第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営の基本方針

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社は、経営理念「私たちは、お客さま、地域社会の『環境価値』を創造し続けます。」のもと、アジアを主たる活動領域にファシリティマネジメント(以下、「FM」)事業を展開しています。当社が掲げる「環境価値創造」とは、人々が平和と豊かさを享受できる環境を創出していくということです。当社は、事業を通じて環境価値を創造し続け、社会の持続的発展に貢献していくことで、お客さま、地域社会から必要とされ続ける企業でありたいと考えています。

 

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  イオンディライト ビジョン2025

 当社は、更なる持続的成長を目的にイオンディライト ビジョン2025(以下、「ビジョン2025」)を策定し、「アジアにおいて『安全・安心』、『人手不足』、『環境』の3つを成長戦略の柱に社会課題を解決する環境価値創造企業を目指す」ことを宣言しています。また、これを実現するため、FMの専門家集団としての企業ブランドを確立するとともに、事業を展開する各エリアにおいて地域経済圏の形成に取り組んでいます。

 

<2025年度 目標数値>

 

売上高

4,710億円

 

グローバルTOP10、アジアNo.1

 

 

 

営業利益

370億円

 

営業利益率グローバルトップレベル

 

〈ESG経営の推進〉

 当社では、社会課題解決への推進力を高めるためには、事業と環境・社会を両輪とするESG経営の実践が不可欠だと考えています。そのため、ESG経営の指針として、2021年8月に「サステナビリティ基本方針」を策定しました。以降、当社では、本方針に則り、持続可能性を意識した事業活動を推進しています。

 

サステナビリティ基本方針

 イオンディライトは、「私たちは、お客さま、地域社会の『環境価値』を創造し続けます」を経営理念として掲げています。この経営理念のもと、多くのステークホルダーとともに、あらゆる場面において『環境価値』を創造することで、社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献します。

・施設とその周辺において、安全・安心で、衛生的・健康的な利用環境の実現に努めます。

・社会の期待に応えるソリューションの提供を通じて、脱炭素社会の実現と生物多様性の保全、

 資源循環の促進に貢献します。

・法令や社会規範を遵守し、取引先と相互の信頼関係を構築するとともにサプライチェーン全体

 での公正な事業活動を行います。

・一人ひとりの人権を尊重し、多様な人材が能力を発揮できる活力ある組織風土づくりを行いま

 す。

・企業市民として、より良い環境や社会を目指す社会貢献活動に取り組みます。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

中期3ヵ年経営計画の策定(2022年2月期~2024年2月期)

 当社は、ビジョン2025の実現に向けて、2022年2月期を初年度とする中期3ヵ年経営計画(以下、「中期経営計画」)を策定しました。中期経営計画では、「お客さま起点の経営」、「グループ経営」、「DXの推進」の3つを基本方針に掲げ、各種取り組みを推進しています。

(2024年2月期の計画数値)

 

売上高 3,610億円

 

営業利益 220億円

 

親会社株主に帰属する

当期純利益 140億円

 

 中期経営計画の2年目にあたる2023年2月期は、2022年4月1日付で実施した機構改革による新たな体制のもと、3つの基本方針の実践を加速することで、目標数値の達成を目指してまいります。

 

(ア)お客さま起点の経営

 当社が目指すのは、お客さまの声をサービス開発や品質管理、営業といった自らの組織力に変え、価値ある提案へと繋げる体制です。これを実現するため、お客さまの声や施設の状況、顧客業界の市場動向といった様々なデータを収集、分析し価値ある情報へと加工していく仕組みとしてイオンディライトプラットフォームの整備に取り組んでまいりました。この一環として、2022年2月期は、業務効率化のため社内システム間の連携化を推進しました。また、営業部門では、イオンディライトプラットフォームを活用し、デジタル化によりお客さまからのリクエスト情報を可視化し共有することで、お客さまのニーズや課題に即応できる体制を構築しました。

