第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は1971年の創業以来、環境の総合コンサルタントとして現場に立ち、環境問題の解決に貢献してまいりました。当社が提供するデータをもとに、どのような社会インフラを作るべきかの議論が始まる、言わば「社会基盤の礎」として活動してまいりました。
 当社は、こうして蓄積した技術力をもとに環境調査の現場からの目をとおした提言を行い、社会やお客様の環境保全活動、環境リスク回避にお役立ちするとともに、社会の経済発展に寄与することを経営の基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、2027年6月期を最終目標年度とする第2次中期経営計画に掲げた売上高(70億円)、経常利益額(3億50百万円)、ROE(10%維持)、PBR(1.2倍以上)を目標としております。今後も、事業分野の選択と集中を進め、人的資本効率の向上による収益の拡大と新規分野への挑戦により更なる企業価値の増大を目指し、財務体質と経営基盤の強化に努めてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、計量法に基づく環境計量証明業を基盤とした事業を展開しています。環境計量証明事業において、環境の計量の方法は日本産業規格(JIS)で定められており、差別化要因が少ないことから価格面のみの競争が激化するなかにあります。当社はこれまでに培った技術力によってお客様・社会からの要請に対応して現状把握の計量業務にとどまらず問題解決の提案も行ってまいりました。今後もお客様・社会のご期待にそえるよう取り組むことが使命であると考えております。

世界的に環境課題への取り組みが急務であるなか、わが国でもカーボンニュートラルに向けたエネルギー政策の整備が進んでおり、さらなる政策の強化が期待されます。脱炭素社会の実現に向けては、風力発電や太陽光発電施設建設に伴う環境アセスメント等、従来のコンサルタント業務だけでなく、設備工事関連のソリューション強化、環境関連、防災・災害関連商品の販売等、脱炭素社会に向けた省エネルギー支援をお客様に提供できる体制を整え、新たなニーズに応えるため課題に対応してまいります。

当社グループは「我々に関わる全てに感謝し、事業活動を通じて期待や要請に応え、社会的責任を果たしていく」という企業理念のもと策定した、2027年6月期を最終目標年度とする第2次中期経営計画に掲げた5点の重点施策を確実に実行していくことで、持続的な事業の成長と更なる企業価値の向上を実現してまいります。

また、これまでに培った技術力をアジア諸国に展開することにより、グローバル企業としての位置付けを確立し、アジア諸国における環境課題の解決に対応してまいります。

こうした多様性の時代にあって、当社グループは、社会価値の向上に資するコンサルティング技術を高め、新規分野へ挑戦することでお客様・社会の要請に対応できるよう努めてまいります。

 

(4)優先的に対処すべき課題

当社グループが優先的に対処すべき課題は次のとおりであります。

 

① 人的資本価値向上

当社の志“あやなろう”の精神のもと、人財育成・活用・交流・健康経営等の推進により、無形の価値を最大化させることで企業価値向上を目指してまいります。

  ② 新規事業の推進とDX戦略

外部連携やDX戦略を積極的に進め、大規模市場のうち「まちづくり事業」や「海外事業」等、未開拓領域への参入や新規事業へのチャレンジ等、当社グループの強みを発揮できる分野を中心に、事業領域の拡大に積極的に取り組んでまいります。

 

 ③ 成長分野の拡大

成長分野である、政策コンサル・受託試験・工事・アスベスト・アセスメント・農業に加え「省エネ」を注力する分野に位置づけ、人的資本効率の向上による収益性の向上や、既存の技術にとらわれることなく業務の幅を拡大する等、成長戦略を図ってまいります。

 ④ 基盤分野の最適化

人財の応用技術へのシフトや市場と業界内の動向に応じた商品の選択と集中を進めるとともに、環境コンシェルジュとして、お客様の課題解決に取組むことで他社との差別化を図ってまいります。

 ⑤ 社会貢献

社会の持続可能な発展なくして、企業の存続は図れないという考えのもと、スポンサー活動や地域社会を盛り上げ、共に発展できるよう取り組んでまいります。

 

