第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日2025年6月24日現在において当社グループが判断したものです。

 なお、当社グループの経営環境については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照下さい。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「私たちは、人とテクノロジーの融合により、「安心して暮らせる地域社会」を支え続けます。」を企業理念に掲げ、人とテクノロジーを融合した新たなビジネスの創出と既存ビジネスの改革、事業を通じた社会課題解決への貢献と価値あるサービスを提供し続けることを目指しています。

 

<企業理念>

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(2)経営戦略等

 当社グループは、企業理念の下、今後も社会とともに成長していくために、当社グループの事業活動を通じて特に優先的に取り組むべき重要課題をサステナビリティテーマとして掲げています。なお、当社グループは、2025年5月12日に「中期経営計画FY2025-2029」を発表しました。中期経営計画の5年間で「環境変化への対応と人材育成を通じた持続的な成長の確保」を目指していきます。

 

<サステナビリティテーマ>

 「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティに関する考え方」をご参照下さい。

 

<中期経営計画FY2025-2029>

目指すこと「環境変化への対応と人材育成を通じた持続的な成長の確保」

①定量目標、株主還元方針

定量目標と株主還元方針を通じて、株主の皆様への利益還元を図る

②外部環境の変化に俊敏に対応し、長期持続可能な企業を構築する

生産年齢人口の減少、物価や賃金の上昇の継続、各種規制の変化など、様々な外部環境の変化に対応すべく、賃上げの促進やテクノロジーによる生産性の向上を進め、長期にわたって持続可能な企業を構築する

③環境変化に対応したサービスを改善し、進化する

顧客ニーズの変化を的確に捉え、提供サービスの付加価値の向上を図る

④規律から生まれる健全な財務基盤を構築する

投資を積極化しつつも、判断にあたっては規律を重視し、健全な財務基盤の構築に努める

⑤専門知見・経験を持ち、多様性を実現するための人材育成を行う

人材育成を通じてサービスの品質を向上させるとともに、多様な人材の登用を促進させる

 

 

数値目標・株主還元方針

 

 

2024年度 実績

2029年度 計画

年平均成長率

売上高

1,374億円

1,755億円

+5.0%

EBITDA

101億円

150億円

+8.2%

営業利益

70億円

100億円

+7.3%

自己資本利益率(ROE)

18.4%

20%

-

投下資本利益率(ROIC)

10.3%

15%

-

配当性向

46.6%

50%超

-

総還元性向

46.6%

70%超

-

 

 

 

「中期経営計画FY2025-2029」の詳細は、当社ウェブサイトをご参照ください。

当社ウェブサイト:https://www.solasto.co.jp/ir/library/library/

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、今後の人口減少社会を見据え、中期経営計画FY2025-2029で掲げた以下の重点戦略に取り組み、人的資本経営の強化とテクノロジーの活用を一層進めてまいります。

 

重点戦略:人口減少社会を見据えた「人的資本経営強化×テクノロジー」

医療事業

・次世代アウトソーシング事業育成

・ソリューションビジネスの進化

・品質向上のための人材育成強化

・価格適正化と積極的な処遇改善

介護事業

・介護BPRによる収益性改善

・サービス稼働率及び入居率改善

・厳選したM&Aの実行

 

こども事業

・保育の質の向上と差別化戦略

・社員定着と生産性向上への取組み

 

 

全社施策

・次世代IT基盤刷新を含む新規IT投資

・ESGの取組みの深化

・健全な財務基盤の構築

・積極的な事業投資の推進

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社グループは企業理念のもと、今後も社会とともに成長していくために、当社グループの事業活動を通じて特に優先的に取り組むべき重要課題を特定し、5つのサステナビリティテーマを策定しています。

 なお、当社はTCFD提言に賛同を表明しており、気候変動を含むサステナビリティ情報をTCFD提言のフ レームワークである「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」に沿って開示しています。

 また、当社グループのサステナビリティに対する取り組みの状況は、当社ウェブサイトにて開示しています。

<サステナビリティデータ集>

https://www.solasto.co.jp/company/sustainability/hizaimu/

 

<サステナビリティテーマ>

事業を通じた社会課題の解決テーマ

①高齢社会・地域への貢献

・安心・安全・質の高いサービスの提供

・「自立支援と地域トータルケア」による超高齢社会への貢献

・トータルケアサービス、地域包括ケアの実現

 

②イノベーション・社会保障費適正化への貢献

・全ての事業・オペレーションでのICT活用、顧客満足及び生産性の飛躍的向上

・ICTを主体とした事業の拡大・新規事業の創出

・ICT・データ活用による地域包括ケアの実現

・ヘルスケアデータ利活用による科学的介護・予防介護・予防医療等を通じた社会保障費適正化への貢献

 

