文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社および連結子会社等)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は1966年の創業以来、情報処理アウトソーサーの先駆者として、常にユーザーオリエンテッドな姿勢で顧客満足度の向上につとめ、優れた人と技術を「仕組み」で融合することを事業の原点とし、高品質なサービスを提供してまいりました。人とはきめ細やかな対応ができる専門性の高いプロフェッショナルのことであり、技術とはお客様企業の課題解決に最適なグローバルの最先端技術のことであります。事業の原点を将来にわたり磨き続けること、グローバルな展開を志すこと、そして究極的には我々の事業を通して人間と技術を結び付け、技術を人間により身近に、使いやすくしたいという考えから、当社のロゴには「people & technology」と記載しております。このような経営の指針のもとで、独立系総合情報サービス企業として、ますます高度化、多様化、グローバル化する情報社会での的確な事業活動の展開を通じて社会に貢献するとともに、株主様、お客様企業、社員をはじめとするすべてのステークホルダーの信頼と期待に応えてまいる所存であります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは現在、売上高の拡大と共に、原価低減策やサービスの高付加価値化および新サービスの開発などを推進しながら売上総利益率の向上を図り、株主資本利益率(ROE)の向上に努めてまいります。
(3) 会社の対処すべき課題
(中期経営計画)
当社では2023年度から2025年度までの中期経営計画を策定し、以下の重点施策を進めています。
・目指す姿
1. オペレーショナル・エクセレンスからテクノロジーソリューションカンパニーに進化
最新クラウドテクノロジーとデータ活用のCXプラットフォーム(全体最適化されたユーザー接点)とデジタルBPO(全体最適化された業務プロセス)のフル活用によって、デジタルで顧客体験と生産性を最大化し、カスタマーサクセスを加速。
2. アジア圧倒的No.1、グローバルCX/BPOベンダーTOP5を目指す
日本・中国・韓国・ASEAN・米国・欧州にあるグローバル184拠点の有機的連携を推進しグループの継続的成長エンジンとして強化し、グローバル企業の成長力を取り込むことで、収益の最大化を図る。グループネットワークで新たな市場機会にも挑戦していく。
3. お取引先企業、社員、株主をはじめステークホルダーの期待に応え社会に貢献する
公平・信頼・永続・品質・イノベーション・カスタマーサクセス・成長を約束し、多様な事業・サービスポートフォリオを通して社会課題を解決するパートナーであり続ける。
・5つの戦略施策
1. 事業モデルのプラットフォーム化(as-a-service化)
2. サービス標準化による品質、利益の構造改革
3. グローバルの市場成長に応える体制強化と人材育成
4. グローバルネットワークを最大活用した新規事業開発・R&D推進
5. グループ経営基盤整備(財務、人事、マーケティング、ESG)
これらの取り組みにより、最新のデジタル技術を通じてお客様企業に最高の顧客体験と生産性改革をもたらし、サステナブルな社会の実現に貢献する「Global Digital Transformation Partner」に向けて着実な進歩を遂げていきたいと考えております。
また、本中期経営計画では2025年度までの目標として、売上高4,500億円以上、営業利益率6.0~8.0%を経営指標としておりましたが、中国経済の停滞による影響やコロナ禍後の企業の投資に対する慎重姿勢が続いたこと、想定以上に高騰した人件費やテクノロジーコストの価格改定が進行中であることなどにより目標達成が困難であると見込んでおります。
なお、2025年度については、売上高4,000億円(前期比+6.4%)、営業利益155億円(同+7.1%)、営業利益率3.9%を見込んでおります。
引き続き本中期経営計画での戦略施策を推進して増収増益基調を継続しながら、次の中期経営計画に向けた土台を固めてまいります。
(持続可能な社会の実現に向けた取り組み)
当社は、サステナビリティ基本方針に基づき、事業活動を通して社会課題・環境問題の解決に向けた取り組みを推進し、持続可能な社会の実現と、永続的な企業価値の向上を目指しています。サステナビリティに関する具体的な取り組みにつきましては、次項に記載しております。
当社グループ(当社および連結子会社等)のサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結子会社等)が判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
当社は、「Global Digital Transformation Partner」の実現に向けて、DX企業としてお客様企業の生産性向上を支援するとともに、ステークホルダーの期待に応えることで持続可能な社会の実現に貢献していきます。このような考え方に基づき、みなさまとともにSDGs/ESGを具体的に推進するための基本方針として、サステナビリティ基本方針を定めております。
サステナビリティ基本方針において、「わたしたちは、『お客様の満足の大きさが我々の存在価値の大きさ』という経営の基本理念のもと、みなさまと共創しWell-being社会を実現します。みなさまと共に、SDGs/ESGを推進して参ります。」と宣言するとともに、社会全体のWell-beingを増やすことをパーパスと定め、お客様と共創しWell-being社会を実現するための方針を示しています。
具体的には、社会・お客様企業・個人、それぞれのWell-beingの最大化を目指します。社会のWell-beingについては、気候変動、生物多様性、ビジネスと人権、社会的公正性など、お客様企業とともにその最大化を目指します。お客様企業のWell-beingについては、お客様企業のビジネスの拡大、業務プロセスの最適化、お客様企業における顧客満足度の向上など、お客様企業の持続的な発展に寄与し、その最大化を目指します。個人のWell-beingについては、従業員の最先端技術の習得、健康経営、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)、人権の尊重などへの取り組みを通じてその最大化を目指します。
当社は、事業および企業活動の両面でサステナビリティ経営の強化に取り組んでまいります。サステナビリティ経営強化の取り組みの一環として、お客様企業の成長に貢献するDX事業を通じて社会課題解決に貢献するとともに、気候変動への対応やプロフェッショナル人材の育成、ガバナンスの強化といったESGの課題に取り組みます。また、従業員は無限の可能性を秘めた最大の資産であると位置づけ、健康経営の推進にも注力しております。
このように、今後は「Global Digital Transformation Partner」の実現とともに、みなさまの「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)パートナー」としてSDGs/ESGを推進することも当社の重要な意義であると捉えています。
① ガバナンス
当社は、経営戦略とSDGs/ESGを紐付け、自社の持続的成長の観点からそのリスクと機会を分析・把握することが重要と考えています。そのため、当社の事業・経営資源とSDGs/ESGとの関係性を整理し、特に重要性の高い社会課題を優先的に目標設定して定期的な達成状況の確認を行う専任組織として代表取締役会長が委員長、各取締役が副委員長で構成されるトランスコスモスSDGs委員会を設置しております。
サステナビリティ基本方針に基づき、リスクおよび収益機会にかかる対応方針と重要施策について、同委員会が企画立案・審議・決議、サステナビリティ経営の推進および主たる活動状況の報告等を行っております。同委員会により審議・決議された方針および重要施策に従い、サステナビリティ推進部および各統括組織の担当者がそれらを推進、実行しております。
また、取締役会は、トランスコスモスSDGs委員会からサステナビリティ関連リスクの報告を、各統括組織からサステナビリティ関連リスク以外のリスクの報告をそれぞれ受け、リスクを識別・評価し、統合的に管理しております。
(サステナビリティに関する主な会議体および体制一覧)
|
会議体および体制 |
役割 |
|
取締役会 |
トランスコスモスの取締役会は、社外取締役8名を含む計17名から構成され、定例の取締役会を毎月開催するほか、必要に応じて臨時取締役会を開催し、サステナビリティ全般の案件を含む、経営上の重要事項について意思決定を行うとともに、各執行役員の業務執行を監督しています。 |
|
トランスコスモスSDGs委員会 |
代表取締役会長を委員長としたトランスコスモスSDGs委員会を設置しています。社内取締役が副委員長を務め、全統括の各部門メンバーが参画する全社組織(実行組織)です。トランスコスモスのサステナビリティ全般の案件に関して審議・決議を行い、年複数回取締役会に報告します。 |
|
サステナビリティ |
トランスコスモスSDGs委員会の企画・立案に基づき、取り組みの方針と重要施策について検討し、検討結果をトランスコスモスSDGs委員会に報告します。 |
(推進体制図)
取締役会のうち、サステナビリティに関する議題に係る部分の抜粋は下記のとおりです。
|
会議体名 |
実施時期 |
報告・審議内容 |
|
取締役会 |
2024年5月 |
トランスコスモスSDGs委員会における以下の審議内容が報告され、議論された ・サステナビリティ取り組み進捗 ・気候変動取り組み施策について ・人権に関する各種施策と結果について ・社内外への各種サステナビリティ情報開示について ・ステークホルダーからの要請事項について |
|
2024年8月 |
||
|
2024年11月 |
||
|
2025年2月 |
||
|
2024年12月 |
SBTに提出する設定目標が議論され、承認された |
また、当社はESGに配慮した経営を実現し、お取引先企業、社員、株主などステークホルダーの期待に応え社会に貢献すること、および役職員のコンプライアンス意識の一層の向上により、トランスコスモスグループの企業価値の維持・向上を図るため、「トランスコスモスグループ行動指針」を策定しております。
(参考)役員の構成(2025年6月25日以降)
各取締役が有する専門性と経験は以下のとおりです。
|
|
氏名 |
企業経営 |
事業戦略 |
営業・ マーケ ティング |
財務・ 会計・ M&A |
法務・ コンプライアンス ・リスク管理 |
IT・ デジタル |
グローバル |
サービス 品質管理 |
|
社内取締役 |
奥田 昌孝 |
● |
|
● |
● |
|
● |
● |
|
|
牟田 正明 |
● |
|
● |
|
|
● |
● |
|
|
|
神谷 健志 |
