第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、経営理念及び基本姿勢を以下のとおり定め、サステナビリティ経営を軸に持続可能な循環社会の創造を目指してまいります。

 

「経営理念」

私達らしい金融・サービスで豊かな未来への架け橋となります。

 

「基本姿勢」

1.誠実な事業活動を通じて持続可能な地球社会の発展に貢献します。

2.想定を超えるサービスでお客さまと未来・社会をつなぎます。

3.一人ひとりが尊重しあい楽しくいきいきと働ける環境をつくります。

4.企業価値の増大によりステークホルダーの期待に応えます。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

現在、当社グループを取り巻く事業環境は、日銀の政策変更に伴う金利の上昇や、米国の関税政策変更による影響などにより景気の先行き不透明感が高まりつつあり、これまで以上に外部環境の変化に対する柔軟な対応が問われる状況であるものと認識しております。

当社グループは、このような事業環境下において、企業の、人手不足に対するデジタル化を含む設備投資やサステナビリティへの対応ニーズに対し、金融・サービスの面から課題解決を遂行するとともに、外部環境の変化に柔軟に対応し、持続可能なビジネスモデルの構築を推進してまいります。

 

(3)中期経営計画

当社グループは2023年4月より新たに3ヵ年の中期経営計画をスタートさせております。前中期経営計画から掲げる中長期ビジョン『循環創造企業へ』を目指し、経営理念に掲げる「豊かな未来」の実現に向け、取り組んでまいります。

 

①リコーリースの目指す姿

当社グループのDNAであるベンダーリースを軸としたトランザクションデータの活用を通じた企業の成長機会に対する貢献と、事業を通じた社会課題の解決を行うために特定した4つのマテリアリティへの取り組みとの掛け合わせを戦略立案の軸とし、経営理念に掲げる「豊かな未来」の実現を目指します。

 

②経営戦略

これまで当社グループが取り組んできたリース&ファイナンス事業、サービス事業、インベストメント事業における既存ビジネスにおいては、更なる強化を図ります。

また、既存ビジネスから「投資の拡大とサービス多様化」、及び「新たなビジネスモデルへの挑戦」により、地続きな新規ビジネスの創出を目指します。

 

③事業成長戦略

<新たなビジネスモデルへの挑戦>

以下2分野を新たなビジネスモデルへの挑戦と位置付け、取り組んでまいります。

◆as a Service分野

従来のリース・割賦分野のようにモノ中心ではなく、サービスとして提供していくことにより、「所有」から「利用」へのニーズの変化に対応し、事業を拡大してまいります。

◆BPO分野

労働人口不足等、企業の経営課題解決に貢献するサービスの提供により、企業の成長機会に資するサービス展開を行います。

 

 

<事業&サービス付加による多様化>

以下3分野をサービス付加により事業を多様化する分野と位置付け、取り組んでまいります。

◆環境分野

2050年カーボンニュートラルに向け、再生可能エネルギーの導入に対するファイナンスや、自社発電事業を通じた貢献をはじめ、再生可能エネルギー発電事業者向けサービスや、3R(リデュース、リユース、リサイクル)に資するサービスを開発・提供してまいります。

◆不動産分野

多様化する住環境へのニーズに対応・貢献するためのファイナンスや事業の展開、及びサービスの開発・提供を行ってまいります。

◆介護分野

少子高齢社会において、様々な需要が生まれるなか、リース・割賦や融資、医療・介護報酬ファクタリング、介護事業を通じて、医療・介護の事業者や、利用者双方にとってメリットのあるサービスを開発・提供してまいります。

 

<効率を伴う更なる拡大>

オフィス分野、医療・ヘルスケア分野、設備投資分野においては、当社グループが強みとしてきた小口大量の業務を効率よく処理するノウハウをさらに磨き、効率性を向上させ、更なる成長を実現することで、企業をはじめとするお客様の設備投資におけるハードルを下げることに貢献してまいります。

 

④組織能力強化戦略

<事業成長につながるチャレンジの促進及び組織の活性化>

挑戦する人財の育成、風土の醸成や、多様な人財が活躍できる組織づくりを目指し、制度構築を行います。

 

<社会変化に合わせた柔軟なシステム及び業務体制の構築>

業務システムの切り替えによる自動化及び効率性の向上を目指します。同時にサイバーセキュリティ、ITガバナンスの強化を進めてまいります。

 

<関係会社を含めたガバナンス強化>

グループ各社のガバナンスを含めた連携強化により、事業拡大を目指します。また、外部とのコミュニケーションを通じ、サステナビリティ経営を継続して進化させてまいります。

 

⑤資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて

当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、自社の資本コストを把握した上で、資本収益性を意識した経営が重要であると考えています。その考えの下、事業分野毎の施策推進による利益の拡大、資本コスト経営の継続・推進による収益性の改善等に取り組みながら、事業ポートフォリオの変革と経営資源の配分の最適化を進めてまいります。

 

(株主資本コスト認識におけるギャップ)

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(PBR改善への取り組み)

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また、財務レバレッジの適正化に向けて、株主還元基本方針を見直し、配当の累進性と業界トップクラスの還元水準を意識し、持続的な成長と適正な資本構成及び財務体質の強化を図ります。

2023~2025年度中期経営計画の最終年度(2026年3月期)は、配当性向40%以上に対して43.2%を予想、2030年3月期には50%を目安に還元を行います。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、財務目標及び非財務目標を設定しております。

中期経営計画(2023年4月~2026年3月 以下、中計)における財務・非財務目標に対する進捗は以下のとおりです。中計の最終年度となる2026年3月期の業績は、主に中計策定時における想定よりも早く金利が上昇したことや、人材確保の観点及び物価上昇を反映した賃上げなど人的資本投資を進めたことにより、営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は中計目標を下回る見込みとなっております。ただし、営業資産の積み上げは概ね中計の想定どおりを見込み、新規契約利回りの水準は市場金利の上昇に追随しております。事業成長を継続しつつ、営業資産の質の維持・改善が図れているものと認識しております。

 

①財務目標

 

2025年3月期
実績

2026年3月期
予想

2026年3月期

中計目標

営業利益

217億円

190億円

235億円

親会社株主に帰属する当期純利益

156億円

132億円

160億円

ROA(総資産当期純利益率)

1.19%

0.93%

1.1%以上

ROE(自己資本利益率)

6.9%

5.6%

7%以上

配当性向

35.4%

43.2%

40%以上

(注)上記2026年3月期業績予想は、現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は、様々な要因により大きく異なる場合があることをご承知おきください。

 

