第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

[企業環境]

 当連結会計年度における日本経済は、中国の経済成長鈍化に対する警戒感が強まったものの、政府による経済・金融対策等を背景として企業収益や雇用情勢の改善が進んでおり、全体としては弱含みながらも緩やかな回復基調が続きました。一方で、原油価格の急落や為替動向の不安定さなど金融経済及び実体経済ともに一定の不安要素が残っております。

 また、平成28年2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.28倍となり、労働需給が逼迫していることの目安である1倍を28ヵ月連続で上回って推移しております。

 一方で、企業に対しては、不適切会計問題、マンションの杭打ち不正問題、介護事業所従業員による利用者への虐待問題等が報道され、一層のコンプライアンス強化が求められております。

 

 当社を取り巻く事業環境においては、高齢化の進行に伴い、医療・介護サービス需要は一層拡大することが予想されます。平成27年11月には、一億総活躍国民会議が開催され、希望を生み出す強い経済実現のため、子育て支援、医療・介護等の社会保障充実を目指す議論がなされ、待機児童解消に向けた認可保育所等の整備前倒し、現行の介護保険事業計画等における整備加速化に加え、介護施設、在宅サービス及びサービス付き高齢者向け住宅の整備量を前倒し・上乗せすること等の対応策が発表されました。

 主力の医療関連受託事業では、平成27年9月に労働者派遣法が改正され、派遣元で無期雇用されている派遣労働者に対して派遣期間の制限が事実上撤廃されました。なお、平成27年度には診療報酬改定は行われておりません。

 介護・保育事業では、平成27年度に介護報酬改定が行われ、充実したサービスを行う施設への加算が拡充される一方、基本報酬が大幅に引き下げとなることで、9年ぶりの引き下げ(改定率△2.27%)となりました。

 

[業績]

 このような状況の中、当社グループにおいては医療関連受託事業の更なる強化と介護事業の拡大を図るとともに、医療・介護人材の確保・育成に向けた様々な施策に着手・実施してまいりました。

 また、平成27年12月に、大東建託株式会社、東邦ホールディングス株式会社及びインフォコム株式会社が当社の株主であるシージェイピー・エヌ・シー・ホールディングス・エル・ピーより当社株式の一部を取得しました。この結果、取得後の株式保有割合は、それぞれ37.5%、5.0%及び3.0%となりました。本件に関連し、当社は、大東建託株式会社とは、介護事業の収益拡大の加速化を目的に、インフォコム株式会社とは、医療・介護の現場力とITの融合による企業価値の向上を目的に、業務提携契約を締結しました。

 

 経営成績につきましては、売上高は63,070百万円(前連結会計年度比4.8%増)、営業利益は3,311百万円(同26.3%増)、経常利益は3,308百万円(同23.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、1,993百万円(同37.3%増)となりました。

 

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

 事業セグメント別の状況は次のとおりであります。

 

 医療関連受託事業の売上高は49,492百万円(前連結会計年度比0.0%増)となりました。複数の大口顧客との契約中止に伴う減収があったものの、労働者派遣法の改正(平成27年9月)に伴う派遣売上の増加、営業体制の強化による新規受注の獲得、既存顧客との積極的な取引拡大等により挽回しました。

 セグメント利益は、適正人員配置の推進や残業管理の強化を図ったこと等により4,766百万円(同5.8%増)となりました。

 

 介護・保育事業の売上高は12,825百万円(前連結会計年度比33.2%増)となりました。

 介護事業につきましては、平成26年12月に子会社化した株式会社ココチケアの業績が通期寄与しました。また、前連結会計年度に在宅サービスを中心に新規開設した事業所が通期稼働したこと及び営業活動の強化とサービスの充実を図ったこと等により利用者数が増加し、増収に寄与しました。

 保育事業につきましては、保育士の増員に伴い園児の受入体制が充実したことにより園児数が増加し、増収に寄与しました。

 セグメント利益は、介護事業において人件費を中心に費用効率が改善したことや株式会社ココチケアの業績が通期寄与したことに加え、保育事業において売上高の増加に伴い増益となったこと等により665百万円(同1,026.0%増)となりました。

