(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境等が緩やかな回復基調となったものの、消費マインドは依然として弱く、個人消費は力強さを欠いた状況が続きました。また、世界経済では米国、中国やEUの動向もあり不透明感が一段と高まりました。そのような中、国内旅行市場におきましては、平成28年1月~12月の訪日外国人数が前年比21.8%増の2,403万9千人と過去最高を更新いたしました。
このような環境下、当社グループは平成27年5月に掲げました中期経営計画「共立フルアクセル・プラン」の実現に向け、開発投資や、収益力の強化に邁進してまいりました。また、当社の事業と親密性が高い「大学箱根駅伝」への協賛や各種IRイベントへの出展等により、引き続き企業認知の向上にも努めてまいりました。
当期は寮事業が安定的に利益を伸ばしたことに加え、ホテル事業におきましては新規オープンした8棟の開業準備費用の発生の影響もありましたが、インバウンドの増加もあり高稼働、高客室単価にて好調に推移した結果、大幅な増益を実現いたしました。
この結果、売上高は135,828百万円(前期比0.6%増)、営業利益は11,815百万円(前期比15.3%増)、経常利益は11,514百万円(前期比17.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,135百万円(前期比19.5%増)となり、前期実績を上回り、さらに中期経営計画の利益目標を早期達成し過去最高益を更新いたしました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 寮事業
寮事業におきましては、期初稼働率98.3%(前年比1.0ポイント増)と好調にスタートし、一年を通して堅調に推移したほか、コストの適正化が功を奏し大幅な増益に繋がりました。
学生寮事業は、進学率の上昇や海外からの留学生の増加等により高いニーズが継続いたしました。当期は新たに東京工業大学様ほか7校の大学様との提携を実現いたしました。一方で、全国での予備校生数の減少の影響もあり、当社学生寮の契約数は20,420名(前期比154名減)、売上高は25,280百万円(前期比0.4%減)となりました。
社員寮事業は、雇用環境の改善が引き続き追い風となったほか、企業様による寮制度の導入が増加したことなどにより、大幅に契約数が増加いたしました。この結果、当社社員寮の契約数は10,833名(前期比835名増)、売上高は12,108百万円(前期比7.2%増)となりました。
ドミール事業は、ワンルームマンションタイプ寮として、提携学校・提携企業様からの入居斡旋紹介はもちろんのこと、食事付き寮からの住み替え需要等に対応し、契約数は5,221名(前期比304名増)、売上高は4,430百万円(前期比6.4%増)となりました。
受託寮事業は、企業・学校様が保有している寮を受託請負により管理運営する事業でありますが、「日本一の下宿屋としての運営力」により差別化をはかって展開しており、売上高は3,824百万円(前期比7.7%増)となりました。
以上の結果、寮事業全体では事業所数は465ヶ所(前期比10ヶ所増・受託除く)、定員数は37,040名(前期比864名増)、売上高は45,644百万円(前期比2.8%増)となり、営業利益は7,243百万円(前期比10.2%増)となりました。
② ホテル事業
ホテル事業におきましては、国内旅行者やインバウンドの需要が引き続き増加したことに加え、リピーター様に定宿としてご好評いただき、前期を上回る高稼働にて推移し、客室単価の上昇もあり収益を大きく押し上げました。
ドーミーイン(ビジネスホテル)事業は、当期に「天然温泉 天都の湯 ドーミーイン網走」、「global cabin 五反田」、「天然温泉 富山 剱の湯 御宿 野乃」、「天然温泉 善光の湯 ドーミーイン長野」、「伝馬の湯 ドーミーインPREMIUM東京小伝馬町」、「天然温泉 花風の湯 御宿 野乃なんば」、「Dormy Inn SEOUL Gangnam(カンナム)」の7棟がオープンいたしました。「global cabin 五反田」はカプセルホテルの合理性、ドーミーインの快適性、プライベート空間を確保した新しい概念のキャビンタイプホテルとなっており、お客様の多様化するニーズに対応してまいりました。ドーミーイン事業におけるインバウンドのお客様の数は前期比25%増となりました。この結果、売上高は32,316百万円(前期比13.2%増)となりました。
リゾート(リゾートホテル)事業は、当期に「鳴子温泉 湯元 吉祥」がオープンいたしました。前期に箱根山の噴火警戒レベル引き上げによる影響を受けた箱根地区の事業所が、例年を上回る稼働率にまで回復したことなどが寄与し、全体でも前期を上回る高稼働にて推移いたしました。また、個別稼働状況に応じた柔軟な人員配置をすることにより、コスト管理を徹底いたしました。この結果、売上高は28,091百万円(前期比12.9%増)となりました。
以上の結果、ホテル事業全体では、事業所数は86ヶ所(前期比8ヶ所増)、客室数は12,716室(前期比1,121室増)、売上高は60,408百万円(前期比13.1%増)、営業利益は6,931百万円(前期比15.4%増)となりました。