 

②非財務目標

マテリアリティ

項目

2025年3月期

実績

2026年3月期

目標

クリーンな

地球環境をつくる

環境分野への

累計資金投下額 ※1

3,477億円

4,000億円

豊かな暮らしをつくる

集金代行稼働サービス数

18,987サービス

20,000サービス

持続可能な

経済の好循環をつくる

重点3分野契約実行高 ※2

(建機・車両・農業)

377億円

450億円

ハピネスな会社、

そして社会をつくる ※3

エンゲージメントスコア

(年間平均)

71点

75点

女性管理職比率

23.8%

25%

一人当たり教育費

58,176円

55,000円

※1 再生可能エネルギー分野におけるリース・割賦、融資の契約実行高、及び太陽光発電事業、エクイティ投資額の累計実績

※2 リース:取得した賃貸用資産の取得金額、割賦:割賦債権から割賦未実現利益を控除した額

※3 当社における目標及び実績

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ共通

当社グループは、経営理念を最上位概念として、サステナビリティに対する考え方のもと、マテリアリティ(重要課題)への取り組みを通じて、サステナビリティ経営を推進しています。ESG(環境・社会・ガバナンス)や「持続可能な開発目標(SDGs)」など、サステナビリティの重要性の高まりを受け、事業を通じた社会課題への貢献をより一層推進するために4つのマテリアリティを特定し、中長期ビジョン『循環創造企業へ』を目指してサステナビリティ経営を推進しています。

 

《サステナビリティ経営の全体像》

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《サステナビリティ経営で目指す姿》

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《マテリアリティの方針》

マテリアリティ

方     針

クリーンな地球環境をつくる

徹底的な省エネで自社の“GHG(温室効果ガス)排出ネットゼロ”を目指すとともに、再生可能エネルギーの普及や環境配慮型製品の拡大など、事業を通じた取り組みを推進することで脱炭素社会の実現に貢献します。リース契約が終了した設備や機器のリユースやリサイクルの推進、レンタル機器のシェアリングによるリデュースを実現していくことで、資源の有効利用を促進し、循環型社会の実現に貢献します。

豊かな暮らしをつくる

これまでの事業活動において強みとしてきた「医」「職」「住」の3つの領域で付加価値化・差別化戦略を推進します。「医療・ヘルスケア」「BPO」「不動産」「介護(事業)」の分野において、私達らしい事業・サービスの創出をすることで社会課題の解決を目指します。

持続可能な経済の好循環をつくる

従来型のリースによる事業展開に加え、社会、市場、お客様の変化に的確に対応し、リース以外の新たな価値を社会に提供します。日本に多く存在する中小企業を支えることが、地域経済を支えることにつながると考え、各地域の社会課題解決や地域経済の好循環を生み出すことを目指します。

ハピネスな会社、そして社会をつくる

仕事の「やりがい」とその先にある個々の「幸せ」を手にすることができるよう「Happiness αt work(ハピネス アット ワーク)」を人事戦略の基盤に置き、「働きやすさ」に加え、事業成長につながるチャレンジの促進や組織活性化の施策を打ち、社員がいきいきと働くための施策づくりや環境整備に取り組みます。

 

①ガバナンス

当社グループは、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長を目指し、サステナビリティ経営を継続して推進していくために「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会は、社長諮問機関として、常務執行役員以上及びサステナビリティに関連する本部長並びにグループ会社社長により構成され、サステナビリティ経営の基本方針・基本計画などの立案や、経営方針及び事業活動に対して、サステナビリティ視点で討議し、検討を行っています。

討議検討事項は経営会議にて審議・決定されたのち、決定事項は取締役会に共有され、取締役会の総意として助言がなされています。

 

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《当社グループのサステナビリティに関する主な議論》

取締役会

2024年5月

ESG投資報告

2024年7月

サステナビリティ委員会報告(第15回、第16回)

2024年12月

サステナビリティ委員会報告(第17回、第18回)

2025年3月

ESG投資報告

経営会議

2024年5月

① EMS2024年度目標及びスコープ1、2各年度目標値(承認)

② 統合報告書制作(討議)

③ コンプライアンス定期報告

2024年6月

人的資本経営:中期経営計画実現のための人財教育・育成(承認)

2024年11月

① システム戦略/DX方向性(報告)

② コンプライアンス定期報告

2025年2月

豊かな未来積立金 循環創造型寄付及びSDGs貢献型寄付先決定(承認)

サステナビリティ

委員会

第16回
2024年5月

① 環境マネジメント:2023年度実績報告と2024年度目標値設定

② 長期CO2削減目標

③ プラスチック資源循環促進法

④ ステークホルダー要求・SBTi認定

⑤ 人権デュー・ディリジェンス導入検討

第17回
2024年8月

① 人権デュー・ディリジェンス進捗報告

② 2024年度サステナビリティ教育

③ ステークホルダー要求・SBTi認定経過報告

第18回
2024年11月

① 中計非財務目標の2024年度上期進捗報告

② 統合報告書社員アンケートフィードバック

③ (有識者講話)「企業価値向上に向けたサステナビリティ・マネジメント」

第19回
2025年2月

① CDP2024結果報告

② インターナルカーボンプライシング制度の導入

③ ISO14001認証結果と今後の更新の方向性

④ ESGインデックス評価による投資機会

 

②戦略

当社グループは2023年4月より新たに3ヵ年の中期経営計画をスタートしました。当社グループのDNAであるベンダーリースを軸としたトランザクションデータの活用を通じた企業の成長機会に対する貢献と、事業を通じた社会課題の解決を行うために特定した4つのマテリアリティへの取り組みとの掛け合わせを「戦略立案の軸」とし、既存ビジネスの強化及び新規ビジネスを創出し、事業活動を通じた社会課題の解決に貢献していきます。

 

《事業成長戦略》

当社グループが価値提供する先をより明確にし、収益性が高く、より事業機会の大きい分野にリソースを投入することを目的に3つの事業成長戦略に紐づく事業分野を定めました。市場軸での戦略立案により、持続的な成長を目指します。

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③リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ推進体制における誠実な企業統治のもとに、リスク低減と事業機会創出を行うべく、リスクマネジメントの強化に努めています。リスク管理においては、不確実性が増す中において、事業活動に重大な影響を及ぼすリスクに対処するために、社会的責任を自覚し、損失の危機管理を網羅的・統括的に行うためにリスクマネジメント委員会を設置しています。当委員会においては、当社グループ共通の経営重点リスク及び各部門又は関連会社特有のリスクに分類して管理を行っています。

 