※志“あやなろう”は当社グループが役員、従業員の在り方について、以下の5つの標語から定めた言葉となります。

・良い言霊で響きあおう

・世の中の素晴らしい人たちにたくさんあおう

・仲間を優しく、思いやろう

・雰囲氣を作る人になろう

・今を大切に出来る人になろう

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、環境事業を通じて社会に貢献することを企業理念として事業活動に取り組んでまいりました。経営に当たっての基本的な考え方は、事業活動を通じて顧客・取引先・従業員をはじめとするステークホルダーの多様な期待に応えることが当社グループの果たすべき社会的使命であると考えております。また、経営の健全性と透明性を高めることが株主・投資家の期待する企業価値の増大につながると考えております。

 

ガバナンス

当社においては、取締役会がサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、当社のサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行っております。当社のリスク及び機会を監視し、管理するためのガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

戦略

当社グループは、「至誠を以て経営の正道を歩む」との経営理念を掲げ、我々に関わる全てに感謝し、事業活動を通じて期待や要請に応え、社会的な課題を解決していくことで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループでは、変化し続ける社会や多様な価値に柔軟に対応する為、性別・年齢・国籍・人種・個性など、多様な人財が活躍できる組織づくりを推進していきます。また、社内の人財育成に関しては、役割に応じた研修プログラムや機会を整えて、社会からも必要とされる人財の育成に取り組んでまいります。

当社グループでは、社員が財産であるとの考えのもと、社内においては「人材」ではなく「人財」と表現しております。

社内環境の整備においては、多様な働き方の実現により創出した時間を新たなチャレンジ、家庭生活、自己啓発や趣味などに充てるよう推奨することで、社員のワークライフ・バランスの推進に取り組んでおります。

 

リスク管理

各執行部門は、施設管理等を起因とする環境危機や従業員の健康リスクを未然に防止することを重点においた自主点検を推進し、内部監査室を通して定期的に取締役会に報告を実施しております。

当社は、取締役・執行役員・内部監査室を主体とした執行役員会を原則月2回開催しており、各執行部門におけるリスク管理活動の把握及び管理を行っております。

 

指標及び目標

人財の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

当社グループでは、人財の育成や多様な人財が活躍できる組織を目指し、勤務間インターバル制度を構築、導入いたしました。引き続き柔軟な働き方やキャリア開発を可能とする制度拡充を検討しておりますが、現在のところ検討段階のため具体的な指標及び目標を設定しておりません。今後の進捗状況を鑑みて、指標化についても検討してまいりたいと考えております。なお、当社の管理職に占める女性労働者の割合、育児休業の取得率については、2025年6月期末までに下記の目標を設定しております。

 

指標

目標(2025年6月期末

実績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

   15以上

7.7

育児休業取得率

男性 10%以上

100%(対象者3名)

女性 80%以上

100%(対象者4名)

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

① 事業環境の影響について

当社グループの基盤となる環境計量証明業のビジネスは規制ビジネスであり、行政による環境に関する規制動向により市場環境は大きく変化します。また、環境規制に対応する測定・分析はJIS等で方法が定められており、JIS等の改正によっても競争環境に変化が生じます。
 環境法規制に対応した事業を展開するために、設備投資や人財育成を継続的に行っておりますが、市場環境の変化に対応できない場合、収益力や採算性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 官公庁受注の影響について

当社グループが官公庁から受注する契約は全受注金額の約20~30%を占めており、特に4~6月に受注時期が集中します。官公庁からの受託契約は競争入札が条件であり、当社グループが入札に参加できない場合や入札に参加しても他社が落札する場合があり、受注予測は確実ではなく業績見通しに影響が生じる可能性があります。

 

③ 事業登録の影響について

当社グループの事業の基盤をなす環境計量証明業としての事業登録をはじめ、特定計量証明事業者、作業環境測定機関、建設コンサルタント、建設業、土壌汚染対策法指定調査機関等、様々な法律に基づく事業登録を行い、事業を展開しております。
 何らかの理由により、これらの登録が取り消された場合には、当該事業の実施に支障が生じるおそれがあります。当社では事業登録に係る各法令を順守するとともに、複数の有資格者を配するなどの措置を講じ、事業登録の維持に努めております。

 

④ 自社施設の安全並びに環境汚染事故等の影響について

当社グループは、技術センター等、複数の分析施設を有しております。これら施設で取り扱う分析対象の検体や分析用薬品などに化学物質が含まれており、人の健康や周辺環境に影響を与えるおそれのあるものや有機化学物質抽出用の溶媒などの引火性・爆発性のものがあります。
 当社グループは、次に掲げるリスクが内在していることを認識しており、リスクの回避に努めています。

