第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当連結会計年度の経済及び情報サービス産業における経営環境は以下のとおりです。

国内及び海外の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状況にありましたが、下期以降は厳しい状況が緩和される中で基調としては持ち直してきています。また、景気の先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会が正常に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、更に持ち直していくことが期待されますが、下期の後半におけるウクライナ情勢等による不透明感や変異株をはじめとする新型コロナウイルス感染症の拡大による、金融資本市場の変動等の影響及び経済への影響等に十分注意する必要があります。

国内の情報サービス産業においては、新型コロナウイルス感染症の拡大による社会情勢の変化への対応のためIT投資の重要性が高まり、既存システムの更新・刷新需要の復調やデジタルトランスフォーメーションの取り組み加速等を受けて、市場は改善をみせています。また、変異株をはじめとする感染症の拡大に伴うお客様企業におけるIT投資の抑制が懸念されるものの、好調な需要環境が継続し、2022年度以降についても改善が続くことが期待されます。

海外の情報サービス産業においては、新型コロナウイルス感染症の拡大による社会情勢の変化への対応に加え、景気回復や成長に向けたデジタルビジネスが拡大しています。今後も各業種におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組みが更に加速していくことが期待されますが、一方で、欧州地域を中心としたウクライナ情勢によるお客様企業への影響や、変異株をはじめとする感染症の再拡大が懸念されるため、十分に注視する必要があります。

また、IT市場における競争環境は激化しており、様々なプレイヤーが社会・テクノロジーの変化に合わせてサービス・ラインナップを拡大させる中、当社がお客様へ貢献し続けるために、更なるグローバルレベルでの事業競争力強化の必要性が高まっております。

 

[前中期経営計画の振り返り]

当社グループは、「信頼されるブランドの浸透」により2025年のGlobal 3rd Stageにおいて、Global Top 5として世界のお客様から信頼される企業をめざしています。
 前中期経営計画(2019年度~2021年度)は今後の成長力の源泉となる強みを明確化して徹底的に磨き、実行していく期間として、「変わらぬ信念、変える勇気によってグローバルで質の伴った成長」を推進し、前中期経営目標として「連結売上高2.5兆円」、「顧客基盤80社以上」、「連結営業利益率8%」、「海外EBITA率7%」(注1)の達成をめざしてきました。
 
・変える勇気
 「変える勇気」として、デジタルへの取り組みの更なる加速とグローバルシナジーの最大化によるお客様への提供価値最大化をめざし、以下の4つの戦略を実行してきました。

 

戦略1:グローバルデジタルオファリング(注2)の拡充

「グローバルマーケティングの加速」、「積極投資によるオファリング創出」では、「グローバルマーケティングの加速」で定めた注力インダストリーに対して「積極投資によるオファリング創出」に取り組むことで、複数の商用化オファリングを創出し、その一つである生保BPaaSでは2020年度に引き続き、北米で大型案件を受注しました。
「技術集約拠点(CoE(注3))の拡充」ではBlockchain、Digital Design、Agile/DevOps(注4)、AI等の7分野のデジタルの技術・知見の共有や展開をグローバルで推進しています。

 

戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化

国内では、官公庁や金融機関、法人のお客様における基幹システム等、複数の大型案件を受注しただけでなく、国庫金キャッシュレスサービス等の分野・業界を跨いだ社会課題の解決や新しい社会のしくみづくりにつながるサービスを創出しています。また、北米やEMEA・中南米においても、大手サービス企業のデジタルパートナー案件や、鉄道会社のMaaSプラットフォーム案件等、複数年のデジタル大型案件の受注につながりました。

 

 

戦略3:グローバル全社員の力を高めた組織力の最大化

デジタル活用人財強化のための研修プログラムやADP制度(注5)・TG制度(注6)等の人事制度の活用に加え、2021年度には人財の多様化に向け、ジョブ型雇用の拡大や女性活躍を推進し、人財の拡充や社内風土及び意識の変革を進めてきました。

また、コンテンツやノウハウを社内で共有するためのデジタルナレッジシェアをグループ会社にも展開するなど、デジタルを活用した働き方の変革を推進してきました。
 
 NTTグループ連携の強化

NTTグループの共創案件の参画では、オーストラリア ビクトリア州の交通システムを支えるチケットシステム「myki」の構築・運用・支援に参画し、NTT Smart SolutionsによるAIを活用したリアルタイム混雑状況把握などのデジタル事例に貢献しました。
 また、IOWNを活用したデジタル社会変革創造では、2020年度に立ち上げたIOWN推進室を中心に社内からIOWN成果活用可能な事業構想を収集し、データ連携基盤構想など、IOWN技術活用に向けた基盤的取り組みを推進しています。


 上記に加え、前中期経営計画の完遂に向けては重要経営課題である「不採算案件の抑止」、「海外事業の収益性改善」に重点的に取り組みました。

「不採算案件の抑止」では、プロジェクト審査委員会等の取り組みに加え、1.リスクへの早期対応強化、2.現場力の更なる強化、3.管理プロセス強化、4.ナレッジの更なる蓄積と活用の4つの施策に取り組むことで不採算案件を大幅に減少させ、営業利益の確保に貢献しました。

海外事業の収益性改善」では、北米とEMEA・中南米における事業構造改革の成果により、EBITA率の改善とデジタルビジネスの拡大が進んでおります。

 

・変わらぬ信念

「変わらぬ信念」として、当社の企業理念「情報技術で、新しい『しくみ』や『価値』を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」を根底に、「NTTデータのESG経営」として、ESGの考え方を明確にし、経営戦略に織り込むことで、事業と企業活動を通じてSDGsの達成に貢献するとともに、企業価値を持続的に向上させています。
 
 また、主な活動実績として、2019年3月国連グローバル・コンパクトとUnited Nations Entity for Gender Equality and the Empowerment of Womenが女性の活躍推進に積極的に取り組むための行動原則を示した「WEPs」の趣旨に賛同し、同原則に基づき行動するためのステートメントに署名しました。2020年6月には、持続的な企業価値向上に向けてコーポレート・ガバナンス態勢のいっそうの充実を図るため、監査等委員会設置会社へ移行しました。更に2021年10月、カーボンニュートラルへの社会的な要請の高まりをうけて、グリーンイノベーション推進室を新設し、お客様や業界のCO2削減を推進し、脱炭素化社会の実現に貢献しました。
 これらの取り組みにより、前中期経営目標である「連結売上高2.5兆円」、「顧客基盤80社以上」、「連結営業利益率8%」(注1)を達成しました。「海外EBITA率7%」(注1)については新型コロナウイルス感染症影響による一時的な遅れがありましたが、北米では達成しました。 

 

[前中期経営計画における課題]

前中期経営計画(2019年度~2021年度)では、グローバルで質を伴った成長をめざし、海外事業の収益性改善とデジタルへの取り組みの更なる加速を推進してきました。

海外事業の収益性改善については、事業構造改革の成果により北米が2021年度にEBITA率7%を達成しました。しかしながら、国内事業に比べると未だ収益性が低く、海外事業の更なる成長に向けて、引き続き収益性改善とデジタルシフトの推進に取り組んでいく必要があると認識しております。

デジタルへの取り組みの更なる加速では、グローバルオファリングによるグローバルビジネスの拡大や各リージョンにおける様々なデジタルビジネスの獲得など様々な成果を創出することができました。

一方で、社会課題の解決・地球環境の貢献に向けてデジタルトランスフォーメーションは加速しており、更なる競争力の強化に向けた取り組みが必要と認識しております。

Global 3rd Stageに向けては、海外事業の質を伴った成長とデジタル領域における競争力の強化が継続課題であり、加えて、世界的に人財獲得競争が激化していることを踏まえ、多様な人財が長期に活躍できる環境・文化へ変革していくとともに、真のグローバル企業へと成長していくことが課題であると認識しております。

 

[新中期経営計画]
 上記のような経営環境及び課題を踏まえ、当社グループは2022年度~2025年度の新中期経営計画を以下のとおり策定しました。

 

1.基本方針
 Trusted Global Innovatorとして、未来に向けた価値をつくり、様々な人々をテクノロジーでつなぐことでお客様とともにサステナブルな社会を実現することをめざしていきます。

 
2.中期戦略
 お客様事業の成長を支え、お客様とともにサステナブルな社会を実現していくために、これまで培ってきた顧客理解と高度な技術力でシステムをつくる力と、様々な企業システムや業界インフラを支え人と企業・社会をつなぐ力を更に高めていきます。

具体的には、業界・技術のフォーサイトを起点とした変革提案と、高いアジリティを実現するアセットベースの価値提供により、経営変革・事業変革の構想策定から実現まで、End to Endの対応力を強化していくとともに、様々なモノやデータをつなぐEdge to Cloud サービス(注7)により、業界を超えて企業をつなぐ業際連携を実現し、企業・業界の枠を超えた新たな社会プラットフォームや革新的なサービスの創出をめざしていきます。

これらの取り組みをグローバル全体で推進していくため、NTTグループ傘下のNTT株式会社(以下、NTT, Inc.)と海外事業を統合し、ITとConnectivityを融合したサービスをトータルで提供する企業へ進化していきます。コンサルティングやアプリケーション開発に留まらず、Connectivity領域までを含むデジタルトランスフォーメーションに必要なサービスラインナップを一元的に整備し、複雑化・多様化するお客様のニーズにグローバルレベルで対応していきます。

 


 

戦略1.ITとConnectivityの融合による新たなサービスの創出
 NTTグループとの更なる連携強化により、Edge to Cloud(注7)のサービス提供力を強化していきます。幅広い業界にシステムを提供する強みと組み合わせ、様々な顧客接点やデータをセキュアにつなぎ合わせることで、企業・業界の枠を超えた業際連携を実現し、新たな社会プラットフォームや革新的なサービスを創出していきます。
 国内においてはソーシャルデザイン推進室を中心に各分野間の連携を強化し、海外ではSmart City(注8)分野や5G関連のビジネスを中心として、業際連携ビジネスの創出・拡大に取り組んでいきます。

 

戦略2.フォーサイト起点のコンサルティング力の強化
 各分野にコンサルティング専門組織を立ち上げるとともに、お客様や業界の未来(フォーサイト)を構想する方法論の整備とその実践の支援、コンサルティング人財の育成等、分野を横断的にサポートする機能を設置します。加えて、世界各地の業界・業務のスペシャリストが持つ様々な知見を集めて活用するネットワークを立ち上げます。これらの取り組みにより、お客様・業界の未来を構想するインダストリーコンサルティング力と、テクノロジー起点で未来を構想するテクノロジーコンサルティング力を強化し、共創パートナーとしてお客様の成長を支え、ビジネス変革を実現していきます

