第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

平成31年3月末をもって、平成21年4月に策定した10年ビジョンと3期にわたる中期経営計画が終了し、一つの区切りを迎えました。当時から社会の情勢、葬儀の形態、お客様の価値観など事業環境は大きく変化しています。

このような環境変化を踏まえ、新中期経営計画の策定にあわせて経営理念の見直しを行いました。

新経営理念はミッション(使命)、ビジョン(未来・目指す姿)、バリュー(価値観)の3つの体系から構成されています。

ミッション「人生に潤いと豊かさを。よりよく生きる喜びを。」は、葬儀事業からライフエンディングのトータルサポート企業へ、また新規事業の展開へと新しい価値を創り出すことに挑戦しつづける当社が、商品やサービスを通じてお客様と地域の人々の人生に潤いと豊かさを感じてもらうこと、よりよく生きる喜びを感じてもらうことが社会に果たすべき使命であるということを意味しています。

ビジョンは、当社の目指すべき未来の姿として、人の心に寄り添い、人生の喜びと幸せを創出する企業、新しい価値、高い付加価値を創造し、持続的に安定成長していく企業、一人ひとりが情熱を持って、主体的に行動し挑戦しつづける企業になることを掲げました。

バリューは、ミッション、ビジョンを実現するために、当社グループとして大切にすべきこと、価値観をまとめました。

この新経営理念のもとに、変化への対応と機会へのチャレンジを果敢に行うことにより、グループの中長期的な継続安定成長の実現を目指します。そのために、経営理念の浸透を新中期経営計画の重点課題の1つに掲げて取り組んでまいります。

 

(2)経営環境と経営戦略

超高齢社会において、令和22年までは死亡者数が増加すると予測されています。その一方で少子化が進み、日本の人口は減少傾向で将来を担う若者が減少する中、高齢者の割合が年々高まっています。

これらの社会情勢は人々の価値観に影響しており、葬儀についても家族を中心に近しい人だけで行う家族葬のほか、無宗教葬や一日葬など葬儀の形が多様化し、同時に葬儀の小規模化傾向は続いており、葬儀施行単価の下落につながっています。

そうした中、葬儀事業者による葬祭会館の新規出店や、葬儀紹介業者によるインターネットを通じた集客など、事業者間の激しい競争が続いています。

 

こうした事業環境の変化に対して、当社グループの長期的に持続可能な競争優位性の源泉は「人財」にあるとの認識のもと、以下の経営戦略をもって、企業価値の中長期的な向上を目指します。

① 人財に関する戦略

採用、育成、評価に係る仕組みや制度との整合を図りながら人財力を強化し、将来の事業の担い手となりうる人財を確保する。

② サービスに関する戦略

新経営理念において標榜するように、妥協することのない圧倒的な質の高さのサービスを実現し、お客様の喜びと満足を徹底的に追求する。これを品質マネジメントシステムによって仕組み化する。また、現状に満足せず、新しい価値、高い付加価値を創り出す。

③ 出店に関する戦略

東西の大都市圏を中心に、よりスピードを重視した葬儀会館の新規出店により、葬儀事業の積極的な営業エリアの拡大を行う。

④ 事業領域に関する戦略

・ライフエンディング領域(注)において将来のグループコア事業を確立する。

・新規事業(葬儀顧客以外への価値提供)により、新たな収益の柱を確立する。

(注)経済産業省では「ライフエンディング・ステージ」を、(ⅰ)人生の終末や死別後に備えた事前準備(生前からの準備)を行うこと<行動>、(ⅱ)ライフエンドとその後の遺族等による生活の再構築の時期<時間>、の双方を合わせた領域を指すもの、としている。

 

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

売上高営業利益率13%台を維持するとともに、総資本事業利益率(ROA)8.5%以上の達成を目指します。(事業利益=営業利益+営業外収益)

