当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、米国政権交代に伴う通商政策の先行き不透明感が続くなか、物価の上昇や金利環境の正常化、さらに国内における人手不足に伴う人件費の上昇など、企業のコスト負担が高まる状況が継続しました。一方、訪日外国人観光客の増加を背景としたインバウンド需要の回復や、個人消費の堅調な推移を受け、わが国経済は緩やかな回復基調を維持しました。
建設業界においては、資材価格の高止まりに加え、就業者数は長期にわたり減少傾向にあり、さらに高齢化に伴う人手不足の深刻化により人件費の上昇が継続するなど、コスト面における厳しい事業環境が続いています。その中でも、非製造業分野における民間工事の受注は堅調に推移しており、建築需要の底堅さがうかがえます。さらに、既存建築物の利活用や業態変更に伴う改装・改修ニーズも、外部環境の変化や消費者ニーズの多様化を背景に着実に拡大しており、特に外食産業や宿泊・小売業においては、インバウンド需要の本格的な回復を追い風として、施設の機能更新や集客力強化を目的としたリニューアル需要は堅調に推移しております。
こうした市場環境のもと、当社が担う既存施設の改装工事や、新築建築物の竣工後に行う内装工事・設備工事といった後工程においても、引き合いが活発化しています。もっとも、当社のように後工程を担う事業においては、ゼネコン等の建築工事の進捗状況や工程変更の影響を受けやすく、外部要因への柔軟な対応力や建設業界全体の課題である施工力確保への対応が引き続き求められる事業環境が続いています。
そのような中、当社は2024年8月に発足した新経営体制の下、当社の課題であるガバナンス体制の立て直しや収益力の強化を継続して進めており、特に人的資源が限られる中、適正な金額で受注できるよう営業活動を進めており、また、本日付の適時開示「「継続企業の前提に関する注記」の記載解消に関するお知らせ」のとおり、2019年6月25日付締結のシンジケートローン契約に係る借入を2025年6月に完済し、金融機関との取引の正常化に向けた協議は一定の目途が付いた状況となりました。当社は、より一層機動的な資金調達を可能とする体制の構築を推進するとともに、現在策定中の2026年12月期を初年度とする中期経営計画の下、財務体質を強化のうえ、資金や人員等を含めた経営資源の最適な配分により、事業活動を活性化させ、早期の配当の実施による利益還元及び株価上昇を目指してまいります。(現在策定中の2026年12月期から2028年12月期の3期を対象とした中期経営計画については、2025年12月期の決算発表の時期を目途に公表する予定であり、現在未公表でありますが、中期経営計画の策定の進捗状況の参考情報として、当社単体の中期経営計画の骨子をメインテーマとして本日付の適時開示にて中期経営計画の策定の進捗状況を公表しております。)
以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高258億8千2百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益16億3千7百万円(前年同期比47.4%増)、経常利益15億8千6百万円(前年同期比27.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益9億6千1百万円(前年同期は6千7百万円の親会社株主に帰属する中間純利益)となりました。
なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、当社では、物件用途や提供サービスを基準として事業分野を6つに区分しており、その事業分野ごとの当中間連結会計期間の売上高及び概況は以下のとおりであります。
《事業分野別売上高》
|
事業分野の名称 |
前中間 連結会計期間 (百万円) |
当中間 連結会計期間 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
店舗施設の制作事業(企画・設計・施工) |
15,584 |
16,303 |
4.6 |
|
商業施設の制作事業(企画・設計・施工) |
4,529 |
4,470 |
△1.3 |
|
食品工場、物流倉庫の制作事業(企画・設計・施工) |
1,959 |
1,177 |
△39.9 |
|
メンテナンス事業 |
1,362 |
1,392 |
2.2 |
|
省エネ・CO2削減事業 |
55 |
40 |
