第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日2021年6月29日現在において当社グループが判断したものです。

 なお、当社グループの経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及び

キャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照下さい。

 

(1)経営方針

 当社は、<企業理念>によって事業の礎となる価値観と使命を定め、お客さま、取引先、従業員、社会、株主に対する<ステークホルダーへの約束>でその実現に対するコミットメントを示しています。

 

<企業理念>

私たちは

人を「元気」にし、

パートナーを「元気」にし、

社会を「元気」にすることで

一人ひとりの生活を豊かにし、

希望のある未来づくりのために

お客さまとともに歩みつづけます。

 

<ステークホルダーへの約束>

お客さまへ

私たちはプロフェッショナルとして、責任感をもってお客さまのニーズにこたえます。そして、私たちのサービスを利用される一人ひとりと誠実に向き合い、クオリティオブライフの向上に貢献し続けます。

ビジネスパートナーの皆さまへ

私たちはビジネスパートナーの皆さまと互いに尊重し合い、ともに考え、ともに歩み、ともに発展することを目指します。

ともに働く仲間たちへ

私たちは明るくやりがいがあり、誇りを持って働ける公正で開かれた職場づくりを目指します。

地域・社会へ

私たちはサービスの提供と多様な働き方を通じて豊かな暮らしの実現と地域社会の発展に貢献します。

株主の皆さまへ

私たちは健全かつ透明性が高い経営を推進し、企業価値の向上と持続的な成長を目指します。

 

(2)経営戦略等

 当社は、<ステークホルダーへの約束>の実現に向けての具体的戦略と展望を<経営ビジョン>として掲げており、これら<企業理念><ステークホルダーへの約束><経営ビジョン><サステナビリティテーマ>の実現を通して、企業価値の継続的な増大を目指します。

 

<経営ビジョン>

ソラストーリー、始まる。

医療事務・介護・保育をもっと新しく、働く女性をもっと美しく。

 

VISION2030

・顧客ニーズを満たし、サービスクオリティーを飛躍的に高める、医療事務・介護・保育のイノベーションリーダー

・未来のサービスモデルを志向し、社員一人一人が最新のITを活用するサービス業のデジタルカンパニー

・常に成長し、高い業績を通じて全てのステークホルダー(顧客、社員、株主、ビジネスパートナー)と地域社会の未来に貢献する会社

・人材投資と新しい働き方で、生産性と処遇改善を実現し、自分らしいワークライフバランスと生涯キャリアが実現できる会社

・コンプライアンスを重んじ、医療・介護・保育にふさわしい「やさしさ」と「安

心」がある会社

 

  売上高                 3,000億円    営業利益  200億円

   内訳 医療関連受託事業  1,000億円

      介護事業     1,500億円

      新規事業       500億円

 

<サステナビリティテーマ>

事業を通じた社会課題の解決テーマ

①高齢社会・地域への貢献

・安心・安全・質の高いサービスの提供

・「自立支援と地域トータルケア」による超高齢社会への貢献

・トータルケアサービス、地域包括ケアの実現

 

②イノベーション・社会保障費適正化への貢献

・全ての事業・オペレーションでのICT活用、顧客満足及び生産性の飛躍的向上

・ICTを主体とした事業の拡大・新規事業の創出

・ICT・データ活用による地域包括ケアの実現

・ヘルスケアデータ利活用による科学的介護・予防介護・予防医療等を通じた社会保障費適正化への貢献

 

持続的な成長を支える経営基盤テーマ

①人財(人財開発、処遇改善、多様性)

・人財開発、定着率向上、処遇改善、従業員満足度向上の継続的な取り組み

・3万人の従業員がそれぞれの個性・働き方で活躍する多様性の推進

 

②コンプライアンス、ガバナンス

・全ての事業活動の基盤として、コンプライアンス遵守、コーポレート・ガバナンス強化を推進

・個人情報保護、公正取引の徹底

 