● |
|
|
● |
● |
|
● |
|
|
|
髙野 雅年 |
|
● |
|
● |
|
● |
|
● |
|
|
松原 健志 |
|
● |
● |
|
|
● |
|
● |
|
|
貝塚 洋 |
|
● |
● |
|
|
● |
● |
|
|
|
山下 栄二郎 |
|
● |
● |
|
|
|
● |
● |
|
|
門松 美枝 |
|
● |
|
|
|
● |
|
● |
|
|
船津 康次 |
● |
|
|
● |
● |
|
● |
|
|
|
社外取締役 |
夏野 剛 (監査等委員) |
● |
|
● |
● |
● |
● |
|
|
|
吉田 望 (監査等委員) |
|
● |
● |
● |
● |
● |
|
|
|
|
宇陀 栄次 (監査等委員) |
● |
|
● |
● |
● |
● |
● |
|
|
|
鳩山 玲人 |
|
● |
|
● |
|
● |
● |
|
|
|
玉塚 元一 |
● |
|
● |
|
|
● |
● |
|
|
|
鈴木 則義 |
● |
|
● |
● |
|
|
● |
|
|
|
鶴森 美和 |
|
|
|
● |
● |
|
|
|
|
|
榑谷 典洋 |
● |
● |
● |
|
|
● |
|
|
|
|
山本 正已 |
● |
● |
|
|
|
● |
● |
|
※上記一覧表は、各取締役が有するすべての専門性および経験を表すものではありません。
② 戦略
当社は、社会・お客様企業・個人、それぞれのWell-beingの最大化を目指し、DX企業として「Global Digital Transformation Partner」を実現するため、取締役による関与のもとリスクと機会を考慮して、以下のとおり4つのマテリアリティを特定しました。
(4つのマテリアリティおよび概要)
|
マテリアリティ |
マテリアリティ概要 |
|
ひとりひとりの創造性を発揮し新たな価値を創出 |
「従業員は無限の可能性を秘めた最大の資産」であるとの認識のもと、積極的に健康経営を推進します。また、従業員のスキル向上のために、IT/DX人材やマネジメント人材の育成をはじめとした多種多様な業務において自発的に成長し続けられるような仕組みづくりを行います。従業員の「個」の違いにも目を向け、活躍の機会を公平に提供することを目指し、従来の「D&I」の取り組みを「DE&I」に進化させて取り組んでいきます。 |
|
DXによる社会/産業の課題解決をリード |
DX企業としての事業活動を通じ、新しいテクノロジー・デジタル・データをお客様企業に提供することで社会/産業の課題解決をリードしていきます。新しいビジネスモデルの設計、技術研究所のグローバル拠点の確立に向け取り組むとともに、既存領域においても製品・サービスの品質向上および情報セキュリティとプライバシー保護の体制強化に努めます。 |
|
グローバルに成長機会を追求 |
持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化し、国内外の多様なお客様企業の価値向上に貢献していきます。このためにグローバルに挑戦する企業風土を醸成し、グローバル人材強化に努めます。 |
|
ステークホルダーエンゲージメント |
企業の存在意義を考慮し、気候変動問題への対応は不可欠であると認識しています。また、国際社会の一員としての自覚を持ち、人権の尊重および適切な労働慣行の推進に向けて取り組んでいきます。国内外の多くの事業拠点においては、経済面での地域コミュニティとの共生を目指し、積極的な社会貢献活動を通してその発展に寄与します。自社の持続的な成長に向けては、事業継続のための計画立案、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化、企業倫理とコンプライアンスの向上に取り組んでいきます。 |
※マテリアリティの特定については、以下の手順で検証、洗い出しを行い、抽出しました。
① 競合企業や代表的なグローバル企業、グローバルかつESG評価の高い日本企業、国際規格(ISO26001)、GRI、SASB、SDGs等および当社を取り巻く社会トレンドから760項目を抽出
② これらを48項目にグルーピング
③ ステークホルダーの関心度と当社にとっての重要度をスコアリング
④ 重要度の高い項目を抽出
これら4つのマテリアリティと、「
(4つのマテリアリティと中期経営計画の関係)
③ リスク管理
リスク管理については、広範にわたる企業リスクに対処するため、「リスクマネジメント基本規程」を整備し、各統括組織は当該規程に従い、リスク管理の社内体制を構築しております。詳細については、「
④ 指標および目標
当社が特定したマテリアリティには指標や目標を設定し、それぞれの進捗状況については、取締役会およびSDGs委員会において定期的にモニタリングされ、取り組みの調整・強化などを図っています。
|
マテリアリティ |
主な取り組み事例 |
|
ひとりひとりの創造性を発揮した新たな価値を創出 |
・健康経営の推進 ・高い専門性を持つプロフェッショナル人材の育成 ・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン |
|
DXによる社会/産業の課題解決をリード |
・トランスコスモスのDXビジネス ・サイバーセキュリティに関するリスクへの対応 |
|
グローバルに成長機会を追求 |
・中期経営計画を達成するための5つの戦略 |
|
ステークホルダーエンゲージメント |
・気候変動への対応 ・コミュニティ・地域社会への貢献 ・コーポレート・ガバナンスへの取り組み |
当社はサステナビリティ経営推進の指標として「FTSE Russell ESG スコア」で3.8以上のスコアを獲得することを目指しています。
また、企業や自治体の環境情報開示のための世界的なシステムを有する国際的な非営利団体であるCDP(Carbon Disclosure Project)が公表した「気候変動レポート 2023」において、マネジメントレベルとされる「B」スコアに認定されました。Bスコアは8段階中上から3つ目にあたり、「自社の環境リスクや影響について把握し、行動している」と評価されたことを示すものです。
(2)気候変動への取り組み
① ガバナンス
ガバナンスについては、「
② 戦略
当社では、脱炭素社会に向かうための厳しい政策・法規制が実施されることを前提とした「2℃未満(1.5℃を含む)シナリオ」と、現在の政策の延長線上にある「4℃シナリオ」につき、社会環境変化に基づくシナリオ分析を行いました。シナリオ分析の結果、脱炭素社会に向かうための厳しい政策・法規制が実施されることを前提とした「2℃未満(1.5℃を含む)シナリオ」では移行面でのリスクおよび収益機会が顕在化しやすいこと、一方、現在の政策の延長上にある「4℃シナリオ」では、物理面でのリスクおよび収益機会が顕在化しやすいことがわかりました。今後も継続的にシナリオ分析を実施し、特定された重要な気候変動関連リスクおよび収益機会に対して対応策を講じることでリスクの低減と収益機会の確実な獲得につなげ、不確実な将来に対応できるレジリエンスを高めていきます。
|
2℃未満(1.5℃を含む)シナリオ |
|||||
|
区分 |
内容 |
影響度 |
対応策 |
||
|
2030年 |
2050年 |
||||
|
移行 |
政策・法規制 |
・炭素税の導入により、税負担等のコストの増加 |
中 |
中 |
・環境マネジメントシステムの対象拠点の拡大 ・再生可能エネルギーへの切り替え |
|
・温室効果ガス排出による情報開示の厳格化または義務の拡大に係るコストの増加 |
小 |
小 |
・環境情報管理システムの導入による業務効率化 |
||
|
市場 |
・再生可能エネルギーの需要増加に伴う電力調達コスト・操業コストの増加 |
中 |
中 |
・環境マネジメントシステムにおける環境目標の設定 ・環境マネジメントシステムの対象拠点の拡大 |
|
|
・気候変動課題への対応の遅れによる既存取引の剥落または取引機会の損失 |
大 |
大 |
・TCFD開示の継続的な見直し・充実化 ・環境マネジメントシステムの対象拠点の拡大 ・以下に取り組むことで、従業員・組織・お客様のWell-beingを高める 1.従業員安全確保・トランスコスモスのBCP対策の強化 2.在宅コンタクトセンターのさらなる拡大による拠点災害リスクの分散 3.パンデミック時のオフィス対応計画の策定 |
||
|
評判 |
・ESG企業評価の浸透により、低評価となることによる売上の減少・資金調達コストの増加 |
中 |
大 |
・情報開示の充実を図ることで、格付け評価機関からの評価の向上 |
|
|
移行 収益機会 |
市場 |
・環境課題に対する消費行動の多様化や顧客意識の向上に伴う環境関連の新たなサービスニーズの増加による収益性の向上 ・脱炭素関連サービスで顧客のGHG排出量削減に貢献することによる顧客からの選好拡大 |
大 |
大 |
・ESG視点に基づく既存サービスの整理 ・グリーントランスフォーメーション事業の創出 ・環境情報管理システム外販による収益化 |
|
移行 収益機会 |
評判 |
・気候変動に対する積極的な行動による顧客からの選好拡大 |
大 |
大 |
・グリーントランスフォーメーション事業の創出 ・気候変動対応を行っているお客様、取引先との積極的な取引 ・環境に対する従業員巻き込み型の取り組みの実施(人材教育・植林活動等) ・太陽光などのゼロエミッション対応の促進 |
|
|
|
|
|
|
|
|
4℃シナリオ |
|||||
|
区分 |
内容 |
影響度 |
対応策 |
||
|
2030年 |
2050年 |
||||
|
物理的 |
急性 |
・自然災害/異常気象の重大性・頻度増加に伴う自社拠点の被災によるサービス機会の損失 |
中 |
中 |
・定期的なリスクの抽出、分析、低減活動 ・以下に取り組むことで、従業員・組織・お客様のWell-beingを高める 1.従業員安全確保・トランスコスモスのBCP対策の強化 2.在宅コンタクトセンターのさらなる拡大による拠点災害リスクの分散 3.パンデミック時のオフィス対応計画の策定 |
|
・未知のウイルス等による感染症の増加とパンデミックの発生によるサービスの停止 |
中 |
中 |
|||
|
慢性 |
・海水面上昇に伴う沿岸部の自社拠点で洪水・高潮の被害が生じることによるサービス提供機会の損失 |
小 |
小 |
||
|
・平均気温上昇に伴う空調コストの増加 |
小 |
小 |
・省エネ性能の高い空調設備の導入 ・クールビズ期間の長期化 |
||
|
物理的 |
急性 |
・BCP対応ニーズ増加に伴う受託業務の増加 ・災害に影響を受けないBCP機能向上により顧客からの選好拡大 |
大 |
大 |
・業務標準化に伴うサービス提供の柔軟性の向上 ・防災関連DX事業の創出 ・グリーントランスフォーメーション事業の創出 ・既存サービスのBCP観点での整理、脱炭素・BCPサービスとして拡販 |
|