・分析従事者:健康への影響ならびに分析前処理中の薬品が飛散または爆発することによる事故
・分析施設内:分析前処理中の薬品が飛散または爆発することによる火災
・排水排気設備:測定値が排出基準を超過したことによる施設の操業停止
・施設敷地内:化学物質の漏洩等による土壌または地下水汚染
・周辺環境:化学物質等の周辺環境への放出・飛散ならびに騒音・振動の近隣への影響

上記に掲げたリスクが地震やヒューマンエラーにより現実化した場合は、事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。特に当社の分析検体処理数の過半を占める技術センターが地震や事故により操業休止になった場合は、事業計画の達成に重大な影響を及ぼす可能性が考えられますが、当社グループは3ヶ所の分析施設を有してリスクの分散を図っております。
 当社グループは、安全を第一とし、分析従事者には標準操作マニュアルによる作業指導を行うなどの教育訓練を実施し事故の防止に努めています。また、従業員の健康管理に配慮し、定期的に特殊健康診断を行っております。分析施設の管理については、設置している排水処理設備・排気処理設備の定期点検を行い、法規制よりも厳しい自主管理基準による測定監視での確認を行っております。なお、当社グループは施設内外において環境モニタリングを定期的に実施しております。

 

⑤  資金調達に係る財務制限条項について

当社は、安定的な資金調達をはかるため、取引先金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には、財務制限条項が付されており、これらの条項に抵触した場合、期限の利益を喪失し、当社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要
 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の国内経済を概観すると景気は、このところ個人消費の持ち直しに足踏みもみられるが緩やかに回復しており、先行きについては雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、今後も物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

環境関連の動向としては、カーボンニュートラルに向けたエネルギー政策の整備が進むなかで、当社は、中期経営計画の最終年度となる今期は、重点施策である①成長分野の拡大、②基盤分野の強化、③新規事業の推進、④働き方改革と多様な人財の活用の推進、⑤社会貢献の5点を確実に実行していくことで、持続的な事業の成長とさらなる企業価値の向上を実現するため、コンサルタント業務だけでなく、設備工事関連の強化、環境関連、防災・災害関連商品の販売等、脱炭素社会に向け省エネルギー支援を提供できる体制の強化を進めるなど、新たなニーズに応えるため課題に対応してまいりました。

当連結会計年度の受注高は67億85百万円(前期比37.0%増)でありました。官公庁からの受注高は15億51百万円(同16.4%増)、民間顧客からの受注高は52億33百万円(同44.6%増)になりました。受注高に占める官公庁の割合は22.9%であります。通期の売上高は55億94百万円(同4.7%増)でありました。官公庁への売上高は13億38百万円(同15.6%減)、民間顧客への売上高は42億55百万円(同13.3%増)になりました。この結果、翌連結会計年度以降に繰り越す受注残高は33億39百万円(同55.4%増)になりました。
 損益面については、売上原価は41億33百万円(同14百万円減、同0.3%減)、販売費及び一般管理費は11億31百万円(同11百万円減、同1.0%減)になりました。また、価格交渉により不採算案件を削減してきたこと、例年、生産の稼働率が低下する第4四半期も大型案件の寄与により収益が改善した結果、営業利益3億29百万円(同2億76百万円増、同521.4%増)、経常利益3億26百万円(同2億75百万円増、同541.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2億18百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失41百万円)になりました 。

総資産は56億2百万円(前期末比3億58百万円増)になりました。
 流動資産は20億31百万円(同4億33百万円増)となりました。流動資産増減の主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加2億65百万円、仕掛品の増加1億54百万円等であります。

 

固定資産は35億71百万円(前期末比74百万円減)となりました。うち有形固定資産は26億94百万円(同1億9百万円減)、当連結会計年度の減価償却実施額は2億38百万円(前期は2億47百万円)であります。また、当連結会計年度は1億62百万円(同2億57百万円)の設備投資を行いました。

