当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業の精神である「コンピューターは社会に奉仕する」のもと、ITを通じて新しい価値を創造することで社会に貢献することを経営理念としております。
・社是(創業の精神)
「コンピューターは社会に奉仕する」
・経営理念
私たちは、確かな技術で新たな価値を創造し、社会に貢献します
・行動指針
私たちは宣言します
夢と未来にむかって、あたらしさへ挑戦します
お客様の心の声に、しなやかな発想で応えます
的確な判断と責任のもと、すばやく行動します
・企業メッセージ
Grow on with Clients, now and forever
当社グループはこれからも、新たな技術に果敢に挑戦しながら、しなやかな発想で、価値あるITサービスをお客様に提供し、お客様とともに成長し続けることで、企業価値の一層の向上に努めてまいります。
当社グループは、2024年度から2026年度までの3ヶ年を対象とする中期経営計画を策定しております。本計画では以下を基本方針とし、収益基盤の安定を維持しながらサービス事業への転換を図るとともに、開発を通じた技術力向上と主力ソリューション強化を両立させてまいります。
中期経営計画の目標については、2027年3月期に連結売上高230億円、連結営業利益率12%、連結配当性向45%以上の達成を掲げております。
中期経営計画の基本方針
<事業の観点>
・自主ビジネスの強化と主力ソリューションへの投資拡大による収益性のさらなる向上
・新ビジネスの創出に向けた取組の促進
<人材の観点>
・社員がさらに生き生きと活躍できる環境の構築
・人材への積極的な投資
<会社の観点>
・リスクマネジメントの強化に向けた品質マネジメント向上と技術力の強化
・サステナビリティへの取組の継続的な推進
当社グループは、収益性及び資本効率性を重視し、売上高営業利益率、ROE(自己資本利益率)を重視すべき経営指標として用いております。各指標の中長期的な目標につきましては、売上高営業利益率は12%以上、ROEは10%以上としております。株主資本の有効活用、経営の効率化を図りながら収益性を高めることが、企業価値の向上に繋がり、株主の皆様、従業員を含め全てのステークホルダーの利益に叶うものと考えております。
次期の見通しにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続き、設備投資につきましても堅調な企業収益等を背景に持ち直し傾向が続くことが見込まれます。また、大阪・関西万博による経済効果も期待されます。
国内の企業においては、IT活用の取組はコロナ禍をきっかけとした事業継続を目的としたものから、生産性向上や新しいビジネスモデルの構築など事業変革を目的としたものへと変化する動きがみられております。また、経済産業省の「2025年の崖」の警鐘を背景に、企業における老朽化、肥大化、複雑化及びブラックボックス化している古い基幹業務システムを刷新する動きは引き続き活発であり、2025年以降も継続すると見込まれます。さらに、企業におけるIT活用の重要性は大企業だけではなく、インボイス制度や電子帳簿保存法対応といった法規制対応や人手不足の深刻化を契機として、生成AIの利用をはじめとしたデジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透が進み、中堅・中小企業にも広がりをみせていることから、IT投資は中長期的に拡大していくものと認識しております。
しかしながら、アメリカによる相互関税政策に伴う日本経済への影響は輸出産業のみならず、幅広い業種にわたると予測され、また、その影響度合いも大きいと考えられます。コロナ禍からの復調気配及び賃上げムードに水を差すものであり、景気は予断を許さない状況が続くものと予想されます。
このような環境のもと、「稼ぐ力の強化」、「人材への積極投資」及び「企業価値の向上」を基本方針に景気の変化により大きな影響を受けることのないよう自立を目指し、当社グループは真に社会から必要とされる企業を目指して、以下の施策を実施してまいります。
・自社ソリューションの機能強化に対して積極的な投資による商品の差別化やマイグレーション事業の同時稼働数を増やすなど、既存事業から持続的な成長余地を見出します。
・将来に向けた成長基盤の獲得を目指し、生成AIなどの新しい技術を活用した新規事業の創出や信頼できる相手と互いにリスクを取った協業ビジネスに取組んでまいります。
・人への投資として、多様な人材が個性を生かし合い活躍できる環境整備について検討し、取組を継続してまいります
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
<サステナビリティ基本方針>
当社グループは、サステナビリティへの取組が持続的な社会の実現のみならず事業活動の継続においても重要であると考えております。創業の精神である「コンピューターは社会に奉仕する」のもと、企業や地域社会が直面する課題に対してITソリューションを提供することで社会の持続可能な発展に貢献します。また、地球環境や人々の暮らしに関する課題についても積極的に取組むことで持続的な社会の実現に貢献し、企業価値の向上を目指します。
<NCS&Aのマテリアリティ>
当社では、企業理念や事業活動から社会への貢献を一層高めるためのマテリアリティ(重要課題)を特定し、当社グループが目指す6つのテーマを2022年度から設定しております。
(マテリアリティ特定の流れ)
・社会課題リストに挙げられる社会課題と当社の理念体系及び事業活動との紐づきの有無を洗い出し
・紐づきがあると判定した項目に対して、「当社における重要度」と「ステークホルダーにおける重要度」の2軸で関係性を整理するマテリアリティマップを作成
