第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社は、経営理念「私たちは、お客さま、地域社会の『環境価値』を創造し続けます。」のもと、アジアを主たる活動領域にファシリティマネジメント(以下、「FM」)事業を展開しています。当社が謳う「環境価値創造」とは、人々が平和と豊かさを享受できる環境を創出していくということです。当社は、事業を通じて環境価値を創造し続け、社会の持続的発展に貢献していくことで、お客さま、地域社会から必要とされ続ける企業でありたいと考えています。

 

(2)中長期的な経営戦略

 当社は、更なる持続的成長に向けて、自社の原点や存在意義をあらためて問い直し、事業を通じて「安全・安心」、「人手不足」、「環境」の3つの社会課題の解決に取り組むことを決めました。そして、2018年10月に中長期的な経営戦略として、イオンディライト ビジョン2025(以下、「ビジョン2025」)を策定しました。

 

<当社が解決を目指す3つの社会課題>

 

安全・安心

 

施設利用者の安全・安心の確保、災害への平時・有事の対応

 

 

 

人手不足

 

FM業界、顧客企業における人手不足の解消

 

 

 

環境

 

CO2排出量削減や海洋プラスチック問題等への環境対応

 

3つの社会課題を解決して「環境価値創造企業」として大きく飛躍する

 

<イオンディライト ビジョン2025>

 アジアにおいて「安全・安心」、「人手不足」、「環境」の3つを成長戦略の柱に社会課題を解決する環境価値創造企業を目指す。

 

<2025年度 目標数値>

 

売上高

5,250億円

 

グローバル TOP10、アジア No.1

 

 

 

営業利益

480億円

 

営業利益率グローバルトップレベル

 

(ア)安全・安心

 当社創業の原点は、1972年5月に発生した日本ビル火災史上最悪の事故とされる千日デパート火災にあります。多数の死傷者を出した悲劇的な事故を二度と起こさないために、施設管理に関する知識や技術といった高い専門性を身につけ、「商業施設をご利用されるお客さまに安全・安心な環境をお届けしたい」というのが当社創業の思いです。そのため、当社は平時より、お客さまの防災・減災体制の強化に資するサービスを提供するとともに、有事においては、お客さまのBCP(※)を支援し、災害による被害の最小化に努めてきました。

 他方、時代とともに施設の安全・安心を担保するための技術革新も進んでいます。自然災害が頻発し、企業における事業継続性が問われる中、創業以来の使命を果たし続けていくためにも、当社は、テクノロジーを積極的に導入することでより高いレベルの「安全・安心」を提供していきます。

※BCP(Business Continuity Plan)

不測の事態が発生しても事業を中断させない、中断したとしても早期に再開させるための事業継続計画

 

(イ)人手不足

 社会インフラの一端を担うFM業界では人手不足に加え、現場人材の高齢化が進んでいます。こうした中、お客さまや地域社会に「安全・安心・快適」な環境を提供していくために、当社は、設備管理や警備、清掃といった施設管理における各分野の専門家が効率的にサービスを提供していくための地域経済圏を形成していきます。地域経済圏の形成に向けて、当社は支社主導による地域単位の経営(支社経営)を推進するとともに、関係会社はもとより、協力会社や提携先を含めた強固なサービスネットワークを構築してまいります。

 加えて、IoTやAIといったテクノロジーの活用により、設備の遠隔監視化や自動制御化を進めるとともに、顧客企業における人手不足の解消も視野にイオンディライトプラットフォーム(以下、「ADプラットフォーム」)の構築を進めます。ADプラットフォームでは、施設内外から収集したデータを蓄積し、AIにより分析することで、それぞれのお客さまが抱える課題に最適なソリューションを提供していきます。また、遠隔監視や自動制御による省力化と同時にサービス提供の在り方も、従来の施設常駐によるものから、巡回を中心としたものへと移行していきます。

 

(ウ)環境

 当社は、2006年より「環境価値創造」を掲げ、これまでもLED照明の販売・設置工事や設備の省エネオペレーションに取り組み、サービスの提供を通じた環境負荷低減に努めてまいりました。