 なお、当連結会計年度末における事業所数及び施設数は、介護事業219事業所(前連結会計年度末比+1)、保育事業13施設(同±0)となりました。

 また、当社は平成28年2月1日を効力発生日として、当社の完全子会社である株式会社ココチケアと吸収合併を行い、同社が営んでおりました介護事業に関する全ての権利義務を承継いたしました。

 

 その他の売上高は752百万円(前連結会計年度比29.0%減)となりました。キャリアセンターの不採算教室閉鎖に伴う受講生数の落ち込みにより、講座売上及び受験料売上が減少しました。

 セグメント損失は295百万円(前連結会計年度はセグメント損失269百万円)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,776百万円減少し、5,831百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,959百万円(前連結会計年度比9.9%収入減)となりました。これは、主に法人税等の支払額1,131百万円、未払消費税等の減少額1,026百万円があったものの、税金等調整前当期純利益3,171百万円、減価償却費472百万円を計上したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は224百万円(同91.8%支出減)となりました。これは、主に事業譲受による支出160百万円、有形固定資産の取得による支出94百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は3,511百万円(前連結会計年度は356百万円の獲得)となりました。これは、主に配当金の支払額1,999百万円、借入金の返済による支出1,460百万円によるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 該当事項はありません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

医療関連受託事業(千円)

49,492,831

100.0

介護・保育事業(千円)

12,825,861

133.2

報告セグメント計(千円)

62,318,693

105.4

その他(千円)

752,244

71.0

合計(千円)

63,070,937

104.8

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当社は、平成24年2月にMBOにより株式を非公開化した後、中長期的に競争力を維持させるための医療関連受託事業のビジネスモデル変革、介護事業の積極投資、創業事業である教育事業の見直しによるキャリアセンターの設置等の施策を次々と打ち出し、中長期的な成長を通じた企業価値向上を実現するべく事業を推進してまいりました。

 

 更なる成長を目指す当社グループの対処すべき課題は、優秀な人材をより多く確保すること(採用力)、ICT(インフォーメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)を活用したサービスプロセスの変革、M&Aを活用した事業拡大が柱となります。

 

(採用力)

 医療・介護サービス業界は慢性的な人手不足の状態となっており、年間6,000人を上回る人材を採用している当社にとって採用力の強化は重要な課題であります。このような環境を踏まえて、平成26年4月に人材確保機能を担う全社組織「キャリアセンター」を設立しております。「キャリアセンター」が現業人材の採用力・育成機能の強化を担い、医療機関・介護現場で求められる人材の提供力を強化してまいります。

 

(ICT)

 当社は、経営ビジョンとして、「ICTを活用しクオリティーと生産性を飛躍的に高める、医療事務・介護のイノベーションリーダー」を目指すことを掲げております。その取り組みを着実に推進するために、ICTを活用したサービスプロセスの変革を全事業に渡って進めるための推進組織「ICT ビジネスディベロップメントセンター」を設置し、強力に展開してまいります。

 

(M&A)

 基本報酬が大幅な引き下げとなった平成27年度の介護報酬改定や深刻な人材不足等が影響して、事業者の倒産件数が増加していると報道されております。当社グループにおいては、この影響が継続し、介護サービス事業者の統廃合が活発化すると見込んでおり、第2の収益の柱へと成長した介護事業の更なる拡大に向けて、M&Aを有効活用してまいります。そのため、専任組織を設け、さらに活発な展開を行ってまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

 なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものでありませんので、この点にご留意ください。

 なお、以下の記載事項は、特に断りがない限り、「本書」提出日現在の事項であり、将来に関する事項は提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)業界環境に関するリスクについて

①業界の動向及び競合他社について

(医療関連受託事業)

