第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループでは「顧客への貢献」・「社員への貢献」・「社会への貢献」という経営理念に基づき、「社会で活躍できる人づくりを実現できる最高の教育機関をめざす」というコーポレートビジョンを掲げており、生徒のみならず、社員・スタッフを含め、「社会で活躍できる人づくり」に全企業活動をコンセントレートして、その実現を目指しております。そのための具体的な方針として、

「①顧客満足度の向上②サービス品質の強化③生涯学習化に伴う支援領域の拡大④オンライン・場・人の融合による提供価値の向上⑤グローバル事業の拡充⑥M&A及びアライアンスによるグループシナジーの最大化」を経営方針の中核に据え、当社を取り巻く環境の変化に迅速に対応することで企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループは来期創業50年の節目を迎え、第50期を1年目とする新中期経営計画を策定いたしました。新中期経営計画においては、新成長ビジョンとして『これまでの50年を総括し、創業100年に向けての土台作りを行い、教育事業会社を超えた「ユニバーサル共育」を通じた「人創り」事業会社への深化』を中核に据えて、

(1) 環境変化・価値観の多様化の中で、「顧客への貢献」のために、学びのプラットフォームを構築し、顧客の人生軸に寄り添い、「顧客ロイヤルティの向上」を実現します。

(2) ウィザスグループ経営を推進し、人と組織の「自己変革と自己成長」の促進を通じ、社員・スタッフの物心両面の幸せの追求と同時に、「人創り」事業を深化させます。

の2つのビジョンを掲げ、「“社会で活躍できる人づくり”を実現できる最高の教育機関をめざす」というコーポレートビジョンのもと、コア事業の独自価値を高め、顧客ロイヤルティの向上をめざし、LTVプラットフォーム構築により、生涯顧客化・LTV極大化をめざします。また、新たな成長戦略に基づく積極的な投資(ハード・ソフト両面)の3カ年と位置づけ、独自価値の深化を図ってまいります。

 

(3)経営環境

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しやインバウンド需要の増加等により、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、資源価格の高騰や円安による物価高の影響への懸念や世界情勢への不安感など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 当業界を取り巻く環境としましては、テクノロジーの急速な進化により、デジタル化・オンライン化は一層の注目を浴び、国のGIGAスクール構想、ChatGPTに代表される生成AIの急速な普及によって、学び方に更なる広がりが出てきております。加えて、人生100年時代とも言われる長寿社会を迎え、労働人口の減少に伴って外国人・シニア・女性の活躍が重要視されるなど、これからの時代においては全世代での多様な教育ニーズ、教育機会の提供の必要性・重要度も増してきております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 高校・大学事業においては、①理念をベースとした「中高大10年一貫のユニバーサル共育」構築による競合他校との差別化・ブランディング、②マルチブランド戦略での全国展開加速による市場シェア獲得とリスクの分散、③「ネットの大学managara」アライアンス構想(多学部化)の実現による生徒のグループ内進路選択肢の拡充と大学事業の確立・拡大、の3点を基本運営方針とし、広域通信制高校「第一学院高等学校」を中心に、生徒一人ひとりの新しい可能性や機会の発見とキャリア形成を支援する取り組みを一層推進してまいります。

 学習塾事業においては、「共創・協奏・競争」をテーマに、1/1の教育による笑顔・本気の共創、そして“強み”の普遍化による地域No.1の成果・支持の拡大を基本運営方針として、独自の教育メソッド(プラスサイクル学習法)を更に深化させ、これからの社会で益々求められる「主体的に学ぶ力」を育み、EdTechを活用した学びの自立化と個別最適化を推進してまいります。また、株式会社BlueSkyFCが運営する「個別指導まなび」の開校を促進する一方で、統廃合や抜本的な運営改革等を並行し、環境変化と地域ニーズに対する校舎規模・設備・業態等、事業展開の最適化と事業成長基盤の再構築を推し進めてまいります。

