(1)経営方針
当社は「生活環境の保全に貢献する」、「たゆまざる努力と先端技術の開発とによって卓越したテクノロジーを提供する」、「社会の信頼を基盤として企業の発展と社員の福祉増進を追求する」を会社の基本理念としております。この基本理念に基づいて、安全・安心・安定的な水の供給、公共用水域の水質改善、資源・エネルギー循環の形成、経営基盤の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した維持管理情報サービスなどを通じて、人々の生活に不可欠な上下水道インフラの持続・発展の支援事業を軸に、地域社会やSDGs(国連で定められた持続可能な開発目標)の達成への貢献を目指すとともに、企業業績と従業員満足度の向上及び株主価値の増大を図ることを基本方針としております。
(2)経営環境
①上下水道分野における新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対する認識
2020年は新型コロナウイルス感染症の世界中での感染拡大により、社会・経済・財政・雇用・生活形態・医療環境などが激変した年となりました。コロナ禍の中、国内では「手指消毒」と共に、「手洗い・うがい」が感染予防対策として有効であることと認識されて、国民の生活習慣に定着しました。その前提として、我が国の水道普及率がほぼ100%であり、ほとんどの国民が安心安全な水道水を利用できることが挙げられます。国内の水道水は、塩素等による消毒の効果が高いため、適切に塩素消毒されている水道水が原因となって新型コロナウイルスに感染することはないと考えられます。このように生活に不可欠な上水道事業は適切な維持管理の継続と老朽化対策が急務でありますが、多くの水道事業実施公共団体において、それに必要な経費を料金収入で十分に賄えていないにも関わらずコロナ禍での生活支援として、水道料金の減免が実施され、事業継続に必要な費用の不足が懸念されています。
下水道分野においては、感染者が発生している地域の下水中にウイルス遺伝子が存在し得ることが明らかとなってきています。日本水環境学会に所属する大学の研究者などにおいて、下水中に含まれる新型コロナウイルスの検出に注目が集まっています。下水疫学調査は特定の地域における新型コロナウイルスの侵入、流行状況、分子疫学および流行収束の判断材料として利用できる可能性があると報告されています。オーストラリアやフランスでは、各地の下水道施設から汚水を採水し、PCR検査の機器にかけてウイルスの有無を確認して、未確認の市中感染の兆候をつかむことにつなげる動きがあります。他方、WHOによれば、まだデータは得られていないものの、新型コロナウイルスは腸管系ウイルスよりも環境中での生残性が低く、現行の浄水・下水処理で十分に除去・不活化されることが期待されています。
このように、国内では主に地方自治体が所有・運営する上下水道事業は、メディア報道では大きく取り扱われることは少ないですが、収束が見えないコロナ禍において、感染者の増加を抑制する公衆衛生の要、「エッセンシャルワーク」の一つとして捉えられています。
②経済情勢と政府予算、顧客である地方公共団体財政と当社事業内容に対する認識
2020年12月の日銀短観によりますと、大企業製造業の業況判断指数(DI)は、2020年9月調査から17%ポイント上昇のマイナス10%ポイントとなりました。一方、大企業非製造業におきましては、前回調査から7%ポイント上昇のマイナス5%ポイントとなりました。また、中小企業の業況判断におけるDIは、製造業は前回調査から17%ポイント上昇のマイナス27%ポイント、非製造業は10%ポイント上昇のマイナス12%ポイントとなりました。3か月後を予想する業況判断では、大企業製造業ではマイナス8%ポイント、大企業非製造業ではマイナス11%ポイントと、新型コロナウイルスにおける世界的な未曾有の危機に直面し、感染収束の見通しが見えないことから、景気の先行きを懸念する企業が多い状況です。
こうした経済情勢の下、当社の主要なビジネスターゲットである上下水道事業は、高度成長期に集中的に整備された上下水道施設の多くが耐用年数を経過しており、老朽化した施設の計画的な改築・更新や、度重なる豪雨災害や地震被害を軽減する対策についてのニーズも高まっています。当社の事業と関わりの深い国土交通省の2020年度の省全体の公共事業関係費予算案は、「防災・安全交付金」と「社会資本整備総合交付金」の総額で対前年度比0.96倍と前年並みの予算が閣議決定、執行されております。これとは別枠で、浸水対策に係る個別補助制度などを含む下水道関係費の総額は、前年度比1.90倍の296億5900万円が計上されています。さらに、2018年度の第2次補正予算から2020年度までの3カ年で、重要インフラの「3カ年緊急対策」に関して、下水道の事業規模で総額3,400億円となる緊急対策が計上されています。2020年12月には、令和3年度当初政府予算案が、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化戦略」が盛り込まれた令和2年度第3次補正予算案とともに、閣議決定されて、両者合わせて15ヵ月予算として執行されることになっています。