 
戦略3.アセットベースのビジネスモデルへの進化
 業界・業務のフォーサイト・ベストプラクティス、ソフトウェア、自社ツール等、お客様に提供できる価値を再利用可能な状態で集約化し、それらを活用したコンサルティングから、デリバリー・マネージドサービス(注9)をグローバル全体で推進していきます。これまでの受託SIを主体としたビジネスモデルから自ら提案・発信するビジネスモデルへと変革し、デジタル時代にふさわしいビジネスアジリティを備え、お客様への提供価値を最大化していきます 

 また、戦略2、戦略3における取り組みを全社横串で連携させ変革を加速していくために、社長直轄の本社組織として「コンサルティング&アセットビジネス変革本部」を2022年7月に設置します。

 

 戦略4.先進技術活用力とシステム開発技術力の強化
 Emerging、Growth、Mainstreamの技術の成熟度に応じた3つ領域における活動を推進し、未来の競争力獲得に向けた先進技術活用力の強化と生産性の向上に向けたシステム開発技術力の強化を両輪で進めていきます。
 (Emerging領域)
 先進技術に対する感度が高い世界7カ国にInnovation Centerを立ち上げ、各地域にチームを組成し、イノベータ顧客との共創R&Dを実施することで、未来の競争力獲得に向けた技術やノウハウを獲得していきます。
 (Growth領域)
 前中期経営計画で取り組んだCoE活動を発展させたCompetency Centerの施策に基づき、今後成長が見込まれる技術のビジネス仮説の立案検証、認知度拡大、プリセールス・デリバリ支援を推進し、次の注力技術領域を育てていきます。
 (Mainstream領域)
 グローバルビジネスの拡大に向けて、テクノロジーの注力領域を定め、主流となるグローバルテクノロジーのアセット開発・展開を推進していきます。

 

 戦略5.人財・組織力の最大化
 グローバルで最先端技術が学べる育成システムや、高い専門性に応じた処遇の実現等、社員の自律的な成長を促す制度を整備するとともに、業務の特性等に応じて働く時間と場所を柔軟に設定できる環境を実現することで、ダイバーシティ、エクイティ & インクルージョン(注10)を推進し、従業員エンゲージメントを向上していきます。
 多様な人財一人ひとりが自分自身を表現し、活躍できる組織機能・カルチャーを持った、働く人にとって魅力的な企業へと変革し、各戦略の実行を支える人財・組織力を最大化するとともに、将来にわたっての企業価値を高めていきます

 

事業成長に向けたグローバル連携機能の強化と戦略投資
 これらの5つの戦略を支える仕組みとして、グローバルを前提としたMarketing、Innovation、Governanceの機能を強化し、事業環境の変化に迅速に対応していくとともに、投資と成長の好循環を確立し、Global 3rd Stageに向けた事業成長を実現していきます。
 具体的には、Industry、Technologyの注力領域に加え、サステナビリティやIOWN(注11)といった社会変革を実現するテーマに対する投資枠を新設し、将来のビジネス創出に向けた戦略的な投資をグローバル全体で推進していきます。 

 

サステナビリティ経営

上記のような経営環境のとおり、社会を取り巻く環境は日々大きく変化しています。当社は、この大きな変化の局面を更なる成長の機会と捉え、これまでのESG経営の取り組みを拡大し、長期的な視点を持ったサステナビリティ経営として推進していきます。
 新中期経営計画では、「Realizing a Sustainable Future」というスローガンのもと、以下の3つの軸を定め、9つのマテリアリティを設定しました。
 
「Clients’Growth サステナブルな社会を支える企業の成長」
「Regenerating Ecosystems 未来に向けた地球環境の保全」
「Inclusive Society 誰もが健康で幸福に暮らせる社会の実現」
 
 これらマテリアリティを元に、企業活動と事業活動を通じてサステナブルな社会の実現に取り組んでいきます。 

なお、サステナビリティ経営の推進に向けて、2022年7月に非財務指標を中心とした事業戦略を統括するサステナビリティ経営推進部を設置します。

 

NTTデータの企業理念「情報技術で、新しい『しくみ』や『価値』を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」は、大きな変化を迎える時代においても、当社の存在意義そのものです。今後もこの企業理念のもと、当社は未来に向けた価値をつくり、様々な人々をテクノロジーでつなぐことでお客様とともにサステナブルな社会を実現していきます。

 


 

3.新中期経営目標※1
   連結売上高 4兆円超
   連結営業利益率※2 10%
   海外EBITA率※2 10%
   顧客基盤※3     120社

※1 当社とNTT, Inc.との事業統合を前提とした数値。なお、NTT, Inc.の業績予想値については、現時点で把握可能かつ一定の前提に基づく数値。

※2 M&A・構造改革等の一時的なコストを除く

※3 年間売上高50億円以上(日本)、もしくは50百万ドル以上(日本以外)のお客様

 

(注1)
前中期経営計画の目標値は以下の前提でのものとなります。
顧客基盤の対象は、年間売上高50億円以上(日本)、もしくは50百万ドル以上(日本以外)のお客様となります。
・連結営業利益率及び海外EBITA率は、M&A・構造改革等の一時的コストを除いたものとなります。

 

(注2)デジタルオファリング
最先端技術を活用してお客様へ提供する商品・サービス等のことです。

 

(注3CoE(Center of Excellence)
高度な研究・開発活動を行い、人財及び事業の創出・育成の中核となる拠点のことです

 

(注4)DevOps
開発チームと運用チームが連携してシステムに対するお客様要求に高品質・柔軟・短期間に対応するために、ツールや開発手法等で構成される仕組みのことです

 

(注5)ADP(Advanced Professional)制度
AI、IoT、クラウドなど先進技術領域やコンサルティングの領域において卓越した専門性を有した人財を外部から市場価値に応じた報酬で採用する制度です

 

(注6)TG(Technical Grade)制度
専門的スキルを持つ人財の潜在能力を最大限に活かして評価する制度です

 

(注7)Edge to Cloudサービス
IoT端末やスマートデバイス、その近くに設置されたサーバでデータ処理・分析を行うエッジコンピューティングと、データを集中管理・処理するクラウドコンピューティングを組み合わせたアーキテクチャのことです。
 
(注8)Smart City
IT技術をインフラ等の運用に活用する次世代型の都市のことです。
 
(注9)デリバリー・マネージドサービス
ITサービスに付随するハードウェア、ソフトウェア等の導入などの環境構築から管理運用までを一体型で提供するサービスのことです。

 

(注10)ダイバーシティ, エクイティ & インクルージョン

持続可能な社会の実現のために取り組むべき多様性、公平性、包摂性のことです。
 

(注11)IOWN
Innovative Optical and Wireless Networkの略称で、光を中心とした革新的技術を活用した、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤のことです。

 

 

2 【事業等のリスク】

[方針]

当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、リスクの発生頻度や経営への影響を低減していくため、2002年に全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を置くとともに、リスク管理部門及び各部門とグループ会社にCRO・リスクマネジメント推進責任者を配置し、主体的・自主的に対応できる体制を整備しています。

また、重要リスク項目を取締役会において毎年設定し、原則年2回実施する内部統制推進委員会において各主管組織の策定した各重要リスク項目の取り組み計画を報告し、その取り組みの評価・振り返り等を行い、その結果は取締役会に報告しています。

なお、当社グループは、多岐にわたるお客様・業界に対し世界中で様々なサービスを提供しており、各事業により事業環境が大きく異なります。そのため、当社取締役会は事業本部長等へ大幅な権限委譲を図ることで、お客様との関係や市場環境等に関連するリスクを適切に把握し、迅速に対応することを可能としています。

 


 

 


 


 

[個別のリスク]

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業計画の達成、存立基盤に重大な影響を与える可能性のあるリスクには以下のものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。

 

(特に重要なリスク)

(1)システム開発リスク

 [リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの主力事業であるシステムインテグレーション事業では、一般に請負契約の形態で受注を受けてから納期までにシステムを完成し、お客様に提供するという完成責任を負っています。
 そのため、契約内容の曖昧性等による当初想定していた見積りからの乖離や、開発段階に当初想定し得ない技術的な問題、プロジェクト管理等の問題が発生し、原価増となることがあります。
 不採算案件が発生した場合、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があり、特に重要なリスクであると認識しています。

[リスクへの対応策]

システムの完成責任を全うするため、お客様・業務・技術のいずれかに新規性のある大規模案件を対象に当社内の第三者組織による提案準備段階における提案内容の実現性確認・契約内容の明確化等のリスクへの早期対応、受注時計画や原価見積の妥当性審査と納品までのプロジェクト実査を行っています。更に、お客様・業務のいずれかに新規性のある一定以上の規模の案件はグループ会社の案件も含めて「高リスク案件」として選定し、進捗や課題の状況、リスクとその軽減策を定期的に把握・管理するなど、不採算案件の抑制に努めています。

 

(2)出資・M&Aに関するリスク

 [リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、新技術やソリューション、開発リソースの獲得及び戦略的パートナーシップの構築等を目的とし、国内外の企業・組織への出資を実施しています。また、Global 3rd Stageの達成に向けてはM&Aを重要な手段の一つと捉え、グローバル成長の推進力としてM&Aを活用しています。M&Aの実施にあたっては、当社グループと共通の価値観・親和性を持っていることを最重要視し、主にGeography(重点地域)、Offering(サービス提供力)の観点から、当社グループとのシナジー効果の実現性の見極めを実施しています。
 しかしながら、特に海外の出資先において法的規制、税制、商習慣の相違、労使関係、各国の政治・経済動向等の要因により、当社グループの適切なコントロールが及ばず事業運営を円滑に行うことが困難となった場合や出資先に対し当社グループとのシナジー効果を十分に発揮できず売上や利益が想定を大きく下回るなど、期待したリターンが得られなかった場合、のれん等の減損処理を行うなど、当社グループの経営成績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があり、特に重要なリスクであると認識しています。

[リスクへの対応策]

M&Aの意思決定時には、資本効率性を意識した投下資本利益率(ROI)等の指標を用いた投資対効果の評価や、第三者評価による財務健全性の評価等を判断要素としています。

