第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、情報サービス産業において、歴史ある企業として業績の向上に努め、一定の成果をあげるとともに、それに基づくステークホルダーへの利益還元を実施し、中長期的な企業価値の増大を図ることが最も重要であると考えています。加えて、「人々の喜びや社会の豊かさを生み出す力」を「技術」と捉え、「技術をもって顧客の信頼を築く 技術をもって企業価値を増大する 技術をもって社員生活の向上を図る 技術をもって社会に貢献する」という企業理念に基づき、すべてのステークホルダーから信頼され、安心感を与える企業を目指すとともに、情報サービス業界を常にリードする独立系総合情報サービス企業として業界内での存在感を高めることを目標とし、ゆるぎない経営基盤を確立することにより一層の発展を目指していきます。

 

(2) 目標とする経営指標

 「新たな価値を創り出す MADE BY DTS Group」を経営ビジョンに掲げ、その最終ステージとなる中期経営計画(2019年4月~2022年3月)では、連結売上高1,000億円以上、海外売上高50億円以上、営業利益率10%以上を目指していきます。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題

 情報サービス産業において、受託型のシステム開発・運用など従来型の事業形態は変革期を迎えており、今後の大きな事業拡大が見込めない環境となりつつあります。代わってサービスやソリューション提供型のビジネス形態における市場の拡大を見込んでいます。

 当社グループは、中期経営計画(2019年4月~2022年3月)を、「長期経営目標達成」に向けた仕上げの3年間と位置付け、SDGsを活用したESG経営を推進し、DTSグループによる新たな社会的価値や経済的価値創出を実現する企業を目指しています。

 また、企業価値向上のため、デジタル・トランスフォーメーション(DX)に適応し、社会課題や顧客課題に応じたトータルソリューションの提供を推進します。

 さらに、自律した人材(自ら考え・行動する)が育つ風土を醸成し、持続的で自律的な成長を促進するため、働き方改革の推進や業務プロセスのデジタル化を行い、社内の制度や環境整備に取り組みます。

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財務状況などに影響を及ぼす可能性があるリスクには以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものです。

 

(1) 価格競争について

 当社グループが属する情報サービス産業においては、お客様からの情報化投資に対する要求はますます厳しさを増しており、価格面、サービス面の双方から常に同業他社と比較評価されています。

 特に、他業種からの新規参入、海外企業の国内参入やソフトウェアパッケージの拡大などにより、価格面での競争激化を見込んでいます。

 当社の見込みを超えた何らかの外的要因による価格低下圧力を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 

(2) ソフトウェア開発のプロジェクト管理について

 お客様自らの競争優位性を確保することを目的としたシステム開発期間の短縮、いわゆる短納期化に対する要求はますます厳しさを増しており、プロジェクト管理および品質管理の重要性はこれまで以上に高まっています。

 不測の事態が発生した場合、採算の悪化するプロジェクトが発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 

(3) セキュリティについて

 当社グループの主力の事業である情報サービス事業は、業務の性質上、多くのお客様の重要な情報に接することになり、セキュリティ管理が経営上の重要課題となっています。

 万が一にも重大な情報漏洩が発生した場合には、当社が損害賠償責任を負う可能性があるとともに、お客様からの信頼失墜を原因とする契約解消などが発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 

(4) 海外事業について

 当社グループは事業戦略の一環として、海外取引の拡大、海外現地法人の設立や資本提携を推進するなど、海外事業の拡大を進めるとともにガバナンス強化を図ります。

 海外事業においては、海外取引における輸出管理法などの内国法および現地法・商慣習の知識・調査不足や相違によるトラブル、海外現地法人の設立、株式取得や運営における現地の法律・会計処理・労務管理・契約などに適切に対応できないなど、さまざまなリスクが想定されます。

 現地のルールなどに適切に対応できない場合には損害賠償責任を負う可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社および連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善が続くなかで、輸出や生産の一部に弱さがみられるものの景気は緩やかに回復していると判断しています。ただし、米国の保護主義的政策や東アジア・中東の地政学的リスクによる海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動影響など、不透明な状況は続いており、企業経営にはより慎重さを求められています。

 一方、情報サービス産業を取り巻く環境については、Cloud Computing、AI、Mobility、Big Data、Robotics、IoT、CyberSecurityなどの、いわゆるCAMBRICと総称される技術を活用したデジタルビジネスの拡大や、企業収益の改善を背景にした情報化投資の緩やかな増加により、堅調に推移していくことが見込まれています。

 

