当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは以下の「経営理念」、「行動宣言」に加え、当社グループ役職員が取るべき具体的な行動について記した「行動指針」を制定し、これらを「TEC WAY」と総称し、将来にわたり想定される環境下において求められる安心・快適を永続的に提供できる企業を目指しております。
◆経営理念
「東洋テックグループは、安心で快適な社会の実現に貢献します。」
◆行動宣言
・私たちは、お客様のニーズに最適なサービスを提供します。
・私たちは、企業価値の向上に取り組みます。
・私たちは、ひとりひとりの人間性を尊重します。
・私たちは、誠実で透明性の高い行動に努めます。
・私たちは、変革に挑戦し時代とともに成長します。
◆行動指針
お客様のために
・私たちは、お客様の生命・身体・財産を守るため、高品質のサービスを提供します。
・私たちは、法令及び社内規程を遵守し、お客様に信頼されるサービスを心掛けます。
・私たちは、公正で透明な取引を誠実に行い、お客様との信頼関係の構築と維持に努めます。
・私たちは、お客様の情報管理を徹底し、情報漏えい・不正利用を防止します。
・私たちは、お客様からのご指摘を真摯に受け止め、誠実に対応します。
株主のために
・私たちは、安易な値引き、減免等を行わず、商品・サービスの正当な対価に拘ります。
・私たちは、収益向上のため、徹底した効率化とコスト削減に取り組みます。
・私たちは、中長期的な収益資源を得るため、新しい分野へ積極的にチャレンジします。
・私たちは、柔軟な発想と、先進的な視点をもって、変革へ挑戦し続けます。
・私たちは、開示すべき情報を積極的に公開し、透明性の高い経営に努めます。
従業員のために
・私たちは、従業員の多様性・人格・個性を尊重し、差別のない職場を作ります。
・私たちは、お互いの役割を理解し、風通しの良い、チームワークのある職場を作ります。
・私たちは、労働関係法令を遵守し、超過勤務を防止し、休暇を取得します。
・私たちは、セクハラ・パワハラ・マタハラ等の各ハラスメントをしません。
・私たちは、働きやすい職場環境と挑戦できる企業風土を作ります。
社会のために
・私たちは、法令、社会規範、企業倫理、社内諸規程等のルールを順守します。
・私たちは、反社会的勢力との結びつきを完全に排除し、健全な企業風土を保ちます。
・私たちは、積極的に地域社会貢献活動や環境問題に取り組みます。
・私たちは、社会からの不信を招く、自身の利得のための接待・贈答を行いません。
・私たちは、公共、公益に資するため、心身ともに健全な状態で業務に取り組みます。
(2) 中期的な会社の経営戦略、業績目標、経営環境及び対処すべき課題
警備業界、ビル管理業界では、いずれもテクノロジーの進化や環境意識の高まり、労働力不足の課題に対応するための革新が進むと予想されます。警備業界においては、セキュリティ技術の向上や人手不足の解消が重要課題となり、ビル管理業界においては、省エネルギー化やスマートビルの導入が進む中で、労働力の確保や安全性の確保が重要なテーマとなってきております。
このような環境の下、当社グループは、2025年度~2027年度の3ヶ年(2026年3月期~2028年3月期)を対象とする「第13次中期経営計画」を策定いたしました。
◆前中期経営計画(第12次)の総括
① 主要項目の達成状況
第12次中期経営計画では、「構造改革への挑戦」をスローガンに、「社会的要請に応え、成長・発展し続ける企業グループ」を目指す姿として、事業構造改革・サステナビリティの強化に取り組みました。

② 主要計数推移
<売上高>
・M&A戦略は計画以上に進捗
・既存領域の売上増加計画は収益重視への方針転換による不採算取引縮小等により未達
<営業利益>
・計画策定当時の想定を超える2年連続の賃上げ等による人件費増加
・最終年度に実施したM&A一時費用・対象会社の収益拡大の遅れ
・万博受託にかかる先行費用(人員・宿舎等)
・価格改定・セグメントごとの粗利率改善により既存領域は増益

