第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢に改善がみられ緩やかな回復基調となったものの、設備投資や個人消費などの支出への波及には遅れがみられました。そのような中、国内旅行市場においては、訪日外国人旅行者数は前年比47.1%増の1,973万7千人と過去最高を更新し、そのインバウンド消費額も前年比71.5%増の3兆4千億円超となりました。

このような環境下、当社グループは当期から3年間の中期経営計画「共立フルアクセル・プラン」を策定いたしました。お客様のニーズに応えるべく、「開発投資を集中的かつ積極的に加速」し、「価値と価格のバランスの適正化による収益力の強化」を基本方針とし事業運営を進めてまいりました。

当期はホテル事業におきまして7棟がオープンしたため、開業準備費用の増加による収益成長率の鈍化の懸念もありましたが、主力事業である寮事業が堅調に推移したほか、ドーミーイン(ビジネスホテル)事業が大きく伸長し、増益の原動力となりました。また、引き続き当社の事業と親密性が高い「大学箱根駅伝」に協賛するなど、より多くの方に共立メンテナンスの事業内容をご理解いただけるよう広報・IRにも取り組んでまいりました。

この結果、売上高は135,053百万円(前期比22.5%増)、営業利益は10,244百万円(前期比24.7%増)、経常利益は9,775百万円(前期比27.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,970百万円(前期比36.1%増)となり、前期実績並びに平成27年11月9日に公表いたしました上方修正業績予想を大幅に上回り過去最高益を更新いたしました。

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

① 寮事業

寮事業におきましては、期初稼働率97.3%(前年比0.1ポイント増)と好調にスタートし、一年を通して堅調に推移いたしました。

学生寮事業は、進学率の上昇や海外からの留学生の増加等により高いニーズが継続いたしました。当期は新たに東北学院大学様ほか10校の大学様との提携を実現し、さらに寮に新たな付加価値を創出する試みとして、RA(レジデント・アシスタント)制度を導入いたしました。この結果、当社学生寮の契約数は20,574名(前期比833名増)、売上高は25,382百万円(前期比1.7%増)となりました。

社員寮事業は、新卒採用の増加等が追い風となりました。新たに寮制度を導入される企業様が増加したことや、一棟単位での契約が増加したことなどにより、大幅に契約数が増加いたしました。この結果、当社社員寮の契約数は9,998名(前期比885名増)、売上高は11,294百万円(前期比7.9%増)となりました。

ドミール事業は、ワンルームマンションタイプ寮として、提携学校・提携企業様からの入居斡旋紹介はもちろんのこと、食事付き寮からの住み替え需要等に対応し、契約数は4,917名(前期比282名増)、売上高は4,165百万円(前期比7.1%増)となりました。

受託寮事業は、企業・学校様が保有している寮を受託請負により管理運営する事業でありますが、「日本一の下宿屋としての運営力」により差別化をはかって展開しており、売上高は3,552百万円(前期比6.2%増)となりました。

以上の結果、寮事業全体では事業所数は455ヶ所(前期比19ヶ所増・受託除く)、定員数は36,176名(前期比1,797名増)、売上高は44,395百万円(前期比4.1%増)となり、営業利益は6,574百万円(前期比3.2%増)となりました。

 

② ホテル事業

 ホテル事業におきましては、お客様のご好評を得て国内旅行者やリピーター様の増加に加え、年明けからの円高傾向にもかかわらずインバウンド需要が引き続き増加したことも追い風となり、前期を上回る高稼働、高客室単価にて推移し、収益を大きく押し上げました。

 ドーミーイン(ビジネスホテル)事業は、当期に「天然温泉 錦鯱の湯 ドーミーインPREMIUM名古屋栄」、「徒士の湯 ドーミーイン上野・御徒町」、「天然温泉 幸鐘の湯 ドーミーイン東室蘭」、「天然温泉 境港 夕凪の湯 御宿 野乃」の4棟がオープンいたしました。「天然温泉 境港 夕凪の湯 御宿 野乃」はドーミーインブランド初の和風プレミアムホテルとして、お客様のより幅広いニーズにお応えする体制を整えてまいりました。この結果、売上高は28,541百万円(前期比21.9%増)となりました。