 このような状況下において当社グループは、中期経営計画(2016年4月~2019年3月)として、「新たな価値を生み出す Change! for the Next」をビジョンに掲げ、「経営革新」、「事業変革」および「営業改革」の3つの“Change”の実現に向けて取り組んでおり、具体的には、「分野別成長戦略の導入」、「組織再編」、「経営の迅速化」を重点施策として注力してきました。

 

■「営業力・SI力の強化」

 営業本部を中心に進めた“プラスOne戦略”および“BiG8戦略”の成果として、新規契約先受注高は前期比52億円拡大するなど、新たな顧客基盤を構築しました。また、クラウド化やセキュリティ対策などのお客様ニーズにワンストップで幅広く応えるため、営業本部にSI推進担当を設置し、アプリケーション、基盤、運用を含めた複合提案を推進した結果、大型SI案件の受注も実現しました。

 また、新技術を活用したソリューションについては、車載組込みソフトウェア開発を効率化するメモリモニタリングツール、製造業をITでつなぐコネクティッドインダストリーソリューション、および仮想化技術を活用したハイブリッドクラウドソリューションなど、展示会への出展を通じて、販売拡大を推進してきました。

 あわせてグローバルマーケットにおけるプレゼンス強化に向けては、Nelito Systems Limited(インド)と連携し、SIBOS 2018(注1)やJISA/ASOCIO Digital Masters Summit 2018(注2)への出展をするなど、新たな顧客の獲得や新しい技術を活用した事業展開を進めました。

 さらに、逓天斯(上海)軟件技術有限公司においては現地企業との連携による開発体制の拡充、DTS SOFTWARE VIETNAM CO., LTD.はDTS独自の開発標準(PMS)の浸透や社員育成への注力など、オフショア拠点の体制強化を進め、SI競争力の向上を図りました。海外グループ会社を含めたオフショア発注額は15億円(前年同期比14%増)に拡大しました。

 なお、当社が参画したメガバンク大型案件では、長年培った金融関連システム開発に関わる技術力や組織力を活用して、円滑なシステム移行や安定稼働に貢献しています。

 

■「新規事業への取り組み」

 CAMBRICやFinTechなどの新技術を活用したデジタルビジネスへの取り組みを拡大しています。Cloud Computing関連では、ハイパーコンバージドインフラ(注3)「D-RAID ADVANCE」など、物理システムとクラウドコンピューティングを使い分けるハイブリッドクラウド環境を実現できるソリューションの販売を拡大しています。

 Robotics関連では、自動化による事務の効率化など、当社の業務ノウハウとRPAを活用した受注案件が金融業や保険業を中心に増加しています。

 住空間プレゼンテーションCAD「Walk in home」では、機能を大幅に刷新したリニューアル版を、本年度9月に販売開始しました。CADオペレーターの生産性向上や、業務効率の改善に向けて、オリジナルのCGエンジンを導入し、処理速度の大幅向上、高画質なCG表現などを実現しました。

 FinTech関連では、本年度11月にマネー・ローンダリング対策ソリューション「AMLion」の販売を開始しました。これは、法定通貨や仮想通貨の口座利用に対して、AIを活用した高度な顧客確認により厳格な顧客管理を実現し、各金融機関に蓄積された独自ルールに基づいて“疑わしい取引”を検出できるソリューションです。一部の仮想通貨取引所にてこの「AMLion」の採用が決まり、さらなる販売拡大に取り組んでいます。

 e-Gov(注4)関連では、SAP人事システム向けに、行政機関への申請やe-Govから発行された公文書データの管理などの機能をワンストップで提供するソリューション「eG-Connector」を本年度12月に販売を開始しました。

 AI関連では、本年度1月にAI基盤を活用したデータ分析プラットフォーム「DAVinCI LABS」の提供を始めました。機械学習技術を自動化・簡素化し、業務知識さえあれば、データ分析の専門家ではなくても高度な予測モデルを簡単に利用できるソリューションです。

 

■「グループ経営基盤の強化」

 意思決定の迅速化や経営の効率化を目的に、データリンクス株式会社を本年度10月に吸収合併しました。ソリューション事業とBPO事業における事業シナジーの最大化と経営資源の最適配分を実現し、トップライン拡大に向けた営業活動や開発基盤の強化を図ります。

 また、SIサービスにおけるオフショア体制の拡充や中国ビジネスを推進するため、当社グループ会社の逓天斯(上海)軟件技術有限公司は、本年度3月に、大連思派電子有限公司への出資比率を51%としました。

