文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは創業以来、「商空間の創造を通じて、豊かな社会の実現に貢献します。」を企業理念として掲げてきました。そして、ステークホルダーであるお客様、取引先、社員、株主様、社会の期待に応え続けるため、常に時代の変化に柔軟に対応できるよう取り組み、売上高及び利益の向上等に努めてまいります。
当社グループは、実績や最新の市場動向を踏まえ2025年度を最終年度とする中期経営計画において、持続的な成長と企業価値の向上を図るために、中期経営目標として営業利益率5%、売上高成長率5%を掲げ、また、ROA(総資産営業利益率)7%、配当性向50%以上を重要経営指標として設定しております。
当社グループを取り巻く事業環境は、企業収益の改善による設備投資の底堅い需要、インバウンド需要の増加等を背景に、引き続き投資需要の好調な推移が期待されることから、安定した受注環境が継続するものと予想しております。一方で、供給面においては、資材価格の高騰や人件費の上昇、労務需給の逼迫、加えて建設業の時間外労働の上限規制への対応による影響等を引き続き注視していく必要があります。
当社グループといたしましては、経営目標の達成に向けて、現中期経営計画「進化発展」で掲げた各種戦略を着実に実行してまいります。2026年度からスタートする次期中期経営計画「拡大成長」を見据え、目指すべきVISIONの実現に向けて、自社と社会双方の持続可能な発展を目指すサステナブル経営に取り組むとともに、将来に向けた成長基盤の構築を図ってまいります。また、多様な人材確保、社員の教育投資等、人的資本への積極投資を行い、さらなる企業価値向上を推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「(1) 戦略」における人的資本に関する記載及び「(2) 指標及び目標」の一部の記載においては、連結グループにおける記載が困難であるため、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
サステナビリティ基本方針
当社は、企業理念に「商空間の創造を通じて、豊かな社会の実現に貢献します。」を掲げています。ここでの「豊かな社会」とは、経済成長と社会課題の解決が両立し、持続可能な発展を可能としている社会です。私たちは、「空間の可能性を追求する」というMISSIONを通じて社会に価値をもたらすことにより、自社と社会双方の持続可能な発展を目指し、特に自社との関連性の高い7つの重要課題(マテリアリティ)に取り組んでまいります。
重要課題(マテリアリティ)
重要課題特定プロセス
当社グループは、中期経営計画「進化発展」(2023-2025)においてサステナブル経営を根幹とした計画を策定し、重要課題(マテリアリティ)と密に連動した中期経営目標、中期経営戦略及び指標(KPI)を設定しております。計画に基づいた取り組みを推進し、社会課題の解決と中長期的な企業価値向上の両立を図っていきます。
また、企業価値向上の観点で社員の多様性確保も含めた人的資本への投資が重要な経営課題であると捉え、「人事基本方針」を策定しております。本方針や重要課題(マテリアリティ)に掲げる「多様性の尊重」「人材開発と働きがいのある職場づくり」に基づき、中期経営計画「進化発展」において「働きがい改革」を戦略の一つとして具体的取り組みを進めております。2024年度においては、社員のキャリア開発支援を目的とした複線型人事制度の再構築や、ライフステージの変化に合わせて選択できる新たな勤務形態の導入を行ったほか、社員の知的創造支援としての投資を継続して行っております。
(2) 指標及び目標
中期経営計画「進化発展」における重要課題(マテリアリティ)ごとの指標及び目標は以下の通りであります。
(注) 1.指標及び目標のうち「公共事業受注件数:40件」は2024年度に見直しを行い、2023年度策定時から変更した
ものです。
2.指標のうち「パートナーエンゲージメント」は当社がパートナー企業に対して半期に1度実施する取引勢・
法令順守等に関するアンケートによるものです。
3.指標のうち「資格取得者数」は当社資格手当支給対象資格の中で業務との関連度合いの高い「ジョブ資格」
に分類する資格の取得者数です。
気候変動に関する指標及び目標としては、中期経営計画「進化発展」における指標及び目標のうち、「サステナブル素材活用案件率」が該当します。また、脱炭素社会の実現に向けて、当社では電気・ガソリン消費によるCO₂排出量を2030年度までに2013年度比26%削減とすることを目標に設定しました。四半期ごとに事業所ごとの排出量を数値化し、削減計画の見直しを行っています。
人的資本に関する指標及び目標としては、中期経営計画「進化発展」における指標及び目標のうち、「女性管理職・専門職比率」「社員の教育投資額」「資格取得者数」「1人当たり所定外労働時間」「有給休暇取得率」が該当します。なお、当社では管理職としてだけではなく、専門職としてキャリアアップできる複線型人事制度を導入しているため、女性活躍の指標として「女性管理職・専門職比率」を採用しております。
(3) ガバナンス・リスク管理
当社グループは、代表取締役社長を議長とする取締役会において、サステナビリティを巡る課題についての協議・監督・決定を行っております。取締役会は原則として月1回開催され、経営執行部門からの中期経営計画や重要課題(マテリアリティ)に基づく事項についての報告を受けて進捗のモニタリングを行い、議論や検討を進めております。
サステナビリティを巡る課題については、経営上のリスクと機会の両面で捉え、これらの課題への対応について取締役会及び経営執行会議において継続的に議論しております。重要課題(マテリアリティ)ごとにリスクと機会について検討を行い、取締役会は検討結果を受けて特定・評価を行いました。
重要課題(マテリアリティ)ごとのリスクと機会については以下の通りであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループにおける全てのリスクを網羅したものではありません。