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

① 新経営理念の浸透

新経営理念を、多様な価値観を持つ従業員が同じ方向に進むために共有すべき指針として、様々な手法で社内への浸透を図ること。

② 人財力の強化

競争力の源泉である「人財」を強化します。事業の成長を舵取りする人財の発掘・育成を最大の課題ととらえ、「人財教育部」を新設するとともに、採用、育成、評価等に係る人事制度の改定を通して、戦略構築とマネジメントができる次世代人財の育成を図ること。

③ サービス品質の向上

徹底したこだわりをもってサービスの品質を高めるとともに、サービス品質の維持・向上のための品質マネジメントシステムの仕組みを確立すること。

④ 業務効率の改善

業務内容や役割の見直し、およびIT化等により業務改善を図り、生産性の向上を実現すること。

⑤ ライフエンディングサポート事業の拡充

ライフエンディング・ステージにおけるトータルライフサポート企業へ進化していくために、さらなる事業の拡充を図ること。

⑥ 新規事業の収益力強化

すでに立ち上げた事業については収益力を高めるとともに、新たな収益の柱となる事業創出のためのチャレンジを継続すること。

⑦ 葬儀事業の積極的な営業エリアの拡大

東西の大都市圏を中心に、新規出店に係る物件選定と投資採算の基準を緩めることなく、投資対効果が高い新規出店案件をよりスピードを重視しながら実施し、エリアの拡大を実現すること。

⑧ リスクマネジメント強化

事業環境の変化に対応するための適切なリスクテイクの意思決定に基づく会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るために、リスクマネジメントの強化を継続すること。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(令和元年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)葬儀需要の変動について

(死亡者数)

葬儀需要の数量的側面は死亡者数によって決定され、葬儀事業における所与の条件となります。死亡者数の中長期予測として、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(平成29年4月推計)における死亡者数の中位推計に依拠すれば、向こう10年間、年平均約1.5%の伸び率で死亡者数が増加するとの予測が得られます。しかし年度毎に見ると、実績値は上記推定値から乖離した動きを示します。

したがって、仮にマーケット・シェアおよび葬儀1件当たりの平均単価が変わらないとしても、(当社グループ営業エリアの)死亡者数の変動によって、葬儀およびその関連事業を中核事業とする当社グループの単年度業績が、少なからず変動する可能性があります。

 

(季節的変動)

年間死亡者数の発生に季節性があるため、特に12月~2月が当社グループの葬儀施行件数が相対的に多い繁忙期となります。したがって、葬儀およびその関連事業を中核事業とする当社グループでは、上期よりも下期の営業収益が多くなっております。

また、この繁忙期(とりわけ1月~2月)はインフルエンザの罹患者の発生が多くなる時期でもありますので、その年のインフルエンザ流行の程度によって、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(2)大規模葬儀の変動について

当社グループでは、社葬を中心とする大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)による収入が、当期の葬儀施行収入全体の11.3%を占めております。市場規模が大きく、当社グループのシェアが低い首都圏の社葬市場でのシェア拡大に努力を傾けておりますが、既に高シェアを有する関西圏の社葬については、当社グループの受託件数は概ね所与であります。したがって、大規模葬儀依存度は漸減傾向にあるとはいえ、社葬を中心とする大規模葬儀の受注件数・金額の多寡により当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

なお、社葬に関してはここ数年来、ホテルでの「お別れの会」が広がりを見せております。さらに今後、社葬に関する慣例、形態、あるいは社会通念等の変化が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)規制と競争環境について

(新規参入の可能性)

葬祭業界は法的規制、行政指導のない業界でありますが、それは裏を返せば事業への参入障壁が低いことを意味します。業界内には地域密着型で家業的な中小零細業者を圧倒的多数とする葬儀専業者と、広域展開している一部大手事業者を含む冠婚葬祭互助会とがあります。これまで婚礼を中核事業としてきた冠婚葬祭互助会が葬儀に注力しているほか、成長産業としての認識から、仏事関連産業はもとより異業種(電鉄、流通、生協、農協、ホテル等)からの参入が全国規模で進んでおります。また、インターネットによる葬儀紹介事業者の進出もあり一段と競争激化に拍車をかけております。参入障壁の低さが、今後新たな新規参入を招き、当社グループの業績に影響を与えるような競争環境の変化をもたらす可能性も否定はできません。

