第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績や設備投資を背景に緩やかな回復傾向にありましたが、年度後半からの急速な円高・株安等金融市場に対する不安感、個人消費の伸び悩み、新興国を中心とした世界的な景気減速懸念等により先行き不透明な状況となりました。
 当社グループが属する情報サービス業界は、セキュリティ対策、ビッグデータ活用に加え、IT技術のイノベーションによる「IoT(Internet of Things)」「FinTech」等が新たな社会基盤として活用され始め、今後の成長が期待されつつあります。また、企業向けシステム開発についても企業の堅調な投資意欲を背景に従来型のシステム開発が順調に推移するとともに、「所有から利用へ」の顧客ニーズの変化のなか「クラウド」に代表されるサービス型ビジネスへの転換が進んでおり、業界全体は緩やかな成長基調で推移いたしました。一方、このような状況のもと優秀な技術者の不足及び高コスト化等、重要な事業リソース上の課題も顕在化しており、最新テクノロジーやITイノベーションに対応できる優秀な技術者の育成及び確保が重要な課題となっております。
 このような経営環境のもと、当社グループは、主に基幹系業務に係るシステム開発、データセンターを活用したシステム運用及び維持保守、「HULFT(ハルフト)」を中心としたパッケージ製品の販売及びサポートサービス等を積極的に展開し、各事業間のシナジーを高め、既存顧客との取引拡大、新規顧客獲得に努めてまいりました。また、パッケージ製品の製品ラインナップ強化及びASEANを中心としたグローバル展開を推進するとともに、将来の事業拡大に向けた製品及び技術の研究開発及び人材育成に積極的に取組み、事業基盤の拡大を図ってまいりました。
 当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は29,792百万円(前連結会計年度比2.3%減)となりました。利益面においては、一部事業において不採算案件の発生やプロジェクトの開発中止等により一時的な損失が発生したものの、パッケージ製品の販売等を実施しているHULFT事業が堅調に推移したこと及び前連結会計年度に原価計上した大型システム開発に係る製品保証対応費用が減少したこと等により、営業利益は2,654百万円(前連結会計年度は4,123百万円の営業損失)、経常利益は2,569百万円(同4,081百万円の経常損失)となりました。また、大型システム開発案件の開発遅延に係る顧客との条件付和解に伴う6,646百万円の損害賠償引当金繰入額及び事業用資産に係る1,254百万円の減損損失を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失は6,094百万円(同4,707百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
 当連結会計年度におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。以下、セグメント間取引については相殺消去しておりません。
 なお、当連結会計年度より、業界・業種を問わないシステムインテグレーション及びクラウドソリューションの拡大を図るために組織変更を行っております。これに伴い、従来の「金融システム事業」のうちクレジットビジネスを対象とした事業を「カードシステム事業」に名称変更し、その他の法人向けのシステム化事業と「流通サービスシステム事業」を統合のうえ、報告セグメントを「エンタープライズ・ソリューション事業」に変更しております。前連結会計年度との比較分析は、変更後の区分によって行っております。

 

 (カードシステム事業)

売上面においては、既存顧客向けのネットワーク間処理、帳票出力運用処理等の情報処理サービスが堅調に推移したものの、製品保証対応により既存顧客向けのシステム開発が減少したこと等により、当連結会計年度のカードシステム事業の売上高は9,171百万円(前連結会計年度比0.1%増)となりました。
 利益面においては、前連結会計年度に原価計上した大型システム開発に係る製品保証対応費用が減少したこと等により、当連結会計年度の営業利益は1,281百万円(前連結会計年度は7,302百万円の営業損失)となりました。

 

 

 (エンタープライズ・ソリューション事業)