③ 課題

◆第13次中期経営計画
① 概要

② 重点施策

③ 計数計画

◆企業価値向上に向けた取組
① 資本コスト・株価を意識した経営の実践
現状の株価純資産倍率(PBR)は、株価上昇によりやや改善してきておりますが、依然0.6~0.7倍の水準で推移しており、成長性と収益性の両面での向上が必要であると認識しております。今後につきましては、引き続き成長戦略の実行、株主還元・資本政策の推進及びIR活動の拡充を通して、PBR1倍割れ解消を目指してまいります。

② 配当方針(株主還元)
当社は、これまで当社株式を長期的に保有頂く株主の皆さまのご期待に応えるべく、配当性向を指標とした安定的な配当を実現してまいりましたが、この度、この方針をより明確にするため、配当性向に加えて、「株主資本配当率(DOE)」を指標として採用することといたしました。

③ サステナビリティに関する取組
東洋テックグループは、「安心で快適な社会の実現に貢献する」という経営理念の下、時代や社会のニーズに即した高品質のサービスを展開し、持続可能な社会の実現に挑戦し続けることを基本方針とし、以下の施策に取り組みます。

④ 人的資本経営に関する取組
当社では、従業員の働きやすさ、働きがいのある会社、チャレンジを奨励する企業風土の醸成により、選ばれる会社を実現するため人的資本の最大化・企業価値の向上を目指してまいります。

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) リスク管理・戦略・指標及び目標
(2) 人的資本に対する戦略・指標及び目標