△27.6 |
|
建築事業 |
1,155 |
2,497 |
116.1 |
|
計 |
24,646 |
25,882 |
5.0 |
《店舗施設の制作事業》
店舗施設の制作事業につきましては、スーパーマーケット、飲食店、食品専門店等の「食」に関わる店舗をはじめ、雑貨店、クリニック、ドラッグストア等、様々な業種・業態の店舗を制作しております。
当該事業は、当社の創業初期から当社の事業の中核を担っており、工期は2~3か月程度の短工期物件が多くを占めています。
近年ではネットショッピングの需要が一段と高まり発展していく中で、今後は店舗の役割や意義が変わってくることもあり得ると考えており、当社が創業以来得意とする「食」に関連する物件や冷凍冷蔵技術を必要とする物件に軸を据えつつも、新たな業種・業態の店舗を積極的に開拓し、引き続き、時代や社会の変化を捉え、お客様のご要望に的確に対応できる体制・サービスを目指し事業活動を継続しております。
その結果、店舗施設の制作事業における当中間連結会計期間の売上高は163億3百万円(前年同期比4.6%増)となりました。
《商業施設の制作事業》
商業施設の制作事業につきましては、商業施設における建築設備の設計・施工と、施設内における複数のテナントの出店専有部及び共用部を制作しております。
当該事業は、店舗施設の制作で培った内装と設備の技術を背景として、当社が更に成長するために注力している事業であり、特に、不動産デベロッパーや鉄道会社系列の法人を中心に顧客開拓を進めてまいりました。とりわけ当該事業においては、資金力を有する法人による不動産の有効活用や来客数増加を目的とした大規模改装の引き合いが多く寄せられている状況が続いております。
その結果、商業施設の制作事業における当中間連結会計期間の売上高は44億7千万円(前年同期比1.3%減)となりました。
《食品工場、物流倉庫の制作事業》
食品工場、物流倉庫の制作事業は、衛生・温度管理が求められる食品工場や冷蔵倉庫に加え、汎用的な物流施設も含め制作しております。
当該事業は、店舗施設の制作事業と比較して物件規模が大きく、工期は長期となる傾向にあります。当社は創業以来、「食」に関連する分野に携わっており、設備に関する技術のほか、冷凍冷蔵技術や食品安全の知見を活かしたサービス提供が可能な分野となります。
食品工場分野では、HACCPの制度化や消費者の食品安全意識の高まりに加え、日本政府による農林水産物・食品の輸出拡大政策を背景に、食品安全規格取得への対応ニーズが増加しております。また、物流倉庫分野では、ライフスタイルの変化による冷凍食品需要の拡大や、物流の2024年問題を受けた拠点再編の動きなどを背景に、冷凍冷蔵設備を備えた施設への投資が増加傾向にあります。こうした市場環境の下、当該事業への引き合いも継続的に発生している状況です。
その結果、食品工場、物流倉庫の制作事業における当中間連結会計期間の売上高は11億7千7百万円(前年同期比39.9%減)となりました。
《メンテナンス事業》
メンテナンス事業につきましては、各種店舗、商業施設、旅客施設等、建物における設備や内装の保守や修繕を行っております。
当該事業は、当社創業初期から取引があったスーパーマーケットや飲食店のメンテナンス業務から始まっておりますが、内装工事の施工完了後や設備設置工事完了後において、顧客との接点を保つことに繋がり、ビジネスの継続性確保に貢献しております。
また、従来の訪問型の保守や修繕といったメンテナンスだけではなく、冷凍冷蔵設備の技術を活かしつつ、新たな形として食品工場向けの常駐型設備メンテナンスサービスも行っており、当社の設備や内装における技術や、食品安全への知見を生かしメンテナンスサービスを提供しております。
その結果、メンテナンス事業における当中間連結会計期間の売上高は13億9千2百万円(前年同期比2.2%増)となりました。
《省エネ・CO2削減事業》
省エネ・CO2削減事業につきましては、エアコンや厨房機器等のレンタルや、省エネ・CO2削減に係るLED等の機器販売を対象としております。
当社のレンタル事業は、エアコンレンタルから始まり、食器洗浄機、電気フライヤー、油ろ過機、業冷庫、製氷機、キュービクル(高圧受電設備)、GHP(ガスヒートポンプ)をはじめ、お客様のニーズに合わせた多様な設備のレンタルを行っております。当該事業は、単なる設計・施工・メンテナンスのサービス提供にとどまらず、省エネ・CO2削減を目的とした新機種の導入を、初期コストを抑制しながら実現したい顧客のニーズにも対応することで、その他の制作事業につなげるべく営業活動をしております。