売上面においては、既存顧客向けの情報処理サービス及びシステム開発が減少したこと等により、当連結会計年度のエンタープライズ・ソリューション事業の売上高は9,920百万円(前連結会計年度比6.3%減)となりました。
 利益面においては、事業基盤拡大の一環として取組んだ新規分野に係るシステム開発における不採算案件の発生及び一部プロジェクトの開発中止に係る損失計上等により、当連結会計年度の営業損失は383百万円(前連結会計年度は708百万円の営業利益)となりました。また、前述のシステム開発に係る不採算案件の発生及び一部プロジェクトの開発中止に伴い、当連結会計年度において769百万円の減損損失を計上しております。

 

 (BPO事業)

当該事業については、平成28年2月1日付で会社分割及び株式譲渡を行ったため、当連結会計年度における業績は株式譲渡時点までの10ヶ月間の実績となっております。
 当連結会計年度のBPO事業の売上高は1,205百万円(前連結会計年度比39.6%減)、営業損失は1,253百万円(前連結会計年度は517百万円の営業損失)となりました。また、システム開発に係る不採算案件の発生に伴い、当連結会計年度において486百万円の減損損失を計上しております。

 

 (HULFT事業)

通信ミドルウェアのデファクトスタンダードである当社の主力製品「HULFT」の累計出荷本数は、前連結会計年度末から約8,800本増加し約181,800本となり、導入社数は前連結会計年度末から約300社増加し8,400社を超えました。
 売上面においては、前連結会計年度に販売を開始した「HULFT8」が順調に出荷本数を伸ばし、サポートサービスを含め堅調に推移するとともに、HULFTファミリー製品及び連結子会社である㈱アプレッソの製品「DataSpider」も堅調に推移いたしました。また、当社及び当該事業に属する連結子会社2社(㈱アプレッソ・世存信息技術(上海)有限公司)相互間のシナジーにより当該連結子会社の事業基盤が拡大したこと等により、当連結会計年度のHULFT事業の売上高は7,261百万円(前連結会計年度比3.5%増)となりました。
 利益面においては、利益率の高いライセンス販売及びサポートサービスが堅調に推移したものの、更なる事業拡大を狙い、次世代製品の研究開発、グローバルな事業展開の推進及びブランド力強化に向けたマーケティング活動に注力したこと等により販売費及び一般管理費が増加し、当連結会計年度の営業利益は2,760百万円(同4.0%減)となりました。

 

 (その他)

その他には㈱フェス等を分類しており、売上面においては、医療機関向けシステム運営管理受託及びITサービスマネジメントの標準である「ITIL」関連事業が増加したこと等により、当連結会計年度のその他の売上高は3,245百万円(同10.9%増)となりました。
 利益面においては、売上高の増加及び収益性の向上等により、当連結会計年度の営業利益は387百万円(同37.1%増)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より2,177百万円減少し、5,456百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、452百万円(前連結会計年度比79.6%減)となりました。

主な減少要因は、税金等調整前当期純損失5,395百万円を計上したこと、製品保証対応の進捗により製品保証引当金4,698百万円を取崩したこと等によるものであります。また、主な増加要因は、損害賠償引当金6,646百万円を計上したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、3,625百万円(同15.1%増)となりました。

主な増加要因は、有価証券900百万円が償還になったこと等によるものであります。また、主な減少要因は、SAISOS関連の設備投資等により、サーバー・通信機器及びソフトウェア等に4,262百万円を支出したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、1,022百万円(前連結会計年度は989百万円の支出)となりました。

主な増加要因は、セール・アンド・割賦バックにより2,424百万円の収入があったこと等によるものであります。また、主な減少要因は、セール・アンド・割賦バックの返済により1,008百万円を支出したこと等によるものであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。 
 なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分により作成したものを記載しております。また、BPO事業については、平成28年2月1日付で会社分割及び株式譲渡を行ったため、当連結会計年度における数値は株式譲渡時点までの10ヶ月間の実績となっております。
 

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

増減

生産高(千円)

生産高(千円)

生産高(千円)

増減率(%)