《事業分野別リスクと機会》

現状の3つの開示セグメントから、当社グループが価値提供する先をより明確にし、収益性が高く、より事業機会の大きい分野にリソースを投入することを目的に3つの事業成長戦略に紐づく事業分野を定めました。事業分野別にリスク・機会・強みをとらえた戦略立案により、持続的な成長を目指します。

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④指標及び目標

当社グループは、サステナビリティ経営をより一層推進するために、2023~2025年度中期経営計画では4つのマテリアティ毎に非財務目標を設定しています。的確な指標及び目標を設定することで、取り組みへの進捗管理が可能となり、その結果において着実な対応が行われることになります。非財務目標の策定においては、サステナビリティ委員会において議論を重ね、社会へのインパクトが強く、企業価値の向上につながる注力すべき指標として、以下の20項目を選定しました。中でも、特に重要度の高い★印の6項目については、2023年5月の中期経営計画発表時に先行して開示し、2023年9月には統合報告書で20項目すべてを開示しました。今後は、取り組みをモニタリングすることで進捗状況を報告していきます。

 

 

《マテリアリティ/非財務目標》

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★は2023~2025年度中期経営計画先行開示済み項目

 

 

(2)気候変動への対応

当社グループは、気候変動を含む環境課題への対応を重要な経営課題の一つと認識し、マテリアリティとして、「クリーンな地球環境をつくる」を掲げ、「気候変動の緩和と適応」「資源循環」に取り組んでいます。当社グループでは2019年8月に気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、「TCFD」)への賛同を表明し、2020年度は賛同企業や金融機関が議論する場であるTCFDコンソーシアムに加盟しました。TCFD提言に基づいて、気候変動が当社グループの事業に与えるリスク・機会を分析して経営戦略・リスクマネジメントに反映するとともに、適切な情報開示を進めています。

 

(当社グループの地球環境に対する考え)

リコーリースグループは、中長期ビジョン『循環創造企業へ』を掲げ、サステナビリティ経営を推進しています。『循環創造企業へ』とは、当社グループの経営理念“私達らしい金融・サービスで豊かな未来への架け橋となります”に込めた想いを受け、環境や経済、モノ、人の循環など、社会全体の好循環を創り出すことを意味しています。豊かな未来を実現するためには、私達が住むこの地球を次世代、さらに将来へ、持続可能な状態で引き継いでいかなければなりません。当社グループでは、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業の成長機会への貢献」の2軸を同時に実現するために、SDGsをはじめとした外部環境の動向、当社グループの事業環境の変化における課題の把握と整理を行うことで4つのマテリアリティを特定しています。

気候変動による地球温暖化については、マテリアリティの一つである『クリーンな地球環境をつくる』において、「気候変動の緩和と適応」を取り組みテーマとして活動しており、当社事業におけるGHG(温室効果ガス)の排出量の削減に努めています。自社排出(スコープ1、2)については、削減目標の期間を20年前倒してネットゼロを目指します。間接排出(スコープ3)についても、現状把握の精度アップに努め、当社グループにおける情報開示、対策検討、施策実施を進めています。

近年の気候変動に起因する自然災害による事業への影響については、リスクマネジメントの強化により負の影響を低減させる適切な予防を行っていきます。その一方で、太陽光発電事業など環境分野における事業機会のさらなる展開により、脱炭素社会の実現に貢献していきたいと考えます。また、気候変動は自然資本の損失に影響を与えている要因でもあり、気候変動と自然の消失を同時に対処することは、環境、経済、健康など私たちの社会に大きなメリットをもたらします。

今後もさまざまなステークホルダーとの連携強化により、持続可能な循環社会の創造を目指します。

 

①ガバナンス

当社グループでは、財務上のリスク評価・予防計画の策定については「リスクマネジメント委員会」にて討議後、経営会議において経営判断がなされてきました。2020年4月には、気候変動関連課題に関する責任委員会となる「サステナビリティ委員会」を設置しました。四半期に一度開催され、議論するテーマに応じて事業部門の責任者を招集し、サステナビリティ課題を中長期的な視点で横断的に検討・議論しています。気候変動リスク項目の見直しやリスク及び機会のアセスメントを行い、その結果が中期経営計画に事業戦略として組み込まれ、各事業年度の目標に反映されています。

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ経営のガバナンスに含まれています。詳細については、「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」を参照ください。

 

 

②戦略

脱炭素社会への移行や気候変動に伴う異常気象の増加により、当社のお客様のビジネスに影響が及ぶリスクが想定されます。近年我が国において気候変動に起因する自然災害が頻発していることを踏まえ、自社の事業のうち、気候変動による財務影響が懸念される5分類(リース資産(事務機器、自動車、産業機械)、太陽光発電、住宅賃貸)について定性的シナリオ分析を実施しました。その結果、事業への影響度が大きいと特定した項目について定量的に分析し、財務影響額を概算しました。

なお、事務機器については、風水害などによるリース資産の毀損を想定し、保険などの活用を考慮して分析の実効性を精査した結果、気候変動における当社事業への影響は小さいとの判断のもとに定量化分析の対象外としております。

 

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●当社事業への影響

シナリオ分析の結果、移行(1.5℃)及び物理的(4℃)、いずれのシナリオにおいても気候変動がもたらす当社グループの事業に対する負の影響は短期ではおおむね限定的であるとの分析結果になりました。また、リスク影響よりも機会のほうがトータルでは大きいとの結果になり、1.5℃のシナリオにおいては、売上及び利益について増加が見込めることが分かりました。

なお、定性分析の結果、4℃シナリオにおける物理的リスク(洪水、高潮、気温上昇などによる毀損に対する影響)については、当社事業への影響は少ないとの判断のもとに定量化分析は行っていません。

 

●気候関連リスクと機会への対応状況

当社グループは、「クリーンな地球環境をつくる」をマテリアリティの一つに掲げ、地球温暖化対策や、CO2削減の観点から、温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギー源である「再生可能エネルギー」の普及に取り組んでいます。FIT制度の開始とともに、太陽光発電所を対象としたファイナンス案件を組成してきたほか、風力・バイオマス・小水力などの他電源にも取り組んできました。また、2018年からは自らが発電事業者となる投資を開始し、FIT制度に基づくものからPPAまで幅広く手掛け、2024年3月時点で499サイト・177MWの発電所を有するに至りました。2023年度は新たに地熱発電事業を行うSPCに対して匿名組合出資を行うなどの取り組みの結果、累計投資金額は3,138億円となりました。その他の取組みとして、「自己託送によるオンサイトPPA余剰電力の有効活用」、「ソーラーシェアリングによる耕作放棄地の活用と地域貢献」、再生可能エネルギー電源需要の高まりに伴い、全国各地に小規模の太陽光発電所を保有する発電事業者に向けて、さまざまな角度から支援を行うサービス『ソーラーアシスト』などを提供しています。今後も環境分野における投資を積極的に実施することで、事業を通じて脱炭素社会の実現へ貢献していきます。