 当社グループの主たる顧客である医療機関は、2年に1度実施される診療報酬の改定や、現在推進されている医療制度改革等により、その経営に影響を受けることがあります。さらに、医療事務関連に対するアウトソーシング及び業務のIT化の流れも、業務受託機会、受託内容に影響を及ぼす可能性があります。

 また、同事業においては、高度な専門的知識が要求され、他事業に比べて参入障壁が高いと認識しておりますが、これらに対応できる事業者が現れた場合、競合環境が変化する可能性があります。

 従いまして、医療機関の経営状況や、医療事務関連業務のアウトソーシングの動向、IT化の進捗状況・競合動向等により、受託契約の件数や金額が急激に減少した場合、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。

(介護事業)

 介護保険制度は、平成12年4月の施行以来、在宅サービスを中心にサービス利用者が急速に拡大する中で、老後の安心した生活を支える仕組みとして定着してきました。また、今後を展望すると「団塊の世代」が高齢期を迎え、介護サービスの利用者は増加基調が続くと予想されます。このため、介護関連ビジネス市場は今後も拡大が予測される一方、他産業に比べて参入障壁が低いことから、医療法人や社会福祉法人といった非営利法人だけでなく、株式会社等の営利法人も参入しております。従って、今後の競争激化に伴い、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

(保育事業)

 現在、待機児童問題の深刻化により、認可保育所の運営主体に株式会社への門戸を開く自治体が増加していることから、公営の保育所や社会福祉法人が運営する保育所以外に株式会社が運営する保育所が増加してきております。そのため、従来よりも新規保育所の獲得に伴う競争激化や既存保育所間での児童の獲得競争が激化し、児童の確保が難しくなる可能性があります。この場合、当社グループ保育事業の運営や業績等に影響を与える可能性があります。

 また、当社の保育サービスは、0歳から5歳児を主な対象としております。日本における少子化が急速に進行

し、市場が著しく縮小した場合には、当社グループ保育事業の運営や業績等に影響を与える可能性があります。

 

②介護・保育事業施設の新規開設について

 当社グループでは開設にあたり綿密なマーケットリサーチを行い、介護施設(デイサービスや訪問介護事業所等)、保育施設等の新規開設を進めておりますが、好立地に物件を確保できない場合や、事業環境の変化及び経済的要因により開設事業計画に大幅な乖離が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③社会保険制度の改正について

 当社グループの従業員のうち、約13,700名を正社員とし、約11,300名をパート社員として雇用しており、正社員及び一部パート社員については健康保険や厚生年金、雇用保険等の社会保険を適用しております。

 社会保険料率は、今後上昇していくことが見込まれております。平成20年4月には高齢者医療制度への拠出金や医療費の増加等により、当社が加入している健康保険組合の財政が悪化したことに伴い、健康保険料率は大幅に引き上げられました。以降健康保険料率の上昇傾向が続いております。厚生年金保険料率については、平成16年の改正により平成29年9月まで毎年改定(引き上げ)が行われております。雇用保険料率についても、平成22年4月の雇用保険制度改正に伴い引き上げられております。

 また、厚生労働省は、正社員との均衡処遇を目指してパート労働者への社会保険適用の拡大について議論を重ね、パート労働者への社会保険の適用基準について、年収130万円以上かつ労働時間及び勤務日数が通常の労働者の概ね4分の3以上等とする現行基準から、週20時間以上、賃金月額88,000円以上、勤務期間1年以上等とする基準への緩和を含む改正法が平成24年8月に成立し、平成28年10月から同基準の適用が予定されており、社会保険料率の上昇や社会保険適用の拡大に伴う、事業主負担の増大が予想されております。当社グループでは、特に医療関連受託事業におけるコスト増への対応として、業務の一層の効率化に努めるとともに、適正な価格での受注を推進しております。しかしながら、上記の施策が想定通りに進行せず、コスト増の影響を充分に吸収できない場合には、収益の圧迫要因となり、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