その結果、省エネ・CO2削減事業における当中間連結会計期間の売上高は4千万円(前年同期比27.6%減)となりました。
《建築事業》
建築事業につきましては、建物新築工事をはじめ、コンバージョン等の建物全体リニューアル工事のほか、建物の耐震診断作業とその結果に基づく耐震補強工事を行っております。
当該事業は、当社の他事業と比較して、工期が長期にわたります。当該事業は、店舗制作から事業を開始した当社において、更なる成長を目指して建物全体へ事業領域を広げ、取組みを始めた分野であります。
最近では、日本経済の活況化やインバウンド需要の高まりにより、ホテルの改装工事をはじめ、様々な業態の物件の引き合いを多くいただいている状況であります。
その結果、建築事業における当中間連結会計期間の売上高は24億9千7百万円(前年同期比116.1%増)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産の部)
当中間連結会計期間末における資産合計は、269億9千4百万円と前連結会計年度末と比べ14億9千8百万円の増加となりました。
流動資産は、198億6千5百万円と前連結会計年度末と比べ29億7千7百万円の増加となりました。これは現金及び預金の増加に加えて、売上債権及び前渡金が増加したことが主な要因であります。
固定資産は、71億2千9百万円と前連結会計年度末と比べ14億7千9百万円の減少となりました。これは、当社の保有株式の売却による投資有価証券の減少、当社の保有する横浜メンテナンスステーション及び福利厚生施設の土地を売却したこと及び子会社の売却による土地及びその他償却資産の減少が主な要因であります。
(負債の部)
流動負債は、158億7千万円と前連結会計年度末と比べ6億8千6百万円の増加となりました。これは返済による1年内返済予定の長期借入金の減少及び2024年12月期に一括計上を行った振替休日買取に係る賃金支払いを実施したことによる未払費用の減少があったものの、仕入債務及び契約負債、未払法人税等及び未払消費税、賞与引当金が増加したことが主な要因であります。
固定負債は、8億5千2百万円と前連結会計年度末と比べ1億4千1百万円の減少となりました。これは、長期借入金の1年内返済予定の長期借入金への振替による減少が主な要因であります。
以上の結果、負債の部は167億2千2百万円と前連結会計年度末と比べ5億4千5百万円の増加となりました。
(純資産の部)
純資産の部は、102億7千1百万円と前連結会計年度末と比べ9億5千3百万円の増加となりました。これは、親会社株主に帰属する中間純利益の計上が主な要因であります。
なお、自己資本比率は37.9%と前連結会計年度末より1.5ポイント増加しております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7億1千1百万円増加し、73億8千万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は8億1百万円(前中間連結会計期間は6億7千6百万円の増加)となりました。これは、売上債権及び契約資産の増加及び前渡金の増加があったものの、税金等調整前中間純利益の計上、仕入債務の増加及び契約負債の増加が主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の増加は7億9千5百万円(前中間連結会計期間は17億3千万円の減少)となりました。これは、当社の保有する横浜メンテナンスステーション及び福利厚生施設の土地を売却したことによる有形固定資産の売却による収入、投資有価証券の売却による収入及び担保預金の払戻による収入が主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は8億2千5百万円(前中間連結会計期間は12億3千2百万円の増加)となりました。これは、シンジケートローンをはじめとした金融機関への長期借入金の返済による支出が主な要因であります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当中間連結会計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
金額が僅少のため、記載を省略しております。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。