カードシステム事業

9,136,172

9,246,165

109,992

1.2

エンタープライズ・
ソリューション事業

10,667,638

9,959,520

△708,118

△6.6

BPO事業

1,989,851

1,188,408

△801,442

△40.3

HULFT事業

7,013,343

7,261,282

247,938

3.5

その他

2,925,592

3,788,976

863,383

29.5

合計

31,732,599

31,444,353

△288,245

△0.9

 

(注) 1  金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

増減

受注高(千円)

受注残高
(千円)

受注高(千円)

受注残高
(千円)

受注高(千円)

受注残高
(千円)

カードシステム事業

8,528,134

1,102,100

9,510,041

1,440,376

981,906

338,275

エンタープライズ・ソリューション事業

9,409,649

8,117,965

12,858,889

11,056,724

3,449,240

2,938,758

BPO事業

1,744,340

999,770

205,983

△1,538,356

△999,770

HULFT事業

7,271,899

2,945,962

7,383,498

3,067,769

111,599

121,806

その他

3,223,408

1,593,064

3,290,053

1,637,487

66,644

44,422

合計

30,177,432

14,758,863

33,248,467

17,202,356

3,071,034

2,443,493

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

増減

販売高(千円)

販売高(千円)

販売高(千円)

増減率(%)

カードシステム事業

9,165,732

9,171,765

6,033

0.1

エンタープライズ・ソリューション事業

10,584,585

9,920,131

△664,453

△6.3

BPO事業

1,997,046

1,205,754

△791,291

△39.6

HULFT事業

7,012,993

7,261,692

248,698

3.5

その他

2,925,592

3,245,630

320,037

10.9

合計

31,685,949

30,804,974

△880,975

△2.8

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しておりません。また、セグメント間の振替高を含めて表示しております。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  平成26年4月1日

至  平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

㈱クレディセゾン

9,299,965

30.5

10,267,453

34.5

㈱キュービタス

3,115,556

10.2

 

     (注) 当連結会計年度の㈱キュービタスについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略して
         おります。

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

 経営資源としての「ヒト、モノ、カネ」に新たに「IT・情報」が加わり、ネットワーク通信環境の飛躍的な向上、ソフトウエアの仮想化、スマートデバイスの普及等により、企業活動と人々の暮らしは効率化、低コスト化を実現しつつあり、あらゆるものが「所有するもの」から「利用するもの」へと、そのあり方を大きく変化させております。
 また、今後は益々非連続な変化が続く激しい時代になることが予測されております。すなわち、グローバル競争の加速、国内市場の飽和感、業界構造の変化、お客様ニーズの多様化といった「ビジネス環境変化」及びモバイル、クラウド、ビッグデータ、IoTといった「テクノロジーの進化」等により、新規事業創出、ビジネスモデル転換、新しいお客様価値創出、既存事業の差別化、異業種間連携の実現といった事業イノベーションが加速する時代が到来しつつあります。そして、あらゆる企業がビジネス環境の変化や各種イノベーションに対し、IT展開の俊敏性、柔軟性を担保するため、ITインフラ、アプリケーション及びファイルデータ基盤をプラットフォーム化する必要があります。
 このような経営環境のもと当社グループは、カードビジネス、流通小売業を中心とする多くのお客様のITシステム開発及び運用に携わるとともに、マネジメントファイルシステム「HULFT」製品群の提供及びグローバル展開を通じて、お客様のビジネス基盤及び社会基盤をITシステムの側面から支援してまいりました。
 一方で、ITシステムの開発においては、技術力・開発力不足及びミドルマネジメント力の脆弱性が顕在化し、その結果、巨額の損害賠償費用や減損損失等が発生し、ITベンダーとしての信用を大きく毀損させることになりました。このような状況を受け、当社グループは、平成31年3月期を最終年度とする新たな中期経営計画を策定し、財務基盤の強化とともに毀損した信用の回復に努め、更なる事業の成長を目指してまいります。
 この中期経営計画実現のための、主な戦略及び施策は以下のとおりです。