・未知のウイルスなどによる感染症の増加とパンデミックの発生に伴う非対面応対ニーズの増加による成長機会の拡大 |
大 |
大 |
・在宅コンタクトセンターの拡大 ・DX促進による以下アウトソーシングの機会の拡大 -お客様業態変更の緊急要請への対応 -SaaS導入(ペーパーレス化) -ヘルプデスク機能 -感染症の蔓延防止補助金事務局 -EC拡大 |
||
※影響度については、大:10億円以上、中:1億円以上10億円未満、小:1億円未満で評価しています。
また、気候関連のリスクおよび機会が、当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに与える影響に関する定量的情報を提供するために必要な体制を今後構築する予定です。
③ リスク管理
リスク管理については、「
④ 指標および目標
(温室効果ガス排出量)
当社および当社グループの温室効果ガス排出量の実績は以下のとおりです。なお、2024年度実績データは、2025年10月以降に確定するため、2023年度までの情報を記載しております。
当社における温室効果ガス排出実績は以下のとおりです。
|
範囲 |
単位 |
2021年度実績 |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
|
Scope1 |
t-CO2 |
434 |
590 |
508 |
|
Scope2*1 |
t-CO2 |
18,817 |
13,432 |
13,087 |
|
Scope1+Scope2 計 |
t-CO2 |
19,251 |
14,022 |
13,595 |
|
Scope3 |
t-CO2 |
- |
118,314 |
153,689 |
|
Scope1+2+3 計 |
t-CO2 |
- |
132,336 |
167,285 |
※当社の温室効果ガスを集計対象にしています。
*1 Scope2はマーケットベースの数値に基づいて算出しています。
当社グループにおける温室効果ガス排出実績は以下のとおりです。
|
範囲 |
単位 |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
|
Scope1 |
t-CO2 |
|
|
|
Scope2*1 |
t-CO2 |
|
|
|
Scope1+2計 |
t-CO2 |
|
|
|
Scope1+2の排出原単位(t-CO2/百万円) *2 |
t-CO2 |
0.067 |
0.074 |
|
Scope3 |
t-CO2 |
|
|
|
Scope1+2+3計 |
t-CO2 |
|
|
|
Scope3内訳 |
単位 |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
|
カテゴリ1(購入した製品・サービス) |
t-CO2 |
145,597 |
193,349 |
|
カテゴリ2(資本財) |
t-CO2 |
18,204 |
18,906 |
|
カテゴリ3(Scope1,2に含まれない燃料およびエネルギー活動) |
t-CO2 |
3,120 |
3,727 |
|
カテゴリ4(輸送、配送(上流)) |
t-CO2 |
12,999 |
10,212 |
|
カテゴリ5(事業から出る廃棄物) |
t-CO2 |
520 |
726 |
|
カテゴリ6(出張) |
t-CO2 |
4,826 |
5,429 |
|
カテゴリ7(雇用者の通勤) |
t-CO2 |
8,773 |
9,148 |
|
カテゴリ11(販売した製品の使用) |
t-CO2 |
23 |
790 |
|
カテゴリ12(販売した製品の廃棄) |
t-CO2 |
25 |
140 |
|
カテゴリ13(リース資産(下流)) |
t-CO2 |
対象外 |
38 |
|
カテゴリ15(投資) |
t-CO2 |
対象外 |
11,099 |
|
合計 |
t-CO2 |
194,087 |
253,564 |
※関係会社は連結子会社を集計対象にしています。
*1 Scope2はマーケットベースの数値に基づいて算出しています。
*2 Scope1+2の温室効果ガス排出原単位の算出式は(Scope1+2 t-CO2)/(売上高、百万円単位)です。
当社グループは、2025年4月に認定取得したSBTに沿って、取り組みを推進します。
<認定取得内容>
・Scope1およびScope2:2030年度までに、2023年度比で総量を42%削減する
・Scope3:2029年度までに、「購入した製品・サービス」および「輸送・配送(上流)」に伴う排出量の85%を占めるサプライヤー様にSBTを設定いただく
(エネルギー消費量)
当社グループのエネルギー消費量の実績は下記のとおりです。
|
エネルギー消費量 |
単位 |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
|
|
電気 |
千kwh |
43,668 |
50,123 |
|
|
|
再生可能エネルギー使用量 |
kwh |
1,925 |
2,521 |
|
再生可能エネルギー比率 |
% |
4.41 |
5.03 |
|
|
蒸気 |
GJ |
- |
3,962 |
|
|
ガソリン |
KL |
75 |
6 |
|
|
軽油 |
KL |
- |
3 |
|
|
LNG |
t |
- |
26 |
|
|
都市ガス |
千m3 |
196 |
291 |
|
|
LPG |
千m3 |
4 |
0 |
|
|
A重油 |
KL |
4 |
9 |
|
|
灯油 |
千m3 |
4 |
0 |
|
※関係会社は連結子会社を集計対象にしています。
当社は、「再エネ100宣言 RE Action」に参加しました。2050年までにCO2排出量「実質ゼロ」を達成するため、同年までにグループ全体の使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることを目標に活動します。
(その他の取り組み)
その他の気候変動や環境への取り組みに関する詳細情報は下記のとおりです。
|
取り組み |
内容 |
|
「日本をサステナビリティ・トランスフォーメーション先進国へ」プロジェクトに参画 |
2025年3月には、民間企業が提唱する「日本をサステナビリティ・トランスフォーメーション先進国へ」プロジェクトに賛同し、参画しております。 |
|
「沖縄県CO2吸収量認証制度」に認証 |
沖縄県内の緑化活動を促進するとともに、森林の多面的な効果に関心をもつ契機とし、地球温暖化防止の取り組みを促進することを目的としております。 |
|
和歌山県の森林保全活動「企業の森」事業で約31トンのCO2を吸収 |
カーボンニュートラルにつながる活動として和歌山県「企業の森」事業に参画し、森林整備を実施しました。約1か月の間に2.27haのスギとヒノキの間伐を行い、このたび年間推定CO2吸収量は30.7トンとの報告を受けました。 |
|
内閣官房水循環政策本部事務局より「水循環ACTIVE企業」に認証 |
内閣官房水循環政策本部事務局が認定する「水循環企業登録・認証制度」において、令和6年度「水循環ACTIVE企業」(人材資金カテゴリー)に認証されました。認証の対象となった取り組みは、上記に記載の和歌山県の森林保全活動「企業の森」事業です。 |
|
環境省が発行する「自然共生サイトに係る支援証明書(試行版)」の取得 |
トランスコスモスグループでは、大分県の田島山業株式会社の保有する森林「みんなの森」にて生物多様性に係る研究の資金助成や、活動に対する方針検討、進捗確認などによる人的支援を行うことで、自然環境の保全に努めています。 |
|
「GHG排出量データ収集・算定自動化サービス」の提供 |
・気候変動のリスクを機会と捉え、「GHG排出量データ収集・算定自動化サービス」を提供。 ・2024年10月に「脱炭素経営EXPO」にパートナー企業と共同出展するなど、企業の共創によりお客様企業と社会のサステナビリティに貢献しています。 |
(3)人的資本への取り組み
人と技術を優れた「仕組み」で融合することで価値の高いサービスの提供を実現する「people & technology」は、当社の創業から変わらぬ事業の原点であり、ビジネスモデルそのものです。「people」はきめ細かな対応ができる専門性の高い人材を、「technology」はお客様に価値を提供できる全世界の最先端な技術を意味します。当社は、「人と技術」を組み合わせて最も適したビジネスプロセスを作り出すというこの創業の原点を価値創造の核として、今も将来も磨き続けていきます。
なお、人的資本への取り組みにおける「正社員」とは、当社従業員のうち、当社への出向者および無期労働契約従業員を除いた従業員を指します。
① 戦略
「
(健康経営の推進)
当社では「従業員は無限の可能性を秘めた最大の資産」であると考え、従業員の健康増進活動においては人事部門、統括産業医など専門的な産業保健スタッフ、事業所の衛生管理者、労働組合、健康保険組合の連携により推進してきました。2022年度からはSDGs委員会を通じた全社的な推進体制に移行するとともに、2022年9月には健康経営宣言を制定し、さらに踏み込んだ健康増進活動の取り組みを進めています。2023年以降3年連続で、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人認定制度」において「健康経営優良法人」(大規模法人部門)に認定されております。
<健康推進体制>
トランスコスモスのサステナビリティ基本方針に則り、2022年度に代表取締役共同社長が健康経営宣言のもと実効性を担保する体制を構築し、推進しています。健康経営を全社横断的な組織であるSDGs委員会の重要テーマのひとつとして、従業員も巻き込みながら施策を実行します。
|
会議体および体制 |
役割 |
|
健康経営推進事務局 |
人事部門を責任者とし、健康経営の方針と重要施策について具体的な内容・方法を検討し、トランスコスモス健康保険組合、トランスコスモスユニオン(労働組合)、各事業部健康担当とともに施策を実行します |
|
トランスコスモス健康保険組合 トランスコスモスユニオン(労働組合) |
健康課題や今後の対応計画を健康経営推進事務局と共有し、一部の健康経営施策を実行します |
|
各事業部健康担当 |
グループ営業統括、サービス部門、グローバル部門、本社部門それぞれに配属されており、健康経営推進事務局とともに施策を実行します |
健康経営の推進に関する主な取り組み(実績・目標数値)は以下のとおりです。
|
戦略マップ指標 (健康投資効果) |
取り組み |
実績 |
目標 |
|
|
2023年度 |
2024年度 |
|||
|
D:健康関連の最終的な目標数値 |
プレゼンティーイズム*1 |
83.5% |
79.9% |
前年比増加 |
|
アブセンティーイズム*2 |
4.82日 |
5.02日 |
*3 |
|
|
ワークエンゲイジメント*4 |
2.42点 |
2.56点 |
前年比増加 |
|
|