持続的な成長を支える経営基盤テーマ

①人財(人財開発、処遇改善、多様性)

・人財開発、定着率向上、処遇改善、従業員満足度向上の継続的な取り組み

・3万人の従業員がそれぞれの個性・働き方で活躍する多様性の推進

 

②コンプライアンス、ガバナンス

・全ての事業活動の基盤として、コンプライアンス遵守、コーポレート・ガバナンス強化を推進

・個人情報保護、公正取引の徹底

 

③環境・資源への配慮

・従業員一人ひとりがエネルギー・水資源利用、フードロス等の課題について意識し行動に反映

・脱炭素社会にむけた取り組みの規制に先駆けた検討・実行

 

 

(2)ガバナンス

 サステナビリティに係る重要事項は、当社グループの業務執行に関する重要事項を協議、決議する機関として設置している経営会議で議論の上、定期的に(年に1回以上)取締役会に報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制としています。取締役会は、気候変動等サステナビリティに関する課題への対応を含む重大な方針、目標値等については、自ら決定します。また、ESG課題の具体的な取り組み、開示等の推進や実行支援の役割を担う機関として、取締役社長を長とするESGプロジェクトを設置しています。

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(3)リスク管理

 当社グループは、グループの事業へのサステナビリティ課題によって生じる影響を把握し、評価するため、シナリオ分析を行い、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、特定及び評価しています。特定したリスク及び機会はESGプロジェクトの下、全社戦略策定及び個別事業運営の両面で管理しています。特に重要なリスクは、リスク管理基本規程に基づき、リスクの低減及び発生を未然に防止する観点から、当社グループの総合的リスク管理機能を担うリスク・コンプライアンス委員会と連携を図り、適切に管理しています。また、企業戦略に影響するサステナビリティ課題を含めた世の中の動向や法制度・規制変更等の外部要因、各取り組みの進捗状況や今後のリスク、機会等の内部要因を踏まえて、戦略や施策の見直し等を検討します。

 

(4)戦略

①気候変動

 新たな気候政策を導入しない場合には、世界の温室効果ガスが現在よりも増加し、「世界的な平均気温が4℃上昇するというシナリオ」が社会に及ぼす影響は甚大であると認識しています。そのため、脱炭素化を進展させ、パリ協定の目標である気温上昇を2℃未満に抑制する取り組みへ貢献していくことが企業の責務であると考えています。

 当社グループでは、気候変動が当社グループの事業及び財務に与えるリスク・機会とその影響度を把握し、2030年度を想定した戦略のレジリエンスと対応の必要性の検討を目的にシナリオ分析を実施しています。シナリオ分析では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)が公表する複数のシナリオを参照したうえで、「2℃未満シナリオ」と「4℃シナリオ」という2種類のシナリオを想定しています。

 シナリオ分析の結果、「2℃未満シナリオ」においては、主に炭素税の導入による税負担の増加等により、当社グループ全体に一定の影響を及ぼすことが予想されます。「4℃シナリオ」においては、事業・財務に大きな影響を与える事象は想定されず、当社グループ全体への影響は軽微であると予想されます。いずれのシナリオにおいても、中長期視点で戦略のレジリエンスを強化していくため、リスクに関しては適切な回避策を策定する一方、機会に関しては、新たな成長機会としてとらえてまいります。

 

[参照したシナリオ]

シナリオ

環境認識

名称

4℃シナリオ

・省エネ・再エネに関する抜本的な政策転換が起こらない

・台風やサイクロン等の異常気象が激甚化し物理的リスクが高まる

IPCC RCP8.5(CO排出量が最大化した場合のシナリオ)等

2℃未満シナリオ

・省エネ・再エネに関する政策転換や技術革新が進展し規制も強化

・4℃シナリオほどではないが異常気象等による物理的リスクは現在よりも増加

IPCC RCP2.6(2℃以下目標の場合のシナリオ)

IEA B2DS(パリ協定に基づく持続可能な場合のシナリオ)等

 

[2030年を想定した事業及び財務影響]