 2018年3月にはイオン㈱が、店舗で排出するCO2などの排出総量ゼロを目指し「イオン脱炭素ビジョン 2050」を策定・公表しました。また、同社はこれを機に、100%再生可能エネルギーで事業を行うことを目標に、国際イニシアティブ「RE(Renewable Energy100)」に加盟しました。

 こうした中、当社はイオングループにおいて、施設のエネルギーマネジメントを担う企業として地域社会に必要なクリーンエネルギーの供給から、地域社会全体の省エネオペレーションまでを含めたエネルギーマネジメントサービスの事業化を目指します。

 加えて、海洋プラスチック問題等が深刻化する中、店舗資材などの調達代行を担う資材関連事業を、環境に配慮した原材料から提案できる環境資材事業へと進化させてまいります。

 

(3)ビジョン2025の実現に向けて対処すべき足元の課題と施策

(ア)マーケットシェアの拡大

・新たな強みの確立

 当社がマーケットシェアを拡大していくためには、得意とする商業施設で培ってきたノウハウをその他施設の管理運営へと活かしながら、それぞれの施設への最適なFMサービスを設計し、新たな強みとして確立していくことが重要だと考えています。そのため、オフィス、工場、病院といった施設へのマーケティング、ならびにサービス開発に注力していきます。業種別の営業体制を強化することで、各施設を保有する企業・団体の経営戦略に立脚し、それぞれが抱える課題を共に解決するパートナーへの進化を図ります。これにより各企業・団体が、日本はもとより中国やアセアンに展開する施設の包括的な受託を図り、アジア全体でのマーケットシェア拡大に繋げてまいります。

 

・地域経済圏の早期形成

 地域経済圏の早期形成に向けて、支社経営を効率化するとともに、関係会社、協力会社、提携先をエリアと専門性を軸に整備し、FMに関する各専門家が効率的にサービスを提供していくためのネットワーク構築を促進していきます。

 

(イ)生産性の向上

・要員配置数契約からSLA契約への移行

 ADプラットフォーム構築に向けて、テクノロジーの活用による省力化を進め、お客さまとの契約を従来の要員配置数に応じたものから、サービスの出来栄えによるSLA契約(※)へと移行させてまいります。

※SLA(Service Level Agreement/サービス品質保証)契約

回数や人数といった仕様ではなく、出来栄え(成果)に対するコミットによる契約形態

 

(ウ)エネルギーマネジメントサービス事業化に向けた取り組み

・イオングループ内における電力需要の整備と施設の更なる省エネ化

 エネルギーマネジメントサービスの事業化に向けて、イオングループ各社と連携し、イオングループ内における電力需要の整備を進めてまいります。同時に、施設運営に必要な設備機器類の統合的な制御を可能とするオープンネットワークシステムの導入拡大を進め、施設内外を問わず、各種設備の遠隔制御を行うとともに、運用データの収集・解析を通じて、施設における更なる省エネルギー化を進めてまいります。

 

 当社は、これら足元の対処すべき課題を解決し、ビジョン2025の実現に向けてビジネスモデルを変革してまいります。

 

<ビジネスモデルの変革>

 

項目

これまで

これから

事業モデル

オペレーション

常駐型

ソリューション

巡回型

事業領域・市場

日本×商業施設

アジア×商業施設

オフィス・病院・工場

経営資源

労働集約

資本・知的集約

ビジネスプラクティス

要員契約

SLA契約

 

 

2【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)イオングループ企業との取引について

  当社は、ファシリティに関わるすべての業務と人的リソースを顧客に代わって統合的に管理運営し、ファシリティ全体のコスト効率を上げ、業務を合理化するIFM(インテグレーテッド・ファシリティマネジメント)事業」を営んでおります。

  また、同時に当社は純粋持株会社であるイオン㈱の企業集団におけるサービス・専門店事業に属しております。

  2020年2月期における売上高のうち、同社グループに対するものは1,940億54百万円であり、総売上高全体に占める割合は62.9%であります。

  大口取引先であるイオングループ企業との取引について、条件の変更等が発生した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制について

  当社の主な業務内容は、商業施設やオフィスビル等の建物の設備管理、警備、清掃、建設施工事業等であります。これらの業務を行ううえで、当社は、法的規制に基づく各種許可、登録並びに認可等を受けております。