当社グループでは、「人・街・未来をまもる」使命とともに、従業員の健康をまもり、心身ともに健康で活き活きと働くことができるよう、従業員の健康づくりに積極的に取り組んでまいります。
2019年度以降継続して、経済産業省、日本健康会議による「健康経営優良法人認定制度」における健康経営優良法人の認定を受けております。この「健康経営優良法人認定制度」とは、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的な評価を受けることができる環境を整備することを目的に、日本健康会議が認定する顕彰制度です。
また、2017年11月以降継続して、大阪市による「女性活躍リーディングカンパニー」の認証を受けております。この「女性活躍リーディングカンパニー」とは、法令の遵守に留まらず、「意欲のある女性が活躍し続けられる組織づくり」「仕事と生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)支援」「男性の家庭参画」について積極的に取り組んでいる企業に対し、大阪市が一定の基準を基に認証する制度(3年ごとの更新)です。当社は「三つ星認証企業」(3段階の認証レベルの最高ランク)「イクメン推進企業」に認定されました。
当社グループの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。
当社グループは、リスクマネジメントシステムを導入し、各事業において顕在化、もしくは潜在化しているリスクを抽出し、リスクマネジメント規程に基づき管理を行っています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 法規制に関するリスクについて
当社グループは、警備事業等、当社グループの各種事業を実施するに当たって、警備業法並びに関係諸法令等の各種規制を受けております。
警備事業において当社グループ各社は、本社所在地を管轄する公安委員会から同法に基づく警備業の認定を受け、5年ごとの更新手続きを行う必要があります。
また、警備業法により警備員指導教育責任者の選任届出や警備に係る各種検定資格者の配置義務が規定されております。当社グループは検定資格者の配置基準数を上回る資格者を有しておりますが、引き続き資格取得の促進を図っております。
その他、機械警備業務や工事・機器販売に係る契約先への警報機器の設置工事につきましては、建設業法の規制を受け、また、輸送警備業務におきましては貨物自動車運送事業法等の規制を受けております。
これらの関係法令に違反した場合、処罰の対象となり、営業停止等の行政処分を受ける可能性があります。
ビルメンテナンス事業、不動産事業に加え、各種業務面においても、労働法令をはじめとした必要な関係諸法令等の各種規制を受けております。これら当社事業に関係する全ての法令については、コンプライアンス・マニュアルの「法令・ルール等遵守事項表」に基づき管理を行い、法的規制の変更について、関係当局の動向を注視し、また顧問弁護士との連携を通じ、適宜対応しております。
(2) 特定の売上先への依存リスクについて
当社グループは、金融機関に対する売上割合が高いため、キャッシュレスの進展、合併、統合等の再編に起因して、店舗機械警備や貴重品輸送警備、CD/ATM機を総合管理するATM管理業務等が解約、縮小となり、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、金融機関の回金業務の受託等、金融機関からのアウトソーシング業務の受託等に注力することで、金融機関取引の維持、拡大に努めております。
(3) 特定の仕入先への依存リスクについて
当社グループは、機械警備システムの運用に係る監視センター装置について、その開発、機材等を富士通㈱に依存しています。自然災害等によりセンター装置等の故障や機材の供給に障害が生じた場合には、当社グループの監視センターの運用に悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、機械警備システムの開発・保守については富士通LCMセンター(LifeCycleManagement)と24時間365日のメッセージ通報対応サービスを契約しており、障害への対応をしています。また、機器(サーバー等)については原則二重化(冗長化)又は予備機が用意されており、故障や機材の供給に対応しています。
(4) 受託現預金の管理リスクについて
当社グループは、ATM管理業務において主として金融機関等が設置するCD/ATM機の障害対応業務、資金管理業務、銀行店舗内現金管理業務等を行っています。また、近年売上金回収サービス業務を行っており、当社グループは資金管理業務と売上金回収サービス業務に使用する現金及び預金を受託現預金として管理しております。
業務委託先である金融機関等の経営悪化に伴い、立替資金を回収できなくなる可能性があります。この場合も当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、連休等による立替資金の長期化について、受託先の協力を得て、柔軟な対応をとっています。また売上金回収サービス業務については、信用調査等を実施し、取引を行っております。
(5) 技術環境の変化リスクについて
当社グループは、警備事業やビルメンテナンス事業において、AIやロボット等の新たな技術の導入による急激 なサービスの変化の影響を受ける可能性があります。
当社グループは、AI、ロボット等の最先端技術の調査、研究並びに新商品、サービスの企画、販売推進を行 うイノベーション推進部を設置し、技術の変化に即したサービスを提供できる体制を構築しています。
(6) 投資に関する価格変動リスクについて
当社グループは、株式等、価格変動リスクを有する有価証券を保有しておりますので、有価証券の価値が下落し た場合、評価損等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、経済環境、市況、保有先の業績動向、取引関係等を総合的に判断し、保有の可否を判断しております。
また、不動産事業において、賃貸不動産等を有しております。不動産価値は経済状況等により、価格変動のリスクを有しております。
当社グループは、経済環境や不動産市況、資産活用状況等の様々な影響等を総合的に判断し、保有の可否を判断しております。
(7) 情報漏洩リスクについて
当社グループは、取引先と警備請負契約等を締結する場合、関係者の氏名、住所、電話番号、警備対象物件に係 る情報等について各種情報を取得し、各種警備対応や顧客管理に必要な情報として利用しており、取引先等に係る各種情報や個人情報の社外流出、漏洩等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等につながり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、徹底した管理体制と社員教育により取引先に係る各種情報が外部に漏洩しないよう情報管理に努めております。また個人情報保護法への対応については、「個人情報保護規程」等個人情報保護に係る内部規程及び関連する会社業務規程を定め、社内への周知徹底を図っております。また、プライバシーマークを取得し、個人情報保護教育をはじめとした個人情報保護への取組を強化しております。その他、個人情報漏洩賠償責任保険に加入しています。
(8) サイバー攻撃リスクについて
当社グループは、監視系システムをはじめとする各種システムを活用して事業を展開しており、サイバー攻撃によるシステムダウンや情報漏洩等のリスクが存在します。
監視系システムについては、インターネットと物理的に切り離すことで、外部からの攻撃リスクを回避しています。
事務系システムについては、インターネット接続部分にファイアウォールを設置し、外部からのアクセスを原則遮断しています。
さらに、サーバー及びパソコンにはウイルス対策ソフトを導入し、リアルタイム監視を実施しています。サーバーについては、強固なセキュリティを備えたクラウド環境への移行も進めています。また、標的型攻撃メールに対する訓練として、定期的に訓練メールを配信するなど、社員への啓発活動にも取り組んでおります。