 リゾート(リゾートホテル)事業は、当期に「カムイの湯 ラビスタ阿寒川」、「ラビスタ富士河口湖」、「箱根湯本温泉 月の宿 紗ら」の3棟がオープンいたしました。箱根地区の事業所におきましては、箱根山の5月の噴火警戒レベル引き上げ以降厳しい状況が続きましたが、11月に噴火警戒レベルが引き下げられたことにより、徐々に例年並みの稼働率にまで回復いたしました。この結果、売上高は24,889百万円(前期比5.9%増)となりました。

 以上の結果、ホテル事業全体では、事業所数は78ヶ所(前期比6ヶ所増)、客室数は11,595室(前期比771室増)、売上高は53,430百万円(前期比13.9%増)、営業利益は6,006百万円(前期比26.8%増)となりました。

③ 総合ビルマネジメント事業

総合ビルマネジメント事業は、前期における賃貸物件の取得及びビルマネジメント部門の案件増加に伴い増収増益となりました。この結果、売上高は14,859百万円(前期比17.7%増)、営業利益は508百万円(前期比35.0%増)となりました。

 

④ フーズ事業

フーズ事業では、新規出店により増収となりましたが、新規出店費用等の影響により営業減益となりました。この結果、売上高は5,787百万円(前期比8.6%増)、営業損失は4百万円(前年同期は営業損失1百万円)となりました。

 

⑤ デベロップメント事業

デベロップメント事業では、開発原価は依然として高止まりの状況が続いておりますが、ホテル開発の受注及び分譲マンションの販売増加に伴い増収増益となりました。この結果、売上高は16,313百万円(前期比72.5%増)、営業利益は677百万円(前期比144.0%増)となりました。

 

⑥ その他事業

その他事業は、シニアライフ(旧ウェルネスライフ)事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、PKP事業(自治体向け業務受託事業)、単身生活者支援事業及び保険代理店事業、総合人材サービス事業、融資事業及び事務代行業であります。これらの事業の合計は、売上高は11,786百万円(前期比32.9%増)、営業損失は212百万円(前年同期は営業損失748百万円)となりました。前年同期比で営業損失が大きく減少した主な要因は、PKP事業の拡大と効率化に伴う採算性の改善によるものであります。

 

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ9,844百万円増加し、25,603百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、税金等調整前当期純利益の増加及び売上債権の増加の影響により、前連結会計年度に比べ542百万円収入が増加し、8,222百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、有形固定資産の取得による支出及び敷金及び保証金の差入による支出の影響により、前連結会計年度に比べ1,952百万円支出が増加し、13,971百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、短期借入金の増加による収入及び社債の発行による収入の影響により、前連結会計年度に比べ19,469百万円収入が増加し、15,708百万円の収入となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

44,395

4.1

学生寮

25,382

1.7

社員寮

11,294

7.9

ドミール

4,165

7.1

受託寮

3,552

6.2

ホテル

53,430

13.9

ドーミーイン事業

28,541

21.9

リゾート事業

24,889

5.9

総合ビルマネジメント

14,859

17.7

オフィスビルマネジメント事業

4,519

5.1

レジデンスビルマネジメント事業

10,340

24.2

フーズ

5,787

8.6

デベロップメント

16,313

72.5

報告セグメント計

134,786

15.2

その他

11,786

32.9

調整額

△11,519

合計

135,053

22.5

 (注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 寮事業では入居者様のグローバル化、ニーズの多様化に柔軟に対応し、一方でコストの適正化による安定的な収益構造を構築してまいります。

