当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
私たちウィルソン・ラーニングは、創業時から「人や組織が、そのもてる力を最大限に発揮できるようお手伝いします---充実感を伴ったパフォーマンス---」というミッションを掲げ、これを全世界に共通した私たちの“存在理由”としています。その遂行を図ることが会社経営の基本であり、次の2点をその基本戦略に据えています。
ひとつは“テクノロジー・ドリブン”。最新の人間工学や産業心理学に基づくテクノロジーとIT技術によって、ミッション遂行を切り開いていくのが私たちの基本です。もうひとつは“グローバリゼーション”。テクノロジーにはもともと、極めて伝搬しやすいという性質があります。グローバルに展開が可能なこのテクノロジーをフルに活かし、世界中の企業の「人と組織の成長のパートナー」としてお手伝いしていくのが当社の方針です。
(2)会社の経営戦略
グローバルに展開する世界でも数少ない人材育成企業として、日本企業の変革期における次世代リーダーの育成や、欧米のグローバル企業が計画する人材育成を、他社にない体制で実施できる強みを発揮していきます。
2026年3月期は、米国と英国の営業体制をより一元化し、グローバル企業への営業リーチを強化していく予定です。またコスト削減等の構造改革を継続し、収益改善に向けた取り組みを更に進める予定です。
(3)経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 国内
人材育成に対する重要性は高まっているとの企業の認識は強く、引き続き案件の引き合いがあります。
顧客側の経営層が関心の高い、イノベーション・イネーブル領域、価値創造型リーダーシップ育成等については、受注確度の高いエグゼクティブ・コールを計画的に進めていく予定です。資本面では2020年3月期以降売上高が著しく減少し、2025年3月期までは重要な親会社株主に帰属する当期純損失及び重要なマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しました。今後追加の運転資金調達の重要性がさらに増すことが想定されますが、現時点では金融機関等からの新たな資金調達について見通しが得られている状況にはありませんが、資本強化の施策を引続き行っていく予定です。
② 北米
米国では利益率の高いライセンス型案件の提案と、中規模企業への営業の拡大に引き続き注力する予定です。また、売上の多くを占める代理店との提携をより強化することを進めています。
マーケティングとしては、リードやパイプラインを生成するためのWebマーケティングに引続きに注力する計画です。
③ 欧州
欧州は、事業を米国に移管しましたが、営業活動自体は米国と一体化し、グローバル企業への提案をより強化する計画です。
④ 中国
契約残の顧客対応を除き、清算に向けて準備中です。
⑤ アジア・パシフィック
インドを中心としたアジア・パシフィックは、グループマーケティング支援・商品開発支店など、より広域な支援・共同運用体制を敷いて、効率化を強化していきます。インドでは増強した営業体制で売上増を図る計画です。
⑥ 収益構造及び営業利益率の改善
欧州事業の米国への移管、米国でのオフィススペース削減(2024年7月実施)による経費節減等、引続き経営資源の効率的な運用に向けて改善を進めていく予定です。
“テクノロジー・ドリブン”。最新の人間工学や産業心理学に基づくテクノロジーとIT技術によって、ミッション遂行を遂行していくこと。もうひとつは“グローバリゼーション”。世界中の企業の「人と組織の成長のパートナー」としてお手伝いしていくのが私たちの基本戦略です。この2つが当社グループのサステナビリティを巡る取組の基本的な方針の元となります。それぞれが、知的財産投資、及び人的資本投資が極めて重要な分野となりますので、今後も継続して知財への投資を重視した経営を進めてまいります。
当社は、2010年3月18日付で国連が提唱する「グローバル・コンパクト」へ参加いたしました。「グローバル・コンパクト」に参加したことにより今後当社は、より良い社会の実現に向けて、一層、企業の社会的責任の取り組みに努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
国際的に社会環境が大きく変化し、環境問題への意識が高まっております。当社グループを取り巻く環境も変化しております。変化し続ける事業環境に対応し、安定的な事業基盤を構築するため、多様性をもった取締役会を中心に体制を構築しております。資本政策等を含む経営基盤を強化し、事業の拡大と経営課題の解決を図ってまいります。
(2)戦略
今後研修の開発手法がAIを用いたものに変化し、実施手法がよりハイブリッド化される等、環境面にも影響がある変化が促進されていくと想定されます。