項目

4℃シナリオ

2℃未満シナリオ

事業影響

財務影響

事業影響

財務影響

移行

リスク

炭素価格

・電力価格や原油価格等のエネルギー価格の高騰

・電力価格等のエネルギー価格の高騰

・炭素税の導入による税負担の増加

各国の炭素排出目標/政策

・省エネルギー、再生可能エネルギー活用等を考慮した脱炭素化前提での事業運営コストの増加

物理的リスク

平均気温の上昇

・ヒートストレスを起因とした労働生産性の低下による事業収益の減少及び残業の増加

・ヒートストレスを起因とした労働生産性の低下による事業収益の減少及び残業の増加

・高齢者の熱関連死の増加による事業収益の減少

・空調使用の増加による電力コストの増加

・空調使用の増加による電力コストの増加

・感染症の増加や新たなパンデミックの発生による事業収益の減少及び対策コストの 発生

・感染症の増加や新たなパンデミックの発生による事業収益の減少及び対策コストの 発生

異常気象の

激甚化

・豪雨・台風等の異常気象による施設への被害の増加、 損害保険料及び修繕費の増加

・豪雨・台風等の異常気象による施設への被害の増加、 損害保険料及び修繕費の増加

機会

各国の炭素排出目標/政策

・脱炭素化前提での事業運営コスト増加により業界の収益性が悪化することでM&A マーケットが活発化

(注)財務影響の定義は次のとおりです。

大:当社グループの財務への影響が大きくなることが想定される(利益への影響が概ね年間3%以上)

中:当社グループの財務への影響が一定水準発生することが想定される(利益への影響が概ね年間1~3%未満)

小:当社グループの財務への影響が軽微であることが想定される(利益への影響が概ね年間1%未満)

未:当社グループの財務への影響を現時点で定量化することが困難

 

 詳細は、当社ウェブサイトに記載しています。

<サステナビリティ 環境への取り組み TCFDの提言に基づく情報開示>https://www.solasto.co.jp/company/sustainability/environment/

 

 

 

②人的資本・多様性

 当社グループはダイバーシティ・マネジメントの推進を人事政策上の重要課題の一つと位置付けています。その実現のために「ダイバーシティポリシー」を制定し、6つのダイバーシティを推進しています。

<ダイバーシティポリシー及び6つのダイバーシティ>

https://www.solasto.co.jp/company/Diversity/

 

 当社グループの持続的な成長を支える原動力として、多様な人材の確保・活躍を推進するため、多様な働き方を支援する仕組みを構築しています。社員一人ひとりのキャリア形成のサポート、中でも女性の活躍に対しては、管理職への登用推進を目的として女性管理職候補者研修、管理職から直接話を聞ける社員コミュニティイベント等を実施しています。また、ワーク・ライフ・バランス実現のため、非常勤勤務等、勤務形態を柔軟に選択できる環境の整備や、時間単位で取得可能な年次有給休暇制度及び法定より広い範囲を対象とした短時間勤務制度を導入しています。

 そのほか、社員一人ひとりの多様性や個性、そして家族・人生の充実を尊重し、全ての従業員が人種、年齢、性別、性自認・性的指向、障がいの有無等にかかわらず、個々の特性や魅力を反映させながら仕事に参画できる職場環境づくりに努めています。具体的には、同性パートナー制度、不妊治療・性別適合手術のための特別休暇制度等の導入等を実施しています。

 また、コミュニケーション施策の実施・評価会議の実施による公正な評価・業務や職場の改善・処遇改善等、モチベーションの維持向上を目的とした人に関する施策を包括的かつ継続的に実施しています。これらの取り組みの成果を計る指標の1つとして、社員満足度調査を毎年実施し、その結果を取締役会に報告しています。

 

(5)指標と目標

①気候変動

 当社グループは、温室効果ガス排出量(Scope1+Scope2)を2030年度までに排出原単位70%削減(2021年度比)、グループ全体で30%削減(2021年度比)すること、そして2050年度カーボンニュートラルの実現を目標に取り組みを推進しています。

 当社グループは、介護事業のM&Aにより介護事業所数が長期的に増加することを見込んでおり、それに伴い、当社グループ全体の温室効果ガス排出量も増加基調を辿ることが想定されます。そのため、当社グループでは、拠点あたりの温室効果ガスを削減する省エネルギー化の取り組みに加えて、使用するエネルギーの総量が増加しても温室効果ガス排出量を削減する仕組みとして再生エネルギーの活用拡大にも取り組むことが重要であると考えています。

 

[温室効果ガス(GHG)排出量実績・目標]

(単位:t-CO

項目

2021年度

実績

2023年度

実績

2024年度

実績

2030年度

目標

2050年度

目標

  Scope1

3,496

3,608

3,896

  Scope2

17,057

19,871

20,477

 温室効果ガス排出量(Scope1+2)

20,552

23,479

24,373

30%削減

実質ゼロ

  Scope3

6,802

9,079

10,071

温室効果ガス排出量(Scope1+2+3)

27,354

32,558

34,444

温室効果ガス排出原単位(Scope1+2)