特に重要なリスクと認識している、当社グループの適切なコントロールが及ばず事業運営を円滑に行うことが困難となるリスクについては、出資時の意思決定において、社内ビジネス部門及びファイナンシャルアドバイザ・会計士・弁護士等外部有識者によるビジネス面に着目したデューデリジェンスと、出資先のカントリーリスクを踏まえたコンプライアンスに着目したデューデリジェンスの実施を必須とし、発見された各リスクの検証、対応策を踏まえた意思決定を実施することにより、当該リスクの低減に努めています。
 また、当社グループとのシナジー効果を十分に発揮できず売上や利益が想定を大きく下回るなど、期待したリターンが得られないリスクについては、当社グループとのシナジー創出による買収先会社の継続的成長を重要視し、案件の規模や内容に応じてロングタームインセンティブ(一定期間の勤続に伴う報酬)やアーンアウト(買収価格の分割払い)等のスキームを活用しています。加えて、意思決定時にM&A実施後の統合プロセス(PMI)計画の作成を必須とし、M&A効果の最大化に向けた統合プロセスを早期から実施することにより、当該リスクの低減に努めています。
 当社は連結会計年度末における予期せぬリスクの顕在化を抑制するために、四半期ごとに買収先会社の経営状況、PMIの取り組み状況等のモニタリング及び必要な是正を行っています。

上記のような対応策により、当該リスクが当社グループの経営成績及び財務状況に大きな影響を与えることのないよう、入念な検証及び適切なガバナンス態勢の構築を行うことで、リスクの顕在化防止に努めています。

 

(3)情報セキュリティに関するリスク

 [リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは業務遂行の一環として、個人情報や機密情報を取り扱うことがあります。これらの情報について、サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故のリスクがあります。国内外問わず、最近ではランサムウェアをはじめとする標的型メール、フィッシングによる攻撃や、急速に普及拡大するテレワークやオンライン会議の脆弱性を狙ったサイバー攻撃が急増しています。中でも、高度な標的型のサイバー攻撃として、重要な社会インフラ等を支える企業や政府機関等組織への攻撃を目的として、その取引先を標的にする攻撃手法が活発化しています。当社は自ら社会インフラを提供する企業であるとともに、取引先でもあり、当社にとってサイバー攻撃は特に重要なリスクであると認識しており、顕在化の可能性は日常的にあると認識しています。当該リスクが発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当該リスクを低減するため、当社では、「情報セキュリティ委員会」のもと、情報セキュリティポリシーや個人情報保護方針を制定し、情報技術の進歩や社会情勢の変化外部の脅威動向等を把握し、技術、管理の両面から関連施策の見直しや改善を実施しています。
 サイバー攻撃への備えとしては、防止・検知・対応・復旧のための各種ソリューションの導入、24時間体制の監視運用を行うとともに、インシデント発生時の緊急対応のためのCSIRT組織として「NTTDATA-CERT」を設置し、万一に備えての初動対応訓練等を実施しています。
 

(4)コンプライアンスに関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループはグローバルに企業活動を展開しており、海外事業の拡大に伴い、国内だけでなく、海外の法令を遵守する必要が生じています。各国の法令の中には、当該国内における企業活動について適用されるだけではなく、EUのGDPR(注1)や米国のFCPA(注2)等、当該国の域外においても適用される法令があり、当社グループはこれら域外適用法令も遵守する必要があります。これらの法令に違反した場合は多額の制裁金や当局対応に要する費用の支払いが必要となる可能性があります。この他にも、会計基準や税法、取引関連等の様々な法令の適用を受けています。不正な会計処理やサプライチェーン上における不正や横領等といった法令違反が発生した場合は、当該不正等による損害はもとより、課徴金の支払い等が必要となる可能性があります。
 更に、このような法令違反が発生した場合は、費用の支出といった経済的損失のみならず、社会的信用やブランドイメージが大きく毀損され、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があり、特に重要なリスクであると認識しています。52カ国・地域、約15万人(2022年3月31日現在)で事業運営をしている状況においては、これらのリスクが発生する可能性を完全には否定できません。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、法令違反等のリスクの顕在化を未然に防ぐため、日々の業務活動における基本的規範として「NTTデータグループ行動規範」を制定の上、適法性、財務報告の適正性を確保するための内部統制システムを構築しています。加えて、役員及び社員への教育啓発活動の実施、グループ全社員が利用できる内部通報制度の整備、運用等の取り組みを通じて、グループでのいっそうの企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。

なお、国内においては公務員等への接待贈答の禁止、不適切な接待贈答の禁止、違反時の処分等を規定した「贈収賄・腐敗防止規程」を定め、運用しています。

 

(5)システム運用リスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものがあります。これらにおいて運用中に障害が発生し、システムやサービスが停止すると、お客様業務や一般利用者の生活に多大な影響を及ぼすことがあります。また、顧客データの喪失等の問題が発生した場合には更に影響は大きくなり、場合によっては発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があり、特に重要なリスクであると認識しています。加えて、システムやサービスの運用が滞ることは、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下にもつながります。
 当該リスクが顕在化する蓋然性は高くはありませんが、皆無とは言えません。特に、市販製品の不具合に起因する故障は対応に時間を要する場合もあります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、システムを安定運用し、継続してサービスを提供できるように、障害発生の未然防止と障害発生時の影響極小化の両面から、公知の市販製品の不具合情報や対処策情報の積極的な収集と周知、過去発生した障害の原因分析結果及び再発防止策の社内共有、チェックリストを用いた定期点検、故障発生時の連絡体制の構築や障害発生対応訓練等の様々な活動を実施しています。

 

(6)大規模災害や重大な感染症等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものもあることから、行政のガイドラインに準拠した事業継続のための体制整備や防災訓練のほか、従業員の安否状況確認等を適宜実施しています。
 しかしながら、巨大地震や気候変動、その他の大規模な自然災害等が発生した場合、システムや従業員等の多くが被害を受けることでサービスの提供が困難になり、お客様業務や一般利用者の生活に多大なる影響を及ぼすことがあります。その結果、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下するおそれがあるほか、多額の復旧費用等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
 また、新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症等の発生によって、従業員等の感染や、感染拡大防止のために従業員が出社できなくなること等によってシステムやサービスの提供が困難になる可能性があります。
 これらリスクの発生可能性を正確に見通すのは困難ではありますが、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があると認識しています。

[リスクへの対応策]

被災時における事業継続については、従業員等の安全の確保と事業の継続を目的として、一定の基準を超える災害発生時には事業継続計画を発動し、代表取締役社長を執行責任者とする体制により、臨機応変な対応を行います。また、事業継続性を確保するために、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、オンライン環境の増強を進め、オンラインで可能な業務はオンラインで実施することで、社員や協業者の安全確保を行いながら、確実に事業を遂行します。 
 また、一方では従来以上に、お客様の働き方改革やそれに伴うIT投資、デジタル化のニーズが顕在化する可能性もあり、社会的なインフラを担うシステムやサービスを提供する当社は取り組みを通じて得た、デジタル等先進技術に関するノウハウやインダストリーの知見を最大限活用し、お客様・社会全体のデジタル化への貢献を通じて事業拡大に取り組んでいます。

 

(7)人権対応に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

お客様にとって最適なサービス・ソリューションの提供をグローバルに展開する当社グループは、各国・各地域における法令遵守はもとより、国際基準に適合した適切な企業行動が必要です。とりわけ、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(注3)」に対しては、サプライチェーンを含め適切な対応が重要であり、これらリスクは日常的に顕在化するものです。

当該リスクが発生した場合、経済的損失、社会的信用の低下による当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループは、「NTTデータグループ行動規範」を制定し、社会課題への取り組み姿勢や、社員が事業活動において参照すべき行動を明確に示すとともに、サステナブルな社会をめざし、各国・各地域に存在する様々な人権テーマ、サプライチェーンにおける人権課題への姿勢を示した「NTTグループ人権方針」に沿った企業活動を展開しています。

また、NTTグループとして、「ビジネスと人権に関する指導原則」をもとに、人権デューデリジェンスプロセスを用いて、人権課題の特定、防止、軽減、是正をグローバル規模で進め、人権意識の向上、人権マネジメントの向上に努めています。

 

(8)地政学に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの事業は、日本国内だけではなく、北米やEMEAL(欧州・中東・アフリカ・中南米)等を中心に事業展開を行っています。そのため、世界各国の政治・経済動向や法規制等の変化や、テロや戦争といった国際紛争の発生などにより、お客様に対するシステムやサービスの提供停止、安全保障観点での新たな規制への対応の必要性、サイバー攻撃、必須資材の調達困難、為替の急激な変動等の事象が生じることにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があることから、特に重要なリスクと認識しています。

[リスクへの対応策]

当社グループは、特定のリージョンに依存しない事業ポートフォリオとすることで、各国における政治・経済動向等の変化がもたらすリスクを分散し、事業全体が大きな影響を受けない構造にしています。

また、当社は、関連する組織による社内横断的な体制において、本リスクについて継続的に必要な情報収集を行いつつ、本リスクが発現した場合は派生的に発生する各種リスクへの対応も含め、迅速かつ的確に対処することを可能とする体制を構築しています。

なお、2022年2月以降のロシアのウクライナ侵攻による影響及びリスクについては、社員の安全管理や経済制裁への対応等をはじめとした対策を実施しています。また、事業への中長期的な影響について、引き続き注視、対応します。

 

 

(重要なリスク)

(1)気候変動に関するリスク

[当社グループにおける取り組み・体制等]

・当社グループにおける気候変動への取り組み

気候変動が世界的に深刻化し、世の中の脱炭素の動きも野心的な目標を掲げるフェーズから、削減の実行フェーズに移行しつつあります。

当社グループは、グローバル社会でのネットゼロへの要請の高まりへ対応し、2020年度にTCFDやBusiness Ambition for 1.5℃にも賛同しており、NTTデータCarbon-neutral Vision 2050にて、2040 年度には自社(Scope1~2)のカーボンニュートラル、2050年度にサプライチェーンを含めたネットゼロ(Scope1~Scope3)を目指しています。

2021年度からの削減の実行においては、グリーンコンサルティングサービスの提供や温室効果ガス排出量可視化プラットフォームの提供を開始し、お客様の脱炭素実現の支援を本格化させました。

自社のサプライチェーンを通じた脱炭素の推進に加え、グローバルでお客様や社会のネットゼロに向けたグリーンイノベーションで貢献すべく、2022年3月1日にCDPゴールド認定パートナー(気候変動コンサルティング&ソフトウェアパートナー)、2022年4月1日にはCDP Supply Chainプログラム Premiumメンバーとなり、CDPとともに社会のネットゼロに向けた活動を推進しています。

2021年9月には、ソフトウェアのCO2排出量の削減を目指すGreen Software Foundationに、Steering Member(運営メンバー)として加盟し、ソフトウェア開発におけるグリーン化のグローバルスタンダードの策定や啓発活動に取り組んでいます。