また、陸上風力発電など太陽光に限らない他電源への取り組みや、今後需要が見込まれる蓄電池ビジネスなどの新たなビジネスモデルにもチャレンジしていきます。こうした取り組みを通じて、2025年度には再生可能エネルギー分野において4,000億円の累計投資を目指し脱炭素社会の実現に貢献していきます。

 

 

③リスク管理

当社グループでは、重大な財務上の影響を把握するため、気候変動や自然災害リスクなどのリスク評価について、財務面での定義を内包した「経済的影響」と「発生頻度」の2軸で評価しています。また、戦略上での影響については、経営会議において物理的リスク対策などを協議しています。これらのリスクは、「リスクマネジメント委員会」で管理されるとともに、気候変動対策については「サステナビリティ委員会」において検討がなされ、「経営会議」にて決定しています。

 

④指標及び目標

当社グループは、SBTi※1における「1.5℃目標」を基準に、中長期のCO排出量削減目標を設定しています。スコープ1、2について、CO排出量ネットゼロの目標年を2050年から2030年に前倒ししました。スコープ3については、特に排出量が大きい、カテゴリー1(リース品の購入)とカテゴリー13(お客様のリース使用)の算出方法を精緻に見直しし削減に努めています。

また、2023~2025年度中期経営計画において、①環境分野への累計資金投下額を4,000億円、②再生可能エネルギー発電量を205,700MWh(2023年度実績:141,841MWh)、③EV取扱台数増加(2023年度実績:694台)を非財務目標とすることで、環境課題の解決を目指しています。

中期経営計画の非財務目標については、「(1)サステナビリティ共通 ④指標及び目標 《マテリアリティ/非財務目標》」を参照ください。

 

<スコープ1+2>

2023年度のCO排出量のうちスコープ2については、電気使用によるCO排出量(869t-CO)を「トラッキング付FIT非化石証書※2」を活用することで、実質再生可能エネルギー化を実現しています。

(単位:t-CO

スコープ区分

2022年度実績

2023年度実績

スコープ1(直接排出)

276

331

スコープ2(エネルギー間接排出)

189

211

合計

465

542

 

<スコープ3>

温室効果ガス排出量に占めるスコープ3の割合が99.9%と非常に大きい当社グループは、2013年度からスコープ3の算出・開示に取り組み、お客様のリース機器使用時のCO排出量を推計・開示することで、お客様とともにCO削減に向け、環境配慮型製品の普及に努めています。2023年度はCat1、Cat13は排出原単位の見直しにより微減しましたが、Cat2において不動産が増えた影響で、昨年度比0.4%増の1,011,701t-COとなりました。

 

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2023年度のスコープ3各カテゴリ温室効果ガス排出量

カテゴリ

カテゴリ名

CO排出量

(t-CO

温室効果ガス総排出量

に対する比率(%)

Cat1

購入した製品・サービス

715,467

70.7

Cat2

資本財

39,127

3.8

Cat3

スコープ1、2に含まれない

燃料及びエネルギー関連

313

0.0

Cat4

活動輸送、配送(上流)

1,106

0.1

Cat5

事業から出る廃棄物

238

0.1

Cat6

出張

316

0.0

Cat7

雇用者の通勤

460

0.0

Cat8

リース資産(上流)

11

0.0

Cat9

輸送、配送(下流)

(対象外)

0.0

Cat10

販売した製品の加工

(対象外)

0.0

Cat11

販売した製品の使用

(対象外)

0.0

Cat12

販売した製品の廃棄

(対象外)

0.0

Cat13

リース資産(下流)

254,609

25.1

Cat14

フランチャイズ

(対象外)

0.0

Cat15

投資

54

0.0

スコープ3合計

1,011,701

99.9

スコープ1、2

542

0.1

温室効果ガス排出量

1,012,243

100.00

※1 SBTi(Science Based Targets initiative):気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ1.5℃に抑えるという目標に向けて、企業に対し科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進している協働イニシアティブ。

※2 非化石証書:非化石電源(石炭や石油といった化石燃料を使用せずに発電する電源)由来の電気が持つ環境価値を電気自体の価値と区別し証書化したもので、証書化することで環境価値のみの取引が可能となった。FIT非化石証書は、固定価格買取制度(FIT法)で認定された再生可能エネルギー電源に由来する環境価値を指し、電源の特定や産地の情報をFIT非化石証書に紐づけたものがトラッキング(追跡)付FIT非化石証書と呼ばれる。

 

詳細については、2025年9月に発行予定の「リコーリースグループ統合報告書2025」を参照ください。

https://www.r-lease.co.jp/sustainability/integrated_report/

 

 

(3)人的資本経営への取組

取り巻く環境が大きく変化していく中で、当社グループでは、多様な人財が活躍することにより、イノベーションを生み出していくという考え方の下、組織能力強化に取り組んでまいりました。

今後は、事業成長につながるように挑戦する人財の育成、及び挑戦する風土の醸成にも努め、人財マネジメントビジョン「Happiness αt Work」(社員ひとりひとりが自発的に+αで手に入れたいもの、実現したいものを自由に設定でき、働くことで幸せになる)を追求し続け、更なる組織能力強化に取り組むことで社員と当社グループ全体の持続的成長及び経営理念に掲げる「豊かな未来」を実現します。

 

①ガバナンス

人的資本経営に関するガバナンスは、サステナビリティ経営のガバナンスに含まれています。詳細については、「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」を参照ください。

 

②戦略

<人事戦略の目指すべきゴール>

事業戦略並びに当社グループの持続的成長及び経営理念に掲げる「豊かな未来」の実現を図るためには社員一人ひとりの力が必要です。当社グループは社員を「人財」と捉え、目指すべき人物像として変異を自ら創り出し、変異を受け入れ、自ら変異することにより、新たな循環を創造できる=働きがいを自ら創り出せる人財を掲げています。当社グループは、人財育成のための教育や働きやすい働きがいのある職場環境整備に、更に投資を行っていきます。

※一度の変化ではなく、二度三度繰り返すことによって大きな変化を生み出す状態

 