また、運営面では節電や印刷量削減による、紙消費量の節約・リサイクルなどに積極的に取り組んでいます。またグローバル・コンパクト10の原則の9に掲げられている「環境にやさしい技術の開発と普及」に重きをおいております。私たちは、iCT技術を活用して、eラーニングや、ウェブを使った研修や、従業員のコミュニケーションサイトを国内外に導入するビジネスを実施していますが、これにより従業員の不要な移動をしなくてすみ、二酸化炭素の排出量削減に貢献しています。現在約60%以上の研修が、ハイブリッド化されて実施されており、この比率をさらに向上させていく予定です。
ワークスタイルと人材育成
コロナ禍でテレワーク化が進み、どこにいても仕事ができる状況になりましたが、従来よりグローバルでは分散しながらも自律したワークスタイルでビジネスを進めておりました。
しかしながら自立しながらもコラボレーション可能な新しい働き方が求められてきており、今後も継続して、非常に変化の厳しい環境に対しグローバルに活躍できるよう自社の研修コースも活用した研修制度を用いて人材育成を行ってまいります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針
コンサルティングという業務の特徴から、裁量労働制やフレックス制を採用。業務内容に応じて柔軟な雇用形態を試みております。ライフスタイルが変化しても、継続して働きやすい環境を整えています。すべての育児中の社員に対して、育児休暇の取得や時短勤務も奨励しており、子育て中の社員にとって働きやすい環境です。その中で女性、外国籍社員の存在等、元来グローバル企業であるため、多様性確保は継続的に行われております。今後も引き続き多様性の確保に向けた施策を推進してまいります。
(3)リスク管理
当社グループは、気候変動や多様性におけるリスクや機会について、全社的にリスク管理を行っております。特に今後研修の開発手法がAIを用いたものに変化し、実施手法がよりハイブリッド化される等、環境面にも影響がある変化が促進されていくと想定されます。今後も対応策を検討・実施し、環境変化に応じて見直しを行い、継続的に取り組んでまいります。
(4)指標及び目標
環境原則に対しては現在約60%以上の研修が、ハイブリッド化されて実施されておりますが、2026年までにこの比率を80%とし、さらに向上させていくことを目指します。
今後も継続して環境整備をはじめとした取り組みを推進していくとともにグローバルへの展開を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)為替変動
当社グループの売上高の約6割は海外売上高であります。また、当社のロイヤリティ売上高も海外子会社からのものであります。期初に想定為替レートを定めて予算等の計画を作成しておりますが為替変動は当社グループの経営成績及び財政状態、また、競争力にも影響し、長期的に当社グループの業績に影響します。このような状況から円が他の通貨、特に米ドルに対して変動が大きくなると悪影響を受ける可能性があります。
(2)個人情報
当社グループは、事業遂行に関連して、多数の個人情報を有しております。これらの個人情報については、その管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態により流出する可能性が皆無ではなく、このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下が当社グループ業績に影響を与える可能性があります。
(3)営業キャッシュ・フローの減少・資金調達リスク
手元流動性は一定水準を維持しておりますが、今後も事業収益の低迷が続く場合、資金調達手段の確保が経営上の重要課題となります。
(4)適切な適時開示体制の構築に関するリスク
当社は適時開示体制の整備に努めておりますが、社内情報伝達・判断プロセスに不備が生じた場合、開示の遅延や誤りが発生するリスクがあります。これにより、投資家の信頼性に影響を与える可能性があります。決算の開示遅延事実もあり今後の大きな課題です。
(5)継続企業の前提に関する重要事象等
(継続企業の前提に関する重要事象等)
当社グループは、2020年3月期以降売上高が著しく減少し、2022年3月期までは重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失及び重要なマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しました。2023年3月期においては、営業利益及び経常利益を計上し当社グループの業績は改善傾向にありましたが、継続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上しました。前連結会計年度においては、日本の国内HRD事業売上高は2023年3月期より回復傾向にありましたが、全体的には減少傾向であり、重要な営業損失556,468千円、経常損失521,085千円、親会社株主に帰属する当期純損失518,700千円、マイナスの営業キャッシュ・フロー445,838千円を計上しました。また、当連結会計年度においては、前連結会計年度に比べ、グループの構造改革をより一層進め、全体的には売上高は横ばい傾向ながらも、販管費の圧縮に努めたものの、重要な営業損失393,918千円、経常損失385,372千円、親会社株主に帰属する当期純損失386,041千円、マイナスの営業キャッシュ・フロー348,282千円を計上しました。