B:健康投資施策の取組状況に関する指標 |
広く従業員に行う施策の参加状況*5 |
836名 |
2,562名 |
イベント参加者数増加→BMI適正者率の改善→プレゼンティーイズムの低減 |
|
女性の健康課題に関する施策への参加状況*6 |
125名 |
76名 |
女性の健康に関するリテラシー向上→有所見率の低減→アブセンティーイズムの低減 |
|
|
各施策の従業員の満足度*7 |
91% |
90% |
80%以上 |
|
|
社員一人当たりの月平均残業時間*8 |
17.8h |
17.3h |
20h以下 |
|
|
有給休暇取得率*9 |
89.0% |
87.4% |
70%以上 |
|
*1:2SPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大 1 項目版)にて測定
*2:病気による休暇取得(遅刻早退を含む)の日数を従業員アンケート設問にて測定
*3:健康経営の取り組みを推進することにより低減させることが目標ですが、体調不良時に休みやすい環境整備も必要であると考えるため現時点では目標値は出さずモニタリングを実施中
*4:新職業性ストレス簡易調査票を基に自社独自の設問を設け測定
*5:2023年10月から2024年9月にかけてウォーキングイベントやスポーツジムとの提携を行い運動機会を構築するとともに喫煙や歯、健康意識向上イベントを行い健康を考える機会提供。総数2,562名の社員が参加
*6:2023年10月から2024年9月にかけて女性の健康課題に関するセミナーを2回実施し総数76名の社員が参加
*7:2023年10月から2024年9月にかけて行ったウォーキングイベントとセミナー(女性の健康課題・生活習慣・ロコモ予防)においてアンケートを実施し「満足・やや満足」の割合を算出
*8:対象者:正社員のみ
*9:対象者:正社員ならびに契約社員、算出方法:対象者の有給取得日数(前年度有給繰越分を取得した場合も含める)÷対象者の有給付与日数(前年度繰越分は含めない)
(高い専門性を持つプロフェッショナル人材の育成)
当社は、付加価値の高いサービスの提供には、当社の価値観を理解した専門性の高い人材を育成することが重要であるとの認識のもと、目指す姿の実現に向けて、人的資本への投資を行い、人材の獲得・育成とともに付加価値の源泉となる経営の基本理念の浸透に取り組んでいます。主な取り組みには、「多様な人材獲得」、「人材育成プログラム」、「マネジメント人材の育成」、「DX(デジタルスキル強化)人材の育成」があります。
・「多様な人材獲得」
優秀な新卒、中途・経験者の採用と定着に向け、当社への理解を促進するため、冊子等の紙面では伝えきれない魅力を動画でわかりやすく紹介するコンテンツの拡充を図っています。また、新卒向けでは、就業レディネスの向上に向けた内定者研修や配属前研修を実施し、入社後の定着率向上を図っています。中途・経験者採用においては、多くの採用が必要な受託業務のオペレーター向けに、自社サイト「Work it!」を中心とした採用活動を展開しています。
・「人材育成プログラム」
多種多様な業務において社員ひとりひとりが能力を最大限発揮し、自発的に成長し続けられるよう、さまざまな仕組みを整備しています。また、テレワークの進展や若年層を中心とした学習スタイルの変化などを踏まえ、各種研修のオンライン化や、マイクロラーニングなど動画コンテンツの拡充に取り組んでいます。
<400以上の社内研修講座>
社員ひとりひとりのレベルに応じて成長できるよう、ITスキルや業務スキル、選択型ビジネススキル研修など400以上の必須型・選択型・任意型のプログラムを用意し、社員のキャリアアップ・スキルアップを支援しています。また、希望があれば当社社員と一緒に業務にあたるトランスコスモスグループの協力会社・関係会社社員にも研修プログラムを提供しております。
<専門技術研修>
専門的な人材を育成するため専門技術研修も充実させており、ITエンジニアリング、CADエンジニアリング、Webエンジニアリング、プランナー、マーケティングなど、サービスごとに異なる高度な専門技術を習得するための研修制度を設けています。
<資格奨励金制度>
社員の自己啓発の支援を目的に、取得資格に応じた一時金支給制度を設けています。対象は最新情報技術などのITスキル系、Webデザイナーや建築士などの専門スキル系、TOEIC・簿記などのビジネススキル系など多岐にわたり、2024年度の対象資格数は487種、支給件数は1,262件でした。
・「マネジメント人材の育成」
サステナブルな経営・事業を支えるマネジメント人材の育成に向けて、各種人材育成プログラムの整備・拡充を図っています。
<選抜型次世代人材・リーダー育成>
グループ経営や本格的なグローバル展開を担う次世代リーダーの輩出を目的とした制度を整備しています。新卒・中途を問わず次世代を担う人材を選抜し、社内外でのマネジメント教育、キャリア支援、役員層による面談や共に組織の未来を考える機会などを提供しています。
<管理職・マネジメント研修>
マネジメント品質の担保に向けて、管理職(課長職以上)に必要とされるスキルを定義するとともに、組織運営に必要な標準的知識の習得や、経営理念および規則・制度を正しく理解し適切な組織運営を行うための研修プログラムを構築し、提供しています。
<キャリアコンサルティング>
社員の成長支援および組織活性化を目的に「キャリアコンサルティング窓口」を設置しています。「将来に漠然と不安がある」、「自分の適性とキャリアの方向性がわからない」といった不安の整理と自律的なキャリア形成を支援しています。
<経営の基本理念の共有・浸透>
創業時から50年以上にわたって受け継がれている当社の理念や価値観の共有・浸透を目的としたプログラムを取り入れています。「お客様満足第一主義」、「people & technology」、「現場主義」など、全社員共通の指針となる経営の基本理念の共有と理解を通じて、社員ひとりひとりの成長と当社の持続的成長を目指します。
・「DX(デジタルスキル強化)人材の育成」
企業のDXの動きが加速する中、より重要性が高まるDX人材の輩出に向け、2018年より始めた新卒社員向け・既存社員向けのデジタル教育研修プログラムを運用しています。新卒社員向けには、従来の新卒研修制度にデジタルスキル強化研修を導入し、既存社員向けには顧客における課題解決の提案や自社サービス開発等の事業拡大、競争力向上に向け、経産省デジタルスキル標準に則ったDXリテラシーの習得、DX・IT・AI領域の基礎知識習得に関する研修プログラムを用意しています。
また、従業員エンゲージメント向上の取り組みとして、2020年より、全正社員と役員を対象としたエンゲージメント調査(eNPS)を実施しています。過去3年とも調査回答率が85%以上と高い水準を維持しており、これまでの調査で認識された課題について、全社および各組織で改善に向けた取り組みを実施しました。2022年の調査より、「キャリアパスを描ける」、「能力・スキルを高められる」、「事業戦略に共感できる」への対応が最優先課題であることが明らかになりました。この結果を踏まえ、会社のビジョンの共有と、社員個人のキャリアパスの明確化のためのコミュニケーションを継続的に推進するために、当社の経営に対する従業員の理解促進と意識向上を図るべく、グループ戦略共有会議や「社員向け決算説明会」の開催、従業員と経営陣の直接の対話の機会を設けるために、国内外でタウンホールミーティングを開催し、積極的なコミュニケーションを図っています。このような取り組みにより、eNPSスコアは前年に対し1.5pt改善しました。引き続き、従業員と経営陣の直接の対話機会を設けていくとともに、人事制度の改革にも着手していきます。従業員エンゲージメント向上を顧客ロイヤルティの向上につなげ、最終的には事業成長につなげていきます。
従業員エンゲージメント調査(eNPS)の結果は以下のとおりです。
|
|
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
回答人数 |
11,023人 |
11,010人 |
11,646人 |
|
有効回答率 |
89.6% |
85.9% |
87.2% |
(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I))
当社では、重要な経営戦略の一つとしてダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進してきました。今後、ますます激変する社会環境に伴い、お客様のニーズもさらに多様化することが予想されます。常にお客様の期待を超えるサービスを提供するためには、性別、年齢、国籍、性的指向・性自認、障がいの有無など、多様なバックグラウンドを持った社員ひとりひとりがいきいきと、最大限の力を発揮できる職場環境と仕組みづくりが重要です。それは、社員に対して平等に支援するだけでなく、「個」の違いにも目を向け、活躍の機会を公平に提供することです。当社の持続的な成長のため、そして、お客様、社会へのさらなる貢献を目指し、「公平性(Equity)」を追求し、「D&I」から「DE&I」へ進化させて取り組んでいます。
具体的には、以下の5つの重点取り組み領域にてDE&Iを推進しています。
ⅰ.ジェンダー平等
当社では、2007年10月に専任組織を設置し、2015年度からは、新たに全社横断の「女性活躍・働き方向上プロジェクト」を発足し、全社をあげて取り組みを強化しました。KPIを達成するために各部門で具体的なアクションプランに落とし込み、毎年報告会を実施しています。全社や各部門の状況を可視化し共有することで、意識浸透がはかられ、取り組みが加速しました。
また、両立支援の取り組みとして、女性のライフイベントにかかわらず仕事と生活を両立させ、活躍し続けることだけでなく、全社員が、仕事と生活を両立させながら最大限に能力が発揮できる環境を目指し、取り組みを進めています。また、男性育児参画に資する施策として、男性の育児休業の取得を勧奨(両立支援ハンドブック内容拡充、ロールモデル拡充、管理職向けeラーニング拡充)、夫婦(他社勤務の方を含む)で参加可能なセミナーの開催などを実施し、性別に関係なく働きやすい環境作りに取り組んでいます。その結果、2023年度末までに男性の育児休業と配偶者出産休暇の合計取得率を40%以上にするという目標を93.8%で達成しました。
当社の行動計画(KPI)は下記のとおりです。
|
|
実施期間 |
目標 |
結果 |
|
第1回 |
2016年4月1日から2021年3月31日までの5年間 |
2020年度までに女性管理職比率を、2015年度比1.6倍以上とする |
女性管理職比率23.0%で目標達成 |
|
第2回 |
2021年4月1日から2024年3月31日までの3年間 |
女性管理職比率を25.0%以上にする |
女性管理職比率 |
|
男性の育児休業と配偶者出産休暇の合計取得率を40.0%以上にする |
男性の育児休業と配偶者出産休暇の合計取得率 |
||
|
第3回 |