 グローバル事業及び能力開発・キャリア支援事業では、この3カ年での「キャリア支援事業独自の事業モデルの確立」を基本運営方針とし、①外国人の「学ぶ」「働く」「暮らす」を繋ぎ、社会に貢献できる人を育む事業の推進 、②「学び」の領域を繋げるプラットフォームの構築・提供を推進いたします。さらに、コンテンツ開発や各種プログラムの連携により、人生100年時代と呼ばれる社会において、人の成長の機会を一層つくっていけるよう、学びのプラットフォームを構築してまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、財務体質の強化による企業価値向上を図る観点より、株主資本の効率性を指標とするROE(自己資本利益率)と会社資産の効率性を指標とするROA(総資産利益率)を重要な経営指標としていきたいと考えております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は経営理念である「顧客への貢献」「社員への貢献」「社会への貢献」という3つの貢献を企業経営の基礎とし、教育事業を通じて社会の様々な課題を解決することを推進しております。サステナビリティに関しても、同様の考え方で取組を進めてまいりました。今後も顧客一人ひとりに貢献するため、「社員の自己成長支援を基軸とした育成」に一層注力し、コーポレートビジョンの実現を通じて社会に貢献し続けてまいります。

 

(1)ガバナンス

「社員の自己成長支援を基軸にした育成」という当社におけるサステナビリティに関する議題については、取締役会にて日常的に議論しております。

2024年度より、マテリアリティの実行を通じたサステナビリティの取組の促進を目的として、「サステナビリティ委員会」を設置します。サステナビリティ委員会は、委員長を社長とし、その直下に環境ワーキンググループ、人的資本・DE&I・人権ワーキンググループ、コーポレートガバナンスワーキンググループの3つを設置することで、サステナビリティのテーマごとにより一層の取組の推進を図ります。また、サステナビリティ委員会からは、定期的に経営層に進捗報告・共有を行うことを予定しております。

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(2)リスク管理

「経営リスク管理規程」に定めた経営リスクに関して、毎年「経営リスクの範囲と評価」を実施し、外部環境やガバナンス、労務人事など多岐に渡ってリスクの特定と評価を行っています。あわせて、当社の経営理念を社員全員が理解するために、『ViViブック』(ウィザスのコンセプトブック)を発行してその内容を共有し、当社独自のアメーバ経営(ウィザス経営)の実践による自己成長支援を行うための各種育成施策を推進しております。

 

(3)戦略

<当社グループのマテリアリティ>

 当社グループでは、経営理念に則り、教育事業を通じて社会課題を解決していくことを目指しております。そこで、当社グループが重点的に取り組むべき社会課題を、マテリアリティとして特定しています。特定に当たっては、SDGs・SASB・GRIスタンダードなどの国際ガイドライン・基準を参照して社会課題を整理したうえで、各課題の当社グループ事業にとっての重要性、及び各課題のステークホルダーにとっての重要性の2つの軸からマッピングして評価・特定を行っております。なお、当社グループ事業にとっての重要性を評価する際は、当社グループが取り組む意義も考慮のうえで評価しております。

今後、当社グループにとって特に重要なマテリアリティを中心として、各種重点施策を実践することで、様々な社会課題の解決を図り、持続的な社会の成長と中長期的な企業価値向上を図ってまいります。

 

 

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<人材育成方針>

当社では、「”社会で活躍できる人づくり”を実現できる最高の教育機関をめざす」というコーポレートビジョンの実現に向けて、常に「人財育成」を最重要のテーマとして位置づけて取り組んでまいりました。当社が提供できる商品・サービスの領域を広げ、学習者にとって最適な環境を用意していくためには、常に自律的に自己変革・自己成長できるような人財が求められます。そのため、当社では『社員自身が仕事を通じた自己成長・キャリア形成により「もっともっと尊敬できる自分」になれるような後押し』をコンセプトに人財育成の取り組みを行っております。

 当社は、人財育成を「Study & Training for Own Development」(ST)という独自の名称にて取り組んでおります。当社の「ST」とは、仕事を通じて自己成長していくことを大前提にした上で、社員に単に知識や業務スキルを伝授するものではなく、社員自らが考え、そして学ぶことを重視し、今後のキャリアに活かせるような育成プログラムにしております。当社の「ST」では、社員の年次・役職などに応じた様々なプログラムを提供しており、社員が自身の成長段階に応じたプログラムを受講しながら、自己変革・自己成長を図っていけるような仕組みにしております。

 

当社の「ST」における主なプログラム例

キャリアデザインプログラム

特定の入社年次に対して、入社からこれまでを振り返り、自身の強みや役割・課題を再認識して、これからの自身のキャリアビジョンやキャリアルートを考える機会を提供しております。