(9) 社員による不適切事案発生リスクについて
当社グループは、各業務において不適切な事案が発生した場合は、当該業務の解約、縮小等につながり、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。
当社グループは、コンプライアンス研修を定期的に実施するとともに、「経営理念」、「行動宣言」に加え、当社グループ役職員が取るべき具体的な行動について記した「行動指針」を制定し、これらを「TEC WAY」と総称し、朝礼等の場で唱和することで、日々の行動を律しております。また社内監査、社内アンケートにより、定着状況を確認しています。
(10) 人材確保リスクについて
当社グループは、警備事業、ビルメンテナンス事業等において、継続的な人材確保が必要とされております。
今後予想されている国内人口の減少により、人材確保ができない場合、持続的な業務の維持等に影響が生じる可能性があります。
当社グループは、新入社員の採用に注力し、アルムナイ採用、リファラル採用も含めた積極的な人材確保に取り組んでおります。また、女性の活躍の場を拡大しダイバーシティ&インクルージョンに取り組むとともに、離職防止のための施策として、新入社員へのメンター制度、若手社員交流会の開催、社内イベントの実施等を行っております。その他、エンゲージメント向上のために、社員の処遇改善、働き方改革、健康促進に前向きに取り組んでおり、2019年以降継続して「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定を受けております。
(11) 大規模自然災害リスクについて
当社では、機械警備事業において、大規模自然災害のリスクがあります。
機械警備事業とは、本社監視センターを始め、各拠点の監視センターにおいて警備に係る様々な情報を遠隔で集中監視し、取引先での不審者の侵入、火災等の異常事態の発生時には直ちにパトロール員を急行させ緊急対処する業務です。この集中監視システムは、各警備対象施設と通信回線を介して接続されており、基本的には第1種通信事業者が提供するサービスに依存しています。警備先との通信については、通信の可否も監視センターで常時監視しており、何らかの理由により通信ができない状態となった場合には、その異常を検知できる仕組みを備えています。一方、監視センターやセンター装置については、通信回線の二重化を実施することで冗長性を確保し、さらにセンター装置についてはクラウドや堅牢なデータセンターに設置することで、リスクの軽減を図っていますが、東日本大震災と同等クラスの震災や大津波、大規模停電等により機械警備業務に支障が生じる可能性は否定できません。
このような事態が発生した場合、当社グループの業績や今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、こうしたリスクに備え、BCP(大規模震災・水害対策編)を策定し、定期的な防災訓練の実施や防災用品の備蓄等、継続的なリスク対策に取り組んでおります。
(12) パンデミックリスクについて
当社グループは、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「コロナ」という。)等の危険度の高い感染症が感染拡大した場合、警備事業、ビルメンテナンス事業において、社員の感染により業務の継続に支障が出るリスクがあります。
当社グループは、BCP(パンデミック編)を策定し、感染症法で規定されている「2類感染症」及び、「3類感染症」が国内で発生した場合には、直ちにBCP発動による対策本部を設置し、危機管理体制を構築しております。またマスク、消毒薬等の感染防止用品を備蓄し、業務に支障の出ない対策を講じております。予防面においては、「新型インフルエンザハンドブック」を制定し、社員に対して感染予防の徹底を行っております。
当連結会計年度における我が経済は、緩やかな回復基調で推移しました。企業業績の改善や雇用・所得環境の改善、インバウンド需要の回復などがその要因です。一方、物価上昇や世界情勢の不安定化など、先行き不透明な要素も依然として存在します。
警備業界、ビル管理業界では、近年の社会情勢の変化に伴い、ホームセキュリティへのニーズの高まりやオフィスの在り方の見直しなどにより新たな需要が創出されるとともに、業界全体の売上は回復傾向にありコロナ禍前の水準へ戻りつつあります。しかし、最低賃金上昇に伴う人件費の上昇、物価上昇に伴う原価の上昇に加え、人手不足が大変深刻な課題となっており、経営環境は極めて厳しいものとなっています。
このような経営環境の中、当社グループの業績は次のとおりとなりました。
継続的な価格改定交渉への取組、「2025大阪・関西万博」の会期前警備等もあり、売上は堅調に推移しました。一方で、今年度実施したM&Aにかかる費用負担や、「2025大阪・関西万博」警備受注に伴う先行投資により、利益面は厳しい結果となりましたが、不採算先の取引方針の見直し等抜本的な経営体制の見直しを図ることで、収益性の向上に取り組みました結果、売上高は、34,925百万円、前期比3,675百万円、11.8%の増収となりました。利益面では、営業利益は1,049百万円、前期比82百万円、8.6%の増益、経常利益は1,063百万円、前期比同水準となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却等により、692百万円、前期比66百万円、10.6%の増益となりました。