29.5

28.8

30.0

70%削減

実質ゼロ

(注)1.実績は連結数値です。

2.目標は2021年度比です。

3.排出原単位=t-CO/拠点数。今後、より適切な定義に基づいた算出が可能となった場合には見直す可能性があります。

4.Scopeの定義は次のとおりです。

Scope1:社用車等のガソリン使用による直接排出

Scope2:拠点での他社から供給された電力・ガスの使用に伴う間接排出

Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出

    (全15カテゴリのうち「5.事業から出る廃棄物」、「7.雇用者の通勤」が対象)

 

 詳細は、当社ウェブサイトに記載しています。

<サステナビリティ 環境への取り組み TCFDの提言に基づく情報開示>https://www.solasto.co.jp/company/sustainability/environmen/t

 

 

②人的資本・多様性

指標

実績

目標

管理職に占める女性労働者の割合

(注)1、2

47.2

60

2026年度

男性労働者の育児休業取得率

(注)3

50.0

50

2025年度

(注)1.2025年4月1日時点の実績です。

2.課長相当職以上の人員数における女性労働者の割合を記載しています。

3.2024年度の実績です。

 

 当社の女性管理職比率は産業平均値より高い水準にありますが、社員の約90%を占める女性のさらなる活躍を推進する必要があると考え、2026年度までに全社の女性の管理職比率を60%に引き上げることを目標に掲げています。その施策の一環としてタレントレビュー(社員一人ひとりのアセスメントに基づき、職務・役割を通じた経験機会や教育施策の提供等、育成のためのアクションプラン策定)を強化しており、各人がキャリアアップするために必要な事項を部門単位で検討のうえ、女性管理職候補の選出を進めています。

 また、2024年10月にはラーニングマネジメントシステムを刷新し、時間や場所にとらわれずWEB上で主体的にコンテンツ学習ができるプラットフォームを導入しました。これにより、育児休業中など業務から離れている期間であっても、自身のペースで受講が可能となり、希望する社員にはキャリアや学びを途絶えさせない仕組みを提供しています。こうした取り組みは、女性の継続的な成長支援と管理職登用の後押しにつながるとともに、女性管理職比率の向上等、多様性の推進を通じて、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載の男女賃金差異の縮小にも寄与すると考えています。

 なお、当社の男性労働者の育児休業取得率は、現行の日本政府が掲げる「2025年度までに男性育児休業取得率50%」に対し、2024年度の実績で既に50%を達成しています。今後もこの高い水準を維持しつつ、さらなる向上を目指して、男性労働者の育児休業取得を後押しする施策を継続的に推進してまいります。

 

 当社グループのダイバーシティに対する取り組みの状況は、当社ウェブサイトに記載しています。

<サステナビリティデータ集>

https://www.solasto.co.jp/company/sustainability/hizaimu/

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。なお、当社グループは、これらのリスクについて、顕在化の可能性及び顕在化した場合の影響とその時期について分析し、各リスクの重要性を把握、評価した上で、発生の回避及び万が一発生した場合でも業績及び財務状況に与える影響を最小限にすべく、具体的施策を検討、実施しています。

 本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日2025年6月24日現在において判断したものです。

 

(1)業界環境に関するリスクについて

①業界の動向及び競合他社

(医療事業)

 当社グループの主たる顧客である医療機関は、2年に1度実施される診療報酬の改定や、現在推進されている医療制度改革等により、その経営に影響を受けることがあります。さらに、医療事務関連に対するアウトソーシング及び業務のIT化の流れも、業務受託機会、受託内容に影響を及ぼす可能性があります。

 また、同事業においては、高度な専門的知識が要求され、他事業に比べて参入障壁が高いと認識していますが、これらに対応できる事業者が現れた場合、競合環境が変化する可能性があります。

 これらの事業環境の変化が顕在化した場合、受託内容や当社のシェアに変化が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(介護事業)

 介護保険制度は、2000年4月の施行以来、在宅サービスを中心にサービス利用者が急速に拡大する中で、老後の安心した生活を支える仕組みとして定着してきました。また、今後を展望すると「団塊の世代」が高齢期を迎え、介護サービスの利用者は増加基調が続くと予想されます。このため、介護関連ビジネスの市場規模は今後も拡大することが予測されており、毎年多くの法人が介護市場に新規参入しています。今後競争が激化し、当社グループの多数の事業所において利用者の確保が困難となるような場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(こども事業)

 保育サービスにおいては、女性の社会進出や共働き世帯の増加等を背景に今後も安定した需要が見込まれます。しかしながら、将来的に少子化の加速や事業者の増加等により、当社グループの多数の保育施設において園児数の確保が困難となるような場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