③環境・資源への配慮

・従業員一人ひとりがエネルギー・水資源利用、フードロス等の課題について意識し、行動に反映

・脱炭素社会にむけた取り組みの規制に先駆けた検討・実行

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

    経営ビジョン及びサステナビリティテーマの実現に向け、以下の取り組みを推進します

 

     イノベーション ~ 世の中を新しい常識に変化させる企業へ

      ・DX

      ・事業領域拡張

      ・10年後への種まき

 

     既存事業の持続的成長 ~ 既存事業での新たな挑戦による成長を継続

      ・成長の仕組み化

      ・顧客満足度向上

      ・採用力向上

 

     経営基盤の底上げ ~ 強靭で健全な攻守に優れた基盤の充実

      ・販管費効率化

      ・定着率向上

      ・コンプライアンス/ガバナンス

 

    なお、当社は、2019年5月14日、中部地区(医療事業本部)における医療事務受託業務及び診療報酬明細書点検業務に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会の立入検査を受けました。

    当社は、公正取引委員会による調査に対して全面的に協力しています。

 

    新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会・経済に大きな影響を与えていますが、当社グループの提供する主なサービス(医療関連受託事業・介護事業・保育事業)は、社会機能を維持するために重要な公共性の高いサービスであるとの認識のもと、各行政機関からの要請や方針に従いサービスの提供を継続しています。

    引き続き顧客、社員の安全確保や感染拡大防止対策の徹底を図りながらサービスを提供してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。なお、当社グループは、これらのリスクについて、顕在化の可能性及び顕在化した場合の影響とその時期について分析し、各リスクの重要性を把握、評価した上で、発生の回避及び万が一発生した場合でも業績及び財務状況に与える影響を最小限にすべく、具体的施策を検討、実施しています。

 本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日2021年6月29日現在において判断したものです。

 

(1)業界環境に関するリスクについて

①業界の動向及び競合他社

(医療関連受託事業)

 当社グループの主たる顧客である医療機関は、2年に1度実施される診療報酬の改定や、現在推進されている医療制度改革等により、その経営に影響を受けることがあります。さらに、医療事務関連に対するアウトソーシング及び業務のIT化の流れも、業務受託機会、受託内容に影響を及ぼす可能性があります。

 また、同事業においては、高度な専門的知識が要求され、他事業に比べて参入障壁が高いと認識していますが、これらに対応できる事業者が現れた場合、競合環境が変化する可能性があります。

 これらの事業環境の変化が顕在化した場合、受託内容や当社のシェアに変化が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(介護事業)

 介護保険制度は、2000年4月の施行以来、在宅サービスを中心にサービス利用者が急速に拡大する中で、老後の安心した生活を支える仕組みとして定着してきました。また、今後を展望すると「団塊の世代」が高齢期を迎え、介護サービスの利用者は増加基調が続くと予想されます。このため、介護関連ビジネスの市場規模は今後も拡大することが予測されており、毎年多くの法人が介護市場に新規参入しています。今後競争が激化し、当社グループの多数の事業所において利用者の確保が困難となるような場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

介護・保育事業施設の新規開設

 当社グループでは開設にあたり綿密なマーケットリサーチを行い、介護施設や保育施設の新規開設を進めていますが、好立地に物件を確保できない場合や、事業環境の変化及び経済的要因により開設事業計画に大幅な乖離が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③社会保険制度の改正

 当社グループでは、約3万人の社員を雇用しており、常勤社員及び一部非常勤社員については健康保険や厚生年金、雇用保険等の社会保険を適用しています。少子高齢化等の人口動態を背景に社会保険料率が今後も上昇し、事業主負担が増加する可能性があります。

 当社グループでは、特に医療関連受託事業におけるコスト増への対応として、業務の一層の効率化に努めるとともに、適正な価格での受注を推進しています。しかしながら、上記の施策が想定通りに進行せず、コスト増の影響を充分に吸収できない場合には、収益の圧迫要因となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(2)事業内容に関するリスクについて