・ワークショップを開催し内容を議論、同時に取締役会でも議論(ワークショップは全社から選抜された若手社員により、計5回開催)
・外部有識者2名に検討結果を提示し意見をヒアリング
・外部有識者からのヒアリング結果を踏まえてワークショップでよりマテリアリティに対する当社テーマの具体的イメージをすり合わせる議論を行い、その後、取締役会で議論
(当社グループが目指す6つのテーマ)
・社会への貢献
地域社会に貢献し、より豊かな生活に向けて寄り添います
・お客様の事業を支える
お客様が一番最初に思い浮かべるIT企業を目指します
・新しい技術への挑戦
お客様の未来に寄り添うために新しい技術に挑戦し続けます
・人生を豊かに
多様な個性を活かしあい、互いの人生を豊かにする集団になります
・地球環境への貢献
ITソリューションサービス事業を通じて環境側面の改善を継続的に行い、社会から信頼される事業者であり続けます
・透明、公正な経営ガバナンス
ガバナンスを通してステークホルダーからより深い信頼と理解を獲得します
(2)具体的な取組
当社グループの成長戦略である「サステナビリティ経営」を推進するため、「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。委員会は、サステナビリティにかかる全社的課題、取組施策の確認や検討、グループ全体へのサステナビリティ経営の浸透を目的としております。サステナビリティに関する取組状況等については、取締役会へ報告・審議しております。
当社グループは、事業遂行上のリスクマネジメントシステムの適切な構築と運用及び部門横断的なリスク管理の推進を目的として、全社リスク管理部門としてリスクマネジメント部門を設置し、その管理のもとに事業遂行に伴うリスクに各リスク担当部門が対応しております。リスクは発生頻度と危害程度を評価し、その評価に応じたリスク値を算出することで優先的に対応すべきリスクを明確にして対策を行っております。
気候関連リスクに関しては、サステナビリティ推進委員会においてリスクと機会について検討しております。当社グループはITソリューションサービスの提供を主たる事業内容としており、環境負荷の高い事業を行っていないことから、現在のところ、気候変動問題が当社グループの事業に重大な影響を及ぼすことは想定しておらず、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)またはそれと同等の枠組みに基づく開示は行っておりません。
しかしながら、地球環境の保全に配慮した環境負荷の低減が、社会共通の重要課題であると認識しており、電気及び紙の使用量削減や地域清掃活動への参加を推進しております。電気使用量の削減に向けては対前年約3%の削減を目指し、意識啓発を目的としたポスターの社内掲示や照明・空調のこまめなスイッチオフなどを実施しております。また、紙使用量の削減に向けては、全会議室に大型ディスプレイを設置し、ペーパーレス会議を推進しております。
当社グループは、社会から信頼される事業者であり続けるために、ITソリューションサービス事業を通じて環境側面の改善を継続的に行うとともに、環境に低負荷な事業活動を推進し、社会貢献活動を継続してまいります。
<人的資本への取組>
社会構造や技術動向の急激な変革に伴い市場競争が益々激化する中で、IT業界にとって、事業を継続的に発展させるためには人材の育成と確保が非常に重要な課題となっております。当社グループが社会に貢献できる付加価値の高いITソリューションを提供し続けていくためには、新たな課題に自ら挑戦するプロフェッショナルとして自立した人材が必要と考えております。そのためには社員一人ひとりが果たすべき組織上の職務や職責を認識し、お客様と当社グループの成長に貢献するための意欲と能力を高めていく必要があります。
経営理念のもと、意欲と能力を互いに高め合える組織風土づくりを目指し、事業戦略・事業目標を実現する真のプロフェッショナル集団となるために、社員が向かうべき人材像として以下を掲げております。
「求める人材像」
・全体を俯瞰して、目標を達成するために何が必要かを考えられる人
・職責に対し、責任を持って自ら論理的に考え、行動ができる人
・社会の変化と技術の革新に挑戦し続ける、自己成長のエンジンを持つ人
・自らの得意領域を持ち、ビジネスに活かす人
そして、求める人材像の実現に向け、社員、職場、教育部門が一体となって以下の人材育成方針を推進しております。
<人材育成方針>
・社員は、お客様と会社の成長に貢献するために果たすべきことを認識し、自己研鑽に励み、自身の人格及び専門的な職務遂行能力の向上に努める。
・職場は、業績向上に向けて職場内実践教育(OJT)を中心とした組織的な人材育成をそれぞれの立場から全員で取組む。
・教育部門は、職場と連携して意欲ある社員への自己啓発並びに職場の人材育成支援を計画的、継続的に実施することで人材育成の環境を提供する。
この方針に沿って、階層別教育、職種別教育、キャリア開発教育、その他必要に応じた教育を実施し、人材育成に取組んでおります。
<社内環境整備方針>
当社グループでは、多様な価値観を持つ優秀な人材が、その能力を最大限に発揮し生き生きと働くことができる企業風土を目指し、「多様な人材活躍」「健康経営」「働き方改革」を主軸に働きやすい環境づくりを推進しております。
(多様な人材活躍)
当社は、社員一人ひとりのライフステージに応じて働き方を選択し、よりパフォーマンスを発揮できる環境を実現するため、社員の活躍を推進する制度の充実を図っております。
・ライフワークバランス推進委員会の設置
