当連結会計年度の経済は、国内においては企業収益や業況感が改善し、設備投資も持ち直しの動きが見られています。また、海外の景気は、一部地域において足踏みが見られるものの持ち直してきています。
国内及び海外の景気先行きは改善方向とは思われますが、米国の関税賦課をはじめとする政策の動向により不確実性が高まっています。また、物価上昇の継続、地政学的問題、金融資本市場の変動等のリスクには十分注意する必要があります。
[経営施策の取り組み状況]
当社グループは、2022年度から2025年度までの中期経営計画において、2025年のGlobal 3rd Stage達成に向けて、「Realizing a Sustainable Future」をスローガンに掲げ、未来に向けた価値をつくり、さまざまな人々をテクノロジーでつなぐことでお客様とともにサステナブルな社会を実現することを目指しています。
その実現に向け、以下の経営目標を策定し、「戦略1. ITとConnectivityの融合による新たなサービスの創出」、「戦略2.Foresight起点のコンサルティング力強化」、「戦略3.アセットベースのビジネスモデルへの進化」、「戦略4.先進技術活用力とシステム開発技術力の強化」、「戦略5.人財・組織力の最大化」の5つの戦略を推進するとともに、さらなる事業成長に向けた戦略投資を実施しています。
[経営目標]
2025年度において連結売上高4.7兆円、年間売上高が50億円以上(日本)もしくは50百万米ドル(日本以外)以上のお客様を120社、連結営業利益率*10%、海外EBITA率*10%を目指しています。
*M&A・構造改革等の一時的なコストを除く
サステナビリティ経営を推進するために取り組むべき重要な課題として、2022年7月には「Regenerating Ecosystems」、「Clients’ Growth」、「Inclusive Society」の3つの軸を定め、9つのマテリアリティを策定しました。一例として、2040年までに自社並びにサプライチェーンの温室効果ガス排出量(Scope1〜3)の実質ゼロ実現を目指す「NTT DATA NET-ZERO Vision 2040」を策定し、再生可能エネルギーの導入やデータセンターの低PUE化を推進しています。また、当社事業の社会的インパクトを算出し、事例集等に掲載して公開しています。さらに、サステナビリティ経営のガバナンス確保として、2024年4月よりコーポレート総括担当役員を委員長とするサステナビリティ経営推進委員会を構築、グローバル横断での活動を推進・監督しています。
[対処すべき課題]
① 事業環境の変化
社会を取り巻く環境は日々大きく変化しており、地球環境への貢献を含む社会課題の解決と、新しい価値創造をはじめとする経済価値向上の両立等、企業経営に求められる要素は多様化しています。また、テクノロジーの進化を背景にさまざまなモノ・ヒトがつながることで、企業活動から人々の消費・生活スタイルまであらゆる社会トレンドが変化しています。
昨今、AI技術の進化やクラウドコンピューティングの普及等により、企業は従来業務のさらなる効率化や新たなビジネスモデルの展開が可能となるとともに、こうした需要拡大によりデータセンターやネットワークの重要性が高まっています。このように、ITサービス・ITインフラが果たす役割はますます大きくなり、さまざまな業種・業界の成長エンジンになりつつあります。
② 対処すべき課題と対応
当社グループは、日本セグメントの堅調な成長や海外セグメントにおけるデータセンター事業及びSAP事業の好調等を受け、中期経営計画目標は達成する見通しですが、海外セグメントのリージョナルユニットにおいて引き続き収益性の改善に取り組む必要があると認識しています。
また、当社グループはグローバルITサービス市場売上高ランキングにおいて10位以内に位置*しています。加えて、グローバルでプレゼンスの高いデータセンター事業者でもある当社グループが、今後もグローバルでの競争力を高め持続的に成長するためには、財務健全性への影響を考慮しつつ、成長領域への積極的な投資や戦略的なM&Aを推進するとともに、多様な人財が長期に活躍できる環境・文化への変革に取り組む必要があると認識しています。
これらの課題に対し、以下の取り組みを推進していきます。
●海外セグメントの質を伴った成長
海外事業の収益性・競争力を高めるため、コーポレート機能やITシステムの統合、事業ポートフォリオ変革等による事業統合を進めることに加え、業務プロセスの高度化や事業運営の適正化に取り組みます。
事業運営の適正化では、各ユニットのビジネスを強化するユニット横断組織を組成し、グローバルでの営業強化、デリバリー効率化等により、事業成長を促進させます。
●成長領域への投資
当社グループの持続的な成長及び競争優位性の維持・強化に向け、生成AI関連ビジネスや旺盛な需要が続くデータセンターといった成長領域への積極的な投資を継続します。また、新たなケイパビリティの獲得や北米の事業強化に資する戦略的なM&Aに取り組みます。国内においては、コンサルティングやアーキテクト等の人財拡充も考慮しつつ、社会インフラを安定的に維持できる人財基盤の整備に向けたM&Aを進めます。
なお、成長領域への積極的な投資に向けた原資創出のため、不動産投資信託(REIT)を活用します。データセンター事業において安定的かつ継続的に資産売却することにより、投資回収サイクルを早期化します。
●人財の拡充
事業ポートフォリオに応じた多様な人財の獲得や生成AI、コンサルティング等の事業成長を支える専門性の高い人財の育成に注力するとともに、魅力ある会社づくり(Best Place to Work)を行い、人財・組織力最大化に取り組みます。
* Gartner®, Market Share: Services, Worldwide, 2024, Neha Sethi et al., 11 April 2025, Vendor Revenue Basis.
本書に記載するGartnerのコンテント (以下「Gartnerコンテント」) は、Gartnerシンジケート・サブスクリプション・サービスの一部としてGartner, Inc.(以下「Gartner」)が発行したリサーチ・オピニオンまたは見解を表すものであり、事実を述べているものではありません。Gartnerコンテントの内容はいずれも、そのコンテントが発行された当時の内容であり、本書が発行された日の内容ではありません。また、Gartnerコンテントに記載されている見解は予告なく変更されることがあります。
Gartnerは、Gartnerリサーチの発行物に掲載された特定のベンダー、製品またはサービスを推奨するものではありません。また、最高のレーティング又はその他の評価を得たベンダーのみを選択するようにテクノロジーユーザーに助言するものではありません。Gartnerリサーチの発行物は、Gartnerリサーチの見解を表したものであり、事実を表現したものではありません。Gartnerは、明示または黙示を問わず、本リサーチの商品性や特定目的への適合性を含め、一切の責任を負うものではありません。
GARTNERは、Gartner Inc.または関連会社の米国およびその他の国における登録商標およびサービスマークであり、同社の許可に基づいて使用しています。All rights reserved.
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、特に記載のない限り、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
気候変動や生物多様性の喪失といった地球環境の変化、世界的な人口拡大に伴う水や食料の不足、高齢化の進行による労働力不足、地政学上の対立等、社会を取り巻く環境は日々変化しています。また、急速に進化するAIへの需要が高まる一方で、AIの不正利用など先進技術がもたらすリスクも高まっており、企業は責任あるテクノロジーの利用がよりいっそう求められるようになっています。
このように企業が対応しなければならない社会課題やニーズが複雑化・多様化するなかで、当社グループは、この大きな変化の局面をさらなる成長の機会と捉え、長期的な視点を持ったサステナビリティ経営を推進しています。
当社グループにおいて、サステナビリティの重要な課題は、取締役会で議論、戦略を示し、方針を決定したうえでモニタリングを実施しています。当社グループが持続的に成長できるよう、代表取締役社長のリーダーシップのもと経営戦略の主管組織である事業戦略室及び関係主管組織とサステナビリティ経営推進部を中心に議論を行い、方針や目標、施策等を企画策定・実行するとともに、中期経営計画(2022~2025年度)で定めた各種計画の進捗についてモニタリングしています。
サステナビリティ経営推進委員会は、代表取締役副社長執行役員(提出日時点)であるコーポレート総括担当役員を委員長とし、㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.の各責任者を構成員としています。取締役会の監督並びに代表取締役社長のリーダーシップのもと、サステナビリティ経営推進にかかる提言、戦略の策定及びモニタリング等を実施しています。また、サステナビリティ経営に関する各種課題について実務的な議論を行うために、テーマ別に6つの小委員会(テーマ別ワーキンググループ)を設置しています。協議した内容は原則年2回、取締役会にて審議または報告しています。
※ガバナンスの詳細は、
・「統合レポート2024」 : https://www.nttdata.com/global/ja/investors/library/ar/
・「NTTデータグループ サステナビリティレポート2024 Data book」
: https://www.nttdata.com/global/ja/about-us/sustainability/report/
・「コーポレートガバナンス報告書」 : https://www.nttdata.com/global/ja/investors/library/ga/
■サステナビリティ経営推進体制

サステナビリティ経営推進委員会概要
当社グループは、創立以来、「情報技術で新しい『しくみ』や『価値』を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」という企業理念のもと、お客様や社会へのサービス提供に邁進することで事業を拡大してきました。中期経営計画では、「Realizing a Sustainable Future」というスローガンのもと、未来に向けた価値をつくり、さまざまな人々をテクノロジーでつなぐことで、お客様とともにサステナブルな社会の実現を目指しています。社会環境及び事業環境が大きく変化し続ける現在の局面をさらなる成長の機会と捉え、より長期的な視点を持ったサステナビリティ経営を推進するために、環境、経済、社会の3つの軸を定め、9つのマテリアリティ(重要課題)を設定し、取り組みを進めてきました。
なお、当社グループは社内外の環境の変化を踏まえ、2025年度にマテリアリティを見直すこととしています。
環境「Regenerating Ecosystems 未来に向けた地球環境の保全」
経済「Clients' Growth サステナブルな社会を支える企業の成長」
社会「Inclusive Society 誰もが健康で幸福に暮らせる社会の実現」
■サステナビリティ経営

当社グループは、変化し続ける事業環境を捉え、当社グループにとっての機会とリスクを把握し、サステナブルな社会の実現に向けて柔軟に変化・適応することで、持続的な成長を目指しています。
全社的な視点での当社グループのリスクマネジメントについては、リスクマネジメントを統括・推進する役員及びリスクマネジメント部門を設置し、グループで連携したリスクマネジメント体制を整備しています。
当社グループにおけるリスク管理の詳細については、「
当社グループは、マテリアリティに紐づく指標及び目標を設定し、目標達成に向けた取り組みを進めてきました。2024年度は、16指標(目標達成年度が2025年度の2指標を含む)と4つのモニタリング指標※1を設定しました。
<範囲項目の凡例>
① ㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.