2024年4月1日から |
|
- |
|
|
- |
当社では、女性社員が高い意欲を持ちキャリア形成できるよう、能力開発やキャリア開発の支援に取り組んでいます。具体的には、管理職候補の母集団を形成するため、2008年より次世代および次々世代の社員を対象とした選抜型研修を実施しています。また、他流試合を通じて視野を広げ、意識を向上させるとともに、人脈を形成するために、異業種の他企業と合同で女性管理職の候補人材を育成する研修プログラムも行っています。
さらに、キャリア形成に対する自発的な意識とモチベーションを高めるため、毎年さまざまなテーマで外部講師を招いた講演会を開催しています。また、女性活躍推進の一環として、2008年からNPO法人J-Winへ加入し、女性リーダーとしての責務を果たすための実務能力向上に向けた取り組みを進めております。
このような継続的な活動により、2023年度末までに女性管理職比率を25%以上にするという目標を達成し、2025年度末に向けてさらに高い目標を掲げて取り組んでいます。今後も女性管理職比率の向上とともに、女性役員の割合を増加させる取り組みも進めていきます。
なお、女性活躍の状況に関するデータは以下のとおりです。
<トランスコスモス単体における女性活躍状況> (人)
|
|
2023年3月 |
2024年3月 |
2025年3月 |
|
女性管理職数※ (管理職全体に対する女性比率) |
288 (26.5%) |
277 (26.2%) |
283 (26.4%) |
|
課長層 |
183 (33.4%) |
175 (32.8%) |
173 (32.5%) |
|
部長層 |
79 (20.4%) |
77 (20.2%) |
87 (22.3%) |
|
本部長相当層 |
26 (17.0%) |
25 (17.5%) |
23 (15.4%) |
|
女性役員数 |
0 - |
1 (6.3%) |
2 (11.8%) |
|
女性社員数 (正社員全体に対する女性比率) |
6,245 (47.4%) |
6,580 (48.2%) |
6,988 (49.1%) |
|
新卒女性社員数 (新卒採用者全体に対する女性比率) |
404 (63.4%) |
346 (59.1%) |
432 (57.3%) |
※女性管理職比率の2023年3月の数値は、同年7月時点で算出。2024年3月以降は期末時点で算出。
当社では、ジェンダー平等の取り組みだけでなく、国籍・人種・宗教による差別なく、グローバルに事業を展開する上で有為な人材を適切に登用することや、プロパー社員と中途採用社員においても区別なく、社員の能力・実績をもって適切に登用することも多様なバックグランドを持つ社員の活躍機会を公平に提供する取り組みの1つであると考えています。
これらに関する具体的な指標、目標、実績は以下のとおりです。
|
指標 |
目標 |
実績 |
||
|
2023年度 |
2024年度 |
|||
|
外国人の管理職への登用 |
国籍・人種・宗教による差別なく、グローバルに事業を展開する上で有為な人材を適切に登用する。 |
雇用を促進 |
確保の状況:1.0%(なお、当社グループの海外連結子会社においては、ローカライズを推進しており、海外連結子会社の管理職に占める外国人の割合は92.6%で現地の外国人がその会社の代表を務めているケースもあり、管理職の外国人人材が活躍しております。) |
確保の状況:1.1%(なお、当社グループの海外連結子会社においては、ローカライズを推進しており、海外連結子会社の管理職に占める外国人の割合は95.6%で現地の外国人がその会社の代表を務めているケースもあり、管理職の外国人人材が活躍しております。) |
|
中途採用者の管理職への登用 |
プロパー社員と中途採用社員との区別なく、その社員の能力・実績をもって適切に登用する。 |
現状を維持 |
確保の状況:64.8% |
確保の状況:64.3% |
ⅱ.障がい者
当社では、「障がいの有無に関わらず、すべての社員がともに働き、それぞれの個性と実力を発揮できる。」ことが、企業の当然のあり方と考えています。企業とは個性や性格の異なる人々が集まる場所であり、その多様性が優れた企業文化を育むという信念をもっています。これまで当社には、聴覚、視覚、上肢、下肢、内部障がいなど、さまざまな障がいをお持ちの方が多数入社しており、各現場で力を発揮しています。また、全社的に障がいをもった社員をサポートするための仕組みづくりに積極的に取り組んでいます。
当社では、東京・大阪をはじめ全国15拠点で716名(2024年6月時点)の障がい者が勤務しており、6年連続で法定雇用率を上回っています。また、障がいがある社員も売上に貢献しています。CX領域(Webデザイナー、コーダー、映像クリエイター)、BPO領域(データエントリー、スキャニング、キッティング)、グローバル領域(翻訳)などさまざまな事業領域において業務に従事しております。
こうした取り組みが認められ、当社は、障がい者雇用の特色ある優れた取り組みを行う優良な企業として、東京都より2023年度「障害者雇用エクセレントカンパニー賞」(東京都知事賞)を受賞し、2024年3月には東京都「心のバリアフリー」好事例企業に認定されました。
また、当社の特例子会社である株式会社トランスコスモス・アシストは、障がいの有無に関わらず、社会の一員としてともに働き、それぞれの個性と実力を発揮できる会社を目指し、自閉症・発達障がい者を含めた知的障がい者を積極的に雇用しています。
ⅲ.LGBTQ
当社では、すべての人が公平で“自分らしく”いきいきと活躍し、組織として活かしあえることを目指して、全従業員に対してLGBTQ(セクシャルマイノリティ)およびSOGIE(性的指向・性自認)に関する正しい理解を促し、LGBTQ理解者を増やしていくとともに働きやすい環境づくりを推進しています。
トップコミットメントにて当社のダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進方針やLGBTQおよびSOGIEに関する推進方針、従業員に対する姿勢や行動を明示し、2021年度からは管理職向け、2023年度からは全従業員に向けて「LGBTQ研修(eラーニング)」を実施しています。また、一部グループ保険において保険会社の条件を満たした場合に保険受取人に同性パートナーの指定を可能としたり、採用時のエントリーシートの性別欄に配慮するなど、性別にとらわれない採用を実施しています。そのほか、LGBTQ相談窓口(当社専門窓口)を設置し、当社で働く全ての従業員が相談できる体制を整えています。これらの取り組みにより、2023年11月、職場におけるLGBTQ+などのセクシュアル・マイノリティへの取り組みの評価指標「PRIDE指標2023」において「シルバー」を受賞、2024年11月、「PRIDE指標2024」において最高位のゴールドを受賞しました。
ⅳ.Well-being(持続可能な働き方)
当社では、仕事と育児・治療に係る両立支援を「DE&I」領域における「Well-being」として、社員が活躍し続けられる職場環境と仕組みづくりを推進しています。
生産性向上に向けた時間外労働の削減や柔軟な働き方の実現に向けて、当社は、本社・センター・事業所などそれぞれ異なる職場環境において、ひとりひとりが自発的に成長し続ける仕組みの整備と充実したワークライフバランスの実現を目指しています。具体的には、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を促進するための環境整備に取り組んでおり、多様かつ柔軟なシフト体制を実現できる勤務体系、モバイルワークや在宅勤務の制度化、フレックスタイム制度の拡充、社員の多様な価値観を尊重する地域型正社員制度や副業制度等を導入しています。
また、従業員のワークライフバランス推進に向けて、長時間労働是正や有給休暇の取得促進にも積極的に取り組んでいます。具体的には、「品質・生産性向上」の取り組みとして、各事業所から生産性向上につながるベストプラクティスツールや事例を集約し、厳正な審査を経て優秀な事例を表彰し、全社展開して活用しています。引き続き、労働生産性の向上と働きやすい環境整備に取り組みながら、社員が活躍し続けられる環境の整備に努めてまいります。
ⅴ.クロスカルチャー(異文化理解)
当社では、アジアを中心に世界35の国と地域・112の拠点でサービスを提供しています(2025年3月現在)。異なる文化や価値観を持つメンバーが交流し、それぞれの違いを認め合いながら、多様性を変革の力に変えて組織全体のパフォーマンスを最大化するとともに収益の最大化を目指していきます。
② リスク管理
リスク管理については、「
③ 指標および目標
指標および目標については、上記「
(4)人権尊重の取り組み
① ガバナンス
当社は事業の原点として「people & technology」を掲げているとおり、企業活動のすべての場面において、ステークホルダーの方々の人権を尊重することは極めて重要であると考えております。常に健全な職場環境を維持すること、また、社員の人権を尊重するため、国籍・人種・民族・信条・宗教・性別・年齢・障がいの有無などを理由とした差別やセクシュアルハラスメント・マタニティハラスメントなどを禁止することをコンプライアンス行動指針で明示し、周知徹底しています。
当社においては、人権にかかわる対応方針と重要施策について、トランスコスモスSDGs委員会が企画・立案し、関連部門の責任者で構成される人権推進委員会に検討を指示します。人権推進委員会での検討結果を、トランスコスモスSDGs委員会で審議・決議し、その審議・決議された方針および重要施策に従い、人権推進事務局および各部門はそれを実行します。
|
会議体および体制 |
役割 |
|
人権推進委員会 |
法務・コンプライアンス部門の責任者を委員長とし、トランスコスモスSDGs 委員会の企画・立案に基づき、人権対応の方針と重要施策について検討し、検討結果をトランスコスモスSDGs委員会に報告します。 |
|
人権推進事務局 |
人権推進委員会の企画・立案に基づき、人権対応の方針と重要施策について具体的な内容、方法を検討し、各人権関係部署、各事業部人権担当とともに施策を実行します。 |
|
各人権関係部署 |
各部署で認識している人権課題や今後の対応計画を人権推進事務局と共有し、一部の人権施策を実行します。 |
|
各事業部人権担当 |
営業部門、サービス部門、グローバル部門、本社部門それぞれに配置されており、トランスコスモスSDGs委員会で審議、決議された施策を実行します。 |
また、当社は、「トランスコスモス人権方針」を定め人権尊重の取り組みを進めてきましたが、2024年3月に取締役会承認のもと「トランスコスモスグループ人権方針」として改定し、トランスコスモスグループの人権尊重への取り組みに関する全ての文書・規範の前提として位置付けました。これに基づき企業活動のすべての場面において、ステークホルダーの方々の人権を尊重するとともに、人権尊重の取り組みを加速していきます。
(トランスコスモスグループ人権方針)