②介護事業における施設の新規開設

 当社グループでは開設にあたり綿密なマーケットリサーチを行い、介護施設の新規開設を進めていますが、好立地に物件を確保できない場合や、事業環境の変化及び経済的要因により開設事業計画に大幅な乖離が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③社会保険制度の改正

 当社グループでは、約3万人の社員を雇用しており、常勤社員及び一部非常勤社員については健康保険や厚生年金、雇用保険等の社会保険を適用しています。少子高齢化等の人口動態を背景に社会保険料率が今後も上昇し、事業主負担が増加する可能性があります。

 当社グループでは、特に医療事業におけるコスト増への対応として、業務の一層の効率化に努めるとともに、適正な価格での受注を推進しています。しかしながら、上記の施策が想定通りに進行せず、コスト増の影響を充分に吸収できない場合には、収益の圧迫要因となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(2)事業内容に関するリスクについて

①人材の確保・育成

 当社グループの主たる事業は、人材によるサービスの提供によるものであり、事業規模を維持・拡大していくためには、それに見合う人材の確保と育成が必須となります。

 医療事業では、取引先医療機関からの様々なニーズに対応可能な専門性の高い医療事務スタッフを当社グループが受託する業務量の増減に応じて確保・育成していく必要があります。

 介護事業及びこども事業では、介護職員及び保育士が慢性的に不足している中、着実に人材を確保し、併せて質の高い人材を育成していく必要があります。また、介護事業及びこども事業は、指定サービス事業者となるために、人員基準及び設備基準が厚生労働省令及び各自治体条例で規定されています。当社の施設はすべて基準を満たすように細心の注意を払っていますが、今後、欠員が生じた場合や基準の変更により追加的な人員補充が必要となった場合において、新たな人材の確保ができない等、人員基準を満たせなくなった場合には、現在提供しているサービスを継続することができなくなる可能性があります。

 当社グループでは、人材採用と育成に積極的に取り組んでいるほか、コミュニケーションや処遇改善等の施策に総合的に取り組むことで、定着率の向上や事業の展開に資する人材の安定確保に努めています。しかしながら、上記の施策にもかかわらず、人材確保が計画通りに遂行できなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

②M&A

 当社は、同業他社等に対するM&A(子会社化や事業譲受等)を実施することにより当社グループの事業を補完・強化することが可能であると考えています。その際、対象企業や事業の状況及び財務、税務、法務等について詳細なデューデリジェンスを行う等、意思決定のために必要かつ十分と考えられる情報収集、経営会議における投資効率の精査、検討を実施することで可能な限りのリスク回避に努めています。

 しかしながら、M&A後において、当社が認識していない問題が明らかになった場合や、何らかの事由により事業展開が計画通りに進まない場合、対象企業の株式価値や譲受資産の減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③個人情報

 当社グループでは、医療事業においては患者情報、介護事業においては介護利用者、こども事業においては保育園児の情報等、多くの個人情報を取り扱っています。従って、当社グループは、個人情報の保護を経営の重要な課題として認識しており、個人情報保護方針を策定し、計画的に社員教育を実施する等、社内体制の強化を図り、個人情報漏えいの防止に努めています。しかしながら、万が一、個人情報漏えい等の不測の事態が生じた場合は、社会的信用失墜や損害賠償責任の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

④お客様の安全管理・健康管理・事件事故対策

 当社グループの介護サービス利用者は高齢者が多いことから、転倒や誤嚥等によって利用者の生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。通所介護(デイサービス)、グループホーム及び有料老人ホーム等においては、食事や入浴等の介護サービスが行われており、食中毒、集団感染等の危険度は相対的に高いと考えられます。また、介護事業及びこども事業は当社の社員が高齢の利用者や園児に対して、長時間直接的に役務を提供しており、虐待や暴力行為が発生する可能性が相対的に高いと考えられます。

 当社グループは、介護手順や事件事故防止対策等について、長年の実績に基づいた業務のマニュアル化や社員の訓練等を行っています。しかしながら、万が一、事件事故や食中毒等が発生し、当社の管理責任が問われた場合には、各介護施設における事業の存続に重大な影響を受け、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 また、保育所の運営に関しては、上記と同様に万全の体制で臨んでいますが、万が一重大な事件事故が発生した場合やその他保育所の運営上における何らかのトラブルが発生した場合には、各施設における事業の存続に重大な影響を受け、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