 2023年2月期は、顧客接点を強化するため、国内全8支社配下の支店エリア体制をお客さまのニーズや施設特性、地域特性等に合わせて再編するとともに、オペレーションからマネジメントに至る各階層の職務を再定義することで、支社全体で各地域のお客さまと向き合う体制を構築します。

 また、営業部門では、アカウント営業をより一層強化することで、既存顧客内シェア拡大や新規顧客開拓の更なる促進を図ります。併せて、お客さまに提供する新たな付加価値として、これまで施設管理の一環として提供してきた省エネルギー提案をはじめとする環境負荷低減に資する各種取り組みを体系化し、お客さまの脱炭素化を全面的に支援するコンサルティングビジネスを展開していきます。また、これまで医療関連施設を中心に提供してきたヘルスケア関連サービスについては、提案施設を宿泊施設等へと拡大し、今後の事業の柱としての育成を図ります。

 こうした活動を通じて、イオンディライトプラットフォームにインプットする施設情報や顧客情報を増やし、お客さまにとって、より価値の高い情報をアウトプットし、カスタマーサクセスへの更なる貢献を目指してまいります。

 

(イ)DXの推進

 当社では、「お客さま起点の経営」と「DXの推進」は不可分の関係にあると考えています。お客さま起点の経営体制を精度の高いものとしていくためには、より多くのお客さまの声や様々な施設の情報を収集し、イオンディライトプラットフォーム上で流通させ、分析、加工を経たアウトプット情報をグループ全体で活用していく必要があります。

 2022年2月期は新たな施設管理モデル「エリア管理」の展開を進め、全国計151施設(累計178施設)で省人化を実現し、カスタマーサポートセンター(以下、「CSC」)から遠隔制御できる施設を増加させました。

 2023年2月期は、「エリア管理」の展開を継続し、更に100施設(累計278施設)での省人化を図ります。同時に警備や清掃、サポート事業といった設備管理以外の業務においてもDXに向けた研究開発を推進することで持続可能な施設管理モデルを構築してまいります。これにより、人手不足の解消と収益構造変革の早期実現を目指します。

 

(ウ)グループ経営

 グループ各社間の連携を強化し、個社毎の事業特性を踏まえつつ、アフターコロナを見据えた各社の課題解決に取り組むことでイオンディライトグループとしての更なる成長を図ります。また、アジアにおける事業拡大を促進するため、アセアン事業の経営基盤を強化すべくアセアン本社設立に向けた準備を進めます。

 加えて、持続的成長を支えるグループガバナンスの更なる強化と健全な組織風土醸成に継続的に取り組んでまいります。

2【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)イオングループ企業との取引について

  当社は、お客さまの戦略的パートナーとして、ファシリティに関する多彩なサービスで課題解決に最適なソリューションを提供する「ファシリティマネジメント事業」を営んでおります。

  また、同時に当社は純粋持株会社であるイオン㈱の企業集団におけるサービス・専門店事業に属しております。

  2022年2月期における売上高のうち、同社グループに対するものは2,045億66百万円であり、総売上高全体に占める割合は64.4%であります。

  大口取引先であるイオングループ企業との取引について、条件の変更等が発生した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制について

  当社の主な業務内容は、商業施設やオフィスビル等の建物の設備管理、警備、清掃、建設施工事業等であります。これらの業務を行ううえで、当社は、法的規制に基づく各種許可、登録並びに認可等を受けております。

  今後、これらの法的規制の要件を満たすことができなかった場合には、事業活動に制約を受けることもあり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)個人情報の取り扱いについて

  ファシリティマネジメント事業を展開する上で顧客やお取引先から得た個人情報を保管管理しております。当社は、個人情報保護の重要性を充分に認識しており、個人情報保護方針・取扱ルールの策定及び従業員教育を含めた社内体制の強化充実を進めております。