①人材の確保・育成

 当社グループの主たる事業は、人材によるサービスの提供によるものであり、事業規模を維持・拡大していくためには、それに見合う人材の確保と育成が必須となります。

 医療関連受託事業では、取引先医療機関からの様々なニーズに対応可能な専門性の高い医療事務スタッフを当社グループが受託する業務量の増減に応じて確保・育成していく必要があります。

 介護・保育事業では、介護職員及び保育士が慢性的に不足している中、着実に人材を確保し、併せて質の高い人材を育成していく必要があります。また介護・保育事業は、指定サービス事業者となるために、人員基準及び設備基準が厚生労働省令及び各自治体条例で規定されています。当社の施設はすべて基準を満たすように細心の注意を払っていますが、今後、欠員が生じた場合や基準の変更により追加的な人員補充が必要となった場合において、新たな人材の確保ができない等、人員基準を満たせなくなった場合には、現在提供しているサービスを継続することができなくなる可能性があります。

 

 当社グループでは、人材採用と育成に積極的に取り組んでいるほか、コミュニケーションや処遇改善等の施策に総合的に取り組むことで、定着率の向上や事業の展開に資する人材の安定確保に努めています。しかしながら、上記の施策にもかかわらず、人材確保が計画通りに遂行できなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

M&A

 当社は、同業他社等に対するM&A(子会社化や事業譲受等)を実施することにより当社グループの事業を補完・強化することが可能であると考えており、M&Aを積極的に推進しています。その際、対象企業や事業の状況及び財務、税務、法務等について詳細なデューデリジェンスを行う等、意思決定のために必要かつ十分と考えられる情報収集、投資管理委員会における投資効率の精査、検討を実施することで可能な限りのリスク回避に努めています。

 しかしながら、M&A後において、当社が認識していない問題が明らかになった場合や、何らかの事由により事業展開が計画通りに進まない場合、対象企業の株式価値や譲受資産の減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 さらに、市場環境や業界全体の事業環境によって、M&Aの対象となり得る案件の業績や買収価格が変化してM&Aの実施件数が計画通りに進まなかった場合にも当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

個人情報

 当社グループでは、医療関連受託事業においては患者情報、介護・保育事業においては介護利用者及び保育園児の情報、教育事業においては受講者の情報等、多くの個人情報を取り扱っています。従いまして、当社グループは、個人情報の保護を経営の重要な課題として認識しており、個人情報保護方針を策定し、計画的に社員教育を実施する等、社内体制の強化を図り、個人情報漏えいの防止に努めています。しかしながら、万が一、個人情報漏えい等の不測の事態が生じた場合は、社会的信用失墜や損害賠償責任の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

④お客様の安全管理・健康管理・事件事故対策

 当社グループの介護サービス利用者は高齢者が多いことから、転倒や誤嚥等によって利用者の生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。通所介護(デイサービス)、グループホーム及び有料老人ホーム等においては、食事や入浴等の介護サービスが行われており、食中毒、集団感染等の危険度は相対的に高いと考えられます。また、介護・保育事業は当社の社員が高齢の利用者や園児に対して、長時間直接的に役務を提供しており、虐待や暴力行為が発生する可能性が相対的に高いと考えられます。

 当社グループは、介護手順や事件事故防止対策等について、長年の実績に基づいた業務のマニュアル化や社員の訓練等を行っています。

 しかしながら、万が一、事件事故や食中毒等が発生し、当社の管理責任が問われた場合には、各施設における事業の存続に重大な影響を受け、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 また、保育所の運営に関しては、上記と同様に万全の体制で臨んでいますが、万が一重大な事件事故が発生した場合やその他保育所の運営上における何らかのトラブルが発生した場合には、各施設における事業の存続に重大な影響を受け、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