 

① 重点顧客マーケットビジネスへのフォーカス

 カードシステム事業においては最重要顧客における顧客内でのITシェアの拡大、流通・ITソリューション事業においては「繋ぎ・連携・ビッグデータ」に関連する独自ソリューションの提供、及び新設した「テクノベーションセンター」(「テクノロジー」と「イノベーション」の造語)と各事業のコラボレーションによる新規ビジネスの発掘に取組んでまいります。

② HULFT事業の成長加速

 HULFT及びHULFTファミリー製品等、魅力的な製品・サービスを継続的に提供するとともに、HULFTブランドの価値向上及び国内の潜在マーケットの開拓に取組んでまいります。
 また、事業のグローバル化を一層推進し、海外マーケットの開拓に取組んでまいります。

③ 技術戦略の明確化と開発力強化

 全社的な技術統括・品質管理を行うテクノベーションセンターをCTO(最高技術責任者)直轄の組織として新設し、技術戦略の浸透、開発力、技術力向上、製品サービスの品質向上に取組むとともに、先端テクノロジー(「IoT」「FinTech」等)の研究開発・活用を推進してまいります。

④ 財務基盤の整備・強化

 システム開発等の事業投資の判断に関する基準を明確化し、キャッシュフロー重視の経営に転換するとともに、各事業の更なる成長のための柔軟かつ安定的な資金調達実現を通じて、事業基盤の強化に取組んでまいります。

⑤ 業務プロセスやコスト構造の最適化

 BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の推進を通じて社内プロセスや組織機能等の見直しを実施するとともに、当該見直しによるIT基盤の刷新、データセンターの最適化等、適正なコスト構造への転換を図ってまいります。

⑥ その他

 コーポレートブランドの訴求、ロールモデル人材の育成、各種社内制度見直し、社内コミュニケーションの活性化等を実施し組織風土、企業ブランドの刷新に取組んでまいります。
 また、事業ポートフォリオの再整備、アライアンス強化を通じて長期的な成長を実現し、継続的にROE15%を達成できる事業基盤の確立に努めてまいります。 

 

 

なお、平成22年12月27日開催の取締役会にて、当社は、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 

(株式会社の支配に関する基本方針)

 

 一 基本方針の内容の概要

 

当社取締役会は、当社株式の大規模買付行為を受け入れるか否かの判断は、最終的には当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。また、当社は、当社株式について大規模買付行為がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
 しかしながら、大規模買付行為の中には、その目的等から企業価値ひいては株主共同の利益に対して明白な侵害をもたらすもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が大規模買付行為の内容等を検討し、代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、大規模買付者の提示した条件よりも有利な条件を引き出すために大規模買付者との交渉を必要とするもの等、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

 

したがって、当社取締役会は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定に重大な影響を与える者として不適切であると考えております。そこで、当社は、こうした不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定に重大な悪影響が生じることを防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する大規模買付行為を抑止するとともに、大規模買付行為が行われる際に、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案したり、あるいは株主の皆様がかかる大規模買付行為に応じるべきか否かを判断するために必要な情報や時間を確保したりすること、株主の皆様のために交渉を行うこと等が必要であると考えております。

 

二 基本方針の実現に資する特別な取組みの内容の概要

 