  しかしながら、万一、個人情報の漏洩や不正利用などの事態が生じた場合には、社会的信用の失墜及び損害賠償責任等により、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)中国及びアセアンでの事業展開について

  当社は、中国及びアセアン地域において現地子会社を設立し、事業展開を行っておりますが、同地域にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(高成長の持続性等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生する可能性があります。また、文化や習慣の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、当社の予想を超える水準で発生する可能性に加え、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても予想できないリスクが潜んでいると考えております。

  こうしたリスクが顕在化した場合、現在実施している業務の中断等が懸念され、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)人材及び労働力の確保について

  当社は、労働集約型事業を展開しているため、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠であります。働き方改善に向け取り組み、労働環境の改善及び整備、社員の定着に取り組んでまいりますが、労働需給がさらに逼迫し、人材を十分に確保できなかった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

  また、法令や制度の改正、物価変動等により社員に関わるコストが大幅に増加した場合にも、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)競争激化による影響について

  当社が事業を行っている業界において、技術の進展や新規参入等により競争が激化し、これに十分な対応ができない場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)テクノロジーの活用について

  当社は、提供するサービスの生産性向上を図るため、進化を続けるIoTやロボット等のテクノロジーの活用を進めております。しかしながら、テクノロジーの活用に係る研究開発が進捗しない、または中断するなどした場合に、期待する成長が達成できない可能性があります。

 

(8)子会社の管理体制について

  当社は、連結子会社24社、関連会社4社を有しており、各社の業績及び財政状態は当社グループの連結財務諸表における業績及び財政状況に影響を及ぼします。

 また、連結子会社の運営にあたり、国内グループFM事業COO、アセアン事業COO、中国事業COO、関連企業部など管理担当部署を設置し関係会社管理規程に基づき適切な管理及び支援を行っておりますが、当社による連結子会社への管理及び支援が適切に行われず、当該連結子会社の業績の悪化や不祥事等が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)地震や台風等の災害、パンデミック、テロ活動等について

  当社の事務所等及び当社が管理する店舗・施設の周辺地域において大地震や台風等の災害或いは予期せぬ事故等の発生、暴動、感染症のパンデミック、テロ活動その他事業活動に影響する何らかの事象が発生し、物理的損害や人的損害により、当社の事業活動が阻害された場合、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(10)新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関するリスクについて

 2019年12月に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生が初めて報告されて以降、世界的な感染拡大が続いております。当社グループにおきましても、感染拡大防止を目的に事業を展開するアジア各地で実施された各種施設の一部閉鎖や臨時休業、イベント中止や外出自粛要請等が当連結会計年度の業績に影響を及ぼしました。

 こうした中、当社グループでは、お客さまへのサービス提供を停止しないためにも、従業員の健康と安全を第一に考えた行動を実践していくことが最も重要だと考え、全従業員の体調管理や感染予防策の徹底、クラスター発生個所への立ち入り有無の調査等、当社グループ内において感染拡大防止に向けた取り組みを継続しております。

 また、お客さまに対しては、感染拡大初期より防疫関連資材を継続的に提供するとともに、外部有識者にもご協力いただき、防疫対策を組み入れたファシリティマネジメントサービス「ニュースタンダード(新基準)クリーニング」を提供しています。当社グループでは引き続き、イオングループにおいて制定された「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」を踏まえ、サービスの提供を通じた防疫対策を実行していくことで、防疫が生活の一部となる社会を実現し、お客さま及び従業員の健康と生活を守り、地域社会に「安全・安心」な施設環境を提供してまいります。

 一方、今後の影響につきましては、一部当社グループ事業を除き、当連結会計年度内に概ね収束したものとして会計上の見積りを行っておりますが、未だ感染拡大が続き予断を許さない中、政府の要請等に伴う施設の休業や閉鎖等が頻発したり長期化したりした場合、当社の事業、財務状況及び業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況

(1) 経営成績に関する説明

当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)の業績は、売上高が3,176億57百万円(対前年比105.9%)、営業利益157億33百万円(同103.3%)、経常利益157億89百万円(同103.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益106億65百万円(同91.3%)となりました。

