、無形資産の取得による資金の減少8,318百万円によるものであります。
財務活動の結果、減少した資金は81,093百万円(前期比249,040百万円減少)となりました。
主な増加要因は、借入による収入88,825百万円、主な減少要因は、非支配持分からの子会社持分取得による支出71,581百万円、借入金の返済による支出61,109百万円、リース負債の返済による支出11,079百万円、2025年3月期期末配当金(1株当たり37.0円)11,563百万円及び2026年3月期中間配当金(1株当たり47.0円)14,700百万円の支払によるものであります。
・基本方針・資金需要の主な内容
中期経営計画における基本戦略を着実に推進するため、投資活動として自社知財の開発・拡充に向けた研究および開発投資、経営基盤強化に向けた設備投資、先端技術研究を目的とした国内外ベンチャー企業との業務資本提携、先進技術者やコンサル人材等の育成・採用にかかる人財投資等を実行してまいります。また、成長領域における競争力強化に資する技術・知見・リソースの獲得を目的とした国内外のM&Aに関する検討も継続的に行っております。
・資金調達
これら投資活動に係る資金需要につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応する考えでおりますが、必要に応じて、外部からの資金調達にて対応してまいります。
当連結会計年度においては、㈱三井住友銀行とのブリッジローン契約にて715億円の借入を実行し、ネットワンシステムズ㈱の完全子会社化に伴うスクイーズアウト手続きに充当いたしました。
なお、当社グループの当連結会計年度末における有利子負債(リース債務含む)の残高は335,891百万円、現金及び現金同等物等の残高は114,216百万円、D/Eレシオ(リース債務含む)は1.01倍となっております。
当社グループは、本報告書提出時点において、㈱日本格付研究所より長期発行体格付AA(安定的)を取得し高い信用力を維持しているほか、主要な取引金融機関と良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては十分な能力を有しているものと認識しております。
引き続き、適切な財務運営を通じて財務基盤の維持・強化に努めてまいります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済普通株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(1)端数相当株式売買契約の締結
当社は、2026年3月16日付で、住友商事㈱が100%出資するSCインベストメンツ・マネジメント㈱との間で、株式併合により生じる当社普通株式の1株未満の端数の合計数に相当する株式の譲渡に関する契約を締結しております。
当該契約は、本株式の任意売却に関して会社法に基づく裁判所の許可決定を条件とするものであり、その詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 37. 後発事象」をご参照ください。
(2)連結子会社(ネットワンシステムズ㈱)との吸収合併に関する契約
当社は、2026年3月25日付で、当社の連結子会社であるネットワンシステムズ㈱との間で、同社を吸収合併消滅会社、当社を吸収合併存続会社とし、2027年4月1日を効力発生日(予定)とする合併契約を締結しております。
詳細については、「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な後発事象」をご参照ください。
(3)連結子会社(ネットワンパートナーズ㈱)との会社分割に関する契約
当社は、2025年12月19日開催の取締役会において、2026年4月1日を効力発生日として、当社のIT製品(ハードウェア・ソフトウェア)のディストリビューション事業及びサーバー・ストレージ製品販売事業の一部を、当社の連結子会社であるネットワンシステムズ㈱の子会社であるネットワンパートナーズ㈱に会社分割の方法により承継させる会社分割を行うことを決議し、同年1月13日付でネットワンパートナーズ㈱との間で吸収分割契約を締結し、同年1月30日付で当該吸収分割契約の内容を一部変更する変更契約を締結し、同年4月1日付で本吸収分割を行いました。
詳細については、「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な後発事象」をご参照ください。
(4)㈱三井住友銀行とのブリッジローン契約
当社は、ネットワンシステムズ㈱に対する公開買付に充当する資金として2024年12月19日に㈱三井住友銀行と総額2,735億円のブリッジローン契約を締結しております。当該ブリッジローンにかかる借入期間を2025年12月24日から9か月間期限を延長しております。
本ブリッジローン契約の概要は以下の通りです。
当社グループでは、国内はもとより欧米・アジアの各拠点と一体となりグローバルな視点から最新のIT動向を鋭敏に捉え、市場創造に向けて当社グループ全体で最新技術の導入と技術レベルの高度化・充実を図るべく、研究開発活動を推進しております。中期的な技術戦略に基づいた研究開発に取り組んでおり、社会環境やお客様の事業環境の変化・変容にも迅速・弾力的に対応する、より最適なソリューションやサービスを早期に実現いたします。また、中長期的視点での研究開発を推進するために専門組織を設置し、大学・研究機関等とも連携した活動を行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、
自動車業界では、従来のハードウェアに加えソフトウェアが車両価値を拡張するSoftware Defined Vehicle(SDV)の進展により、車両機能の継続的な更新、車室内体験の高度化、モビリティデータの利活用、外部サービスとの連携等の重要性が高まっています。また、グローバル市場を中心に、SDVに対応した車両アーキテクチャの変化、水平分業型開発への対応、ソフトウェア更新を前提とした開発・運用プロセスの確立、車両データを活用したサービス提供モデルへの移行が進みつつあります。
当社は、こうした環境変化を踏まえ、自社で製造設備を保有するのではなく、企画、設計、ソフトウェア開発及びシステム構築に重点を置き、生産や実装に関わる機能を外部パートナーと分担するファブレス型の開発アプローチを特徴としています。