(2)事業内容に関するリスクについて

①人材の確保・育成について

 当社グループの主たる事業は、人材によるサービスの提供によるものであり、事業規模を維持・拡大していくためには、それに見合う人材の確保と育成が必須となります。

 医療関連受託事業では、取引先医療機関からの様々なニーズに対応可能な専門性の高い医療事務スタッフを、当社グループが受託する業務量の増減に応じて確保・育成していく必要があります。

 介護・保育事業では、介護職員及び保育士が慢性的に不足している中、着実に人材を確保し、併せて質の高い人材を育成していく必要があります。また介護・保育事業は、指定サービス事業者となるために、人員基準及び設備基準が厚生労働省令及び各自治体条例で規定されています。当社の施設はすべて基準を満たすように細心の注意を払っておりますが、今後、欠員が生じた場合や基準の変更により追加的な人員補充が必要となった場合において、新たな人材の確保ができない等、人員基準を満たせなくなった場合には、現在提供しているサービスを継続することができなくなる可能性があります。

 当社グループでは、キャリアセンターによる人材の確保と育成に積極的に取り組んでいるほか、社員制度の見直しや賃金改定等による処遇改善を行い、事業の展開に資する人材の安定確保に努めております。

 しかしながら、上記の施策にもかかわらず、人材確保が計画通りに遂行できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

②個人情報について

 当社グループでは、医療関連受託事業においては患者情報、介護・保育事業においては介護利用者及び保育園児の情報、キャリアセンター(その他)においては受講者の情報等、多くの個人情報を取り扱っております。従いまして、当社グループは、個人情報の保護について経営の重要な課題として認識しており、個人情報保護方針を策定し、計画的に従業員教育を実施する等、社内体制の強化を図り、個人情報漏えいの防止に努めております。しかしながら、万が一、個人情報漏えい等の不測の事態が生じた場合は、社会的信用失墜や損害賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

③お客様の安全管理・健康管理・事故対策について

 当社グループの介護サービス利用者様は高齢者が多いことから、転倒や誤嚥等によってお客様の生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。また、デイサービス、グループホーム及び有料老人ホーム等においては、食事や入浴等の介護サービスが行われており、食中毒、集団感染等の危険度は相対的に高いと考えられます。

 当社グループは、介護手順や事故防止対策等について、長年の実績に基づいた従業員の訓練や業務マニュアルの整備・遵守を行っております。しかしながら、万が一、事故や食中毒等が発生し、当社の管理責任が問われた場合には、各施設における事業の存続に重大な影響を受け、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社保育所の運営に関しては、上記と同様に万全の体制で臨んでおりますが、事故の可能性は皆無とは言えず、万が一重大な事故が発生した場合やその他保育所の運営上における何らかのトラブルが発生した場合、当局から営業の停止を促されたり、園児が他園に流れる等の要因により、各施設の運営や当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④地域との関係について

 当社グループの事業の性格上、地域のお客様、自治体はじめ関係各機関等との信頼関係が何よりも重要であると考えております。このため、良質かつ安定的なサービスの提供が必要であり、業績が改善されない事業所があった場合でも、収益性の観点だけで直ちに撤退することが困難な場合があります。

 

⑤長期賃貸借契約について

 介護・保育事業における事業所・保育所の開設にあたっては、土地及び建物等の設備投資が必要であることから投資リスクが生じます。当該リスクを抑制するために、各施設の展開は賃借を基本とした設備投資戦略を採用しております。このため、投資リスクは抑制されるものの、一定期間は撤退の制約が課せられ、これに反した場合は中途解約による違約金等の支払が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、土地及び建物の所有者である法人、個人が破綻等の状況に陥り、継続的使用や債権の回収が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥M&A及び事業譲受について

 当社は、同業他社等に対するM&Aや事業譲受を実施することにより当社グループの事業を補完・強化することが可能であると考えており、M&A等を積極的に検討してまいります。その際、対象企業や事業の財務、税務、法務、ビジネス等について詳細なデューデリジェンスを行う等、意思決定のために必要かつ十分と考えられる情報収集、精査、検討を実施することで、可能な限りリスク回避に努めておりますが、M&A等の後において、当社が認識していない問題が明らかになった場合や、市場環境や競合状況の変化及び何らかの事由により事業展開が計画通りに進まない場合、対象企業の株式価値や譲受資産の減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの業績や財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)事業に係る法的規制に関するリスクについて