⑤情報セキュリティ

 当社グループは、情報セキュリティに関する遵守事項、管理規程、セキュリティ事故発生時の対応等を情報セキュリティ方針に定め、業務の効率化のための情報システム構築・運用、IT環境の整備、セキュリティ対策の強化に取り組んでいます。特に医療事業のリモート医事サービスの提供においては、ISMS/ISO27001認証を取得し、3省2ガイドラインに準拠した環境でのサービス提供を行う等、情報セキュリティ対策を徹底しています。しかしながら、通信設備等の予期せぬトラブル等によりシステムが停止した場合や、外部からの不正アクセス、サイバー攻撃、コンピューターウイルス侵入等により機密情報・個人情報の漏洩を含む情報セキュリティ上の不備が生じた場合には、その被害の規模により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 当社グループの情報セキュリティポリシーは、当社ウェブサイトに記載しています。

<情報セキュリティポリシー>

https://www.solasto.co.jp/security/

 

⑥サービスの継続性

 当社グループの事業の性格上、サービス提供の継続性が強く求められています。従って、業績が改善されない事業所があった場合でも、収益性の観点だけで直ちに撤退することが困難な場合があります。

 

⑦長期賃貸借契約

 介護事業及びこども事業における事業所・保育所の開設にあたっては、土地及び建物等の設備投資が必要であることから投資リスクが生じます。当該リスクを抑制するために、各施設の展開は賃借を基本とした設備投資戦略を採用しています。このため、投資リスクは抑制されるものの、一定期間は撤退の制約が課せられ、これに反した場合は中途解約による違約金等の支払が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、土地及び建物の所有者である法人、個人が破綻等の状況に陥り、継続的使用や債権の回収が困難となった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(3)法的規制・訴訟に関するリスクについて

①労働者派遣法

 医療事業においては業務請負が主な形態となっていますが、顧客(医療機関)の需要にきめ細かく対応するため、一部の業務において労働者派遣を行っています。

 労働者派遣事業の許認可や派遣可能な業務・期間等は、「労働者派遣法」及び関連諸法令の規制を受けています。当社は、「労働者派遣法」に基づく労働者派遣事業許可を取得しており、「労働者派遣法」には、派遣事業を行う事業主が欠格事由及び当該許可の取消事由に該当した場合に、期間を定めて当該労働者派遣事業の全部または一部の停止を命じることができる旨が定められています。

 今後の「労働者派遣法」及び関係諸法令の改正または解釈の明文化等が行われた場合は、派遣売上に影響を及ぼす可能性があります。

 

②介護保険制度

 当社グループが行っている介護事業は、「介護保険法」に基づく介護サービスが中心となっており、「介護保険法」及び関連諸法令の規制を受けます。これらの介護サービスを行う事業者は、都道府県等各自治体の指定を受ける必要があります。「介護保険法」には、介護報酬の不正請求や人員、設備基準違反等当該指定の取消事由に該当した場合に指定を取り消すことができる旨が定められています。

 介護保険制度は、3年毎に制度全般の見直し及び介護報酬の改正が行われています。従って、介護保険収入の割合が高い同事業は、法改正の影響を受けやすい特徴があります。

 当社グループは、訪問介護(ホームヘルプサービス)や通所介護(デイサービス)を中心とした在宅介護サービスに加え、有料老人ホームや介護保険適用外サービスの強化等により、法改正の影響を分散する取り組みを 行っています。しかしながら、今後の制度の見直しや介護報酬の改定により、展開中の介護サービスへの規制強化や適用される介護報酬額が大幅に引き下げられた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③その他の法的規制

当社グループは事業の遂行において、上記を含む様々な法律や規制の適用を受けており、これら法律・規制等を遵守すべく、社内体制の確立や社員教育等に重点的に取り組んでいます。しかしながら、当社グループに対して訴訟や法的手続きが行われ、当社グループに不利な判決が下された場合や法的措置が課された場合、またその影響により当社グループの社会的信頼が喪失した場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(4)その他のリスクについて

①気候変動

 当社グループの事業においては、気候変動による影響は軽微と認識しています。しかしながら、将来において炭素税の導入による税負担の増加、電力価格等のエネルギー価格の高騰、豪雨や台風等の異常気象の激甚化による施設の建物・設備への被害等の影響が生じる場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

②自然災害・感染症

 当社グループは、首都圏、中京圏、関西圏を中心に通所介護(デイサービス)や有料老人ホーム等の介護施設及び首都圏を中心に保育施設を運営しています。これらの施設は、地震、火災等不測の災害が発生した場合、介護利用者、保育園児や社員並びに施設の建物・設備等に被害が及ぶ可能性があります。また、感染症の流行や拡大により、施設の稼動ができなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③資金調達

 当社グループは、事業運営及び成長に必要な資金を自己資本だけに依存することなく、他人資本である借入等の負債を有効活用することにより、長期的な企業価値の最大化を図っています。この資本の調達過程において、金融市場の不安定化や当社グループの業績又は財務体質等を要因として、計画通りの資金調達が実行できない場合や金利の上昇が発生した場合等には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