コロナ禍でありますが、施設の老朽化対策・耐震化、下水道未普及解消、内水氾濫対策、広域化・共同化、雨天時浸入水対策、省エネルギー・創エネルギー等、地方公共団体の上下水道事業関連予算は発注時期の遅れがあったものの概ね予算通りに執行されています。こうしたニーズに応えるべく、豊富な経験を積んだエンジニアが継続して自己研鑽に励み、その能力を結集するとともに、組織体制を一新し発足したDX推進部が主導して、長年にわたり開発・蓄積したICT技術を活用したサブスクリプションサービスのビジネスなどにより、主力とする上下水道分野をはじめ、河川分野、廃棄物・環境分野、海外分野における社会課題の解決に努めて参ります。
(3)対処すべき課題
第59期の受注残高はコロナ禍ではありましたが、前期と同程度で推移しました。新型コロナウイルス感染対策の一環で、対面形式での客先協議が制限されて、リモート協議を積極的に活用して対応しましたが、顧客である地方公共団体の通信インフラや環境の整備状況が遅れていることが多く、業務遅延のリスクが存在しております。官公庁の会計年度の関係上、納期が集中する年度末に向けて、今まで以上に細心の注意を払い、各受注案件の予算、工程、外注、品質を適切に管理して成果品の納品に努めるとともに従業員の健康に留意した労務管理を徹底致します。その上で、引き続き以下の項目を重点課題として外部環境の変化に対応した事業戦略を実施し、持続的に企業価値の向上を実現してまいります。
① 我が国の上下水道事業、政府予算方針、地方公共団体の財政政策に即した営業活動を基軸に、社会課題の解決に向けた受注の拡大を図ります。
② 総合原価を低減し、利益率の向上を図ります。
③ 市場のニーズに合わせた先端的サービスの開発・客先提案により、提供サービスの付加価値の向上を図ります。
④ 執行体制が脆弱な中小自治体の上下水道持続確保に対して加速する広域化・共同化について、民間企業としての信頼性と柔軟性を高めて、官民連携事業に積極的に取り組みます。
⑤ 国内外の産官学とのネットワークを活用し、海外水ビジネスへの積極的な営業活動を展開します。
⑥ テレワークの積極的な活用と健康経営を推進し、コロナ禍でも社員が健康で安心して働くことのできる企業を目指します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。
当社の公共事業分野の主要な発注元は、上下水道事業を実施・運営する地方公共団体及び関連団体であります。続いて比率は大きくありませんが、上下水道、環境衛生、海外援助に関する政策を立案し所管する国土交通省、厚生労働省、環境省、外務省などの政府機関及び関連団体が発注元となる、政策形成支援に関する業務となっています。民間事業分野では、受注比率は少ないものの、コンクリート構造物の非破壊検査、民間整備の工業団地等の上下水道施設設計なども行っております。
従って、地方公共団体が発注する公共事業の受注比率が高い割合を占めており、地方公共団体の税収、財政支出及び国庫補助金や地方交付税交付金など国土交通省や総務省など政府の予算編成動向により、当社の受注ターゲットとなる予算は変動するため、受注高、完成業務高及び利益に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、北海道から九州・沖縄地区まで全都道府県に配置した国内の営業網と幅広い業務実績と提案力を活用して、主力である上下水道分野の既存顧客への深掘りと新規顧客の開拓を展開し、受注額の低減リスクに対応する方針です。海外部門の受注においては、水インフラに関する対象国が、政治・社会・経済・財政・為替等、ほとんどの点で我が国よりもカントリーリスクが高いため、国際協力機構(JICA)など本邦政府関連機関からの受注を優先的にすることでリスク低減に心掛けております。
また、民間部門の受注額を増加するべく、水インフラに関する民間領域でのビジネス創出を図る開発・研究を進めて参ります。
当社は、公共事業分野で毎年数百件に及ぶ受注案件があり、これらの成果図書の品質の確保及び質的向上を行うため、業務委託契約書に基づく照査体制に加えて品質保証の国際認証システムISO9001を導入して万全のチェック体制を構築しております。しかしながら、数多くの職種に渡り専門知識を要する検討項目が幾重にも輻輳するプロジェクトもあり、成果図書の品質に不備が発生した場合、修補対応が必要となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、成果図書の品質確保を更に向上させる仕組みとして、業務経験豊富なシニアエンジニアにより、業務リスクの高いと想定されるプロジェクトのキックオフ時点から、定期的に審査するミーティングを開催し、設計瑕疵の防止に努めております。