② ①に加え、国内グループ会社
③ ②に加え、海外グループ会社
※1 目標設定は行わないが、水準を注視するために実績をモニタリングする指標
※2 第三者検証後に確定した実績値を統合レポート及びサステナビリティレポートにて公開する
※3 本指標は2024年度に定義を見直すとともに、正式な指標名は「※サイバー攻撃起因(誤送信、バグや設定ミス等の人為的ミス・システム起因は含まず)、対外的に広く認知されるに至るセキュリティ事案 」を含む
※4 目標値は0件と設定し、許容限界を近年の実績値より2件とする
※5 社員エンゲージメント率 「当社で働くことを誇りに思う」で肯定的評価をつけた社員の割合(㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.の合算)
※6 役員・組織長等
※7 期中に目標見直し(変更前:15名)
[当社グループにおける取り組み・体制等]
・当社グループにおける気候変動への取り組み
当社グループは、Net-Zeroに向けたグローバル社会からの要請のさらなる高まりに対応し、NTT DATA NET-ZERO Vision 2040にて、温室効果ガスの直接排出量と間接排出量(Scope1・2)について、2030年にはデータセンターからの排出量を実質ゼロ、2035年にはデータセンター以外も含む実質ゼロ、2040年にはサプライチェーンを含めた排出量(Scope1~3)の実質ゼロを目指しています。2023年度にはSBTイニシアティブよりNet-Zero目標の認定を取得しました。
自社のサプライチェーンを通じた脱炭素の推進に加え、グリーンコンサルティングサービスや温室効果ガス排出量可視化プラットフォームの提供等を通して、お客様の脱炭素実現の支援も行っています。それら支援を加速させるために、国際環境NGOであるCDPと戦略的パートナーシップを締結し、2022年3月より国際環境NGOであるCDPよりゴールドパートナー認定(気候変動コンサルティング&ソフトウェアパートナー)を受けて社会の脱炭素化に向けて活動しています。2024年7月には、Everest Groupによる、サステナビリティを実現するテクノロジーサービスプロバイダー24社を評価する調査であるSustainability Enablement Technology Services PEAK Matrix Assessment 2024においてリーダーと評価され、前年と比して最も成長が顕著だった企業に与えられる「スターパフォーマー」にも認定されました。
また、当社グループはグリーンソフトウェア開発のためのエコシステム構築に取り組むGreen Software FoundationのSteering Member(運営メンバー)として活動し、グリーンソフトウェア開発の標準化や啓発活動に取り組んでいます。ソフトウェアの脱炭素にかかる取り組みが高く評価され、2024年9月には、SustainableIT.orgが運営するSustainableIT Impact Awards 2024を受賞し、2025年1月には、LCA日本フォーラムから「ソフトウェア分野の脱炭素化に向けた業界連携活動」が、LCA日本フォーラム会長賞を受賞しました(日本電信電話㈱、他7社と共同での受賞)。さらに、2025年2月にはEverest Groupによって、Sustainability IT Services PEAK Matrix Assessment 2025においてリーダーと評価されました。
2024年度のCDP気候変動調査においては、気候変動に対するガバナンスや戦略、上記の先進的な取り組みの透明性の高い情報開示が評価され、最高評価のAリスト企業に3年連続で認定されました。
ガバナンスの詳細は、「(1)サステナビリティ経営 ①ガバナンス」をご参照ください。
② 戦略(気候関連リスク及び機会に関する戦略)
当社グループは、以下<気候変動シナリオ分析の概要>記載のとおり気候変動シナリオの分析を行い、気候変動に関するリスクと機会による影響を把握しています。その結果を中期経営計画(2022年度~2025年度)に取り込むことにより、サステナブルな社会の実現に向け、企業・業界の枠を超えた革新的なサービスの提供をいっそう推し進める戦略を遂行しています。
気候関連リスクについては、内部統制委員会において、リスク低減に関する施策を討議するとともに、有効性に関する評価等を行い、その結果を取締役会に報告しています。内部統制委員会は、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握して対応するため、コーポレート総括担当役員を委員長、関連するコーポレート組織の長及び国内・海外の各事業会社のリスクマネジメント統括役員を委員として構成されています。
気候関連の機会については、サステナビリティ経営推進委員会において、国内及び海外事業会社のサステナビリティ関連のビジネスの進捗状況を確認しています。
内部統制委員会及びサステナビリティ経営推進委員会では、代表取締役副社長執行役員(提出日時点)を委員長とし、リスク及び機会による影響を一元的に管理しています。リスク及び機会の内容と、リスクが顕在化した際の影響、リスクへの対応策に関しては「③リスク管理 表1(気候関連のリスク)」、機会の影響、機会実現の対応策に関しては「③リスク管理 表2(気候関連機会)」をご参照ください。
<気候変動シナリオ分析の概要>
当社グループでは、気候変動に関する事業影響を把握し、気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しています。具体的には、国際エネルギー機関(IEA)による世界エネルギー展望(WEO)に示されるシナリオや、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるシナリオ等を参照し、当社グループ全体を対象として、1.5℃シナリオと4℃シナリオを中心に分析を行っています。
1.5℃シナリオでは、カーボンプライシングが導入されるなどの気候変動対策が強化される一方、気候変動の物理的な影響は2022年3月末レベルにとどまり、それ以上の深刻な影響は発生しないと仮定しています。4℃シナリオでは、気候対策は2022年3月末レベルである一方、異常気象の激甚化等の気候変動の物理的な影響が生じると仮定しています。
分析の結果、当社グループでは、1.5℃シナリオによる持続可能な社会において、社会の移行に伴うリスクと機会の両方が影響すると考えています。それ以外のシナリオによる社会では、リスクの影響が大きくなる可能性が高いことが明らかとなりました。また、各シナリオによるリスク・機会は、それぞれの影響度・発生可能性等を考慮し、事業戦略へ反映しています。1.5℃シナリオの分析の結果、グローバルでデータセンターやオフィスに再生可能エネルギーや低炭素エネルギーの導入を推進することが、ESG投資家や金融機関からの評判低下リスクや長期的なカーボンプライシングによるコスト増加リスクの両方を低減することにつながると評価しています。
※気候変動シナリオの詳細は、サステナビリティレポートをご参照ください。
: https://www.nttdata.com/global/ja/about-us/sustainability/report/
[リスクの内容と顕在化した際の影響] 及び [リスクへの対応策]
・リスクと機会
当社グループは、シナリオ分析に基づき、気候関連リスク・機会による事業への影響を評価し、その結果を気候変動戦略として事業戦略に反映することで、気候関連リスクへの対応を進め、また気候関連の機会実現を図っています。
気候関連リスク・機会に関しては短期・中期・長期の時間軸を考慮し、財務的影響への影響度を高・中高・中・低の4段階、発生可能性をほぼ確実・非常に高い・高い・低いの4段階で評価しています。気候関連リスク・機会の評価は「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」のとおりです。
※各評価項目の詳細は「表1(気候関連のリスク)」及び「表2(気候関連機会)」の注記をご参照ください
表1(気候関連のリスク)
表2 (気候関連機会)
※1 期間の定義は以下のとおりです。
※2 影響度の定義は以下のとおりです。
④ 指標及び目標(気候関連リスク・機会の管理指標と目標)
気候関連のリスク管理及び機会実現の戦略のために、海外グループ会社を含む当社グループで定めている指標と目標はそれぞれ以下のとおりです。
(3)人的資本
当社グループにおいては、人財は競争力の源泉であり、最も重要な経営資源と捉え、社員一人ひとりがやりがいを感じる人事制度を整備することを基本方針としています。当社グループは2023年7月の持株会社体制への移行に際し、当社グループの事業戦略に則した機動的な人事を実現する組織体制を整備し、事業成長を支える人的資本の確保に努めています。
具体的には、持株会社である㈱NTTデータグループにおいて、人事制度の整備、経営幹部の選任や育成、人的資本の状況把握を通し、各事業会社のサポートを行っています。また、組織文化の醸成として、Values Week(注)による価値観の浸透等を実施しています。各事業会社においては、各事業会社の事業ポートフォリオに応じた人事機能(採用・育成・配置・評価)の提供を行い、事業戦略に則した機動的な人事を実現しています。
(注)共通の価値観である「Values」について社員同士が語り合うワークショップをグローバル全体で開催しています。
当社グループは長期的な視点で、働く一人ひとりの多様性を尊重することによって、グローバルに通用する創造力を培い、さらに成長させていきます。2022年度~2025年度の中期経営計画において、戦略5「人財・組織力の最大化」をサステナブルな社会を実現するための土台と位置付け、最優先で取り組むべきテーマとしています。Foresight起点のビジネス構想力(コンサル人財)、先進技術活用力(テクノロジー人財)の向上により、顧客提供価値を高めるとともに、グループシナジーの発揮を目指しています。
前述のとおり、当社グループの人財は競争力の源泉であり、最も重要な経営資源と考えています。技術の進化が著しいITサービス業界において、顧客ニーズや技術のトレンドを掴み、イノベーションを生み出し続けるためには、多様かつ専門性の高い人財が不可欠です。事業成長を支えるプロフェッショナリティの高い人財を確保し、多様な人財が成長し活躍する魅力ある会社づくり(Best Place to Work)によって人財・組織力を最大化するとともに、将来にわたって企業価値を高めていきます。
■経営戦略と人財戦略の関連性

1.事業成長を支える人財の確保
(プロフェッショナリティの高い人財の採用)
当社グループは、グループ各社の事業戦略に応じて、中長期的なビジネスの成長に必要な人財を質と量を伴って採用しています。採用にあたっては、性別・国籍・年齢・学歴等を問わず、一人ひとりの適性と意欲・能力を重視し、事業ポートフォリオに応じた人財を獲得しています。事業成長に必要なプロフェッショナリティの高い人財を継続的に惹きつけ獲得していくために、以下の取り組みを実施しています。
・各国市場に特化したキャリアサイトと、それらを束ね全世界の求人検索等ができるグローバルキャリアサイトを通じ、全世界で一貫した当社の雇用者ブランディングを強化
・国境を越えたIT人財獲得競争に備えて、ソーシャル・メディア等を活用し、世界中の当社の事業やそこで活躍する人財の姿を発信
・日本、米国、スペイン、イタリア、インド等における地元大学との継続的なアライアンスを通じた、新卒人財の安定的な採用
また、㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.では、コンサルティング人財・テクノロジー人財が重要性を増し、人財獲得競争が激化するなかで、高い専門性を持つ人財の獲得力を強化することを目的に、卓越した知見を持った旬のビジネスを牽引する即戦力人財を外部からも獲得できるAdvanced Professional(ADP)制度や、ジョブ型雇用制度が適用されるFlexible Grade制度、スペシャリストのキャリアパスを実現するTechnical Grade制度を整備し、人財獲得力を高めています。さらに、採用活動で接点のあった方やキャリア検討中の方、アルムナイ登録者等から構成されるタレントプールを構築し、中長期的なタレントパイプライン形成を強化し、人財獲得力を高めています。