次世代マネジメント人財プログラム

(ViViユニバーシティ)

次世代の経営マネジメントを担う人財育成を実施しております。当社のリーダークラスを対象に、社長をはじめ社内外役員や社外コンサルタントの指導を受け、1年間の選抜型「ST」を実施しております。

 

 当社では、「ST」の実施を通じて計画的な人財育成を行っており、過去8年間で次世代マネジメント人財プログラム(ViViユニバーシティ)を累計65名が受講しております。受講した社員から取締役、執行役員を輩出するなど、着実な育成に繋げております。今後も様々な「ST」を通じて、人財の育成に注力してまいります。

 

<社内環境整備方針>

 当社は自己成長支援企業として、社員自らのキャリアビジョンを描いて実現していけるような環境づくりを目指しております。当社では、会社として社員のキャリアビジョンの実現を後押ししていくために、以下の2点を重視した環境づくりを行っております。

 

1.社員の多様なキャリアを受容できる仕組みの整備

 当社では、社員一人ひとりの多様なキャリアを最大限実現できるように、各種社内制度の整備を行っております。役職だけでなく職務能力の向上によるキャリアアップを実現できる人事制度、社員の希望キャリアを申告する自己申告制度等、多様な希望に応えられるような仕組みを作っております。

 

2.キャリアビジョンを描くための自己認識を促す仕組みの整備

 当社は、社員自らが自律的に学びながらステップアップしていくことを重視しております。そのために、全員に年に一度周囲から自身の他者認識等を聞ける機会を設け、自分の強みや課題を気づけることや、一定年齢になった社員には、自身のキャリアの棚卸しを通じて今後の具体的なキャリアビジョンを考える機会を設けるなど、各種社内制度の整備を行っております。自身に必要なものを自ら認識することで、自己変革・自己成長の糧としていくことを目的としております。

 

 当社では、社員からの意見や要望等も踏まえて、各種社内制度の改善を定期的に実施しております。そのため、各種社内制度の運用状況等も含めて、定期的にモニタリングを実施しておりますが、社内環境整備の実施状況やその効果を表す具体的な指標については今後継続的に検討を行っていく予定です。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)業界の競合状況について

少子化傾向が継続するなか、市場規模の縮小とあいまって生徒獲得競争はより一層激しさを増しており、業界再編や新分野進出等の動きがより一層顕著になっております。今後、展開地域内での競合状況だけでなく、業界内の再編動向、技術革新への対応等についても迅速に対応していけない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)人材確保について

当社グループでは顧客ロイヤルティの向上を目指しており、サービスの質的向上や新規校舎展開のために優秀な教員の継続的確保や育成が必要であります。今後の採用環境を見据えた上で必要な人材を十分に確保できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)教育制度の変更について

学習指導要領の改訂や就学支援金制度、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置、大阪市塾代助成事業、構造改革特区並びに国家戦略特区等、行政による教育に係る制度変更は度々発生しております。このような制度変更に対して早期に察知できなかったり、適切な対応ができなかったりした場合は、ビジネスチャンスの逸失や集客の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報システムのリスクについて

当社グループでは、役務提供上、多数の顧客の個人情報を保持しております。これらの重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含め情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等により、情報システムの停止または一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生した場合、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)大規模自然災害によるリスクについて

当社グループが展開している地域において、大規模な自然災害により校舎等のサービス拠点の設備や資産、人的資源等に被害が発生した場合また、新型コロナウィルス感染症等の未知のウィルスが発生し、当社グループの事業活動継続に支障をきたす場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当社グループは「“社会で活躍できる人づくり”を実現できる最高の教育機関をめざす」というコーポレートビジョンに基づき、以下の経営方針を中核に据え、環境の変化に迅速に対応することで企業価値の向上を目指しております。

<経営方針>

  ①顧客満足度の向上

  ②サービス品質の強化

  ③生涯学習化に伴う支援領域の拡大

  ④オンライン・場・人の融合による提供価値の向上

  ⑤グローバル事業の拡充

  ⑥M&A及びアライアンスによるグループシナジーの最大化

 

当連結会計年度における連結経営成績の概況は以下の通りです。

 

2025年3月期

前期比

売上高

219億92百万円

6.3%増

営業利益

16億78百万円

14.8%減

経常利益

16億32百万円

16.4%減

親会社株主に帰属する当期純利益

4億14百万円

54.2%減

 