①法的規制について

 当社グループが行っている事業は、以下の法的規制を受けております。各事業の許認可等の取り消しや法的規制の変更により、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。なお、現時点において、当社グループが行っている各事業に許認可等取消事由や営業停止事由は発生しておりません。

(イ)労働者派遣法

 当社グループの主なる事業である医療関連受託事業においては業務請負が主な形態となっておりますが、顧客(医療機関)の需要にきめ細かく対応するため、一部の業務において労働者派遣を行っております。

 労働者派遣事業の許認可や派遣可能な業務・期間等は、「労働者派遣法」及び関連諸法令の規制を受けております。当社は、「労働者派遣法」第8条に基づく一般労働者派遣事業許可を取得しております。「労働者派遣法」には、派遣事業を行う事業主が欠格事由(同第6条)及び当該許可の取消事由(同第14条)に該当した場合に、期間を定めて当該一般労働者派遣事業の全部または一部の停止を命じることができる旨が定められております。

 「労働者派遣法」は平成27年9月30日より改正され、派遣元で無期雇用されている派遣労働者に対しては、派遣期間の制限が事実上撤廃されましたが、今後も「労働者派遣法」及び関係諸法令の改正または解釈の明文化等が行われた場合は、派遣売上に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ロ)介護保険制度

 当社グループが行っている介護事業(介護・保育事業)は、「介護保険法」に基づく介護サービスが中心となっており、「介護保険法」及び関連諸法令の規制を受けます。これらの介護サービスを行う事業者は、都道府県等各自治体の指定を受ける必要があります。「介護保険法」には、介護報酬の不正請求や人員、設備基準違反等当該指定の取消事由(介護保険法第77条、第84条)に該当した場合に指定を取り消すことができる旨が定められております。

 介護保険制度は、5年毎に制度全般の見直し、3年に1回介護報酬の改定が実施されます。従いまして、介護保険収入の割合が高い同事業は、法改正の影響を受けやすい特徴があります。

 当社グループは、訪問・通所を中心とした在宅介護サービスに加え、有料老人ホームや介護保険適用外サービスの強化等により、法改正の影響を分散する取り組みを行っております。しかしながら、今後の制度の見直しや介護報酬の改定により、展開中の介護サービスへの規制強化や適用される介護報酬額が大幅に引き下げられた場合には、介護事業の運営や当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(ハ)児童福祉法及び東京都の認証保育所制度

 当社グループは、「児童福祉法」のもとで東京都認証保育所を中心として保育事業(介護・保育事業)を行っております。東京都認証保育所は、「東京都認証保育所事業実施要綱」(以下「実施要綱」という。)で定める要件を満たし、都知事が認証した施設であります。この制度は、現在の認可保育所だけでは応えきれていない大都市のニーズに対応するために、東京都が独自の基準を設定して創設しており、認証の取消事由についても、「実施要綱」に定められております。また、保育料の一部は東京都と特別区及び都内市町村から補助金として交付されております。従いまして、今後認証保育所にかかる制度の変更や補助金の改訂があった場合、その内容によっては保育事業の運営や当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスクについて

①自然災害・伝染病について

 当社グループは、首都圏、名古屋圏、関西圏を中心に通所介護や有料老人ホーム等の介護施設及び首都圏を中心に保育施設を運営しております。これらの施設は、地震、火災等不測の災害が発生した場合、介護利用者、保育園児や従業員並びに施設の建物・設備等に被害が及ぶ可能性があります。また、伝染病の流行や拡大により、施設の稼動ができなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

②減損会計の適用について

 当社グループ各社の保有する土地・建物について、今後、収益性が著しく低下した場合には、減損損失の計上が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