当社が属する情報サービス業界は、政府の成長戦略に「IoT推進」、「ビッグデータ活用」等のIT技術の積極的な活用が織り込まれ、セキュリティ対策、ビッグデータ活用、マイナンバー制度の導入、Fintech等、新たな需要が期待されるとともに、企業のシステム開発投資が堅調に推移することにより、業界全体は緩やかながらも成長基調にあります。
 当社は、これまで平成18年3月期より3年毎の中期経営計画を策定し、様々な施策を講じた結果、全社の売上拡大や事業基盤の拡充が進み、HULFT事業のグローバル展開への取組み等将来の更なる成長への布石を打つこともできました。また、平成28年2月にはBPO事業の会社分割及び譲渡を実行し、経営資源の選択と集中を進めてまいりました。一方で、技術力・開発力の課題が顕在化するとともに、その課題が起因となる大型開発案件に関する損失発生により、2期連続(平成27年3月期及び平成28年3月期)の大幅赤字(当期純損失)を計上し、技術力・開発力の強化とともに、財務基盤の立て直しが重要な課題となりました。このほか、事業戦略の明確化、コスト構造の最適化、事業基盤や組織風土の刷新等を重要な課題として認識しております。
 当社は、このような経営環境及び重要な課題を踏まえ、新たな経営体制のもと、平成29年3月期~平成31年3月期を期間とする中期経営計画を策定し、達成に努めています。新たな中期経営計画においては、ビジョン「カテゴリートップの具現!~特定分野においてダントツの存在感を発揮する~」の実現を目指し、長期で飛躍的・非連続的な成長を遂げるために必要な事業ポートフォリオ、事業基盤の整備・確立に努めるとともに、財務基盤の整備・強化等の重点戦略を講じ、企業価値を高めるべく経営に取組んでまいります。

 

三 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要

 

当社は、平成23年5月12日開催の取締役会において、企業価値及び株主共同の利益の維持・向上に向けた取組みとしての当社の大規模買付ルールを更新することを決議し、同年6月10日開催の当社第42期定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきましたが(以下、更新前の大規模買付ルールを「旧ルール」といいます。)、旧ルールの有効期間が満了したため、平成26年6月12日開催の第45期定時株主総会における承認を得て当社の大規模買付ルール(以下、更新後の大規模買付ルールを「本ルール」といいます。)を更新いたしました。本ルールの概要は以下のとおりです。

 