売上高の増収は、主に高校・大学事業、グローバル事業及び能力開発・キャリア支援事業の各事業において、堅調に推移したことと期中に文教分野でのタブレット端末等・ネットワーク整備の教育インフラ事業、東大生起業家の教育出版・講演事業、東大生中心のオンライン個別指導事業のグループインによるものです。

営業利益、経常利益の減益につきまして、学習塾事業及びグローバル事業で増益を達成した一方で、高校・大学事業では、通信制高校における中長期的支持拡大のため、第一学院managaraBASEの新規出校費用増並びに指導の充実による対面行事(スクーリング)の宿泊日数の増加及び年間実施回数の増加による行事費の増、教員の充足による人件費増等により減益となりました。また、能力開発・キャリア支援事業においては期中に株式会社V-Growthがグループインしたことにより増収となったものの、営業体制強化による人件費増等もあり減益となりました。販管部門においては引き続き管理部門効率化によるBPO費用、新中期経営計画策定のための外部コンサル費用や租税公課の増加等により、当連結会計年度における段階利益は減益となりました。

なお、当連結会計年度におきましては、減損損失及び投資有価証券評価損等を特別損失に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益も減益となりました。詳細については2025年5月13日に開示いたしました「業績予想と実績の差異及び特別損失の計上に関するお知らせ」をご確認ください。

 

現在、当業界を取り巻く環境はテクノロジーの急速な進化により、デジタル化・オンライン化はコロナ禍で一層の注目を浴び、国のGIGAスクール構想、ChatGPTに代表される生成AIの急速な普及によって、学び方に更なる広がりが出てきております。

更に、現学習指導要領の改訂で謳われている「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間力等」が求められ、高校・大学入試においては、入試選抜のより早期化、現役志向化が強まり、大学入試においては一般選抜より年内入試に代表される総合型・学校型選抜入試へ受験生がシフトしており、入試選抜方法も多様化しております。

並行して、人生100年時代とも言われる日本の社会構造が長寿社会や労働人口の減少に伴って外国人・シニア・女性の活躍が重要視されるなど、これからの時代においては全世代での多様な教育ニーズ、教育機会の提供の必要性・重要度も増してきております。

 

このような環境変化に迅速に対応するために、当社は社内カンパニー制を導入しており、「①グループ経営・ガバナンス強化」「②機動的な意思決定」「③ポートフォリオ経営を実現する体制の構築」の実現を目指し、「学びの多様化」に伴う様々な社会課題の解決に貢献してまいります。

また、当社は来期創業50年の節目を迎え、50期を1年目とする新中期経営計画を策定いたしました。その中で新成長ビジョンとして、『これまでの50年を総括し、教育事業会社を超えた「ユニバーサル共育」を通じた「人創り」事業会社への深化を図ってまいります。

※ユニバーサル社会において求められる教育とは、社会の一員として、誰もが学ぶ機会を持ち、学ぶ人が主役となり成長を実感でき

 る環境を共有し、“今を意欲的に生きていく”ために自分も他者も肯定する自他肯定感を育む教育と定義

 

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次の通りであります。

なお、以下の前年同期比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

外部顧客への売上高

前年同期比

高校・大学事業

95億円

3.8%増

学習塾事業

76億95百万円

3.7%増

グローバル事業

24億22百万円

13.2%増

能力開発・キャリア支援事業

21億73百万円

24.5%増

その他

1億99百万円

15.8%減

(注)当連結会計年度より、セグメント区分を一部変更しております。

詳しくは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご覧ください。

 

①高校・大学事業(高校・大学事業カンパニー)

高校・大学事業につきましては、通信制高校「第一学院高等学校」の運営による高校生年代への幅広い成長支援に加え、中学生年代を対象とした学びの機会提供、大学生年代・社会人を対象とした各種資格取得・スキル修得に向けたサービスを提供しております。また、提携関係にある学校法人柏専学院が運営する新潟産業大学との連携により、中等部から大学まで最大10年間の一貫した教育を展開する体制を確立しております。

2024年12月に公開されました文部科学省の令和6年度学校基本調査(確定値)結果では、不登校児童・生徒数は一段と増加し、通信制高校の学校数及び生徒数は過去最多を更新しました。しかしながら、独自のICT教育や成長実感型教育、各種スペシャリスト育成のコースを有する第一学院高等学校への一定のニーズはあったものの、期中平均生徒数は、やや軟調な傾向で推移いたしました。