  今後、これらの法的規制の要件を満たすことができなかった場合には、事業活動に制約を受けることもあり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)個人情報の取り扱いについて

  IFM事業を展開する上で顧客やお取引先から得た個人情報を保管管理しております。当社は、個人情報保護の重要性を充分に認識しており、個人情報保護方針・取扱ルールの策定及び従業員教育を含めた社内体制の強化充実を進めております。

  しかしながら、万一、個人情報の漏洩や不正利用などの事態が生じた場合には、社会的信用の失墜及び損害賠償責任等により、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)中国及びアセアンでの事業展開について

  当社は、中国及びアセアン地域において現地子会社を設立し、事業展開を行っておりますが、同地域にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(高成長の持続性等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生する可能性があります。また、文化や習慣の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、当社の予想を超える水準で発生する可能性に加え、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても予想できないリスクが潜んでいると考えております。

  こうしたリスクが顕在化した場合、現在実施している業務の中断等が懸念され、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)人材及び労働力の確保について

  当社は、労働集約型事業を展開しているため、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠であります。働き方改善に向け取り組み、労働環境の改善及び整備、社員の定着に取り組んでまいりますが、労働需給がさらに逼迫し、人材を十分に確保できなかった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

  また、法令や制度の改正、物価変動等により社員に関わるコストが大幅に増加した場合にも、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)競争激化による影響について

  当社が事業を行っている業界において、技術の進展や新規参入等により競争が激化し、これに十分な対応ができない場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)テクノロジーの活用について

  当社は、提供するサービスの生産性向上を図るため、進化を続けるIoTやロボット等のテクノロジーの活用を進めております。しかしながら、テクノロジーの活用に係る研究開発が進捗しない、または中断するなどした場合に、期待する成長が達成できない可能性があります。

 

(8)子会社の管理体制について

  当社は、連結子会社27社、関連会社4社を有しており、各社の業績及び財政状態は当社グループの連結財務諸表における業績及び財政状況に影響を及ぼします。

 また、連結子会社の運営にあたり、関係会社管理部及び国際部など管理担当部署を設置し関係会社管理規程に基づき適切な管理及び支援を行っておりますが、当社による連結子会社への管理及び支援が適切に行われず、当該連結子会社の業績の悪化や不祥事等が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)地震や台風等の災害、パンデミック、テロ活動等について

  当社の事務所等及び当社が管理する店舗・施設の周辺地域において大地震や台風等の災害或いは予期せぬ事故等の発生、暴動、感染症のパンデミック、テロ活動その他事業活動に影響する何らかの事象が発生し、物理的損害や人的損害により、当社の事業活動が阻害された場合、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況

(1)経営成績に関する説明

 

 当連結会計年度(2019年3月1日~2020年2月29日)の業績は、売上高が3,085億82百万円(対前年比101.9%)、営業利益160億1百万円(同122.8%)、経常利益159億49百万円(同119.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益93億48百万円(同145.7%)となりました。

(ご参考)連結子会社 株式会社カジタクの業績を除いた損益計算書

(百万円)

 

2019年2月期

2020年2月期

対前年比

売上高

297,471

304,153

102.2%

売上総利益

38,498

39,028

101.4%

営業利益

17,072

17,214

100.8%

※株式会社カジタクの不正会計処理問題につきましては、2019年7月22日付「当社連結子会社 株式会社カジタクの不正会計処理問題に対する再発防止策について」をご参照ください。

 

[当連結会計年度の主な取り組み]

 当社は、更なる持続的成長を目的に2018年10月に、イオンディライト ビジョン2025(以下、「ビジョン2025」)を策定し、アジアにおいて「安全・安心」、「人手不足」、「環境」の3つを成長戦略の柱に社会課題を解決する環境価値創造企業を目指すことを決めました。その後、ビジョン2025の実現に向けて、2019年3月1日付で機構改革を実施し、専門家集団としての企業ブランドを確立するとともに、事業を展開する各エリアで地域経済圏の形成に向けた取り組みをスタートさせました。

