第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

2019年4月に改定した経営理念は、ミッション(使命)、ビジョン(未来・目指す姿)、バリュー(価値観)の3つから成る、以下のような体系です。

 

※燦ホールディングスグループ経営理念

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燦ホールディングスグループ経営理念のミッション「人生に潤いと豊かさを。よりよく生きる喜びを。」は、葬儀事業からライフエンディングのトータルサポート企業へ、また新規事業の展開へと新しい価値を創り出すことに挑戦しつづける当社が、商品やサービスを通じてお客様と地域の人々の人生に潤いと豊かさを感じてもらうこと、よりよく生きる喜びを感じてもらうことが社会に果たすべき使命であるということを意味しています。

ビジョンは、当社の目指すべき未来の姿として、人の心に寄り添い、人生の喜びと幸せを創出する企業、新しい価値、高い付加価値を創造し、持続的に安定成長していく企業、一人ひとりが情熱を持って、主体的に行動し挑戦しつづける企業になることを掲げました。

バリューは、ミッション、ビジョンを実現するために、当社グループとして大切にすべきこと、価値観をまとめました。

それに加えて、2022年4月に私たちの社会に対しての存在意義、存在価値をあらためて定義し、当社グループのパーパスを制定しました。

 

※燦ホールディングスグループパーパス

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このパーパスと経営理念のもとに、人生100年時代の社会に貢献する取組みを進めていきます。

 

(2)経営環境と経営戦略

超高齢社会において、2040年までは死亡者数が増加すると予測されています。その一方で少子化が進み、日本の人口は減少傾向で将来を担う若者が減少する中、高齢者の割合が年々高まっています。

これらの社会情勢は人々の価値観に影響しており、葬儀についても家族を中心に近しい人だけで行う家族葬のほか、無宗教葬や一日葬など葬儀の形が多様化し、同時に葬儀の小規模化傾向は続いており、葬儀施行単価の下落につながっています。

そうした中、葬儀事業者による葬祭会館の新規出店や、葬儀紹介業者によるインターネットを通じた集客など、事業者間の激しい競争が続いています。

 

こうした事業環境の変化に対して、当社は2032年に迎える創業100周年に向けて当社のありたい姿を「新10年ビジョン」として策定しました。当社がこれまで築き上げてきた「信頼」とそのベースとなる「サービス品質」という強みをより一層磨き続けながら、「葬儀事業者」から「シニア世代とそのご家族によりそい、ささえるライフエンディングパートナー」への進化を実現させていきます。そのために以下の2つに挑戦します。

① 当社は葬祭業界のリーディングカンパニーとして、現状より幅広い層のお客様にご満足いただけるサービスを提供するために、出店エリアを全国規模に広げ、葬儀会館数は2031年度にはグループ全体で210会館を目指します。

 

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② ライフエンディングサポート事業(注)をさらに拡大させ、シニア世代のライフエンディング・ステージを通じて様々な価値を提供することで、多くのシニア世代とそのご家族のクオリティ・オブ・ライフ向上に貢献します。2031年度には売上100億円を目指し、当社グループの事業の柱へと育てます。

 

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(注)ライフエンディングサポート事業:ライフエンディング・ステージにおいて必要とされる、日常生活や、人生の「終末期」の準備サポート等、安心して心豊かな老後の時間を過ごすために必要とされるサービスや商品を提供することで、社会に貢献する事業。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新10年ビジョン実現に向けて、経営環境の変化の兆候を捉え、戦略を確実に推進するため、3ヵ年の中期経営計画を3回策定・実行することを想定しています。2022年4月に策定したその第1期となる中期経営計画(2022年度~2024年度)において、以下の5つを重点課題として進めていきます。

① 葬儀事業の拡大

これまで葬儀事業で提供してきた葬儀ブランドに加えて、価格を抑えながらも高品質のサービスを提供する家族葬専用の新たな葬儀ブランド「エンディングハウス」を立ち上げました。この新葬儀ブランドを中心とした低投資・低コストオペレーションの会館を全国規模で展開し、より多くのお客様へサービス提供を行っていきます。新葬儀ブランドだけではなく、従来の葬儀ブランドの拡大やM&Aの活用も含めて出店を加速し、3ヵ年で31会館の出店を目指します。

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② ライフエンディングサポート事業の拡大

現在葬儀事業会社で行っている葬儀前後のサービスや、子会社のライフフォワード㈱で行っている終活関連プラットフォーム事業などの終活から葬儀後までのライフエンディングサポート事業分野を拡大し、お客様とご家族の長期間のサポートを実現させます。3年後には売上30億円とし、葬儀事業に続く柱となる事業に育成します。

③ 既存葬儀事業の競争力強化

葬儀事業の拡大に向け、コンタクトセンターや葬儀関連業務(お葬式に必要な物の手配、寝台霊柩乗務、事務等)やその業務のコントロール機能など、従来グループ各社で行っていた施策や機能を集約することにより効率的/高品質な業務を提供する体制を実現することや、デジタルマーケティングによる営業機能の強化を行うことで他社との差別化を目指します。

④ 日本一満足・感動いただけるサービスを目指した仕組み強化

付加価値の高いサービスとその品質が当社の強みと認識しており、その質の向上・維持のため、当社の葬儀施行サービス、関連商品(供養品、料理等)、葬儀前後のサポート、空間(会館)に至る品質管理と教育を実施し、クオリティマネジメントシステムを強化し顧客満足度向上を目指します。

⑤ 経営基盤の強化

・成長戦略を加速させるために人材の採用と既存人材の育成を行うことで、組織の経営基盤を強化します。

・ESG(環境、社会、統治)に積極的に取り組み、環境・社会的課題(SDGs等)にも真摯に取り組むことで持続可能な社会の構築に積極的な役割を果たし社会に貢献します。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

この3ヵ年において営業利益率は15.5%以上を維持し、ROICは7.0%以上を目指します。出店によりコストが先行するため、この3年間の営業利益率及びROICは一時的に悪化しますが、2025年度以降は出店による増益効果で改善を見込んでいます。

(単位:百万円)

 

中計1年目

2023年3月期

中計2年目

2024年3月期

中計3年目

2025年3月期

営業収益

20,800

21,800

23,000

営業利益

3,400

3,450

3,630

営業利益率

16.3%

15.8%

15.8%

 

 

 

 

ROIC

7.0%

7.0%

7.0%

※ROIC=税引後営業利益/投下資本

(投下資本=有利子負債+純資産、税引後営業利益=営業利益×(1-実効税率))

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 サステナビリティに関する考え方

現在、気候変動問題をはじめとする環境・社会的課題(SDGs等)への対応が重要性を増してきており、当社グループにおいても、事業のプロセスにおいてこれらの問題に取り組み、また、当社が目指している「ライフエンディングのトータルサポートサービス」を、社会問題や環境問題の解決に役立つビジネスへの進化をさせていくことが不可欠となっています。

 2021年11月に環境・社会的課題(SDGs等)や改訂コーポレートガバナンス・コード対応等を意識した事業及び経営インフラの整備を推進するため、「人生に潤いと豊かさを。よりよく生きる喜びを。」という経営理念のもと、基本方針に「サステナビリティに配慮した事業マネジメント、ESG経営の推進」を掲げ、「燦ホールディングスグループESG方針」、「ESG行動指針」を制定し、ESGに関する各施策の取り組みを進めるため「ESG推進委員会」を設置しました。今後ともグループの企業活動を通じSDGsへの貢献も果たしながら、持続可能な社会の実現を目指すESG経営を推進してまいります。