 当社の発行する株券等の買付行為を行おうとする者のうち、本ルールの対象となる者は、①当該買付者を含む株主グループの議決権割合を28%以上とすることを目的とする買付行為若しくはこれに類似する行為を行おうとする者、又は、②当該買付行為の結果、当該買付者を含む株主グループの議決権割合が28%以上となる買付行為若しくはこれに類似する行為を行おうとする者です。
 大規模買付者には、大規模買付行為を開始する前に、当社宛に、本ルールに定められた手続を遵守することを約束する旨等を記載した意向表明書及び当社取締役会が大規模買付行為の内容を検討するために必要と考える情報(以下、「必要情報」といいます。)をご提出いただきます。
 当社取締役会は、大規模買付者から必要情報の提供を受けた日から起算して60営業日以内の期間(30営業日を上限として延長することができます。)(以下、「分析検討期間」といいます。)、外部専門家の助言を受ける等しながら、必要情報の分析・検討を行い、当社取締役会としての意見を取りまとめ、公表します。当社取締役会は、分析検討期間中、必要に応じて、大規模買付者と交渉し、また、株主の皆様に対する代替案の提示を行うことがあります。なお、当社取締役会は、一定の場合には、大規模買付行為に対する対抗措置の発動等に関し、株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認する場合があります。
 大規模買付者は、当社取締役会が大規模買付行為に対する対抗措置の発動を行わない旨の決議を行い、又は当社株主総会において大規模買付行為に対する対抗措置の発動に係る議案が否決されるまでの間、大規模買付行為を開始することができないものとします。
 大規模買付者が本ルールを遵守しなかった場合、当社取締役会は、法令及び定款の下で可能な対抗措置のうちから、状況に応じ最も適切と判断したものを発動することがあります。他方、当社取締役会は、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守している場合には、原則として、大規模買付行為に対する対抗措置を発動する旨の決議を行いません。但し、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがある場合であり、かつ、対抗措置を取ることが相当であると認められる場合には、対抗措置を発動することがあります。具体的な対抗措置として新株予約権無償割当てを行う場合、割当期日における株主に対し、その所有株式1株につき1個の割合で新株予約権が割当てられ、当該新株予約権には、大規模買付者等所定の要件に該当する者(以下、「非適格者」といいます。)は原則として行使できないとする行使条件、及び、非適格者以外の新株予約権者から、当社普通株式1株と引換えに当社が新株予約権を取得できる旨の取得条項等が付されることになります。また、対抗措置としての効果を勘案した行使期間、差別的行使条件及び差別的取得条項等を設けることがあります。
 当社取締役会は、大規模買付行為に対する当社取締役会としての意見の取りまとめ等を行うに当たり、その判断の公正性を確保するために、業務執行を行う経営陣から独立した者のみから構成される特別委員会に対抗措置の発動の是非その他大規模買付行為の是非等に関する諮問を行います。
 特別委員会は、当該諮問を受けた場合、当社取締役会に対し、大規模買付行為に対する意見及びその根拠資料、代替案(もしあれば)その他特別委員会が必要と認める情報を提供するよう要求することができます。特別委員会は、外部専門家の助言を受ける等しながら、必要情報及び当社取締役会から提供を受けた情報等の分析・検討等を行い、当社取締役会からの諮問に基づき、特別委員会としての意見を取りまとめ、当社取締役会に対し、対抗措置の発動の是非その他大規模買付行為の是非等に関する勧告を行います。特別委員会は、勧告に際して対抗措置の発動に関して予め株主意思の確認を得るべき旨の留保を付すことができるものとし、また、その理由を付して、大規模買付行為等に関する株主意思の確認を行うことを勧告することもできるものとします。
 当社取締役会は、特別委員会による勧告を最大限尊重して、対抗措置の発動や大規模買付行為等に関して決議を行います。また、当社取締役会は、①特別委員会が、対抗措置の発動に関して、予め株主総会の承認を得るべき旨の留保を付して勧告を行った場合、若しくは大規模買付行為に関する株主意思の確認を行うことを勧告した場合、又は、②大規模買付行為による当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する侵害が認められるか否かが問題となっており、かつ、当社取締役会が善管注意義務に照らし株主の意思を確認することが適切と判断する場合には、株主総会を招集し、対抗措置の発動その他当該大規模買付行為に関する株主の皆様の意思を確認することができるものとします。株主総会を開催する場合には、当社取締役会は、株主総会の決議に従い、対抗措置の発動等に関する決議を行うものとします。
 本ルールの有効期間は、平成26年6月12日開催の当社第45期定時株主総会の終結後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとします。但し、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会で選任された取締役により構成される取締役会において、本ルールを廃止する旨の決議がなされた場合には、本ルールはその時点で廃止されるものとします。

 

四 当社取締役会の判断及び理由

 

上記二記載の中期経営計画は、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるために策定された取組みであり、まさに基本方針に沿うものです。また、本ルールは、当社株式の大規模買付行為が行われる際に、当社の企業価値・株主共同の利益を確保するための枠組みを設定するものであり、基本方針に沿うものです。
 本ルールは、「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を完全に充足していること、平成26年6月12日開催の当社第45期定時株主総会の終結後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされ、当該株主総会において株主の皆様に本ルールの更新についてお諮りすることを予定していること、対抗措置を発動する一定の場合には、株主意思を確認できるようにしていること等株主意思を重視するものであること、対抗措置の発動に際しては、経営陣から独立した特別委員会に対して、発動の是非等に関して諮問を行うこととされていること等により、その公正性・客観性が確保されているため、当社は、本ルールは、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの業績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 情報システムの支障または情報セキュリティの不備に関するリスク