このような状況のなか、今後追加の運転資金調達の重要性がさらに増すことが想定されますが、現時点では金融機関等からの新たな資金調達について見通しが得られている状況にはありません。このような状況を受け、当社は複数の外部支援候補者との間で協議を継続しておりますが、現時点ではいずれの手段についても契約等の確定には至っておりません。
(事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策)
当社グループは、上記に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。このような状況の解消を図るべく、当社グループは、以下の諸施策を遂行することにより、収益構造の改善及び財務基盤の安定化に取り組んでおります。
①収益構造の改善
・高収益化体質の確立に向け、北米の営業要員の早期戦力化を図り、利益率の高いライセンス型の案件の提案に引き続き注力してまいります。
・ライトワークス社等の外部パートナーとの協同プロモーション策の拡大:双方のお客様へのクロスセル等を実施してまいります。
・アフターコロナ時代の新しい研修スタイルを睨んだWebマーケティング投資、リーダーシップ領域、オンライン研修領域における新規商品群への開発投資を積極的に推進しております。日本市場のイノベーション・イネーブルメント領域では複数の新規商品のリリースを行いました。
・販売費及び一般管理費について、グループ体制の見直しを行い、諸経費削減を推進しております。ウィルソン・ラーニング ヨーロッパ LTD.(イギリス)及びウィルソン・ラーニング フランス(フランス)では運営合理化のため2024年8月より、事業のウィルソン・ラーニング コーポレーション(米国)への移管を行いました。ウィルソン・ラーニング チャイナ(中国)はカントリーリスクも鑑み、清算に向けて事業縮小を継続していきます。
②財務基盤の安定化
当社グループは、運転資金及び開発投資資金の安定的な確保と維持に向け、取引金融機関と協議を進め新規融資の申請や資本の増強策の可能性について検討しておりましたが、実現には至っておりません。このため、今後は、新株の発行やグループ内の資金を移動させることで必要な資金を確保し、運転資金及び開発投資資金の改善に努めております。また、更なる資本の増強策を検討・推進することで、運転資金の確保に努めてまいります。
以上の施策を実施するとともに、今後も引き続き有効と考えられる施策につきましては、積極的に実施してまいります。しかしながら、収益構造の改善には新しい取り組みが含まれていることから不確実性が認められるとともに、新型コロナウイルス感染症拡大によって受けた業績低迷からの回復に時間を要しております。
また、財務基盤の安定化については、資本の増強策の可能性等について継続的に検討しているものの、見通しが得られている状況ではありません。
したがって、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。
なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米国は、雇用の堅調さもあり、製造業を除き底堅く推移しました。欧州は、ウクライナ戦争の長期化や物価高騰の影響等により低調に推移しており、英国でも鈍化の兆しが見られています。インドでは経済は堅調に推移しています。
わが国においては、個人消費は回復基調で推移しましたが、エネルギー価格や原材料、食料品の高騰によるインフレーション傾向や、人手不足の継続や利上げの予想により先行き不透明な状況が続いております。しかしながら政府が掲げる「新しい資本主義」において、人への投資の抜本的強化が重点戦略の中に位置づけられており、人的資本の重要性が高まっております。今後さらに取り組みが強化されていく中で、当社グループへの引合い機会もより拡大していくものと考えております。
このような環境下、当連結会計年度において日本の売上高は横ばい傾向、ウィルソン・ラーニング コーポレーション(米国)の売上高は増加傾向で推移しました(なお、ウィルソン・ラーニング コーポレーション(米国)の売上高は、ウィルソン・ラーニング ヨーロッパ LTD.(イギリス)からの業務移管を受けて増加しております)。当連結会計年度においてはグループ全体で売上高は前年同期比で微減となり、営業利益率は販売管理費の削減で継続した改善傾向を示したものの、営業損失を計上いたしました。
しかしながら、研修市場の傾向としては、特に日本において「人的資本経営」の関連で、上場企業は人材育成への投資金額の開示等が要求されるようになるため、引合いは拡大基調にあります。
日本及び海外での当連結会計年度の実績は下記となります。
国内
・2025年2月に組織文化の変容を目的とした統合的な実践型プログラム『価値創造イネーブルメント』の一般提供開始
・2025年2月に変革期の全管理職に求められる挑戦支援型マネジメント研修『ピープル・イネーブルメントプログラム』販売開始