トランスコスモスは事業の原点として「people & technology」を掲げており、私たちの事業にとって「人」はかけがえのない存在です。また、事業を通じてすべてのステークホルダーの充実や幸せ実感を向上させる(Well-beingの向上)ことを目指し、トランスコスモスグループ「サステナビリティ基本方針」を定めています。
これらの考えに基づき、私たちは、企業活動のすべての場面において、ステークホルダーの方々の人権を尊重するとともに、トランスコスモスグループの人権尊重への取り組みに関する全ての文書・規範の前提として位置付けます。
1.国際基準の支持・尊重
私たちは、人権に関する国際規範である「国際人権章典(「世界人権宣言」「国際人権規約」)や、国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」、労働者の基本的権利が定められている「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」「OECD 多国籍企業行動指針」を支持します。
また、子どもの権利に関する諸原則である国連「児童の権利に関する条約」や「子どもの権利とビジネスの原則」に賛同し、児童労働を行わず、子どもの権利を尊重します。
私たちは事業を行うすべての国において関連法規を遵守し、国際的に認められた人権と各国・地域の法令などに矛盾がある場合には、最大限、人権に関する国際規範を尊重するよう努めます。
2.企業活動における人権の尊重
私たちが事業を行うすべての国において、多様性を尊重し、国籍・人種・民族・信条・宗教・性別・年齢・性的指向・性自認・障がいの有無等による差別やセクシュアルハラスメント・マタニティハラスメントなどのあらゆるハラスメント、強制労働や児童労働などの人権を侵害する行為を禁止します。また、表現の自由とプライバシー保護についても認識し、その侵害が無いように注意を払ってまいります。
私たちは、各国・各地域で定める法令を遵守し、労働者の結社の自由、団体交渉および団体行動をする権利を尊重します。
3.人権方針の対象範囲
本方針は、トランスコスモスグループのすべての企業活動・役員・従業員に適用され、役員と従業員、また当社グループで働く全ての方々をその保護の対象、またその実践の主体としています。
また、当グループのすべての取引先やステークホルダーの皆様にもご理解頂き、人権尊重の取り組みに努めていただくよう働きかけます。
4.推進体制
人権にかかわる対応方針と重要施策は人権推進委員会で検討し、トランスコスモスSDGs委員会において審議・決議します。
これらの人権リスクマネジメントに関しては、取締役会が監督責任を負い、当人権方針へのコミットメントおよびその遵守に関する重要事項の決定や取り組みに関する継続的なチェック機能を担います。
5.雇用機会の均等・適正な労働条件
私たちは個人の状況に基づく差別行為をおこなわず、求人、雇用、研修、昇進、その他の応募者または従業員の処遇において、あらゆる差別を排除し、公平な雇用機会を提供します。
私たちは、業務上の安全・衛生などに関する各国で定める法令などを遵守し、一人ひとりの心身の健康状態に配慮し、健康的で安全かつ衛生的な職場環境の維持・整備に努めます。
また、いかなる強制的な労働形態も、現代における奴隷的労働形態も認めておりません。
私たちは、同一労働同一賃金に関して、企業活動を行う各国・各地域で定める法令を遵守し、従業員に対して最低賃金以上の公正な報酬を支給します。
また、各国の法令を踏まえ、長時間労働の削減に取り組み、適正な労働時間の管理を行います。
6.人権課題の特定
私たちは、外部専門家、従業員やお取引先、地域社会などの関連するステークホルダーとの対話を継続的に行い、固有の人権課題を特定し、対応していきます。
7.人権デュー・ディリジェンス
私たちは、本方針に基づき人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施し、企業活動にかかわる人権への負の影響を把握し、防止・軽減を図ります。
8.是正・救済措置
トランスコスモスグループでは、通報窓口等を用意しています。当グループの企業活動において、人権に関する負の影響が発生した場合、影響を受けた方々・または団体等に対する適切な救済措置を図ります。
9.教育・研修
私たちは、本方針への理解促進と、企業活動において実行されるよう、当グループの役員および従業員に対して、教育と研修を行います。
10.報告
私たちは、本方針の人権尊重に向けた取り組みおよびその進捗状況について、各種報告書やウェブサイト等を通じ、報告していきます。
② 戦略
当社は、外部専門家、従業員やお取引先、地域社会などの関連するステークホルダーとの対話を継続的に行い、固有の人権課題を特定し、対応していきます。
当社は、本方針への理解促進と、企業活動において実行されるよう、当グループの役員および従業員に対して、教育と研修を行います。
なお、当社は現在、最低賃金に満たない報酬などの重要な労働問題を特定していないため、財務諸表への影響を評価しておりません。
③ リスク管理
当社は、「トランスコスモスグループ人権方針」に基づき人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施し、企業活動にかかわる人権への負の影響を把握し、防止・軽減を図ります。トランスコスモスグループでは、通報窓口等を用意しています。当グループの企業活動において、人権に関する負の影響が発生した場合、影響を受けた方々・または団体等に対する適切な救済措置を図ります。
外部専門家の助言のもとで当社事業に関わるライツホルダーの業種・業態・企業固有の人権リスクを洗い出し、既存情報をもとに深刻度および発生可能性の評価を行いました。発生可能性については既存情報が不足していたため、追加調査として関連部門および一部の従業員にヒアリングシートを配布し、リスクに関する情報を補い、「重要な人権リスクの領域」の選定を行いました。
今回の人権リスクの領域特定は限定的な情報による評価であることを認識しており、今後は、全従業員を対象とした人権デュー・ディリジェンスを実施することで、重要な人権リスク領域の特定をより精緻に行ってまいります。
|
重要な人権リスク領域 |
実施している取り組み |
|
過剰・不当な労働時間 |
Well-being(持続可能な働き方) ・生産性向上に向けた時間外労働の削減 |
|
強制的な労働 |
Well-being(持続可能な働き方) ・ワークライフバランス推進を目指した有給休暇取得促進 |
|
労働安全性 |
Well-being(持続可能な働き方) ・労働における安全衛生 |
|
ハラスメント |
コンプライアンス ・コンプライアンスに関する通報・相談窓口体制 人権の尊重 ・人権に関する教育・啓発活動 LGBTQ ・意識改革・環境整備 Well-being(持続可能な働き方) ・両立支援の取り組み |
|
救済へアクセスする権利 |
コンプライアンス ・コンプライアンスに関する通報・相談窓口体制 LGBTQ ・意識改革・環境整備 |
④ 指標および目標
人権尊重の取り組みに関する指標および目標については、「
(5)その他の取り組み
① コミュニティ参画・発展への取り組み
国内外の拠点を置く各地での地域貢献活動をはじめ、次世代育成への支援、寄付・福祉活動を継続的に実施し、コミュニティへの参画と社会貢献活動を通じた様々な社会課題の解決に取り組み、コミュニティの発展に寄与していきます。
② 人的資本に関するサービス提供
当社は、お客様企業に対して、人的資本情報開示の義務化を支援する「HCMアナリティクスプラットフォーム」サービスを提供しています。これは、必要なデータを最適な形で提供することにより、人的資本情報開示に伴うお客様企業の企業価値向上を支援するものであり、人的資本情報開示に伴う情報の収集から加工までワンストップで対応し、現状の可視化と継続的な情報収集による統計的な分析をレポートで提供しております。このように、当社はサステナビリティのリスクを機会と捉える取り組みにも注力しております。
③ SDGsへの取り組み
責任ある企業活動と、「people & technology」を軸とした事業を通じて、SDGsの達成に貢献していくためにサステナビリティ推進の専任組織であるトランスコスモスSDGs委員会を通じて、SDGsを軸とした社内外でのイノベーション活動を展開し、SDGs活動の啓蒙と定着を図っています。具体的には、従業員向けSDGs教育(eラーニング)、毎週のSDGsに関する勉強会を実施しているほか、以下のような取り組みを実施しております。
|
実施時期 |
実施内容 |
|
2024年4月 |
韓国で子どもの遊び場づくりなどESGへの取り組みを強化 |
|
2024年6月 |
「こしがやSDGsパートナー制度」に登録 |
|
2024年8月 |
「青森県SDGs取組宣言登録制度」に登録 |
|
2024年9月 |
上海市宋慶齢基金会に児童ケア用品を寄贈 |
|
|
D&Iかながわメンバーズに会員登録 |
|
|
就労支援事業「わたしみらいプロジェクト」に参画 |
|
2024年10月 |
インドネシア「The Best Contact Center Indonesia 2024」従業員エンゲージメントカテゴリーでシルバー・アワードを受賞 |
|
2024年11月 |
渋谷区の社会課題解決に向けた「SHIBUYA Good Manner Challenge feat. Fortnite」を本格始動、若年層のマナー啓発や意識改革を促進 |
|
2024年12月 |
宮崎県に企業版ふるさと納税を活用した寄付を実施 |
|
2025年2月 |
大阪府茨木市と自治体DXに関する連携協定を締結 |
|
|
中国上海市高齢者基金会より、高齢者福祉貢献企業として表彰 |
|
2025年3月 |
宮城県に企業版ふるさと納税を活用した寄付を実施 |
|
|
「日本をサステナビリティ・トランスフォーメーション先進国へ」プロジェクトに賛同 |
|
|
カーボンニュートラルにつながる活動として長崎県「日吉自然の家」にて植樹を実施 |
|
|
広島県三次市と自治体業務のDX化に向けた連携協定を締結 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結子会社等)が判断したものであります。
(1) 全体事業について
当社グループが情報処理アウトソーシングビジネスの先駆けとして事業を開始したのは1966年のことです。それ以来、優れた「人」と最新の「技術力」を融合し、より付加価値が高いアウトソーシングサービスを提供することで、お客様企業の競争力強化に努めてまいりました。現在では、お客様企業の売上拡大とコスト最適化を支援する総合的なアウトソーシングサービスを世界規模で提供するため事業を推進しておりますが、当社グループが提供するサービスはいずれも常に技術革新が起こっており、技術優位性および価格の維持を継続するために、常に最新の技術を開発・導入していく必要があります。しかしながら、急速に進展する技術革新に対して適切な対応ができなかった場合や、サービスが市場動向・ニーズに合わなくなった場合は、現状のビジネスが縮小または成立しなくなる可能性があり、当社グループの事業運営および業績に影響を及ぼす可能性があります。また、アジアを中心に事業のグローバル展開を推進しておりますが、それぞれの国・地域において、政治・経済・社会情勢等に起因して生じる不測の事態、法令や各種規制の制定・改正などのカントリーリスクにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業環境について