2.「Advanced Training」
(高度な専門性と変化への対応力を有するプロフェッショナル人財の育成)
当社グループにおける目指すべき人財像や成長の道筋を示し、その専門性とレベルを認定する制度「プロフェッショナルCDP(Career Development Program)」を、2003年以降、約20年にわたり取り組み、高度な専門性と変化対応力を有する人財を育成しています。
「プロフェッショナルCDP」は、「プロがプロを育てる」という思想に基づき、所属組織のタテの関係性のみでなく、組織を越えた専門性のカテゴリーによるヨコ、ナナメで指導しあう仕組みとして機能しています。
その他、海外グループ会社では「NLCI(NTT DATA Learning Certification Institute)」等により専門性の認定を行っています。
■プロフェッショナル人財の育成

(デジタルビジネスをリードする人財の育成)
注力技術領域(Cloud、D&I、Cyber Security、EAS、ADM、Edge as a service)を定め、最先端技術が学べるグローバル共通の教育プログラムにより、クラウド技術者30,000人以上の育成を実現しています。加えて、お客様のバリューチェーンの変革に注力するとともに、生成AIを活用した抜本的な業務効率の向上やイノベーションの促進、企業文化の醸成等社内バリューチェーンの変革を推進するため、Generative AI推進室を設立し、生成AI人財育成に取り組んでいます。生成AI人財育成として、全社員向けの基礎知識を有するレベル(Whitebelt)から、生成AIを活用したプロジェクトで価値提供できるレベル(Yellowbelt、Greenbelt)、プロジェクトをリードし後進を育成するレベル(Blackbelt)までのレベル設定に応じた人財像と育成ロードマップを描き、グローバル全体で研修を実施し、2024年度は15,000人の育成目標を達成しました。
■生成AI 人財育成体系

(グローバルマーケットで活躍できる人財の育成)
海外事業の急速な拡大に伴い、市場や競争環境の変化に応じて柔軟に活躍することのできる人財の育成を進めています。今年度からグローバルな実務経験を有する社員の育成によりフォーカスし、海外トレーニーポストで1年間トレーニングをし、将来のグローバル人財として経験を積むことができる20代後半~30代前半の若手社員向けのヤングトレーニー制度や、経営幹部育成のプログラムに参加することで多様なチャンスを得られるNTT Universityへの参加を通じて、社員がグローバル対応力を強化できる多様な「場」を提供しています。
また、全世界のグループ会社合同で、次世代を担うグローバルに活躍できる経営層を育成するためのGLP(Global Leadership Program)を2009年から実施しています(2024年度のGLP新規修了者は32名)。
(経営人財の育成)
㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.では、変化の激しい環境においても経営を牽引するグループ経営人財の中長期的な育成に多角的に取り組んでいます。グループ経営課題の解決に直接取り組むスタッフ業務へのジョブアサイン・グローバル事業へのジョブアサイン、体系的な経営関係知識の獲得と社外リレーション構築を目的とした外部セミナー・研修等への派遣、現役の役員との対話により経営哲学を学ぶ機会の提供(役員塾)、日本電信電話㈱が主催するNTTグループ共通の経営人材育成プログラム「NTT University」への参加等、幅広い施策を通じて、意欲と能力を兼ね備えた次世代の経営人財を育成しています。これまでの取り組みの成果として、現在組織長等タレントプールに所属する日本人人財は約110名となっています。
また、海外グループ会社においても、これらの経営人材育成プログラムへのインテグレーションを進めており、当社が主催するGLP(Global Leadership Program)の修了者は、全世界で累計382名となりました。サクセッションマネジメントはこれらの人財を基本的な母集団として外部機関のアセスメントを活用しながら実施しています。
今後も当社グループの持続的経営を支える経営人財の育成をグローバルに高度化していきます。
■経営人財管理の全体像

3.「Promote Diversity Equity & Inclusion」
(多様な人財が活躍できるカルチャーの醸成)
当社グループでは、 “働く一人ひとりの多様性を尊重することにより創造力を高めていくこと”を掲げ、全世界共通の「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン・ステートメント – “Bloom the Power of Diversity”」のもと、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進しています。
■Bloom the Power of Diversityのコンセプト

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(Diversity, Equity & Inclusion) の取り組みにおいて、特に女性活躍を推進しています。
㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.では、サステナビリティ経営推進の一環としてDEIを位置付け、全社員を対象としたアンコンシャス・バイアスやダイバーシティ・マネジメントの基本的な考え方と行動変容を促すIBT研修を継続して実施(約13,950名、受講率100%)したほか、女性社員のキャリア形成支援研修や社外研修への派遣、役員からの女性活躍推進に関するメッセージ発信等、社員の活躍を支援しています。これらに継続的に取り組むことで女性管理職数の増加を実現しており、一般事業主行動計画の目標に定めた女性経営幹部数は、2024年度は18名となりました。また、女性活躍及び社員の働き方変革の一環から、男性の育児休職取得の推進にも積極的に取り組んでおり、男性の育児休職取得率(注)は毎年増加し、2024年度末には100%となり、男性育児休職平均取得日数は109.3日となりました。また、社員の声や多様な働き方のニーズに対応するため、2024年4月にはパートナーの海外転勤等に伴う帯同を事由とした休職制度、2024年7月には不妊治療のための休暇制度を創設しています。
(注)育児目的休暇を含む
■女性管理職数の推移

(注) ㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.の集計値
(高い専門性に応じた多様なキャリアパスの実現)
㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.では、社員の有する多様なスキルのさらなる発揮にあたって、Advanced Professional(ADP)制度や、Flexible Grade制度、Technical Grade制度等の、社員一人ひとりが専門性に応じた多様なキャリアパスを実現する制度を整えています。なお、管理職登用にあたっては、新卒/経験者採用者を区別せず等しく評価し、適正に処遇するよう運用しており、さまざまなキャリアを持った社員がビジネスの最前線で活躍しています。
■キャリアパス体系

また、社員の成長が会社の成長につながり、会社の成長が社員のさらなる成長機会提供へとつながる「成長の好循環」を通じて、お客様や社会への高い価値提供を実現することを掲げ、社員一人ひとりの自律的なキャリア構築の支援を進めています。
2023年度から、より上位の上長と社員とのキャリア面談を導入し、社員が描く中長期的なキャリアビジョンを把握し、ありたい姿の実現に向けた行動の支援を実施しています。また2024年度から、社内のキャリア有識者に気軽な相談ができるキャリアメンタリングや、「今持つ専門性の進化」及び「新たな専門性の獲得」を通じて、成長した各自の総合力の発揮による多様な価値創出を目指すことを目的としたデュアルキャリアプログラム(社内兼業)等のキャリア形成支援を強化しています。
■自律的キャリア形成のプラットフォーム

4.「Future Workplace」
(働く時間と場所を柔軟に設定できる環境の整備)
業務プロセスと目的に応じて働く時間・場所のフレキシビリティを高めるため、また、多様な働き方を支援するため、リアルとリモートのベストミックスによるハイブリッドワークに対応する制度を導入しています。㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.では、組織・プロジェクトの状況等に応じて各組織で働き方改革方針を議論し、業務目的に応じたリアルとリモートの服務制度、働き方の選択が可能となっています(2024年度のリモートワーク率60.5%)。勤務時間に関しては、柔軟な働き方を推進することを目的に、フレックスタイム制度及び裁量労働制、コアタイムを撤廃したスーパーフレックス制度を導入しており、これらの制度の利用者は全社員の約7割となっています。さまざまなライフスタイルに対応可能な制度を整備し、社員の柔軟な働き方を実現しています。
(社員エンゲージメントのさらなる向上)
全世界の当社共通の価値観である「Values」について社員同士が語り合うValues Weekワークショップや表彰等の取り組みを通じて、組織の枠を越え、世界中の約19.8万人の社員が等しく多様に交流できる機会を提供しています。社員一人ひとりがその力を最大限発揮できる職場づくりが認められ、昨年に引き続き、2025年1月に「Global Top Employer 2025」に認定されました。
グローバル全体(国内、海外の主要会社)を対象に実施した2024年度の社員エンゲージメント調査において、「NTT DATAで働くことを誇りに思う」の設問に対して肯定的な回答をした社員の割合は78%となりました。特に国内においては、Best Place to Workの実現に向け、社員の声を踏まえた新しい働き方の導入が進んでいます。2024年度は社員発案により、所定労働時間の2割を「自分のやりたい仕事」に使うことができるデュアルキャリアプログラム(社内兼業)を導入しました。また、佐々木裕社長と社員との対話イベント「YUTAKAと語ろう」も2023年9月から開始され、これまでに30回以上開催しています。
社員エンゲージメントサーベイ結果については経営層及び各職場のマネージャーが、自組織の結果を職場で共有し、組織の状況・課題の把握、対策の立案・実行によるPDCAを回しています。社員の声が企業運営に反映される風通しのよい会社づくりを通し、社員エンゲージメントのさらなる向上を目指していきます。
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
・当社グループの成長と利益は、デジタル技術等の専門性に基づいて顧客に価値を提供する優秀な人財の確保・育成に大きく影響されます。こうした優秀な人財の確保・育成が想定どおりに進まない場合、事業計画の達成が困難になることや、システムやサービスの提供が困難になることがあります。これによって、お客様業務や一般利用者の生活に多大なる影響を及ぼすこととなり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループはお客様へ最適なサービスを安定的に提供するために多くの外部パートナーの力を活用しており、協力会社の人財確保状況からも大きな影響を受ける可能性があります。
[リスクへの対応策]