2014年に「女性活躍ワーキングチーム」を立ち上げ、女性が長く働き仕事で活躍し続けられる環境の検討を開始し、2017年に「働き方改革タスクフォース」を立ち上げ、働き方改革を推進してまいりました。2018年にこれらを統合し「ライフワークバランス推進委員会」を立ち上げ、性別に関係なく、働きやすい環境づくりに取組んでおります。2024年度は、子育てに関する情報交換の座談会と、他部署との交流や情報共有を図る同年代座談会を開催しました。
・育児・介護支援制度の充実
社員が安心して育児・介護をしながら働けるよう、休職制度、時短勤務の充実、利用しやすい環境整備を進めております。また、外部の育児・介護支援サービスを導入し、育児休職からのスムーズな復職に向けた支援や子どもの保育園・小学校への送迎、病児保育の委託、高齢の親の病院への付き添いなどのサービスを利用できるようにしております。
これらの取組の効果もあり、男女別の採用10年前後の継続雇用割合は女性が男性を上回っております。
・女性活躍推進
女性社員のさらなる活躍に向け、2023年10月よりフェムテックサービスを導入し、女性特有の健康課題の軽減及び女性のキャリア形成の支援に取組んでおります。2024年度においては該当サービスにおいてすでに利用していた「月経プログラム」に続き「更年期プログラム」を追加しました。また、管理職に占める女性の比率を現在の約6%から2026年度に20%とする目標を掲げ、女性管理職の育成に向けた研修等により、早い時点での管理職に向けた意識付けと学びの場を提供し、管理職候補者の育成を行ってまいります。
・男性育児休職の推進
職場全体の業務改善につながるとの考えから、女性社員だけでなく男性社員の育児休職取得も推進しております。希望する誰もが育児休職を取得できる環境づくりに取組み、社内報での男性育児休職取得者紹介や推進ポスター掲示を実施しております。
(健康経営)
当社は、経済産業省と日本健康会議が主催する健康経営優良法人認定制度による「健康経営優良法人 2025(大規模法人部門)」の認定を取得しております。社員一人ひとりが心身ともに健康で個々の力を最大限に発揮できることが会社の成長につながると考え、社員が生き生きと長く働くことができるよう、健康保持・健康増進に継続的に取組んでまいります。
・総実労働時間の低減
2015年より健康経営の取組を開始し、残業時間の削減や有給休暇の取得促進に取組んでまいりました。定時退社するノー残業デーの設定や会議の効率化などにより残業時間の削減に取組んでおります。また、全社で有給休暇取得促進日の設定やメモリアル休暇の取得推進など、社員が有給休暇を取得しやすい環境を整えております。
・勤務時間内禁煙
2020年4月の健康増進法改正に先立ち、2019年より勤務時間内禁煙を実施しております。社員の健康障害防止、健康増進と社内における受動喫煙防止を狙いとしております。
・健康増進の取組
2019年度より、歩数・心拍数を測れるウェアラブル端末(スマートバンド)を活用した健康増進に取組んでおります。IoTやクラウドなどの技術を組み合わせた健康増進サービスを導入し、メンバー間で歩数の情報を共有するなど、楽しみながら健康管理できるよう工夫をこらし推進しております。
(働き方改革)
当社は、人材こそが企業の持続的成長と企業価値向上の源泉であると考え、社員が生き生きと働ける会社を目指し、職場環境の改善に継続的に取組んでおります。
・多様で柔軟な働き方の実現
多様な価値観を持つ人材が多様な働き方で活躍できるよう、ライフスタイルに合わせて出社時間を柔軟に選択できる勤務制度を導入しております。社員全員にテレワーク環境を整備するとともに、通勤定期を廃止し、テレワークの定着化に取組んでおります。また、1時間単位での有給休暇の取得や社員に1台ずつ配布しているスマートフォンでの社外からの勤怠入力を可能とし、より柔軟な働き方の実現に向けた環境整備に取組んでおります。
・テレワークと出社が共存する「ハイブリッド勤務」の推進
働き方改革の推進と利便性の高い就労環境の整備を図るため、大阪4拠点、東京3拠点にオフィスの分散化を図っております。社員が出社しやすいオフィスを選んで働くことができ、通勤によるストレスの軽減、モチベーションの向上につなげております。
人的資本への取組に関する主な指標の目標と実績は次のとおりであります。
なお、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組が行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われていないため、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済情勢変化
当社グループが属する情報サービス産業においては、働き方の変革にDXも後押しし、順調に企業のIT関連投資が増加傾向にあります。また、生成AIを始めとする新しい技術も大きな注目を集めており、さらなる市場の伸長が期待されております。一方で、国内外における情勢の変化、継続している物価の高騰は我々の市場にも大きな影響を及ぼす可能性があるものと予想されます。このような環境下において、顧客企業のIT関連投資の抑制が急速に進行・持続した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社ではこうした事態に対し、「稼ぐ力の強化」、「人材への積極投資」及び「企業価値の向上」を基本方針に、景気の変化に大きな影響を受けることのないよう自立するとともに、真に社会から必要とされる企業を目指してまいります。
自社ソリューションへの積極的な投資による商品の差別化やマイグレーション事業の同時稼働数の拡大を進め、既存事業の持続的な成長の促進に取組みます。また、生成AIなどの新しい技術を活用した新規事業の創出や信頼できるパートナーとの協業ビジネスの取組など、将来に向けた成長基盤の獲得を進めてまいります。
(2) 不採算プロジェクトの発生