当社グループは、クレジット業、流通・サービス業の情報システム等の開発・運営を受託しております。そのため、当社グループは、最新の設備と強固なセキュリティを備えたデータセンターの構築及び情報セキュリティや技術面での社員教育に取組んでおりますが、万一、これらの通信ネットワークや電源系統を含む情報システムの支障または個人情報漏洩を含む情報セキュリティ上の不備が生じた場合、当社グループにおいて、信用の失墜、顧客の喪失、損害の賠償等の影響を生じる可能性があります。

(2) 新規製品・サービスのためのソフトウェア開発に関するリスク

当社グループは、市場競争力を強化・維持するためソフトウェアへの投資を進めており、この開発仕掛分を「ソフトウェア」勘定に資産計上しておりますが、将来収益計画の下方修正または開発計画の遅延・コスト増等により、投資回収計画が当初計画に達しない見込みとなった場合には、「ソフトウェア」の評価減を実施する可能性があります。

(3) 技術者の確保、育成に関するリスク

情報システムの設計、構築等は、知識集約型の業務であると同時に労働集約的な面があり、事業拡大のためには一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保が不可欠なものと認識しております。現時点では、当社グループの人事制度・教育制度により、必要な技術者は確保されておりますが、労働市場の逼迫により当社グループが必要とする優秀な技術者または労働力を確保できない場合、または当社グループの従業員が大量に退職した場合には、当社グループの事業展開が制約される可能性があります。

(4) 受託開発に関するリスク

当社グループは、一定の規模以上の受託開発プロジェクトに対し「当該プロジェクトに関与しない者による見積りの適正性に関するレビュー」を実施するとともに、プロジェクト開発手法の標準化推進、プロジェクト管理者の育成等、プロジェクトの品質向上及び管理体制の強化に継続して取組んでおります。
 しかしながら、受託開発プロジェクトでは、受託時に適正な採算が見込まれると判断したプロジェクトであっても、開発段階におけるプロジェクト管理の問題、想定外の開発範囲の拡大及び作業工数の増加等の理由により不採算プロジェクトとなることがあり、その場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(5) 特定の取引先の動向に関するリスク

当社グループは、㈱クレディセゾン向けの売上高が売上高全体の34.5%(当連結会計年度)を占めており、当該企業向けの販売額が縮小した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(6) 特定の製品への依存に関するリスク

当社グループの自社開発パッケージである企業内・企業間通信ミドルウェア「HULFT」は収益性が高く、当社グループ全体の「HULFT」に対する利益依存度が高いため、今後、同製品の販売の伸びが鈍化した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

(7) 業績の季節変動に関するリスク

当社グループの売上高は、第1四半期・第3四半期に比べ、第2四半期・第4四半期が高い傾向にあります。これは、システム開発案件について顧客の希望納期が9月、3月に集中する傾向にあるためであります。
 なお、当社グループは納期管理を徹底しておりますが、顧客の都合や当社グループの都合等により納期が遅れ、計画どおりに検収を受けることが出来ない場合があります。特に期末月の3月に予定されていた検収が翌期以降に遅れる場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8) データセンターにおける障害に関するリスク

当社グループは、データセンターを中核にしたシステム運用事業を運営しております。当社データセンターは耐震・耐火等の対策を講じており一定の安全性を確保しておりますが、大地震、火災、その他の自然災害及び設備の不具合、運用ミス等が発生した場合、サービスの提供に重大な支障が生じ、損害賠償や信頼喪失等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは、このようなデータセンターの障害リスクを回避するために、設備投資、セキュリティ対策、運用技術者教育の充実等の諸施策を実施しています。 

(9) 外注管理に関するリスク

当社グループは業務上必要に応じて、情報システムの設計、構築等について協力会社に外注しておりますが、この結果、外注比率が高くなる傾向があります。現状では、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、協力会社において質・量(技術力及び技術者数)が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、当社グループの事業運営に支障をきたすことが考えられ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 資金調達に関するリスク

