当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当中間連結会計期間における国内経済は、個人消費等の持ち直しに一部足踏みが見られるものの緩やかな回復基調にあります。先行きについては、国際的な政治情勢の不安定化や中国経済の先行き懸念等、海外景気の下振れリスクはありながらも、雇用や所得環境の改善等により、国内経済は緩やかな回復継続が期待されております。当社グループが属する情報サービス産業においては、国内経済の緩やかな回復を背景に、企業等のデジタル活用(いわゆるデジタルシフト)がより一層進展し、企業内あるいは社会課題の解決を目的としたIT投資が引き続き拡大するものと予想しております。
このような中、当社グループは、「世界中のデータをつなぎ、誰もがデータを活用できる社会を作る」をミッションとし「4つのシフト(事業シフト・技術シフト・組織シフト・人材シフト)」を戦略として掲げ、HULFT事業・データプラットフォーム事業を中心としたデータ連携ビジネスの更なる拡大に取組んでおります。
当中間連結会計期間における当社グループの業績は、下表のとおりです。
(単位:百万円)
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する中間純損益 |
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当中間連結会計期間 |
11,591 |
907 |
911 |
597 |
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前中間連結会計期間 |
11,998 |
98 |
121 |
△14 |
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前年同期比 |
△3.4% |
823.4% |
652.0% |
- |
減収の主な要因は、フィナンシャルITサービス事業におけるシステム開発案件の減少等によるものです。増益の主な要因は、前中間連結会計期間に受注損失引当金を計上しており、当中間連結会計期間においては受注損失等の臨時的要因は発生していないこと等によるものです。なお、「DNX Ventures」第4号米国ファンドへの出資における管理費用の発生等に伴い営業外費用に投資事業組合運用損を計上しておりますが、他方では、営業外収益に受取利息及び一部のお客様向けサービスの中途解約に伴う違約金収入を計上しております。
当社グループが事業シフト進捗を測る指標として設定しているデータ連携ビジネス売上比率は、51.9%となりました。
当中間連結会計期間におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。以下、セグメント間取引については相殺消去しておりません。
① HULFT事業
当事業では、国内におけるデータ連携ソフトウェアのスタンダードである当社の主力製品「HULFT」、「DataSpider Servista」及び関連製品の販売・サポートサービスを提供しております。
売上高は、4,813百万円(前年同期比2.1%減)となりました。減収の主な要因は、一部製品(「Dataspider Cloud」等)の販売終了に伴う影響によるものです。なお、2024年9月末現在のサポートサービス契約本数は、「HULFT」は63,050本(前連結会計年度末差616本増)、「DataSpider Servista」は5,458本(同5本減)です。一部製品で減少しておりますが、依然として高い契約更新率で推移しております。営業利益は、販売費及び一般管理費の減少等により、2,169百万円(同3.7%増)となりました。
② データプラットフォーム事業
当事業では、当社の強みである「HULFT」、「DataSpider Servista」及び日本発iPaaS「HULFT Square」を
活用し、企業内・企業間のシステムとSaaSのデータを連携することで、業務効率化及び経営刷新を図るサービスを提供しております。
売上高は、1,204百万円(前年同期比9.2%減)となりました。減収の主な要因は、前年同期に行っていた大型のデータ連携基盤構築案件が完了したことによるものです。また、「HULFT Square」の開発に伴う原価の発生等により、1,355百万円の営業損失(前年同期は1,032百万円の営業損失)となりました。なお、「HULFT Square」は、エンタープライズ企業を中心に新規採用が進展しており、サービス利用契約件数は、前連結会計年度末比188.6%となりました。
③ 流通ITサービス事業
当事業では、主に流通小売業・航空業向けに、情報処理サービス、システム開発・運用サービスを提供しております。
売上高は、システム開発案件の増加等により、1,625百万円(前年同期比11.1%増)となりました。なお、前中間連結会計期間に受注損失引当金を計上しており、当中間連結会計期間においては受注損失等の臨時的要因は発生していないものの収益性の低下等により、62百万円の営業損失(前年同期は1,297百万円の営業損失)となりました。
④ フィナンシャルITサービス事業
当事業では、金融業向けに、情報処理サービス、システム開発・運用サービスを提供しております。
売上高は、システム開発案件の減少等により、3,948百万円(前年同期比8.1%減)となりました。営業利益は、売上高の減少等により、155百万円(同53.6%減)となりました。
(トピックス)
・「HULFT Square」を成長ドライバーに「事業シフト」を推進
当社グループは、受託開発型からサービス提供型への事業シフトを推進しており、その成長ドライバーとして「HULFT Square」を提供しております。当中間連結会計期間においては、EDIデータと企業内外のさまざまなシステムとのシームレスな連携及び業務のオートメーション化の実現に向けて、新たにキヤノンITソリューションズ株式会社が提供するサービスと「HULFT Square」の連携ソリューションを発表いたしました。また、当社グループは、9月にラスベガスで開催された「Dreamforce 2024」にブースを出展いたしました。データ・AI活用が先行する北米市場に出展することで、当社製品の認知拡大と海外ニーズの調査に取組んでおります。