当社グループは、受注企業であり、景気の動向等により主要顧客であります流通小売業の設備投資が変動し、新規出店や改装に影響が出た場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、改正まちづくり三法等の改定により新たな規制が施行され、大型商業施設の出店計画に変更が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を行う上で、建設業法、建築士法及び宅地建物取引業法等様々な法規制の適用を受けており、その遵守を義務づけられております。これらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現状において当該許認可等が取消しとなる事由は発生しておりません。
将来、これらの関連する法律が変更された場合や何らかの事情により、これらの法律に抵触することが発生した場合、業務遂行に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、施工物件の品質について万全な体制を敷いておりますが、品質不良を完全に排除することは困難であり、万一、品質に問題があった場合、賠償金の支払が発生し業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、万全を期して現場での安全確保に取り組んでおりますが、万一、事故などが発生した場合、業務停止や営業許可・免許の取消し、罰金等の処分が行われ、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、災害などが発生した場合、顧客の出店計画の延期や中止により、受注の減少やコストの増加など、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、個人情報保護規程を策定し運用管理には可能な限り注意を払っておりますが、何らかの要因により情報が流出した場合、社会的責任を負うこととなり業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を行う過程で、顧客情報や協力業者情報を取得することがあり、セキュリティについては細心の注意を払っておりますが、自然災害や事故等により重要なデータの消失または漏洩した場合、社会的責任を負うこととなり業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、資材価格の高騰や人件費の増加等に起因するコスト上昇が継続しているものの、好調な企業収益を背景に企業の設備投資意欲は堅調に推移しております。
当社の主要顧客である各業界におきましても、雇用・所得環境の改善による個人消費の緩やかな回復、インバウンド需要の増加に伴い、集客力向上等を目的とした新装・改装需要は引き続き好調に推移しております。
このような事業環境の中、当社グループにおいては、中期経営計画「進化発展」に基づき、営業利益率5%、売上高成長率5%、全社員活躍の実現、顧客提供価値の向上を目標に掲げ、三つの方針「自ら考え、行動し、成果にこだわる」「オールスペースが持つ可能性を追求する」「一人ひとりが経営者意識を持って行動する」の下、さらなる企業価値向上に向けて、各種施策を実行してまいりました。事業面においては、当社の強みである地域密着型の事業拠点や顧客対応型組織といった顧客企業の要望に最大限対応できる受注体制が奏功しました。特に、郊外型の総合スーパーやチェーンストアの案件増加に加え、オフィス関連及びエンターテインメント施設の大型案件が増加いたしました。また、地域活性化案件が増加したことなども業績好調の要因となりました。事業発展に向けた取り組みとしては、沖縄の子会社設立に加え、海外の新拠点としてベトナム進出を決定するなど、グループシナジーの一層の強化を図ってまいりました。経営の進化に向けた取り組みとしては、多様な人材の活躍支援や従業員の働きがいを高める環境整備、ITを活用した業務効率化の推進等に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は過去最高を更新いたしました。
①売上高
活況な受注環境を背景に、オフィス関連、エンターテインメント施設等のサービス等分野における大型案件が増加したことで、売上高は641億82百万円(前連結会計年度比21.6%増)となりました。
②営業利益
売上高の増加により、営業利益は34億77百万円(前連結会計年度比35.1%増)となりました。
③経常利益
営業外収益に受取配当金等、営業外費用に支払利息等を計上した結果、経常利益は35億46百万円(前連結会計年度比35.5%増)となりました。
④親会社株主に帰属する当期純利益
賃上げ促進税制による法人税特別控除等の影響もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は25億54百万円(前連結会計年度比51.6%増)となりました。
なお、当社グループはディスプレイ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載に代えて、市場分野別に記載しております。
市場分野別の売上高は次の通りであります。
・複合商業施設・総合スーパー分野は、郊外型総合スーパーの売場改善を目的とした改装案件が増加した一方で、前年に複合商業施設の大型案件を多数手掛けた影響により、売上高は前連結会計年度に対し微減となりました。
・食品スーパー・コンビニエンスストア分野は、コンビニエンスストアにおける改装案件及び企業・施設内の出店が増加したことに加え、食品スーパーにおける新装案件及び売場刷新を目的とした改装案件が増加したことにより、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
・各種専門店分野は、衣料品及び服飾雑貨において店舗展開の推進を目的とした新装案件と既存店強化に伴う改装案件が増加したことにより、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
・飲食店分野は、外食産業全体として順調な需要回復が見られる中、店舗網拡大を目的とした新装案件や顧客ニーズに合わせた業態転換による改装案件が増加したことにより、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