⑤情報セキュリティ

 当社グループは、情報セキュリティに関する遵守事項、管理規定、セキュリティ事故発生時の対応等を情報セキュリティ方針に定め、業務の効率化のための情報システム構築・運用、IT環境の整備、セキュリティ対策の強化に取り組んでいます。特に2021年度より開始したリモート医事サービスの提供においては、ISMS/ISO27001認証を取得し、3省2ガイドラインに準拠した環境でのサービス提供を行う等、情報セキュリティ対策を徹底しています。しかしながら、通信設備等の予期せぬトラブル等によりシステムが停止した場合や、外部からの不正アクセス、サイバー攻撃、コンピューターウイルス侵入等により機密情報・個人情報の漏洩を含む情報セキュリティ上の不備が生じた場合には、その被害の規模により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

⑥サービスの継続性

 当社グループの事業の性格上、サービス提供の継続性が強く求められています。従って、業績が改善されない事業所があった場合でも、収益性の観点だけで直ちに撤退することが困難な場合があります。

 

⑦長期賃貸借契約

 介護・保育事業における事業所・保育所の開設にあたっては、土地及び建物等の設備投資が必要であることから投資リスクが生じます。当該リスクを抑制するために、各施設の展開は賃借を基本とした設備投資戦略を採用しています。このため、投資リスクは抑制されるものの、一定期間は撤退の制約が課せられ、これに反した場合は中途解約による違約金等の支払が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、土地及び建物の所有者である法人、個人が破綻等の状況に陥り、継続的使用や債権の回収が困難となった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(3)法的規制・訴訟に関するリスクについて

①労働者派遣法

 医療関連受託事業においては業務請負が主な形態となっていますが、顧客(医療機関)の需要にきめ細かく対応するため、一部の業務において労働者派遣を行っています。

 労働者派遣事業の許認可や派遣可能な業務・期間等は、「労働者派遣法」及び関連諸法令の規制を受けています。当社は、「労働者派遣法」に基づく労働者派遣事業許可を取得しており、「労働者派遣法」には、派遣事業を行う事業主が欠格事由及び当該許可の取消事由に該当した場合に、期間を定めて当該労働者派遣事業の全部または一部の停止を命じることができる旨が定められています。

 今後の「労働者派遣法」及び関係諸法令の改正または解釈の明文化等が行われた場合は、派遣売上に影響を及ぼす可能性があります。

 

②介護保険制度

 当社グループが行っている介護事業は、「介護保険法」に基づく介護サービスが中心となっており、「介護保険法」及び関連諸法令の規制を受けます。これらの介護サービスを行う事業者は、都道府県等各自治体の指定を受ける必要があります。「介護保険法」には、介護報酬の不正請求や人員、設備基準違反等当該指定の取消事由に該当した場合に指定を取り消すことができる旨が定められています。

 介護保険制度は、3年毎に制度全般の見直し及び介護報酬の改正が行われています。従いまして、介護保険収入の割合が高い同事業は、法改正の影響を受けやすい特徴があります。

 当社グループは、訪問介護(ホームヘルプサービス)や通所介護(デイサービス)を中心とした在宅介護サービスに加え、有料老人ホームや介護保険適用外サービスの強化等により、法改正の影響を分散する取り組みを

行っています。しかしながら、今後の制度の見直しや介護報酬の改定により、展開中の介護サービスへの規制強化や適用される介護報酬額が大幅に引き下げられた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③その他の法的規制

当社グループは事業の遂行において、上記を含む様々な法律や規制の適用を受けており、これら法律・規制等を遵守すべく、社内体制の確立や社員教育等に重点的に取り組んでいます。しかしながら、当社グループに対して訴訟や法的手続きが行われ、当社グループに不利な判決が下された場合や法的措置が課された場合、またその影響により当社グループの社会的信頼が喪失した場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

なお、当社は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、2019年5月14日に独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立入検査を受けています。本件に関し、法令違反行為があったと認められ行政処分等を受けた場合、その内容により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(4)その他のリスクについて