企業活動や事業が環境負荷に与える影響に対して責任を持つことはもちろんのこと、環境問題が当社グループの企業経営及び当社の提供する社会インフラを支える各種システムに与える影響を把握し、対策を講じることが重要だと認識しています。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、Green Innovationを通じ、自社のサプライチェーンの温室効果ガス排出量削減のみならず、お客様や社会のグリーン化へ貢献します。

 

・ガバナンス(気候変動マネジメント体制)

2021年度は、内部統制推進委員会での全社リスクマネジメントにおいても、「気候変動」を重要リスクとして位置づけました。さらに、気候関連リスク・機会については、TCFDのフレームワークに沿った分析・評価を実施し、より長期の気候関連リスク・機会においての対策検討を進めました。

気候変動に関する当社グループの取り組みを主導するため、2020年11月に気候変動アクション推進委員会を設置しました。また、2021年10月1日付で「グリーンイノベーション推進室」をグリーン専任組織として新設し、気候変動アクション推進委員会をリードしながら、当社グループ全体の取り組みを推進しています。

気候変動アクション推進委員会では、委員長である代表取締役副社長執行役員が、気候変動に関する取り組みの最高責任を負っています。2021年10月時点では、気候変動アクション推進委員会内に11のタスクフォースを設置し、各タスクフォースでは、執行役員等がリーダーとして全社横断で関係者含めた取り組みを推進しています。

気候変動アクション推進委員会で協議した内容は取締役会へ報告され、取締役会は重要な経営・事業戦略として議論、方針の決定に加え、気候変動問題への実行計画等について監督を行っています。2022年度には、役員や社員の報酬と連動した気候変動関連のKPIも設定し、目標達成に対する社員や経営層の関与の深化を図っています。

 


 

・戦略(気候関連リスク及び機会に関する戦略)

当社グループは、以下<気候変動シナリオ分析の概要>記載のとおり気候変動シナリオの分析を行い、気候変動に関するリスクと機会による影響を把握して、その結果を中期経営計画(2022年度~2025年度)に取り込むことにより、サステナブルな社会の実現に向け、企業・業界の枠を超えた革新的なサービスの提供をより一層推し進める戦略を遂行しています。

また、当社グループでは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し対応するため、全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を置くとともに、各部門とグループ会社にCRO・リスクマネジメント推進責任者を配置しています。年2回内部統制推進委員会を実施し、リスク低減に関する施策を討議するとともに、有効性に対する評価等を行い、その結果を取締役会に報告しています。

半期に一度最高責任者の代表取締役副社長執行役員が気候変動アクション推進委員長及び環境保護推進委員長として、各々の会議体を通じ、全社リスクマネジメントの中で気候変動および環境全般に関するリスク管理を行っています。また、リスクの内容と顕在化した際の影響、及びリスクへの対応策に関しては表1(気候関連のリスク)をご参照ください。

 

<気候変動シナリオ分析の概要>

当社グループでは、気候変動に関する事業影響を把握し、気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しています。

2021年度は、パリ協定を踏まえて低炭素経済に移行する1.5℃シナリオと、現状予想される以上に気候変動対策が実施されない4℃シナリオを中心に分析を行いました。

1.5℃シナリオでは、カーボンプライシングが導入されるなどの気候変動対策が強化される一方、気候変動の物理的な影響は報告時点(2022年3月末)レベルにとどまり、それ以上の深刻な影響は発生しないと仮定しました。4℃シナリオでは、気候対策は報告年レベルである一方、異常気象の激甚化等の気候変動の物理的な影響が生じると仮定しています。

その結果、当社グループでは、1.5℃シナリオによる持続可能な社会では、社会の移行に伴うリスクと機会の両方が影響しますが、それ以外のシナリオによる社会では、リスクの影響が大きくなる可能性が高いことが分かりました。各シナリオによるリスク・機会は、それぞれの影響度・発生可能性等を考慮し、事業戦略へ反映させています。

※気候変動シナリオの詳細は、サステナビリティレポートをご参照ください。

NTTデータ サステナビリティレポート2021 Databook : https://www.nttdata.com/jp/ja/sustainability/report/

 

[リスクの内容と顕在化した際の影響] 及び [リスクへの対応策]

・リスクと機会

当社グループは、シナリオ分析に基づき、気候関連リスク・機会による事業への影響を評価し、その結果を気候変動戦略として事業戦略に反映することで、気候関連リスクへの対応を進め、また気候関連の機会実現を図っています。

気候関連リスク・機会に関しては短期・中期・長期の時間軸を考慮し、財務的影響への影響度を高・中高・中・低の4段階、発生可能性をほぼ確実・非常に高い・高い・低い、の4段階で評価しています。気候関連リスク・機会の評価は「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」のとおりです。

※各評価項目の詳細は「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」の注記参照

 

表1(気候関連のリスク)

項目

カテゴリー

期間

1

影響度※2

発生可能性

リスクの内容と顕在化
した際の影響

財務上の影響
(想定)

リスクへの対応策

対策費
投資額
 ※4

リスク1

「気候変動」評価が低いことによる評判低下リスク

移行リスク

・ 評判

短期

ほぼ確実

気候変動への対応が遅れることで、海外ESG投資家や国内金融機関からの評価が下がる。仮に海外投資家と国内金融機関からの評価が下がり、株価時価総額が1%下落した場合の株価影響額として試算

株価時価総額

(期末時点)

▲340億円

NTTデータグループのサプライチェーンを通じた脱炭素や、お客様・社会のグリーン化の対応加速に向けた専任組織としてグリーンイノベーション推進室※3を設置し、気候変動アクション推進委員会による活動を推進。グリーンイノベーション推進室による活動費・イノベーション投資額(2022年度〜2025年度累計)を計上

50億円

リスク2

異常気象による災害リスク増加

物理的リスク

・ 急性

短期

中高

ほぼ確実

IPCC第6次報告書の地域毎リスクが高い場所にも拠点があり、ハザードマップ等から様々な対策を講じて、事業継続性を確保している。仮に、台風により、首都圏を中心とする主要なデータセンタの通信等が5日間ダウンした場合の売上影響額を試算

売上影響

▲130億円

データセンタ・オフィス・通信等のBCPを最大限高めている。事業継続性のためのデータセンタ、リモートアクセス・メンテナンス環境等の増強・更改費用(2022年度〜2025年度累計)計上

80億円

リスク3

カーボンプライシングによるコスト増加

移行リスク

・ 規制

長期

中高

ほぼ確実

グローバル社会で2050年までのネットゼロ対応が社会的コンセンサスとなり、企業へも法令等による対応要請が高まる。2022年度〜2040年度までの残存排出量に対し、国際エネルギー機関IEAネットゼロシナリオのカーボンプライスを掛けてコスト影響額を試算

※2022年度~2040年度
 累計 700億円

営業利益影響

▲70億円

※4

省エネによる炭素排出削減、再エネ導入による自社サプライチェーンの脱炭素化を推進。

省エネ対応・再エネ導入等への投資額(2022年度〜2025年度累計)を計上

50億円

 

 

表2 (気候関連機会)

項目

カテゴリー

期間※1

影響度

※2

発生可能性

機会の内容と影響

財務上の影響(想定)

機会実現の対応策

投資額
 ※4

機会1

サステナビリティ関連オファリング創出ニーズ増加

製品

・ サービス

短期

非常に高い

お客様の脱炭素の取り組みが加速し、各種産業におけるサステナビリティ関連ビジネスの拡大および、技術革新によるデジタル技術適用の機会増加を想定。2025年度のサステナビリティ関連の新規オファリング創出による売上高を影響額として試算

2025年度

売上影響

+2,000億円

社会全体や各企業における気候変動の適応と緩和等に貢献する技術開発やサステナビリティ関連オファリングの創出に向けた投資額を計上

320億円

機会2

サステナブルな社会実現のためのコンサルティングサービス増加

製品

・ サービス

短期

中高

非常に高い

各種産業におけるサステナビリティ関連ビジネスの拡大に伴い、コンサルティングサービスの機会増加を想定。当社全体のコンサルティング売上高のうち、サステナビリティ関連のビジネスが占める割合を想定し影響額を試算

2025年度

売上影響

+200億円

サステナビリティ関連のコンサルティング人財創出・育成投資や関連する環境整備等コンサルティング強化施策に関連する投資を計上

40億円

機会3

レジリエントなクラウドへのニーズ増加

製品

・ サービス

短期

非常に高い

台風や局地的豪雨等の異常気象の増加に加え、脱炭素化要請の高まりから共同利用・機器集約による省エネや再生可能エネルギー導入等が進み、レジリエントかつ脱炭素に貢献するクラウドへの移行ニーズが増加すると想定。当社全体のクラウド関連売上の増分を影響額として試算

2025年度

売上影響

+1,500億円

クラウド関連の技術開発やグローバルデリバリセンタ強化などのクラウド関連投資額を計上

190億円

 

 

※1 期間の定義は以下のとおりです。

評価内容

期間

備考

短期

〜2025年度まで

2022年度に2025年度までの短期目標・削減計画を設定・策定済

中期

~2030年度まで

SBT認定の2030年までの中期目標を設定済

長期

~2050年度まで

NTTDATA Carbon-neutral Vision2050として長期目標を設定済

 

 

※2 影響度の定義は以下のとおりです。

評価内容

影響金額

売上高1000億以上、営業利益100億円以上、または株価影響100億以上

中高

売上高100億円以上~1000億円未満、営業利益10億円以上〜100億円未満、または株価影響10億円以上~100億円未満

売上高10億円以上~100億円未満、営業利益1億円以上〜10億円未満、または株価影響1億円以上~10億円未満

売上高10億円未満、営業利益1億円未満、または株価影響1億円未満

 

※3 2022年7月よりサステナビリティ経営推進部として、取り組み範囲を拡大し、グローバル一体での気候変動対応を推進

※4 2022年度~2025年度の累計額

 

・資本配備

新中期経営計画期間(2022年度~2025年度)における気候関連の対策費・投資額の予定は、「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」の「対策費・投資額」のとおりです。(以下再掲)

項目

対策費・投資額

リスク1

「気候変動」評価が低いことによる評判低下リスク

50億円

リスク2

異常気象による災害リスク増加

80億円

リスク3

カーボンプライシングによるコスト増加

50億円

機会1

サステナビリティ関連オファリング創出ニーズ増加

320億円

機会2

サステナブルな社会実現のためのコンサルティングサービス増加

40億円

機会3

レジリエントなクラウドへのニーズ増加

190億円

気候関連投資予定総額

約730億円

 