 

(4)金利変動について

当社グループの借入金残高は、当期末9億45百万円(総資産の3%)であります。また、その大半が固定金利による長期借入金であります。なお、設備投資を中心とした資金需要は、概ねキャッシュ・フローの範囲内に収めることを財務運営の基本原則と考えております。

ただし、今後、積極的な設備投資に対応するため、一時的には借入金が増加するような新規調達の可能性があります。そうした場合や既存借入金の再調達の際に、市場金利の動向によっては、当社グループの業績が影響を受ける可能性がありますが、その影響は限定的と考えられます。

 

(5)法的規制について

(食品衛生法)

当社グループの料理・飲料事業については食品衛生法により規制を受けております。当社グループが飲食店を営業するために、都道府県知事が定める基準により食品衛生責任者を置いております。なお、食中毒を起こした場合、食品等の廃棄処分、営業許可の取り消し、営業の禁止、一定期間の営業停止等を命じられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは厳格な衛生管理を実施し、こうした事態の回避に努めております。

 

(個人情報保護法)

当社グループでは、葬儀の請負等を通じて多くの個人情報を所有することから、平成17年4月より施行された個人情報保護法の遵守体制構築を経営の最重要課題の一つと位置づけ、プライバシーマークの認証を取得いたしました。

しかしながら、予期せぬ事態により個人情報が流出した場合、当社グループの社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担や企業イメージの低下が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度(以下、当期)におけるわが国経済は、自然災害による一時的な落ち込みはあったものの、良好な雇用・所得環境、好調な企業業績の下で、個人消費や設備投資などの内需が堅調に推移しました。一方、海外経済の減速、特に、米中貿易摩擦などにより投資が冷え込み、昨秋以降鮮明となった中国経済の減速の影響により、年度末に向けてわが国の鉱工業生産は弱含み、輸出は伸び悩みました。

葬祭市場においては、故人や喪主の高齢化に加え、地域社会や職場の人間関係の希薄化等の影響もあり会葬者数は減少傾向にあるとともに、人々の価値観・嗜好の多様化が葬儀の形態や費用のかけ方に反映される傾向が強まっています。また、葬儀事業者による葬祭会館の新規出店や、葬儀紹介業者によるインターネットを通じた集客など、事業者間の激しい競争が続いています。

以上のような環境変化を踏まえ、中期経営計画(平成28年度~平成30年度)の最終年度にあたる当期において、主要課題への取り組みを以下のとおり進めました。

第一に、グループ葬儀事業3社においては、サービス品質向上への取り組みを継続するとともに、集客力および提案力の強化を図りました。

第二に、葬儀事業の営業エリアの維持・拡大のため、新規会館の出店を進めました。その結果、平成30年12月に「公益社会館 津久野」(堺市西区)をオープンしたほか、平成31年2月に「公益社 上板橋会館」(東京都板橋区)、3月に「公益社 吉祥寺会館」(東京都武蔵野市)をそれぞれオープンしました。

さらに、平成31年4月には「公益社 香里園会館」(大阪府寝屋川市)をオープンし、6月には「タルイ会館 北大久保」(兵庫県明石市)をオープンしました。

第三に、新規事業創出への本格的取り組みとして、介護事業においては平成30年7月にリハビリ特化型デイサービス施設の2号店「ポシブル池田」(大阪府池田市)をオープンしました。飲食事業においては平成30年12月にラーメン店の3号店となる「うまい麺には福来たる 天五店」(大阪市北区)をオープンしました。

 

当期においては、グループの全葬儀施行件数が、㈱公益社を中心に前連結会計年度(以下、前期)と比べて伸長したことに加え、提案力向上の諸施策により葬儀施行単価も上昇したため、葬儀施行収入が前期比3.5%の増収となりました。葬儀に付随する販売やサービス提供による収入も各社総じて好調で、グループ全体として増収となりました。