①自然災害・感染症

 当社グループは、首都圏、名古屋圏、関西圏を中心に通所介護(デイサービス)や有料老人ホーム等の介護施設及び首都圏を中心に保育施設を運営しています。これらの施設は、地震、火災等不測の災害が発生した場合、介護利用者、保育園児や社員並びに施設の建物・設備等に被害が及ぶ可能性があります。また、感染症の流行や拡大により、施設の稼動ができなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 新型コロナウイルス感染症に関して、当社は2020年2月に全社対策本部を設置し、サービス利用者及び従業員の安全と健康の確保、事業遂行の継続、事業継続リスクへの備え等を、感染拡大の状況や政府、地方自治体の要請等に応じて対応しています。しかしながら、連結売上高の約4割を占める介護事業を中心に、利用者の利用控えや事業所の一時休業、感染対策費用の発生等により業績に影響を与えています。今後も感染拡大の状況や期間により、業績への影響が継続、拡大する可能性があります。

 

②資金調達

 当社グループは、事業運営及び成長に必要な資金を自己資本だけに依存することなく、他人資本である借入等

の負債を有効活用することにより、長期的な企業価値の最大化を図っています。この資本の調達過程において、金融市場の不安定化や当社グループの業績又は財務体質等を要因として、計画通りの資金調達が実行できない場合や金利の上昇が発生した場合等には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③減損会計の適用

 当社グループ各社の保有する土地・建物について、今後、収益性が著しく低下した場合には、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは介護事業を中心にM&Aを積極的に実施しており、その結果、有形固定資産及びのれん等の資産を取得しています。これらの資産についても多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。なお、2021年3月31日現在、当連結会計年度の連結貸借対照表において、計上されている固定資産のうち、介護・保育事業に関する有形固定資産及び無形固定資産の合計金額は26,688百万円であり、連結総資産の44.4%を占めています。また、連結総資産の24.5%に該当する14,721百万円ののれんが計上されており、その主な内訳は、なごやかケアリンク株式会社(2,860百万円)、株式会社日本ケアリンク(1,925百万円)、株式会社恵の会及び有限会社恵の会(1,769百万円)となります。

 当事業年度の貸借対照表に計上されている固定資産のうち、介護・保育事業に関する有形固定資産及び無形固定資産の合計金額は8,535百万円であり、総資産の16.4%を占めています。

 

④風評等の影響

 当社グループの事業においては、お客様をはじめ関係者の信用、評判が大きな影響力を持つと認識しています。従いまして、当社では高い理念の下に細心の注意を払って事業を運営していますが、何らかの理由により当社の評判が損なわれた場合または当社に対する好ましくない風評が立った場合には当社グループの業績及び人材採用等に影響を与える可能性があります。

 

⑤親会社等との関係

 当社は、2015年12月16日付で大東建託株式会社から出資を受け入れ、大東建託株式会社は当社発行済株式総数の33.7%(議決権比率ベース)を保有するその他の関係会社に該当しています。また、当社は大東建託株式会社の持分法適用関連会社となり、当社の社外取締役である内田寛逸氏は大東建託株式会社から招聘しています。

 当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、大東建託株式会社に対して承認や事前報告を要する事項はなく、独立性・自律性は保たれていると認識しています。また、大東建託株式会社は当社株式を中長期にわたって保有する意向であると認識しています。しかしながら、将来において、大東建託株式会社における当社株式の保有比率に大きな変動があった場合、あるいは大東建託グループの事業戦略が変更された場合等には、当社株式の流動性及び株価形成、並びに当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」とい

う。)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日2021年6月29日現在において判断したものです。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、以下のような状況や変化がありました。

医療関連受託事業においては、病院を中心とした医療機関における医療事務の外部委託ニーズは安定して推移しました。

・介護事業においては、高齢化を背景に介護サービスへの需要は着実に増加しており、2020年の国内の75歳以上人口は1,871万人となり、前年と比較して24万人増加しました。

・新型コロナウイルスの感染拡大は、社会・経済や生活環境に大きな影響を与えました。医療業界においては、医療機関の外来・入院患者が減少する等、病院の経営状況が悪化しました。介護業界においては、デイサービスを中心にご利用者様のサービスの利用控えが散見されました。特に2020年4月と2021年1月に発令された緊急事態宣言の期間においてはその動向が顕著に見られました。