 

 

燦ホールディングスグループESG方針

私たち燦ホールディングスグループは、グループのパーパス、経営理念(ミッション)、目指す姿

(ビジョン)、価値観(バリュー)に基づき、ライフエンディングのトータルサポート

サービスにおいて新たな価値と感動を創造するとともに、環境(Environment)・社会

(Social)・企業統治(Governance)を経営の重要事項と認識し、環境・社会的課題

(SDGs等)に真摯に取り組むことで持続可能な社会の構築に積極的な役割を果たし社会

に貢献するとともに、グループの持続的な成長を目指します。

 

 

 

ESG行動指針

      1.健全な成長を実現する事業活動の推進

      2.法令・諸規則の遵守

      3.環境に配慮した事業活動の推進

      4.保有会館を通じた地域・コミュニティへの貢献

      5.顧客満足の向上

      6.従業員満足の向上

      7.ESG情報の開示

 

 

(1)ガバナンス

 ESGに関する各施策の取り組みを進めるための「ESG推進委員会」を2021年11月11日に設置しました。

ESG推進委員会がESGに関する方針や活動計画の審議、決定等を行うこととしています。また、同委員会は、社長が任命するESG推進担当執行役員を委員長として、ESG推進担当執行役員が指名する者にて構成されます(ESG推進体制は右図の通り)。

 ESG推進委員会において審議した内容は定期的に取締役会に報告し、各関連部署と連携実施することで、事業活動に反映させます。

 

 

 

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(2)戦略

 当社グループは本中期経営計画(2022年度~2024年度)の中で、経営基盤強化の施策として「ESG経営の推進」を掲げ、ESG経営で注力すべきテーマを以下の通り特定しています。

「グリーフケア・エンバーミングなど高付加価値のサービスと、質の高いホスピタリティサービスの提供を通じてお客様とそのご家族の心の平穏、そして社会の平穏に寄与してまいります」

 このテーマは、創業100年に向けて今後10年間に当社グループが進むべき方向、ありたい姿(新10年ビジョン)と整合するものです。

 

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 ライフエンディングサポート事業とは、ライフエンディング・ステージにおいて必要とされる、日常生活や、人生の「終末期」の準備サポート等、安心して心豊かな老後の時間を過ごすために必要とされるサービスや商品を提供することで、社会に貢献する事業です。当社グループでの具体的な対象事業は、葬祭会社の葬儀前後のサービス、㈱ライフフォワード、エクセル・サポート・サービス㈱の介護、高齢者食とその領域での新規事業とします。既存の葬儀事業に加えて、シニアライフ全体での新規事業の開拓/拡大を目指すことで、お客様のクオリティ・オブ・ライフ向上への貢献を目指します。また、中長期的には、 葬祭業界の成長のために、当社グループの葬儀事業およびライフエンディングサポート事業のナレッジを葬儀事業者等に提供する、葬儀事業者向け「ソリューション」モデルの構築も視野に入れています。新10年ビジョンの実現に向けた事業戦略の推進が、当社グループの事業を通じて社会に価値をもたらすとともに、燦ホールディングスグループESG方針に基づくESG経営の推進を強化し、グループの持続的な成長につながるものと考えています。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、リスク管理を統括する「リスクマネジメント委員会」を設置し、委員長を議長として、リスク管理に関する規定を整備し、当該委員会において当社グループ全体のリスク管理体制・施策等の審議を行うとともに事業活動に関係する様々なリスクへの対応を検討・実施・推進しています。詳細は、「第一部第4提出会社の状況4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要③企業統治におけるその他の事項、第2事業の状況3 事業等のリスク」をご参照ください。リスクマネジメント委員会のメンバーは、社内各種委員会活動の状況も踏まえ、ESG推進委員会メンバーと兼務しています。ESGに関するリスク・機会の洗い出し、対応するための施策の検討に関してはESG推進委員会において行っており、当社グループが取り組むべきESG課題として整理し、取り組み施策の洗い出しを行いました(下図)。当社グループが提供する「高付加価値なライフエンディングサービスと、質の高いホスピタリティサービス」の源泉はいずれも人であり、人と人、人とモノ、人と環境・社会のかかわりあいにおいて発現するものであるため、当社グループのESG経営においては社会(Social)の要素が中心的な課題であると認識しています。

 

 今後、これらの課題の見直しや優先順位を検討することにより、当社グループのESG重要項目(マテリアリティ)を特定し、当社グループ全体のリスク管理体制との統合の方向性を検討してまいります。

 

 

 2023年度は、当社グループに関連のあるESG課題として特に重要である気候変動と人的資本に関して、リスク・機会の洗い出しやシナリオ分析(気候変動に関して)、経営戦略との連動性、対応策の検討を行いました。気候変動、人的資本に関する戦略や指標・目標を含む詳細内容は以下の通りです。

 

(ア)気候変動

  (TCFD提言に対応した開示)

ガバナンス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆取締役会の監督体制

 当社取締役会は、気候変動を含むサステナビリティ課題への対応を重要な経営課題として認識しています。ESG推進委員会において関連する方針や活動計画の審議を行い、その審議内容を定期的に取締役会に報告しています。

 取締役会では中期経営計画・年度予算等に気候関連課題もテーマに織込んでおり、次年度以降、進捗を監督していきます。

 

◆経営陣の役割

 経営陣は、サステナビリティをグループ全体の経営課題として明確に位置づけ、サステナビリティに対する取組みを推進するための計画を策定するとともに、各関連部署と連携して実施できるよう周知し進捗管理を行い、必要に応じて是正対策を検討したうえで戦略を見直し、事業活動に反映させます。

 2023年3月期は、「気候変動」を重要なESG課題と位置付け、TCFD提言への賛同、TCFDコンソーシアムへの参画を行いました。また、ESG推進委員会において当社グループとして初めてTCFDのフレームワークに沿った気候シナリオ分析、気候関連リスク及び機会の特定に取り組みました。その結果は取締役会に報告されました。分析の結果、全体的に当社グループのビジネスに大きな影響をもたらすリスク・機会は特定されませんでしたが、シナリオ毎の主要なリスク・機会が当社グループへもたらす可能性のある中長期的な財務的影響の評価を行い、対応の方向性を確認しました(戦略の項目参照)。気候変動に関しては、引き続きESG推進委員会において必要に応じて社会的動向の把握やリスク・機会の見直しを実施し取締役会に報告するとともに、具体的な取り組みの方向性や目標設定、指標(KPI)の設定を行います。

戦略

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆気候変動のリスク及び機会、それらの組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響

 気候変動が顕在化する4℃シナリオと脱炭素社会への移行により規制強化などが見込まれる1.5℃シナリオの2つのシナリオに基づき、当社グループの事業に影響をもたらすリスク・機会の検討を行いました。

 

<気候変動シナリオ分析の概要>

選択したシナリオ

4°Cシナリオ、1.5°Cシナリオ

国際エネルギー機関(IEA)による世界エネルギー展望(WEO)に示されるシナリオ、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるSSPシナリオ等を参照

分析時間軸

2050年時点の事業への影響を評価

 

◆2℃以下のシナリオ含む異なる気候関連のシナリオを考慮した組織戦略のレジリエンス

 検討の結果、全体的に当社グループのビジネスに大きな影響をもたらすリスク・機会は特定されませんでした。

 しかし、個別のシナリオ検討の結果、4℃シナリオにおいては、気温上昇や降水パターンの変化により、花材の生育不良が生じ、調達コストの増加、1.5℃シナリオにおいては、炭素税の導入による課税負担の増加が、財務的な影響をもたらす可能性のある主要なリスクとして特定されました。