③風評等の影響について

 当社グループの事業においては、お客様をはじめ関係者の信用、評判が大きな影響力を持つと認識しております。従いまして、当社では高い理念の下に細心の注意を払って事業を運営いたしておりますが、何らかの理由により当社の評判が損なわれた場合または当社に対する好ましくない風評が立った場合には当社グループの業績及び人材採用等に影響を与える可能性があります。

 

カーライル・グループとの関係

 当社は、投資会社であるカーライル・グループが運営するシージェイピー・エヌ・シー・ホールディングス・エル・ピー(以下「カーライルファンド」)から出資を受け、本書提出日現在のカーライルファンドによる出資比率は15.2%(議決権比率ベース)となっております。また、当社はカーライル・ジャパン・エルエルシーより取締役1名を受け入れております。

 カーライルファンドは当社の新規株式公開に際して、所有する当社株式の大部分を売却しておりますが、相当数の株式を引き続き保有することとなります。また、一般的にファンドによる株式の所有目的は、株式の売却によるキャピタルゲインの獲得にあるとされており、その保有・処分方針によっては、当社の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社の新規株式公開に際して、グリーンシューオプションが全部行使されたと仮定した場合、カーライルファンドによる出資比率は10.0%(議決権比率ベース)となります。

 

⑤親会社等との関係について

当社は、平成27年12月16日付で大東建託株式会社から出資を受け入れ、大東建託株式会社は当社発行済株式総数の37.5%(議決権比率ベース)を保有するその他の関係会社に該当しております。また、当社は大東建託株式会社の持分法適用関連会社となり、当社の社外取締役である川合秀司氏は大東建託株式会社から招聘しております。

平成27年11月に、大東建託株式会社と当社は業務提携契約を締結し、契約に基づき、大東建託株式会社が建築する高齢者住宅・介護施設等に対する介護サービスの提供等による大東建託グループとの協業や、両グループが保有するリレーションシップ、物件情報、介護・教育・採用のノウハウの共有等について、検討を開始しております。なお、大東建託グループとの取引については、他の企業と同様の取引条件とする方針です。

当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、大東建託株式会社に対して承認や事前報告を要する事項はなく、独立性・自律性は保たれていると認識しております。また、大東建託株式会社は当社株式を中長期にわたって保有する意向であると認識しております。しかしながら、将来において、大東建託株式会社における当社株式の保有比率に大きな変動があった場合、あるいは大東建託グループの事業戦略が変更された場合等には、当社株式の流動性及び株価形成、並びに当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社と株式会社ココチケアとの吸収合併契約

 当社は、平成27年8月25日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社ココチケアが運営する事業のすべてを当社が承継することを目的として、株式会社ココチケアを吸収合併することを決議し、平成27年8月31日付で合併契約を締結し、平成28年2月1日付で吸収合併いたしました。

 合併の契約は、次のとおりであります。

 

(1)合併の方法

 当社を存続会社とし、株式会社ココチケアを消滅会社とする吸収合併であります。

 

(2)合併期日(効力発生日)

平成28年2月1日

 

(3)合併に際して発行する株式及び割当、並びにその算定根拠

 完全子会社の吸収合併であるため、本合併による株式その他の金銭等の交付はありません。

 従って、第三者機関による算定等は実施しておりません。

 

(4)引継資産・負債の状況

 当社は、株式会社ココチケアの資産、負債及び一切の権利義務を吸収合併の効力発生日において承継する予定であります。

 

(5)合併により増加すべき資本金・準備金の額

 本合併により資本金及び準備金の額は増加いたしません。

 

(6)吸収合併存続会社となる会社の概要(本書提出日現在)

商号    株式会社ソラスト

代表者   代表取締役社長  石川 泰彦

住所    東京都港区港南一丁目7番18号

資本金   300,000千円

事業内容  医療関連受託事業、介護・保育事業及びその他事業

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これら連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わねばなりません。経営者は、債権、たな卸資産、投資、繰延税金資産等に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。見積りには特有の不確実性が存在するため、実際の結果は、これら見積りと異なる場合があります。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