また、学校法人柏専学院との協業による「ネットの大学managara」も順調に学生確保を行ってきた結果、今期、完成年度を迎え収容定員充足を果たし、協業によるシナジー効果も出てきております。

そして、東京・池袋、大阪・梅田、福井、広島・福山に続き、2025年3月には東京・吉祥寺に、高校・大学生年代の異年齢が集い、地域との連携を含めた多彩な学びを通じて一人ひとりの自分軸づくりを支援する新ブランドの「第一学院managaraBASE(マナガラ・ベース)」を開校し、一層多様化するニーズに応える取り組みの全国展開を加速させていく計画となっております。

 

②学習塾事業(学習塾事業カンパニー)

学習塾事業につきましては、意欲喚起指導を基軸に据え、脳科学に基づいた独自の教育プログラム(プラスサイクル学習法)を展開しております。「第一ゼミナール」においては授業外での「学習サポートタイム」を導入し、生徒個々の授業理解・定着の強化により顧客満足度向上を図っております。また、自立型・個別最適化学習「PLS(Positive Learning System)」では、生徒自身が主体的に考える習慣作りに主眼を置いた指導を仕組み化し、生徒個々の目標達成力の向上につながっております。

また、株式会社BlueSkyFCが運営する「個別指導まなび」では、独自の良質で丁寧な指導に対して多くの評価をいただいており、引き続き計画的に新規開校を進めております。前期末に第一ゼミナール・ファロス個別指導学院から「個別指導まなび」へのブランド転換を行った教室を含めて引き続き順調に生徒数は増加しております。

今期期中にグループインをいたしました東大生起業家のカルペ・ディエム社の代表より、代表自身を含め多くの自信喪失した生徒の東大への逆転合格のノウハウ等を当社学習塾事業の中高生の受験生やその保護者へ学びに対する考え方・姿勢について、講演の機会がありました。多くの方々に共感をいただき、その事例を含めグループ内シナジーも出てきております。

現下の学習塾カンパニーの回復傾向を加速するために、当社学習塾事業本部及び当社グループ内の関係会社にて、より一体的な広報・マーケティング活動や運営・教務・募集面でのシナジー促進のための連携強化を図っております。その改革の具体化として当社グループ学習塾事業会社のサービスブランドの一部に主力ブランドである「第一ゼミナール」を冠し、新年度募集よりカンパニー一体となった組織・運営改革、広報・マーケティング強化・指導連携等を行っております。

 

③グローバル事業(グローバル事業カンパニー)

グローバル事業につきましては、通訳・翻訳業務や高い語学力を持つ人材の派遣、留学生や日本で働く外国人への日本語教育、日本語教師の養成、外国人の採用から就労・生活支援等のサービスを一体となって行っております。企業の海外進出や国による留学生増加計画、インバウンドの推進等、国内企業の人員不足解消等、多様なニーズを見据え、語学力や国際感覚の養成、人材育成や適材適所の人材登用を通じて、グローバル化する社会で活躍できる人や企業づくりに貢献してまいります。

株式会社吉香では、インバウンドの回復に伴う人材派遣案件が堅調に推移しております。また、日本語学校を運営する株式会社グローバルウィザスにおいても、長期留学コース、短期留学コース共に留学生の受け入れが引き続き順調に推移しております。日本語学校のGenkiJacsは欧米諸国の人々を中心とした日本文化体験・アクティビティを通じた日本語学習ニーズを捉えた短期留学コースを展開しており、東京・京都・福岡に拠点を構え、日本文化体験・日本語学習ニーズから富裕層への高付加価値訴求が功を奏し、順調に業績を確保しております。今後も日本文化体験型の短期の日本語留学コースの充実と併せて拠点の拡大も行ってまいります。

更に、東南アジアにおけるこれまでの特定技能の人材確保と高度人材のITエンジニアの育成・確保において現地ベトナムの複数の大学と連携して、日本語教育だけでなく、日本でのインターンシップの機会創出、日本での就労を望む学生の希望進路実現に向けたサポートを充実させ、東南アジアの人材育成ならびに日本企業のIT人材不足の解消に貢献してまいります。

 

④能力開発・キャリア支援事業(能力開発・キャリア支援事業カンパニー)