当社は、全国で事業展開を行っており、地震、津波、洪水等の自然災害や予測不能な事故等の事由による被害を受けた場合、事業活動が制限され、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社では災害に直面した場合の、事業継続計画(BCP計画)を策定し、定期的に計画を更新して、災害等のリスクに備えております。
当社にとって人材の次に大切なコンサルティング業務に関するデータは、東京と大阪に2拠点それぞれにデータサーバーを設置して、双方で定期的にデータをバックアップし、危機対応しております。また、事業拠点であるオフィスが被災した場合でも事業活動が継続できる対策として、全社9割以上の社員がスマートフォンとノートパソコンを日常的に使用して社内サーバーにアクセスできるテレワーク環境を整えています。2020年4月のコロナ禍における緊急事態宣言下での原則在宅勤務体制の際も、これらの仕組みは機能し、社員のテレワークリテラシーが向上し、危機対応力が強化されております。
我が国の上下水道インフラ資産は、約130兆円との内閣府の試算があり、セクター別で道路に次ぐストックがあります。このうち、上水道はほぼ普及し、国内の全管路延長は約67万kmに達していますが、管路の年間更新率は全国平均で0.75%と低く、管路をすべて更新するのに約130年かかる計算となっています。水道管路は法定耐用年数が40年でありますが、高度成長期に大量に整備された管路施設の更新が進まないため、管路の老朽化はますます上昇すると見込まれ、安全な水を安定的に給水するために経年管路の更新が重要な課題となっています。
下水道分野については、全国の汚水処理人口普及率が91.7%(2019年度末)となっていますが、そのうち下水道によるものが79.7%にとどまり、未だに約1,048万人が汚水処理施設を利用できない状況にあり、普及促進の加速が求められています。施設の新設のニーズは減少の一途を辿っていますが、高度成長期に急速に整備した上下水道施設は毎年大量に耐用年数を迎え、安心・安全で文化的生活を送るために不可欠なこれらのインフラ資産を維持、更新していくことが求められています。また、近年頻発するゲリラ豪雨、大型台風による風水害などから人命や資産を守る浸水対策や地震が発生してもトイレが使えるなどの耐震化、津波に強い下水道施設の補強対策などのニーズも高まっています。
当社は、このような事業環境のもと、主に、上水道分野では、「安全・強靭・持続・連携・挑戦」をキーワードとした厚生労働省水道課が掲げる新水道ビジョンに則ったアセットマネジメント関連業務の積極的な受注活動を展開しております。下水道分野では、国土交通省下水道部の主要7大テーマ、「震災復旧・復興の支援の強化と全国的な安全・安心対策の実施」、「未普及地域の早期解消」、「水環境マネジメントの推進」、「施設管理・運営の適正化」、「下水道経営の健全化」、「低炭素・循環型社会への取組推進」及び「国際展開と官民連携による水ビジネスの国際展開」に沿った受注活動を展開しました。更に、総務省が支援を行っている簡易水道・下水道事業における地方公営企業法の適用による公営企業会計の導入支援関連業務、下水道事業経営戦略策定業務等の受注活動などを推進しております。国内市場においては、既存顧客である地方公共団体の施設整備状況や事業課題を熟知する当社の優位性を背景に、きめ細かい技術提案、柔軟な顧客サービスの提供を通じたリピート率の高い受注活動とともに、積み上げた業務実績を基に新規開拓営業を展開しております。海外分野では、官民連携による新興国の案件発掘などの受注活動を展開しております。
他方、社内の就労環境については、全社9割の社員にスマートフォンとノートパソコンを支給し、フリーアドレスと無線LANを取り入れたオフィス環境の整備により、オフィス内だけでなく、外出先でも働く場所を選ばないテレワーク環境を提供しております。全社で意識付けを行っている社内の各階層での迅速な情報共有、部署別経営指標の随時確認による部署課題へのスピーディな対応、受注プロジェクトの適正な予算・工程・進捗・外注管理、社内エンジニアのスキル向上、次代を担う若手人材の確保・育成、改正労働基準法を遵守した残業時間の削減、健康経営の促進、時差出勤制度、有給休暇の取得促進など、社員一人ひとりがそれぞれの事情に応じてメリハリをつけて働くことができる社内制度の活用などにより、生産性向上と原価低減を図り、社員還元と収益の拡大に努めております。