事業セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(警備事業)
警備事業におきましては、機械警備や常駐警備の価格改定への取組に加えて、アムスグループ、関西ユナイトプロテクションのM&Aの寄与により増収となりましたが、M&Aにかかる費用負担や「2025大阪・関西万博」への先行投資が利益を圧迫しました。
その結果、警備事業の売上高は、23,622百万円(前期比2,682百万円、12.8%の増収)、セグメント利益は423百万円(前期比△294百万円、41.1%の減益)となりました。
(注) 1.その他:停解業務、緊急通報業務、保険代理店手数料等
2.記載金額は、単位未満を切り捨てて表示しております。
(ビル管理事業)
ビル管理事業におきましては、大規模修繕工事の受注減少に加え、大口不採算先の取引方針の見直しで減収となりましたが、小口の改修工事の受注が堅調に推移し、また各種業務の内製化に取り組んだ結果、収益性は改善しました。
その結果、ビル管理事業の売上高は、9,524百万円(前期比△296百万円、3.0%の減収)、セグメント利益は290百万円(前期比129百万円、80.8%の増益)となりました。
(注) 記載金額は、単位未満を切り捨てて表示しております。
(不動産事業)
不動産事業におきましては、賃貸部門は引き続き安定的に推移しました。仲介販売部門は、大口不動産販売の期ずれ案件2件が完了したことから、前期比で大幅な増収増益となりました。
その結果、不動産事業の売上高は、1,777百万円(前期比1,288百万円、263.9%の増収)、セグメント利益は341百万円(前期比249百万円、273.6%の増益)となりました。
(注) 記載金額は、単位未満を切り捨てて表示しております。
財政状態は次のとおりであります。
(資産)
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、15,719百万円となり、前連結会計年度末に比べ394百万円減少しました。その主な要因は、現金及び預金が967百万円、受取手形及び売掛金が515百万円、その他(立替金、前払費用等)が605百万円それぞれ増加しましたが、一方でATM管理業務に係る受託現預金が1,239百万円、販売用不動産が1,080百万円それぞれ減少したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、23,078百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,421百万円増加しました。その主な要因は、土地が301百万円、建物及び構築物が311百万円それぞれ減少しましたが、一方でのれんが2,301百万円、その他無形固定資産が483百万円、投資有価証券が1,172百万円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、8,060百万円となり、前連結会計年度末に比べ778百万円増加しました。その主な要因は、買掛金が107百万円、預り金が1,294百万円それぞれ減少しましたが、一方で短期借入金が1,100百万円、1年内返済予定の長期借入金が183百万円、未払法人税等が295百万円、その他流動負債(未払消費税他)が543百万円それぞれ増加したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、8,999百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,821百万円増加しました。その主な要因は、リース債務が49百万円減少しましたが、一方で社債が500百万円、長期借入金が1,179百万円それぞれ増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、21,738百万円となり、前連結会計年度末に比べ426百万円増加しました。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の59.6%から3.6ポイント減の56.0%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ832百万円増加し6,343百万円となりました。
当連結会計年度における各活動別のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は、2,861百万円であります。その主な内容は、税金等調整前当期純利益1,316百万円、減価償却費1,268百万円、のれん償却額233百万円、投資有価証券売却益330百万円、販売用不動産の減少1,080百万円、その他債権の増加600百万円、仕入債務の減少107百万円、法人税等の支払額380百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動により使用した資金は、4,452百万円であります。その主な内容は、有形固定資産の取得による支出1,223百万円、有形固定資産の売却による収入638百万円、投資有価証券の取得による支出1,199百万円、投資有価証券の売却による収入383百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,979百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動により取得した資金は、2,422百万円であります。その主な内容は、短期借入金の借入による純増額1,100百万円、長期借入金の借入による収入2,000百万円、長期借入金の返済による支出773百万円、社債の発行による収入487百万円、配当金の支払による支出405百万円等であります。