能力開発・キャリア支援事業につきましては、グループを横断するマーケティング機能も担っており、カンパニー内にとどまらない学びの環境づくりをサポートするなど、様々な教育ソリューションを提供しております。

全国の学習塾・学校への速読解・思考力講座、速読聴英語講座、新国語講座をはじめとした読解力向上のICT教育ソリューション・能力開発コンテンツの提供を行っております。また、社会人のリスキリング・学び直しに向けた企業向けの学習ポータルサービス、アンガーマネジメントの講師育成・企業研修等の事業も展開しております。

政府が推進する「人への投資」により人的資本に注目が集まる中、企業・法人向け各種研修サービスを提供する株式会社レビックグローバルでは引き続き業績が堅調に推移しております。AI活用やタレントマネジメントシステム連携のプロダクト開発も強化しており、AIシリーズ第1弾として「AIトレーニング」をローンチし、いつでも何処でも何度でも繰り返せるセルフトレーニング形式で企業のセールスにおける商品説明・新人教育等の社員教育の課題解決に貢献してまいります。

 

⑤その他(その他サービス)

その他サービスでは介護予防フィットネスを提供しております。日常生活の機能維持・向上を目的としたシニアの介護予防につながるデイサービスの展開を行い、生涯に亘る人づくりへの支援を行っております。

 

なお、当連結会計年度における当社グループの財政状態の状況につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて12億54百万円増加し、92億3百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は14億25百万円(前年同期は9億82百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上10億16百万円と減価償却費4億83百万円、法人税等の支払額4億87百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は16億56百万円(前年同期は19億12百万円の資金の減少)となりました。これは主に、保険積立金の積立による支出9億43百万円、保険積立金の解約による収入6億43百万円、無形固定資産の取得による支出5億95百万円、有形固定資産の取得による支出4億31百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出3億19百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の増加は14億85百万円(前年同期は11億71百万円の資金の減少)となりました。これは主に、短期借入れによる収入49億円、短期借入金の返済による支出40億25百万円と長期借入れによる収入18億円、配当金の支払額6億30百万円、長期借入金の返済による支出5億36百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループの主たる事業は教育関連事業であるため、生産、受注については該当事項はなく、販売の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。

 当社グループは、総合教育サービス企業として学習塾及び広域通信制単位制高等学校の運営を主力事業としております。加えて、教育産業を基盤とした事業展開の中で、翻訳・通訳を中心としたランゲージサービス、日本語教育サービス等へも積極的に資本投下を行っております。

 

経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は219億92百万円(前年同期比6.3%増)となりました。これは主に、通信制高校を中心とした在籍生徒数の堅調な推移、株式会社Blue Sky FCが運営する個別指導塾における順調な生徒数増、留学生の入国者数増に伴う日本語教育サービスの伸長、当連結会計年度にグループインした連結子会社によるものであります。

(売上原価)

 当連結会計年度における売上原価は144億96百万円(前年同期比8.2%増)となりました。これは主に、通信制高校におけるスクーリングの質向上を目的とした対面行事費用の増加、入国再開により留学生の入学が集中したことに伴う費用の増加によるものであります。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は58億17百万円(前年同期比9.4%増)となりました。これは主に、本社管理部門の業務効率化推進に伴う業務委託費用、教育現場におけるDX実現に向けた費用等の増加によるものであります。

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は16億78百万円(前年同期比14.8%減)となりました。主な要因は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(営業外収益、営業外費用)

 当連結会計年度における営業外収益は、91百万円(前年同期比0.9%減)となりました。また、営業外費用につきましては、前連結会計年度に比べ28百万円増加し、1億37百万円(同26.0%増)となりました。

(経常利益)

 以上の結果、当連結会計年度における経常利益は16億32百万円(前年同期比16.4%減)となりました。

(特別利益、特別損失)

 当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べ58百万円増加し、59百万円(前年同期比8728.5%増)となりました。これは主に、段階取得に係る差益が40百万円、固定資産受贈益が10百万円発生したことによるものであります。また、特別損失につきましては、前連結会計年度に比べ2億81百万円増加し、6億75百万円(同71.4%増)となりました。これは主に、投資有価証券評価損が2億58百万円増加したことによるものであります。

(税金等調整前当期純利益)

 以上の結果、当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は10億16百万円(前年同期比34.8%減)となりました。

