第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、情報通信技術を応用した新しい価値創造で顧客とともに社会に貢献することを企業理念としております。その理念の下、ソフトウェアによって顧客の製品やシステムの価値を高めることを経営の目標としております。顧客の満足度向上のために、品質・納期・価格・セキュリティの4項目に重点を置き、グループ各社の得意分野を活かして相互に補完しあうことにより、ソフトウェアのライフサイクル全体にわたって信頼できるトータルサービスを提供しております。

 また、既存の事業の維持発展だけではなく、当社グループの特色を活かした新たな事業の創生にも注力し、顧客に提供できるサービスの範囲を広げていくように努めてまいります。

 これまでに蓄積した「ソフトウェアエンジニアリング技術(注1)」を一歩進め、顧客の多様なニーズに呼応した高い水準のサービスを提供するために、「きめ細かなサービスとは何か」を徹底的に追求してまいります。

(注1) 当社の考えるソフトウェアエンジニアリング技術とは次の7要素のことです。

アウトプット(ソフトウェア開発の成果)力

プロジェクト管理力

品質管理力

プロセス改善力

開発技術力

人材育成力

顧客接点(コミュニケーション)力

 

(2)経営戦略及び目標とする経営指標

<経営戦略>

 当社グループの事業の中心であるソフトウェア開発は、近年その規模が拡大し、それに伴い品質の低下が危惧されております。その中でも特に品質の低下が人や社会の安全に影響を及ぼす制御・組込分野とその土台となるプラットフォーム分野において当社グループは競争優位を保っており、品質に対する使命を果たしてまいりました。

 しかし、ソフトウェア開発においては、開発に関係する会社が増えるほど品質が低下する傾向にあります。このことから、当社グループができるだけ広い範囲を受注することが品質に対する使命を果たすことになり、開発効率の向上にもつながると考え、得意分野にリソースを集中し、受注範囲の拡大を目指しております。また、収益改善のため、プロジェクト受注時の審査、プロジェクト管理の徹底により不採算プロジェクトの撲滅と生産性の向上を実現してまいります。技術面でも、主力技術の強化と新規技術の育成に努めてまいります。

 当連結会計年度においては、目標とする経営指標として売上高営業利益率10%、連結配当性向概ね50%以上を設定しておりましたが、いずれについても達成しており、年間配当金は5期連続の増配となりました。

 

<中期経営計画について>

 当社は、2024年7月19日付で「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を中期経営ビジョンとする、新たな中期経営計画(2024年6月~2027年5月)を発表いたしました。継続して人材育成を進めることで生産性を高め、新規設計案件や大規模案件の受注を増やすことで、さらなる成長を目指します。合わせて経営効率の目標を設定し、資本政策などを進めてまいります。

 中期経営計画の最終年度である2027年5月期時点で、連結売上高120億円以上、連結営業利益12億円以上、ROE8.0%以上を目標といたします。

 

具体的な内容は以下のとおりです。

 

①事業活動

 「トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービス(T-SES)のレベルを上げて注力分野を拡大する」を基本方針とし、人材育成による新規設計能力、見積能力、マネージメント能力の向上、T-SESのトータル度向上により生産性を高め、新規設計案件や大規模案件の受注を増やすことで事業規模拡大を目指します。また採用の強化、パートナー企業の拡大により技術者の確保に努めます。

 

※T-SES:当社が保有する知見に基づいて、顧客(またはエンドユーザ)を正しい仕様決定に導き、以降一貫して完成まで請け負うこと。(当社の造語)

 

②注力事業、注力分野

「社会インフラのデジタルトランスフォーメーション(DX)」に注力いたします。高度経済成長期にシステム化が進められた社会インフラは老朽化が進み、長年の延命措置によりソースコードが煩雑化し、改修が困難な状況です。さらにサイバーセキュリティへの対応や、最新のIT技術の適用など、システム自体の変革が求められております。当社では「社会インフラのDX」を、保守性、拡張性が高く、サイバーセキュリティが備わった先進的なシステムへ転換することと考えており、社会インフラの「セキュア」で「スマート」なプラットフォームへの変革に貢献し、IoTやクラウド、AIなどの最新の技術を備えた新たなシステム開発に注力いたします。

 

③株主還元

累進配当政策を進めてまいります。なお、当連結会計年度で5期連続の増配となっております。

 