③ 総合ビルマネジメント事業
総合ビルマネジメント事業は、建物管理や建設工事の案件増加に伴い増収増益となりました。この結果、売上高は15,953百万円(前期比7.4%増)、営業利益は518百万円(前期比1.9%増)となりました。
④ フーズ事業
フーズ事業では、ホテルレストラン受託事業の案件増加に伴い増収増益となりました。この結果、売上高は6,498百万円(前期比12.3%増)、営業利益は53百万円(前期に比べ58百万円増益)となりました。
⑤ デベロップメント事業
デベロップメント事業では、ホテル開発の受注増加に伴い大幅な増収増益となりました。この結果、売上高23,007百万円(前期比41.0%増)、営業利益946百万円(前期比39.7%増)となりました。
⑥ その他事業
その他事業は、シニアライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、PKP事業(自治体向け業務受託事業)、単身生活者支援事業、保険代理店事業、総合人材サービス事業、融資事業及び事務代行業であります。これらの事業の合計は、売上高は11,172百万円(前期比5.2%減)、営業損失は404百万円(前期は営業損失212百万円)となりました。営業損失の主な要因は、シニアライフ事業における新規事業所開設の影響によるものです。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ10,750百万円減少し、14,853百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、売上債権の減少及びたな卸資産の減少の影響により、前連結会計年度に比べ6,190百万円収入が増加し、14,412百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、有形固定資産の取得による支出及び敷金及び保証金の差入による支出の影響により、前連結会計年度に比べ14,292百万円支出が増加し、28,263百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、長期借入金の返済による支出及び社債の発行による収入の影響により、前連結会計年度に比べ12,569百万円収入が減少し、3,139百万円の収入となりました。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
寮 |
45,644 |
2.8 |
|
学生寮 |
25,280 |
△0.4 |
|
社員寮 |
12,108 |
7.2 |
|
ドミール |
4,430 |
6.4 |
|
受託寮 |
3,824 |
7.7 |
|
ホテル |
60,408 |
13.1 |
|
ドーミーイン事業 |
32,316 |
13.2 |
|
リゾート事業 |
28,091 |
12.9 |
|
総合ビルマネジメント |
15,953 |
7.4 |
|
オフィスビルマネジメント事業 |
4,362 |
△3.5 |
|
レジデンスビルマネジメント事業 |
11,590 |
12.1 |
|
フーズ |
6,498 |
12.3 |
|
デベロップメント |
23,007 |
41.0 |
|
報告セグメント計 |
151,512 |
12.4 |
|
その他 |
11,172 |
△5.2 |
|
調整額 |
△26,856 |
- |
|
合計 |
135,828 |
0.6 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業以来「顧客第一」を原点に、ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じ、広く社会の発展に寄与することを経営方針としております。「お世話する心」を持った「現代版下宿屋」を事業の中核に人々の生活におけるあらゆる問題解決を企業指針とし、お役に立てるサービスの質の向上と発展を目指してまいりました。そして、今後さらに具体的な事業戦略として「中核事業である寮事業のさらなる拡大展開と収益力再強化」「次世代の収益の柱となるホテル事業の基盤強化と拡大」「第3の柱となる新規事業の早期確立」を実践し、企業体質を強化してサービスの向上に努め、顧客・取引先・地域社会の皆様により一層貢献すべく努力をいたします。
(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
前中期経営計画である「共立フルアクセル・プラン」(平成27年度~平成29年度)においては、“攻めの3年間“と位置づけ、短期集中型の中期経営計画を策定し着実に実行してまいりましたが、定量目標として掲げていた平成30年3月期における「営業利益110億円」及び「経常利益100億円」については、ともに平成29年3月期をもって1年前倒しでの達成となりました。