費用については、前期に発生した「公益社 枚方会館」のリニューアルオープンに伴う減価償却費や消耗備品費の計上がなくなる一方、営業収益の増加に伴う直接費の増加、人員増を背景とした人件費の増加のほか、広告宣伝費や地代家賃も増加したため、営業費用は前期比2.4%増加しました。販売費及び一般管理費は、求人・採用経費の増加や役員および従業員に対するインセンティブ報酬制度の設計に係るコンサルティングフィーの発生等により前期比1.7%増加しました。

なお、昨夏の自然災害(大阪北部地震および台風20号・21号)に関する受取保険金43百万円を営業外収益に、被害に対する補修工事等の災害損失43百万円を営業外費用に、それぞれ計上しました。さらに、営業外収益には厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定に伴い、厚生年金基金解散損失引当金戻入額21百万円を計上しました。

また、平成24年4月に導入した転進支援制度を、平成30年8月31日付で廃止したことに伴う退職給付制度終了益1億42百万円を特別利益に計上しております。

 

この結果、当期の営業収益は207億66百万円となり、前期比3.5%の増収となりました。また、営業利益は29億40百万円(前期比10.6%増)、経常利益は29億36百万円(前期比10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億12百万円(前期比34.3%増)と、いずれも増益となりました。

 

セグメント別の業績は次の通りです。

ア 公益社グループ

公益社グループの中核会社である㈱公益社では、首都圏の一般葬儀および関西圏の大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の施行件数が伸長しました。これは新規出店による営業エリアの拡大や集客チャネルの多様化、ならびに組織間の連携強化の取り組みが奏功したものと考えられます。但し、関西圏の一般葬儀の施行件数は、一部エリアにおいて平成28年以降相次ぐ競合の新規出店の影響を受けたことにより減少しました。

一方、葬儀施行単価については、関西圏、首都圏ともに提案力の向上により一般葬儀の施行単価が上昇しました。

その結果、全体の葬儀施行件数は前期比0.3%の減少、葬儀施行収入は前期比3.3%の増収となりました。

葬儀に付随する販売等においては、仏壇仏具販売収入および墓地墓石の紹介手数料収入は前期比減収となったものの、返礼品販売収入が前期比大幅増収となったため、差し引きで前期比増収となりました。

費用については、消耗備品費が減少する一方、営業収益の増加に伴う直接費や人員増による人件費の増加、広告宣伝費の増加等により、営業費用は前期比増加しました。

この結果、当セグメントの売上高は171億43百万円(前期比3.2%増)となり、セグメント利益は16億3百万円(前期比19.7%増)となりました。

 

イ 葬仙グループ

葬仙グループの㈱葬仙においては、鳥取エリア・境港エリアを中心に葬儀施行件数が前期比3.3%増加したため、葬儀施行単価は低下したものの、葬儀施行収入は前期比2.2%の増収となりました。一方、返礼品や仏壇仏具の販売等葬儀に付随する収入は前期比減収となりました。

費用については、直接費率の改善および消耗備品費等の減少により、人員補充に伴う人件費の増加を吸収し、営業費用は前期並みとなりました。

この結果、当セグメントの売上高は14億9百万円(前期比1.1%増)となり、セグメント利益は36百万円(前期比59.9%増)となりました。

 

ウ タルイグループ

タルイグループの㈱タルイにおいては、葬儀施行件数が前期比7.5%増加したため、葬儀施行単価は低下したものの、葬儀施行収入は前期比6.2%の増収となりました。

また、葬儀に付随する販売等においても、仏壇仏具の販売を中心に大幅増収となりました。

費用については、直接費率の上昇、会館リニューアルに伴う消耗備品費および広告宣伝費の増加等により、営業費用は前期比増加しました。

この結果、当セグメントの売上高は18億35百万円(前期比7.5%増)となり、セグメント利益は3億39百万円(前期比0.5%減)となりました。

 