 一方、期初から上期に判明した当社連結子会社 ㈱カジタク(以下、「カジタク」)の同社店頭支援事業における不正会計処理問題に関しては、2019年7月22日付「当社連結子会社 株式会社カジタクの不正会計処理問題に対する再発防止策について」の通り、当社と利害関係を有しない外部の専門家によって構成される特別調査委員会からの提言を踏まえ、再発防止策を策定し、その後、外部の専門家を含めた再発防止委員会を立ち上げ、当社グループ全体でグループガバナンスの強化ならびに再発防止の徹底に向けた取り組みを進めております。

 また、カジタクにつきましては、2019年11月29日付「連結子会社の会社分割(新設分割)に関するお知らせ」の通り、今後も市場の拡大が見込まれる家事支援事業の成長ならびに店頭支援事業の再編手続きを円滑に進めるといった観点から、家事支援事業を会社分割(新設分割)し、新設会社に承継させることを決定しました。その後、2020年2月4日に、家事支援事業を専業とするアクティア㈱(以下、「アクティア」)を設立しました。アクティアでは、経営リソースの集中により、コア・コンピタンスの早期確立を図り、家事支援事業会社として次なる成長ステージへの移行を目指してまいります。

 当期間、連結子会社において不正会計処理問題が生じ、グループガバナンス上の課題が発覚した一方、ファシリティマネジメント(以下、「FM」)事業においては、期初より「安全・安心」、「人手不足」、「環境」の3つの社会課題の解決に向けた取り組みを推進しました。

 

<安全・安心>

・新型コロナウィルス感染症拡大への対応

 2019年末より中国武漢市において発生し、現在、世界的に感染が拡大する新型コロナウィルスに対しては、施設のご利用者と協力会社を含めた従業員の安全を第一に考え、厚生労働省の指針等に準じ、感染拡大の防止に向けた対応を強化しています。

 イオングループでは、地域住民の日々のいのちとくらしを守るため、中国武漢市を含め、一部営業時間を短縮しながらも、各店舗の営業を継続しております。当社は、施設とその周辺環境に「安全・安心」な環境を提供することを使命とするFM企業として、地域社会にとって重要な生活インフラのひとつである商業施設の管理運営を支えてきました。また、陽性反応者が確認された施設においては、厚生労働省及び保健所などの指示または推奨方法に準拠し、専門性を有する協力会社との連携により、迅速かつ適切な対応を実施しております。

 当社は、新型コロナウィルスの感染拡大が早期に収束し、お客さま、地域社会の皆さまが「安全・安心」に過ごせる日常を一日も早く取り戻すことができるよう、今後も全力を挙げて、必要な対応に取り組んでまいります。

 

・頻発する自然災害への備えと対応

 当社は、平時より防災関連設備の保守・点検や防災訓練の実施支援など、お客さまの防災・減災体制の強化に資するサービスの提供に努めています。2019年9月に発生した台風15号、同年10月に発生した台風19号に際しては、発災直後より、イオングループ各社と連携し、被災地の早期復旧に向けた支援活動に取り組んでまいりました。

 

・第1回イオンディライト技術コンテストの開催

 当社は「技術力」と「人間力」を兼ね備えた施設管理の専門家集団となるための取り組みの一環として、2019年11月から12月にかけて事業別(設備管理・警備・清掃)の技術コンテスト「第1回イオンディライト技術コンテスト」を開催しました。

 第一弾として、2019年11月7日に東京ビッグサイトにて、清掃事業における「第5回 働きやすさ追求活動 取り組み発表会」(以下、「本発表会」)を開催しました。「働きやすさ追求活動」とは、クリーンクルー(当社清掃スタッフの呼称)が日々の気づきや改善案を自発的に発信し、業務に反映できる風土の醸成を目的に2014年度から取り組みを開始した現場単位の小集団活動です。5回目を迎えた本発表会では、日本・中国・アセアン各地から代表チームが集まり、クリーンクルーの働きやすさに繋がる様々な活動成果が披露され、共有されました。

 第二弾となった設備管理事業では、2019年11月11日に研究・研修施設「イオンディライトアカデミーながはま」において、「第1回 技術・安全向上コンテスト」を開催しました。2018年の平成30年7月豪雨や2019年の台風15号、19号により実際に発生した水害に伴う施設の冠水と停電をモデルに、全国8支社から選抜された設備管理員3人一組、計8チームが、被災を想定したテスト用分電盤上で、いかに迅速かつ正確に不良回路を特定し復電できるのか、を競い合いました。