 今後、特定されたリスク・機会については、各関連部署と認識を共有し、これらのリスクを最小化/機会を最大化するための具体的な対応策を検討し、事業活動に反映させていきます。

分類

リスクと機会

事業影響

影響程度

対応策

1.5℃

4.0℃

移行

リスク

炭素税・

炭素価格

電力価格上昇による操業コスト増加

(約0.2億円)

※1

軽微

・太陽光発電導入会館の拡大

炭素税導入拡大による課税負担の増加

(約3.4億円)

※2

軽微

・太陽光発電導入会館の拡大

・電気自動車やハイブリッド車の導入拡大

物理

リスク

降水・気温パターンの変化

生花の生育不良により調達コストが増加

軽微

・調達産地の分散化

異常気象の頻発化と深刻化

(豪雨・洪水等)

会館・倉庫等の浸水被害によって操業停止等となり収益が減少

軽微

・新規出店の都度、物理リスク確認

機会

消費者の嗜好の変化

ドライアイス(気化によりCO2が発生)の使用量が抑えられるエンバーミング処置の受注が増加

軽微

・エンバーミングの販促

※1 電力価格の上昇率×電力利用料

※2 炭素価格×CO2排出量

 

リスク管理

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆気候関連リスクを特定し、評価するための組織のプロセス

 当社は、ESG推進委員会において中長期的な観点からの気候変動リスク・機会の特定・評価を行っています。また、既に顕在化している気候変動に伴うリスク(主に台風・豪雨等の物理的リスク)に関しては、リスクマネジメント委員会において発生頻度と損失規模に基づくリスクの特定・評価を行っています。

 

◆気候関連のリスクをマネジメントするための組織のプロセス

 ESG推進委員会もしくはリスクマネジメント委員会で特定・評価された気候関連リスクを含む重要なリスク等については随時、取締役会等に報告、共有がなされており、適切な対応策の検討が行われています。具体的には、気候変動に関するリスクのうち、経営戦略に関連するリスクについては必要に応じて取締役会において審議を行い、個々の関連部署において指示・報告等を通じて、リスク事象の発生の回避及び発生した場合の対応策を検討しております。

 

◆組織の全体的なリスクマネジメントへの統合

 当社では、「リスク管理規程」及び「危機発生時対応マニュアル」を制定し、リスクマネジメント委員会が中心となって、当社グループ全体のリスク管理体制・施策等の審議を行うとともに事業活動に関係する様々なリスクへの対応を検討・実施・推進しています。

 ESG推進委員会で特定された気候変動リスク等については随時、リスクマネジメント委員会に共有され、グループ全体のリスクの中での優先順位を検討し、中長期的な経営戦略との関連性の中で対応策を検討しています。

 

指標と目標

 

 

 

 

 当社グループは、環境に配慮した事業活動の推進をESG行動指針に掲げ、温室効果ガス排出量削減に向けた取組を推進しています。2023年3月期における温室効果ガスの排出量は以下の通りです。

Scope1排出量:2,199t-CO2

Scope2排出量:4,217t-CO2

集計範囲:当社および連結子会社の全拠点

算定基準:電力使用量からのCO2は、マーケット基準で算定しています。電力CO2排出係数は、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく電力事業者別の調整後排出係数を使用しています。また、ガスおよび燃料の換算係数は、環境省まとめの「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を使用しています。

 

(イ)人的資本

(経営戦略と人財戦略の連動)

 当社グループの事業領域である葬儀業界は、コロナ禍の影響もあり近年急激な変容を遂げています。葬儀スタイル・供養スタイルの多様化、伝統・格式嗜好から小規模・簡素化嗜好へのシフト、アクティブシニアや高齢おひとり様の増加など、事業環境・顧客志向の変化にあわせて当社グループの事業戦略も変化し、結果としてその担い手である従業員に求めるスキル、行動の在り方も変えていく必要があります。当社グループは2032年度に創業100周年を迎えますが、これまでの「大切な人との最後のお別れに寄り添う葬儀事業者」というお客様との信頼に根差した在り方は引き続き大切にしつつ、今後は「シニア世代とそのご家族に寄り添い、ささえるライフエンディングパートナー」への進化を実現させるのが、当社グループの新10年ビジョンです。現在はそのための変革期間であり、本中期経営計画(2022年度~2024年度)は新10年ビジョン実現の「基盤作り」期間に該当します。その事業戦略として、「葬儀事業の拡大」「ライフエンディングサポート事業の拡大」「葬儀事業の競争力強化」「日本一満足・感動いただけるサービスを目指した仕組み強化」「経営基盤の強化」を掲げており、その実現に必要なスキル・専門性を備える人財を採用・育成・獲得していくこと(下図「人財の育成・確保」)が必要です。また、そうした事業変革を担う従業員に求める行動として、「ホスピタリティのこころ」を持った上で、過去にない変化へチャレンジしていく「主体性」、そして専門能力を発揮しながら変革をやり抜く「実行力」を有する人財を増やしていける組織風土作り(下図「組織風土の変革」)にも取り組んでいます。当社グループの進むべき方向性であるパーパスや経営理念に共感する従業員の土壌を築きつつ、人的資本の側面から事業戦略の実現性を高めるためのこれら両輪の取り組みを継続させた先に「挑戦し続ける組織風土」として常態化され、結果として中長期的に企業価値が向上し続けていく、それが当社グループの人的資本経営の考え方です。このような組織風土が根付いているか否かを確認するための指標として、当社グループの人的資本経営では「従業員意識調査」の結果を取締役会で適宜モニタリングしていく予定です。

 

 

 <燦ホールディングスの人的資本経営の基本コンセプト >

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 <燦ホールディングスの人財戦略ストーリー>

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(経営理念・パーパスの浸透)

 ここでは、当社グループの経営理念・パーパス浸透の取り組みの考え方について記載します。

 当社グループの経営理念のミッション「人生に潤いと豊かさを。よりよく生きる喜びを。」は、葬儀事業からライフエンディングのトータルサポート事業へ、また新規事業の展開へと新しい価値を創り出すことに挑戦しつづける当社が、商品やサービスを通じてお客様と地域の人々の人生に潤いと豊かさを感じてもらうこと、よりよく生きる喜びを感じてもらうことが社会に果たすべき使命であるということを意味しています。加えて、2022年4月に私たちの社会に対しての存在意義、存在価値をあらためて定義し、当社グループのパーパスを制定しました。私たちは、シニア世代とそのご家族との長期にわたる関係を築きながらトータルなサポートを提供することによって、その方の人生によりそい、支えてまいります。経営理念・パーパスを浸透させるための従業員の行動への動機づけとして、各事業会社・各事業所へ社長が直接出向いて従業員と直接対面でのコミュニケーションを行うタウンミーティングなどを実施しています。特に、「日本一満足・感動いただけるサービス」を実現・達成していくための組織を作るには、当社グループで働く従業員一人ひとりが経営理念・パーパスを理解し、会社への帰属意識を高めてもらうことが不可欠です。そのため、経営理念・パーパスの従業員への浸透度を従業員意識調査の中で今後測定していく予定です。

 

<燦ホールディングスの経営理念・パーパス>

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(人財育成方針)