昨今の当社を取り巻く経営環境に目を向けますと、訪日外国人の旅行者数が平成28年に過去最高に達し増加し続ける中、平成32年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて更なる増加が予想されることに加えて、スーパーグローバル大学制度導入に伴う指定大学による留学生の受入れ強化などが強く求められております。
一方で、英国のEU離脱問題に代表されるように世界情勢の不確実性は高まっているほか、わが国においては建築費の高騰や労働力不足等の障壁が出現するのみならず、当社基幹事業である寮事業やホテル事業への他業態からの新規参入も見受けられるなど、事業環境に大きな変動が予想されます。
このような課題のある中、“100年企業”を標榜する当社が持続的な成長を実現するためには、これまで培った強みを継承しつつ、将来の環境変化にも打ち勝つ強固な事業基盤を早期に構築する必要があると認識し、先行的開発を骨組の一つとする中期経営計画を策定しました。
中期経営計画「Kyoritsu Jump Up Plan」骨子
1.基本方針
① 顧客満足度の向上
顧客満足度向上に繋がる商品・サービスを創造し、お客様の当社への評価を高め、さらなる信頼を得る。
② 開発の先行的実施
事業拠点を拡大し、磐石な基盤を構築する。
2.期間 平成29年4月~平成34年3月
3.定量目標 5年間の年平均成長率10%
① 平成34年3月期 売上高2,200億円、営業利益190億円
ネットDER:財務健全性の目処となる1.0倍以内
配当性向 :最終年度における配当性向を20%超とするべく、漸次水準切り上げ
ROE :10%以上を維持
② 開発投資(5ヶ年計)
開発投資額 :1,400億円
③ 平成34年3月期末における想定財務数値
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ネットDER |
= |
ネット有利子負債残高 |
= |
930億円 |
= |
0.9倍 |
|
純資産 |
1,030億円 |
(3)目標とする経営指標
当社グループは、持続的成長と収益性及び資本効率向上の尺度として、連結ROE(自己資本利益率)を経営における重要な指標と位置づけており、その向上に努めることを目標としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)売上高状況
当社グループの主力事業である寮事業につきましては、下宿屋としての心を持って管理運営を行い、入居される方々には自宅と同じようなくつろぎの中で生活をしていただくことをモットーに事業を展開してまいりました。そして、学校様とは提携を結び自校の学生寮としてご利用していただき、企業様とは社員様の数の増減に合わせて必要な時、必要な部屋数だけを社員寮として契約いただくシステムを採用しております。これら、ほとんどの事業用土地・建物は地主様との賃借契約により開発しているため、上記のようなきめ細かな対応にかかわらず、学生寮では大口の学校様における指定寮扱いの解消、社員寮におきましては、リストラ等の進展に伴う大口契約企業様の一括解約等が生じ、大きな空室が発生した場合そのリスクは当社に帰属いたします。
ホテル事業におきましては、ドーミーイン(ビジネスホテル)事業は長期滞在者を受け入れることやソフト・ハード面での他社との差別化により稼働が大きく左右されない仕組となっておりますが、景気動向による法人需要の低迷等により影響を受ける可能性があります。また、リゾート(リゾートホテル)事業におきましては、景気動向や天候不順、台風などの気象状況や地震の発生により、本来大きな売上を見込んでいる時期の業績が伸び悩んだ場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
フーズ事業におきましては、外食店舗は個人需要の低迷等により、またゴルフ場レストラン・受託食堂につきましては、受託先となっているゴルフ場及び企業様との受託契約が解約された場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(2)財務状態
当社グループは、持続的な成長の証として、グループ中期経営計画を推進しておりますが、この中では寮事業やホテル事業の開発が不可欠な要素となっております。開発に際しては会社全体の財務バランスを勘案しながら様々な財務手法を活用し、安全かつ最大限の効果を生むべく進めておりますが、不動産市場の停滞、資産価値の乱高下、既存開発資産の極度なキャッシュ・フローの低下、金融情勢の悪化等により開発が計画どおりに進まなかった場合、業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制・品質管理
当社グループの取扱う商品、サービスの提供にあたっては、食品衛生法の規定による衛生管理、個人情報保護法、旅館業法や消防法による安全管理等様々な法的規制・指導のもと、安全性が強く要請されております。当社グループにおいてはコンプライアンス体制、リスク委員会、社内統制システムにより法令厳守や実施状況の確認チェックを定期的に行っておりますが、万一不測の事態により食中毒・個人情報漏洩等が発生した場合、当社グループの社会的信用を傷つけ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)「減損会計」の適用について