 第三弾となった警備事業では、2019年12月9日に東京ビッグサイトにて「第1回 喜び・働きがい向上プロジェクト ~“ありがとう”を成長へ!~」を開催しました。全国8支社の代表として、当社連結子会社であるイオンディライトセキュリティ㈱と協力会社7社の警備会社計8社が参集し、各地域における好事例を披露し合いました。

 当社はこうした取り組みを通じて、引き続き、施設管理における専門性を高め、お客さまが保有する施設とその周辺環境の「安全・安心」に貢献してまいります。

 

<人手不足>

・お客さまが抱える課題への最適ソリューション提供に向けた取り組み

 当社が事業を展開する日本や中国では人手不足が深刻化しています。こうした中、当社では、自社はもとより、顧客企業における「人手不足の解消」も視野にイオンディライトプラットフォーム(以下、「ADプラットフォーム」)の構築を進めています。ADプラットフォームでは、施設内外から得られたデータを収集・蓄積、AIにより分析することで、それぞれのお客さまが抱える課題に最適なソリューションを提供していきます。

 当期間、当社は、2019年9月14日に開業したイオン藤井寺ショッピングセンター(以下、「イオン藤井寺SC」)にADプラットフォームの基礎となるオープンネットワークシステムを活用した統合型施設管理サービスの提供を開始しました。オープンネットワークシステムとは、各種設備をネットワークで繋ぐことでそれらの統合的な制御を可能とし施設管理業務を省力化するとともに、設備データの収集・解析を通じて省エネルギー化を促進するシステムです。イオン藤井寺SCでは、モバイル端末やウェアラブルカメラを活用した遠隔オペレーションを併用することで従来の施設管理業務を大幅に効率化しました。加えて、館内9か所のゴミ箱にはセンサーを内蔵し、ゴミの堆積量と内部温度の遠隔監視により回収業務の効率化と安全性を向上しています。また、夜間清掃においては、自動走行型床清掃ロボットを使用することで、清掃業務を省力化・効率化しました。

 今後、このオープネットワークシステムによる統合型施設管理サービスの導入を拡大していくとともに、AIによる取得データの機械学習(※)により、各種設備の自動制御化

を進め、FM業務におけるデファクトスタンダード(事実上の標準)化を図ってまいります。

※機械学習

データから反復的に学習を行い、パターンや特徴を見つけ出して将来に対して予測を行うこと

 

・中小型物件のお客さまへのサービス提供に向けた非常駐型管理の強化

 2018年4月より協業を開始したセコム㈱とは新たなプロジェクトをスタートしました。警備、設備管理といった両社の強みを活かした非常駐型管理サービスの強化により、中小型オフィスへのサービス提供拡大を図ってまいります。当期間は、関東エリアにおいて、セコム社が契約する非常駐物件を対象に本プロジェクトに着手しました。

 

<環境>

・エネルギーマネジメントサービス事業化に向けた取り組み

 当社は、事業の新たな柱として、地域社会に必要なエネルギー供給から施設管理の省エネオペレーションまでを含めたエネルギーマネジメントサービスの確立を目指しています。その一環として、現在、他社との協業により環境省が主催する実証事業(※)に参加し、埼玉県浦和美園地区において、ブロックチェーン技術を用いた再生可能エネルギーの電力融通の実証に取り組んでいます。当期間は、イオンモール浦和美園に太陽光発電を設置するとともに、再生可能エネルギーを識別する端末を同モール、ミニストップ複数店舗や浦和美園地区内の一般家庭に設置し、地域コミュニティの中で電力を融通する仕組みを構築し、10月より実証を開始しました。

※「CO2 排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」期間:2017年4月~2020年3月

 

・「2019年度省エネ大賞」省エネルギーセンター会長賞を受賞

 当社は、ラサール不動産投資顧問会社、JLLモールマネジメント株式会社と実施した「ショッピングセンターにおける無線通信を活用した空調・照明の消費電力削減」により、一般社団法人 省エネルギーセンター主催の2019年度省エネ大賞において省エネ事例部門「省エネルギーセンター会長賞」を共同受賞しました。