・有効求人倍率は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて下落し、完全失業率もリーマンショック以降初めて悪化しました。これらの影響を受け、当社における採用の環境は一部改善傾向となりましたが、引き続き適時適切な人材の採用は、医療事務・介護・保育業界全体の重要課題となっています。

 

 このような事業環境の中、当社グループは、「既存事業強化」、「イノベーション」、「組織改革・人材」を2020年度の重点取り組みテーマとして掲げ、各施策を推進しました。

 「既存事業強化」では、年換算売上高が合計約103億円となる過去最大規模のM&A(10件)を実行し、事業所数は前年度末より157件増加しました。また、全事業を通じてWEB採用やオンライントレーニング等のITを活用した採用力・育成力の強化を進めました。

 「イノベーション」では、中小病院・クリニックを初期の対象として、新たなサービス提供を目指すスマートホスピタルプロジェクトを開始しました。先行して展開を予定する「リモート医事サービス」は、実証実験が順調に進捗し、次年度のサービス提供開始にむけた開発が進みました。また、科学的介護の実現への取り組みとして他企業との共同研究等を開始しました。

 「組織改革・人材」では、コーポレート・ガバナンスの継続的な充実と、経営の透明性・公正性を高めることを目的としたコーポレート・ガバナンス委員会や、投資案件の効率精査と実行後のモニタリングを目的とした投資管理委員会を設置し、各取り組みを推進しました。また、2020年度から、医療関連受託事業において各支社で行っていた総務・人事・経理等のサポート業務を本社への集約やIT活用により効率化し、これが全社の費用削減に貢献しました。

 なお、当社グループの主要事業である医療関連受託事業、介護事業、保育事業は、いずれもエッセンシャル

サービスとして社会機能を維持するために必要不可欠な事業です。新型コロナウイルス禍においては、各種の感染対策を講じながら顧客の安心・安全を確保するとともに、社員の安全にも十分に留意して事業を継続し続けることが平常時にも増して重要な社会的役割を果たすこととなりました。

 

 以上の結果、2020年度は、医療関連受託事業及び介護・保育事業がともに堅調に推移したことで、新型コロナウイルスの影響下においても二桁増収増益を確保し、8年連続の増収増益を達成しました。売上高は前年比10.9%増加の106,182百万円となり、初めて1,000億円を突破しました。営業利益は前年比10.9%増加の6,062百万円となりました。経常利益は前年比13.0%増加の6,075百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の固定資産の譲渡に伴う特別利益が剥落したこと等により前年比25.3%減少の3,538百万円となりました。

 

 2020年度の業績結果は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

2019年度

2020年度

増減

増減率

売上高

95,719

106,182

+10,462

+10.9%

営業利益

(同率)

5,465

(5.7%)

6,062

(5.7%)

+596

 

+10.9%

 

経常利益

(同率)

5,374

(5.6%)

6,075

(5.7%)

+700

 

+13.0%

 

親会社株主に帰属する当期純利益

(同率)

 

4,739

(5.0%)

 

3,538

(3.3%)

 

△1,201

 

 

△25.3%

 

 

<事業セグメント別の状況>

[医療関連受託事業]

 医療関連受託事業では、サービスクオリティの維持・向上、生産性の改善を目的としたトレーニングやIT活用等の取り組みを継続的に推進しています。これらの取り組みが新規契約の受注及び既存契約先での取引増に寄与したこと、また、下期に大型単発案件を受注したこと等により、売上高は前年比4.6%増の60,926百万円となりました。営業利益は、第1四半期に慰労金の支給を行いましたが、増収による増益、生産性改善、支社業務の効率化、支社再編等が貢献したことにより、前年比17.3%増の7,720百万円となりました。また、営業利益率は前年を1.4ポイント上回る12.7%となり、6年連続で向上しました。

 

[介護・保育事業]