 流動資産は14,339百万円と前連結会計年度末に比べ1,622百万円減少いたしました。これは、主に現金及び預金の減少(1,776百万円)によるものです。

 固定資産は8,201百万円と前連結会計年度末に比べ596百万円減少いたしました。これは、主に建物及び構築物(純額)の減少(238百万円)によるものです。

 以上の結果、資産合計は22,541百万円と前連結会計年度末に比べ2,218百万円減少いたしました。

 

(負債)

 流動負債は8,785百万円と前連結会計年度末に比べ1,001百万円減少いたしました。これは、主に前連結会計年度に消費税率の変更に伴い増加した未払消費税等が減少(1,026百万円)したことによるものです。

 固定負債は5,279百万円と前連結会計年度末に比べ1,108百万円減少いたしました。これは、主に借入金の返済に伴い長期借入金が減少(1,250百万円)したことによるものです。

 以上の結果、負債合計は14,065百万円と前連結会計年度末に比べ2,110百万円減少いたしました。

 

(純資産)

 純資産は8,475百万円と前連結会計年度末に比べ108百万円減少いたしました。これは、主にその他の包括利益累計額の減少(102百万円)によるものです。

 なお、平成27年8月には、株式数の変更を行わない無償減資を実施したことに基づき資本金及び資本準備金が減少しております。自己資本比率は37.6%と前連結会計年末に比べ2.9ポイント増加しました。

 

(3)経営成績の分析

(売上高)

 売上高は63,070百万円と前連結会計年度に比べ2,889百万円の増収となりました。これは、主に介護・保育事業において平成26年12月に子会社化した株式会社ココチケアの業績が通期寄与したこと、前連結会計年度に在宅サービスを中心に新規開設した事業所が通期稼働したこと及び営業活動の強化とサービスの充実を図ったこと等により利用者数が増加し、増収に寄与しました。

 

(営業利益)

 売上原価は52,466百万円と前連結会計年度に比べ1,922百万円増加いたしました。これは、主に介護・保育事業において平成26年12月に子会社化した株式会社ココチケアの業績の通期寄与に伴う人件費や経費が計上されたことによるものです。

 販売費及び一般管理費は7,292百万円と前連結会計年度に比べ277百万円増加いたしました。これは、主に求人費や人件費の増加によるものです。

 以上の結果、営業利益は3,311百万円と前連結会計年度に比べ689百万円の増益となりました。

(経常利益)

 営業外収益は75百万円と前連結会計年度に比べ48百万円減少、営業外費用は78百万円と前連結会計年度に比べ6百万円増加いたしました。

 以上の結果、経常利益は3,308百万円と前連結会計年度に比べ635百万円の増益となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別利益は20百万円と前連結会計年度に比べ16百万円増加、特別損失は156百万円と前連結会計年度に比べ111百万円増加いたしました。特別損失の増加は、主に減損損失が増加したことによるものです。

 法人税等合計は、1,178百万円と前連結会計年度に比べ0百万円減少し、税金等調整前当期純利益に対する負担税率は37.2%と前連結会計年度に比べ7.6ポイント減少しました。これは、主に住民税均等割の減少や所得拡大促進税制の適用による税額控除によるものです。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,993百万円と前連結会計年度に比べ541百万円の増益となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの分析は「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載しております。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

 主な取引先である医療機関の動向や社会保険制度や介護保険制度等法律・制度の改正等により、当社グループの業績に影響が及ぶ事業等のリスクがあります。

 当社グループが抱える事業等のリスクについては、「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」をご参照下さい。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループは、人材の確保と安定的な利益確保を経営上の最優先課題と認識しております。

 更なる成長を目指す当社グループの対処すべき課題は、優秀な人材をより多く確保すること(採用力)、ICT(インフォーメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)を活用したサービスプロセスの変革、M&Aを活用した事業拡大が柱となります。

 具体的には、「第2 事業の状況 3.対処すべき課題」をご参照下さい。