 受賞案件において、当社は、お客さまのサスティナビリティ・ガイドラインのもと、unimo ちはら台ショッピングセンター(千葉県市原市)に、効率的な管理を可能とする空調制御システムを提案・導入し、同施設における消費電力量の大幅な削減(※)に貢献しました。

 当社では、今般の受賞に繋がった空調制御システムの導入拡大を進め、施設の更なる省エネルギー化に取り組んでまいります。

※2015年以降の4年間で、他社導入によるLED照明と空調制御システムを中心とした施策により共用管理部分における消費電力量を30%削減

 

[グローバル展開の加速]

 中国では、中核事業会社である永旺永楽(江蘇)物業服務有限公司と武漢小竹物業管理有限公司2社において、重点ターゲットとする中高級ショッピングセンターや病院・養老院、インフラ、再開発エリアといった施設の受託拡大に注力しました。

 アセアンでは、2018年12月に連結子会社化したインドネシアの清掃事業会社 PT Sinar Jernih Sarana(以下、「SJS社」)の業績が連結寄与しました。当期間は、現地のイオンモールで総合施設管理を受託してきたイオンディライトベトナムのノウハウを活用し、SJS社にてインドネシアで営業するイオンモール1、2号店における総合施設管理の切替受託に向けた準備を進め、2019年10月より同2号店において設備管理業務と警備業務を含めた総合施設管理サービスの提供を開始しました。今後、イオンモールへの総合施設管理サービスの提供を通じて、同社をアセアン事業を牽引するFM企業へと成長させてまいります。

 これらの結果、海外事業は売上ベースで対前年比約1.2倍、営業利益ベースで対前年比1.5倍超と大きく成長を果たすことができました。

 

(2) 当連結会計年度における主要事業の概況

[セグメント別業績]

<売上高>

セグメントの名称

売上高(百万円)

構成比(%)

対前年比(%)

設備管理事業

58,289

18.9

103.4

警備事業

44,647

14.5

100.4

清掃事業

62,362

20.2

107.2

建設施工事業

41,844

13.6

100.9

資材関連事業

51,125

16.6

100.2

自動販売機事業

31,544

10.2

98.7

サポート事業

18,768

6.0

96.5

(ご参考)

カジタクの業績を除くサポート事業

 

14,338

102.5

合  計

308,582

100.0

101.9

(ご参考)

カジタクの業績を除く合計

 

304,153

102.2

 

<セグメント利益>

セグメントの名称

セグメント利益(百万円)

構成比(%)

対前年比(%)

設備管理事業

5,293

22.6

95.2

警備事業

3,038

13.0

105.4

清掃事業

6,967

29.8

104.1

建設施工事業

3,816

16.3

95.7

資材関連事業

2,489

10.6

89.6

自動販売機事業

1,396

6.0

119.9

サポート事業

416

1.7

(ご参考)

カジタクの業績を除くサポート事業

 

1,628

91.9

合  計

23,418

100.0

112.6

(ご参考)

カジタクの業績を除く合計

 

24,630

99.2

 

<設備管理事業>

 設備管理事業は、売上高582億89百万円(対前年比103.4%)、セグメント利益52億93百万円(同95.2%)となりました。新規の顧客開拓により増収したものの、仕入原価の上昇が影響し、減益となりました。こうした中、省力化や収益性の改善に向けて業務の棚卸しや集約化を進めるとともに業務プロセスの抜本的な改革を目指し、オープンネットワークシステムによる統合型施設管理サービスを開発し、イオン藤井寺SCに初導入しました。

 

<警備事業>

 警備事業は、売上高446億47百万円(対前年比100.4%)、セグメント利益30億38百万円(同105.4%)となりました。労働需給の逼迫感が強まる中、同事業では、価格交渉を通じた単価の適正化と収益性の改善に取り組むとともに、受託物件における業務省力化を目的に入退店管理や閉店業務のシステム化を進めました。

 

<清掃事業>

 清掃事業は、売上高623億62百万円(対前年比107.2%)、セグメント利益69億67百万円(同104.1%)となりました。新規の顧客開拓に加え、2018年12月に連結子会社化したインドネシア