当期上期は、新型コロナウイルスの陽性反応者が確認された施設におけるアルコール消毒清掃の需要拡大や2021年2月に発生した福島県沖地震の復旧関連工事等が上積み要因となり、期初に掲げた連結業績予想(以下、「連結業績予想」)に対し、堅調に業績を推移することができました。しかしながら、下期以降、建設施工事業等において、各種工事の延期や規模の縮小が続く等、新型コロナウイルスによるマイナス影響が期初想定を上回る中、コロナ下におけるお客さまの経営環境変化に寄り添った提案が不十分となってしまったこと等により、通期では、売上高、営業利益、経常利益が連結業績予想を下回る結果となりました。

一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、経営効率化の一環として実施した連結子会社の固定資産売却に伴う特別利益の計上等により、期初に掲げた連結業績予想を上回る結果となりました。

※期初に掲げた2022年2月期の連結業績予想:売上高3,250億円、営業利益・経常利益165億円、親会社株主に帰属する当期純利益105億円

 

[当連結会計年度の主な取り組み]

〈中期3ヵ年経営計画の策定〉

当社は、中長期ビジョン「イオンディライト ビジョン2025」(以下、「ビジョン2025」)の実現に向けた成長を加速するため、新たに2021年度を初年度とする中期3ヵ年経営計画(以下、「中期経営計画」)を策定しました。こうした中、当期は、施設の「安全・安心」を守るファシリティマネジメント(以下、「FM」)企業として依然、感染拡大が続く新型コロナウイルスへの対応を実施しながら、中期経営計画で掲げる「お客さま起点の経営」、「DXの推進」、「グループ経営」の3つの基本方針に基づく各種取り組みを推進いたしました。

 

〈新型コロナウイルス感染拡大への対応〉

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、当社はイオングループ店舗をはじめとした各種施設に向けて、業務用マスク、手袋、アルコール、アクリルパーテーションといった防疫関連資材の提供や施設内の換気改善を促進するための「ネットワーク型CO2濃度モニターシステム」の開発や導入といった防疫対策の実施を継続しました。加えて、陽性反応者が確認された施設への消毒清掃の実施や科学的根拠に基づき衛生的な環境を実現するニュースタンダードクリーニングの導入拡大に努めました。

当社では引き続き、接触感染防止や飛沫感染防止に向けた様々な防疫対策を提供していくことで、コロナ下においても、お客さま、地域社会に「安全・安心」な施設環境を提供してまいります。

 

〈お客さま起点の経営〉

当社は、お客さまのニーズを起点とするサービスを提供していくことを目的に既存顧客に対して、顧客毎の取引全般に責任を持つアカウントマネジャーを配置し、アカウント営業の強化に取り組みました。アカウントマネジャーによる顧客に寄り添った対応により顧客満足度を高めるとともに、各顧客への理解を深め、それぞれの課題や業界動向の正確かつ迅速な把握に努めました。また、営業生産性の向上を目的に、営業活動の可視化・共有化に取り組み、成約に至った案件のプロセスを分析し展開することで組織的な営業力強化を図りました。そのほか、2022年1月にFMのサービス紹介サイト「FM Navi」を開設しました。こうした取り組みにより、既存顧客における未受託物件の受託や新規顧客開拓に繋げ、マーケットシェアを拡大しました。

同時に期初より全国8支社にて稼働を開始したカスタマーサポートセンター(以下、「CSC」)にて、顧客施設の情報やニーズの集約に努めました。アカウントマネジャーからの顧客情報、CSCからの施設情報の分析を通じて、業種別ソリューションの開発や品質改善に向けた取り組みを推進しました。

 