海外
・2024年5月に米国の営業管理職向け専門誌「Selling Power」からTop Sales Training Companies in 2024(トップ・セールス・トレーニング企業リスト2024)に選ばれました。
・2024年8月に「人的資本管理のアカデミー賞」と言われるブランドンホールグループHCMベスト・カスターマー・トレーニング・プログラムおよびベスト・ラーニング・メジャメントを受賞しました。
・2025年2月に「Training Industry.com」から、「2025年セールス・トレーニングおよびイネーブルメント企業トップ20社」に17年連続して選ばれました。
・2025年3月に「Training Industry.com」から、「2025年リーダーシップ・トレーニング企業トップ20社」に16年連続して選ばれました。
・2025年3月に「Stevie Award」から、「セールスとカスターマー領域で金賞1と銅賞2」(2025年)に選ばれました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2億7千6百万円減少し、15億1千4百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1億1千2百万円減少し、8億1千7百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1億6千4百万円減少し、6億9千6百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高16億8千8百万円(前期比3.5%減)、営業損失3億9千3百万円(前連結会計年度は5億5千6百万円の営業損失)、経常損失3億8千5百万円(前連結会計年度は5億2千1百万円の経常損失)となっております。また親会社株主に帰属する当期純損失は3億8千6百万円(前連結会計年度は5億1千8百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
営業損益は、前連結会計年度に比べ1億6千2百万円増加しており、また、重要な経営指標として位置付けております「営業利益率」は、マイナスとなりましたが、営業損失は減少しました。これは主に、グループの再編などによる販売管理費の削減効果によります。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
1)国内
日本では、当連結会計年度において、企業研修市場は引続き回復傾向にあり、新規領域であるイノベーション・イネーブルメント分野での新規受注が進み、その他新規の引合いも増加してまいりました。しかしながら、経年継続の大型案件が今期は見送りとなった影響が大きく、減収となりました。また販管費の節減に努めておりましたが、外部の業務委託費用等の増加もあり、営業損失額が増加しております。
この結果、売上高7億2千6百万円(前期比10.3%減)、営業損失1億6千3百万円(前連結会計年度は9千4百万円の営業損失)となりました。
2)北米
米国では、案件が小型化する傾向がみられましたが、ウィルソン・ラーニング ヨーロッパ LTD.(イギリス)、ウィルソン・ラーニング フランス(フランス)からの営業業務移管も受け、売上高は回復傾向にあります。販売管理費については、オフィス賃料、人件費を削減し、営業損失を改善いたしました。
この結果、売上高8億3千1百万円(前期比9.7%増)、営業損失3億2千1百万円(前連結会計年度は4億9千万円の営業損失)となりました。
3)欧州
ウィルソン・ラーニング ヨーロッパ LTD.(イギリス)の売上高は、景気の回復基調に伴い、企業の人材育成予算の凍結傾向が緩和され、中間連結会計期間までの売上高は増加しました。2024年9月以降事業のウィルソン・ラーニング コーポレーション(米国)への移管に伴い、一時的なコストを計上したため損失が増加しました。ウィルソン・ラーニング フランス(フランス)は、主要顧客からの売上高が減少したことと、同じく事業のウィルソン・ラーニング コーポレーション(米国)への移管に伴い、営業損失を計上しました。
この結果、売上高1億5千5百万円(前期比39.7%減)、営業損失5千1百万円(前連結会計年度は3千7百万円の営業損失)となりました。
4)中国
中国では、事業の清算に向けて販売管理費が大幅削減されたことにより、売上高は減少したものの、営業損失が引続き大幅に改善しております。
この結果、売上高5千4百万円(前期比20.0%減)、営業損失2百万円(前連結会計年度は8千1百万円の営業損失)となりました。
5)アジア・パシフィック
インドでは、低調なスタートとなりましたが、売上高は前年同期より大幅に改善いたしました。営業損失も改善を見せております。アジアでは、グループ会社への業務支援コストの計上により、営業損失を計上しております。