 ホテル事業では、ドーミーイン(ビジネスホテル)事業において、6月に「天然温泉 天都の湯 ドーミーイン網走」、7月に「天然温泉 富山 剱の湯 御宿 野乃(仮称)」「グローバルキャビン五反田(仮称)」、8月に「ドーミーイン長野(仮称)」をオープンする他、「ドーミーインPREMIUM東京小伝馬町(仮称)」「天然温泉 なんば 御宿 野乃(仮称)」、そして当社グループ海外(韓国)出店2号店となる「Dormy Inn SEOUL Gangnam(カンナム)(仮称)」と、計7棟のオープンを予定しております。今後も国内外にて、お客様のニーズにお応えすべくドーミーインのポテンシャルを最大限に発揮できる地域への展開を進め、ブランドの確立と収益の拡大を図り、成長を加速させてまいります。リゾート(リゾートホテル)事業では、「鳴子温泉 湯元 吉祥(仮称)」のオープンを予定しており、お客様へのサービスの充実と収益管理の徹底を図りつつ、地域一番店として、お客様にご満足いただける「癒しの湯宿」を展開してまいります。また、新規顧客の開発とリピーター様に対する営業体制を強化するとともに、将来の成長に向け戦略的に開発のピッチも上げてまいります。

 総合ビルマネジメント事業では、お客様にさらに信頼していただける専門能力を含む技術力・商品力を向上させるとともに、総合力を高めた新組織体制にて質の高いビルサービスを提供し、市場競争力の強化を積極的に推進してまいります。

 フーズ事業では、より顧客満足度の高い商品・サービスを開発しつつ、変動費管理を徹底し収益の改善に努めてまいります。

 デベロップメント事業では、共立グループの開発・出店計画を支援するとともに、外部取引先の開拓及び原価管理体制の強化を徹底してまいります。

 その他事業では、シニアライフ事業及びPKP事業を次世代事業の柱とすべく、事業モデルを早期に確立し今後一層の収益の向上を図ってまいります。

 当社グループでは年度テーマを定めており、昨年度は「守破(しゅは)」をテーマに掲げ、時流を捉えながら創業以来の企業精神をさらに磨き上げ、百年企業へと永続発展することを目指して、また一歩前進する年といたしました。今年度は、好調な時こそ冷静沈着かつ謙虚にすることが重要との教えから「澹然(たんぜん)」をテーマに掲げ、地道な努力と精進に励み、「お客様第一の心」を実践して、次なるステージへと駆け上がって参ります。

 

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)売上高状況

 当社グループの主力事業である寮事業につきましては、下宿屋としての心を持って管理運営を行い、入居される方々には自宅と同じようなくつろぎの中で生活をしていただくことをモットーに事業を展開してまいりました。そして、学校様とは提携を結び自校の学生寮としてご利用していただき、企業様とは社員様の数の増減に合わせて必要な時、必要な部屋数だけを社員寮として契約いただくシステムを採用しております。これら、ほとんどの事業用土地・建物は地主様との賃借契約により開発しているため、上記のようなきめ細かな対応にかかわらず、学生寮では大口の学校様における指定寮扱いの解消、社員寮におきましては、リストラ等の進展に伴う大口契約企業様の一括解約等が生じ、大きな空室が発生した場合そのリスクは当社に帰属いたします。

 ホテル事業におきましては、ドーミーイン(ビジネスホテル)事業は長期滞在者を受け入れることやソフト・ハード面での他社との差別化により稼働が大きく左右されない仕組となっておりますが、景気動向による法人需要の低迷等により影響を受ける可能性があります。また、リゾート(リゾートホテル)事業におきましては、景気動向や天候不順、台風などの気象状況や地震の発生により、本来大きな売上を見込んでいる時期の業績が伸び悩んだ場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 フーズ事業におきましては、外食店舗は個人需要の低迷等により、またゴルフ場レストラン・受託食堂につきましては、受託先となっているゴルフ場及び企業様との受託契約が解約された場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(2)財務状態