 ここでは、「人財の育成・確保」として、事業戦略の実現に必要なスキル・専門性を有する人財を採用・育成・獲得していく考え方を中心に記載します。

 葬儀単価は下落傾向にあるものの、死亡数は当面増加傾向にあり、我が国の葬儀市場は大幅な成長は難しいまでも一定の市場規模の維持は可能と考えています。一方、コロナ禍の影響もあり葬儀市場は近年急激な変容を遂げています。そうした環境変化に対応した事業推進ができる戦略企画・将来の経営幹部候補人財の育成・確保を進めております。具体的には、採用競争力のある条件提示を可能とする人事制度の導入によって優秀な人財を外部から確保するとともに、管理職研修の強化と、幅広い視野や能力開発を目的としたローテーションを今後強化していくことで、戦略企画・経営幹部候補人財の育成に努めております。

 既存の葬儀サービス事業では、新葬儀ブランドを中心とした出店加速により葬儀事業エリアと顧客ターゲットを拡大していく必要性から、葬儀サービス人財の確保、および戦力化を進めております。特に葬儀サービス人財は、これまで以上に新卒および中途採用を強化することで人財の確保を進めてまいります。また、採用した人財を戦力化するための当社オリジナルの人財育成プログラムを開発し、葬儀サービス人財の育成とサービス品質の向上に努めております。

 新事業・サービスとしては、終活から葬儀後までのライフエンディングサポート事業分野を拡大し、お客様と家族の長期間のサポートを実現させるとともに将来の柱となる事業に育てる計画を掲げております。それにあたり、シニア世代に向けた終活サービスのポータルサイトを通じた商品・サービスの提供を事業内容とするライフフォワード㈱の売上拡大・収益化を最重要課題の一つに位置付けています。その担い手として、マーケティングの専門性を有した人財の育成・確保が急務です。特に、WEBマーケティング等のデジタルマーケティング領域においては、優秀な人財の中途採用に注力しております。また、新事業・既存事業ともに当社グループ全体においてマーケティングスキルの向上が重要なため、今後はマーケティングスキル向上の研修等を強化してまいります。

 加えて、当社グループでは、死別等によって悲嘆されているご遺族の立ち直りのサポートの一助となるべく、社会貢献活動としてグリーフケア活動を行っております。ご遺族の悲しみを癒し、前向きに生きるエネルギーの源になって頂くための遺族サポートを行う「ひだまりの会」を2003年12月に立ち上げ、これまで1,000名を超えるご遺族の方々のサポートをしてまいりました。また、グリーフケア活動の一つであるエンバーミング(ご遺体に消毒殺菌・防腐・修復・化粧をし、生前のお姿に近づける技術)処置は、今後さらに重要性が増すと想定しております。昨今の新型コロナウイルス感染症等のパンデミックリスクだけに留まらず、今後、日本では地震や台風・水害等の大きな自然災害が発生することが想定されており、自然災害等でお亡くなりになった方に対してエンバーミング処置を行うことで故人の遺志や残された人たちの想いを十分に葬儀に反映することが可能となります。このようなグリーフケアを通じた社会貢献活動は、当社グループの社会価値向上のための非常に重要な取組みといえます。今後は葬儀サービスだけでなく、グリーフケア活動まで担うことができる人財の育成を強化するとともに、エンバーミング処置ができる日本遺体衛生保全協会(IFSA)認定のエンバーマー資格保有者の確保と育成の強化に取り組んでまいります。

 

 また、当社グループは、日本一満足・感動いただけるサービスを目指し、人のこころに寄り添うホスピタリティあふれるサービス・商品・空間(会館)を、妥協することのない質の高さをもって実現し、お客様にお届けすることが企業価値の源泉と考えており、これを実現する人財育成とクオリティマネジメントを徹底しています。ひとりひとりがプロフェッショナルとして質の高いサービス提供ができるように教育研修の専門部署を設けてサービス品質の向上を行っております。具体的には、入社後に教育専門部署による葬儀サービスの教育の機会を設け、厚生労働省認定「葬祭ディレクター技能審査資格」の資格取得に努めており、現在有資格者は315人(2022年11月末時点)となっております。また、サービス品質をさらに向上させるために、当社グループ独自の葬儀サービス人財の役割に応じたサービス認定制度を導入し、従業員のモチベーションを高め主体的に自らの成長を促していくプログラムとして運用しております。こうした取り組みによってホスピタリティ溢れるサービスを提供していくことでお客様の満足度の向上に努めております。

 

(社内環境整備方針)

 ここでは、「組織風土の変革」として、「ホスピタリティのこころ」を持った上で、過去にない変化へチャレンジしていく「主体性」、そして専門能力を発揮しながら変革をやり抜く「実行力」を有する人財を増やしていく社内環境作りの考え方について記載します。

 当社グループは、挑戦を行う従業員の育成および組織づくりを行うために、管理職に求める人財要件として、環境理解、戦略構築、成果志向・価値創出、挑戦・主体的行動、関係構築・協働、組織・人財開発の6項目を設定しました。この求める人財要件にもとづいた管理職の人事制度を2021年4月に導入しており、管理職研修を実施することで自ら率先して挑戦し、周囲を動機づけ、変革を巻き起こすリーダーシップを発揮する管理職の育成を強化しております。また、様々な表彰制度やインセンティブ制度を導入することで、従業員ひとりひとりが職場の中で主体性を持って挑戦と実行ができるような組織づくりを行っております。

 また、多様な働き方を実現するための環境整備も行っており、テレワーク制度導入によるリモート勤務に必要なインフラ整備(ペーパレス・電子化)や諸手当の導入、障がい者雇用の強化、2021年度は一部職種向けの副業制度を導入いたしました。今後は、女性活躍の推進、シニアの活躍機会創出にもより力を入れていくほか、フレックス制度の導入など環境整備も進めていく予定です。

 加えて、コンプライアンスを重視した組織風土の醸成にも力を入れております。役員・従業員が遵守すべき規範、普遍的な考え方を「行動規範・行動基準」としてまとめた「コンプライアンスブック」の全役員・従業員への配布とヘルプラインを周知するほか、コンプライアンス研修・個人情報保護(PMS)研修・ハラスメント研修等の定期的、継続的な教育を実施することで、コンプライアンスに対する意識向上を従業員に対して取り組んでおります。

 

(組織風土)

 以上、当社グループの進むべき方向性である経営理念・パーパスに共感する従業員の土壌を築きつつ、人的資本の側面から事業戦略の実現性を高めるための取り組みとして、「人財の育成・確保」「組織風土の変革」を両輪で継続させた先に、「挑戦し続ける組織風土」として常態化されているかを確認するため、従業員意識調査を実施しております。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)葬儀需要の変動に関するリスク

(死亡者数)

葬儀需要の数量的側面は死亡者数によって決定され、葬儀事業における所与の条件となります。死亡者数の中長期予測として、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(2023年4月推計)における死亡者数の中位推計に依拠すれば、向こう10年間、年平均1%弱の伸び率で死亡者数が増加するとの予測が得られます。しかし年度毎に見ると、実績値は上記推定値から乖離した動きを示します。

したがって、仮にマーケット・シェアおよび葬儀1件当たりの平均単価が変わらないとしても、(当社グループ営業エリアの)死亡者数の変動によって、葬儀およびその関連事業を中核事業とする当社グループの単年度業績が、少なからず変動する可能性があります。

 

(季節的変動)

年間死亡者数の発生に季節性があるため、特に12月~2月が当社グループの葬儀施行件数が相対的に多い繁忙期となります。したがって、葬儀およびその関連事業を中核事業とする当社グループでは、上期よりも下期の営業収益が多くなっています。