・当社グループにおける人財確保・人財育成
国内外問わず人財獲得競争が激化する中、各種取り組みを通じて、量及び質の確保に努めています。
国内の採用市場においては、新卒・経験者ともにさまざまなメディアを活用した母集団形成や、専門性の高さ等に応じた処遇を実現する制度(Advanced Professional制度、Technical Grade制度)での人財獲得を行っています。海外の採用市場においては、大学との連携強化やM&A等の手段も含めた即戦力人財の獲得を進めており、事業計画の達成に向け、リージョンごとに異なる事業特性に応じた人財確保を各ユニットが実行し、当社が採用数・辞職者数のモニタリングを行っています。意図しない離職の防止とエンゲージメントの向上を目指し、全世界の当社共通の価値観である「Values」について社員同士が語り合うValues Weekワークショップや表彰等の取り組みを、人財確保の対策としています。
当社の事業成長を支える人財の育成については、高度な専門性と変化への対応力を有する人財をプロフェッショナルCDPの枠組みを使い育成しています。また、グローバルマーケットで活躍できる人財の育成も進め、質を伴った量の拡大を進めていきます。詳細は「② 戦略 2.「Advanced Training」」をご参照ください。
また、社員の自己成長感、働き甲斐が重要と考えており、会社として報酬制度見直し、キャリア成長支援、柔軟な働き方の実現に取り組み、社員エンゲージメントの向上にも多角的に取り組むことで人財の定着、社員のリテンションにつなげています。
・協力会社における人財確保
国内においては、従来より協力会社とのパートナー制度を導入し、当社と協力会社との深いパートナーシップを構築することにより、当社のニーズにマッチした、安定的な人財確保に貢献いただいています。具体的には、協力会社をコアビジネスパートナー、ビジネスパートナー、アソシエイトパートナーとして認定し信頼関係を築くとともに、①社長を含む当社の経営幹部と協力会社の経営幹部が対話を行う会の開催による一体感醸成、②当社の方針や成長戦略の共有等を通じたコミュニケーションの深化、③当社のシステム開発標準の研修や新規技術分野のセミナーの開催等による技術情報提供、④生産性向上支援等、さまざまな共同施策を実施しています。
また、技術の専門性や当社のビジネス領域の変化に対応し、新たなパートナー会社の追加や見直しをしています。
当社では、中期経営計画(2022~2025年度)戦略5「人財・組織力の最大化」の3つの方針である「Advanced Training」、「Promote Diversity Equity & Inclusion」、「Future Workplace」の各取り組みに対する指標を設定しています。また、人財戦略に基づく各取り組みの総合結果として、社員エンゲージメントに関する指標を設定しています。なお、指標の一部(女性管理職比率、男性育休取得率、経験者採用率、社員エンゲージメント率)は(1)サステナビリティ経営④指標及び目標の9つのマテリアリティに関する指標と連動しています。
■人財戦略に基づく指標
(注) 特に記載がない限り、主要な構成会社である㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.の集計値
*1 2024年度に目標値を達成した指標もあるが、Best Place to workに向け維持していくことが重要な指標であるため、現中期経営計画においては2024年度と同様の目標値を設定。ただし、女性育休取得率、男女育休復職率、経験者採用率、人権及びDEIに関する研修受講率、一般社員のキャリア面談実施率、社員エンゲージメントサーベイ人財戦略3項目の向上率は2024年度までに目標達成し定着が確認できたため、2025年度の目標設定は行わない
*2 ㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.、国内グループ会社及び一部海外グループ会社の集計値
*3 当社グループ連結(国内、海外グループ会社含む)の集計値
*4 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、
*5 2025年4月1日時点
*6 ㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.、(株)NTTデータだいちの集計値
*7 ㈱NTTデータグループ、㈱NTTデータ、㈱NTT DATA, Inc.に国内、海外の主要会社を加えた集計値は78%
[方針]
当社グループは、事業の健全な成長を推進することを目的に、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、経営への影響を抑制・低減していくため、全社的な視点でグループのリスクマネジメントを統括・推進する役員及びリスクマネジメント部門を置くとともに、主要なグループ会社にリスクマネジメントを統括する役員を選任し、グループで連携してリスクマネジメント体制を整備しています。
また、当社グループの事業計画の達成、存立基盤に重大な影響を与える可能性のあるリスクを「重要リスク」として取締役会において選定しています。重要リスクは、当社にとって統制すべきリスク項目を記載したグループリスクカタログに、前連結会計年度の振り返り、直近の内部環境・外部環境、各リスクの発生可能性と影響度を反映させ、前連結会計年度の重要リスク項目の評価・見直しを実施したうえで、各リスクと経営方針・経営戦略等との関連性の程度を考慮して選定しています。
2024年度より、重要リスクを特性に応じて「事業活動に関するリスク」、「経営戦略の実行・推進に関するリスク」、「外部環境に関するリスク」、「親会社との関係」に分類し、特性に応じたリスク統制活動・モニタリングを実施することによりガバナンスの強化を図っています。

各重要リスクについては、グループ全体として重点的な統制活動を推進し、内部統制委員会において、その統制状況について定期的なモニタリングやその有効性の確認、改善事項の提言等を実施しています。
また、グループ全体としての重要リスクの統制に加え、国内事業会社である㈱NTTデータ及び海外事業会社である㈱NTT DATA, Inc.においても、それぞれの事業特性に応じた重要リスクを選定し、その統制やモニタリングを行っています。グループ全体としてのリスク統制活動と、各事業会社でのリスク統制活動は、各社のリスクマネジメント統括役員間の連携体制の下で相互連携しながら実施しており、これらの活動全体を内部統制委員会でモニタリングすることで、グループ一体的なリスクマネジメント活動の推進を図っています。
[重要リスク]
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業計画の達成、存立基盤に重大な影響を与える可能性のあるリスクには以下の(1)から(16)のリスクがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。
A 事業活動に関するリスク(主に日々の現場オペレーションにおいて発生し、第一線による統制活動が中心となるもの)
(1)システム開発リスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループの主力事業であるシステムインテグレーション事業では、一般に請負契約の形態で受注を受けてから納期までにシステムを完成し、お客様に提供するという完成責任を負っています。
そのため、契約内容の曖昧性等による当初想定していた見積りからの乖離や、開発段階に当初想定し得ない技術的な問題、プロジェクト管理等の問題が発生し、原価増となることがあります。
不採算案件が発生した場合、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
システムの完成責任を全うするため、新規性のある大規模案件を対象に当社内の第三者組織による提案準備段階における提案内容の実現性確認・契約内容の明確化等のリスクへの早期対応、受注時計画や原価見積の妥当性審査と納品までのプロジェクト実査を行っています。さらに、新規性のある一定以上の規模の案件はグループ会社の案件も含めて「高リスク案件」として選定し、進捗や課題の状況、リスクとその軽減策を定期的に把握・管理するなど、不採算案件の抑制に努めています。
(2)システム・サービス運用リスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものが多くあります。また、海外事業統合によって、データセンターやネットワークサービスの割合も増えています。これらにおいて運用中に障害が発生し、システムやサービスが停止すると、お客様業務や一般利用者の生活に多大な影響を及ぼすことがあります。また、顧客データの喪失等の問題が発生した場合にはさらに影響は大きくなり、場合によっては発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。加えて、システムやサービスの運用が滞ることは、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下にもつながります。
[リスクへの対応策]
当社グループでは、システムを安定運用し、継続してサービスを提供できるように、障害発生の未然防止と障害発生時の影響極小化の両面から、市販製品や他社提供クラウドの不具合情報や対処策情報の積極的な収集と周知、過去発生した障害の原因分析結果及び再発防止策の社内共有、チェックリストを用いた定期点検、故障発生時の連絡体制の構築や障害発生対応訓練等のさまざまな活動を実施しています。
2023年度に全国銀行データ通信システムにおいて社会的に大きな影響を及ぼした障害が発生したことを踏まえ、大規模なサービス開始を予定している案件を社内の専門組織がチェックする施策を前連結会計年度より実施し、当連結会計年度においても継続して実施しています。当社グループが提供するシステム・サービスを安心して皆さまにご利用いただけるよう、引き続き取り組んでまいります。
(3)情報セキュリティに関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは業務遂行の一環として、個人情報や機密情報を取り扱うことがあります。これらの情報について、サイバー攻撃や内部不正等による情報セキュリティ事故のリスクがあります。
サイバー攻撃に関しては、国内外問わず、ランサムウェアをはじめとする標的型メール、フィッシングによる攻撃や、テレワークやオンライン会議の脆弱性を狙った攻撃の発生に加え、国家紛争やテロと連動した武力とサイバー攻撃を組み合わせたハイブリッド型攻撃や、海外政府等のスパイや転職等に伴う人的な機密情報の持出しリスク、生成AIを活用した高度なサイバー攻撃リスクが顕在化しています。当社グループは社会インフラを提供する企業であることから、当社グループにとってサイバー攻撃のリスク顕在化の可能性は日常的にあると認識しています。また、社員等の内部不正による個人情報や機密情報の漏えいや、生成AIやクラウドサービスの誤った利用による情報漏えいは潜在的なリスクと認識しています。
当該リスクが顕在化した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当該リスクを低減するため、当社グループでは、「情報セキュリティ委員会」のもと、情報セキュリティポリシーや個人情報保護方針を制定し、情報技術の進歩や社会情勢の変化、外部の脅威動向等を把握し、技術、管理の両面から関連施策の見直しや改善を実施しています。
特に、サイバー攻撃への備えとしては、防止・検知・対応・復旧のための各種ソリューションの導入、24時間体制の監視運用を行うとともに、インシデント発生時の緊急対応のためのCSIRT組織として「NTTDATA-CERT」を設置し、万一に備えての初動対応訓練等を実施しています。