<経営戦略と人事戦略の連動>

これまで、人事施策や人事戦略が経営戦略にどのように繋がるのか、必ずしも明確にはなっておりませんでした。そこで当社グループは、経営戦略と人事戦略の連動性をより明確化し、人材投資が事業成長を通じて企業価値向上に繋がる道筋を可視化することを目的として、「人的資本インパクトパス可視化プロジェクト」を開始いたしました。このプロジェクトを通じて、社員一人ひとりの成長と貢献が会社全体の成長にどのように繋がっているかをあきらかにすること、会社の人材育成などの取り組みが実際にどのような効果をもたらすのかを理解しやすくなることを目指しております。本取り組みを通して、経営戦略と連動した人的資本経営における求められる組織の成果を、重点テーマとして下記の5つに定めました。社員エンゲージメント調査のスコアを各重点テーマの達成度合いを測る指標(人的資本KGI)として活用することで、人事戦略の組織成果を定量的に測ることといたしました。

 

(5つの重点テーマ)

・一人ひとりの利益創出意識向上

・市場ニーズ起点の価値創出

・領域拡大の意識向上

・健全な危機感に基づくチャレンジ促進

・仕事の意義・意味実感による誇り醸成

 

さらに、人事施策がどのように財務成果に繋がるかの道筋を可視化した「人的資本インパクトパス仮説」を策定いたしました。これは、個々人のスキル向上とエンゲージメント強化を通じて、財務的な成果に貢献していくという道筋を示すものです。

今後は、人的資本KGIに加え、人事施策に対するKPIを設定し、人事施策の効果と人的資本KGIの関連を検証していきます。経営戦略と人事戦略を繋げ、社員の活動の変化を生み出し、事業や組織が変化していくことで企業価値向上を目指します。

 

<人財育成・人財採用>

当社グループの事業成長につながる新規ビジネスの創出と拡大に向けて、社員一人ひとりが新たな強み、更なる専門性の獲得ができるよう、変異につながるスキル、機会を提供し、社員と当社グループ全体の持続的成長及び経営理念に掲げる「豊かな未来」を実現できる人財を育成・採用していきます。

 

 

<社内環境の整備>

変化する外部環境に柔軟に対応できる制度の構築を行い、多様な人財が活躍できる組織及び環境づくりや社員が事業成長につながるような挑戦をする風土の醸成を進めることで、社員と当社グループ全体の持続的成長及び経営理念に掲げる「豊かな未来」を実現します。

a.当社グループにおける人財活用に関する考え方

事業創造(イノベーション)及び人財変異につながる領域やポジションへの適切かつ積極的な人財配置を実施し、期待される人財マネジメントを行います。また、戦略的な人財配置を可能にする人事データの整備を進めてまいります。

b.当社グループにおけるダイバーシティ&インクルージョンの考え方

当社グループのダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)は、一人ひとりが互いの個性や特性、価値観などの違いを認め尊重し合い、すべての社員が業務を通じて成長できる機会を持ち、多様な個性が活躍してイノベーションを生み出すという考え方に立つものです。

当社グループでは、D&Iは人財マネジメントの基本であると考え、性別、年齢、雇用形態、新卒・キャリア採用、障がいの有無、人種や国籍、ライフスタイル、宗教、性的志向・性自認などに関係なく多様な人財がいきいきと活躍できる職場環境づくりを進めています。

 

③リスク管理

人的資本経営に関するリスク管理は、サステナビリティ経営のリスク管理に含まれています。詳細については、「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」を参照ください。

 

④指標及び目標

当社グループは、2023~2025年度中期経営計画において人的資本に関わる非財務指標として「エンゲージメントスコア」「女性管理職比率」「一人当たり教育費」を設定しています。グループ各社については、グループ傘下になった時期、従業員規模や業態にあわせて、目標設定を行ったうえで人的資本に関する情報開示を行ってまいります。

 

非財務目標

項目

2026年3月期目標

2025年3月期実績

エンゲージメントスコア(年間平均)

75

71

女性管理職比率

25.0

23.8

一人当たり教育費

55,000

58,176

(注)当社における目標及び実績を記載しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項及び対策の推進体制は、以下のようになります。

なお、本項における将来情報に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関連する全てのリスクを網羅するものではありませんので、ご留意ください。

 

(1)リスクマネジメント推進体制

当社グループは、刻一刻と変化する環境に適応するようリスクマネジメント体制の刷新を図りました。これまで、当社グループのリスクマネジメントは、グループ各社がそれぞれ自律的に推進してきました。今後、グループ経営を強化していくにあたっては、グループ全体の利益最大化を目指すべく、最適な判断が求められます。その実現を阻害する要因をリスクとして識別、分析及び評価する必要があり、リスクマネジメント体制の見直しを実施しています。

①リスクマネジメント委員会

グループの事業に重大な影響を与えるリスクを管理すべく、当社の社長執行役員をトップに置き、経営会議メンバー及びグループ各社の社長で構成するリスクマネジメント委員会を設置しています。当社グループ経営において、重要度が高いと考える管理項目を「グループ重点管理リスク」と定め、管理・監視を行うことでリスクマネジメントの強化に取り組んでいます。重要事項については、当委員会で討議後、経営会議に具申され、取締役会に報告されます。

 

<リスクマネジメント委員会の役割>

1 リスクマネジメント方針及び年度計画の決定

2 グループ重点管理リスク及びリスク主管区の決定

3 リスク対策計画の決定

4 リスク対策実施状況の確認及びフィードバック

 

②リスクマネジメント推進会議

当社及びグループ各社相互において、緊密な連携、協調のもとグループリスクマネジメントを円滑に推進するためにリスクマネジメント推進会議を新たに設置しました。グループ重点管理リスクの主管区責任者とグループ会社のリスクマネジメント推進責任者により構成されます。グループ重点管理リスクに対する計画や対応状況はもとより、各社のリスク情報、対策状況などを共有し、討議を行った上で上位機関であるリスクマネジメント委員会へ報告します。

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(2)グループ重点経営リスク

当社及びグループ会社各社におけるリスクを、内部環境、外部環境、経営戦略などの観点から洗い出し、リスク分析及びリスク評価を行うことで優先順位付けをした「リスクマップ」を作成しました。