当社グループの事業、とりわけシステム開発においては、お客様からの仕様追加や開発方式の変更等により当初見積り以上に作業工数が増大した場合、受託責任としてその開発リスクの負担を求められる場合があり、結果として不採算となるプロジェクトが発生することがあるほか、納入後の不具合の発生等により修復に要する費用が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは外部専門家の知識・ノウハウの活用あるいは生産性向上のため、業務の一部を外部委託しておりますが、委託先において予想外の事態が発生した場合には、品質保持のためのコスト増、納期遅れに伴う顧客への損害賠償等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、品質マネジメントシステムを構築し、プロジェクト統制を策定するとともに、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を設置し、全社的な視点から各プロジェクトの規模、進捗、重要度及び緊急度を判断し、効果的な人材配分やプロジェクト支援、監査を実施することで、不採算プロジェクトの発生防止に努めております。また、委託先に対して品質水準及び管理体制に対して定期的な審査を実施し、必要に応じて改善指導を行う等、優良な委託先の安定的確保に努めております。
(3) 特定取引先への依存
当社は日本電気株式会社(以下、NEC)の販売特約店であり、NECが製造販売するコンピュータ機器と当社グループの保有する情報技術やソフトウエアパッケージを組み合わせた情報システムを販売するとともに、NECグループが受注した大型プロジェクトのSIサービス、開発作業の一部を受託しております。これらの売上は当社グループの大きな事業収入の柱の一つとなっており、今後NECグループにおいて経営方針または取引関係における事業方針の大幅な変更がなされた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、こうしたリスクを回避するためにNECグループのITサービス事業における当社のポジションを明確にし、その強みを発揮して協業関係を維持・拡大するとともに、顧客企業との直接取引の拡大にも努めております。
(4) コンプライアンスに関するリスク
当社グループにおいて様々なハラスメントやその他の法令違反等の事象が発生した場合、取引先との取引停止、レピュテーションによる採用活動への影響、当社グループの社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、NCS&Aグループコンプライアンス基本方針を制定し、グループ社員に対し定期的なコンプライアンス教育や各種ハラスメント研修を実施するなど、コンプライアンス委員会を通じてグループ全社に対しコンプライアンスに対する意識向上を図っております。また、内部通報窓口を社内と社外に設置しており、2024年度からは「コンプライアンスの日」を制定し、コンプライアンスに対する啓蒙活動を強化するなど、当社グループ全体でのコンプライアンス重視の企業風土の醸成及び浸透に努めております。
(5) 情報セキュリティ問題
システムの開発、運用に関連する情報セキュリティの確立・維持は当社グループにとって重要な経営課題と認識しており、万が一、悪意のあるセキュリティ侵害を受けた場合や、業務遂行上取り扱う機密情報や個人情報の漏洩が発生した場合は、情報サービス企業としての社会的信用の失墜や損害賠償責任など、当社グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
当社では、情報セキュリティマネジメントシステムを構築し、社内へのセキュリティ意識の啓蒙を行うとともに、こうしたセキュリティインシデントの発生防止と発生時のリスクの最小化、及び再発防止にむけての実行体制を強化しております。また、その結果として、プライバシーマーク使用許諾事業者として認められており、また一部の事業においては第三者機関よりISO/IEC27001(情報セキュリティ)の認証を取得しております。
(6) 技術革新と人材の確保
当社グループが属する情報サービス産業においては、コンピュータのハードウエア技術、ソフトウエアの開発言語、アプリケーション及びネットワーク技術等の幅広い知識が求められると同時に、生成AIに代表される技術革新が急速に進んでおります。これらに対応できる開発技術者、優秀なプロジェクトマネージャー、及びシステム構築要員の確保が不十分であれば、競争力が低下し、受注の縮小、プロジェクト採算性の悪化等をもたらす可能性があります。
当社グループでは優秀な人材採用・雇用に努めるとともに、開発人材の教育・研修の強化と社員が新しい技術スキル獲得に挑戦するための支援制度を設けております。また、多様なスキルや価値観をもつ優秀な人材を惹きつけられる活力ある企業風土、男女を問わず育児や介護と仕事を両立しながら社員がその能力を最大限に発揮し生き生きと働くことができる企業風土、そして組織が健全な成果をあげ、社員が仕事を通じて大きな喜びを得られる環境づくりに努めるとともに、働き方改革に継続して取組んでおります。
地震等の自然災害やテロ行為、感染症の流行等により、当社グループの主要な事業所等が壊滅的な被害を被った場合や多数の従業員が被害を受けた場合には、その復旧や代替のために多大な費用が発生するとともに、販売活動などの事業活動に大きな影響を与えるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、社員及び会社資産の安全を確保するとともに、迅速かつ適切な対応による復旧及び事業継続が最優先であるとの認識のもと、こうしたリスクの発生に備えてデータセンターの活用や有事を想定した訓練の実施等により事業継続活動に取組んでおります。