当社グループが展開するサービスを取り巻く環境は、労働人口の減少、企業のグローバル化、AIをはじめとしたデジタル技術の進展などを背景に、業務の効率化やコスト競争力の強化、売上拡大などに繋がるアウトソーシングサービスの需要拡大が見込め、今後も成長が続くと考えられます。しかしながら、景気の変動による受託業務量の変更、お客様企業の業績状況や個人情報保護などの観点からアウトソーシングからインソーシングへ転換する動きなどが生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) お客様企業との契約期間について
当社グループのお客様企業は東京証券取引所プライム市場上場企業など大企業が多く、かつ多くのお客様企業との契約は事業の性質上、自動更新となっていることが多いなど受託業務の継続性が高く、短期間における売上高の大幅な変動はないものと考えております。ただし、お客様企業の事情による他企業への移行、あるいはお客様企業との長期間の取引関係が築けない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) ソフトウエア開発について
当社グループのソフトウエア開発は、お客様企業のユーザー要件などを把握した上で開発を行っておりますが、お客様企業のユーザー要件を満たすための開発費用のお見積もりと実際の開発コストとの間で乖離が発生した場合、当社グループが開発コストを負担する開発案件が発生する可能性があります。
(5) 投資先管理について
当社グループは技術革新の変化に対応した事業の展開、事業シナジーの創出などを目的に事業開発投資を行っております。投資先企業に関しましては財務状況を精緻に検討し、投資先の経営状況を随時把握するように努めておりますが、投資先にはベンチャー企業や東南アジア・南米など開発途上国の企業も多く、ビジネスモデルが社会経済ニーズにマッチせず投資先企業の経営状況が悪化した場合、当社グループの投資による出資金などが回収できなくなる可能性や、国内経済環境・国際情勢の変化による株式・為替相場の変動の影響などによって評価損が発生する可能性があります。対策としては、一般的な会計基準よりも厳しい社内規程で保有有価証券の減損処理等必要な措置を適宜とることにより、当社グループの連結業績に適切に反映されるよう最大限の注意を払っています。
(6) 情報セキュリティについて
当社グループは、事業活動を通して、入手または取り扱うお客様や取引先の個人情報および機密情報などの情報資産を管理・保護していくための万全な体制が求められております。そのための基本方針として「情報セキュリティポリシー」を制定し、その遵守と継続的な改善に努めております。また、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO/IEC 27001のセキュリティ活動を通じて、お客様企業に当社グループのサービスをより安心して活用していただけるよう、情報セキュリティ管理体制の展開と継続的な強化を図っております。しかしながら、当社グループの想定を超えた情報システムのウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、重要データの破壊、改ざん、流出等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 合併、買収などのM&Aについて
当社グループが提供するサービスは数多くの競合企業が存在し、淘汰の動きも早く、また合併・買収を利用して規模の利益を素早く享受し、事業拡大をしていく手法をとる傾向にあります。当社グループにおいても、関連した事業を有する企業との合併、買収および提携などを積極的に行う必要があると認識し、M&Aを実施する可能性はあります。ただし、そのM&Aが、様々な要因によって事業シナジーが発揮できない可能性や、人的・資金的に適切なコントロールができない可能性または事業環境、収益構造が変化する可能性があります。その場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 人材の確保および育成について
当社グループが付加価値の高いサービスを提供していくためには、高度な専門知識および経験を有する優秀な人材の確保および育成が不可欠となります。当社グループは、引き続き新卒採用やサービス需要動向を踏まえた中途採用などによる人材の獲得、高い専門性を持つプロフェッショナル人材の育成に向けた各種育成プログラム制度の構築・推進、従業員エンゲージメント向上に向けた各種施策などに取り組み、人材の確保と育成を図っております。しかしながら、労働人口の減少、採用競争の激化等により人材の確保および育成が計画通りに進まなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 特有の法的規制・取引慣行について
当社グループの事業に関連する法規制において、悪影響を与えるような法規制や、解釈が不明瞭な法規制などが制定された場合、当社グループの業績、および事業展開のスピードに影響を及ぼす可能性があります。
(10) 個人情報の漏洩の可能性について
当社グループは、2003年2月に財団法人日本情報処理開発協会(現 一般財団法人日本情報経済社会推進協会)認定プライバシーマークを取得しておりますが、特にコンタクトセンターにおけるお客様企業の顧客データ(名前、住所、年齢、年収等の個人情報)の取扱いについては万全の体制で臨んでおります。当社グループでは、個人情報の取扱いに関する重要性、危険性を十分に認識しており、当社グループのホームページにて個人情報保護方針を公開しているのと同時に、行動指針や社内規程の制定およびその教育・研修を行い、個人情報管理の徹底を十分に図っております。ただし、情報収集の過程で不測の事態等により当社グループで機密漏洩事故等が発生した場合、当社グループへの多額の損害賠償請求や行政機関からのプライバシーマーク承認取消処分や罰金等が課される可能性があるとともに、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(11) 自然災害等について
当社グループは、国内外において多くのお客様企業から業務運用を受託しており、災害や事故などの予期せぬ事態に備え、有事発生時でも事業を継続させることは、当社グループの最重要課題であると認識しています。そのため、当社グループは大規模災害や事故などの有事に備え、各センターにおいて事業継続計画(BCP)を策定し、取り組みの強化を図っています。また、グローバルに事業を展開する中において、地震、台風、感染症、地域紛争、テロなどの不測の事態の発生に備え、危機管理方針に基づき対策・取り組みを強化しています。しかしながら、想定を大きく上回る規模で自然災害等が発生した場合は、当社グループにおける事業が一時的または中長期的に停止するなどの事象により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 感染症について
当社グループは、感染症に関する対応として、「感染拡大防止への社会的責任」と「安全配慮義務に則った従業員の安全確保」を最優先とし、その上で着実に業務継続を行うことを基本方針として実施しております。そのため、当社グループのオペレーションセンター拠点にて、感染拡大の防止や従業員の安全確保のために、業務体制の縮小などをお客様企業に提案することがあり、これに伴い受託業務量が減少する可能性があります。また、感染症拡大の影響で、当社グループのオペレーションセンターの閉鎖・縮小や、お客様企業の事業活動自粛に伴うサービスの需給バランスの崩れなどによって、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社等)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて8,537百万円増加し、207,984百万円となりました。このうち流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べて9,868百万円増加し、154,658百万円となりました。これは、営業活動によるキャッシュ・フローの増加などで「現金及び預金」が増加したことによるものであります。固定資産につきましては、1,330百万円減少し、53,325百万円となりました。これは、減価償却等により「工具、器具及び備品(純額)」が減少したことなどによるものであります。
負債の部につきましては、前連結会計年度末に比べて2,465百万円減少し、78,916百万円となりました。これは、当社における「長期借入金」が減少したことなどによるものであります。
純資産の部につきましては、11,003百万円増加し、129,068百万円となり、自己資本比率は57.0%となりました。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、雇用情勢・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかに回復しました。しかしながら、通商政策などアメリカの政策動向による影響や中国経済の先行き懸念、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響懸念など、依然として先行きは不透明な状況が続いています。
当社グループが展開するサービスを取り巻く環境は、進展するデジタル技術や長引く人手不足などを背景に、引き続き、デジタル技術を活用し、業務の効率化やコスト競争力の強化、売上拡大などに繋がるサービスに対する需要が拡大しています。
このような状況の中、当社グループは、お客様企業の経営、事業の変革を支援するCXサービス・BPOサービスを積極的に展開し、受注の拡大に繋げました。また引き続き、「中期経営計画2023-2025」の実現に向けた各種取り組みを推進しました。
テクノロジーソリューションカンパニーの実現に向けた取り組みでは、まずCXサービス領域において、競争優位な独自CXプラットフォーム「trans-DX for Support」の展開を推進し、導入社数は目標の100社を達成しました。また、生成AIをはじめとしたデジタル技術を活用したサービスの開発と展開に注力しました。具体的には、生成AIチャットボットと有人チャットをシームレスに繋ぐ独自開発したAIチャットボット「trans-AI Chat」の展開を韓国・日本・中国で開始しました。また、コンタクトセンター運用プラットフォームに生成AIを活用し、コンタクトセンター管理者とオペレーターの運用支援や品質強化の効率を大幅に向上させるソリューションを開発しました。全国のセンターへの導入を進め、業務工数削減と応対品質の均一化を実現していきます。