(3)経営環境及び優先的に対処すべき課題

 情報サービス産業におきましては、業務効率化・生産性向上を目的としたデジタルトランスフォーメーション(DX)や情報通信技術(ICT)への関心は拡大傾向にあり顧客投資意欲は堅調に推移するものと見込まれます。

 当社グループは、主に社会インフラ分野に関わる参入障壁が高い制御・組込系のシステムの開発を強みとしておりますが、当社グループを取り巻く経済状況の激変から、業界別の受注環境は大きく変化しております。そのため、当社の各セグメント間の受注量の格差が拡がり、受注価格低減の要求もあいまって、早急な対応をとることが求められています。

 これらの直面する課題に対処するだけではなく、今後さらなる飛躍をするための備えをすることも重要な課題であり、以下の取組みを行ってまいります。

 

① 営業力の強化と引き合い案件の増加

 取引量の多い既存の顧客からの安定受注に加え、それに次ぐ顧客からの受注拡大のネックとなっているリソース(技術者)を確保するために人材の流動化をさらに進めます。また、新規顧客を開拓するために、当社グループの主力技術分野での提案力を強化し、営業体制の強化を図ります。これにより主要取引先の占有リスク回避にもつなげてまいります。

 

② 請負化・大規模化の推進

 プロジェクト管理支援部によるプロジェクトマネージャ育成プログラムを実施し、プロジェクト管理力を強化することにより請負業務のリスクを軽減し、大規模システムの請負能力を強化します。品質技術部により開発プロセスを標準化し、安定した品質と生産性の向上を図ります。また、必要な技術を持つ技術者を流動的にプロジェクトに結集させるために事業部間の連携を強化してまいります。

 

③ コスト競争力の強化

 プロジェクト管理の強化により品質と開発効率を向上させると同時に、中国現地法人を活用し原価低減を進めます。また、基幹情報システムにより管理業務を効率化させることで販売費及び一般管理費を削減し、コスト競争力を強化してまいります。

 

④ 優秀な人材の確保、育成

 当社グループの競争力の源泉である人材育成に関しては、これまで同様、社外の人材育成の専門家の協力を得て、最優先事項として取組んでまいります。また、採用活動におきましても、海外を含めた広い視野で実施し、優秀な人材の確保に努めてまいります。

 

⑤ グローバル化の推進

 今後も増加することが予想されます海外案件につきましては、顧客がグローバル市場で競争優位を保てるよう技術の育成を図り、顧客とともに積極的にグローバル化を推進してまいります。

 

⑥ パートナー企業の開拓

 業界におけるリソース(技術者)不足を解消するために、業務を任せることのできる技術力に優れたパートナー企業を増やしてまいります。また、あわせて必要となる技術者を必要なタイミングで見つける仕組み作りを進めてまいります。

 

⑦ 働き方改革の推進

 多種多様な働き方に対応するための在宅勤務制度等の導入や、利便性・生産性を向上するための労働環境の改善を進め、持続的な成長を目指してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「情報通信技術を応用した新しい価値創造で顧客とともに社会に貢献します。」を企業理念としており、新技術の利活用や顧客の製品開発などを通じて、社会課題の解決につながる新たな価値を創造することで社会に貢献しております。また、中期経営ビジョンとして「ソフトウェアで社会インフラ分野の安心・安全、快適・便利に貢献する」を掲げ、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長の両立を目指しております。

なお、当社グループは、ソフトウェアエンジニアリングサービスの提供を事業としておりますので、当社グループの事業活動が気候変動に重要な影響を与えるものとは認識しておりませんが、省資源・省エネルギー活動等の取り組みによって環境負荷低減に努めております。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長を両立するために、人的資本を含むサステナビリティ課題に関する具体的な取り組みについて、実行計画の策定とモニタリングを行う体制を構築しています。協議された内容は、経営の意思決定ならびに業務執行の監督機関である取締役会や業務執行体制としての経営会議に報告され、当社グループのサステナビリティ課題への対応状況や実行計画等についての議論・監督を行っています。

 

(2)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティに関するリスク管理については、担当取締役を中心とした体制のもと、当社グループに発生し得る損失危機への対策を検討し、取締役会で協議、決定した内容を当社グループ内に展開することで、損失の最小化を図っております。

 