〈DXの推進〉

FM業界において、人手不足の解消が喫緊の課題となる中、当社では、人手不足に対応しながら設備管理の専門性を活かしたサービスを効率的に提供していくための新たな施設管理モデル「エリア管理」の展開を推進しました。CSCによる遠隔サポートと各種システムやセンサーを活用した設備管理業務の省人化を通じて、従来の常駐型個別管理から巡回を主体にエリア単位で複数の施設を効率的に管理する仕組みへと移行を進めました。この結果、2022年2月末日現在、全国計151施設で省人化を実現しました。省人化した顧客施設では、CSCからの技術支援によるサービス品質の向上や常駐設備管理員のポスト削減に伴うオペレーションコストの削減に取り組みました。また、省人化に伴い、115名の設備管理の専門人材を新規受託物件や営業、工事部門に再配置することで、修繕工事や省エネ機器の更新工事の提案を積極化する等、更なるサービスの提供拡大に努めました。

同時に、設備管理のみならず、警備においては、入退店管理や閉店業務のシステム化を推進し、清掃においては実用性を検証したうえで複数機種の清掃ロボットの採用を開始する等、持続可能な施設管理モデル構築に向けて各事業においてDXを推進しました。

 

〈グループ経営〉

・国内グループ会社の状況

当社は、FM市場における中小型施設への競争力強化を目的に、連結子会社であるエイ・ジー・サービス(株)と(株)ドゥサービスを合併し、2021年3月1日付でイオンディライトコネクト(株)(以下、「ADコネクト」)を設立しました。当期は、ADコネクトを中・小型施設管理の中核会社としたグループ経営体制により従来、十分に参入できていなかった市場領域を含めた、より多くのお客さまへのサービス提供拡大を図りました。しかしながら、コロナ下で競争環境が激化する中、統合効果も十分に発揮することができず、期初に見込んだ成果を上げることができませんでした。また、旅行関連事業を展開するイオンコンパス(株)や家事支援事業を展開するアクティア(株)においても、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、前年度に引き続き、苦戦を強いられ、国内におけるグループ経営体制の強化が次年度以降の課題として残りました。

 

・アジアでの事業拡大

(中国)

アジア最大の成長エリアと位置付ける中国では、2021年4月に設立した統括会社「永旺永楽(中国)物業服務有限公司」のグループ経営のもと、中核事業会社である永旺永楽(江蘇)物業服務有限公司、並びに武漢小竹物業管理有限公司において、重点ターゲットとする中高級ショッピングセンターや病院・養老院、再開発エリアといった施設の受託拡大に注力しました。

同時にFM業務を軸に、プロパティマネジメント業務やケータリング、クリーニングサービス、養老院における入居者向けサービス等、事業領域の拡大にも積極的に取り組み、堅調に事業を拡大しました。

 

(アセアン)

 アセアンでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により当社が現地法人を置くマレーシアやインドネシア、ベトナムの各国で経済活動が制限され、施設の操業停止や時短営業といった措置が続き、厳しい経営環境が続きました。現地法人各社、並びにパートナー企業各社従業員の就業にも影響が出る中、防疫対策を徹底することで、受託する施設の運営を担保し、コロナ下でのお客さまの事業継続を支援しました。

(2) 当連結会計年度における主要事業の概況

[セグメント別業績]

<売上高>

セグメントの名称

売上高(百万円)

構成比(%)

対前年比(%)

設備管理事業

61,538

19.4

105.7

警備事業

47,239

14.9

106.4

清掃事業

66,963

21.1

107.2

建設施工事業

43,015

13.5

105.8

資材関連事業

56,497

17.8

106.5

自動販売機事業

26,353

8.3

103.5

サポート事業

16,049

5.0

101.3

合計

317,657

100.0

105.9

 

<セグメント利益>

セグメントの名称

セグメント利益(百万円)

構成比(%)

対前年比(%)

設備管理事業

5,495

22.7

106.2

警備事業

3,435

14.2

103.9

清掃事業

8,106

33.4

110.7

建設施工事業

3,583

14.8

92.4

資材関連事業

2,560

10.6

103.8

自動販売機事業

608

2.5

93.1

サポート事業

441

1.8

-

合計

24,232

100.0

106.6

 