・「技術シフト」「人材シフト」推進のための「DNX Ventures」第4号米国ファンドへの出資
北米・日本を中心にB2Bスタートアップへの投資を行っているベンチャーキャピタルである「DNX Ventures」
が運営する第4号米国ファンドへの出資を2024年6月より開始しております。この活動を通じて、北米・欧州におけるAI・SaaS等スタートアップと協業し、先端テクノロジーを積極的に自社製品サービスへ取り込むとともに、データ連携分野の知見を提供して彼らの成功を支援します。また、スタートアップと触れ、協業を進めることによる経験を、次世代人材の育成にもつなげてまいります。
・データセンターの脱炭素化を推進し再生可能エネルギー導入率100%へ
当社はマテリアリティの一つに「環境」を設定し、温室効果ガス排出量ネットゼロを目指しています。その一環として、社内で使用する電力を全て再生可能エネルギー由来にする取組みを進めております。当中間連結会計期間において、三菱HCキャピタルエナジー株式会社とバーチャルPPA契約を締結いたしました。これにより、すでに再生可能エネルギー由来の電力となっている本社オフィスビルに加えて、当社における消費電力量の約90%を占めるデータセンター及び西日本事業所においても再生可能エネルギーを利用することになります。
(TSR(株主総利回り))
2020年3月末を基準(100%)として評価をしており、その推移は次のとおりです。
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2021年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
2024年3月末 |
2024年9月末 |
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当社 |
134.7% |
125.4% |
126.7% |
141.8% |
133.6% |
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同業他社 平均※ |
170.2% |
149.2% |
147.1% |
173.9% |
167.4% |
※GICS(世界産業分類基準)の4510:ソフトウェア・サービスに属する国内上場企業の平均値
当社のTSRは業界平均を下回って推移しております。これは、評価期間の基準となる2020年3月末の当社グループ株価が相対的に高かったことも一因ではありますが、「HULFT Square」等の開発に伴う費用投下によりEPS(1株当たり当期純利益)が低下し、それが当社の株価及びTSRを引き下げている要因と推察しております。当社は、この取組みが将来の利益成長につながることをご理解いただけるよう、引き続き資本市場との対話に努めてまいります。
(2)財政状態の分析
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末より1,260百万円減少し21,436百万円となりました。主な増加要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が同407百万円増加したこと、投資有価証券が同270百万円増加したこと等によるものであります。また、主な減少要因は、現金及び預金が同1,994百万円減少したこと等によるものであります。
負債合計は同1,028百万円減少し、7,447百万円となりました。主な増加要因は、前受金が同447百万円増加したこと等によるものであります。また、主な減少要因は、受注損失引当金が同485百万円減少したこと、未払法人税等が同386百万円減少したこと、賞与引当金が同275百万円減少したこと等によるものであります。
純資産合計は同231百万円減少し、13,988百万円となりました。この要因は、利益剰余金が、剰余金処分による配当財源への割当てにより同728百万円減少したこと、親会社株主に帰属する中間純利益の計上により同597百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より2.6ポイント増加し、65.3%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より1,532百万円減少し、11,831百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は791百万円(前年同期は1,977百万円の獲得)となりました。
主な増加要因は、税金等調整前中間純利益が911百万円となったこと、前受金が450百万円増加したこと等であります。また、主な減少要因は、法人税等の支払額674百万円があったこと、受注損失引当金が485百万円減少したこと、売上債権及び契約資産が415百万円増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は40百万円(前年同期は117百万円の使用)となりました。
主な増加要因は、定期預金の払戻による収入464百万円があったこと等によるものであります。また、主な減少要因は、投資有価証券の取得により357百万円を支出したこと、ソフトウェア開発やハードウェア購入等に60百万円を支出したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は729百万円(前年同期は731百万円の使用)となりました。
主な減少要因は、配当金728百万円を支出したこと等によるものであります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題につきましては、「1 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は90百万円であり、製品・サービスの研究開発によるものであります。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。