負債は31億69百万円(前期末比1億60百万円増)となりました。増減の主な要因は、未払金の増加1億46百万円等であります。

当連結会計年度末の有利子負債残高は、14億76百万円(前期末比2億62百万円減)であります。内訳は、運転資金、設備投資目的の短期、長期借入金残高13億34百万円(同2億31百万円減)、リース債務の残高34百万円(同5百万円増)、社債の残高1億8百万円(同36百万円減)であります。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益2億18百万円計上により24億32百万円(前期末比1億98百万円増)になりました。この結果、1株当たり純資産は、493円39銭(同41円58銭増)になりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前期末に比べ24百万円増加し、6億75百万円になりました。営業活動により4億79百万円収入、投資活動により1億39百万円支出、財務活動により3億14百万円支出となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度末の営業活動による収入は4億79百万円(前期は5億70百万円の収入)であります。主として、税金等調整前当期純利益3億7百万円(同46百万円)、仕入債務2億53百万円の増加(同1億37百万円の減少)、減価償却費2億38百万円(同2億47百万円)、売上債権2億61百万円の増加(同2億4百万円の減少)、棚卸資産1億49百万円の増加(同2億18百万円の減少)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度末の投資活動による支出は1億39百万円(前期は2億72百万円の支出)であります。測定・分析機器など経常的な設備投資のため、有形固定資産に1億1百万円の支出(同1億98百万円の支出)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度末の財務活動による支出は3億14百万円(前期は1億88百万円の支出)であります。長期借入金の返済1億63百万円(同1億42百万円の返済)、運転資金を用途とする短期借入金の返済(純額)返済1億30百万円(同30百万円の借入)等によるものです。

 

 

 ③生産、受注及び販売の実績

当社は環境計量証明事業並びにこれら関連業務の単一事業であるため、開示対象となるセグメントはありませんが、分野別の事業内容を記載しております。

a.生産実績

 

 

(千円)

分野

第54期

(自  2022年7月1日

至  2023年6月30日)

第55期

(自  2023年7月1日

至  2024年6月30日)

政策コンサル

200,033

499,409

アスベスト

342,808

265,909

受託試験

150,242

150,706

工事

555,169

693,852

アセスメント

246,646

587,435

農業

124,362

38,412

放射能

64,834

224,492

土壌・地下水

324,972

681,280

廃棄物

478,300

316,738

作業環境

603,604

183,909

施設事業場

519,754

416,919

環境監視

229,088

174,794

出向・派遣

80,896

43,944

その他

合計

3,920,715

4,277,807

 

 

b.受注状況

 

 

(千円)

分野

第54期

(自  2022年7月1日

  至  2023年6月30日

第55期

(自  2023年7月1日

 至  2024年6月30日

受注高
 

受注残高
 

受注高
 

受注残高
 

政策コンサル

627,739

204,311

913,434

351,947

アスベスト

447,096

152,958

471,734

194,666

受託試験

224,350

42,360

241,760

44,569

工事

492,124

100,778

2,097,156

1,307,053

アセスメント

587,280

872,691

732,865

908,219

農業

69,785

39,538

83,775

54,255

放射能

372,880

279,257

31,156

21,929

土壌・地下水

818,142

62,942

919,508

89,835

廃棄物

391,677

123,806

331,355

117,875

作業環境

234,293

34,812

228,757

33,754

施設事業場

415,871

113,483

458,822

95,089

環境監視

205,423

122,141

224,086

120,721

出向・派遣

65,230

50,977

その他

合計

4,951,895

2,149,082

6,785,390

3,339,916

 

 

 

c.販売実績

 

 

(千円)

分野

第54期

(自  2022年7月1日

至  2023年6月30日)

第55期

(自  2023年7月1日

至  2024年6月30日)

政策コンサル

851,485

765,799

アスベスト

474,821

430,026

受託試験

231,251

239,551

工事

957,891

890,882

アセスメント

382,265

697,337

農業

60,145

69,057

放射能

148,915

288,484

土壌・地下水

890,616

892,614

廃棄物

432,845

337,286

作業環境

232,893

229,815

施設事業場

417,206

477,216

環境監視

198,011

225,507

出向・派遣

65,230

50,977

その他

合計

5,343,580

5,594,555

 

(注)1.販売実績に占める官公庁向けの割合は、第53期1,586,997千円29.7%)、第54期1,338,837千円23.9%)であります。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの事業領域である環境測定、分析、監視サービスの市場規模は環境省の推計によると2,050億円程度という水準でここ数年変化はありませんが、過当競争により受注環境は厳しくなっております。

当社グル-プは、価格競争の激しい各種モニタリング業務等の環境調査分野については、作業の効率化により競争力を高め、利益率の良い案件を選別受注し、利益を確保するとともに、国の政策コンサルや開発に係るアセスメント、アスベスト、受託試験、工事、農業を成長エンジンとして、経営資源を集中投下することで、対応力を強化し、売上利益の拡大を目指してまいりました。