エ 持株会社グループ

持株会社グループの燦ホールディングス㈱においては、配当金収入およびグループ内への不動産賃貸収入の増加により増収となりました。

費用については、修繕費や地代家賃が増加したものの、業務委託費や減価償却費が減少したため、営業費用は前期比減少しました。

この結果、当セグメントの売上高は50億92百万円(前期比6.7%増)となり、セグメント利益は19億66百万円(前期比17.1%増)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

当期末における流動資産は66億50百万円となり、前期末比9億51百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が8億29百万円、未収還付法人税等が74百万円増加したためです。

固定資産は246億76百万円となり、前期末比2億14百万円増加しました。これは主に、新規会館の開設に伴い建物及び構築物が5億33百万円増加するなど、有形固定資産が4億73百万円増加する一方、繰延税金資産が2億89百万円減少したことによるものです。

この結果、総資産は313億26百万円となり、前期末比11億65百万円増加しました。

 

(負債)

当期末における流動負債は37億92百万円となり、前期末比5億36百万円増加しました。これは主に、営業未払金が2億5百万円増加したほか、1年内返済予定の長期借入金が、固定負債からの振替9億19百万円と期中返済1億70百万円との差引により7億49百万円増加、厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定、分割納付の開始に伴う1年内支払額の計上等により未払金が2億3百万円増加する一方、未払法人税等が5億33百万円、未払消費税等が78百万円それぞれ減少したことによるものです。

固定負債は14億64百万円となり、前期末比11億84百万円減少しました。

その主な要因は以下のとおりです。

厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定に伴い、厚生年金基金解散損失引当金6億90百万円を取崩しました。その一方で、当該負担額について分割納付を選択しましたので、期中支払額および1年内支払額を除いて長期未払金に計上したこと等により、長期未払金が5億7百万円増加しました。

さらに、長期借入金が1年内返済予定長期借入金への振替により9億19百万円減少したこと、並びに転進支援制度の廃止に伴う退職給付に係る負債が1億59百万円減少しました。

この結果、負債合計は52億56百万円となり、前期末比6億48百万円減少しました。

 

(純資産)

当期末における純資産合計は260億70百万円となり、前期末比18億14百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益21億12百万円を計上する一方、配当金2億97百万円を支払ったことにより、利益剰余金が18億14百万円増加したためです。

この結果、自己資本比率は前期末比2.8ポイント上昇し、83.2%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当期における現金及び現金同等物は、前期末より8億29百万円増加し、56億11百万円となりました。
 当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは26億95百万円の増加(前期は35億51百万円の増加)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益30億18百万円、減価償却費8億8百万円を源泉として資金が増加したことによるものです。

 

(注1)「厚生年金基金解散損失引当金の減少」6億90百万円は、厚生年金基金の特例解散に伴う負担額の確定に伴うもので、負担額の納付については、分割納付を選択しております。したがって、当該金額と確定した負担額の差額は「厚生年金基金解散損失引当金戻入額」として「税金等調整前当期純利益」に含まれるほか、負担額から期中納付額を控除した差額は、未払金および長期未払金に振り替わり、「その他の負債の増減額」に含まれます。

(注2)「退職給付に係る負債の減少」1億59百万円は、転進支援制度の廃止に伴うもので、当該金額から期中給付額を控除した差額は、「退職給付制度終了益」として「税金等調整前当期純利益」に含まれます。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは12億81百万円の減少(前期は9億84百万円の減少)となりました。

これは主に、会館建設等に伴う有形固定資産の取得による支出12億2百万円により資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは5億83百万円の減少(前期は3億97百万円の減少)となりました。

これは主に、配当金の支払額2億97百万円、長期借入金の返済1億70百万円により資金が減少したことによるものです。

 

④営業の実績

ア 営業売上実績

 当連結会計年度における営業売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

 

金額(千円)

前年同期比(%)