一方、BPOサービス領域では、AI-OCRと生成AIとオペレーションを組み合わせて、非定型帳票の効率的なテキスト化を実現する「trans-Xsynk(トランスクロスシンク)」の展開を推進しました。また、お客様企業とのJV(ジョイントベンチャー)を通じた専門性の強化や、デジタルBPOサービスを推進していくためのデリバリ体制の強化に向けた取組みにも注力しました。具体的には、オムロン株式会社と当社が、オムロングループの間接業務の効率化を目的に、合弁会社「オムロン トランスコスモス プロセスイノベーション株式会社」の設立について合意しました。新会社はシェアードサービスセンターとして、オムロングループにおける人事、経理財務、総務のオペレーション業務を集約し、当社の業務に特化した専門性やITの活用による自動化・効率化のノウハウを融合することで、更なる業務品質の向上や業務の最適化を推進します。また、デリバリ体制の強化では、北海道札幌市に、建設業界に特化したデジタル施策の企画から定着までを支援する新拠点として「BPOセンター札幌北八条」を開設しました。また、長崎スタジアムシティ内のオフィス棟に、BPO事業におけるDXのフラッグシップセンターとして「BPOセンター長崎スタジアムシティ」を開設しました。
グローバル事業の成長に向けた施策では、まず、アジアを中心としたグローバル市場において、世界トップクラスのマルチナショナル企業との取引拡大を推進し、複数の国と地域での受注拡大に繋げました。また、グローバルでのサービスデリバリ体制の強化に向け、センター拠点の拡充を図りました。具体的には、中国、韓国、ベトナムにおいてそれぞれオペレーションセンターを増設しました。これにより、海外においては、現在、35の国と地域、112拠点(2025年3月現在)でサービスを提供できる体制が確立されており、今後もローカル企業のほか、現地に進出する多くのお客様企業に対してCXサービスとBPOサービスを提供していきます。
以上の結果、当期の連結業績は、売上高375,849百万円となり前期比3.8%の増収となりました。利益につきましては、価格交渉の進展や稼働率上昇などで売上総利益率が改善したことなどに加えて、海外で収益性が改善したことにより、営業利益は14,475百万円となり前期比26.1%の増益、経常利益は15,683百万円となり前期比13.8%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は11,332百万円となり前期比12.2%の増益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(単体サービス)
当社におけるアウトソーシングサービス事業等につきましては、BPOサービスおよびCXサービスの売上増加や収益性改善などにより、売上高は244,017百万円と前期比3.1%の増収となり、セグメント利益は7,116百万円と前期比1.6%の増益となりました。
(国内関係会社)
国内関係会社につきましては、上場子会社における売上増加などにより、売上高は43,286百万円と前期比2.3%の増収となり、セグメント利益は、一部上場子会社のグループ会社が黒字転換した影響などにより、2,866百万円と前期比49.3%の増益となりました。
(海外関係会社)
海外関係会社につきましては、韓国・東南アジア・中国の各子会社の売上増加や、為替変動による影響などにより、売上高は102,284百万円と前期比6.9%の増収となり、セグメント利益は、中国子会社のコスト適正化による収益性改善、東南アジアおよび韓国の各子会社の利益増加などにより、4,643百万円と前期比82.4%の増益となりました。
なお、セグメント利益につきましては、連結損益計算書における営業利益をベースにしております。
(重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、期末日における資産・負債の金額および報告期間における収益・費用の金額に影響する見積り、判断および仮定を使用する必要があります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(今後の見通し)
当社グループが展開するCXサービス・BPOサービスにおいては、進展するデジタル技術の活用に対するニーズの高まりや日本の人口動態に起因する構造的な人手不足を背景に、引き続き、需要が拡大すると見通しています。また、高い経済成長が見込まれているアジアを中心としたグローバル市場において、当社サービスの成長機会が拡大していくと考えています。
引き続き当社グループは、デジタルトランスフォーメーションパートナーとして企業の経営、事業の変革を支援するCXサービス・BPOサービスを積極的に展開し、さらにアジア市場を中心としたグローバルで事業展開を加速させていきます。
これらを踏まえ、次期の連結業績予想につきましては、売上高400,000百万円(当連結会計年度比6.4%増加)、営業利益15,500百万円(同7.1%増加)を見込んでおります。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度における一時的に減少した税金費用の影響はあるものの、11,500百万円(同1.5%増加)を見込んでおります。
なお、当社はこれまで次期の連結業績予想の開示を控えておりましたが、資本市場とのより建設的な対話の実現に向けて情報開示の在り方について検討を重ねた結果、今般より次期の連結業績予想を開示することといたしました。
(生産、受注及び販売の状況)
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
単体サービス |
269,926 |
3.6 |
|
国内関係会社 |
36,586 |
1.2 |
|
海外関係会社 |
92,331 |
8.2 |
|
合計 |
398,844 |
4.4 |
(注)1.金額は外部顧客に対する生産に基づくものであります。
2.金額は販売価格で表示しております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
単体サービス |
288,186 |
9.4 |
201,900 |
7.7 |
|
国内関係会社 |
41,662 |
4.5 |
6,575 |
15.5 |
|
海外関係会社 |
96,123 |
5.8 |
13,809 |
1.9 |
|
合計 |
425,972 |
8.1 |
222,285 |
7.6 |
(注)1.金額は外部顧客に対する受注に基づくものであります。
2.金額は販売価格で表示しております。
3.単体サービスの受注高および受注残高につきましては、継続業務のうち、受注済みの業務の売上未計上分と内示を含む受注確度の高い案件をベースとして算出する方法に見直しを行い、見直し後の数値を記載しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
単体サービス |
242,956 |
3.1 |
|
国内関係会社 |
36,179 |
1.9 |
|
海外関係会社 |
96,712 |
6.2 |
|
合計 |
375,849 |
3.8 |
(注)1.金額は外部顧客に対する売上高に基づくものであります。
2.金額は販売価格で表示しております。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ941百万円収入が減少し、17,314百万円の収入となりました。この主な要因は、売上債権の増加や「その他」に含まれている未払費用が減少したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ3,069百万円支出が増加し、3,670百万円の支出となりました。この主な要因は、「投資有価証券の売却による収入」が減少したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ2,274百万円支出が増加し、6,028百万円の支出となりました。この主な要因は、前連結会計年度に計上していた「長期借入れによる収入」が無かったことによるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて8,713百万円増加し、73,134百万円となりました。
資本の財源および資金の流動性については、下記のとおりとしております。
① 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金需要やセンター拡張等の設備投資のほか、業務または資本提携等、事業推進上の要請に基づく株式投資等であります。
② 財務政策
当社グループは、営業活動により得られる資金を、運転資金や設備投資資金、事業開発投資資金に充当していくことを基本としておりますが、状況に応じて、銀行借入や社債、株式発行など、その時点で最適と思われる手法で資金調達を行っていく考えであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における研究開発活動は、お客様企業の売上拡大とコスト最適化を実現するサービスメニューを継続的に開発すべく研究を重ねております。主に、CXサービス、BPOサービスの各サービスにおいて、より顧客満足度を高めるための高付加価値なサービスを創り続けるための研究開発を行っております。
単体サービスにおける主な取り組みとしては、①ChatGPTをはじめとした生成系AI(Generative AI)の活用による業務プロセス自動化、およびAIエージェントを活用したより高度な意思決定支援や自律的業務遂行に向けた調査・研究、②CX(顧客体験)・DX(デジタルトランスフォーメーション)など最新ソリューション動向および取組事例等の調査・研究、③グローバルECや越境ECなどECワンストップサービスの強化に向けた調査・研究、④LINEなどのチャットプラットフォームを活用した新たな顧客コミュニケーションサービスの研究・開発、⑤メタバースやNFT(デジタル資産)・Web3など最先端技術を活用した新ビジネスモデルの調査・研究、その他、経済活動や所属する業界活動を啓蒙する団体などを通じたマーケティング調査・分析を実施するなど、引き続き、新たな技術・仕組みを取り入れたサービスの調査・研究開発を推進しております。
国内関係会社の主な取り組みとしては、単体サービスとのシナジー効果を追求し、新規顧客の開拓や収益機会の拡大につなげていくためのより専門的、先進的な製品・サービスの研究開発に注力しております。
以上の取り組みの結果、各セグメントの研究開発費は、単体サービスで