リスクが発生した時の「影響の大きさ:影響度」と「確率:発生可能性」の2軸でリスクの大きさを測り、リスクが高い項目をグループ重点管理リスクと定めています。

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●グループ重点管理リスク

リスク分類

リスク項目

委員会

リスク主管区

自然災害

噴火・地震・津波

リスクマネジメント委員会

総務部

経営企画部

債権回収

大口顧客の貸倒れ

審査委員会

審査本部

対企業犯罪

サイバー攻撃

リスクマネジメント委員会

グループIT統括本部

情報システム

情報システム障害・破壊

リスクマネジメント委員会

グループIT統括本部

経済

金利変動

ALM委員会

財務部

資金調達

資金繰り悪化・支払遅延

ALM委員会

財務部

ビジネス戦略

買収・合併・提携の失敗

投資委員会(ローンチ会議)

戦略投資本部

ESG対応

ESG対応不備・遅れ

サステナビリティ委員会

経営企画部

 

①噴火・地震・津波

当社グループは、噴火、大規模地震、津波等による自然災害、感染症等の予測不能な事象により、従業員、事業所、取引先等の被害が発生し、想定外の経済的損失を被った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(噴火 リスク影響度:5 発生可能性:2 リスク順位:6位)

(地震・津波 リスク影響度:4 発生可能性:2 リスク順位:9位)

 

<リスクへの対応>

当社グループでは、自然災害を想定した災害備蓄品の準備と定期訓練を行い、緊急事態に備えています。また、安否確認システムや非常時の無線機、防災バック等を整備することで従業員の安全管理に努め、当社グループ全体で訓練を実施しています。

情報関連設備においては、震災等に対する耐久性に優れた施設に集約することや通信手段等の冗長化を図っています。また、テレワーク環境の整備によりオフィスの被災や従業員の出社困難時への対応も行っています。

緊急事態においては、代表取締役社長執行役員を本部長とする災害対策本部を立ち上げ、事業継続計画(BCP)が迅速に実行できるよう、対応の強化を進めています。

 

 

②大口顧客の貸倒

当社グループの主力事業であるリース&ファイナンス事業では、信用供与(与信)が比較的長期間にわたることから、景気変動やその他の事由により延滞・倒産等が発生し、貸倒損失又は貸倒引当金繰入の負担が増加、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、経済環境の急激な変化や火災・水災等の災害によって、お客様の経営状況の悪化やリース物件等の破損・喪失で貸倒損失が当社の予想の範囲を大幅に上回り、当社グループの与信関連費用が増加する可能性があります。

(リスク影響度:4 発生可能性:3 リスク順位:8位)

 

<リスクへの対応>

当社では、約40万社の中堅・中小企業のお客様との取引履歴等、大量の審査データの蓄積により、当社独自の審査(スコアリング)システムを構築することで、審査の自動化と迅速な与信判断を実現しております。また、そのための業務の標準化・効率化やスコアリングシステムの精度向上を日々行っております。

また、リース・割賦取引においては、1契約当たりの平均単価は約207万円と業界平均値よりも低く、信用リスクの分散化が図られております。一方、リース料等の不払いが生じた場合には、ベンダーと協力しリース物件等の売却や他の取引先への二次リース等の手段を講じており、これらの取り組みを通じて貸倒損失の低減を図っています。

 

③サイバー攻撃

当社グループがサイバー攻撃を受けた場合、システム停止、顧客への損害賠償、当社への信用低下等により、

経営に大きな影響が生じる可能性があります。

(リスク影響度:4 発生可能性:3 リスク順位:8位)

 

<リスクへの対応>

当社グループでは、世界的に増加しているサイバー攻撃への対策として、技術的なセキュリティ対策はもちろんのこと人的対策として社員へ定期的なメール訓練を実施し、不審なメールを見分けるスキルの向上や情報セキュリティ/サイバーセキュリティ情報の発信によりリテラシーの向上を図っています。加えて、高度化するサイバーセキュリティへの脅威に対応すべく、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の強化など、有事の対応力の強化に向けた取り組みを実施しています。

 

④情報システム障害・破壊(社内)

当社グループは、小口大量の業務処理において情報システムの安定稼働が欠かせないものとなっています。情報システムの障害・破壊が生じると、審査や入送金に係るシステムの停止により経営に大きな影響が生じる可能性があります。

(リスク影響度:4 発生可能性:2 リスク順位:9位)

 

<リスクへの対応>

当社グループでは、システムの保守やバックアップシステムの構築、緊急時の初動対応の策定等の対策を実施することで、リスクの影響度・発生可能性を低減させる体制を構築しております。

 

 

⑤金利変動/資金繰り悪化・支払遅延

当社グループでは、リース物件や割賦物件の購入や融資などのために、金融市場や金融機関から資金調達を行っており、リース会社はその事業構造上、総資産に対する有利子負債の割合が高くなっています。リース料金等は契約時の金利水準とお客様の信用水準に基づいて定額料金で契約を実行しますが、一方で、有利子負債には変動金利による資金調達が含まれているため市場金利の変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります(金利変動リスク)。このため、金利見通しを踏まえた有利子負債における固定金利・変動金利の調達比率は、重要な管理項目の一つであります。

また、市場金利の変動以外でも格付会社から当社の格付が引き下げられた場合、もしくは金融市場の混乱や市場環境が悪化した場合には、必要な資金の確保が困難となるリスク(流動性リスク)があります。

また資金調達金利が著しく上昇することにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

格付会社名

長期格付

短期格付

株式会社日本格付研究所

AA-

J-1+

株式会社格付投資情報センター

A+

a-1

S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社

BBB

A-2

※上記は2025年6月18日現在の格付です。

 

(金利変動 リスク影響度:3 発生可能性:4 リスク順位:11位)

(資金繰り悪化・支払遅延 リスク影響度:4 発生可能性:1 リスク順位:12位)

 

<リスクへの対応>

当社グループでは、金利変動リスク・流動性リスクを適正に管理するため、「ALM委員会」を設置し、定期的に金融市場の動向や資産・負債の状況について分析・検討を実施しています。「ALM委員会」で検討された財務戦略は機動的に執行され、最適な調達・運用を目指しています。また、企業体質の更なる強化を図り、格付の維持・向上に取り組んでいます。

※ALM(Asset Liability Management):資産負債の総合管理。資産と負債の最適な組み合わせを同時に決定し総合的に管理する手法のこと。

 

⑥買収・合併・提携の失敗

当社グループでは、2020年に事業創造を目的としたESG投資枠を設定するなど、企業買収や出資を行っていま

す。これらの投資においては、経済環境の変化等によって投資先の事業がネガティブな影響を受け、期待された成果が得られないことや、企業価値が下がることにより、減損等の損失を被る可能性があります。

(リスク影響度:3 発生可能性:4 リスク順位:11位)

 