公益社グループ

17,143,263

103.2

葬仙グループ

1,409,272

101.1

タルイグループ

1,835,077

107.5

持株会社グループ

5,092,711

106.7

合計

25,480,325

104.1

(注)1.上記の金額については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

イ 葬儀請負の実績

 当社グループのセグメントのうち主な事業である葬儀請負事業に係わる葬儀施行件数の、当連結会計年度における実績は次のとおりであります。

 

(公益社グループ)

区分

当連結会計年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

式場数(式場)

施行件数(件)

前年同期比(%)

稼働率(%)

大規模会館

千里会館、枚方会館、西宮山手会館

大式場

3

69

103.0

12.6

一般式場

11

1,646

99.7

82.0

支店・営業所付属会館

天神橋、東大阪、堺、吹田、用賀、

岸和田、玉出、城東、西田辺、

宝塚、豊中、高槻、守口、雪谷、

富雄、はびきの、たまプラーザ、

なかもず、明大前、田園調布、

住吉御影、学園前、森小路、高輪、

石橋、高円寺、仙川、江坂、日吉、

西大寺、六甲道、くずは、喜多見、

甲南山手、武庫之荘、甲子園口、

千里山田、東久留米、津久野、

上板橋、吉祥寺

一般式場

55

7,549

97.9

77.3

小計

 

69

9,264

98.3

75.2

その他(自宅、寺院等)

 

2,139

107.4

合計

11,403

99.9

 

(葬仙グループ)

区分

当連結会計年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

式場数(式場)

施行件数(件)

前年同期比(%)

稼働率(%)

支店・営業所付属会館

鳥取、吉方、岩美、米子、

安倍、福米、安来、境港、

余子、松江、比津、東出雲

一般式場

14

1,093

106.0

42.8

その他(自宅、寺院等)

 

203

90.6

合計

1,296

103.3

 

タルイグループ)

区分

当連結会計年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

式場数(式場)

施行件数(件)

前年同期比(%)

稼働率(%)

支店・営業所付属会館

舞子、大蔵谷、新明、大久保、

魚住、土山、東加古川、

神戸西、長坂寺、西明石

一般式場

14

1,243

108.7

48.6

その他(自宅、寺院等)

 

26

70.3

合計

1,269

107.5

(注)1.稼働率=施行件数÷基準件数×100

なお、式場利用は通常、通夜と葬儀の2日間にわたるため、基準件数は1式場2日間に1件の施行を標準として算出しております。

2.葬儀施行件数は、法事・法要件数を除いた件数を記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当期の財政状態および経営成績の分析は、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「会計方針に関する事項」に記載のとおり、重要な資産の評価基準及び評価方法、重要な減価償却資産の減価償却の方法、重要な引当金の計上基準等において、継続性・網羅性・厳格性を重視して処理計上しております。また、繰延税金資産につきましては、将来の回収可能性を十分に検討したうえで計上しております。

 

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当期は、増収かつ営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増益となりました。増収の要因は、第一に㈱公益社関西圏(大阪本社)の大規模葬の施行件数および一般葬儀の施行単価の向上、第二に㈱公益社首都圏(東京本社)の一般葬儀の施行件数・単価の向上です。葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりというトレンドの中で葬儀施行単価が向上したのは、サービスや商品の価値をお客様に伝える様々な工夫が奏功したものと考えます。特に、大阪本社では各種施策の企画・実行プロセスにおける組織マネジメントが向上し、増益に大きく貢献しました。

また、㈱タルイでは葬儀施行単価は低下したものの、新店やリニューアル店を中心に集客効果による葬儀施行件数の増加を実現させ、増収と高い利益率を達成しました。さらに、㈱葬仙でも一部エリアを除き葬儀施行件数が増加し増益となりました。

費用につきましては、人件費、集客のための広告宣伝費、新規会館に係る地代家賃等が前期比増加しました。広告宣伝費の支出は費用対効果の検証に基づいて実施するとともに、リニューアル投資は、お客様の利便性や快適さの確保と施設面での競争力の維持を重視して、優先順位をつけて実施しております。