(3)戦略並びに指標及び目標

①気候変動

 気候変動については、ソフトウェアエンジニアリングサービスの提供により、顧客を通じて社会の環境負荷低減に寄与します。自社においては、オフィス等における省資源・省エネルギーを進め、また事業所の移転や統廃合により環境負荷低減に努めます。

温室効果ガスの削減目標について、2030年度におけるScope2の排出量削減目標は、2021年度に比べ75%削減、Scope3(カテゴリ7)の排出量削減目標は、2021年度に比べ15%削減とし、カーボンニュートラルの実現に努めてまいります。

指標

2022年度

2023年度

目標(2030年度)

Scope2

153t-CO2

143t-CO2

75%削減(2021年度比)

Scope3 (カテゴリ7)

42t-CO2

37t-CO2

15%削減(2021年度比)

 

②人的資本・多様性

 人的資本については、当社グループはソフトウェアエンジニアリングサービスの提供を事業としていることから、持続的成長を図る上で、従業員の継続的な成長が不可欠であると考えております。

各自の業務期待とその成果を評価した業績連動賞与を支給することで従業員の成長意欲を向上させ、従業員向け譲渡制限付き株式報酬等を導入することで、従業員の労働意欲を高めております。また、奨学金を返済している従業員の心理的、経済的負担を軽減するための支援制度を設け、最大100万円の支援を行っております。

人材育成に関しては、従業員一人ひとりが目標を持って成長し続けていくために、プロジェクト管理支援部、品質技術部等が、計画的な教育・研修を実施しております。また、戦略的技術習得と従業員の自律的なスキルアップの環境整備として、全従業員が利用できるオンライン学習プラットフォームを導入しております。

 多様性については、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得ると認識しております。

管理職や役職者など中核人材への登用に関して、性別や国籍等の属性によらず、能力、識見及び人格で評価しており、女性、外国人、中途採用者の管理職登用に関する目標は設定しておりません。

当社グループは、従業員数や採用応募者数に占める女性の割合が少ないことを課題として認識しており、女性活躍推進法に基づく、一般事業主行動計画(2021年~2026年)を策定し、女性が安心して就業・活躍できる環境について改善に努めております。

働きやすい環境の整備としては、ワークライフバランスの実現のための両立支援制度や育児短時間勤務制度、リモートワーク等を導入し、時間と労働環境の多様化を進めております。なお当該事業年度における育児休業取得率については、女性従業員は100%、男性従業員は50%となっております。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)主要取引先の占有率及び状況変化リスク

 当社グループの主要取引先は上位2社で売上高の38.8%を占めております。これら特定の業種、顧客との強い関係は強みである反面、経済情勢などの変化により顧客の事業運営が影響を受け、顧客の方針、開発計画等が変更を余儀なくされた場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、既存顧客での新規分野の獲得、新規顧客の開拓に取組むことでリスクの軽減を図っています。

 

(2)不採算プロジェクトのリスク

 システム開発事業における受注形態の一つである「一括請負」は、見積工数や製品価値を考慮して価格を決定する方式です。したがって、実際にかかる開発コストとの差が利益となります。逆に見積価格以上に開発コストがかかる場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客の要件変更等不測の事態で採算を割る案件が発生するリスクがあります。

 当社グループでは、新規の大型開発案件につきましては、受注審査委員会が規模、新規性(顧客、技術、業務分野、担当者)を事前にチェックし、委員長が受注の決裁を行っております。その後も、毎月プロジェクト状況を報告し、プロジェクトレビュー委員会が監視しております。また当社では、ISO9001の認証を取得し品質管理の徹底を図っております。

 

(3)投資活動におけるリスク

 当社グループが保有する有価証券等の当連結会計年度末における連結貸借対照表計上額は有価証券799百万円及び投資有価証券2,644百万円であります。市場価格の変動や評価額の変動により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、安全性の高い金融資産に限定して運用しております。有価証券及び投資有価証券は、主に満期保有目的の債券及び取引先企業との業務又は資本提携等に関連する株式であり、定期的に時価や発行体(取引先企業)の財務状況等を把握し、また、満期保有目的の債券以外のものについては、市況や取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。

 

(4)情報セキュリティに関するリスク

 当社グループでは業務遂行のために顧客の機密情報を取り扱う場合があります。不測の事態などによりこれらの機密情報が外部に漏洩した場合、損害賠償や信用低下などにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは情報システム・セキュリティ管理委員会で情報の取り扱いに関する規程作成や社員教育の徹底を図っております。また個人情報に関してはプライバシーマークを取得し、個人情報保護マネジメントシステムを整備・運用・改善することで情報セキュリティの強化に努めております。