この結果、売上高1億3千8百万円(前期比42.2%増)、営業損失3千8百万円(前連結会計年度は6千3百万円の営業損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億1千万円減少し、2億4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果減少した資金は、3億4千8百万円(前連結会計年度は4億4千5百万円の資金の減少)となりました。この主な理由は、支出として税金等調整前当期純損失3億9千2百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果増加した資金は、1千2百万円(前連結会計年度は4百万円の資金の減少)となりました。この主な理由は、収入として定期預金の払戻による収入1千4百万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は、1億2千5百万円(前連結会計年度は1億1千6百万円の資金の増加)となりました。この主な理由は、収入として新株予約権の発行による収入1百万円及び新株予約権の行使による株式の発行による収入1億5千4百万円等があったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内(千円) |
166,674 |
△20.3 |
|
北米(千円) |
172,898 |
△15.3 |
|
欧州(千円) |
57,349 |
△21.4 |
|
中国(千円) |
12,404 |
△12.5 |
|
アジア・パシフィック(千円) |
20,948 |
47.9 |
|
合計(千円) |
430,276 |
△16.4 |
(注)1.金額は売上原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.アジア・パシフィックの増加理由はインドでの大口顧客の受注、アジアは中国からの顧客窓口移管とダイレクトセールスの増加によるものであります。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|||
|
受注高 |
前年同期比 |
受注残高 |
前年同期比 |
|
|
国内(千円) |
540,785 |
△23.8 |
183,472 |
△11.3 |
|
北米(千円) |
899,024 |
20.5 |
193,787 |
63.8 |
|
欧州(千円) |
67,875 |
△72.6 |
- |
△100.0 |
|
中国(千円) |
8,460 |
△85.4 |
10,454 |
△69.8 |
|
アジア・パシフィック(千円) |
124,068 |
62.7 |
14,472 |
19.5 |
|
合計(千円) |
1,640,215 |
△10.8 |
402,186 |
△10.8 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.北米の増加及び欧州の減少理由は米国への事業移管によるものであり、中国の減少理由は清算に向けた事業縮小によるものであります。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内(千円) |
564,227 |
△12.2 |
|
北米(千円) |
823,575 |
14.8 |
|
欧州(千円) |
146,774 |
△40.7 |
|
中国(千円) |
32,611 |
△47.7 |
|
アジア・パシフィック(千円) |
121,704 |
50.4 |
|
合計(千円) |
1,688,892 |
△3.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.欧州の減少理由は米国への事業移管によるものであり、中国の減少理由は清算に向けた事業縮小によるものであります。また、アジア・パシフィックの増加理由はインドでの大口顧客の受注、アジアは中国からの顧客移管とダイレクトセールスの増加によるものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、連結会計年度末日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、12億3千8百万円(前連結会計年度末は11億1千4百万円)となり、1億2千3百万円増加いたしました。これは、主に現金及び預金の減少2億2千6百万円がありましたが、受取手形、売掛金及び契約資産の増加1億1千2百万円、1年内回収予定の敷金及び保証金の増加8千4百万円、未収入金の増加1億5千6百万円があったことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、2億7千6百万円(前連結会計年度末は6億7千6百万円)となり、3億9千9百万円減少いたしました。これは、主に長期未収入金の減少2億9千8百万円があったことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、6億1千9百万円(前連結会計年度末は5億3千5百万円)となり、8千3百万円増加いたしました。