人件費の増加については、欠員補充と増員のための採用が、前期と比べると進捗したことが背景にあります。しかし、労働時間の管理や業務改善に基づく労働生産性の向上への取り組みは未だ十分ではありません。まずは適正人員に基づく人的効率の指標を整備し、人件費コントロールを適切に行ってまいります。

当期の営業外損益および特別損益については、以下のとおりです。

まず、昨年の大阪北部地震および台風20号21号による被害により、会館施設の内外装や看板等の補修工事が必要となりました。これらを「災害損失」43百万円として営業外費用に計上いたしましたが、保険金でフルカバーできております。また、「解体撤去費用」39百万円の主なものは、「公益社 岸和田会館」の本館解体撤去および別館のリニューアル工事に伴うもの、ならびに「公益社 吉祥寺会館」の工事に既存建物の一部設備等の撤去に係るものです。「減損損失」59百万円の発生は、「公益社 甲子園口会館」およびラーメン店2店舗等に係るものです。今後、それぞれの収益力の向上に努めます。

なお、営業外収益の「厚生年金基金解散損失引当金戻入額」21百万円、特別利益の「退職給付制度終了益」1億42百万円は、いずれも次期には剥落します。

以上の結果、達成すべき経営指標として掲げております「売上高経常利益率10%以上」については実績値14.1%となり、達成することができました。

 

③当連結会計年度の財政状態の分析

当期末の自己資本比率は83.2%と高い水準にありますが、自己資本当期純利益率(ROE)の向上は、レバレッジの引き上げにより、総資本利益率の改善を通じて目指しております。

達成すべき経営指標(資本効率目標)として掲げております「総資本事業利益率(注)(ROA)6.6%以上」については、実績値9.9%となり、達成することができました。

(注)事業利益=営業利益+営業外収益

 

また、以下の資産および負債の大きな増減の主な要因は、厚生年金基金の特例解散に伴う負担額が昨年12月に確定したことであります。

(資産の部)「投資その他の資産」の「繰延税金資産」の減少

(負債の部)「厚生年金基金解散損失引当金」および「未払法人税等」の減少、

      「未払金」および「長期未払金」の増加

なお「現金及び預金」の増加要因については、次項「④資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載いたします。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

現金及び預金が前期末比8億29百万円増加して56億11百万円となりました。その要因は、有形固定資産の取得による支出12億16百万円により投資活動によるキャッシュ・フローが高水準であったにもかかわらず、営業活動によるキャッシュ・フローが、前期比倍増近い法人税等の支払額を吸収して、26億95百万円増加したことにあります。

葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりという外部環境を踏まえると、葬儀会館の投資資金は、多店舗展開するとしても自己資金でまかなうことができる見込みです。但し、会館用地については賃借(事業用定期借地)を原則とする中で、首都圏においては元々候補物件自体が少ないことから、稀少な好物件について、土地の取得という判断をすることもあり得ます。その場合、自己資金でまかなえる範囲ではありますが、一時的に土地を賃借する場合と比べて、多額の投資資金を要する可能性があります。

(注)首都圏における営業エリアの拡大に伴う業務効率の低下を避けるために、従来は、生花や資材等のバックヤード機能を葬儀会館に併設する、いわゆる母店の設置を想定しておりましたが、その後の検討の結果、バックヤードとしての適切な立地を選びさえすれば、会館への併設は必要条件ではないとの判断に至っております。

株主の皆様への利益還元につきましては、連結業績および資金の状況、中長期的な成長投資のための内部留保の確保、および財務の健全性等を総合的に勘案のうえ、安定的な配当水準の向上を目指して実施しております。当期は1株当たり年57円と年7円の増配といたしました。その結果、連結での配当性向は15.2%となりました。

内部留保金につきましては、継続的かつ安定的な成長のために、関西圏および首都圏における積極的な新規会館建設を継続し、営業エリアの拡大やドミナントの維持を目指します。