 

〈設備管理事業〉

 設備管理事業は、売上高615億38百万円(対前年比105.7%)、セグメント利益54億95百万円(同106.2%)となりました。同事業では、新規顧客開拓や既存顧客における各種整備業務の受注拡大等により増収となりました。また、業務プロセスの変革に向けて、エリア管理化を推進しました。

 

〈警備事業〉

 警備事業は、売上高472億39百万円(対前年比106.4%)、セグメント利益34億35百万円(同103.9%)となりました。同事業では、イベント警備をはじめ前年度からの需要回復に伴い増収となりました。また、収益性の向上を目的に、入退店管理、並びに閉店業務のシステム化や価格交渉を通じた単価適正化に向けた取り組みを継続しました。

 

〈清掃事業〉

 清掃事業は、売上高669億63百万円(対前年比107.2%)、セグメント利益81億6百万円(同110.7%)となりました。同事業では、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けたアルコール消毒清掃の提供に加え、ウィズコロナ時代の清掃新基準「ニュースタンダードクリーニング」の導入拡大に注力し、新規顧客開拓や既存顧客における受託拡大に繋げました。

 

〈建設施工事業〉

 建設施工事業は、売上高430億15百万円(対前年比105.8%)、セグメント利益35億83百万円(同92.4%)となりました。同事業では、2021年2月に発生した福島県沖地震の復旧関連工事等により上期は増収増益となったものの、下期は新型コロナウイルス感染拡大に伴う一部工事の延期や規模の縮小が続き、通期では増収減益となりました。

 

〈資材関連事業〉

 資材関連事業は、売上高564億97百万円(対前年比106.5%)、セグメント利益25億60百万円(同103.8%)となりました。同事業では、業務用マスク・手袋・アルコールや飛沫防止用のアクリルパーテーション等、防疫関連資材の提供を継続しました。加えて、イオングループ内でのシェア拡大に注力するとともに、環境に配慮した資材の提供拡大に努めました。

 

〈自動販売機事業〉

 自動販売機事業は、売上高263億53百万円(対前年比103.5%)、セグメント利益6億8百万円(同93.1%)となりました。同事業では、期初からの新型コロナウイルス感染拡大に伴う人流抑制や生活様式の変容に伴う消費者の購買行動の変化により、売上が期初に見込んだほどの回復に至らず増収減益となりました。

 

〈サポート事業〉

 サポート事業は、売上高160億49百万円(対前年比101.3%)、セグメント利益4億41百万円(前期はセグメント損失75百万円)となりました。同事業では、お客さまの施設とその周辺の管理運営に関するアウトソーシングニーズに応える様々なサービスの提供拡大に取り組みました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ85億82百万円(14.6%)増加し、675億20百万円となりました。

  なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上163億55百万円、減価償却、減損損失及びのれん償却39億19百万円、法人税等の支払25億92百万円により、125億98百万円の資金の増加(前連結会計年度は104億3百万円の資金の増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形及び無形固定資産の取得による支出34億78百万円、有形及び無形固定資産の売却による収入32億54百万円により、3億86百万円の資金の減少(前連結会計年度は73億25百万円の資金の減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払44億50百万円により、45億円72百万円の資金の減少(前連結会計年度は53億24百万円の資金の減少)となりました。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

①生産実績及び受注実績

 当社の業務内容は、ファシリティマネジメント事業の役務提供を主体としており、生産実績及び受注状況を画一的に表示することは困難なため、記載しておりません。

 

②販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前年比(%)

設備管理事業

61,538

105.7

警備事業

47,239

106.4

清掃事業

66,963

107.2

建設施工事業

43,015

105.8

資材関連事業

56,497

106.5

自動販売機事業

26,353

103.5

サポート事業

16,049

101.3

合 計

317,657

105.9

(注)1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

 