(8) 知的財産権の侵害
当社グループが事業を展開する上で必要となる技術、ライセンス、及び各種商標等の知的財産権について、当社グループが他社の知的財産権を侵害したとして損害賠償請求を受ける可能性や、他社により当社グループの知的財産権が侵害される可能性があり、いずれの場合も、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、当該リスクに備えるため、社内におけるライセンスの利用状況を定期的に調査し、知的財産権の侵害やソフトウエアライセンスの不適切な利用の防止に努めております。また、CSR教育等により知的財産権の保護に関する社員の意識向上に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で緩やかに回復し、企業の設備投資においても持ち直しの動きがみられる一方で、地政学的リスクが資源価格等に与える影響、国内外の金融情勢の動向や中国経済の先行き懸念などにより、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの事業領域である情報サービス産業におきましては、デジタル活用が社会に定着化したことや労働力不足を背景とした業務効率化に向けたIT活用の重要性が高まりを見せていること、また、経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」を背景に、古い基幹業務システムを刷新する動きが活性化していることから、IT投資は引き続き堅調に推移するものと考えられます。
このような環境のもと、当社グループは「真に世の中から必要とされる会社」を目指して、成長に向けた積極的な投資として主力ソリューションの強化と「社内スタートアップ制度」(研究開発を通して新しい事業の芽を創出する活動)による事業創出活動を積極的に推進しております。
社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進への寄与に向けて、自治体向け給付金システム「The給付」においては、国や地方自治体が支給する各種給付金制度への迅速な対応を行うことで、市民サービスとして素早い給付が実現する点を評価され、また、家賃債務保証基幹システム「Guras(グラス)」では、家賃債務保証制度の利用率が上昇するに伴い、より多くの契約者の管理を迅速・確実に行うための機能の追加や画面UI(ユーザーインターフェース)の改善による見やすさの向上を図ることで幅広い規模のお客様に導入いただき、売上は堅調に推移いたしました。また、研究開発を通して新しい事業の芽を創出する活動として2020年度下期から実施している「社内スタートアップ制度」で採用され開発を始めた取組として、社内で運用するセキュリティ・ネットワーク・ハードウエア・システムサービスの稼働状況をまとめて一画面で可視化し、問題発生時には状況把握をスムーズに行うことのできる統合情報モニタ基盤「ScopNeo(スコップネオ)」を2024年6月にリリースするなど、特定の業種に限らずシステムを運用するお客様が共通して抱える課題を解消するためのソリューションを提供することでDX推進に向けた取組を積極的に行っております。従業員に対しては資産形成の一助とすることに加えて企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして2024年7月より従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入しました。また、すでに導入しているフェムテックサービスには「月経プログラム」に続き2024年7月より「更年期プログラム」を追加し、「生き生きと活躍できる環境の構築」を継続して進めております。
当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は前期に比べ15億85百万円増収の204億93百万円となりました。利益面につきましては、利益率の高い自社製品によるソリューション及び高収益案件への注力を続けることにより営業利益は前期に比べ3億55百万円増加の19億93百万円、経常利益は前期に比べ3億49百万円増加の21億9百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては最近の業績動向及び今後の見通しを踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、当期末に繰延税金資産を計上したことにより、前期に比べ5億72百万円増加の21億9百万円となりました。
当社グループは、ITサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの経営成績の記載を省略しております。なお、売上分類別の概況は次のとおりです。
<自社製品によるソリューション>
自社製品によるソリューションにつきましては、マイグレーションサービスの外資系保険会社向け大型案件やアライアンス先との協業案件の売上高が増加し、また、情報システム可視化ソリューション「REVERSE PLANET(リバースプラネット)」、個人信用情報接続サービス「Ccms(シーシーエムエス)」などが順調に推移いたしました。その結果、自社製品によるソリューションの売上高は前期に比べ9億92百万円増収の54億7百万円となりました。
<システムインテグレーション>
システムの設計・開発から導入後の運用・保守までをワンストップで提供するシステムインテグレーションサービスにつきましては、中堅・中小マーケットにおけるシステム投資意欲の高まりを受けながらも、制度変更などの大きな需要のない中において、売上高は前期に比べ15百万円減収の84億39百万円となりました。