さらに、事業環境の変化を踏まえ、ITによって業務支援を行い、効率的な経営を目指すために策定した中期IT戦略に沿って、IT投資にも内部留保金を充当してまいります。

なお、当社は、資産効率向上の観点から余剰現預金を持たない方針であります。そのために当社は、緊急多額の資金需要に備え、取引銀行3行と総額10億円のコミットメントライン契約を締結しておりますが、同契約に基づく当期末の借入実行残高はありません。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針について

今後当社グループは、葬儀および周辺事業を基軸としながらも、ライフエンディングサポート企業へとさらなる進化を遂げてまいります。また、事業ポートフォリオのリスクを軽減する観点から、新たな収益の柱となる新規事業創出へのチャレンジを継続していきます。このように事業環境の変化に対応し、守るべきものを守り、変えるべきものを変えながら、持続的に安定成長していく企業を目指してまいります。

当面の個別具体的な問題意識については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

4【経営上の重要な契約等】

(提出会社)

(1)土地信託契約

相手方の名称

契約年月日

契約内容

信託不動産の内容

契約期間

備考

三井住友信託銀行株式会社

平成2年

3月29日

信託不動産の管理運用の委託

北浜エクセルビル

大阪市中央区北浜

二丁目15番,16番

土地  621.92㎡

建物  延4,927.73㎡

鉄筋コンクリート造地下1階、地上10階

その他 機械及び装置、構築物、工具、器具及び備品があります。

自平成2年3月29日

至令和3年3月31日

(期間延長することができる。)

不動産信託受益権

539,662千円

 

(2)不動産賃借契約

事業所名

相手方の名称

契約年月日

契約内容

不動産の所在地等

契約期間

備考

公益社

高輪会館

宗教法人道往寺

平成23年

12月5日

不動産

賃借契約

東京都港区高輪
二丁目16-13

延床面積 270.17㎡

自平成25年1月1日

至令和14年12月31日

(20年間)

賃料月額

925千円

公益社

甲南山手

会館

㈱NTT西日本アセット・プランニング

平成28年

3月1日

不動産

賃借契約

神戸市東灘区本庄町
二丁目103

延床面積 247.68㎡

自平成28年3月1日

至令和23年2月28日

(25年間)

賃料月額

900千円

公益社

甲子園口

会館

㈲高浜興産

平成29年

3月1日

不動産

賃借契約

兵庫県西宮市中島町

1-2

延床面積 450.79㎡

自平成29年3月1日

至令和24年2月28日

(25年間)

賃料月額

1,200千円

公益社

西宮山手

会館

ネッツトヨタ神戸㈱

平成29年

12月23日

不動産

賃借契約

兵庫県西宮市城ヶ堀町

74-3

延床面積 773.11㎡

自平成29年12月23日

至令和29年12月22日

(30年間)

賃料月額

935千円

仏壇ギャ

ラリー

ユーアイ

箕面店

及び

終活広場

琴屋興業㈱

平成17年

11月11日

不動産

賃借契約

大阪府箕面市牧落
三丁目1-10

延床面積 488.43㎡

自平成18年3月17日

至令和8年3月16日

(20年間)

賃料月額

1,100千円

葬仙

米子葬祭会館
他8会館

㈲金鶴冠婚
プロデュース

平成17年

4月1日

不動産

賃借契約

鳥取県米子市長砂町
1075 他

自平成17年4月1日

至令和17年2月28日

(30年間)

賃料月額

17,107千円

葬仙

境港ホール

㈱上野水産

平成30年

4月5日

不動産

賃借契約

鳥取県境港市上道町3588 他

自平成31年1月15日

至令和21年1月14日

(20年間)

賃料月額

980千円

タルイ

本社
他4会館

㈱タルイ会館

平成18年

10月1日

不動産

賃借契約

兵庫県明石市林崎町
二丁目649-2 他

自平成18年10月1日

至令和19年3月10日

(30年間)

賃料月額

10,320千円

 

 

5【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。