 介護事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、デイサービスを中心とした一部ご利用者様のサービス利用控えや施設の一時休業の発生等、厳しい事業環境となったほか、感染対策費用や慰労金の支出等も行いましたが、新規M&Aの貢献により、前年比で増収増益となりました。主な新規M&Aには、2020年3月に株式会社恵の会及び有限会社恵の会、2020年10月に株式会社日本エルダリーケアサービス及び株式会社ファイブシーズヘルスケアの子会社化がありました。なお、デイサービスの利用状況は、既存事業所ベースでは前年を下回って推移し、特に2020年4月と2021年1月の緊急事態宣言時には利用者数が顕著に減少しました。

 保育事業は、2020年4月に認可保育所1施設を新規開設、1施設を事業譲受、認証保育所2施設を認可保育所に移行したこと等により園児数が増加し、前年比で増収増益となりました。

 以上の結果、介護・保育事業の売上高は前年比20.9%増の44,730百万円、営業利益は前年比1.9%増の2,288百万円となりました。

 

介護事業所数及び保育施設数

 

2020年3月末

2021年3月末

増減

介護事業所数

476

633

+157

保育施設数

16

18

+2

 

[その他(教育等)、全社費用]

 教育事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止していた資格試験の会場受験を在宅受験に切り替えて実施したことによる受験者数の増加、2020年4月に行われた診療報酬改定に伴う書籍販売数の増加等により、前年比で増収増益となりました。

 全社費用は、医療関連受託事業の支社業務の効率化に伴い一部業務を本社に移管したことによる費用増のほか、IT関連投資費用等により増加しました。一方で、リモートワークを始めとするITを活用した新型コロナウイルス禍での事業運営に伴い、旅費交通費等の各種経費は減少しました。

 以上の結果、その他(教育等)の売上高は前年比17.8%増の524百万円となりました。営業利益及び全社費用の合計は3,946百万円の営業損失となりました。

 

[売上高]

(単位:百万円)

 

2019年度

2020年度

増減

増減率

医療関連受託事業

58,263

60,926

+2,663

+4.6%

介護・保育事業

37,011

44,730

+7,719

+20.9%

 

 

介護事業

35,085

42,303

+7,217

+20.6%

保育事業

1,925

2,427

+501

+26.1%

その他(教育等)

445

524

+79

+17.8%

合計

95,719

106,182

+10,462

+10.9%

 

[営業利益]

(単位:百万円、( )内は営業利益率)

 

2019年度

2020年度

増減

増減率

医療関連受託事業

 

6,581

(11.3%)

7,720

(12.7%)

+1,139

 

+17.3%

 

介護・保育事業

 

2,246

(6.1%)

2,288

(5.1%)

+41

 

+1.9%

 

 

 

介護事業

 

2,030

(5.8%)

2,033

(4.8%)

+2

 

+0.1%

 

保育事業

 

216

(11.2%)

255

(10.5%)

+39

 

+18.2%

 

その他(教育等)、全社費用

 

△3,362

△3,946

(-)

△584

 

 

合計

 

5,465

(5.7%)

6,062

(5.7%)

+596

 

+10.9%

 

(注)上記<事業セグメント別の状況>に記載している“売上高”は、P.81「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」の“外部顧客への売上高”を、“その他(教育等)、全社費用”は“その他”及び“調整額”を合算した数値を記載しています。なお、“調整額”は、主に報告セグメントに帰属しない費用等であり、各報告セグメントに配分していないものです。

 

  ②キャッシュ・フローの状況

 “営業活動によるキャッシュ・フロー”は、業績が堅調に推移し、税金等調整前当期純利益が5,354百万円となったほか、運転資本の増加、のれん償却費等の非資金費用の計上により、6,728百万円の収入となりました。なお、2019年度は4,248百万円の収入でした。

 “投資活動によるキャッシュ・フロー”は、主にM&Aに伴う3,300百万円の支出により、3,816百万円の支出となりました。なお、2019年度は、有形固定資産の売却による収入があった一方で、M&A等に伴う支出があったことにより、3,482百万円の支出でした。