<機器・パッケージ>
コンピュータ機器及び周辺機器、パッケージソフトウエア等の売上のうち、他の開発・サービスを伴わない機器・パッケージ単体の販売による売上高は、前期に比べ3億75百万円増収の21億27百万円となりました。
<受託開発>
大手SIerからの受託開発につきましては、前期に引き続き当社の得意領域にリソースを集中させ、また、受注条件の改善に努めるなど収益性の向上に取組んでおります。その結果、受託開発の売上高は前期に比べ2億33百万円増収の45億19百万円となりました。
当連結会計年度末における総資産は213億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億8百万円増加いたしました。流動資産は172億50百万円となり、11億43百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金の増加(12億51百万円)、売掛金の増加(3億52百万円)、商品の増加(2億17百万円)、契約資産の減少(7億16百万円)であります。固定資産は40億70百万円となり、9億65百万円増加いたしました。主な要因は、繰延税金資産の増加(7億30百万円)、無形固定資産の増加(2億61百万円)、リース資産の減少(27百万円)であります。
当連結会計年度末における負債合計は70億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億35百万円増加いたしました。流動負債は48億46百万円となり、5億28百万円増加いたしました。主な要因は、賞与引当金の増加(1億96百万円)、未払法人税等の増加(1億88百万円)、支払手形及び買掛金の増加(1億83百万円)であります。固定負債は22億47百万円となり、3億92百万円減少いたしました。主な要因は、退職給付に係る負債の減少(3億71百万円)、リース債務の減少(20百万円)であります。
当連結会計年度末における純資産合計は142億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億73百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加(16億26百万円)、退職給付に係る調整累計額の増加(2億42百万円)、自己株式の減少(39百万円)であります。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の63.8%から66.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ13億1百万円増加し、111億38百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は22億13百万円(前連結会計年度は15億12百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上(21億9百万円)、減価償却費の計上(2億63百万円)、仕入債務の増加(2億39百万円)、売上債権の減少(3億26百万円)による収入に対して、法人税等の支払(6億36百万円)の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4億15百万円(前連結会計年度は3億16百万円の支出)となりました。主な要因は、無形固定資産の取得(4億30百万円)の支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は5億7百万円(前連結会計年度は5億4百万円の支出)となりました。主な要因は、配当金の支払(4億77百万円)、リース債務の返済(30百万円)の支出によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績を品分類別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績を品分類別に示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績を品分類別に示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度における当社グループの売上高は、前期比15億85百万円増収の204億93百万円、営業利益は前期比3億55百万円増益の19億93百万円となり、「増収増益」となりました。
この営業利益につきまして前期からの変動要因を分析しますと、売上高増加に伴う利益増が4億72百万円、売上総利益改善に伴う利益増が1億37百万円、販売費及び一般管理費の増加による利益減が2億54百万円であります。
売上高につきましては、自社製品によるソリューションにおいてマイグレーションサービスの外資系保険会社向け大型案件やアライアンス先との協業案件の売上高が増加したことなどにより、前期に比べ増収となりました。
売上総利益率につきましては、自主ビジネスへのシフトが順調に進んでいることに加え、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)によるプロジェクト損失を最小限に抑えるための様々な活動が効果を発揮したことにより、前期に比べ0.7ポイント改善の30.5%となりました。
また、販管費率は前期に比べ0.4ポイント減少の20.8%となりました。
上記の結果、売上高営業利益率は前期に比べ1.1ポイント改善の9.7%となりました。今後も、中長期的な目標である売上高営業利益率12%の達成に向け、自主ビジネスの強化と主力ソリューションへの投資拡大による収益性のさらなる向上に取組んでまいります。