 

・指標と目標(気候関連リスク・機会の管理指標と目標)

気候関連のリスク管理および機会実現の戦略のために、当社グループで定めている指標と目標はそれぞれ以下のとおりです。

指標カテゴリ

指標・目標・実績等

温室効果ガス排出量

(指標)Scope1~3の各排出量

(目標)温室効果ガス排出量の目標は以下の通りです。

長期:2050年までにネットゼロ(Scope1~3)

中期:2030年までに2016年度比で次の削減を行う。

 Scope1・2 60%減(SBT1.5℃レベル), Scope3 55%減

短期:2025年度Scope1・2   73,000トン削減

(実績)2021年度の温室効果ガス排出量実績に関しては、統合レポートまたはサステナビリティレポートに掲載予定です。過去の実績に関しても、同様に掲載しております。

統合レポート

https://www.nttdata.com/jp/ja/ir/library/ar/
 

サステナビリティレポート Databook
https://www.nttdata.com/jp/ja/sustainability/report/

移行リスク

リスク・機会の財務上の影響(想定)および対策費・投資額

 

物理的リスク

機会

資本配備

内部炭素価格

内部炭素価格(2022年度):6,500円/トンCO2
※NTTグループ統一価格(毎年更新予定)

報酬

気候関連の役員報酬および従業員賞与連動あり。

 

 

(2)人財確保に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの成長と利益は、デジタル技術等の専門性に基づいて顧客に価値を提供する優秀な人財の確保・育成に大きく影響されます。これは当社グループに限らず、協力会社の人財確保状況からも大きな影響を受けます。こうした優秀な人財の確保・育成が想定どおりに進まない場合、事業計画の達成が困難になることや、システムやサービスの提供が困難になることがあります。これによって、お客様業務や一般利用者の生活に多大なる影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があることから、重要なリスクであると認識しています。当該リスクは一定程度予見が可能であり、突発的に顕在化する可能性は僅少であると認識しています。

[リスクへの対応策]

・当社グループに関する対応策
 当社グループは、Group Visionにもあるとおり、より長期的な目線で、「働く一人ひとりの多様性を尊重することによって、グローバルに通用する創造力を培い、刺激し、更に成長させていく」ことをめざしています。

そのような背景から「人財・組織力の最大化」を新中期経営計画(2022年度~2025年度)の成長戦略の一つと位置付け、次の取り組みを進めています。

中長期的なビジネスを担う人財を、質と量を伴って採用・育成しており、デジタル技術の素養のある人財や、グローバルビジネスを推進できる素養のある人財の採用の強化、即戦力となる経験者採用の強化を推進しています。また、先進技術領域や急速に利活用が進むデジタル領域において卓越した専門性を有し、即座に当社ビジネスの拡大・牽引に寄与できる人財を市場価値に応じた報酬で採用するAdvanced Professional制度や専門性による貢献度に応じた処遇を実現するTechnical Grade制度等による人財の確保を推進しています。

育成においては、高度な専門性と変化への対応力を有するプロフェッショナル人財やグローバルで活躍できる人財の育成に注力しており、2022年4月に新たな人財育成基盤OliveOneを導入し、社員の多様な専門性・志向に応じた幅広いコンテンツの整備、学習の設計と獲得スキルの見える化、コミュニティ学習を通じた共創促進と学びあう風土の醸成を今後さらに推進していきます。また、高い専門性に応じた処遇の実現等、社員の自律的な成長を促す制度を整備するとともに、業務の特性等に応じて働く時間と場所を柔軟に設定できる環境を実現することで、Diversity, Equity & Inclusionを推進し、従業員エンゲージメントを向上していきます。

多様な人財ひとり一人が自分自身を表現し、活躍できる組織機能・カルチャーをもった、働く人にとって魅力的な企業へと変革し、各戦略の実行を支える人財・組織力を最大化するとともに、将来にわたっての企業価値を高めていきます。

・協力会社に関する対応策
 協力会社に関しては従来よりパートナー制度を導入し、当社と協力会社との深いパートナーシップを構築することにより、当社のニーズにマッチした、安定的な人材確保に貢献いただいています。具体的には、協力会社をコアビジネスパートナー、ビジネスパートナー、アソシエイトパートナーとして認定し信頼関係を築くとともに、①社長を含む当社の経営幹部と協力会社の経営幹部が対話を行う会の開催による一体感醸成、②当社の方針や成長戦略の共有等を通じたコミュニケーションの深化、③当社のシステム開発標準の研修や新規技術分野のセミナーの開催等による技術情報提供、④生産性向上支援等、様々な共同施策を実施しています。

 また、技術の専門性や当社のビジネス領域の変化に対応し、新たなパートナー会社の追加や見直しをしています。

 さらに、DX領域の人財については主管する推進組織を中心に協力会社と強く連携し、スタートアップ企業の開拓、DX人財へのリスキルを含めた育成プログラムなどの取り組みをするなど更なる人財の安定的確保に努めています。

 

(3)技術革新に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが属する情報サービス産業では、破壊的技術革新のような不連続な技術環境の変化が生じることがあります。当社グループの重要事業領域やその周辺で、予想を超える破壊的技術革新があり、それらへの対応が遅れた場合、市場での競争力やブランド価値が低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があり、重要なリスクであると認識しています。以下に記載の対応をしているため、破壊的技術革新に対して対応が遅れるというリスクが顕在化する可能性は僅少であると認識しています。

[リスクへの対応策]

予想を超える技術革新は日常的に発生する可能性はありますが、当社グループでは、先進技術への感度が高い海外に専門拠点を設置し、新興技術の情報を早期に収集し、グローバルメンバーによるステアリングコミッティにて経営トレンドや技術トレンド等も考慮しながら革新技術を見極める取り組みを推進しています。そして、特に力を入れて投資すべき注力技術を、グローバルで技術戦略を議論するCTO級会議にて決定し、取り組みを推進していますまた、NTT研究所の研究開発成果を取り入れています。
 

(4)知的財産権に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが事業を遂行する上で必要となる知的財産権等の権利につき、当該権利の保有者よりライセンス等を受けられず、その結果、特定の技術、商品又はサービスを提供できなくなる可能性があります。当社グループはグローバルでビジネスを行っており、また、従来からの個別受注型システムインテグレーションビジネスに加え、最近ではより多くのお客様への提供が見込まれるソリューション展開型やプラットフォーム提供型のビジネスが増加しています。これにより、他者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求を受ける可能性が高まっています。いずれの場合も当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があり、重要なリスクであると認識しています。
 当該リスクが顕在化する蓋然性は高くはありませんが皆無とは言えません。

[リスクへの対応策]

当社グループでは知的財産権活動を推進する担当組織を設置し、産業財産権の適正な権利化や侵害予防調査(クリアランス)、知的財産権に関するプロジェクトからの各種相談対応や当社グループ内での教育・啓発活動を実施し、当社グループの知的財産権の保護・活用、第三者の知的財産権侵害防止に努めています。
 

(5)競争激化に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

社会を取り巻く環境は日々大きく変化しており、SDGs(持続可能な開発目標)に代表される社会課題の解決・地球環境への貢献と、新しい価値創造をはじめとした経済価値向上の両立等、企業経営に求められる要素は多様化しています。テクノロジーの進化を背景に様々なモノ・ヒトがつながることで、企業活動から人々の消費・生活スタイルまであらゆる社会トレンドが変化しており、各業種における事業成長のためのデジタル関連投資が加速しています。

一方、IT市場における競争環境は激化しており、様々なプレイヤーが社会・テクノロジーの変化に合わせてサービス・ラインナップを拡大させる中、当社がお客様へ貢献し続けるために、更なるグローバルレベルでの事業競争力強化の必要性が高まっています。

このような競争環境の激化は当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があり、重要なリスクと認識しています。

[リスクへの対応策] 

当社グループはグローバル全体での事業競争力強化に向け、NTTグループ傘下のNTT Inc.と海外事業を統合し、ITとConnectivityを融合したサービスをTotalで提供する企業へ進化していきます。コンサルティングやアプリケーション開発に留まらず、Connectivity領域までを含むデジタルトランスフォーメーションに必要なサービス・ラインナップを一元的に整備し、複雑化・多様化するお客様のニーズにグローバルレベルで対応していきます。 加えて、業界・技術のForesightを起点としたコンサルティング力強化と、高いアジリティを実現するアセットベースの価値提供により、経営変革・事業変革の構想策定から実現まで、End to Endの対応力を強化し、お客様への提供価値を最大化していきます。

また、先進技術活用力とシステム開発技術力の強化としてEmerging、Growth、Mainstreamの技術の成熟度に応じた3つ領域における活動を推進し、未来の競争力獲得に向けた先進技術活用力の強化と生産性の向上に向けたシステム開発技術力の強化を両輪で進めると共に、サステナビリティやIOWNといった社会変革を実現するテーマに対する投資枠を新設し、将来のビジネス創出に向けた戦略的な投資をグローバル全体で推進し、将来に渡っての事業競争力を強化していきます。

 

(6)親会社の影響力

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社の直接的な親会社であるNTT株式会社は、当連結会計年度末現在、当社の議決権の54.2%を保有している大株主であります。当社は直接的な親会社であるNTT株式会社及び最終的な親会社である日本電信電話株式会社(以下総称して、親会社)並びにその他の子会社から独立して業務を営んでいますが、重要な問題については、親会社との協議、もしくは親会社に対する報告を行っています。このような影響力を背景に、親会社は、自らの利益にとって最善であるが、その他の株主の利益とはならないかもしれない行動をとり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があり、現実化した場合には重要なリスクであると認識しています。

[リスクへの対応策]

当社は、親会社との間で締結する重要な契約については、法務部門による法務審査を行った上で、意思決定を行います。特に重要な契約については独立社外取締役が出席する取締役会での承認を必須とし、親会社から独立した意思決定の確保に努めています。
 また、日本電信電話株式会社の研究所との強連携として、基盤的研究開発や次世代技術研究開発の成果をグローバルで活用し、先進ソリューションやサービスの提供をめざします。NTTグループの各社が得意とするインフラ、セキュリティサービスを組み合わせた、トータルサービスの更なる拡大及び調達集約等によるコスト削減等のスケールメリットを活かした連携を進めていきます。今後も引き続き、親会社との間で、相互の自主性・自律性を十分尊重し、親会社との取引等について法令に従い適切に行うことで、リスクの顕在化防止に取り組むとともに、親会社との連携を強化することで株主への利益還元に尽力し、上記リスクの低減に努めます。
 