これは、主に短期借入金の減少2千万円がありましたが、買掛金の増加1億1千万円及び資産除去債務の増加3千7百万円があったことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、1億9千8百万円(前連結会計年度末は3億9千4百万円)となり、1億9千5百万円減少いたしました。これは、主にリース債務の増加3千8百万円がありましたが、長期未払費用の減少1億7千3百万円、資産除去債務の減少3千2百万円があったことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、6億9千6百万円(前連結会計年度末は8億6千1百万円)となり、1億6千4百万円減少いたしました。これは、主に資本金の増加7千7百万円、資本剰余金の増加7千7百万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少3億8千6百万円があったことによるものです。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べ6千1百万円減少し、16億8千8百万円(前期比3.5%減)となりました。これは主に、前連結会計年度において日本で受注していた大型案件の受注が無かったことにより、売上高は減少となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度に比べ6千6百万円減少し、4億3千4百万円(前期比13.2%減)となりました。これは主に、売上高減少に伴うものであります。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1億5千8百万円減少し、16億4千8百万円(前期比8.8%減)となりました。これは主に、英国とフランスの子会社の米国子会社への事業移管、米国子会社家賃の削減、人件費の削減によります。
(営業利益)
当連結会計年度においては、営業損失3億9千3百万円(前連結会計年度は5億5千6百万円の営業損失)となりました。また、重要な経営指標として位置付けている「営業利益率」は、△23.3%(前期比8.5ポイント増)となりました。これは主に、販売費の削減効果によるものです。
(営業外損益)
営業外収益は、前連結会計年度に比べ1千6百万円減少し、3千9百万円(前期比29.2%減)となりました。これは主に、受取利息が1千3百万円減少したことによります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ1千万円増加し、3千1百万円(前期比50.9%増)となりました。これは主に、為替差損が8百万円増加したことによります。
(経常利益)
当連結会計年度においては、経常損失3億8千5百万円(前連結会計年度は5億2千1百万円の経常損失)となりました。
(特別損益)
特別利益は、前連結会計年度に比べ0百万円減少しました。当連結会計年度において、特別利益の発生はありません。
特別損失は、前連結会計年度に比べ5百万円増加し、7百万円(前期比250.0%増)となりました。これは主に、減損損失が5百万円増加したことによります。
(税金等調整前当期純損失)
当連結会計年度においては、税金等調整前当期純損失3億9千2百万円(前連結会計年度は5億2千2百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。
(法人税等)
法人税等は、前連結会計年度に比べ3百万円減少し、△6百万円(前連結会計年度は△3百万円)となりました。これは主に、法人税、住民税及び事業税が1千1百万円減少したことによります。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度においては、親会社株主に帰属する当期純損失3億8千6百万円(前連結会計年度は5億1千8百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億1千万円減少し、2億4百万円となりました。詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び開発投資資金の安定的な確保と維持に向け、グループ内の資金を最大限に有効活用してまいります。民間の金融機関に対しても、新規の資金融資交渉を行うほか、資本の増強策の可能性についても検討しております。
以上の施策を実施するとともに、今後も引き続き有効と考えられる施策につきましては、積極的に実施してまいります。しかしながら、収益構造の改善には新しい取り組みが含まれていることから不確実性が認められます。
また、財務基盤の安定化については、新規の資金融資及び資本の増強の可能性などについて継続的に検討しているものの、その実現には時間を要しており、確実な見通しが得られている状況ではありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の項目が連結財務諸表の作成に重要な影響を及ぼすものと考えております。