の清掃事業会社SJS社の業績が寄与しました。また、省力化を目的に前期に開発した自動走行型床清掃ロボットの導入、販売を促進しました。

 

<建設施工事業>

 建設施工事業は、売上高418億44百万円(対前年比100.9%)、セグメント利益38億16百万円(同95.7%)となりました。各エリアにおける需要に対して、地域密着でサービスを提供できる体制を整備したことにより改装工事の受託を拡大することができました。しかしながら、連結子会社において計画された大型工事の進捗が遅れたことなどが影響し、減益となりました。同事業では引き続き、市場規模の大きな関東や関西を中心に工事受託体制を強化するとともに、設計・デザインといった川上からのプロジェクト参画を増やし、大型改装工事の受託拡大を図ってまいります。加えて、収益性の改善に向けた見積精査に取り組みます。

 また、連結子会社や協力会社との連携により、サービスネットワークを整備することで各社が相互にサポートし合える体制を構築し、イオンディライトグループとして工事需要の着実な取り込みを図ります。

 

<資材関連事業>

 資材関連事業は、売上高511億25百万円(対前年比100.2%)、セグメント利益24億89百万円(同89.6%)となりました。新規の顧客開拓や包装包材の受託拡大により、増収となりましたが、主力商品の売上減少やそれによる取引量減少に伴う配送効率の悪化が影響し、減益となりました。

 同事業では引き続き、イオングループが扱う資材を包括的に提供できるサプライヤーを目指し、付加価値の高い環境関連資材の開発や拡販に取り組むとともに、収益性の改善に向けて物流形態の変更などによるコストの削減に努めてまいります。

 

<自動販売機事業>

 自動販売機事業は、売上高315億44百万円(対前年比98.7%)、セグメント利益13億96百万円(同119.9%)となりました。同事業では、一台当たりの収益力を高めるために、各飲料メーカーの商品を取り揃えた自社混合機の設置拡大を進めるとともに、自動販売機の立地環境の見直しに取り組みました。加えて、自社混合機の入替期間実績および物理的寿命などを総合的に勘案し、その耐用年数を見直した結果、減価償却費が減少し、業績に寄与しました。

 

<サポート事業>

 サポート事業は、売上高187億68百万円(対前年比96.5%)、セグメント利益4億16百万円(前期はセグメント損失22億70百万円)となりました(※1)。アクティア(旧カジタク)では、新商品の開発など、家事支援事業の拡大に向けた取り組みに注力しました。その他、同事業では、BTMやMICE(※2)など、連結子会社による事業に加え、お客さまの施設とその周辺環境の管理運営に関するアウトソーシングニーズに応える様々なサービスの提供拡大に取り組みました。

※1 (ご参考)カジタクの業績を除いたサポート事業の業績は、売上高143億38百万円(対前年比102.5%)、セグメント利益16億28百万円(同91.9%)となりました。

※2  BTM(Business Travel Management)

出張手配及びその周辺業務を包括的に代行することで経費の削減や業務効率化をサポートするアウトソーシングサービス

MICE(Meeting, Incentive Travel, Convention/Conference, Exhibition/Event

国際会議や学会、展示会など、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称

 

(3)キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ177億13百万円(140.8%)増加し、611億51百万円となりました。

  なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上155億48百万円、減価償却費、減損損失及びのれん償却額33億43百万円、売上債権の増加24億70百万円、仕入債務の減少26億62百万円、法人税等の支払額65億6百万円により、73億71百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動によるキャッシュ・フローは、主に関係会社寄託金の寄託及び返還による純収入160億円、有形及び無形固定資産の取得による支出23億61百万円により、138億38百万円の収入となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払31億95百万円、短期借入金の純減少額1億43百万円により、33億92百万円の支出となりました。

 

 

(4)生産、受注及び販売の実績

①生産実績及び受注実績

当社の業務内容は、IFM事業の役務提供を主体としており、生産実績及び受注状況を画一的に表示することは困難なため、記載しておりません。

 

②販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前年比(%)

設備管理事業

58,289

103.4

警備事業

44,647

100.4

清掃事業

62,362

107.2

建設施工事業

41,844

100.9

資材関連事業

51,125

100.2

自動販売機事業

31,544

98.7

サポート事業

18,768

96.5

合 計

308,582

101.9

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自  2018年3月1日

至  2019年2月28日)