(注1)GDPR

EU域内の個人情報を取り扱う際に適用されるEU一般データ保護規則のことです。

(注2)FCPA

贈収賄にかかる米国の海外腐敗行為防止法のことです。

(注3)ビジネスと人権に関する指導原則

2011年6月に国連の人権理事会において全会一致で支持された文書であり、「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つの柱で構成されています。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

[事業活動の取り組み状況及び業績]

 グローバルでのデジタルトランスフォーメーション等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したデジタルオファリングの拡充、システムインテグレーションサービスの提供等の多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。

 

 当期における業績につきましては、海外事業の規模拡大及び収益性の改善、国内事業の順調な規模拡大等により、当期利益をはじめとする全ての項目について過去最高を更新しました。受注高は海外事業の規模拡大及び為替影響により増加しました。売上高は、全セグメントにおける規模拡大に加え、為替影響により33期連続増収を達成しました。営業利益は、増収及び海外における事業構造改革の効果等により増益となりました。

 

・受注高

2,400,817百万円

(前期比

8.0%増)

 

 

 

 

・売上高

2,551,906百万円

(同

10.1%増)

・営業利益

212,590百万円

(同

52.8%増)

・税引前当期利益

215,849百万円

(同

65.5%増)

・当社株主に帰属する当期利益

142,979百万円

(同

86.1%増)

 

 

 

 セグメント別の取り組み及び業績については、以下のとおりです。

 

(公共・社会基盤)

IT基本法の見直しやデジタル庁設置などを契機としたデジタル社会実現への加速を踏まえ、政府・インフラ企業の基幹業務のシステム更改を確実に獲得しつつ、Society 5.0に基づく成長戦略やデジタル・ガバメント実行計画に沿った新たな社会システム実現に向けた利用者目線での新規ビジネス創出等により事業拡大をめざしました。

 

<迅速な災害対策と関係組織の情報連携を促進>

・自治体やインフラ事業者向けに災害対策業務をト ータルで支援するデジタル防災プラットフォーム「D-Resilio」を2021年7月より提供開始しました。デジタル衛星画像やドローンを用いた広範囲における状況把握、Twitterによる被災地住民のリアルタイム情報収集等、当社が有する先端技術を活かし、災害発生時におけるデータ収集や収集データの可視化・分析による対策本部の意思決定の支援を行い、迅速な災害対策を可能とします。また、当社が保有する減災コミュニケーションシステムを活用し、一度の操作で屋外スピーカーやスマートフォン等多様な伝達媒体へ一括で情報配信が可能になる等、災害対策時の全フェーズにおいてデジタル技術を活用した業務遂行支援を実現します。また、本プラットフォームは既存の災害対策関連システムや県の総合防災情報システム等の他システムと簡易に連携可能であり、自治体やインフラ企業等の関係機関における情報連携も支援します。

 

<行政・金融機関のデジタル化・効率化、ESGの実現に貢献>

・行政機関が金融機関へ要請する預貯金照会業務のデジタル化の実現に向け2019年より提供開始した「pipitLINQ」の業務効率化の有用性が幅広く認められ、2021年度では国税庁、日本年金機構、全国206自治体、りそなグループ全社、ゆうちょ銀行など51金融機関、生命保険会社で導入されました。行政機関と金融機関・生命保険会社の双方がpipitLINQに加入することで、今まで全て紙ベースで行われていた預貯金等照会が電子データによる照会となることにより、書面を取り扱う人的負担や郵送によるコスト及び回答までのタイムラグが大幅に軽減され、迅速かつ適正な業務の実現につながります。高い信頼性とセキュリティを有したクラウドサービスであるOpenCanvas(注1)上に構築し、AnserDATAPORT(注2)や保険会社共同ゲートウェイ(注3)を最大限活用することで、セキュアかつ低コストのサービスを実現します。

 

当期の公共・社会基盤セグメントの業績は以下のとおりです。

・売上高は、中央府省及びテレコム向けサービスの規模拡大等により、582,435百万円(前期比7.8%増)となりました。

・営業利益は、ビジネス拡大のための先行投資及び不採算案件の発生はあるものの、増収等による増益により、68,092百万円(前期比0.4%増)となりました。

 

(金融)

規制緩和や技術革新による金融機関の事業環境の大きな変化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い価値観や生活様式も大きく変化し、キャッシュレス・ペ ーパーレスなどのデジタルシフトが加速しています。当社は引き続き高信頼で高品質な金融インフラを支え続けるとともに、お客様との共創や新技術により、より良い社会の実現に貢献するビジネス拡大をめざしました。

 

<金融機関の勘定系システム等の安全性・信頼性を保持したオープン化を実現>

・金融機関の勘定系システム等、高い信頼性が求められるシステムを安全にオープン化(注4)できるフレームワーク「PITON(ピトン)」を2024年から次期MEJAR(注5)に適用し、2026年目途で更改予定のしんきん共同センターの次期勘定系システムでも採用することが決定しました。PITONにより、メインフレーム(注6)向けに開発された既存の業務アプリケーションは、変更を加えずにオープン系の基盤上での稼動が可能となり、オープン化の移行リスクが低減します。PITONによるオープン化によって、システムを構成するハードウエアや製品等の中長期的な確保が可能となり、システムの継続性が確保されるとともに、オープン系の技術者はメインフレーム技術者と比べ母数が多いため、システムの開発・維持・運用に必要なIT人材確保も容易になります。また、PITONはメインフレーム向けアプリケーションのオープン系基盤上での稼動を可能にすることから、システムと最新技術の親和性が向上するため、利用金融機関のデジタル化やコスト削減にもつながります。更に、オープン化によって勘定系システムのクラウドやデータセンターの活用が進むことにより、将来的に消費電力削減等によるお客様の脱炭素化への貢献も期待できます。

 
<業界の垣根を越えたデジタル化を推進>

・フィンテック企業や自治体等「API利用者」と金融機関「API提供者」をつなぐオープンなプラットフ ォームである、オープンAPI(注7)の市場「API gallery」を2021年10月に開設し、2021年度末時点で約50社が参画しています。新しい金融IT戦略である「Open Service Architecture」(注8)のコンセプトに基づき、組込型金融や金融機関と行政機関のシステム接続など業界の垣根を越えたデジタル化を推進することで、「ANSER」等に代表される当社の金融ITインフラについて、いっそうの利用拡大を促進します。

 

<取引の厳格な監視と規制変化への柔軟性を両立し、日本最大の口座数・顧客数に対応>

・ゆうちょ銀行のアンチマネーロンダリング向けシステム(注9)を2021年7月から開発に着手し、2024年のサービス開始をめざします。同システムは「モニタリング」「リスク格付け」「スクリーニング」「顧客管理」の4つの機能を備え、マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐため、取引の厳格な監視と規制変化への柔軟性を両立します。これにより、日本最大の口座数・顧客数を持つゆうちょ銀行の大量の取引に対するサービスの継続を可能とする性能が確保されます。

 

当期の金融セグメントの業績は以下のとおりです。

・売上高は、銀行向けサービスの規模拡大等により633,063百万円(前期比4.2%増)となりました。

・営業利益は、増収等による増益により、62,332百万円(前期比9.9%増)となりました。

 

(法人・ソリューション)

ウィズコロナ社会で加速するデジタル化の波を捉えるとともに、需要回復の機会も着実に捉えることにより、日本を代表する企業とともに先進デジタル領域での取り組みを加速し事業成長に貢献することで、更なるビジネス拡大をめざしました。また、当社は先進テクノロジーやグローバルソリューションを活用した独自の強みを拡充し、より高い付加価値を提供することで、グローバルでの競争力を強化しました。

 

<ライオン株式会社のDX(注10)推進プロセス確立・展開、人材開発の強化>

・当社は、ライオン株式会社(以下:ライオン)とともにDX推進に関する業務提携を2022年1月より開始しました。ライオンがめざす「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」というパーパスを実現するデジタル基盤の構築と、同基盤を最大限活用した事業変革に向けて、DX推進プロセスの確立・展開と人材開発の強化を行います。具体

  的には、当社が提供するデジタルサクセスプログラム(注11)を活用し、ライオンのDX戦略立案、実行、定着化に取り組みます。また、ライオン社員向け専用講習の開発や当社の研修への参加により、ライオンにおけるDXを推進する多様な人材の育成を行います。

 

 <カーボンニュートラル実現のための取り組みを開始>

・当社は、2022年1月より提供しているグリーンコンサルティングサービスについて、三菱重工業株式会社の AI ソリューション「ENERGY CLOUD」を活用して、製造業向けに高度化し提供開始しました。本サービスの特長は、製品単位に留まらず、生産時期、ラインごとのCarbon Foot Print(注12)が把握可能となり、サプライチェ ーンも含めたGHG(温室効果ガス)排出量の可視化に加え、その可視化データを用いてGHGプロトコルScope1及び2(注13)の削減を実現します。また、2022年2月よりGHG排出量可視化プラットフォームを提供開始しました。企業にGHG排出量の可視化が求められる中、最適な算定方法の選定が難しい等の課題がありますが、当社は、実績のあるメソッドを活用することで、排出量算定に必要な活動量を事業活動やデータから取得・調査し、削減アクションにつながる算定シナリオを作成し算出を行い企業の排出量可視化を支援します。また、サプライヤー企業の排出量削減効果を自社の排出量へ反映できる方式を採用します。この方式を採用する際に時間のかかる初期のプロセス構築やサプライヤー別排出原単位(注14)の把握に加え、企業のニーズに合わせたその他複数の算定方式を兼ね備えたハイブリッド型の算定方式の提供により可視化を支援します。

 

当期の法人・ソリューションセグメントの業績は以下のとおりです。

・売上高は、製造業、流通業及びサービス業向けサービスの規模拡大等により、652,907百万円(前期比10.5%増)となりました。

・営業利益は、ビジネス拡大のための先行投資等による費用増はあるものの、増収に伴う稼働率の改善等により64,146百万円(前期比22.6%増)となりました。

 

(北米)

ウィズコロナ社会における新たなニーズの拡大等、市場環境が継続して変化する中、2020年度に実行した事業構造改革の成果を通じたデジタルとコンサルティング領域の更なる強化を図り、既存の強みを掛け合わせることで、お客様のDXをサポートしました。

 

<M&A及び事業売却を通じ、デジタル対応力の強化及びデジタルシフトを更に推進>

 当社子会社であるNTT DATA Servicesは、M&A及び事業売却を通じた選択と集中による事業ポートフォリオの最適化によって、デジタル対応力を強化するとともに、デジタル中心の事業ドメインへの変革を更に推進しました。