また、この繁忙期(とりわけ1月~2月)はインフルエンザの罹患者の発生が多くなる時期でもありますので、その年のインフルエンザ流行の程度によって、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(2)大規模葬儀の変動に関するリスク

当社グループでは、社葬・お別れの会・合同葬といった企業・団体・学校法人などが執り行う追悼セレモニーについて、豊富な施行実績に基づく運営のノウハウを有します。個人の方の葬儀(一般葬儀)と比較すると、参列者数の多い規模の大きな葬儀となる一方、限られた件数となりますので、年によって受託件数・金額の変動を生じます。したがって、追悼セレモニーという相対的に規模の大きな葬儀の受託件数・金額の多寡により当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。(金額5百万円超の葬儀を大規模葬儀と定義した場合、主に受託する㈱公益社の葬儀施行収入全体の1割前後を占めます。)

 

(3)規制と競争環境に関するリスク

葬祭業界は法的規制、行政指導のない業界ですが、それは裏を返せば事業への参入障壁が低いことを意味します。

業界内には地域密着型で家業的な中小零細業者を圧倒的多数とする葬儀専業者と、広域展開している一部大手事業者を含む冠婚葬祭互助会とがあります。これまで婚礼を中核事業としてきた冠婚葬祭互助会が葬儀に注力しているほか、成長産業としての認識から、仏事関連産業はもとより異業種(電鉄、流通、生協、農協、ホテル等)からの参入が全国規模で進んでいます。また、インターネットによる葬儀紹介事業者の進出もあり一段と競争激化に拍車をかけています。参入障壁の低さが、今後新たな新規参入を招き、当社グループの業績に影響を与えるような競争環境の変化をもたらす可能性も否定できません。

 

(4)自然災害、感染症等の発生に関するリスク

(自然災害)

台風や豪雨、大規模な地震等の自然災害の発生は、当社グループが所有または運営する施設(主に葬儀会館)に損害を及ぼす可能性があります。これに伴う葬儀会館の一時的な稼働停止リスクに対しては、グループ内の他の葬儀会館や外部施設の利用により、葬儀施行への影響を最小限に抑えます。また、施設に係る経済的損害のリスクについては損害保険の付保により転嫁を図ります。しかし、それらの対応で十分に事業への影響や損失がカバーされる保証はありません。

 

(感染症等)

感染症の発生・蔓延は、人びとの移動や集いに大きな制約をもたらします。最悪の場合は、故人との対面でのお別れができないなど、葬儀形態そのものが制約を受けることも生じます。こうした事態は、葬儀の参列者の減少、小規模化をもたらし、また、社葬やお別れの会などの大規模葬儀の施行を困難にすることを通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクについて

当社グループでは2020年2月中旬以降、コロナ禍により、主に葬儀における参列者減少に伴う小規模化によって業績への影響を受けてきましたが、当連結会計年度においては葬儀施行単価に持ち直しの傾向が見られました。

新型コロナウイルス感染症の拡大から3年が経過し、わが国でもWithコロナの取り組みが進んでおり、社会経済活動が正常化に向けて本格的に動き出しましたことが背景にあります。

このような状況の変化をふまえ、本感染症の影響は、今後は過去3ヵ年と比べて限定的になると想定しております。但し、本感染症による影響が今後この想定と乖離する場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)固定資産の減損に関するリスク

当社グループは、葬儀会館に係る有形固定資産を中心に固定資産を保有しています。経営環境や事業の状況の変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、対象資産に対する減損損失の計上により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法的規制に関するリスク

(食品衛生法)

当社グループの料理・飲料事業については食品衛生法により規制を受けています。当社グループが飲食店を営業するために、都道府県知事が定める基準により食品衛生責任者を置くことはもとより、厳格な衛生管理を実施することによって、食中毒の回避に万全を期しています。しかしながら、万が一食中毒を起こした場合、食品等の廃棄処分、営業許可の取り消し、営業の禁止、一定期間の営業停止等を命じられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(個人情報保護法)

当社グループでは、葬儀の請負等を通じて多くの個人情報を所有することから、2005年4月より施行された個人情報保護法の遵守体制構築を経営の最重要課題の一つと位置づけ、プライバシーマークの認証を取得いたしました。

しかしながら、予期せぬ事態により個人情報が流出した場合、当社グループの社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担や企業イメージの低下が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度(以下、当期)におけるわが国経済は、資源高や円相場の変動の影響などを受けつつも、新型コロナウイルスの感染抑制と社会経済活動の両立が進むもとで、景気の持ち直しが見られました。企業収益が全体として高水準で推移するもとで、設備投資は緩やかに増加し、個人消費も物価上昇の影響を受けつつ緩やかに回復しました。

葬儀に関しては、コロナ禍において小規模・簡素化傾向が加速し、今後も感染症の動向とその影響については不確実性が高いものの、当期においてはこうした傾向がやや緩和したものと見られます。また、故人との大切な最後のお別れの場においては、引き続き適切な感染防止対策を講じたうえで、関係者の安全・安心に配慮すると同時にご遺族等のお気持ちに寄り添い応えることが、葬儀事業者には求められています。

葬儀業界では、各地での新規出店の加速、マッチングビジネスの台頭などにより、特に小規模葬儀をめぐる競争が激化しています。このような事業環境の変化を背景にM&Aが増加しており、今後、葬儀業界のみならずライフエンディング業界全体の再編が進むものと考えられます。

 

このような事業環境の変化をふまえ、当社グループでは新たに定めたパーパスおよび10年ビジョンの実現に向けて、その基盤づくりの時期と位置付ける3ヵ年(2022年度~2024年度)の中期経営計画を2022年4月にスタートさせました。その中の重点項目の一つである「葬儀事業の拡大」では、3ヵ年で31会館の出店を目指しております。初年度の2022年度は6会館を開設する計画に対し、以下のとおり8会館を開設しました。

 

2022年9月 「公益社 平野会館」(大阪市平野区)

2022年12月 「葬仙 米原ホール」(鳥取県米子市)

      「タルイ会館 塩屋」(神戸市垂水区)

2023年3月 「公益社 経堂会館」(東京都世田谷区)

      「エンディングハウス 東四つ木」(東京都葛飾区)

      「エンディングハウス 新小岩」(東京都葛飾区)

      「エンディングハウス 大阪鶴見」(大阪市鶴見区)

      「エンディングハウス 大東」(大阪府大東市)

 

このうち「エンディングハウス」の4会館は、中期経営計画における「葬儀事業の拡大」達成のカギとして準備を進めてきた、家族葬専門の新しい葬儀ブランドです。また、2022年4月に設立した葬祭会社「㈱グランセレモ東京」(㈱広済堂ホールディングス51%、当社49%の出資による合弁会社)については、2022年7月5日より事業を開始しております。

 

当期のグループ葬祭3社の葬儀施行収入は前連結会計年度(以下、前期)比7.6%の増収となりました。グループの全葬儀施行件数は、㈱葬仙および㈱タルイにおける増加により、前期比1.5%の増加となりました。また、葬儀施行単価は、葬儀規模にかかわらず全般的に持ち直したため上昇しました。さらに、葬儀に付随する販売やサービス提供による収入も、グループ全体では前期比増収となりました。