 当社グループは、持続的な成長の証として、グループ中期経営計画を推進しておりますが、この中では寮事業やホテル事業の開発が不可欠な要素となっております。開発に際しては会社全体の財務バランスを勘案しながら様々な財務手法を活用し、安全かつ最大限の効果を生むべく進めておりますが、不動産市場の停滞、資産価値の乱高下、既存開発資産の極度なキャッシュ・フローの低下、金融情勢の悪化等により開発が計画どおりに進まなかった場合、業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制・品質管理

 当社グループの取扱う商品、サービスの提供にあたっては、食品衛生法の規定による衛生管理、個人情報保護法、旅館業法や消防法による安全管理等様々な法的規制・指導のもと、安全性が強く要請されております。当社グループにおいてはコンプライアンス体制、リスク委員会、社内統制システムにより法令厳守や実施状況の確認チェックを定期的に行っておりますが、万一不測の事態により食中毒・個人情報漏洩等が発生した場合、当社グループの社会的信用を傷つけ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)「減損会計」の適用について

 平成14年8月9日付で企業会計審議会から「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」が公表され、それを踏まえて平成15年10月31日付で(財)財務会計基準機構・企業会計基準委員会から「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(適用指針第6号)が公表されております。これに対応して、当社グループが所有する有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産並びにリース資産において、急激な経済情勢の変化や金融情勢の悪化等により事業の恒常的なキャッシュ・フローの将来にわたる収益性の著しい低下が認識された場合、「減損会計」処理を適用し業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)重要な契約

 当社グループの重要な事業施設である、寮事業所及びホテル事業所につきましては、主として建物所有者から契約期間10年~20年の長期賃借契約により一括賃借しており、一部の長期賃借契約には相互に中途解約が不可能なものがあり、当該事業所における稼働・収益が著しく悪化した場合には、当社の業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、平成28年3月末現在の中途解約が不可能な事業所は52棟あり、解約不能未経過賃借料残高合計は55,537百万円であります。

 

(6)有利子負債への依存及び金利動向の影響

 当社グループは、事業資金について自己資金の他、金融機関からの借入等により調達しており、総資産のうち有利子負債の占める比率は平成28年3月期末において41.8%となっております。当社グループとしましては、自社所有物件の一部について当社の管理運営・賃借契約付運用物件として投資家に売却する等の手法を活用して有利子負債依存度の低下を図っております。また、平成28年3月期末における固定金利調達割合は82.9%であり、金利上昇局面における短期的な影響を限定的なものにしております。しかしながら、将来長期的に金利が上昇し、資金調達コストが増加した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 「4 事業等のリスク (5)重要な契約」をご参照下さい。

 

 

6【研究開発活動】

 当社は、メニュー開発、新商品・新サービスの開発及びお客様のニーズを的確に把握するために、研究開発活動を行っております。

 現在、研究開発は当社のフーズ開発部により、推進されております。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、200百万円であります。

 当連結会計年度における主要課題及び研究開発は、寮事業所及びホテル事業所での食事の新規メニュー開発と季節メニュー開発を行っております。なお、研究開発費については、専用厨房において製品の試作研究開発を一元的に行っているため、各セグメントに分配できません。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照下さい。

 

(2)経営成績の分析

 「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績 及び 3 対処すべき課題」をご参照下さい。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

(4)財政状態の分析

(資産)

 連結会計年度末における総資産は、161,402百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,652百万円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金、土地の増加などによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、103,428百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,591百万円の増加となりました。主な要因は、転換社債型新株予約権付社債の増加などによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、57,974百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,061百万円の増加となりました。主な要因は、資本金、資本剰余金、利益剰余金の増加などによるものであります。

 この結果、自己資本比率は35.9%となり、前連結会計年度末に比べ2.3ポイントの増加となりました。

 

(5)キャッシュ・フローの状況の分析

 「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照下さい。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」をご参照下さい。