(4)コンプライアンスに関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループはグローバルに企業活動を展開しており、海外事業の拡大に伴い、国内だけでなく、海外の法令を遵守する必要が生じています。各国の法令の中には、当該国内における企業活動について適用されるだけではなく、EUのGDPR(注1)や米国のFCPA(注2)等、当該国の域外においても適用される法令があり、当社グループはこれら域外適用法令も遵守する必要があります。これらの法令に違反した場合は多額の制裁金や当局対応に要する費用の支払いが必要となる可能性があります。このほかにも、会計基準や税法、取引関連等のさまざまな法令の適用を受けています。不正な会計処理やサプライチェーン上における不正や横領等といった法令違反が発生した場合は、当該不正等による損害はもとより、課徴金の支払い等が必要となる可能性があります。
さらに、このような法令違反が発生した場合は、費用の支出といった経済的損失のみならず、社会的信用やブランドイメージが大きく低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループでは、法令違反等のコンプライアンスリスクの低減・未然防止のため、リスクを抑止し、探知し、対応するためのコンプライアンスプログラムをグローバルで構築し、同プログラムを継続的に評価・改善することにより、コンプライアンス強化に努めています。具体的には、リスク抑止の仕組みとしてグループの役員及び社員が遵守すべき「NTTデータグループ行動規範」を制定して日々の活動における規範を明確化し、行動規範に沿って、必要な規程類を整備し、研修等の教育啓発を行っています。また、リスク探知の仕組みとして内部通報制度を導入してグループ全役員・社員・取引先社員からの通報を促す仕組み等をグローバルで整備しています。リスクが顕在化した際には、影響最小化に向けた対応、再発防止に向けたプログラムの改善等の対応を行っています。
(5)人権対応に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
お客様にとって最適なサービス・ソリューションの提供をグローバルに展開する当社グループは、各国・各地域における法令遵守はもとより、国際基準に適合した適切な企業行動が必要とされています。とりわけ、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(注3)」に対しては、サプライチェーンを含めて、企業が適切な責任を果たすことが社会から求められています。
バリューチェーン上の人権課題に対し、適切な対応が取られていない場合、経済的損失、社会的信用の低下による当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、「NTTデータグループ行動規範」を制定し、社会課題への取り組み姿勢や、社員が事業活動において参照すべき行動を明確に示すとともに、サステナブルな社会を目指し、各国・各地域に存在するさまざまな人権テーマ、バリューチェーンにおける人権課題への姿勢を示した「NTTグループ人権方針」に沿って企業活動を展開しています。
具体的には、「ビジネスと人権に関する原則」をもとに、人権デューデリジェンスプロセスを用いて、人権課題の特定、防止、軽減、是正をグローバル規模で実施しています。また相談窓口を設置・運用するとともに、人権に関する社内研修を開催し、人権マネジメントの向上と社員の人権意識の醸成に努めています。
B 経営戦略の実行・推進に関するリスク(経営課題に対する戦略を確実に実行・推進していくことが統制内容となるもの)
(6)出資・M&A・設備投資に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、新技術やソリューション、開発リソースの獲得及び戦略的パートナーシップの構築等を目的とし、国内外の企業・組織への出資を実施しています。また、Global 3rd Stageの達成に向けてはM&Aを重要な手段の一つと捉え、デジタル関連ケイパビリティの獲得及び海外売上・シェア拡大によるプレゼンス向上を目的とした海外M&Aを推進・実行しています。M&Aの実施にあたっては、当社グループと共通の価値観・親和性を持っていることを最重要視し、注力技術・Industryの観点を中心に、当社グループとのシナジー効果の実現性の見極めを実施しています。
M&Aにおいては、特に海外の出資先において法的規制、税制、商習慣の相違、労使関係、各国の政治・経済動向等の要因により、当社グループの適切なコントロールが及ばず事業運営を円滑に行うことが困難となった場合や出資先に対し当社グループとのシナジー効果を十分に発揮できず売上や利益が想定を大きく下回るなど、期待したリターンが得られなかった場合、のれん等の減損処理を行うなど、当社グループの経営成績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは生成AIによる需要の急増を好機と捉え、データセンター事業へ積極的な設備投資を実施しています。データセンター事業への設備投資においては、投資回収期間が長いため、需要が予期しない事態により想定よりも大きく減少し、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、成長分野への出資・M&A・データセンター事業への設備投資が適時適切に実施できない場合は、当社グループの持続的な成長を損なう可能性があります。
[リスクへの対応策]
M&Aやデータセンター事業投資の意思決定時には、資本効率性を意識した正味現在価値(NPV)等の指標を用いた投資対効果の評価や、第三者評価による財務健全性の評価等を判断要素としています。
M&Aにおける重要なリスクと認識している、当社グループの適切なコントロールが及ばず事業運営を円滑に行うことが困難となるリスクについては、出資時の意思決定において、事業部門及びファイナンシャルアドバイザ・会計士・弁護士等外部有識者によるビジネス面に着目したデューデリジェンスと、出資先のカントリーリスクを踏まえたコンプライアンスに着目したデューデリジェンスの実施を必須とし、発見された各リスクの検証、対応策を踏まえた意思決定を実施することにより、当該リスクの低減に努めています。
また、当社グループとのシナジー効果を十分に発揮できず売上や利益が想定を大きく下回るなど、期待したリターンが得られないリスクについては、当社グループとのシナジー創出による買収先会社の継続的成長を重要視し、案件の規模や内容に応じてロングタームインセンティブ(一定期間の勤続に伴う報酬)やアーンアウト(買収価格の分割払い)等のスキームを活用しています。加えて、意思決定時にM&A実施後の統合プロセス(PMI)計画の作成を必須とし、M&A効果の最大化に向けた統合プロセスを早期から実施することにより、当該リスクの低減に努めています。
当社は連結会計年度末における予期せぬリスクの顕在化を抑制するために、定期的に買収先会社の経営状況、PMIの取り組み状況等のモニタリング及び必要な是正を行っています。
また、持続的な成長を維持するため、事業会社とともに出資・M&A候補企業のパイプラインを戦略的に構築・管理しており、成長分野における出資・M&Aを適時適切に行えるよう努めています。
データセンター事業への設備投資においては、リスクとして認識している需要の減少に対して、生成AI等先進技術の進展による市場動向の把握や需要予測を実施し、定期的な事業モニタリングを行い、リスクの低減に努めています。
上記のような対応策により、当該リスクが当社グループの経営成績及び財務状況に大きな影響を与えることのないよう、入念な検証及び適切なガバナンス体制の構築を行うことで、リスクの顕在化防止に努めています。
(7)市場・競争環境の変化への適応に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
社会を取り巻く環境は日々大きく変化しており、地球環境への貢献を含む社会課題の解決と、新しい価値創造をはじめとする経済価値向上の両立等、企業経営に求められる要素は多様化しています。また、テクノロジーの進化を背景にさまざまなモノ・ヒトがつながることで、企業活動から人々の消費・生活スタイルまであらゆる社会トレンドが変化しています。
昨今、AI技術の進化やクラウドコンピューティングの普及等により、企業は従来業務のさらなる効率化や新たなビジネスモデルの展開が可能となるとともに、こうした需要拡大によりデータセンターやネットワークの重要性が高まっています。このように、ITサービス・ITインフラが果たす役割はますます大きくなり、さまざまな業種・業界の成長エンジンになりつつあります。
今後もITサービスの需要環境は堅調に推移していくものとみられていますが、コンサルティング企業との競合や新規プレイヤーの参入等により競争環境は依然として激化しており、この状況は継続していくものとみられます。
そのため、市場ニーズ等の変化に迅速・柔軟に対応するとともに、さらなるグローバルレベルでの事業競争力強化に努めない限り、中長期的には当社グループの持続的成長は損なわれ、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
グローバルを前提とした戦略の下で事業環境の変化に迅速に対応するため、2023年7月から持株会社体制に移行しました。また、2022年10月には、NTT Ltd.との統合によりITとConnectivityを融合したサービスを提供する企業へと進化しました。これらの変革により、コンサルティングやアプリケーション開発からConnectivity領域までを含むデジタルトランスフォーメーションに必要なサービスを一元的に提供し、複雑化・多様化するお客様のニーズにグローバルレベルで対応しています。
海外全体の収益性・競争力を高めるため、事業ポートフォリオ変革、コーポレート機能最適化・オフィス統合、ITシステムの最適化等の事業統合を加速させ、シナジー効果の創出を図ります。加えて、リージョナルユニットの横断組織であるGlobal Practiceを設置し、リージョン全体の機能を集約することにより、事業成長を促進していきます。
競争力強化に向けては、業界・技術の予測を起点としたコンサルティング力強化、そしてアセットベースの価値提供により高いアジリティを実現しています。これにより、経営変革・事業変革の構想策定から実現まで、一気通貫の対応力を強化し、お客様への提供価値を最大化します。また、先進技術とシステム開発技術の強化を進め、未来の競争力獲得と生産性向上を目指しています 。
将来の市場環境の動向把握に関しては、情報収集機能の強化に取り組んでおり、グローバルでの市場動向や競合等の環境変化に関するサーベイを行い、継続的に経営幹部間で議論を実施していきます。
人財育成については、AWS、Microsoft、Google Cloud等のパートナー企業とのアライアンスを通じた育成によるデジタル対応力強化等を実施しています。さらに、成長投資として、M&A・出資、戦略投資、データセンター投資、人財投資、ITサービス投資の枠組みで積極的な投資を継続し、将来にわたっての事業競争力を強化していきます。
(8)人財確保に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]及び[リスクへの対応策]
当社グループの成長と利益は、デジタル技術等の専門性に基づいて顧客に価値を提供する優秀な人財の確保・育成に大きく影響されます。こうした優秀な人財の確保・育成が想定どおりに進まない場合、事業計画の達成が困難になることや、システムやサービスの提供が困難になることがあります。この対策として、人財獲得や人財育成、人財の定着の取り組みを行っています。
詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本 ③リスク管理」をご参照ください。