当社グループが締結しているシンジケーション方式のコミットメント期間付タームローン契約には、財務制限条項が付されております。これに抵触し、かつ借入先から請求があった場合には、期限の利益を喪失し、当該借入金を一括返済することとなり、当社グループの財務状況及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
 また、今後の資金調達について、金融市場の環境が不安定な場合、当社グループの信用力が悪化した場合等において、調達が予定通り行なえず、当社グループの事業展開、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、平成27年11月18日の取締役会決議に基づいて、平成28年2月1日を効力発生日として、BPOに関する事業を会社分割(新設分割)により新設会社に承継させたうえで、当該新設会社の全株式を株式会社ビジネスブレイン太田昭和(本社:東京都港区)に譲渡いたしました。
 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、多様化、高度化する顧客ニーズに対応すべく、先端技術の調査研究及び新商品、新商材の研究開発を行っております。
 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は46百万円であり、これはHULFT事業におけるパッケージ製品等に関連した新製品のための研究開発活動によるものであります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

なお、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、当連結会計年度より、「当期純損失」を「親会社株主に帰属する当期純損失」としております。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。

連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っておりますが、これらの見積りは過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて、合理的と考えられる方法により計上しております。

なお、これらの見積りには不確実性があり、実際の結果と乖離する可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①  売上高

通信ミドルウェアのデファクトスタンダードである当社の主力商品「HULFT」等の保守サービスが堅調に推移したものの、既存顧客向けのシステム開発の減少等により、売上高は29,792百万円(前連結会計年度比2.3%減)となりました。

②  売上原価、売上総利益

売上原価は、21,493百万円(同28.3%減)となり、売上高に対する比率は、前連結会計年度より26.2ポイント減少し、72.1%となりました。
 売上総利益については、前連結会計年度にカードシステム事業で原価計上した7,554百万円の製品保証対応費用が減少したこと等により、売上総利益は8,299百万円(前連結会計年度は515百万円の売上総利益)となり、売上総利益率は、前連結会計年度より26.1ポイント増加し、27.8%となりました。

③  販売費及び一般管理費、営業利益

販売費及び一般管理費は、システム開発及び運用における請負契約の解約に関し発生が見込まれる費用を計上したこと、HULFT事業を中心とした製品販売に係る販売促進活動に注力したこと等により、5,644百万円(前連結会計年度比21.7%増)となりました。売上高に対する比率は、前連結会計年度より3.7ポイント増加し、18.9%となりました。
 営業利益については、売上総利益の増加等により、2,654百万円(前連結会計年度は4,123百万円の営業損失)となりました。

④  営業外損益、経常利益

営業外収益は、補助金収入の減少等により26百万円(前連結会計年度比63.0%減)となり、営業外費用は、コミットメント期間付タームローンの契約の締結によりアレンジメントフィー95百万円を計上したこと等により111百万円(同270.2%増)となりました。

以上の結果、経常利益は2,569百万円(前連結会計年度は4,081百万円の経常損失)となりました。

⑤  特別損益

特別利益は、投資有価証券の売却により386百万円(前連結会計年度は6百万円)となり、特別損失は、大型システム開発案件の開発遅延に係る顧客との条件付和解に伴う損害賠償引当金繰入額6,646百万円を計上したこと、BPO事業及びエンタープライズ・ソリューション事業の一部事業用資産について減損損失1,254百万円を計上したこと等により、8,351百万円(前連結会計年度比703.3%増)となりました。

 

⑥  税金等調整前当期純損失

税金等調整前当期純損失は、5,395百万円(前連結会計年度は5,115百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。

⑦  法人税等、親会社株主に帰属する当期純損失

法人税等(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)の額は696百万円(前連結会計年度は△410百万円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は6,094百万円(同4,707百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

(3) 資本の源泉及び資金の流動性についての分析

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2  事業の状況  4  事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(5) 経営者の問題認識と今後の方針について

「第2  事業の状況  3  対処すべき課題」に記載のとおりであります。