また、必要な技術や知見を一社で完結させるのではなく、車両、コックピット、クラウド、AI、データ利活用、サービス等の領域ごとに、国内外の複数の企業・組織が相互に連携しながら価値を創出するエコシステムの構築に取り組んでいます。そして、研究開発の推進にあたっては、実機、実データ及びPoCを活用しながら仮説検証を繰り返すアジャイル型の開発手法を取り入れ、開発手法及び検証プロセスの高度化・高速化を進めています。
さらに、SDVに対応する技術開発で得た知見を、移動に伴うサービス価値の創出を重視する考え方を「Service Oriented Mobility(SoM)」と位置づけ、関連技術及びサービスの具体化に取り組んでいます。
当連結会計年度においては、コックピット領域、クラウド連携、データ利活用、AI活用、モビリティサービス基盤等を対象に、技術要素の調査、検証及び開発を進めました。AI活用については、コックピット領域における音声・映像認識や、SoM領域におけるデータ・映像解析を通じて、車室内体験の高度化及びモビリティサービスへの応用可能性を検証しています。
今後も、自動車業界の持続的な発展に貢献するため、SDVに対応する技術開発を起点に、ファブレス型の開発体制、エコシステムによる共創、アジャイル型の検証プロセスを活用し、車両、コックピット、クラウド、社会インフラ及び各種サービスをつなぐ研究開発を進め、さらに次年度以降の事業拡大を見据え、車載AIデジタル部品をはじめとするソフトウェア起点の製品・サービスの具体化を推進してまいります。
世界的にカーボンニュートラルへの取り組みが加速するなか、国内でもCO2排出量の削減が進んでおります。排出量全体の約17%を占める商業・サービス・事業所などの業務部門については、政府は2030年度までにCO2排出量を2013年度比51%削減する目標を掲げており、建築物省エネ法が全面施行される2017年以前に建設された業務ビル、特に棟数の多い延床面積5,000㎡未満の中小規模業務ビルにおいては、環境性能の向上が求められております。
当社では中小規模の業務ビルオーナー様向けに、建物の省エネ・CO2排出量削減を支援するサービスとして『ZEBiT』を2024年4月から提供し、主に下記のような機能の実装や調査検証を行ってまいりました。
・CO2排出量可視化:エネルギーデータの自動収集機能、SCOPE3対応、多棟グループ管理など
・法令対応:定期報告書用データ出力、低炭素ベンチマーク評価など
・設備制御:DALI2照明制御、空調制御、センサー連動制御など
・創エネ:蓄電システムや太陽光発電システムの外部制御に関する調査検証
今後も、さまざまなパートナー企業の製品・サービスとの組み合わせにより、業務用建築物の脱炭素化に向けてサービス拡充を図ってまいります。
当社グループでは、2023年5月より全役職員・パートナーが業務において、安全・安心に生成AIを体験・利用できる環境「SCSK Generative AI(SCSK-GAI)」を提供し、作業効率化のアイデアやユースケースの創出に取り組んでおりました。近年、問い合わせへの回答生成といった特定タスクにおける業務効率化だけではなく、特定の目的を達成するためにAIが自律的に意思決定を行い、周囲の環境を認識・理解しながら推論を繰り返すことで最適な行動(タスク)を実行するAI、いわゆる「AIエージェント」の研究開発ならびに利活用が当社でも進んでおります。
また、ノウハウやナレッジを必要とする業務を担う人材は、少子高齢化の要因もあり不足していることが社会課題となっており、当社では経験や直感などの明確に言語化されていない(非構造化)情報をデータベース化した「暗黙知」をAIエージェントで活用することで、社会課題の解決に取り組んでまいりました。暗黙知とAIエージェントを組み合わせることで、より精度の高いタスク遂行につながることを検証するため、顧客の現場を借りて共同で実証実験を行っております。また同時に、現場のニーズと技術課題の解決に向けて、産学連携で研究開発を進めております。
上記まではデジタル空間内でのAI活用の取り組みでしたが、昨今はロボティクスとAI技術の飛躍的な進化により、実世界の機器での高度な判断を可能とする「フィジカルAI」が世界的に注目を集めております。この技術革新により、ロボットは単なる定型作業の代替手段にとどまらず、これまで人手に頼らざるを得なかった複雑な業務も遂行でき、現実(フィジカル)空間でのAI活用が期待されております。当社でも、すでにフィジカルAIの研究開発を行っており、主に下記一連の開発を進めております。
・複数台同時によるデジタル空間での強化学習(学習)
・シミュレーション上での学習結果の確認(評価)
・実機を使った動作確認(検証)
一方、当社単体でのハードウェア開発には膨大な時間がかかると判断し、「AIロボット協会(以下「AIRoA」という。)」に加入することで、下記の早期実現を目指しております。
・ロボット開発のノウハウ蓄積と最新技術動向入手
・AIRoAで開発している基盤モデル・データエコシステムの知見獲得と利活用
・オープンイノベーションの推進とネットワーキングの強化
引き続き、AIRoAへの参画を通じてフィジカルAI・ロボティクスの現場適用に向けた検証を進めてまいります。
AI技術以外にも、間もなく登場するといわれる“誤り耐性のある量子コンピュータ(FTQC : Fault-Tolerant Quantum Computer)”を活用した「量子コンピューティング」の研究開発も推進しております。従来のコンピュータ(古典コンピュータ/デジタルコンピュータ)では、計算時間や問題規模に限界を迎えつつあるため、次世代のアクセラレータとしてFTQCに期待が高まっています。FTQCの登場までは、“古典コンピュータ” と “誤り訂正のない量子コンピュータ(NISQ : Noisy Intermediate-Scale Quantum)”を組み合わせたハイブリッド型が当面主流になると考えており、量子計算の結果から重要な情報を効率的に取り出すための新しい読み出す技術「PODリードアウト」を量子スタートアップ企業と「流体計算」の領域で共同研究を進めており、将来の実用化に向けて引き続き研究開発を進めてまいります。
今後も当社グループの技術戦略「技術ビジョン2030」に基づき、社会実装の実現や社会課題の解決につながる研究開発を推進します。