当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中のセグメント別の契約件数は、次のとおりであります。
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.100分の10以上の相手先別の販売実績はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、34,925百万円、前期比3,675百万円、11.8%の増収(14期連続の増収)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は1,049百万円、前期比82百万円、8.6%の増益となりました。
今年度実施したM&Aにかかる費用負担や、「2025大阪・関西万博」警備受注に伴う先行投資により、利益面は厳しい結果となりましたが、不採算先の取引方針の見直し等抜本的な経営体制の見直しを図ることで、収益性の向上に取り組みました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は1,063百万円、前期比同水準となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は692百万円、前期比66百万円、10.6%の増益となりました。投資有価証券売却等によるものです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、次のとおりであります。
警備業界、ビル管理業界では、いずれもテクノロジーの進化や環境意識の高まり、労働力の課題に対応するための革新が進むと予想されます。警備業界においては、セキュリティ技術の向上や人手不足の解消が重要課題となり、ビル管理業界については、省エネルギー化やスマートビルの導入が進む中で、労働力の確保や安全性の確保が重要なテーマとなってきております。
このような環境の下、当社グループは、2025年度~2027年度の3ヶ年(2026年3月期~2028年3月期)を対象とする「第13次中期経営計画」を策定いたしました。
「第13次中期経営計画」では、「筋肉質な企業体質への転換 (「量」の拡大から「質」の向上へ)」をスローガンに、警備・ビル管理を中核とした『総合生活安全企業』への進化を目指し取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、警備業務に係る現場対応費用、販売費及び一般管理費の営業費用等であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A、不動産等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、M&A、不動産案件や長期運転資金の調達につきましては、金融機関から社債及び長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は9,459百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,343百万円となっております。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の残高及び当該期間における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。
見積り及び仮定については、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき判断を行っております。また、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) 連結子会社の吸収合併
当社は、2024年7月29日開催の取締役会において、当社を吸収合併存続会社、当社の連結子会社であるアムス・セキュリティサービス㈱(大阪市)及びアムス・シークレットサービス㈱(大阪市)を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、同日付で合併契約を締結し、同年10月1日付で吸収合併いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。
(2) 業務委託契約
2025年4月から大阪で開催されている「2025大阪・関西万博」の日本国際博覧会協会発注の警備業務を、当社を幹事会社とする共同企業体が受注しており、その概要は以下のとおりであります。
① 発注元 公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会
② 受注金額 共同企業体全体で 11,834百万円
③ 履行期間 2024年3月から2025年10月まで
④ 受注業務(受注共同企業体名)及び受注金額
a.ゲート警備実施業務 (2025年日本国際博覧会 ゲート警備共同企業体) 6,222百万円
b.会場警備実施業務 (2025年日本国際博覧会 会場警備共同企業体) 5,612百万円
(注)受注金額は、2025年5月末時点の概算額となります。
該当事項はありません。