営業外収益につきましては、前期比7百万円減少の1億21百万円となりました。また、営業外費用につきましては、前期比0百万円減少の6百万円となりました。
その結果、経常利益は前期比3億49百万円増加の21億9百万円となりました。
特別利益につきましては、前期は退職給付制度終了益など合計3億67百万円が発生いたしましたが、当連結会計年度はゴルフ会員権売却益0百万円が発生いたしました。また、特別損失につきましては、前期は固定資産除却損など合計8百万円が発生いたしましたが、当連結会計年度の発生はありません。
法人税等は、主に税金等調整前当期純利益の増加に伴い、法人税、住民税及び事業税は前期比2億69百万増加の8億13百万円となりましたが、法人税等調整額△8億12百万円(△は益)を計上したことにより、0百万円となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比5億72百万円増加の21億9百万円となりました。
ROE(自己資本利益率)は前期に比べ2.5ポイント増加の15.9%となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末における当社グループの財政状態の分析につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
当社グループの主要な資金需要は、ソフトウエア開発及びサービス提供のための労務費、外注費、経費、販売用ハードウエア等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用、並びに市場販売目的ソフトウエアの改良・強化にかかる投資であります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で賄うことを基本方針としております。今後も棚卸資産の削減、受注の増大及び売掛金の早期回収等により営業活動によるキャッシュ・フローの拡大を図ってまいります。
当連結会計年度におきましては、堅調な業績により営業活動によるキャッシュ・フローがプラスとなったことから、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は前期末比13億1百万円増加の111億38百万円となりました。
資金の流動性につきましては、海外景気の下振れリスクや物価動向に関する不確実性により引き続き不透明な状況が続いているものの、この十分な現金及び現金同等物により、事業環境リスク等を考慮した上で、通年にわたり流動性を確保しているものと認識しております。
なお、キャッシュ・フローの状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
キャッシュ・フロー指標のトレンドは次のとおりであります。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積り及び判断につきましては、過去の実績及び状況等から合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループの当連結会計年度における研究開発活動は、「新たな技術への果敢な挑戦をし続けていくことでお客様にとって価値のあるITサービスを提供し続けられる」との考えのもと、前年度から取組み始めた生成AIについての研究が、試行を重ねて実用段階に入っております。さらに自社開発基盤や自社ソリューションにつきましてはさらなる競争力強化のための機能強化・刷新に取組んでおり、当社独自技術のマイグレーションではセンター(集約)化のための研究を進めました。また、4年目を迎える社内スタートアップ制度も継続し、新しいビジネスの創出を目指しております。その概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の研究開発費は
(1) 生成AIに関する研究
生成AIは業務効率化や新規事業創出を目的に、情報リサーチや文書作成、コンテンツ作成など多様な分野で急速に拡大しております。エンターテインメント、金融、製造、教育など幅広い業界で導入が進み、高度な分析やシミュレーション、情報の自動抽出が実現し、新たな価値創造も進んでおります。このような状況のもと、当社では開発効率化や自社ソリューションへの組み込みなどを実施しました。
一点目は、当社の本業であるシステム開発において、「設計からプログラミング、テストの各工程における品質・生産性向上に生成AIを活用できないか」という観点での研究を行いました。一昨年から取組んでおりますプログラミング時のAI活用として、生成AIに問い合わせをしながらのソース自動生成を試行してきましたが、実プロジェクトに活用し生産性が向上するという成果が出るところまで確認できました。この成果をもとに、設計やテストの各工程に対しても実プロジェクトでの活用を進めようとしており、設計では要件から設計書を自動生成、テストではテスト実行や結果確認を自動で実行するような研究を進めております。
今後の取組としましては、システム開発における製造やテスト工程での活用に加え、プロジェクト管理の強化への活用も試行してまいります。
二点目は、当社の既存のソリューションに対し「生成AIを組み込んで付加価値を高められないか」という観点から可視化ソリューション「ReverseNeo(リバースネオ)」に生成AIを組み込むための研究を行いました。同ソリューションに生成AIを組み込むことによる出力結果の精度向上や新たなドキュメント生成の可能性について研究を実施し、最終的に精度の高いドキュメント生成を実現したバージョンをリリースいたしました。可視化に関連する分野において、さらなる精度向上や機能の拡大を目指し、今後も継続して研究してまいります。また、その他既存の自社ソリューションにつきましても積極的に研究を進めており、生成AIを組み込んだ製品の提供をしてまいります。