当連結会計年度

(自  2019年3月1日

至  2020年2月29日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

イオンリテール㈱

75,602

25.0

73,582

23.8

 前連結会計年度及び当連結会計年度におけるイオングループ全体での販売実績及び総販売実績に対する割合はそれぞれ、195,733百万円、64.6%、194,054百万円、62.9%であります。

 なお、当連結会計年度より、イオングループ全体での自動販売機事業に係る販売実績及び総販売実績に対する割合の集計方法を、自動販売機の設置先ごとに集計した金額により組替えて算出しております。

3  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

①  売上高

  当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ56億66百万円(1.9%)増加し、3,085億82百万円となりました。セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、設備管理事業18.9%、警備事業14.5%、清掃事業20.2%、建設施工事業13.6%、資材関連事業16.6%、自動販売機事業10.2%、サポート事業6.0%となりました。

②  売上原価、販売費及び一般管理費

  当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ25億48百万円(1.0%)増加し2,700億11百万円、販売費及び一般管理費は1億47百万円(0.7%)増加し、225億69百万円となりました。

  これらの結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ29億71百万円(22.8%)増益の160億1百万円となりました。

③  経常利益及び当期純利益

  当連結会計年度の経常利益は、受取配当金1億31百万円の計上とともに、前連結会計年度に自己株式取得関連費用26百万円や中国子会社の出資持分追加取得費用である支払手数料54百万円等の計上があったことにより、前連結会計年度に比べ25億87百万円(19.4%)増益の159億49百万円となりました。

  当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、減損損失1億75百万円など特別損失を5億30百万円計上したものの、投資有価証券売却益1億11百万円など特別利益を1億29百万円の計上により、前連結会計年度に比べ23億81百万円(18.1%)増益の155億48百万円となりました。

  当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計は、前連結会計年度に比べ1億32百万円(2.2%)減少し、59億54百万円となりました。

  これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ29億33百万円(45.7%)増益の93億48百万円となりました。また、1株当たり当期純利益については、前連結会計年度より64.29円増加し、187.21円となりました。

 

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

①  資産

  総資産は、前連結会計年度末に比べ28億45百万円(2.1%)増加して1,369億17百万円となりました。

  これは主に現金及び預金の増加181億22百万円、受取手形及び売掛金、電子記録債権を合わせた売上債権の増加25億22百万円、関係会社寄託金の減少160億円、のれんの減少7億89百万円、投資その他の資産その他の減少9億17百万円によるものであります。

②  負債

  負債は、前連結会計年度末に比べ29億1百万円(5.0%)減少して556億31百万円となりました。

  これは主に支払手形及び買掛金、電子記録債務を合わせた仕入債務の減少26億75百万円、未払法人税等の減少8億65百万円、繰延税金負債の増加6億6百万円によるものであります。

③  純資産

  純資産は、前連結会計年度末に比べ57億46百万円(7.6%)増加して812億86百万円となりました。

  これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上93億48百万円と配当の実施31億95百万円により利益剰余金が61億52百万円増加したことによるものであります。

 

(3)当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

  キャッシュ・フローの状況につきましては、「1.経営成績等の状況」(3)キャッシュ・フローの状況をご参照ください。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

①  資金需要

 当社グループが営むIFM事業は人的サービスを主としていることから、資金需要の主なものは人件費及び委託先へ支払う外注費用であります。

 また、設備投資にかかる資金需要の主なものは、自動販売機及び清掃資機材等の器具備品並びにシステムソフトウェア費用であります。

②  財務政策

 当社グループの事業活動に必要な資金については、自己資金にて賄うことを基本としております。

 

(5)目標とする経営指標の状況

 当社は、積極的な投資を通じて持続的な成長を実現し、中長期的に株主価値を高め、会社の成長に合わせて株主への利益還元を拡大できるように努めます。

 また、資本効率に関する目安として自己資本利益率(ROE)を重視し、当面は12%水準を意識してまいります。

 なお、2020年2月期の自己資本利益率(ROE)は12.3%であります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

  特記事項はありません。