費用については、社葬・お別れの会の件数増加による直接費の増加、昨今の資源・エネルギー価格の高騰影響による光熱費やガソリン代の増加のほか、広告宣伝費や新規出店による地代家賃等が増加しました。そのため、営業費用は前期比6.8%の増加となりました。また、販売費及び一般管理費は、人材強化のための採用関連費用やソフトウエアの減価償却費の増加等により前期比9.3%増加しました。

 

この結果、当期の営業収益は216億63百万円となり、前期比8.3%の増収となり、営業利益は38億68百万円と前期比14.6%の増益となりました。また、営業外費用において「㈱グランセレモ東京」に係る持分法による投資損失12百万円や会館のリニューアル等に伴う解体撤去費用24百万円の計上等はありましたが、経常利益は38億43百万円と前期比13.5%の増益となりました。さらに特別利益として、主に「公益社 宝塚会館」の土地等の売却益(注)からなる固定資産売却益2億92百万円を計上し、税金等調整前当期純利益は41億27百万円となり、税金費用を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は27億83百万円と前期比36.4%の増益となりました。

(注)「公益社 宝塚会館」は2022年12月、家族葬に適した規模の会館として隣地に新築リニューアルオープンしました。

当社グループでは、葬祭3社および当社を中心とした会社グループ別の4つのセグメント、「公益社グループ」、「葬仙グループ」、「タルイグループ」、「持株会社グループ」を報告セグメントとしております。なお、「公益社グループ」には、㈱公益社に加え、㈱公益社の葬儀サービスのサポートのほか介護サービス事業や高齢者施設での食事の提供等を行うエクセル・サポート・サービス㈱、および終活関連WEBプラットフォーム事業を行うライフフォワード㈱を含んでおります。当期のセグメント別の経営成績は次の通り、持株会社グループを除く3つのセグメントで増収増益となりました。

 

ア 公益社グループ

公益社グループの中核会社である㈱公益社においては、葬儀施行件数は前期比0.3%減少しました。その主な要因として、前第4四半期(2022年1~3月)においてコロナ感染の第6波によりコロナ関連葬儀が増加していたためです。これに対し、葬儀施行収入は前期比6.7%の増収となりました。これは主に、大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の施行件数の増加に加え、一般葬儀(金額5百万円以下の葬儀)の単価が持ち直したことによります。また、葬儀に付随する販売やサービス提供は、法事法要や墓地・墓石等の増収が仏壇仏具、後日返礼品の減収をカバーして、全体として前期比増収となりました。

費用については、人件費の増加や広告宣伝費の増加、新規会館に係る地代家賃の増加等のため、セグメント費用は前期比増加しました。この結果、当セグメントの売上高は179億34百万円(前期比8.0%増)、セグメント利益は24億42百万円(前期比24.5%増)となりました。

 

イ 葬仙グループ

葬仙グループの㈱葬仙においては、米子、松江を中心に新店効果により葬儀施行件数が増加し、全体では前期比11.0%増加しました。会葬者数の増加に伴い、葬儀施行単価についても上昇しました。このため葬儀施行収入は前期比13.5%の増収となりました。一方、葬儀に付随する販売やサービス提供は、仏壇仏具の販売減少等により前期比減収となりました。

この結果、当セグメントの売上高は15億15百万円(前期比10.9%増)、セグメント利益は1億39百万円(前期比84.3%増)となりました。

 

ウ タルイグループ

タルイグループの㈱タルイにおいては、新店のみならず既存店においても葬儀施行件数が伸長し、全体で前期比9.8%増加しました。葬儀施行単価についても、小規模葬儀が増加する一方、大規模葬儀(金額5百万円超の葬儀)の受託があり、全体で上昇しました。このため葬儀施行収入は前期比10.5%の増収となりました。葬儀に付随する販売やサービス提供は、後日返礼品や仏壇仏具等の販売増加により前期比増収となりました。

この結果、当セグメントの売上高は18億31百万円(前期比11.1%増)、セグメント利益は3億71百万円(前期比23.9%増)となりました。

 

エ 持株会社グループ

持株会社グループの燦ホールディングス㈱においては、主に配当金収入の増加により増収となりました。費用については新規出店に伴う地代家賃や減価償却費、新たな基幹情報システムの稼働等に伴うソフトウエアの減価償却費等の固定費が増加したほか、合弁会社「㈱グランセレモ東京」に係る持分法による投資損失を営業外費用に計上しました。

この結果、当セグメントの売上高は61億47百万円(前期比3.0%増)、セグメント利益は26億55百万円(前期比1.9%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末(以下、当期末)における流動資産は110億39百万円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)比23億23百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が17億49百万円、営業未収入金及び契約資産が1億59百万円それぞれ増加したことによるものです。

固定資産は251億89百万円となり、前期末比57百万円増加しました。有形固定資産は主に「公益社 宝塚会館」の土地売却等により1億78百万円減少したことによるものです。その一方で、新たな基幹情報システムの稼働等に伴うソフトウエアの増加により無形固定資産が1億79百万円増加したほか、合弁会社「㈱グランセレモ東京」への出資や新規会館の開設に伴う差入保証金の増加等により、投資その他の資産が56百万円増加したことによるものです。

この結果、総資産は362億29百万円となり、前期末比23億81百万円増加しました。

 

(負債)

当期末における流動負債は35億59百万円となり、前期末比5億32百万円増加しました。これは主に、営業未払金が1億41百万円、未払法人税等が1億7百万円それぞれ増加したことによるものです。

固定負債は10億54百万円となり、前期末比1億36百万円減少しました。これは主に、リース債務と長期未払金の減少によるものです。

この結果、負債合計は46億13百万円となり、前期末比3億95百万円増加しました。

 

(純資産)

当期末における純資産合計は316億15百万円となり、前期末比19億85百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益27億83百万円を計上し、剰余金の配当4億50百万円を支払うこと等により利益剰余金が17億50百万円増加したこと、ならびに当期中に自己株式を3億87百万円取得したことによるものです。

この結果、自己資本比率は前期末比0.2ポイント低下し、87.3%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当期末における現金及び現金同等物は、前期末より17億44百万円増加し、91億79百万円となりました。

当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは32億62百万円の増加(前期は29億91百万円の増加)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益41億27百万円、減価償却費8億82百万円により資金が増加したのに対して、売上債権の増加額1億59百万円、法人税等の支払額14億7百万円により資金が減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは5億94百万円の減少(前期は14億91百万円の減少)となりました。

これは主に「公益社 宝塚会館」の土地等の売却からなる、有形固定資産の売却による収入4億62百万円等で資金が増加する一方、新規会館の建設工事や既存会館の改修工事等に伴う有形固定資産の取得による支出7億80百万円、新たな基幹情報システムの構築等に伴う支出2億20百万円により資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは9億23百万円の減少(前期は11億3百万円の減少)となりました。

これは主に、配当金の支払額4億50百万円、自己株式の取得による支出3億87百万円により資金が減少したことによるものです。

 

④営業の実績

ア 営業売上実績

 当連結会計年度における営業売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

 

金額(百万円)

前年同期比(%)

公益社グループ

17,934

108.0

葬仙グループ

1,515

110.9

タルイグループ

1,831

111.1

持株会社グループ

6,147

103.0

合計

27,430

107.2

(注)上記の金額については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。

 

イ 葬儀請負の実績

 当社グループのセグメントのうち主な事業である葬儀請負事業に係わる葬儀施行件数の、当連結会計年度における実績は次のとおりであります。

 

(公益社グループ)

区分

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

式場数(式場)

施行件数(件)

前年同期比(%)

稼働率(%)