(9)AIの利活用・先進技術への対応に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが属する情報サービス産業では先進技術の進展が目覚ましく、先進技術の積極的な利活用は当社グループの事業成長に向けた大きな機会である一方、先進技術の利活用によるビジネス機会の創造や自社の生産性向上への対応が遅れた場合、市場での競争力やブランド価値が低下し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。また、先進技術の中でも特にAI(機械学習・人工知能)は、その性能の進展に伴い、社会実装の範囲も予測・分類といった用途から、対話や生成といった人的業務の代行まで拡大を続けている一方、その利活用にあたっては、安全性・正確性の確保や、倫理的配慮等の対応が求められており、適切な対応ができない場合には、社会的信用やブランドイメージが低下する可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループでは、技術の成熟度に応じた3つの領域(Emerging、Growth、Mainstream)における取り組みにより、未来の競争力獲得に向けた先進技術活用力の強化を推進しています。具体的には、Growth/Emerging領域では、Foresightで将来活用される先進技術の目利きを行い、グローバルレベルで先進的な取り組みを行うお客様とのPoC(注4)等を実現してまいります。Mainstream領域では、当社グループが強みとしている技術の活用力をさらに磨いてまいります。また、先進技術への感度が高い海外に専門拠点を設置し、新興技術の情報を早期に収集し、グローバルなメンバーで構成されたステアリングコミッティにて経営トレンドや技術トレンド等も考慮しながら革新技術を見極める取り組みを推進しています。そして、特に力を入れて投資すべき注力技術を、グローバルで技術戦略を議論するCTO級会議にて決定し、取り組みを推進しています。また、NTT研究所の研究開発成果を取り入れています。
AIに関しては、AIの適正活用を推進するための組織として、AIガバナンス室を2023年4月に設置しました。AIガバナンス室では、人間とAIが共生する「より豊かで調和のとれた社会」の実現に向けて、グローバル共通の「AI指針」や「AIリスクマネジメントポリシー」を整備しています。また、これらの指針やポリシーにもとづいたマネジメントを実現するために、AIリスクに関するマネジメントルールやAI利用のためのガイドラインを整備し、システム開発や社内業務におけるAIガバナンスの取り組みを拡大・継続しています。さらに、政府が主導するAIガバナンス関連の取り組みにも参画し、AIを扱う企業として、AI活用の恩恵を最大限に享受できるサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
(10)気候変動に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響] 及び [リスクへの対応策]
気候変動が世界的に深刻化し、当社グループの気候変動取り組みが遅れることによる評判低下、異常気象による災害リスクの増加、及びカーボンプライシングによるコスト増加等のリスクがあります。この対策として、全社横断のサステナビリティ経営推進委員会による活動推進、レジリエンスの高いデータセンターやオフィス環境の実現、省エネ施策や再生可能エネルギー導入による温室効果ガス排出量の削減を進めています。
詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動 ③リスク管理 表1(気候関連のリスク)」をご参照ください。
(11)知的財産に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが事業を遂行する上で必要な知的財産にかかる権利について、当該権利の保有者よりライセンス等を受けられず、その結果、特定の技術、商品またはサービスを提供できなくなる可能性があります。また、当社グループは、「アセットベースビジネスへの進化」という戦略の柱において、業務を通じて生み出された業界・業務のフォーサイト、ベストプラクティス、ソフトウェア、自社ツール等を活用したコンサルティングからデリバリー・マネージドサービスをグローバル全体で推進しています。こういった活動が他者の知的財産を侵害したとして損害賠償請求を受ける可能性や、知的財産への戦略的な投資・活用等が不十分なこと等により当社グループの競争優位性が低下する可能性があります。いずれの場合も当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループでは知的財産活動を推進する担当組織を設置し、AI等の注力技術やアセットを中心とした、当社グループビジネスにおける競争優位性の源泉となる知的財産の確保・活用に取り組んでいます。また、侵害予防調査(クリアランス)、事業部門からの知的財産に関する各種相談対応や当社グループ内での教育・啓発活動を実施し、当社グループの知的財産の保護、第三者の知的財産権侵害防止に努めています。
C 外部環境に関するリスク(当社起因でない理由で発生し、発生時の影響低減に向けた統制を行うもの)
(12)大規模災害や重大な感染症等に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものもあることから、行政のガイドラインに準拠した事業継続のための体制整備や防災訓練のほか、従業員の安否状況確認等を適宜実施しています。
しかしながら、巨大地震や気候変動、その他の大規模な自然災害等が発生した場合、従業員の安全が脅かされることや、システムや従業員等の多くが被害を受けることでサービスの提供が困難になり、お客様業務や一般利用者の生活に多大なる影響を及ぼすことがあります。その結果、当社グループの社会的信用やブランドイメージが低下するおそれがあるほか、多額の復旧費用等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症等の発生によって、従業員等の感染や、感染拡大防止のために従業員が出社できなくなること等によってシステムやサービスの提供が困難になる可能性があります。
これらリスクの発生により当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
被災時における事業継続については、従業員等の安全の確保と事業の継続を目的として、一定の基準を超える災害発生時には事業継続計画を発動し、代表取締役社長を執行責任者とする体制により、臨機応変な対応を行います。また、事業継続性を確保するために、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、オンライン環境の増強を進め、オンラインで可能な業務はオンラインで実施することで、社員や協業者の安全確保を行いながら、確実に事業を遂行します。
また、一方では従来以上に、お客様の働き方改革やそれに伴うIT投資、デジタル化のニーズが顕在化する可能性もあり、社会的なインフラを担うシステムやサービスを提供する当社グループは取り組みを通じて得た、デジタル等先進技術に関するノウハウやインダストリーの知見を最大限活用し、お客様・社会全体のデジタル化への貢献を通じて事業拡大に取り組んでいます。
(13)地政学に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループの事業は、日本国内だけではなく、さまざまな国・地域において広く事業展開を行っています。そのため、世界各国の政治・経済・社会情勢等の変化や地域間摩擦、テロや戦争といった国際紛争の発生等により、従業員の安全が脅かされる可能性や、お客様に対するシステムやサービスの提供停止、事業継続困難等の事象が生じることにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社グループは、特定のリージョンに依存しない事業ポートフォリオとすることで、各国における政治・経済動向等の変化がもたらすリスクを分散し、事業全体が大きな影響を受けない構造にしています。
また、当社グループは、関連する組織によるグループ横断的な体制において、本リスクについて継続的に必要な情報収集、シナリオ・影響分析を行いつつ、対応方針とアクションプランを整備し、本リスクが発現した場合は派生的に発生する各種リスクへの対応も含め、迅速かつ的確に対処することを可能とする体制を構築しています。
(14)為替・金利の変動やインフレーションの進行に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、グローバルに企業活動を行っており、当社グループが拠点とする機能通貨以外での売買取引、ファイナンス、M&Aや設備投資等に伴う為替変動リスク、有利子負債による資金調達に伴う金利変動リスク、及び当社グループが事業を行う国・地域でのインフレーションの進行に伴う調達コスト、人件費等の高騰リスクに晒されています。
外部・内部環境変化による予測の範囲を超える急激な為替変動、金利変動及びインフレーションの進行がある場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、現中期経営計画においては、中長期的な成長に向けたデータセンター事業等への戦略的な先行投資を実行しており、そのために必要な資金を外部から調達しています。これにより有利子負債が増加することで、金利変動が当社グループの経営成績に与える影響が増大する可能性があります。
[リスクへの対応策]
為替変動リスクに対しては、当社グループは非機能通貨のキャッシュ・フローの経済価値を保全するべく為替予約等の契約を利用することにより、為替変動リスクを管理しています。これらの取引が為替変動による影響を有効に相殺していると判断しています。
金利変動リスクに対しては、当社グループは長期固定的な条件での調達を実施することを基本としつつ、資金使途や金融市場の状況に応じて複数の調達手段及び調達条件を組み合わせることで、安定的かつ低利な資金の確保を行い、当該リスクが当社経営成績へ与える影響の抑制に努めています。
調達コストの高騰リスクについて、NTTグループ内の調達専門会社(NTT Global Sourcing, Inc.)の活用や、広く国内外の調達先から提案をいただく等により、より良い製品をより安く調達する努力を行うことで影響の抑制に努めています。
また、当社グループは単純な価格転嫁ではなく、より高い付加価値を生み出し、お客様にサービス提供することで、価格上昇についてご理解いただくよう努めています。
(15)規制対応に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社グループは、グローバルに企業活動を行っており、活動を行っている地域・国の規制、法令適用や政府の政策等、さまざまな要因の影響下にあります。また、これらの要因は当社グループが関与し得ない理由によって大きく変化する場合があり、このような変化が生じた際には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
例えば、国際情勢の変化等により、本邦及び各国で定める経済安全保障関連等の法令及びガイドラインが厳格化される傾向があります。当社グループがその対応に遅れた場合、当局による処分だけでなく、重要な社会基盤を支える当社グループの事業に対する社会的信用が低下することで、事業戦略やビジネスモデルの変更を余儀なくされる可能性があります。
[リスクへの対応策]
各種法令や政策動向によるリスク要素の重要性が高まっていることを踏まえ、各国の規制環境に関する情報把握・分析や政府検討状況を注視しつつ、安定的なサービス提供の確保に向け適切な対応を行っていきます。
D 親会社との関係
(16)親会社の影響力