<リスクへの対応>

当社グループでは、経営陣を構成員とする「投資委員会」を設置し、入手し得る投資情報等をもとにあらゆる角度から企業買収を含む出資の審議を行っております。また、投資委員会では、出資先企業等の事業及び財務状況のモニタリング等を通じて、投資効果への悪影響や減損リスクの兆候を把握、分析し、必要な対策を迅速に検討、実行することで、事業投資リスクの低減を図っています。

 

⑦ESG対応不備・遅れ

当社グループでは、サステナビリティに関する情報開示などのESG対応不備・遅れが発生した場合、ステークホルダーからの評判低下や機関投資家からの投資撤退により、経営へ影響を及ぼす可能性があります。

(リスク影響度:3 発生可能性:4 リスク順位:11位)

 

<リスクへの対応>

当社グループでは、持続可能な社会の実現と当社グループの持続可能な成長の両立を目指し、社会課題を踏まえた戦略・事業展開の討議・検討をする「サステナビリティ委員会」を設置しております。

当社グループでは取り組むべき4つのマテリアリティ(「クリーンな地球環境をつくる」「豊かな暮らしをつくる」「持続可能な経済の好循環をつくる」「ハピネスな会社、そして社会をつくる」)を特定しており、マテリアリティごとに非財務目標を設定し、社会課題の解決を目指しています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、賃金と物価の持続的な上昇を背景に、緩やかな回復基調を維持しました。一方、地政学リスクの高まりや日銀によるマイナス金利政策解除、急激な為替の変動など、先行きは不透明な状況が継続しております。企業の設備投資においては、人手不足の解消を目的とした効率化・省力化への投資がみられる一方で、人件費や原材料高をはじめとしたコストの増加、地政学リスクの顕在化・深刻化によるグローバルサプライチェーンの混乱等により、楽観視できない状況にあるものと認識しております。

リース業界において、2024年度のリース取扱高は、前期比で9.8%増加し、5兆847億円となりました。(公益社団法人リース事業協会統計確定値)

このような状況の中、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は増加しました。

当社グループにおいては、2023年度よりスタートさせた3ヵ年の中期経営計画の2年目として、事業成長戦略及び組織能力強化戦略を推進してきました。

 

当連結会計年度における報告セグメント別の概況は次のとおりです。

 

①リース&ファイナンス事業

リース&ファイナンス事業は、契約実行高においてはWindows10サポート終了によるパソコンの入替需要や、複数の大口案件がけん引し、増加しました。新規契約獲得利回りは収益性重視の方針の下、引き続き改善しました。売上高は前年の大口解約案件の反動減により減少したものの、セグメント利益は増加しました。

 

②サービス事業

サービス事業は、集金代行サービスにおいては既存顧客に対する取扱件数が増加したことに加え、新規成約案件も順調に稼働しました。医療・介護報酬ファクタリングサービスにおいては、サービスへの需要は継続して高まり、取扱高は堅調に増加しました。売上高は増加したものの、事業基盤強化に向けた投資により販売費及び一般管理費が増加し、セグメント利益は減少しました。

 

③インベストメント事業

インベストメント事業は、契約実行高においては、物流施設向けの信託受益権への投資が大きく伸長し、増加しました。その結果売上高、セグメント利益ともに増加しました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて減少しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて支出が増加しました。これは、賃貸資産等の営業資産の取得による支出が増加したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて支出が減少しました。これは、社用資産の取得による支出が減少したこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて収入が増加しました。これは、コマーシャル・ペーパーの発行や、借入金の実行による収入が増加したこと等によるものであります。

 

 

(3)特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金)の状況

「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日大蔵省令第57号)に基づく、提出会社における貸付金の状況は次のとおりであります。

 

①貸付金の種別残高内訳

2025年3月31日現在

貸付種別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

平均約定金利

(%)

消費者向

 

 

 

 

 

無担保(住宅向を除く)

459

5.70

227

0.08

2.80

有担保(住宅向を除く)

4,823

59.85

122,740

44.39

2.14

住宅向

690

8.56

6,693

2.42

1.78

5,972

74.10

129,661

46.89

2.12

事業者向

 

 

 

 

 

2,087

25.90

146,853

53.11

2.61

合計

8,059

100.00

276,515

100.00

2.38

 

②資金調達内訳

2025年3月31日現在

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

795,000

0.66

その他

224,583

0.56

 

社債・CP

215,000

0.57

合計

1,019,583

0.64

自己資本

234,070

 

資本金・出資額

7,896

 

③業種別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

業種別

先数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

建設業

1

0.01

1,618

0.59

情報通信業

1

0.01

782

0.28

金融業・保険業

19

0.28

37,270

13.48

不動産業・物品賃貸業

14

0.21

4,904

1.77

医療・福祉

482

7.16

29,336

10.61

サービス業(他に分類されないもの)

1,061

15.76

18,412

6.66

個人

5,117

76.02

129,661

46.89

その他

36

0.53

54,528

19.72

合計

6,731

100.00

276,515

100.00

 

 

④担保別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

受入担保の種類

残高(百万円)

構成割合(%)

有価証券

 

うち株式

債権

 

うち預金

商品

不動産

236,343

85.47

財団

その他

15,998

5.79

252,341

91.26

保証

無担保

24,173

8.74

合計

276,515

100.00

 

⑤期間別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

期間別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

1年以下

58

0.72

3,957

1.43

1年超 5年以下

793

9.84

42,508

15.37

5年超 10年以下

1,142

14.17

73,603

26.62

10年超 15年以下

597

7.41

20,846

7.54

15年超 20年以下

226

2.80

5,094

1.84

20年超 25年以下

262

3.25

3,002

1.09

25年超

4,981

61.81

127,503

46.11

合計

8,059

100.00

276,515

100.00

1件当たり平均期間

26.55年

(注)期間は、約定期間によっております。

 

 

営業取引の状況

(1)契約実行高

連結会計年度における契約実行高の実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

(百万円)

前期比(%)

リース

 

 

 

事務用・情報関連機器

126,274

147,403

116.7

産業・土木・建設機械

10,425

11,187

107.3

医療機器

23,359

24,260

103.9

商業及びサービス業用機器

8,411

9,127

108.5

その他

34,661

38,286

110.5

ファイナンス・リース計

203,132

230,264

113.4

オペレーティング・リース

17,947

22,158

123.5

リース計

221,079

252,422

114.2

割賦

53,749

51,768

96.3

融資

86,015

78,412

91.2

リース&ファイナンス事業計

360,844

382,604

106.0

(注)リースについては、取得した賃貸用資産の取得金額、割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。なお、再リース取引の実行額は含んでおりません。