④減損会計の適用

 当社グループ各社の保有する固定資産について、今後、収益性が著しく低下した場合には、減損損失の計上が必要となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは介護事業を中心にM&Aを実施しており、その結果、有形固定資産及びのれん等の資産を取得又は計上しています。これらの資産についても多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状況及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤風評等の影響

 当社グループの事業においては、お客様をはじめ関係者の信用、評判が大きな影響力を持つと認識しています。従って、当社グループでは高い理念の下に細心の注意を払って事業を運営していますが、何らかの理由により当社グループの評判が損なわれた場合又は当社グループに対する好ましくない風評が立った場合には当社グループの業績及び人材採用等に影響を与える可能性があります。

 

⑥親会社等との関係

 当社は、2015年12月16日付で大東建託株式会社から出資を受け入れ、大東建託株式会社は当社発行済株式総数の34.5%(議決権比率ベース)を保有するその他の関係会社に該当しています。また、当社は大東建託株式会社の持分法適用関連会社となり、当社の社外監査役である岡本司氏は大東建託株式会社から招聘しています。

 当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、大東建託株式会社に対して承認や事前報告を要する事項はなく、独立性・自律性は保たれていると認識しています。また、大東建託株式会社は当社株式を中長期にわたって保有する意向であると認識しています。しかしながら、将来において、大東建託株式会社における当社株式の保有比率に大きな変動があった場合、あるいは大東建託グループの事業戦略が変更された場合等には、当社株式の流動性及び株価形成、並びに当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日2025年6月24日現在において判断したものです。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、以下のような状況や変化がありました。

・医療事業においては、病院を中心とした医療機関における医療事務の外部委託ニーズが安定して推移しました。

・介護事業においては、2024年6月に介護報酬が改定され、介護職員の処遇改善分として0.98%、全体として1.59%のプラス改定となりました。

・新型コロナウイルス感染症においては、感染収束に伴い社会・経済活動や生活環境の正常化が緩やかに進み、介護事業におけるご利用者様のサービス利用にも回復が見られました。

・雇用の環境においては、2024年平均の有効求人倍率が1.25倍(季節調整値)となり、2022年以降の回復基調から一転、前年を0.06ポイント下回りました(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」)。一方、介護サービス分野の有効求人倍率は4倍を超える高い水準にある等、依然として医療事務・介護・保育分野における適時適切な人材の採用は業界全体の重要課題となっています。

 

このような事業環境の中、2024年度における当社グループの業績は、売上高においては、医療事業、介護事業及びこども事業がいずれも堅調に推移し、前年比1.7%増の137,435百万円となりました。営業利益においては、介護事業のコロナ禍からの回復効果や、前年度の減損損失計上に伴う償却費の減少、スマートホスピタル事業の構造改革に伴う収益性改善の影響等により、前年比27.2%増の7,017百万円となりました。経常利益は前年比20.9%増の6,726百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比75.4%増の3,960百万円となりました。

 

2024年度の業績結果は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

2023年度

2024年度

増減

増減率

売上高

135,139

137,435

+2,295

+1.7%

営業利益

(同率)

5,517

(4.1%)

7,017

(5.1%)

+1,500

+27.2%

経常利益

(同率)

5,564

(4.1%)

6,726

(4.9%)

+1,161

+20.9%

親会社株主に帰属する当期純利益

(同率)

 

2,257

(1.7%)

 

3,960

(2.9%)

 

+1,703

 

 

+75.4%

 

 

<事業セグメント別の状況>

[医療事業]

売上高は、コロナ関連業務の特需が終息したことによる約13.4億円の減収要因があったものの、前年度期中に新規受注した請負業務の業績貢献と価格改定効果等により、前年比0.2%増の70,981百万円となりました。営業利益は、請負業務の増収による増益に加え、前年度に計上した想定以上の新規立ち上げ費用が業務安定により改善したこと、また、前年度に進めた次世代オペレーションへの移行で生産性が改善され販売費及び一般管理費が減少したこと等が、コロナ関連業務の減収による減益影響等を上回り、前年比2.7%増の4,418百万円となりました。

 

[介護事業]

売上高は、コロナ禍からの回復基調が続いていることに加え、前年度に子会社化したポシブル医科学株式会社、株式会社ソラストケア等の計4社及び新規開設事業所の業績貢献等により、前年比2.7%増の55,337百万円となりました。営業利益は、増収による増益に加え、前年度に減損損失を計上したことによる償却費負担の減少や、介護事業所の統廃合をはじめとする効率化を進めたこと等により、前年比49.6%増の2,218百万円と大幅増益になりました。