・Nexient, LLC及びChainalytics, Inc.に続き、CX(注15)分野に強みを有するVectorform, LLCを2022年3月に買収しました。戦略的なデジタル投資による成果が得られる中、本買収をとりわけ好調なアプリケーション開発・モダナイゼーション(注16)領域における更なる取り組み強化の一環として行うことにより、デジタル対応力の強化、デジタルオファリングの拡充を加速していきます。

・非デジタル事業の売却を完了し、デジタル中心の事業体系への組み替えを進めることで、デジタルシフトの加速及び収益性の改善に貢献しました。
 

<金融分野における複数のお客様へDXにおける取り組みを推進> 
 当社子会社であるNTT DATA Servicesは、デジタル領域における知見やデジタルオファリングを活用し、複数のお客様のDXにおける取り組みを推進しました。

・北米の大手金融機関より、アプリケーションモダナイゼーションやデジタル・エクスペリエンス(注17)の向上等、お客様のDX戦略の推進をサポートする大型更改契約案件を2022年1月に受注しました。このサービスはクラウド移行やCX改善、オムニチャネル(注18)等を実現するデジタルケイパビリティの提供により、お客様のデジタルサービスの強化に貢献します。

・Everlake Life Insurance Companyを含む複数の年金・生命保険業界のお客様より当社のデジタルオファリング「GIDP」を活用したTPAサービス(注19)に関わる大型契約案件を受注しました。GIDPは、年金・生命保険業界のお客様に最適な様々な機能・サービス・ソリューションを組み合わせ、コンサルティングからデジタルプラットフォームの導入、BPO移行・運用までの一貫した提供に貢献します。

 

これらの案件は、金融業界における深い知見及び、デジタル領域における技術力強化の成果が高く評価されたものであり、引き続きお客様のDXの推進に貢献していきます。

 

当期の北米セグメントの業績は以下のとおりです。

・売上高は、一部事業売却による減収はあるものの、ヘルスケア向けサービス等の規模拡大に加え、M&A及び為替影響等により475,656百万円(前期比10.8%増)となりました。

・営業利益は、事業構造改革の費用減及び効果、増収等により、17,169百万円(前期比-%)となりました。

 

(EMEA・中南米)

ウィズコロナ社会における新たなニーズの拡大等、市場環境が大きく変化する中、デジタル人財・デジタルアセットの強化によるデジタルビジネスの拡大を図るとともに、グローバルブランドの統一・事業会社の一体運営を早期に実現し、お客様のDXへのニーズに的確に対応しました。

 

<グローバルブランド統一・事業会社統合によるお客様提供価値の向上>

 欧州・中東・アフリカ・中南米地域(以下:EMEAL地域)における事業運営の統合により、これまで以上に一体的なグローバル事業展開を推進、お客様と社会のデジタルによる変革を支援しました。また、スタッフ部門の効率化やニアショア・オフショアの推進など運営面も効率化し、市場からの反応や第三者機関によるブランド価値評価も向上しました。

・everis及びitelligenceは、独自のブランドを通じ培った各地域マーケットにおける信頼感を重視し、現在まで既存のブランドで事業を継続してきましたが、 2021 年 4 月よりそれぞれのブランドを “NTT DATA” へ統合しました。

・EMEAL地域の地域統括会社「NTT DATA Europe & Latam, S.L.U.」を2021年9月に新たに設立しました。

※NTT DATA Europe & Latam, S.L.U.にはitelligence(現在の商号:NTT DATA Business Solutions AG)は含まれません。

 

<お客様事業のデジタル化の取り組みを通じて、社会課題の解決に貢献>
 先進技術を活用したDXにおける豊富な実績が高く評価され、デジタル化案件の戦略的パートナーに選ばれました。

・スペイン政府100%出資の鉄道会社Renfe OperadoraよりMaaSプラットフォーム構築における要件定義、構築、展開、運用まで5年間の契約を受注しました。このプラットフォームは様々な交通事業者やホテル・レジャー施設等を統合するプラットフォームで、ユーザーがWEBやアプリケーションを利用することで、時間や場所を問わず旅行の計画や、旅行中に必要な交通手段の手配・サービスの予約等を可能とする包括的なソリューションを提供します。

・欧州医薬品庁向けの治験の提示・評価・監督のための治験情報システム「CTIS(Clinical Trial Information System)」の本番運用を2022年1月に開始しました。このシステムは、EU及びEEAにおける臨床試験の登録から評価までをモニタリングする唯一のシステムであり、加盟国間の連携や治験の重複・反復回避を可能とし、欧州における治験の効率化を促進します。

 

当期のEMEA・中南米セグメントの業績は以下のとおりです。

・売上高は、スペイン及びドイツ等での規模拡大及び為替影響等により550,885百万円(前期比21.3%増)となりました。

・営業利益は、グローバルブランド統一及び追加施策に係る費用増はあるものの、低採算事業見直しによる前期の一時的な費用の減、事業構造改革の効果及び増収等により15,608百万円(前期比-%)となりました。

 

 

当期末における主な海外拠点の状況は以下のとおりです。

 

52カ国・地域、203都市、約110,700人体制を確立(日本国内を含むと約151,600人体制)

 

(2022年3月31日現在)

 

 
(注1)OpenCanvas

行政機関や金融機関に求められる高い信頼性やセキュリティーを有したクラウドサービスです。

 

(注2)AnserDATAPORT

行政機関と金融機関の安全な取引を実現するファイル伝送サービスです。

 

(注3)保険会社共同ゲートウェイ

生保・損保業界共通の標準化されたシステム仕様に基づく、Webベースの新しいネットワークインフラです。

 

(注4)オープン化

オープンサーバー製品を採用するなど、市場に提供されている汎用製品を主体としたシステム構成にすることです。
 

(注5)MEJAR

株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループの株式会社横浜銀行と株式会社東日本銀行、株式会社ほくほくフィナンシャルグループの株式会社北陸銀行と株式会社北海道銀行、及び株式会社七十七銀行の5行が共同利用している勘定系システムのことです。

 
(注6)メインフレーム

官公庁や金融機関等の大量のデータやトランザクション処理を扱う基幹システム向けに長年にわたり古くから提供されてきた、一般的にメーカー固有のCPUやOS等を用い高い性能や信頼性を保持した大型のコンピューター製品のことです。

 
(注7)API (Application Programming Interface)

各種システムやサービス(Webサービス等)を利用するアプリケーション(Application)を開発(Programming)するためのインターフェース(Interface)です。

 
(注8)Open Service Architecture(OSA)

ポストコロナに求められる新しい金融ITの姿を具体化した標準アーキテクチャーです。

 
(注9)アンチマネーロンダリング向けシステム

本ソリューションは、「Open Service Architecture (OSA)」のデータアナリティクスに関わる領域に位置付けられています。

 
(注10)DX(デジタルトランスフォーメーション)

デジタル技術を手段として用い、事業や働き方に革命的な変化をもたらすことです。

 
(注11)デジタルサクセスプログラム

データドリブンカンパニーへの変革に向けて段階的にデジタル変革していくプログラム/メソドロジーです。お客様がデジタルを活用して成功した状態である「デジタルサクセス」に導くために、当社が過去10年以上に渡る豊富なDX支援実績に基づき、DXの成功要因や実現プロセス、400以上のデ ータ活用事例をはじめとしたノウハウを体系的に整備しています。

 

(注12)Carbon Foot Print

商品やサービスの原材料の調達から生産、流通を経て最後に廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したものです。

 

(注13)GHGプロトコルScope1及び2

GHGプロトコルとは、サプライチェーン全体の温室効果ガスの排出量を算定・報告する際の国際的な基準です。温室効果ガスの区分を排出方法や排出者により以下の3つに分類し、Scope1からScope3までの合計をサプライチェーン全体の排出量とする考え方です。
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

(注14)排出原単位

単位当たりの活動量から排出されるCO2等の温室効果ガスの量のことです。

 

(注15)CX(Customer Experience)

顧客が商品サービスを体験して、顧客視点でその価値を評価することです。

 

(注16)モダナイゼーション

古くなった現行のIT資産を最新技術に対応する形で更新し、新たな価値を生み出すよう変革する手法のことです。

 

(注17)デジタル・エクスペリエンス

AIやIoT等のデジタル技術を活用し、ユーザーにとって最適化されたプロセスと体験を企業が提供するためのしくみのことです。

 

(注18)オムニチャネル

店舗、ECサイト、SNS等、オンライン/オフライン問わず、あらゆるメディアを活用して顧客と接点を作り、購入の経路を意識させずに販売促進につなげる戦略のことです。

 

(注19)TPA(Third Party Administration)サービス

保険契約管理等のアウトソーシングサービスのことです。

 

 

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産は、株式売却によるその他の金融資産(非流動)の減少等はあるものの、M&Aに伴うのれん及び無形資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ187,497百万円増加して、3,084,513百万円となりました。負債は、営業債務及びその他の債務の増加等はあるものの、有利子負債の返済による減少等により、前連結会計年度末に比べ14,222百万円減少して、1,756,246百万円となりました。
 また、資本は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ201,719百万円増加して1,328,267百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は246,941百万円と前連結会計年度末に比べ40,117百万円減少となりました。

当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支出はあるものの、当期利益の増加等により、310,404百万円の収入(前期比42,088百万円の収入減少)となりました。

一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入等はあるものの、有形固定資産、無形資産及び子会社の取得等による支出により196,487百万円の支出(前期比22,594百万円の支出増加)となったことから、当期のフリー・キャッシュ・フローは113,917百万円の黒字(前期比64,682百万円減少)となりました。
 また、財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金支出に加えて、有利子負債の返済等により、166,513百万円の支出(前期比64,895百万円の支出増加)となりました。

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりです。

 

区 分

2021年3月

2022年3月

D/Eレシオ (倍)

0.54

0.39

 

(注)D/Eレシオ:有利子負債/自己資本(資本合計-非支配持分)

なお有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、社債及び借入金を対象としています。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

 当連結会計年度
(自 2021年4月 1日
   至 2022年3月31日)
(百万円)

前年同期比
(%)

公共・社会基盤

125,558

△2.4

金融

106,318

11.2

法人・ソリューション

91,862

5.9

北米

EMEA・中南米

その他

19,632

15.0

合計

343,370

4.7

 

 

         (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。

         2 金額は、製造原価(販売価格)によっています。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年4月 1日
   至 2022年3月31日)

前年同期比

受注高

(百万円)

期末受注残高

(百万円)

受注高

(%)

期末受注残高

(%)