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社の親会社である日本電信電話㈱は、当連結会計年度末現在、当社の議決権の57.7%を保有している大株主です。当社は同社から独立して業務を営んでいますが、重要な問題については、同社との協議、もしくは同社に対する報告を行っています。このような影響力を背景に、同社は、自らの利益にとって最善であるが、他の株主の利益とはならないかもしれない行動をとり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
グローバルを展望した事業環境の変化を踏まえ、引き続きお客様事業の成長に貢献し、長きにわたり社会インフラを支えていくためには、NTTグループとの連携を強化し、NTTグループトータルで新たな価値を創造していく必要があると考えています。また、NTTグループ全体の調達集約等によるコスト削減等のスケールメリットを生かした連携も進めています。
このような連携を進めつつ、日本電信電話㈱から独立した意思決定を確保するため、当社は、同社との間で締結する重要な契約については、法務部門による法務審査や必要に応じた社外弁護士の見解取得を実施した上で、意思決定を行っています。また、特に重要な契約については独立社外取締役が過半数を占める取締役会での承認を必須としています。
今後も引き続き、同社との間で、相互の自主性・自律性を十分尊重し、同社との取引等について法令に従い適切に行うことで、リスクの顕在化防止に努めます。
[参考]
日本電信電話㈱(以下、「公開買付者」)による、当社の普通株式(以下、「当社株式」)に対する公開買付け及びその後の一連の取引により当社は公開買付者の完全子会社となり、当社株式が上場廃止となる予定です。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記37.後発事象」に記載のとおりです。
(注1)GDPR
EU域内の個人情報を取り扱う際に適用されるEU一般データ保護規則のことです。
(注2)FCPA
贈収賄にかかる米国の海外腐敗行為防止法のことです。
(注3)ビジネスと人権に関する指導原則
2011年6月に国連の人権理事会において全会一致で支持された文書であり、「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つの柱で構成されています。
(注4)PoC(Proof of Concept)
「概念実証」のことで、新たな概念やアイディアの実現可能性を示すための簡易な試行のことです。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
①全社
グローバルでのデジタルトランスフォーメーション(DX)等の加速やニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図るとともに、コンサルティングからアプリケーション開発、インフラサービスまでを含めた多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。
当期における業績につきましては、日本セグメント、海外セグメントのデータセンター事業・SAP事業が好調だったこと等により前年同期比増収増益となり、売上高及び当社株主に帰属する当期利益は業績予想を達成しました。
②セグメント
セグメント別の取り組み及び業績については、以下のとおりです。
(日本)
各分野とも、業界・顧客の事業課題・経営課題に対応するオファリングを設定し、コンサルティング・デジタル関連案件の拡大を目指しました。また、より収益性が高い案件への選択と集中、不採算ビジネスの抑制により収益性を高めました。
当期の日本セグメントの業績は以下のとおりです。
・売上高は、公共・社会基盤分野における大幅増収を中心に公共・社会基盤分野、金融分野、法人分野の全てで増収しており、1,933,246百万円(前年同期比10.0%増)となりました。
・営業利益は、増収に伴う増益により、205,212百万円(前年同期比9.9%増)となりました。
日本セグメントにおける各分野の取り組み状況は次のとおりです。
[公共・社会基盤]
当分野は、少子高齢化や環境問題等の社会課題が顕在化する中、利用者視点に立ったForesight起点のコンサルティングにより社会をデザインし、その実現に向けて官民・インダストリーの壁を越えた連携や、非IT領域も含めた対策、及び関連するプレイヤーの共創によるエコシステム構築によって、事業を拡大するとともに社会課題解決を目指しました。
<高分解能・高頻度な衛星システムの開発に着手>
高頻度かつ高精度な撮影が可能な衛星観測システムを整備し、衛星画像提供から利用者の判断支援までワンストップで提供できる仕組みを構築することを目指して、観測衛星サービスを提供する㈱Marble Visionsを設立しました。また、同社はJAXA(注1)により、宇宙戦略基金の技術開発テーマ「高分解能・高頻度な光学衛星観測システム」(以下、本事業)の事業者として採択されました。
さらに、本事業の実現に向け、㈱パスコ及びキヤノン電子㈱と資本業務提携を行うことで合意しました。これまで当分野は、衛星画像付加価値コンテンツであるデジタル3D地図事業「AW3D」(注2)を通じて宇宙ビジネスに貢献してきました。㈱パスコ、キヤノン電子㈱とともに、衛星データ活用のユースケース及びお客様からの具体的なニーズを衛星システムに取り込むことで、衛星開発から衛星データの活用までの垂直統合を加速させていきます。㈱Marble Visionsは2027年までに衛星の初号機を打ち上げ、2028年までには計8機の衛星について順次打ち上げを予定しています。
㈱Marble Visionsを通じて、国内外の多様な公共・産業分野で活用可能な衛星観測システムを整備し、宇宙の目から得られるインサイトを迅速に提供し、社会課題解決に寄与することを目指します。
[金融]
社会のデジタル化の進展により、生活に密着した金融サービスが次々と登場している中、金融システムにおける信頼性と先進性の両立の必要性を再確認しました。当分野は、勘定系システムのオープン化フレームワーク「PITON」適用により、2024年1月に共同利用型勘定系スキーム「MEJAR」をオープン化した実績を基に統合バンキングクラウドの開発に着手し、金融システムにおける信頼性と先進性の両立を実現するための組織体制を整備しました。こうした取り組みにより安心・安全な金融インフラを永続的に支えるとともに、業界をつなぐ新たな金融サービスの創出・拡大を目指しました。
<共同利用型次世代営業店システム「営業店スマート化」ソリューションを本格導入>
㈱西日本シティ銀行を含む地銀共同センター(注3)参加行とともに共同利用型次世代営業店システム「営業店スマート化」ソリューションを開発し、同行において本格導入しました。
タブレットを利用した共同利用型の営業店システムは、銀行業界初のソリューションです。
参加行ではインターネットバンキング等の非対面チャネルの利用頻度の高まりやデジタル技術の革新等により、顧客接点である営業店及びそのシステムの在り方が共通の課題となっていました。本ソリューションでは、営業店における接客で使用する営業店システムを、各行専用端末による銀行個別システムから、タブレット等の汎用デバイスによる共同利用型のシステムに置き換えます。タブレット端末において顧客自身により手続きを完結可能とすることで来店時の待ち時間を短縮するとともに、バンキングアプリ等の非対面チャネルと連携し、顧客の利便性を向上します。行員は、タブレット搭載の手続きシナリオに沿った接客により確実な事務手続きが実施でき、事務効率化により生まれた時間を活用した顧客に対するソリューションの提案等の高付加価値業務へのシフトが可能となります。
本ソリューションの地銀共同センター参加行をはじめとする他の金融機関への展開やサービス拡充を進め、金融機関の店舗をはじめとしたユーザー接点のデジタル化を実現することを通じて、地方の労働人口減少という社会課題の解決に貢献していきます。
[法人]
当分野は、コンサルティング、ペイメント、テクノロジーそれぞれの専門性を発揮し提供価値向上を担うとともに、各インダストリーの知見を束ね、Foresight起点で業界・お客様のあるべきビジネスの姿をお客様とともに描きました。また、それを実現するための企画策定から、先進技術活用力とシステム開発技術力を活用した変革の実現まで、一貫して高い価値を提供することで、お客様のビジネス変革、サービス創出をともに実現しました。
<“博報堂×NTTデータ”で企業の「デマンドチェーン変革」を推進>
企業の経営テーマの設定、戦略策定、生活者体験設計からデータ・テクノロジー活用、システム実装までを一気通貫で支援することを目的として、㈱博報堂とともに合弁会社㈱HAKUHODO ITTENIを設立しました。2025年4月より営業を開始し、企業のバリューチェーンを生活者目線で捉えることで、お客様企業の「デマンドチェーン変革」を推進します。
㈱NTTデータは、ITを起点として企業のデジタル変革を支援してきた強みを持ち、一方で㈱博報堂は深い生活者理解に基づいた顧客接点領域でのクリエイティビティを強みとしております。両社の知見やケイパビリティ、ソリューション等を組み合わせることで、1社だけではできなかった幅広い領域での提案を推進します。
今後も、「デマンドチェーン変革」の推進により、お客様企業の売上・利益の向上に貢献するとともに、業種・業界の垣根を越えて、より豊かな社会・生活につながる新たな価値の実装を目指します。
(海外)
3つのリージョナルユニット(North America、EMEAL、APAC)とグローバルユニット(Global Technology and Solution Services)で構成される新たな組織体制での一歩を踏み出しました。
コーポレート機能最適化等の取り組みに伴う事業統合費用の増もありますが、生成AIに代表される最先端技術の活用によりイノベーションを加速させ、お客様への提供価値増大を目指しました。
当期の海外セグメントの業績は以下のとおりです。
・売上高は、為替影響及びGTSSにおけるデータセンター事業、SAP事業が順調に拡大したことに伴う増収により、2,750,863百万円(前年同期比3.6%増)となりました。
・営業利益は、為替影響及びGTSSにおける増収に伴う増益はあるものの、リージョナルユニットでの収益性の悪化等により、100,247百万円(前年同期比13.4%減)となりました。
海外セグメントにおける各ユニットの取り組み状況は次のとおりです。
[North America]
グローバルIT市場の約40%を占め、世界最大の市場規模である北米において、オーガニックな成長及び買収を通じて、コンサルティング、クラウド・トランスフォーメーション、デジタルオファリング、生成AIアセット等の最新のサービスポートフォリオを活用し、既存顧客からの取引拡大と新規顧客獲得の双方を目指しました。また、収益に見合ったコスト構造の適正化を図りました。
<重点顧客から大型の新規案件を獲得>
米国の大手ヘルスケアソリューションプロバイダーより、お客様が提供するサービスのIT環境高度化に関する7年間にわたる大型案件を受注しました。本案件では、お客様の使用するデータセンターを当社グループのデータセンターに集約するとともに、お客様のIT環境をマルチクラウドプラットフォームへ移行することにより、お客様の機動的な業務運営や管理コスト削減を実現します。本案件は、自社データセンターの提供を含めフルスタックでソリューションを提供できる唯一のパートナーであったことや、グローバルクラウド事業者との強力なパートナーシップを評価されたことにより、受注に至りました。
[EMEAL]
英国、ドイツ、スペイン等の主要市場でのビジネス拡大に重点を置き、高い競争力を有するデジタルBPS、CX、クラウド・トランスフォーメーション、データアナリティクス、生成AIアセット等に投資するとともに、サービスのスピード、品質、コストに関わるデリバリー能力の強化に取り組みました。
<世界的な再生可能エネルギー事業者を一気通貫で支援>