 あわせて、北米・アジアでのビジネス連携を展開するため、Nelito Systems Limitedの子会社化に向けた追加出資交渉を進めました。

 さらに、本年度10月には経費精算システムを新たに導入し、ペーパレス化やモバイル活用などによる業務効率化を推進してきました。

 経営判断の迅速化や投資家への情報提供の早期化に向けて、グループ一丸となって、業務プロセスの見直しや、システムなどのインフラ整備をすることにより、決算早期化にも取り組み、前期比6営業日短縮しました。

 働き方改革や健康経営を実現するためには、健康保険組合連合会東京連合会の健康企業宣言(注5)への参加や時差勤務制度の試行運用などを進めています。在宅勤務やサテライトオフィス活用の拡大に向けて、リモートアクセスやシンクライアント化など、社内システムの環境整備に取り組んでいます。

 

(注1)国際銀行間通信協会(SWIFT)が毎年開催する金融業界に特化した国際会議。

(注2)本年度11月に一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)が主催し、アジア・オセアニア地域のIT産業発展促進を目的として、24カ国のITサービス関連業界団体が参加する国際会議。

(注3)サーバにコンピューティング機能とストレージ機能を統合し、従来に比べて容易な構築・運用管理が可能となる、シンプルな構成を実現した仮想化基盤。

(注4)政府からの情報提供の検索やインターネットを利用した行政手続きを行える総合的な行政情報ポータルサイト。

(注5)健保連東京連合会など13団体が参加する「健康企業宣言東京推進協議会」より認定される「健康優良企業」を目指して事業所全体で健康づくりに取り組む宣言。

 

 当社グループは、持続的な拡大成長を目指して、2019年4月から開始する新たな中期経営計画を策定しました。長期経営目標の最終ステージとして、「明日の社会に新たな価値を提供する Next Value Creator」をビジョンに、2021年度売上高1,000億円以上、営業利益率10%以上の継続を目指します。

 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、867億16百万円(前年同期比4.3%増)となりました。法人通信分野、社会保障分野、運用BPO分野および組込みの車載関連分野などが好調に推移したことによるものです。

 売上総利益は、175億17百万円(同6.5%増)となりました。原価率の改善により、増加しています。販売費および一般管理費は、データリンクス株式会社との経営統合効果や前期の本社移転費用の減少などにより、77億27百万円(同2.5%減)となりました。この結果、営業利益は、97億89百万円(同14.8%増)、経常利益は、99億29百万円(同15.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の増加などにより、68億17百万円(同18.2%増)となりました。

 

 

(単位:百万円)

 

 

 

連結

 

 

  個別(参考)

 

 

対前年同期増減率

 

対前年同期増減率

売上高

86,716

4.3%

61,473

8.4%

営業利益

9,789

14.8%

7,675

10.0%

経常利益

9,929

15.8%

8,098

10.9%

親会社株主に帰属する

当期純利益

6,817

18.2%

当期純利益(個別)

5,768

14.1%

 

<売上高の内訳>

 

(単位:百万円)

 

 

連結

 

対前年同期増減率

金融公共

25,724

△3.3%

法人通信・ソリューション

26,746

12.3%

運用BPO

13,387

8.6%

地域・海外等

20,858

2.1%

合計

86,716

4.3%

 

 各セグメントにおける営業概況は、次のとおりです。

 

金融公共セグメント

 資産運用、年金・共済ならびに生命保険などの開発案件が順調に推移したものの、統合案件等の影響により、売上高は257億24百万円(前年同期比3.3%減)となりました。

 

法人通信・ソリューションセグメント

 情報通信業、運輸業、ならびに車載系・放送系などの組込み関連事業が好調に推移し、売上高は267億46百万円(前年同期比12.3%増)となりました。

 

運用BPOセグメント

 生命保険業や小売業のシステム運用・保守などが堅調に推移し、売上高は133億87百万円(前年同期比8.6%増)となりました。

 

地域・海外等セグメント

 金融系の開発案件などが好調に推移し、売上高は208億58百万円(前年同期比2.1%増)となりました。

 

 財政状態としては、総資産は669億82百万円となりました。のれんが1億17百万円減少いたしましたが、現金及び預金が26億66百万円、投資有価証券が13億6百万円、受取手形及び売掛金が7億98百万円、商品及び製品が7億43百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ総資産が56億17百万円増加いたしました。

 負債は156億29百万円となりました。買掛金が4億42百万円、賞与引当金が3億18百万円、未払法人税等が2億97百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ負債が12億26百万円増加いたしました。

 純資産は513億53百万円となりました。自己株式が6億1百万円増加いたしましたが、利益剰余金が剰余金の配当により18億70百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益により68億17百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ純資産が43億90百万円増加いたしました。