・サービス等分野は、働き方改革の推進に伴う従業員の柔軟な働き方やエンゲージメント向上を意識したオフィス関連及びエンターテインメント施設の大型案件の増加に加え、スポーツ関連、ホテル及びイベント・展示会において集客力の向上を目的とした改装案件が増加したことにより、前連結会計年度を大きく上回る売上高となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。なお、当社グループは、ディスプレイ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載に代えて、制作品別の受注実績及び制作品別の販売実績を記載しております。
①生産実績
当社グループは生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
当連結会計年度における受注実績を制作品別に示すと、次の通りであります。
(注)数量については、同一制作品区分の中でも、多種類・多仕様にわたっておりその表示が困難なため記載を省略しております。
当連結会計年度における売上高実績を制作品別に示すと、次の通りであります。
(注)数量については、同一制作品区分の中でも、多種類・多仕様にわたっておりその表示が困難なため記載を省略しております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。
(4) 財政状態の状況と経営者の視点による分析内容
(資産)
当連結会計年度末における資産は、409億53百万円(前連結会計年度末比33億27百万円増)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ29億46百万円増加し、276億64百万円となりました。主な要因は、完成工事未収入金及び契約資産が20億91百万円、現金及び預金が7億7百万円増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ3億81百万円増加し、132億88百万円となりました。主な要因は、無形固定資産が1億16百万円減少したものの、有形固定資産が64百万円、退職金の制度変更に伴う退職給付に係る資産の増加等により投資その他の資産が4億33百万円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、82億73百万円(前連結会計年度末比14億1百万円増)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ14億75百万円増加し、76億14百万円となりました。主な要因は、工事未払金が10億37百万円、預り金が2億37百万円、未払消費税等が2億34百万円増加したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ74百万円減少し、6億59百万円となりました。主な要因は、繰延税金負債が1億58百万円増加したものの、退職給付に係る負債が2億35百万円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、326億79百万円(前連結会計年度末比19億26百万円増)となりました。主な要因は、利益剰余金が15億25百万円、退職給付に係る調整累計額が2億68百万円増加したことによるものです。
(5) キャッシュ・フローの状況と経営者の視点による分析内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ16億89百万円増加(前連結会計年度は19億10百万円の減少)し、134億60百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、20億54百万円の収入(前連結会計年度は21億33百万円の収入)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益を35億41百万円計上したこと、及び仕入債務が10億34百万円増加したことによるものです。主な支出要因は、売上債権及び契約資産が22億34百万円増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、6億30百万円の収入(前連結会計年度は31億72百万円の支出)となりました。主な収入要因は、定期預金の払戻が10億円あったことによるものです。主な支出要因は、有形固定資産の取得により3億1百万円を支出したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、10億29百万円の支出(前連結会計年度は8億82百万円の支出)となりました。主な要因は、配当金の支払が10億27百万円あったことによるものです。
(6) 資本の財源及び流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、パートナー企業への支払いである外注費、工事や案件の推進に係る労務費、販売費及び一般管理費であります。
資本の財源及び流動性については、事業活動に必要な資金を安定的に確保することを基本としており、資金調達につきましては自己資金を基本としております。また、株主還元については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載の通りであります。
(7) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
この財務諸表の作成にあたり当連結会計年度末における資産、負債の金額、並びに当連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金の見積り方法につきましては、「第5 経理の状況 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載の通りであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。