当事業年度中、新型コロナウイルス感染症の影響は国内外で続いており、当社では、在宅勤務や時差出勤などによる感染防止策を講じて、社員の安心・安全に十分配慮して事業活動を継続しました。また、当社では予てからテレワーク環境が整備済みであり、オンラインワークに馴染んでいるため、オフィスに出勤せずとも作業性を低下させることのないよう取り組んでおります。
この期間中、各地方自治体の予算執行状況を注視しておりましたが、当社に関連する地方自治体に関しては、概ね予定通り執行されました。しかしながら、各県の新型コロナウイルス感染防止ポリシーなどにより、当社の技術スタッフの多くが居住する大都市から、多くの顧客を抱える地方部への出張が制限された影響で、オンラインでは難しい現地調査、対面協議などが滞り、多くのプロジェクトや業務案件の進捗が遅延しております。また、海外案件についても渡航ができない状況が続き、影響が出ております。
この結果、当事業年度の受注高は62億6千7百万円(前期比2.0%増)となりました。受注増加の主な要因は、若手社員の成長による新規顧客開拓の増加、設計施工一括発注型大型案件の受注、中途採用エンジニアの戦力化による生産体制の向上を背景とした受注件数の増加などとみております。一方、完成業務高は62億7千4百万円(前期比1.0%減)、営業利益は6億6千4百万円(前期比16.9%減)、経常利益は6億4千7百万円(前期比20.7%減)、当期純利益は3億7千5百万円(前期比22.0%減)となりました。
当社における事業部門別の業績は、次のとおりであります。
建設コンサルタント部門につきましては、受注高は58億5千7百万円(前期比2.9%増)となりました。一方、完成業務高は57億8千6百万円(前期比1.0%減)となりました。
情報処理部門につきましては、受注高は4億1千万円(前期比9.2%減)となりました。一方、完成業務高は4億8千7百万円(前期比0.8%減)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、26億6千万円(前期比12.1%減)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は、次のとおりであります。
営業活動により使用した資金は、1億2百万円(前期は4億2千6百万円の獲得)となりました。
これは主に税引前当期純利益の計上、売上債権の増加及び法人税等の支払額の増加によるものであります。
投資活動により使用した資金は、6千8百万円(前期比288.7%増)となりました。
これは主に投資有価証券の取得及び償還、並びに固定資産の取得によるものであります。
財務活動により使用した資金は、1億9千6百万円(前期比82.4%減)となりました。
これは主に配当金の支払いによるものであります。
当事業年度における生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価額で表示しており、消費税等は含まれておりません。
当事業年度における受注実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価額で表示しており、消費税等は含まれておりません。
当事業年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価額で表示しており、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注) 金額は販売価額で表示しており、消費税等は含まれておりません。
文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。
① 当事業年度の財政状態の分析
当事業年度における流動資産は、55億9千2百万円(前期比0.4%増)となりました。これは主に法人税等の支払額の増加による「現金及び預金」の減少及び「完成業務未収入金」の増加によるものであります。
当事業年度における固定資産は、14億2千9百万円(前期比0.6%減)となりました。これは主にリース契約の増加による「リース資産」の増加及び「投資有価証券」の減少によるものであります。
当事業年度における流動負債は、10億9千6百万円(前期比16.4%減)となりました。これは主に業務代金の入金の減少による「未成業務受入金」の減少及び「未払法人税等」の減少によるものであります。
当事業年度における固定負債は、2億2千6百万円(前期比19.6%増)となりました。これは主にリース契約の増加による「リース債務」の増加及び「退職給付引当金」の減少によるものであります。
当事業年度における純資産は、56億9千9百万円(前期比3.5%増)となりました。これは主に当期純利益の計上により「利益剰余金」が増加したことによるものであります。