相手先

前連結会計年度

(自  2020年3月1日

至  2021年2月28日)

当連結会計年度

(自  2021年3月1日

至  2022年2月28日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

イオンリテール㈱

67,445

22.5

68,694

21.6

 前連結会計年度及び当連結会計年度におけるイオングループ全体での販売実績及び総販売実績に対する割合はそれぞれ、192,925百万円、64.3%、204,566百万円、64.4%であります。

3  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

①  売上高

  当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ175億71百万円(5.9%)増加し、3,176億57百万円となりました。セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、設備管理事業19.4%、警備事業14.9%、清掃事業21.1%、建設施工事業13.5%、資材関連事業17.8%、自動販売機事業8.3%、サポート事業5.0%となりました。

②  売上原価、販売費及び一般管理費

  当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ152億48百万円(5.8%)増加し2,781億58百万円、販売費及び一般管理費は18億19百万円(8.3%)増加し、237億64百万円となりました。

  これらの結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ5億3百万円(3.3%)増益の157億33百万円となりました。

③  経常利益及び親会社に帰属する当期純利益

  当連結会計年度の経常利益は、前述の営業利益の増益により、前連結会計年度に比べ5億21百万円(3.4%)増益の157億89百万円となりました。

  当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、固定資産売却益12億23百万円や雇用調整助成金1億99百万円の特別利益を14億22百万円を計上し、減損損失4億41百万円など特別損失を8億56百万円計上したことにより、前連結会計年度に比べ57億4百万円(53.6%)増益の163億55百万円となりました。

  当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計は、前連結会計年度に比べ67億9百万円増加し、57億90百万円となりました。

  これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ10億15百万円(△8.7%)減益の106億65百万円となりました。また、1株当たり当期純利益については、前連結会計年度より20.43円減少し、213.26円となりました。

 

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

①  資産

  総資産は、前連結会計年度末に比べ62億93百万円(4.6%)増加して1,428億59百万円となりました。

  これは主に現金及び預金の増加85億9百万円、受取手形及び売掛金、電子記録債権を合わせた売上債権の増加25億70百万円、土地の減少15億33百万円、のれんの減少5億78百万円、投資有価証券の減少2億40百万円、繰延税金資産の減少18億89百万円によるものであります。

②  負債

  負債は、前連結会計年度末に比べ8億45百万円(△1.8%)減少して474億37百万円となりました。

  これは主に未払法人税等の増加11億79百万円、流動負債のその他の減少12億94百万円、固定負債のその他の減少6億16百万円によるものであります。

③  純資産

  純資産は、前連結会計年度末に比べ71億39百万円(8.1%)増加して954億21百万円となりました。

  これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上106億65百万円と配当の実施44億50百万円により利益剰余金が62億14百万円増加したことによるものであります。

 

(3)当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

  キャッシュ・フローの状況につきましては、「1.経営成績等の状況」(3)キャッシュ・フローの状況をご参照ください。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

①  資金需要

 当社グループが営むファシリティマネジメント事業は人的サービスを主としていることから、資金需要の主なものは人件費及び委託先へ支払う外注費用であります。

 また、設備投資にかかる資金需要の主なものは、自動販売機及び清掃資機材等の器具備品並びにシステムソフトウェア費用であります。

②  財務政策

 当社グループの事業活動に必要な資金については、自己資金にて賄うことを基本としております。

 

(5)目標とする経営指標の状況

 当社は、積極的な投資を通じて持続的な成長を実現し、中長期的に株主価値を高め、会社の成長に合わせて株主への利益還元を拡大できるように努めます。

 また、資本効率に関する目安として自己資本利益率(ROE)を重視し、当面は12%水準を意識してまいります。

 なお、2022年2月期の自己資本利益率(ROE)は11.7%であります。

 

(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

 重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。

 なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

  特記事項はありません。

 

5【研究開発活動】

  特記事項はありません。