再生可能エネルギーにおける世界的な事業者との間で、基幹ビジネスに関わるアプリケーションのモダナイゼーション及びクラウドマイグレーションに関する契約を締結しました。本案件では、お客様のコアビジネスである再生可能エネルギー生産量の制御等のシステムを最適化することにより、お客様ビジネスを加速し、効率性を向上します。また、開発工程においては、アジャイル開発及び生成AI適用により生産性の向上を実現します。本案件は、お客様がグローバルに使用するコアシステムの開発や実装を通じて10年以上にわたりリレーションを構築し、お客様の戦略パートナーとして認められたことに加えて、当社グループの海外各国でのローカルプレゼンスの高さや戦略立案から実装まで一気通貫でグローバルにサポートを実現できる点を評価されたことにより、受注に至りました。
[APAC]
持続的な成長が見込まれる市場環境の中、インド、オーストラリア、シンガポール等の主要市場において、テクノロジーソリューション(注4)領域の強化に取り組むとともに、デジタルビジネスやERP関連のオファリングを活用し、既存顧客からの取引拡大と新規顧客獲得の双方を目指しました。また、特定の戦略分野においては当ユニットだけでなくパートナー企業との共創により成長を加速しました。
<クラウドビジネスのさらなる強化>
業界特有のニーズに合わせたクラウドベースのデータ分析やAIを活用したソリューションの開発及び導入の拡大を目的に、Google Cloudとの戦略的パートナーシップを拡大しました。当社グループの技術力や業界専門知識に、Google Cloudのデータ分析やAI、クラウドに関する技術を結び付けることで、お客様のイノベーションを牽引しビジネスアジリティを向上するソリューション開発を行うなど、クラウドビジネスの強化を推進します。
その一環として、Google Cloud Platform(以下、GCP)サービスに特化したクラウドエンジニアリング企業である、Niveus Solutions Pvt. Ltd.(以下、Niveus社)の買収について同社と合意しました。Google Cloudのトップパートナーの1社であるNiveus社の、GCPによるモダナイゼーションやデータエンジニアリング、AIの専門知識を持つ約1,000名の人財を加えることで、当社グループのGoogle Cloud関連ビジネスを強化します。本取り組みを通じて、当社グループのGoogle Cloudに関するグローバルシステムインテグレーターとしての地位を確立するとともに、クラウドに係るケイパビリティ強化をさらに推進することにより、業界横断での革新的なクラウドソリューションに対する世界的需要に対応します。
[Global Technology and Solution Services]
世界において高いプレゼンスを有するデータセンター事業者並びにIPネットワークプロバイダーとしての強みを活かし、信頼性の高いインフラサービスをグローバルに提供しました。また、ネットワークサービス、クラウドサービス、エッジコネクティビティ(プライベート5G)及びコンピューティングにおける強みを引き続き強化し、NTT DATA, Inc.のデジタルソリューションの一部として、一連のサービスをワンストップで提供しました。
SAP事業についても引き続き注力し、コンサルティング、アプリケーション、データサービスを通じて成長を加速しました。また、ショアリング、オートメーション、知的財産の活用を通じて、デリバリー能力の強化を進めました。
<データセンター事業におけるサービス提供可能容量拡充>
データセンター事業は、旺盛な需要を背景に成長が見込めることから、当社グループは積極的に投資を進めており、2024年度は4,130億円の投資実績となりました。当年度にサービス提供可能容量を新たに約380MW拡充し、全世界で約1,500MWの規模でサービスを提供しています。
また、日本国内において、栃木市の新たなデータセンター用地取得内定業者として選定されました。本用地は、首都圏エリアにおける新たなデータセンターとして開発を進めており、2棟で約100MW規模のサービス提供を予定しています。
③今後の取り組み
当社グループは、中期経営計画目標は達成する見通しですが、海外セグメントのリージョナルユニットにおいて引き続き収益性の改善に取り組む必要があると認識しています。グローバルでの競争力を高め持続的に成長するためには、財務健全性への影響を考慮しつつ、成長領域への積極的な投資や戦略的なM&Aを推進するとともに、多様な人財が長期に活躍できる環境・文化への変革に取り組む必要があると認識しています。
今後の取り組みの詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 [対処すべき課題] ②対処すべき課題と対応」のとおりです。
(注1)JAXA
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構のことです。
(注2)AW3D
㈱NTTデータと一般財団法人リモート・センシング技術センターが提供する、世界で初めて5m解像度の細かさで地球上の全ての陸地の起伏を表現した「デジタル3D地図」のことです。
衛星画像を元に作成された3D地図データは、世界130カ国・地域以上、4,000プロジェクト以上で活用されています。
(注3)地銀共同センター
当社グループが構築・運営する、地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センターのことです。参加行は以下のとおりです。
(利用開始及び銀行コード順)
㈱京都銀行、㈱千葉興業銀行、㈱岩手銀行、㈱池田泉州銀行、㈱あいち銀行、㈱福井銀行、㈱青森みちのく銀行、㈱秋田銀行、㈱四国銀行、㈱鳥取銀行、㈱西日本シティ銀行、㈱大分銀行、㈱山陰合同銀行
(注4)テクノロジーソリューション
ルーター等の通信端末機器を用いたソリューションのことです。
(2) 財政状態及びキャッシュ・フローの分析
①財政状態の状況
当連結会計年度末の資産は、有形固定資産及び営業債権及びその他の債権の増加等により、前連結会計年度末に比べ557,955百万円増加し、7,777,384百万円となりました。負債は、有利子負債の増加等により前連結会計年度末に比べ469,878百万円増加して、4,908,892百万円となりました。
また、資本は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ88,078百万円増加し、2,868,492百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は444,635百万円と前連結会計年度末に比べ12,861百万円増加となりました。
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業債権等の増による減少はあるものの、当期利益139,260百万円や減価償却費及び償却費364,161百万円等により397,148百万円の収入(前年同期比101,642百万円の収入減少)となりました。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、その他の金融資産の売却はあるものの、有形固定資産及び無形資産の取得や子会社の取得により、669,743百万円の支出(前年同期比45,235百万円の支出増加)となりました。その結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは272,595百万円の赤字(前年同期は125,718百万円の赤字)となりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、主に有利子負債の調達等により、289,409百万円の収入(前年同期比180,244百万円の収入増加)となりました。
③資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金調達については、NTTグループの強固な財務基盤を背景としたNTTグループファイナンスを中心に資金調達を実施しています。また、NTTグループのキャッシュマネジメントシステムにも加入しており、現金及び現金同等物の代替となる資金流動性も十分確保するとともに、当社グループの国内外の子会社にグループキャッシュマネジメントシステムを導入し、当社グループ内の資金集中・配分を実施することで、当社グループ全体の有利子負債と支払利息の低減を図っています。
(3) 重要な会計方針及び見積り
当社グループにおける重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
(4) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 金額は、製造原価(販売価格)によっています。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 ANSER、CAFIS等利用量に見合う料金をいただくサービスについては、受注高に含めていま
せん。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
各販売先における販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、主な相手先
別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しています。
日本電信電話㈱と当社を含むNTTグループ企業の間で、同社が行う基盤的研究開発の成果の使用権を得るための契約、及び相互の自主・自律性を尊重しつつ、NTTグループ全体の利益の最大化を通じて、グループ各社の利益を最大化することを目的としたグループ経営に関わる契約を引き続き締結しています。
当社グループは、技術トレンドを積極的にビジネスに取り入れるための「先進技術活用・イノベーション推進」に取り組んでいます。また、「生産技術革新」に関する研究開発として、システム開発の効率化・高品質化や生成AI技術の活用、クラウド基盤の構築等に引き続き注力しています。
先進技術に関する知見やノウハウをグローバルで集約・活用しイノベーションを推進していくとともに、次世代の生産技術を磨いていきます。
さらに、日本電信電話㈱との研究開発連携により、基盤的研究開発テーマについてはその成果を活用し、当社のリソースを応用的研究開発テーマに重点配分しています。
当連結会計年度の研究開発費は
<生成AI活用コンセプト「SmartAgent」の実現に向けた取り組み>
AIエージェントが新たな労働力を提供する「SmartAgent」のコンセプト(以下、本コンセプト)を発表し、グローバルにサービス展開を進めるべく、その第一弾として営業向けAIエージェントサービス「LITRON Sales」の提供を開始しました。
本コンセプトの特徴は、特定の業務に最適化された「パーソナルエージェント」が、複数の専門性を持つ「特化エージェント」と自律的に協調しながらユーザーの業務プロセス全体を一気通貫で支援する点です。「LITRON Sales」は、データ入力、アポイントメント調整、提案書作成、契約書・社内文書作成等のタスクを自律的に実行することで、営業担当者の業務負荷を低減します。その結果、お客様への提案活動等の付加価値業務に充てられる時間の創出につなげるとともに、社内外の多様なインプット活用を通じた仮説構築力や提案力の向上を実現します。今後は、営業領域に加えて、マーケティング、法務、経理等の多様な業務シーンで「SmartAgent」を提供していく予定です。
新たな労働力を活用することにより、人口減少に伴う労働力不足の社会課題の解決に寄与するとともに、お客様を労働集約から知識集約・AI駆動型のビジネスに変革させることで、お客様のビジネスをより付加価値の高い領域にシフトさせ、生成AI関連ビジネスで2027年度にグローバル全体で3,000億円の売上を目指します。
この有価証券報告書に掲載されているサービス及び商品等は、当社グループあるいは他社等の登録商標または商標です。