 “財務活動によるキャッシュ・フロー”は、短期借入金及び長期借入金の返済に伴い、借入金等の資金調達の収支差が3,758百万円の支出となったことや配当金の支払1,840百万円等により、5,721百万円の支出となりました。なお、2019年度は1,784百万円の収入でしたが、これは、主にM&A資金の調達及び新型コロナウイルスの感染拡大に伴う事業リスクに備えることを目的として期末現預金を積み増したことによるものです。

 以上の結果、“現金及び現金同等物の期末残高”は、前年度末より2,808百万円減少し、8,953百万円となりました。

 

③財政状態の状況

 前年度末と比較し、“資産の部”においては、株式会社日本エルダリーケアサービス、株式会社ファイブシーズヘルスケアの子会社化等により固定資産が3,768百万円増加しました。一方で、現金及び預金の水準を適正化したこと等により流動資産が1,368百万円減少しました。この結果、資産合計は2,399百万円増加しました。なお、前年度末時点においては新型コロナウイルス感染拡大がその後の資金調達環境に悪影響を及ぼす可能性を考慮し、現金及び預金の水準を積み増していました。

 “負債の部”においては、短期借入金が減少した一方で、新規子会社化により未払金や長期リース債務が増加した結果、負債合計は697百万円の増加となりました。

 “純資産の部”は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、純資産が1,701百万円増加しました。

 

④資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは中長期的な成長に向けて、M&AやICT投資等を積極的に推進していきたいと考えています。これらの資金需要には、営業活動から得た自己資金を最優先として対応する予定です。不足する分については、資本効率やリスク管理に配慮しながら、金融機関からの借入等を活用する予定です。

 

⑤重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。これら連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わねばなりません。経営者は、以下に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っています。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。見積りには特有の不確実性が存在するため、実際の結果は、これら見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

 

固定資産の減損処理

 当社グループは、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として、支社、介護事業所及び保育園を基本単位として資産のグルーピングを行っています。

 当該資産グループについて収益性の低下等により減損の兆候があると認められる場合には、資産グ

ループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定しています。判定の結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回り減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額(使用価値と正味売却価額のいずれか高い金額)まで減額し、当該帳簿価額の減少額を減損損失として認識します。

 当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの見積りは、当社グループが今後実施する施策に基づいた事業所等の稼働率及び利用者数の推移予測等を主要な仮定として策定した事業計画によっています。

 なお、翌連結会計年度の事業計画の策定にあたっての稼働率及び利用者数の推移予測では、新型コロナウイルスの影響が当連結会計年度第4四半期と同等の水準で翌連結会計年度第1四半期まで継続し、高齢者ワクチン接種の進捗により翌連結会計年度第3四半期頃から回復するとの仮定を置いています。

 当社グループの業績が計画通りに推移しない場合には、将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす可能性があり、翌連結会計年度以降において追加の減損損失が発生する可能性があります。

 また、当連結会計年度において、使用価値の算定に使用された割引率は8.5%ですが、翌連結会計年度以降は変更される可能性があります。

 

⑥生産、受注及び販売の実績

[生産実績]

 該当事項はありません。

 

  [受注実績]

 該当事項はありません。

 

  [販売実績]

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年比

医療関連受託事業

60,926

+4.6%

介護・保育事業

44,730

+20.9%

報告セグメント計

105,657

+10.9%

その他

524

+17.8%

合計

106,182

+10.9%

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)株式会社日本エルダリーケアサービスの株式譲渡契約の締結

 当社は、2020年8月13日開催の取締役会において、株式会社日本エルダリーケアサービスの株式を取得(子会社化)するため、株式譲渡契約を締結することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。なお、株式譲渡は2020年10月1日付で実行されています。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(2)株式会社ファイブシーズヘルスケアの株式譲渡契約の締結

 当社は、2020年9月25日開催の取締役会において、株式会社ファイブシーズヘルスケアの株式を取得(子会社化)するため、株式譲渡契約を締結することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。なお、株式譲渡は2020年10月20日付で実行されています。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。