平成14年8月9日付で企業会計審議会から「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」が公表され、それを踏まえて平成15年10月31日付で(財)財務会計基準機構・企業会計基準委員会から「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(適用指針第6号)が公表されております。これに対応して、当社グループが所有する有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産並びにリース資産において、急激な経済情勢の変化や金融情勢の悪化等により事業の恒常的なキャッシュ・フローの将来にわたる収益性の著しい低下が認識された場合、「減損会計」処理を適用し業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)重要な契約
当社グループの重要な事業施設である、寮事業所及びホテル事業所につきましては、主として建物所有者から契約期間10年~20年の長期賃借契約により一括賃借しており、一部の長期賃借契約には相互に中途解約が不可能なものがあり、当該事業所における稼働・収益が著しく悪化した場合には、当社の業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、平成29年3月末現在の中途解約が不可能な事業所は54棟あり、解約不能未経過賃借料残高合計は58,406百万円であります。
(6)有利子負債への依存及び金利動向の影響
当社グループは、事業資金について自己資金のほか、金融機関からの借入等により調達しており、総資産のうち有利子負債の占める比率は平成29年3月期末において41.4%となっております。当社グループとしましては、自社所有物件の一部について当社の管理運営・賃借契約付運用物件として投資家に売却する等の手法を活用して有利子負債依存度の低下を図っております。また、平成29年3月期末における固定金利調達割合は88.5%であり、金利上昇局面における短期的な影響を限定的なものにしております。しかしながら、将来長期的に金利が上昇し、資金調達コストが増加した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
「4 事業等のリスク (5)重要な契約」をご参照下さい。
当社は、メニュー開発、新商品・新サービスの開発及びお客様のニーズを的確に把握するために、研究開発活動を行っております。
現在、研究開発は当社のフーズ開発部により、推進されております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、225百万円であります。
当連結会計年度における主要課題及び研究開発は、寮事業所及びホテル事業所での食事の新規メニュー開発と季節メニュー開発を行っております。なお、研究開発費については、専用厨房において製品の試作研究開発を一元的に行っているため、各セグメントに分配できません。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照下さい。
(2)経営成績の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」をご参照下さい。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」をご参照下さい。
(4)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、173,609百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,206百万円の増加となりました。主な要因は、土地及び建設仮勘定の増加などによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、109,289百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,861百万円の増加となりました。主な要因は、社債の増加及び借入金の減少などによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、64,320百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,345百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金の増加などによるものであります。
この結果、自己資本比率は37.0%となり、前連結会計年度末に比べ1.1ポイントの増加となりました。
(5)キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照下さい。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。