大規模会館

千里会館、枚方会館、西宮山手会館

大式場

35

94.6

6.4

一般式場

11

1,601

101.5

79.8

支店・営業所付属会館

天神橋、東大阪、堺、吹田、用賀、

岸和田、玉出、城東、西田辺、

宝塚、豊中、高槻、守口、雪谷、

富雄、はびきの、たまプラーザ、

なかもず、明大前、田園調布、

住吉御影、学園前、森小路、高輪、

石橋、高円寺、仙川、江坂、日吉、

西大寺、六甲道、くずは、喜多見、

甲南山手、武庫之荘、甲子園口、

千里山田、東久留米、津久野、

上板橋、吉祥寺、香里園、

川西多田、枚方出屋敷、練馬、

長居、国分寺、生駒、平野、経堂

エンディングハウス東四つ木、

エンディングハウス新小岩、

エンディングハウス大阪鶴見、

エンディングハウス大東

一般式場

70

9,353

100.3

79.3

小計

 

84

10,989

100.5

76.6

その他(自宅、寺院等)

 

2,061

94.5

合計

13,050

99.5

 

(葬仙グループ)

区分

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

式場数(式場)

施行件数(件)

前年同期比(%)

稼働率(%)

支店・営業所付属会館

鳥取、吉方、岩美、米子、安倍、福米、安来、境港、余子、松江、

比津、金持テラスひの、東朝日町

皆生、米原

一般式場

17

1,189

108.6

43.3

その他(自宅、寺院等)

 

400

119.0

合計

1,589

111.0

 

 

(タルイグループ)

区分

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

式場数(式場)

施行件数(件)

前年同期比(%)

稼働率(%)

支店・営業所付属会館

舞子、大蔵谷、新明、大久保、

魚住、土山、東加古川、

神戸西、長坂寺、西明石、

北大久保、塩屋

一般式場

14

1,537

111.1

63.4

その他(自宅、寺院等)

 

50

79.4

合計

1,587

109.8

(注)1.稼働率=施行件数÷基準件数×100

なお、式場利用は通常、通夜と葬儀の2日間にわたるため、基準件数は1式場2日間に1件の施行を標準として算出しております。

2.葬儀施行件数は、法事・法要件数を除いた件数を記載しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度(以下、当期)は新型コロナウイルスの感染拡大の3年目となり、わが国でもようやく感染対策を継続しながら社会経済活動の正常化を目指す動きが強まりました。そうした中で大きな感染拡大の波が二度到来しましたが、前連結会計年度(以下、前期)と比べると当該感染症の業績への影響がさらに緩和し、前期比増収増益となりました。増収の主な要因は、一つは一般葬儀の単価の持ち直し、もう一つは大規模葬儀(金額5百万円超)の回復にあります。

一般葬儀につきましては、公益社関西圏では主にコロナ関連葬儀(陽性の方及び検査後陰性が判明した方の葬儀)の減少により葬儀施行件数が減少し、エリアシェアも競合の出店等の影響で低下しました。その反面、葬儀単価は全体的に上昇しました。一方、公益社首都圏ではエリアシェアの上昇を伴って件数が増加しました。また、葬仙、タルイともに件数が前期比二桁台の伸び率で増加した上、単価も上昇しました。大規模葬儀につきましては、金額ベースでコロナ前の平均的水準を回復しました。

また、ライフエンディングサポート事業につきましては、中期経営計画最終年度である2024年度の目標を30億円と設定しておりますが、当期は18億円となりました。

 

費用につきましては、昨今の資源・エネルギー価格の高騰影響による光熱費やガソリン代の増加という外部要因のほか、人材強化のための人件費や採用関連費用、集客のための広告宣伝等のマーケティングコスト、地代家賃等の新規出店関連費用、基幹営業システムの構築に伴うソフトウエアの減価償却費など、社内の政策的な要因による増加がありましたが、営業費用と一般管理費を合わせて増収率を下回る増加率に抑えました。

 

この結果、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の「売上高営業利益率15.5%以上」については、実績値が17.9%となり、目標を大幅に上回ることができました。

 

新たな中期経営計画の初年度となる当期は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に掲げた5つの課題に取り組みました。その中の重要項目の一つである「葬儀事業の拡大」の取り組みとして、2023年3月に新しい葬儀ブランド「エンディングハウス」事業をスタートさせました。

この結果、当期は6会館(中期経営計画3ヵ年で31会館)の出店計画に対し、8会館(首都圏3、関西圏4、山陰1)を出店しました。このうち「エンディングハウス」を4会館(首都圏、関西圏各2)同時オープンしております。

「エンディングハウス」は家族葬専門のブランドで、価格を抑えながら高品質を追求したコストパフォーマンスに優れたシンプルなパッケージプランによるサービスを提供します。伝統や格式・形式にとらわれず、ご家族など近しい方々だけでゆっくりとお別れしていただく場としてのご利用を想定しています。この事業を展開する営業エリアは、関西圏、首都圏も対象ですが、エリア拡大の中心はこれまで当社グループが事業展開していない全国の主要都市となります。また、自社による出店の他にM&Aやアライアンス等、様々なスキームを使いながら新規出店スピードを加速させ、全国へと事業エリアの拡大を図っていきます。

 

なお、特別利益として固定資産売却益2億92百万円計上しました。これは主に、自社所有の「公益社 宝塚会館」を事業環境の変化に合わせて家族葬に適した会館にダウンサイジングしたことに伴い発生した余剰不動産を資本効率改善のために売却したことによるものです。

 

(新型コロナウイルス感染症の影響について)

新型コロナウイルス感染症の業績に対する影響(以下、「コロナ影響」と略記)の主なものは、①一般葬儀における参列者減少による一般葬儀の小規模化 ②社葬・お別れの会を中心とする大規模葬儀に関して、感染拡大状況やその防止施策の影響を受けて、開催が見合わせられるケースがあること、の2つです。

①の一般葬儀に関しては、一定の前提条件をおいてグループ葬祭3社における影響額を推計してきましたが、コロナ禍の3年間に、葬儀の単価や価格帯別構成比に影響を与えるコロナ以外の要因が徐々に大きくなっており、試算結果をそのままコロナの定量的影響とみなすことはもはや困難であるとの判断から、影響額の推計を取りやめることとします。

②の大規模葬儀に関しては、当期金額ベースでコロナ前の平均的水準を回復したと判断しております。

2020年初頭からのコロナ禍が葬儀の小規模化を加速させたことは事実であり、当期葬祭3社の葬儀単価が前期比上昇したとはいえ、コロナ前の2019年度の水準に戻ったわけではありません。その一方で、わが国も感染再拡大のリスクを念頭に置きつつ、社会経済活動の正常化に向けて動き出しました。これらの状況を勘案すると、葬儀の小規模化傾向は、揺り戻しを挟みつつ今後もコロナ前と同様に続くものと考えます。

当社グループでは、「(1)経営成績等の状況の概要」でもふれましたように、故人との大切な最後のお別れの場においては、引き続き適切な感染防止対策を講じたうえで、関係者の安全・安心に配慮すると同時に、ご遺族等のお気持ちに寄り添ってまいります。

 

(財政状態)

総資産は、前期末比23億81百万円増加して362億29百万円となりました。

負債の部では、業績の拡大を反映して営業未払金や未払法人税等が増加するなど流動負債が増加しましたが、固定負債に大きな異動はありませんでした。また、有利子負債は少額のリース債務のみで、投下資本はもっぱら純資産からなります。純資産額は主に利益剰余金の増加により19億85百万円増加しました。