 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末の残高である324億54百万円に比べ26億86百万円増加し、351億40百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況についての前連結会計年度との比較は次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは69億47百万円となり、前連結会計年度に比べ得られた資金が1億86百万円増加いたしました。主な要因は、たな卸資産の増加額が5億4百万円、法人税等の支払額が4億39百万円それぞれ増加したこと、未払金の増減額が増加から減少へ転じたことにより2億18百万円の支出が増加した一方で、税金等調整前当期純利益が13億80百万円増加したことにより収入が増加したことなどによるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは△17億70百万円となり、前連結会計年度に比べ使用した資金が36百万円減少いたしました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出が3億47百万円、無形固定資産の取得による支出が2億30百万円それぞれ増加いたしましたが、有形固定資産の取得による支出が4億42百万円減少したこと、投資有価証券の償還による収入が2億円増加したことなどによるものであります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは△24億77百万円となり、前連結会計年度に比べ使用した資金が4億89百万円減少いたしました。主な要因は、子会社の自己株式の取得による支出が4億77百万円減少したことなどによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

対前年同期増減率(%)

金融公共

25,724,780

△3.3

法人通信・ソリューション

26,746,520

12.3

運用BPO

13,387,063

8.6

地域・海外等

20,858,538

2.1

合計

86,716,902

4.3

(注) 上記金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。なお、セグメント間の取引は、相殺消去しております。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度における受注実績は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

対前年同期

増減率(%)

受注残高

(千円)

対前年同期

増減率(%)

金融公共

26,323,591

0.1

14,464,770

4.3

法人通信・ソリューション

27,768,073

16.8

7,752,615

15.2

運用BPO

13,872,556

4.8

11,195,074

4.5

地域・海外等

21,328,520

0.6

4,532,768

11.6

合計

89,292,741

5.7

37,945,228

7.3

(注) 上記金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。なお、セグメント間の取引は、相殺消去しております。

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績は、以下のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

対前年同期増減率(%)

金融公共

25,724,780

△3.3

法人通信・ソリューション

26,746,520

12.3

運用BPO

13,387,063

8.6

地域・海外等

20,858,538

2.1

合計

86,716,902

4.3

(注)1 上記金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。なお、セグメント間の取引は、相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

みずほ情報総研株式会社

8,634,693

10.4

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社および連結子会社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当期は、将来への変革を果たす中期経営計画の最終年度として、営業力・SI力の強化、新規事業への取り組み、およびグループ経営基盤の強化の3点を推進し、前期に引き続き持続的な成長と収益力の強化を目指した結果、9期連続増益、3期連続営業利益率10%以上を達成しました。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因に関するリスク軽減策

イ.価格競争について

 当社においては、プロジェクトの採算管理を徹底し、生産性の向上を図るとともに、新技術を活用した高付加価値なサービスを提供することにより、単なるコストダウンのみの価格競争の影響を最小限にとどめるように努めています。

 

ロ.ソフトウェア開発のプロジェクト管理について

 当社においては、一定金額以上の一括受託案件についての受注可否およびプロジェクトの進捗状況を定期的に審議することを目的としたプロジェクト推進会議を設置し、不採算案件の発生を抑止しており、現時点では当社グループに大きな影響を与えるおそれのある不採算はありません。

 

ハ.セキュリティについて

 当社においては、情報の取り扱いと管理についての社内規程を整備するとともに、個人情報保護活動の一つとしてプライバシーマークを取得し、社員および協力会社社員に向け、情報の取り扱いについて意識向上のための啓発教育を実施しています。また、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証取得を受け、セキュリティ管理体制のさらなる強化を図ります。また、国内外グループ共通のコンプライアンスガイドを制定し、グループ各社の社内規程の整備や社員のセキュリティ情報の取り扱いに対する意識向上などに取り組んでいます。

 

ニ.海外事業について

 当社においては、海外取引における輸出管理法などの内国法および現地法・商慣習の知識・調査不足や相違によるトラブル、海外現地法人の設立、株式取得や運営における現地の法律・会計処理・労務管理・契約などに適切に対応できないなど、さまざまなリスクが想定されます。当社はこれらのリスクを認識するとともに、担当部署を定めてリスク管理の強化を進めています。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主たる財源は、好調な業績に基づく営業キャッシュ・フローであり、当期末において金融機関からの借入などはありません。当期末において適切な事業活動のための資金の流動性は十分に確保されています。