 

(5)社員の不正行為や不法行為のリスク

 社員による悪意をもった経済的損失行為、インターネットを使った不用意な信用失墜行為、ルールの異なる顧客での重大な過誤による損害賠償などにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは経営理念や行動規範の浸透などを通して倫理観の高い社員の育成を図ると同時に、内部統制の強化や経営監査室による内部監査などにより不正行為や不法行為を未然に防ぐ取り組みを行っております。

 

(6)人材確保のリスク

 当社グループの中心事業でありますシステム開発は、優秀な人材の確保が不可欠であり、採用が計画を大きく下回る場合や多数の従業員が離職した場合、パートナー企業と適宜・適切に連携できない場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループのコアコンピタンスである制御・組込系システム開発の技術者育成には時間を要するため、計画的な人材採用と人材育成を行うとともに、働きやすい環境や制度などへの投資も積極的に行うこととしております。また、パートナー企業の開拓を進めるとともに、中国現地法人によるオフショア開発も活用してまいります。

(7)技術革新のリスク

 当社グループの事業は情報通信関連の技術が中心です。これらの技術分野は技術の進化する速度が非常に速く、その幅も非常に広いのが特色であります。革新的な技術の出現や開発手法の変化が起こった場合、その対応に時間や費用を要することにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは調査・研究活動を通して必要とする技術の選択、習得に努めております。

 

(8)カントリーリスク

 当社グループでは中国の現地法人が事業を行っており、当該国における政情の悪化、経済状況の変化、法律や税制の変更などのカントリーリスクにより当社グループの事業戦略や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社取締役が現地法人の役員を兼務し情報交換を密にすることで、打ち手を早める体制を構築しております。

 

(9)大規模災害等のリスク

 当社グループは東京を中心とした関東地区に事業所が集中しており、この地域で大規模地震やパンデミックなどが発生した場合は業務の停止や縮小などにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは安否確認システムを導入し、社員及び家族の健康や安全を確保しつつ、顧客に安定したサービスを継続的に提供することを阻害するリスクが発生する場合には、代表取締役社長を本部長とする「緊急対策本部」を設置し、リスク低減、対策の検討とその実施を統括的に進める体制としております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

 当連結会計年度末の資産につきましては12,803百万円となり、前連結会計年度末に比べ491百万円増加しました。流動資産は9,305百万円となり、前連結会計年度末に比べ304百万円増加となりました。固定資産は3,497百万円となり、前連結会計年度末に比べ187百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が増加したことによります。

 負債につきましては2,346百万円となり、前連結会計年度末に比べ112百万円増加しました。主な要因は、前連結会計年度末に比べ賞与引当金が増加したことによります。

 純資産につきましては、10,456百万円となり、前連結会計年度末に比べ378百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金が配当金の支払いに伴い減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益が増加したことによります。

 この結果、自己資本比率は81.7%となりました。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、下期に一部足踏みがみられるものの、雇用・所得環境が改善するなど緩やかな回復の動きが継続しました。しかしながら、資源・原材料価格の高騰、世界的な金融引締めや中国経済の先行き懸念などによる海外景気の下振れが、わが国の景気を下押しするリスクとなっております。

 情報サービス産業におきましては、業務効率化・生産性向上を目的としたデジタルトランスフォーメーション(DX)など、情報通信技術(ICT)活用の意欲は依然として高く、IT投資は堅調に推移するものと見込まれます。

 こうした環境の中、当社は、「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を中期経営ビジョンとする中期経営計画(2021年6月~2024年5月)の最終年度として、人材育成のための大規模案件請負の推進、トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスのトータル度向上を基本方針として取組んでまいりました。

 人材育成のための大規模案件請負の推進としては、大規模案件を計画的に請負受注し、開発を通じて新規設計能力やマネージメント力の向上などの人材育成を継続して進めており、大規模案件に参画した社員及び組織の成長が見られるとともに、顧客の信頼を得て次案件の獲得につなげております。

 トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスのトータル度向上としては、これまでも顧客のご協力を得ながら長期的に継続している「ソフトウェアの要件定義、開発から運用・保守までをトータルにサービスすることで、顧客に最大のメリットを提供する」という取組みを、各セグメントの事業環境に応じて戦略的に目標を定めて実施し、さらなるトータル度向上により顧客への付加価値を向上させ、持続的な採算性の改善、競争力強化を図っております。

 持続的成長への施策として、賃上げを実施して社員への還元と採用競争力の維持・強化を図り、優秀な人材の安定確保に取組むとともに、戦略に沿った技術教育や継続的なマネージメント教育を通じて社員の技術力の強化に努めております。

 また、自動車システム事業のより一層の拡大を図るため川崎事業所を新設し、業務の効率化を図るため恵比寿事業所を京浜事業所に統合いたしました。

 

 この結果、売上高は9,468百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益は956百万円(前年同期比5.3%増)、経常利益は1,008百万円(前年同期比4.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は730百万円(前年同期比7.0%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より「産業・ICTソリューション」に含まれていた航空宇宙関連を「特定情報システム」へ移管しております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較分析しております。

(制御システム)

 制御システムでは、再生可能エネルギーを含めた電力系統制御システムは体制を維持したことにより横ばいで推移しました。在来線の運行管理システムは新たな更新案件の受注により売上利益とも好調に推移し、東京圏輸送管理システムは前期より開始した更新案件により体制を拡大しました。新幹線の運行管理システムは一部案件が完了するも横ばいで推移しました。

 この結果、売上高は1,620百万円(前年同期比13.4%増)、セグメント利益は375百万円(前年同期比24.1%増)となりました。

 

(自動車システム)

 自動車システムでは、自動運転/先進運転支援関連は新たな案件を受注するなど好調に推移しました。車載情報関連は売上が横ばいで推移し、電動化関連は開発規模縮小に伴い売上利益ともに減少しました。

 この結果、売上高は2,268百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益は585百万円(前年同期比6.1%減)となりました。

 

(特定情報システム)

 特定情報システムでは、衛星画像関連は受注量の増加により好調に推移しました。危機管理関連は既存案件が収束したものの、来期から開始する次案件に向け体制を拡大したことから横ばいで推移しました。航空宇宙関連は一部案件がテストフェーズに入り体制を縮小しました。

 この結果、売上高は1,341百万円(前年同期比7.8%増)、セグメント利益は267百万円(前年同期比18.8%増)となりました。

 

(組込システム)

 組込システムでは、ストレージデバイス開発は半導体市場低迷の影響により体制を縮小しました。新ストレージ開発は上期好調に推移しましたが半導体市場低迷の影響を受け下期に体制を縮小しました。IoT建設機械関連は開発量が増加し体制を拡大したことで好調に推移しました。

 この結果、売上高は1,363百万円(前年同期比2.2%増)、セグメント利益は302百万円(前年同期比0.5%増)となりました。

 

(産業・ICTソリューション)

 産業・ICTソリューションでは、社会インフラ関連の官公庁向け開発は前期より開始した開発案件のほか新たな案件を受注するなど好調に推移し、道路設備関連は体制を拡大し堅調に推移しました。IoTクラウドは開発量が増加し体制を拡大したことで堅調に推移しました。駅務機器開発は新たな案件を受注するなど順調に推移し、システム構築関連は概ね横ばいで推移しました。

 この結果、売上高は2,874百万円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益は533百万円(前年同期比8.7%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ424百万円増加し、4,582百万円(前年同期比10.2%増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、1,050百万円(前年同期は312百万円の獲得)となりました。当連結会計年度においては、主に税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、291百万円(前年同期は435百万円の獲得)となりました。当連結会計年度においては、主に投資有価証券の取得によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、347百万円(前年同期は347百万円の使用)となりました。当連結会計年度においては、配当金の支払いを行ったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