当事業年度における完成業務高は、62億7千4百万円(前期比1.0%減)と前事業年度と同水準になりました。これは働き方改革に対応した就業環境の向上、社内での情報共有の徹底等により、概ね予定通りに受注残の消化を進められたことによるものです。
当事業年度における営業利益は、6億6千4百万円(前期比16.9%減)となりました
個々の受注案件、さらに担当職種ごとに、従業員一人ひとりの利益確保意識が定着し、作業内容に応じて内製化とアウトソーシングの内容、費用を適切に判断して取り組んでおりますが、原価率が比較的少ない大型企業会計移行業務や上下水道事業実施団体ごとに策定が求められているストックマネジメント事業計画(中長期的な施設改築更新計画の立案業務)などの策定支援業務の受注が一巡し、土木、建築、機械、電気などの工種間で詳細な調整、検討を要する工事発注用の詳細設計業務の比率が高まり、原価率が上昇したことが主要な要因で前期比マイナスとなりました。
他方、コロナ禍での従業員の生活支援と就業意欲の向上の観点から、年間賞与支給率を前期比と同程度に維持したほか、絶対数が少なく採用競争が激しい理工系のバックグラウンドを持つ中途採用の強化、次世代を担う若手人材を確保するため、採用活動関係費や広告宣伝費も増加したことも要因となっています。
当事業年度における経常利益は、6億4千7百万円(前期比20.7%減)となりました。これは主に保有する金融資産の評価額低下に伴う「投資有価証券評価損」によるものであります。
当事業年度における当期純利益は、3億7千5百万円(前期比22.0%減)となりました。これは主に受発注者間双方の確認不足により発生した修正対応費用である「工事補償損失」及び「支払負担金」によるものであります。
経営成績に重要な影響を与える主な要因は、国及び地方公共団体の会計年度毎の予算計上、適正な利潤が得られる業務価格での受注、不採算案件の発生を防ぐプロジェクト管理、中長期的人材の確保・育成による着実な技術伝承、社会のニーズに合った技術研究開発などであります。当事業年度における事業環境は、コロナ禍での財政・経済活動の制限の影響を受けたものの、経営成績に与える影響は軽微であったと考えています。
今後について、政府予算は、コロナ禍で落ち込んだ地方公共団体の税収減による財源不足を補い、地域経済を下支えする予算案の量的な執行への期待、地震や豪雨被害などにおいても安心・安全な生活を送ることができる上下水道インフラへの投資の質の変化、国連の定めるSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた動きの活発化などを予測しております。
このような環境において、当社は持続的な発展を実現するため、中期経営計画に定めた諸施策を適宜軌道修正して推進するものであります。
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況 (1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主要なものは、完成業務原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で賄うことを基本とし、資金調達を行う場合には、経済情勢や金融環境を踏まえ、当社にとって最良の方法で行いたいと考えております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上および開示に関する経営者の見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績などを勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 重要な会計方針」に記載しております。
(収益及び費用の認識)
当社は工事契約案件のうち、一定の要件を満たす契約については工事進行基準(業務の進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。
工事進行基準の適用にあたって、工事原価総額は、必要かつ十分な情報を基礎とした合理的で信頼性のある実行予算に基づいて見積りを行っております。また、工事進捗度は、工事契約における履行義務全体との対比において、決算日における義務遂行の割合を合理的に反映すると考えられる原価比例法により、信頼性のある見積りを行っております。
これらの見積りに基づき収益及び費用を認識しておりますが、想定していなかった原価の発生等により当該見積りの見直しが必要となった場合、売上高や受注損失引当金に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。