 現時点で、具体的に用途が決定している多額の設備投資などはありませんが、今後の事業拡大に向け、積極的にM&Aや研究開発活動に資金を活用していく方針です。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「新たな価値を創り出す MADE BY DTS Group」を経営ビジョンに掲げ、中期経営計画(2019年4月~2022年3月)では、連結売上高1,000億円以上、海外売上高50億円以上、営業利益率10%以上を目指しています。当期は、組込み関連事業のプロダクト販売やプロジェクト管理の強化や生産性向上に向けた取り組みなどにより、3期連続で営業利益率10%を達成しました。

 

 

⑤ セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 金融公共セグメント

 資産運用、年金・共済ならびに生命保険などの開発案件が順調に推移したものの、統合案件等の影響により、売上高は257億24百万円(前年同期比3.3%減)となりました。

 

 法人通信・ソリューションセグメント

 情報通信業、運輸業、ならびに車載系・放送系などの組込み関連事業が好調に推移し、売上高は267億46百万円(前年同期比12.3%増)となりました。

 

 運用BPOセグメント

 生命保険業や小売業のシステム運用・保守などが堅調に推移し、売上高は133億87百万円(前年同期比8.6%増)となりました。

 

 地域・海外等セグメント

 金融系の開発案件などが好調に推移し、売上高は208億58百万円(前年同期比2.1%増)となりました。

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は、2018年8月3日開催の取締役会の決議に基づき、2018年10月1日を効力発生日として、当社の連結子会社であるデータリンクス株式会社を吸収合併いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。

 

5【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発費の総額は436百万円であり、セグメント別の主な研究開発活動につきましては、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度における各セグメントに配分できない研究開発費の金額につきましては僅少であるため記載を省略しております。

 

(1) 金融公共事業(研究開発費:4百万円)

 問診システム実用化に向けた研究開発

当社製品「リウマチ診療支援システム」を活用した共通問診の電子化を順天堂大学と共同研究開発としてスタートし、共通問診の電子化を進める中で、共通問診と診療データを融合した総合診療情報を提供するビジネスモデルを検討いたしました。

 

(2) 法人通信・ソリューション事業(研究開発費:408百万円)

① フラッシュプログラマの研究開発

書き込み仕様が多様な各社のフラッシュメモリ内蔵マイコンを、ユーザーシステムに半田付け実装した状態でプログラミングするための、汎用インサーキットプログラマが市場で要求されております。

当社グループでは、この要求に応えるため、生産ラインおよびフィールドにおいて、お客様に最適なフラッシュメモリ内蔵マイコン向けのインサーキットプログラマを提供するための研究開発を実施しております。

 

② 車載マイコンソフトウェアの動的検証ツールの研究開発

自動車の付加価値は飛躍的に進化しており、新たな付加価値の実現には自動車に実装される多くのマイコンが貢献しております。その中で、複雑化する制御の処理、処理性能の向上、ネットワーク化した協調制御、安全性の担保の検証などが課題となっております。

当社グループでは、この課題に対するソリューションを提供するため、新時代の車載マイコンおよび車載ネットワークに対応し、それぞれの車載装置を実環境で動作させたままマイコン内部やネットワークの状態を確認することができる動的検証ツールの開発を実施しております。

 

③ 次期 Walk in home の研究開発

自社開発のソフトウェアである建築用3Dプレゼンテーションソフト「Walk in home (ウォークインホーム)」において、近年のハードウェアやCADアプリケーション技術の向上に追随しながら、多様化する顧客ニーズへより柔軟に対応することが求められております。

当社グループでは、この要求に応えるため、従来の住宅プレゼンテーション機能の性能向上に関する研究開発を実施するとともに、次世代の住宅建築業界のニーズに柔軟に対応するための研究開発を実施いたしました。

 

④ 放送局向けデジタル信号の監視・同録装置の研究開発

放送波はその全ての記録が義務付けられておりますが、デジタル化された放送波には画音のみならず様々な情報が重畳されており、膨大な信号データをリアルタイムで自動監視しつつ、長時間に渡って収録することへのニーズが高まっております。

当社グループでは、この要求に応えるため、局内ベースバンド信号の収録・自動監視を可能とする技術および信号データの長時間に渡る収録を可能とする技術の研究開発を実施いたしました。

 

(3) 運用BPO事業(研究開発費:17百万円)

 RPA技術活用研究

政府が提唱する働き方改革を推進するために業務の効率化や自動化を進めることで、社員の稼働やストレスを軽減することが期待できる技術であるRPAについてのビジネスを検討しております。

 

(4) 地域・海外等事業(研究開発費:4百万円)

 次期 FireWeb の研究開発

当社グループの製品である消防支援情報管理システム「FireWeb」において、従来の大都市向け製品から中小都市向け用製品化を目指し、最新技術を用いて製品開発する手法等の調査を実施いたしました。