公共・社会基盤

544,280

582,010

13.0

13.0

金融

446,478

862,777

△17.6

△3.6

法人・ソリューション

376,445

157,824

9.4

4.8

北米

425,696

797,912

23.6

4.6

EMEA・中南米

571,433

442,521

20.1

12.6

その他

36,484

17,557

3.8

△6.8

合計

2,400,817

2,860,601

8.0

4.6

 

 

         (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。

         2 ANSER、CAFIS等利用量に見合う料金をいただくサービスについては、受注高に含めていま

            せん。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度
 (自 2021年4月 1日

    至 2022年3月31日)
 (百万円)

前年同期比
(%)

公共・社会基盤

486,599

7.6

金融

541,414

4.5

法人・ソリューション

460,641

7.7

北米

467,896

10.7

EMEA・中南米

542,839

21.5

その他

52,517

2.3

合計

2,551,906

10.1

 

         (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。

         2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

      各販売先における販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、主な相手先

            別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しています。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析

以下は、前年度実績対比及び2022年2月4日に公表の修正業績予想対比の分析を記載しています。

① 売上高の状況

当連結会計年度の実績値

比較情報

増減金額

増減率

2,551,906百万円

前年度実績対比

233,248百万円

10.1%の増加

業績予想対比

11,906百万円

 0.5%の増加

 

前年度実績対比においては、法人・ソリューションセグメントの製造業、流通業及びサービス業向けサービスの規模拡大、EMEA・中南米セグメントにおけるスペイン及びドイツ等での規模拡大及び為替影響等により、前連結会計年度を上回りました。

また、業績予想対比においては、全セグメントにおいてほぼ想定どおりとなりました。

 

② 営業利益の状況

当連結会計年度の実績値

比較情報

増減金額

増減率

212,590百万円

前年度実績対比

73,417百万円

52.8%の増加

業績予想対比

△2,410百万円

 1.1%の減少

 

前年度実績対比においては、主に北米セグメントやEMEA・中南米セグメントでの事業構造改革の効果や増収等により、前連結会計年度を上回りました。

また、業績予想対比においては、第4四半期会計期間において事業拡大や新中期経営計画に向けた施策費を多く投じたことに加え、不採算案件も発生したことで、やや業績予想を下回りました。

 

③ 当社株主に帰属する当期利益の状況

当連結会計年度の実績値

比較情報

増減金額

増減率

142,979百万円

前年度実績対比

66,136百万円

86.1%の増加

業績予想対比

12,979百万円

10.0%の増加

 

前年度実績対比においては、営業利益の増益により、前連結会計年度を上回りました。

また、業績予想対比においても、為替差益の発生等により業績予想を上回りました。

 

(2) 当連結会計年度末の財政状態の分析

当連結会計年度末における財政状態の概況については、「業績等の概要 (2) 財政状態の状況」をご参照ください。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① 財務方針

社会や金融・経済を支える大規模システムの開発・構築を担う企業として、ビジネスを安定的に継続し、中長期的な企業価値の向上を実現していくためには、強固な財務基盤を維持することが重要と考えています。D/Eレシオを重要指標と位置付け、目安としては、AA格の信用格付を維持できる水準かどうかを意識し、財務基盤の健全性を注視しています。

② 経営資源の配分(資金需要)・株主還元

社会を支える情報インフラの開発・運用のための先行投資に加え、グローバルで質の伴った成長をするために、デジタル対応力強化やM&A等の成長に必要な事業投資に優先的にキャッシュを振り向けていきます。
 また、株主還元については、成長に必要な事業投資と健全な財務基盤の維持のバランスを総合的に勘案した上で、中長期的に充実していく方針であり、資本効率の向上については、投下資本の圧縮ではなく、利益拡大によって改善させていきます。

③ 資金調達

金融機関等からの借入、各種社債の発行等にて対応する方針です。
 資金を好条件、安定的に調達するため、国内の2つの格付機関から長期債とコマーシャル・ペーパーの格付けを取得しています。
 コマーシャル・ペーパーについて、150,000百万円の発行枠を保有するとともに、NTTグループのキャッシュマネジメントシステムにも加入しており、現金及び現金同等物の代替となる資金流動性も十分確保しています。また、当社グループ全体の有利子負債と支払利息の低減を図るため、国内外の子会社69社にグループキャッシュマネジメントシステムを導入し、グループ資金を当社に集中するとともに、各社の必要資金について当社から貸し付けを実施しています。

④ キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「業績等の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(4) 重要な会計方針及び見積り

当社グループにおける重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1)当社の直接的な親会社であるNTT株式会社と当社を含むNTTグループ企業の間で、グローバルビジネスの推進に関わる契約を2018年度に締結いたしました。また、最終的な親会社である日本電信電話株式会社と当社を含むNTTグループ企業の間で、NTTが行う基盤的研究開発の成果の使用権を得るための契約及び相互の自主・自律性を尊重しつつ、NTTグループ全体の利益の最大化を通じて、グループ各社の利益を最大化することを目的としたグループ経営に関わる契約を引き続き締結しています。

 

(2)当社は、当社グループの海外事業の更なる成長を企図して、2022年5月9日開催の取締役会決議に基づき、日本電信電話株式会社との間で、同日付けで基本契約書及び株主間契約を締結し、当社グループの海外事業に日本電信電話株式会社の完全子会社であるNTT株式会社グループの海外事業を統合し、これらを子会社化することといたしました。詳細は、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 36.後発事象」をご参照ください。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、グローバルでの厳しい競争に勝ち残っていくため、新しい技術トレンドを積極的にビジネスに取り入れる「最先端技術・イノベーション推進」に取り組むとともに、システム開発の高速化、高品質化やクラウド化・デジタル化を見据えたクラウド基盤の構築等、「生産技術革新」に関する研究開発に取り組んでいます。最先端技術に関する知見やノウハウをグローバルで集約・活用しイノベーションを推進するとともに、次世代の生産技術を磨いています。

更に、日本電信電話株式会社との研究開発連携により、基盤的研究開発テーマについてはその成果を活用し、当社のリソースを応用的研究開発テーマに重点配分しています。
 当連結会計年度の研究開発費は19,707百万円です。研究開発の成果は、公共・社会基盤、金融、法人・ソリューション、北米及びEMEA・中南米に共通して適用可能であるため、セグメント別に分計はしていません。

 

<社員のデジタル対応力強化の取り組みを推進> 
 クラウドやAI等、高度なITを活用したシステムの迅速な開発の需要が増加していることから、このような世の中の変化を捉え、社員のデジタル対応力強化を重点的に取り組みました

クラウドを活用したデジタルビジネス推進を目的としたパートナーとの戦略的協業を強化し、その施策の1つとしてデジタル人財育成強化に取り組んでいます。パートナーから提供されるトレーニング等の活用により、コンサルティングや先進技術の活用を支援できる人財を育成し、お客様のDXに貢献します

当社社員及びビジネスパートナー(注1)のデジタル人財認定制度を整備しました。デジタル人財のレベル別管理、エンジニアの質の可視化、育成パスの明示化によって高スキル人財の市場価値を高めるとともに、デジタル対応力の底上げを行いました

当社を代表するトップ技術者が直接指導する「技統本塾」を2021年度は当社グループにも展開し、グループ全体でのトップ技術者の育成を進めています。

・デジタルビジネスを推進する人財の育成のため、所属部署とは異なる部署で2年間、先進領域のプロジェクト経験を積んでから元の部署に復帰する「人財還流プログラム」を実施しています。所属部署においてデジタルプロジェクトをリードするスキルを身に付けるという効果を狙います。

 

 <Green Software Foundationに運営メンバーとして加盟> 
 カーボンニュートラル実現に向け世界的にCO2排出量の削減の動きが活発化する中、ソフトウェアの分野でも削減に向けた検討が始まっています。当社は、ソフトウェアのCO2排出量削減をグローバルに推進する団体であるGreen Software Foundation(注2)に、アジア初の運営メンバーとして2021年9月に加盟しました。

 ソフトウェアのCO2排出量削減に向けた第一歩である正確な排出量の把握に向け、当社は Green Software Foundation の加盟メンバーとともにCO2排出量の評価手法 Software Carbon Intensity(注3)のα版の策定に取り組みました。本手法を活用することで、同じ機能を持つソフトウェア同士の運用における環境負荷の比較や、ソフトウェアの改修がCO2排出に与える影響の把握を可能にします。また、これらの示唆は環境負荷の少ないソフトウェア選定やソフトウェア開発・運用技術の開発に役立てることができます。

 当社は、このような活動を通じて、より環境負荷の少ないソフトウェア開発・運用の技術や方法論を確立し、グリーンなソフトウェアやサービスを提供することで社会の脱炭素化に貢献していきます。

 

高セキュリティの確保やサイバー攻撃への迅速な対応を実現し、セキュリティインシデントの被害軽減に寄与> 
 当社では、前中期経営計画で掲げた「グローバルデジタルオファリングの拡充」の施策において、セキュリティを注力領域の一つとして取り組み、ゼロトラストセキュリティ(注4)のコンサルティングから構築・運用までを一気通貫でサポートするサービスを2021年11月より提供開始しました。日々高度化・複雑化するサイバー攻撃を企業経営に影響を与える重点リスクの一つと捉え、世界で50を超える国・地域の約15万人が利用するゼロトラスト環境を当社グループで導入・運用しています。そのノウハウを活用し、戦略的パートナー企業とともに、グローバル全体で約1,000人のスペシャリストがサービス提供できる体制を構築しました。本サービスは、働く場所や端末を選ばない柔軟な働き方に合わせた業務環境を提供するとともに、多要素認証やログ監視などの技術による高セキュリティの確保、外部からのサイバー攻撃の迅速な検出・対応・復旧を実現し、セキュリティインシデントの被害軽減に寄与します。

 

(注1) ビジネスパートナー

 協力して開発を行うビジネスパートナー会社の社員のことです。

(注2) Green Software Foundation

2021年5月にAccenture、GitHub、Microsoft、Thoughtworksの4社が、Linux Foundationの配下に設立した非営利団体です。協力して開発を行うビジネスパートナー会社の社員のことです。2022年4月末現在、28の会社・組織から合計594名のメンバーが参加しています。

(注3) Software Carbon Intensity

ソフトウェア利用時の炭素排出を構成する電力利用、ハードウェア利用、利用する電力の炭素強度をもとに炭素排出量をスコアとして評価する手法のことです。

(注4) ゼロトラストセキュリティ

クラウドの普及により保護すべきデータやシステムが様々な場所に点在することから、すべての通信を信頼しないことを前提に対策を講じるセキュリティのことです。

 

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