投資に伴う資産の部の動きを見ると、新規出店8会館および基幹情報システムの構築を中心とする設備投資は大半が減価償却費でまかなえる規模であり、固定資産の増加はごくわずかでした。その結果、現金及び預金は、固定資産の売却代金も加わり、設備投資や株主還元(配当金支払い、自己株式取得)の資金に充当してもなお、17億49百万円の増加となりました。

 

このように投下資本は増加しましたが、営業利益及び経常利益はコロナ禍3年目の当期、コロナ前の2019年度の過去最高益を更新する大幅増益となりました。その結果、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の資本効率目標「投下資本利益率(ROIC)」は7.8%と前期0.6ポイント向上し、目標とする7.0%を上回りました。

※ROIC=税引後営業利益/投下資本

(投下資本=有利子負債+純資産、税引後営業利益=営業利益×(1-実効税率))

 

一方、財務の状況は、総資産に占める固定資産の比率が高いものの、その固定資産は純資産によってまかなわれており、当期末において自己資本比率は87.3%と高水準です。また、流動資産の8割超を現金及び預金が占め、手元流動性比率5.3ヵ月(コロナ影響を除くため、2018年3月期~2020年3月期の営業収益の平均値に基づいて算出)であることから短期的な支払能力も高いと言えます。これらの点から、今般の新型コロナウイルス感染症クラスの外的ショックが再び発生しても、それに耐えうる財務の健全性を有すると判断しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

資金の最大の源泉である税金等調整前当期純利益が、主に一般葬儀の単価の持ち直しと大規模葬儀の回復による業績向上や固定資産売却益の発生などにより、前期比3割増加したため、営業活動によるキャッシュ・フローが32億62百万円の増加となりました。

一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、8つの葬儀会館の新規出店及び既存会館のリニューアル等による有形固定資産の取得と新たな基幹情報システムの構築に係る無形固定資産(ソフトウエア)の取得による支出に対して、公益社の旧宝塚会館の土地等の売却による収入を差し引きして、5億94百万円の減少となりました。さらに、前期に引き続き、当期も増配および自己株式の取得を実施し株主還元を充実させたことにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、9億23百万円の減少となりました。

この結果、現金及び現金同等物は前期末比17億44百万円増加して91億79百万円となりました。

 

これにより、以下の資金使途や資金需要に対する原資の一部として、さらに万が一のダウンサイドへの備えとして、資金の流動性は十分に確保できていると判断しております。

 

当社は現在取り組んでいる中期経営計画(2022年度~2024年度)において、強固な財務基盤をベースに成長のための積極的な投資を行うことを明らかにし、営業キャッシュ・フローをまず、《既存設備への投資》と《成長投資》とに配分し、その余を株主還元に充当するという、キャピタル・アロケーションの枠組みを示しました。

ここで《既存設備への投資》とは葬儀会館を中心とする既存設備のリニューアルや改修であり、減価償却費の範囲内を基本とします。《成長投資》とは、葬儀会館の積極的な新規出店やライフエンディングサポート事業の強化といったオーガニックな成長のための投資とM&Aやアライアンスによるインオーガニックな成長のための投資からなります。

※ここでのオーガニックな成長とは、自社が有する技術や資産、人材等の資源を活用して成長することを意味し、インオーガニックな成長とは、社外に存在するそれらの資源を提携や買収などにより獲得し成長することを意味します。

葬儀の小規模化や家族葬ニーズの高まりという外部環境をふまえ、成長のための新規出店は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、新たな葬儀ブランド「エンディングハウス」を中心とする計画ですが、残り2ヵ年で23会館の出店を目指す投資資金は、営業キャッシュ・フローを中心とした自己資金でまかなうことができる見込みです。ライフエンディングサポート事業に係る投資資金に関しても、同様と考えております。

 

なお、会館用地については賃借(事業用定期借地)を原則とする中で、首都圏においては元々候補物件自体が少ないことから、稀少な好物件については土地の取得という判断をすることもあり得ます。その場合、土地を賃借する場合と比べて、一時的に多額の投資資金を要する可能性があります。また、M&Aやアライアンスに係る投資においては、予期せぬ好投資案件に対して、資金調達に起因する機会損失を回避することが重要であると考えます。

これらのケースを含む緊急多額の資金需要に対しては、高い水準にある資金の流動性で対応するほか、取引銀行3行と締結している総額10億円のコミットメントライン契約に基づく借入れによって資金調達をすることがあります。なお、同契約に基づく当期末の借入実行残高はありません。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

5【経営上の重要な契約等】

(提出会社)

(1)土地信託契約

相手方の名称

契約年月日

契約内容

信託不動産の内容

契約期間

備考

三井住友信託銀行株式会社

1990年

3月29日

信託不動産の管理運用の委託

北浜エクセルビル

大阪市中央区北浜

二丁目15番,16番

土地  621.92㎡

建物  延4,927.73㎡

鉄筋コンクリート造地下1階、地上10階

その他 機械及び装置、構築物、工具、器具及び備品があります。

自1990年3月29日

至2026年3月31日

(期間延長することができる。)

不動産信託受益権

475百万円

 

(2)不動産賃借契約

事業所名

相手方の名称

契約年月日

契約内容

不動産の所在地等

契約期間

備考

公益社

高輪会館

宗教法人道往寺

2011年

12月5日

不動産

賃借契約

東京都港区高輪
二丁目16-13

延床面積 270.17㎡

自2013年1月1日

至2032年12月31日

(20年間)

賃料月額

0百万円

公益社

甲南山手

会館

㈱NTT西日本アセット・プランニング

2016年

3月1日

不動産

賃借契約

神戸市東灘区本庄町
二丁目103

延床面積 247.68㎡

自2016年3月1日

至2041年2月28日

(25年間)

賃料月額

0百万円

公益社

甲子園口

会館

㈲高浜興産

2017年

3月1日

不動産

賃借契約

兵庫県西宮市中島町

1-2

延床面積 450.79㎡

自2017年3月1日

至2042年2月28日

(25年間)

賃料月額

1百万円

公益社

西宮山手

会館

ネッツトヨタ神戸㈱

2017年

12月23日

不動産

賃借契約

兵庫県西宮市城ヶ堀町

74-3

延床面積 773.11㎡

自2017年12月23日

至2047年12月22日

(30年間)

賃料月額

0百万円

仏壇ギャ

ラリー

ユーアイ

箕面店

及び

終活広場

琴屋興業㈱

2005年

11月11日

不動産

賃借契約

大阪府箕面市牧落
三丁目1-10

延床面積 488.43㎡

自2006年3月17日

至2026年3月16日

(20年間)

賃料月額

1百万円

葬仙

米子葬祭会館
他2会館

㈲金鶴冠婚
プロデュース

2005年

4月1日

不動産

賃借契約

鳥取県米子市長砂町
1075 他

自2005年4月1日

至2035年2月28日

(30年間)

賃料月額

9百万円

タルイ

本社
他4会館

㈱タルイ会館

2006年

10月1日

不動産

賃借契約

兵庫県明石市林崎町
二丁目649-2 他

自2006年10月1日

至2037年3月10日

(30年間)

賃料月額

 8百万円

 

(3)合弁契約

契約締結先

契約内容

出資比率

合弁会社名

設立年月

㈱広済堂

ホールディングス

葬儀事業運営の

ための合弁契約

㈱広済堂ホールディングス:51%

燦ホールディングス㈱:49%

㈱グランセレモ東京

2022年4月

 

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。