三点目は、社内の文章作成などの業務において生成AIを活用した効率化の研究を行いました。研究の結果、一部の部門で生産性向上や品質向上の成果が出ており、今後もさらなる利用拡大を図ってまいります。
なお、生成AI活用の課題として、情報漏洩、知的財産権の侵害、ハルシネーション(生成AIによって事実に基づかない情報が生成されることがある)等があり、技術検証と共にこのような課題への対応方法を検討しながら、今後も継続して生成AIの活用を目指した研究を進めてまいります。
生成AIにつきましては、当社の最も重要な研究分野と位置付け、各方面での有効活用に向けた取組に注力してまいります。
(2) クラウドに関する研究
企業の標準的なIT基盤となりつつあるクラウドですが、SaaSの活用やサーバーレスアーキテクチャ、インフラ構築の自動化、DevOps/CICDなど、その使い方や運用の効率化が進んでおります。さらに、生成AIの急速な進化により、クラウド上でのAIサービス提供やクラウドを使ったAIシステムの構築が加速しております。
そのような状況で、当社も当たり前にクラウドを使うようになっており、技術力のレベルアップと技術者の拡大を着実に進めるため、以前からクラウドタスクチームを立ち上げ技術力習得に取組んでまいりました。特にIaaS(Infrastructure as a Service)/PaaS(Platform as a Service)関連技術につきましては、これまでも10,000人以上の利用者を想定した負荷分散や冗長化のクラウド構成のような大規模なものから小規模なものまで数多くの構築を実施し技術力を向上させてまいりました。しかし、クラウドで提供されるサービスは非常に多岐に渡り、その使用方法も複雑で、日々新たなサービスが提供されていく状況であります。そのような中で、お客様にクラウドをより有効に活用していただけるよう、継続してクラウドの研究と実践に注力してまいります。
当年度は以前から取組んでおりますIaaS/PaaSの実案件を継続して実践しております。さらに、仮想化技術のコンテナや、クラウド設定要素をコード化し自動的に構築するIaC(Infrastructure as Code) によるクラウド構築効率化などより高いレベルの技術習得を進めるとともに、クラウド上での生成AI環境構築を実践し、それに関連する新たなサービスのノウハウも習得いたしました。
次年度は、さらなる技術のレベルアップや新たなサービスの技術習得、技術の標準化、技術者の育成などに取組みますが、特にクラウドを活用した生成AI環境の構築に注力して取組んでまいります。
(3) マイグレーションに関する研究
マイグレーションとは、既存のアプリケーションを再利用して新たなプラットフォームへ移行する手法のことであり、既存のビジネスロジックを踏襲できることから、システムの完成度も既存システムと同等に保てることが最大の利点となります。当社のマイグレーションの特長は、独自の可視化技術により解析したリポジトリを用いることで、アプリケーション全てを対象にライン毎の命令やデータ項目から同一構文を機械的に集約できることであります。
このマイグレーションに関する研究開発活動の取組として、以前から進めている「マイグレーションにおける品質の均一化、生産性の向上の取組」を継続しております。
当年度においては、今までに培ったノウハウをベースにさらなる変換品質向上と生産性向上のためにCOBOLやJCLの変換ツール標準化への取組を進めております。また、新たなオープン系システムの可視化・影響分析機能の研究開発を実施し、メインフレームCOBOLのオープン系への変換についての研究開発にも取組んでおります。
次年度以降も「マイグレーションにおける品質の均一化、生産性の向上の取組」に向けて、標準化やツール強化などを継続し、コストの抑制に貢献できるマイグレーションサービスをお客様に提供できるようにするとともに、お客様のニーズに対応できるようなマイグレーションの対象範囲拡大についても研究・開発を進めていく予定であります。
(4) 社内スタートアップ制度
4年前から開始しました社内スタートアップ制度とは、社内で広く新たなビジネスの種を募集し、採否を審査して採用された場合は会社としてバックアップを行い、研究開発を進めていくものであります。
当年度は1年間で33件の申請があり、2022年度22件、2023年度28件と年々増加しております。当年度については、新たなソリューションサービスや既存のソリューションサービスについての技術調査・研究、市場調査や生成AI活用に向けた研究、開発・テスト支援ツールの研究や新たな技術要素の研究などに取組みました。その中から実際に製品化につなげて販売しているものなど成果はあがっております。
具体的には、自社ソリューションのオーダーエントリーシステム「E.M.O(エモ)」では、他社サービス連携などの技術研究を実施し、機能を追加した新バージョンをリリースしました。また、オープンシステムの可視化ツール「ReverseNeo(リバースネオ)」では、生成AIの組み込みを研究し、生成AIによる処理内容の可視化機能を組み込んだ新バージョンをリリースしました。さらに、家賃債務保証基幹システム「Guras(グラス)」やホテル向けインターネット予約システム「i-honex(アイホネックス)」では、市場調査や他社調査を実施し製品強化に繋げております。
次年度も、さらに積極的なスタートアップ申請を促し、研究開発から新たなビジネスへと繋げる取組を継続していく予定であります。また、このような取組により社内で新しいことを考え、チャレンジしようとする風土を根付かせ、社員の意識改革・活性化を図り、成長し続ける会社を目指してまいります。