(法人税、住民税及び事業税)

 当連結会計年度における法人税等合計は、5億94百万円(前年同期比5.9%減)となりました。これは主に、法人税、住民税及び事業税が39百万円増加したものの、法人税等調整額が77百万円減少したことによるものであります。

(当期純利益)

 以上の結果、当連結会計年度における当期純利益は4億21百万円(前年同期比54.5%減)となりました。

(非支配株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における非支配株主に帰属する当期純利益は6百万円(前年同期比69.3%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は4億14百万円(前年同期比54.2%減)となりました。

 

財政状態の分析

(資産)

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて18.3%増加し、110億83百万円となりました。これは主に、現金及び預金が12億54百万円、売掛金が2億22百万円、授業料等未収入金が2億25百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べて5.0%増加し、93億95百万円となりました。これは主に、建物及び構築物が1億91百万円、無形固定資産のその他が2億79百万円、のれんが1億47百万円、保険積立金が2億26百万円それぞれ増加し、投資有価証券が4億81百万円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて11.8%増加し、204億78百万円となりました。

 

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて15.9%増加し、111億31百万円となりました。これは主に、短期借入金が10億円、1年内返済予定の長期借入金が3億93百万円、未払法人税等が1億41百万円それぞれ増加し、契約負債が1億25百万円、流動負債のその他が79百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べて34.6%増加し、33億63百万円となりました。これは主に、長期借入金が8億70百万円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて19.8%増加し、144億95百万円となりました。

 

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べて3.7%減少し、59億83百万円となりました。これは主に、利益剰余金が2億18百万円減少したことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社グループでは、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金または借入金により資金を調達しております。このうち、借入による資金調達手段は、運転資金については短期借入金、設備投資資金については長期借入金による調達を基本としております。

 なお、当連結会計年度末の有利子負債の残高と今後の返済予定は以下のとおりであります。

 

有利子負債

合計

(千円)

1年以内

(千円)

1年超3年内

(千円)

3年超5年内

(千円)

5年超10年内

(千円)

10年超

(千円)

短期借入金

1,100,000

1,100,000

長期借入金

2,129,095

679,540

1,004,198

391,939

53,416

リース債務

36,406

20,856

15,440

109

合計

3,265,502

1,800,397

1,019,638

392,049

53,416

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社経営陣は、連結財務諸表作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値には、当社の連結財務諸表の作成において使用される会計上の見積りが大きな影響を及ぼすと考えております。

貸倒引当金

当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について個々に勘案し、貸倒引当金を計上しております。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、引当額が増加する可能性があります。

投資の減損

当社グループは、長期的な取引関係維持のため、特定の取引先及び金融機関に対する持分を所有しております。これらの株式には価格変動性が高い市場価格のある有価証券と、株価の決定が困難な非公開会社の株式が含まれております。当社グループは投資価値の下落が著しく、一時的でないと判断した場合、投資の減損処理を行っております。

繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産については回収可能と見積もられる将来減算一時差異について計上しておりますが、将来の課税所得が将来減算一時差異を解消できないと判断した場合は、繰延税金資産の一部について取崩しを行うものとしております。

退職給付費用

従業員の退職給付費用及び退職給付に係る負債は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の賃金水準、退職率及び直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等が含まれております。実際の結果が前提条件と異なった場合は発生した年度に影響を与え、また、退職金規程の改定等があった場合は将来期間に影響を与えます。

固定資産の減損

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる固定資産について、主に教場の営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなる場合や、のれんの超過収益力が見込めなくなった場合には、減損の兆候があると判断し、減損処理を行っております。

 

目標とする経営指標の達成状況

当連結会計年度の経営成績については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。その結果、ROE(自己資本利益率)は6.9%、ROA(総資産利益率)は2.1%となりました。

2025年度については、売上高231億円、営業利益15億円、経常利益15億円、親会社株主に帰属する当期純利益8億円といたしました。

当業界におきましては少子化の中、顧客の選別志向は更に高まり、同業他社や他業態との競争激化など、引き続き厳しい経営環境が続くものと考えられます。

このような中、当社グループでは「“社会で活躍できる人づくり”を実現できる最高の教育機関をめざす」というコーポレートビジョンに基づき、生涯学習化・グローバル化に応じたマーケットの拡充に努め、事業の拡大を図ってまいります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。