a. 固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産について、収益性が著しく低下した場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。事業用資産については管理会計上の区分を基本としてグルーピングを行っており、遊休資産については個別資産ごとにグルーピングを行っております。なお、当連結会計年度において、7百万円の減損損失を計上しております。
その他詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
b. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の金額を算定するに当たっては、課税主体ごとに将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収見込みを慎重に検討しておりますが、課税所得の見積りの前提とした諸条件の変化により、追加引当て若しくは引当額の取崩しが必要となる場合があります。
また、繰延税金資産は各国の現時点における実効税率に基づき計上しておりますが、将来、税率が変更された場合には、繰延税金資産の残高が増減する可能性があります。
c. 関係会社への投資及び債権の評価
詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な経営指標 」に記載のとおり、主な経営指標として 売上高、売上総利益、営業利益、経常利益を重要な経営指標として位置付けております。当連結会計年度における各指標の前年同期比の増減率は記載のとおりであり、引き続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。
(業務提携契約)
業務提携の内容
①「オンライン」環境下においても「集合研修」を上回る効果をもたらす“デジタルハイタッチコンセプト”に基づいた「ハイブリッド型のラーニングサービス」の提供
デジタルコンテンツやツールとライブセミナーをデザインした「ハイブリッド型のラーニングサービス」を、学習プラットフォーム「CAREERSHIP®」に搭載し両社のお客様へ提供します。
「ハイブリッド型のラーニングサービス」では、単に知識を取り入れる(Outside-In)だけの学びではなく、学習者の個々の課題や想いを引き出し(Inside-Out)行動変容に結びつける、デジタルを活用したハイタッチな学習体験プロセスを、良質なデジタルプラットフォーム上でお届けします。
本サービスは人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」の推進においての主要課題である「組織カルチャー分野」と「リーダーシップ分野」を皮切りに、今後様々なプログラムやサービスに適用・展開してまいります。
<ハイブリッド型のラーニングサービスのラインナップ>
|
分野 |
テーマ |
プログラム |
|
組織カルチャー分野 |
主体的な挑戦を育む組織文化の創造 |
価値創造イネーブルメント |
|
多様な個人が生きるダイバーシティ |
ソーシャル スタイルと対応性 |
|
|
リーダーシップ・ マネジメント分野 |
変革と成果を生み出す管理者の育成 |
パーパス浸透のためのコミュニケーション メンバーの主体性を引き出す目標管理 ブレないリーダーシップの自覚と実践 |
②両社のサービスと強みを組み合わせた、新しい価値の創造と提供
当社のワールドクラスの学習及びアセスメント技術と、ライトワークスの人材育成分野で鍛え抜かれたIT技術を組み合わせ、人的資本の可視化、成長支援とその実行による企業文化への定着など、お客様の人材戦略の実現を支援してまいります。
当社グループは、HRD事業を中心に研究開発活動を行っております。
HRD事業は、その中心となるスキルベースの研修プログラム、アセスメント・メジャメントプログラムの基礎研究を米国の子会社であるウィルソン・ラーニング コーポレーション(以下、WLC社という。)が行っております。具体的には、WLC社は研修プログラム及びリサーチプログラムの基礎となる人間の言動・心理に関する基礎研究を行っております。また、WLC社の研究成果はHRD事業に寄与するだけでなく、ロイヤリティの源泉にもなっております。
当連結会計年度におけるHRD事業の研究成果は以下のとおりです。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
当連結会計年度中は、顧客の要望がオンラインでのサービスに変化していることから、グローバルでは、主にプラットフォーム関連(ラーニングトランスファーやアセスメントサービスのシステム関連)に継続して商品開発を行いました。顧客のSFAに組み込むモジュールの開発やAIを利用した研修後のチャットボットのプロトタイプ開発等の成果があります。
研究開発体制については業績低迷のため人員を減らしており、米国にて5名体制となっております。
国内では、イノベーションリーダーシップ系の顧客ニーズが強く、オンライン・カードゲームの商品開発と調査商品のリリースを行いました。