 

[こども事業]

売上高は、園児数の増加等の影響により、前年比6.5%増の10,836百万円となりました。営業利益は、増収による増益や従業員の定着率向上による求人費用の減少等により、前年比30.4%増の401百万円と大幅増益になりました。

 

[その他]

スマートホスピタル事業においては、新成長戦略により順調に顧客数が増加し、売上高は、前年比24.8%増となりました。損益面については、第3四半期連結会計期間及び当第4四半期連結会計期間のいずれも黒字化を達成しており、2023年10月の事業構造改革以降は収益性が大幅に改善しました。

以上の結果、その他の売上高は前年比18.4%増の279百万円、営業損失は20百万円となりました。

 

[売上高]

(単位:百万円)

 

2023年度

2024年度

増減

増減率

医療事業

70,833

70,981

+148

+0.2%

介護事業

53,895

55,337

+1,442

+2.7%

こども事業

10,174

10,836

+661

+6.5%

その他

236

279

+43

+18.4%

合計

135,139

137,435

+2,295

+1.7%

 

[営業利益]

(単位:百万円、( )内は営業利益率)

 

2023年度

2024年度

増減

増減率

医療事業

4,301

(6.1%)

4,418

(6.2%)

+116

+2.7%

介護事業

1,482

(2.8%)

2,218

(4.0%)

+735

+49.6%

こども事業

307

(3.0%)

401

(3.7%)

+93

+30.4%

その他

△575

(-)

△20

(-)

+554

合計

5,517

(4.1%)

7,017

(5.1%)

+1,500

+27.2%

(注)上記<事業セグメント別の状況>に記載している売上高は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」の外部顧客への売上高の数値を記載しています。

 

[介護事業所数及び保育施設数]

 

2024年3月末

2025年3月末

増減

介護事業所数

724

709

△15

保育施設数

68

67

△1

(注)上記介護事業所数は直営事業所の合計を記載しています。上記のほか、フランチャイズ事業所を2025年

   3月末時点で24ヶ所運営しています。

 

②当期の財政状態の概況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は31,166百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,118百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が1,111百万円減少したことによるものです。固定資産は38,930百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,984百万円減少いたしました。これは主にのれんが1,752百万円、投資その他の資産が1,702百万円減少したことによるものです。

この結果、総資産は70,097百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,102百万円減少いたしました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は22,362百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,220百万円減少いたしました。これは主に短期借入金が500百万円、未払金が917百万円減少したことによるものです。固定負債は25,050百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,081百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が4,782百万円減少したことによるものです。

この結果、負債合計は47,412百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,301百万円減少いたしました。

 

(純資産)

当連結会計年度における純資産は22,684百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,198百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益3,960百万円及び剰余金の配当1,844百万円によるものです。

 

③当期のキャッシュ・フローの概況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が6,454百万円となったものの、長期借入金の返済による支出、法人税等の支払額、配当金の支払額等により、前連結会計年度末に比べ1,111百万円減少し、当連結会計年度末には14,004百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は5,877百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益6,454百万円、のれん償却費1,656百万円、減価償却費1,452百万円及び法人税等の支払額2,106百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は347百万円となりました。これは主に、金銭の信託の解約による収入1,107百万円、有形固定資産の取得による支出415百万円及び無形固定資産の取得による支出407百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は7,335百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出4,782百万円及び配当金の支払額1,844百万円等によるものです。

 

④資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、厳選した介護事業のM&A、介護施設の新規開設、医療事業の顧客拡張や商材拡充を目的とした各種施策、新たな成長の柱の開拓に向けた外部パートナーとの連携やM&A等です。これらの資金需要には、営業活動から得た自己資金を最優先として対応する予定です。不足する分については、資本効率やリスク管理に配慮しながら、金融機関からの借入等を活用する予定です。

 

⑤重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。これら連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わねばなりません。経営者は、これらの見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っています。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。見積りには特有の不確実性が存在するため、実際の結果は、これら見積りと異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

⑥生産、受注及び販売の実績

[生産実績]

 該当事項はありません。

 

  [受注実績]

 該当事項はありません。

 

  [販売実績]

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年比

医療事業

70,981

+0.2%

介護事業

55,337

+2.7%

こども事業

10,836

+6.5%

報告セグメント計

137,155

+1.7%

その他

279

+18.4%

合計

137,435

+1.7%

 (注)当連結会計年度から従来「その他」の区分に含まれていた「教育事業」を報告セグメントの「医療事業」に含めており、2023年度の実績に2024年度のセグメント変更を反映した参考値を用いて前年比較をしています。また、セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。