 

 

(2)営業資産残高

連結会計年度末における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

期末残高

(百万円)

構成比(%)

期末残高

(百万円)

構成比(%)

リース

 

 

 

 

事務用・情報関連機器

329,257

31.5

346,191

29.6

産業・土木・建設機械

48,143

4.6

47,225

4.0

医療機器

65,590

6.3

66,452

5.7

商業及びサービス業用機器

25,672

2.5

25,339

2.2

その他

106,224

10.2

113,792

9.7

リース債権流動化対象物件

△68,747

△6.6

△51,358

△4.4

ファイナンス・リース計

506,140

48.4

547,643

46.8

オペレーティング・リース

34,556

3.3

38,444

3.3

リース計

540,697

51.7

586,087

50.1

割賦

150,770

14.4

157,713

13.5

融資

260,176

24.9

276,515

23.6

リース&ファイナンス事業計

951,645

91.0

1,020,316

87.2

サービス事業

インベストメント事業

94,592

9.0

150,048

12.8

合計

1,046,237

100.0

1,170,365

100.0

(注)1.割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

2.上記営業資産残高は、連結貸借対照表における割賦未実現利益を控除した割賦債権の残高、リース債権及びリース投資資産、営業貸付金、有形・無形の賃貸資産等の各残高をセグメント別に集計し、記載しております。

 

 

(3)営業実績

連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

前連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース

ファイナンス・リース

205,542

オペレーティング・リース

34,912

リース計

240,455

210,610

29,844

1,043

28,801

割賦

47,318

42,297

5,021

287

4,733

融資

5,766

322

5,443

479

4,963

リース&ファイナンス事業計

293,539

253,230

40,309

1,811

38,498

サービス事業

8,785

3,624

5,160

17

5,143

インベストメント事業

6,009

3,911

2,098

172

1,925

合計

308,335

260,766

47,569

2,001

45,567

(注)売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

また、上記表の売上原価と資金原価の合計額が、連結損益計算書における売上原価の金額となります。

 

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース

ファイナンス・リース

209,144

オペレーティング・リース

35,322

リース計

244,466

212,443

32,023

1,924

30,098

割賦

41,802

36,954

4,847

499

4,348

融資

6,602

343

6,259

854

5,404

リース&ファイナンス事業計

292,872

249,741

43,130

3,279

39,851

サービス事業

9,370

3,801

5,569

25

5,544

インベストメント事業

9,913

6,355

3,557

406

3,151

合計

312,156

259,898

52,257

3,711

48,546

(注)売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

また、上記表の売上原価と資金原価の合計額が、連結損益計算書における売上原価の金額となります。

 

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べて増加し、純資産も増加しました。自己資本比率は前連結会計年度末に比べて減少しました。資産の部、負債の部、純資産の部における主な内容は以下のとおりであります。

 

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

増減

総資産(百万円)

1,247,276

1,376,211

128,935

純資産(百万円)

221,936

234,070

12,134

自己資本比率(%)

17.8

17.0

△0.8

 

①資産の部

総資産は、営業資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて増加しました。

 

②負債の部

負債は、借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて増加しました。

 

③純資産の部

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加、剰余金の配当による減少等により、前連結会計年度末に比べて増加しました。自己資本比率は前連結会計年度末に比べて低下しました。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

当社では、2023年度より中期経営計画をスタートし、最終年度の2026年3月期において、以下の財務目標の達成を目指しております。

2023~2025年度中期経営計画期間では「営業利益」、「親会社株主に帰属する当期純利益」に加え、投下資本全体、及び株主資本の運用効率・収益性を測る指標である「ROA」及び「ROE」を中長期目標として設定しました。

それぞれの指標の目標は以下のとおりです。

 

イ.営業利益                    235億円

ロ.親会社株主に帰属する当期純利益         160億円

ハ.ROA(総資産当期純利益率)         1.1%以上

ニ.ROE(自己資本利益率)            7%以上

ホ.配当性向                    40%以上

 

財務実績

第48期

(2024年3月期)

第49期

(2025年3月期)

増減

営業利益

210億円

217億円

+7億円

親会社株主に帰属する当期純利益

112億円

156億円

+43億円

ROA

0.91%

1.19%

+0.28ポイント

ROE

5.2%

6.9%

+1.7ポイント

配当性向

41.0%

35.4%

△5.6ポイント

 

①営業利益

営業資産の積み上げや資産利回りの向上により売上総利益が増加、営業利益は217億円となり、前連結会計年度に比べて7億円増加し過去最高益を更新しました。

 

 

②親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は156億円となり、前年の特別損失計上の反動等により前連結会計年度に比べて43億円増加し過去最高益を更新しました。

 

③ROA

総資産の伸びを親会社株主に帰属する当期純利益の伸びが上回ったことにより、ROAは1.19%となり、前連結会計年度に比べて0.28ポイント上昇しました。

 

④ROE

自己資本の伸びを親会社株主に帰属する当期純利益の伸びが上回ったことにより、ROEは6.9%となり、前連結会計年度に比べて1.7ポイント上昇しました。

 

⑤配当性向

1株当たり年間配当金は前期比30円増配の180円となり、1株当たり当期純利益の伸びが1株当たり年間配当金の伸びを上回ることにより配当性向は35.4%と、前連結会計年度に比べて5.6ポイント低下しました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①資金需要

当社グループの資金需要のうち主なものは、リース・割賦契約に伴う物件の購入、営業貸付金の実行、事業投資等によるものであります。

 

②資金調達

上記資金需要に対する資金調達は、内部資金及び外部資金を有効に活用しております。外部資金については、金融機関等からの借入や社債、コマーシャル・ペーパーの発行、債権流動化を活用し、資金調達手段の多様化・調達コストの抑制を図っております。営業資産の増加に伴い、金融機関等からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行による資金調達を行い、有利子負債残高(リース債務を除く)は前連結会計年度末に比べて増加しました。

 

③資金の流動性

必要資金の確保と運転資金の効率的な調達を行うため、金融機関24社と総額1,656億円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の金額及び決算期における収益・費用の金額に影響を与える見積りを使用する必要があります。当社において、連結財務諸表に重要な影響を与えていると考えているものは次のとおりであります。

 

貸倒引当金

当社グループの主力事業であるリース&ファイナンス事業の債権残高は多額であり、経営成績への影響が大きいため、会計上の見積りにおいて重要なものと判断しております。

なお、貸倒引当金の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(令和5年内閣府令第81号)附則第3条第4項の規定により、記載を省略しております。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。