制御システム

1,245,746

+10.5

自動車システム

1,683,465

+10.4

特定情報システム

1,073,337

+5.4

組込システム

1,060,531

+2.7

産業・ICTソリューション

2,340,374

+2.8

合計

7,403,456

+6.1

(注)金額は製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

制御システム

1,708,860

+19.5

176,878

+98.9

自動車システム

2,255,079

+5.9

405,621

△3.3

特定情報システム

1,356,327

+1.9

294,046

+5.5

組込システム

1,391,864

△0.8

201,988

+16.3

産業・ICTソリューション

2,695,129

△5.7

397,087

△31.1

合計

9,407,261

+2.8

1,475,622

△4.0

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

制御システム

1,620,902

+13.4

自動車システム

2,268,863

+5.6

特定情報システム

1,341,057

+7.8

組込システム

1,363,494

+2.2

産業・ICTソリューション

2,874,338

+3.9

合計

9,468,657

+6.1

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社日立製作所

2,054,891

23.0

2,461,613

26.0

日立Astemo株式会社

1,099,886

12.3

1,208,133

12.8

キオクシア株式会社

901,597

10.1

2.当連結会計年度におけるキオクシア株式会社に対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、この連結財務諸表の作成に当たりましては、「第5 経理の状況」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ)経営成績等の状況

 売上高は、産業・ICTソリューションで社会インフラ関連の官公庁向け開発が好調に推移し、道路設備関連は体制を拡大、自動車システムで自動運転/先進運転支援関連が好調に推移、特定情報システムで衛星画像関連の受注量が増加したことなどで、前連結会計年度に比べ544百万円増加し、9,468百万円(前年同期比6.1%増)となりました。

 営業利益は、サービス価値向上による採算性の改善やプロジェクト管理の強化による不採算プロジェクトの最小化などにより、前連結会計年度に比べ48百万円増加し、956百万円(前年同期比5.3%増)となりました。

 経常利益は、営業利益の増加などにより、前連結会計年度に比べ40百万円増加し、1,008百万円(前年同期比4.2%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に計上した減損損失の剥落などにより、730百万円(前年同期比7.0%増)となりました。

 なお、セグメントごとの業績につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 当期は「ソフトウェアで社会インフラ分野の安全・安心、快適・便利に貢献する」を中期経営ビジョンとする中期経営計画(2021年6月~2024年5月)の最終年度として、人材育成のための大規模案件請負の推進、トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスのトータル度向上に取組んでまいりました。人材育成のための大規模案件請負の推進については、営業力の強化により大規模案件を計画的に請負受注し、開発を通じて新規設計能力やマネージメント力の向上などの人材育成を継続して進めた結果、大規模案件に参画した社員及び組織が成長するとともに、顧客の信頼を得ることで次案件の獲得につなげていると考えております。トータル・ソフトウェア・エンジニアリング・サービスのトータル度向上については、顧客への付加価値を向上させるため、各セグメントの事業環境に応じて戦略的に目標を定めて実施し、さらなるトータル度向上を図るとともに、持続的な採算性の改善、競争力強化を図っております。

 

ロ)資本の財源及び資金の流動性についての分析

(a)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(b)資金需要

 当社グループの営業活動において必要な資金は、主にソフトウェアの開発・運用・保守業務を行うための運転資金(主に人件費・外注費等)と事業活動を維持していくための管理費、継続的な発展を実現するための人材投資(採用・教育費等)が主になります。また投資活動においては、事業シナジーを意図した投資有価証券の取得や、余剰資金を有効活用するための債券投資が主になります。今後も持続的な成長を目指し、人材投資と事業シナジーを意図した投資を進めていく予定であります。

(c)財政政策

 当社グループでは、営業活動及び投資活動ともに内部資金を充当しており、有利子負債による調達は行っておりません。なお、当社グループでは、資本効率の向上と持続的な企業価値創造を目指し、自己株式の取得・保有・消却の基本方針を以下のとおり定め、取り組んでおります。

i)自己株式の取得に係る基本方針

・当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策と位置付けており、安定的な配当の継続と連結配当性向概ね50%以上の目標に加え、自己株式取得による利益還元も弾力的に実施していきます。

・当社は、資本効率の向上を図るため、自己株式の取得を進めていきます。

 

ⅱ)自己株式の保有・消却に係る基本方針

・当社は、M&A戦略(M&Aや業務資本提携等)を実施するため、一定の自己株式を保有します。

・当社は、役職員と共に持続的な企業価値創造を実現していくため、その動機付けの原資として一定の自己株式を保有します。

・当社は、株主の自己株式処分による希薄化の懸念を少しでも払拭できるよう、自己株式の保有については、発行済株式総数の10%程度を上限とし、それを超過する部分は、原則として毎期消却します。

 

ハ)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成しております。なお、連結財務諸表の作成に当たり採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

  連結財務諸表を作成するにあたっては、重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っており、これらの見積りは、過去の実績等を慎重に検討した上で継続的に評価を行い、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。