経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.  受注高及び売上高

当連結会計年度の受注高は67億85百万円となりました。このうち、官公庁からの受注高は15億51百万円、民間企業からの受注高は52億33百万円であります。また、当連結会計年度の売上高は55億94百万円となりました。このうち、官公庁への売上は13億38百万円、民間企業への売上は42億55百万円であります。

当社グループは業務内容により次の13種に区分しております。

「政策コンサル」事業は、国の環境政策に関わるコンサルティングを行います。当連結会計年度の受注高は9億13百万円(前期比2億85百万円増)、売上高7億65百万円(同85百万円減)、受注残高3億51百万円(同1億47百万円増)になりました。

「アスベスト」事業は、建材のアスベストの含有量分析等を行います。当連結会計年度の受注高は4億71百万円(前期比24百万円増)、売上高4億30百万円(同44百万円減)、受注残高1億94百万円(同41百万円増)になりました。

「受託試験」事業は、オーダーメイドの試験設計やコンサルティングを行い、特に臭気分野の試験を通じて製品の性能評価や開発支援を行います。当連結会計年度の受注高は2億41百万円(前期比17百万円増)、売上高2億39百万円(同8百万円増)、受注残高44百万円(同2百万円増)になりました。

「工事」事業は、土壌汚染対策、アスベスト除去工事及び給排水・空調設備工事を行います。当連結会計年度の受注高は20億97百万円(前期比16億5百万円増)、売上高8億90百万円(同67百万円減)、受注残高13億7百万円(同12億6百万円増)になりました。

「アセスメント」事業は、環境影響評価、自然環境調査など主として民間事業者が開発行為に関連して行う環境保全への取り組みに関する業務です。当連結会計年度の受注高は7億32百万円(前期比1億45百万円増)、売上高は6億97百万円(同3億15百万円増)、受注残高9億8百万円(同35百万円増)になりました。

「農業」事業は、将来の食料自給率や生産性向上への貢献を目指し、農業分野での課題解決に向けた栽培試験・線虫試験等の農業関連試験を行います。当連結会計年度の受注高は83百万円(前期比13百万円増)、売上高69百万円(同8百万円増)、受注残高54百万円(同14百万円増)になりました。

「放射能」事業は、放射能の測定分析から廃炉に至るまで将来を見据えたコンサルティングを行う業務です。当連結会計年度の受注高は31百万円(前期比3億41百万円減)、売上高は2億88百万円(同1億39百万円増)、受注残高21百万円(同2億57百万円減)であります。

「土壌・地下水」事業は、民間企業の工場跡地等の売買に伴う汚染状況の把握調査を主としています。当連結会計年度の受注高は9億19百万円(前期比1億1百万円増)、売上高8億92百万円(同1百万円増)、受注残高89百万円(同26百万円増)になりました。

「廃棄物」事業は、主として公営のごみ焼却施設・中間処理施設・最終処分場等の廃棄物関連の調査業務、ダイオキシン・PCB類の分析を主としています。当連結会計年度の受注高は3億31百万円(前期比60百万円減)、売上高3億37百万円(同95百万円減)、受注残高1億17百万円(同5百万円減)になりました。

「作業環境」事業は、官公庁並びに民間企業の各施設・事業場内の作業環境測定を行う業務です。当連結会計年度の受注高は2億28百万円(前期比5百万円減)、売上高2億29百万円(同3百万円減)、受注残高33百万円(同1百万円減)になりました。

「施設事業」事業は、官公庁並びに民間企業の各施設・事業場からの排水・排ガス、騒音・振動、悪臭などの測定・分析を行う業務です。当連結会計年度の受注高は4億58百万円(前期比42百万円増)、売上高4億77百万円(同60百万円増)、受注残高95百万円(同18百万円減)になりました。

「環境監視」事業は、主として官公庁委託による公共用水域・大気環境の濃度計量証明業務を行う業務です。当連結会計年度の受注高は2億24百万円(前期比18百万円増)、売上高2億25百万円(同27百万円増)、受注残高1億20百万円(同1百万円減)になりました。

「出向・派遣」当連結会計年度の受注高は50百万円(前期比14百万円減)、売上高50百万円(同14百万円減)になりました。

 

b. 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は41億33百万円となりました。売上総利益は14億61百万円、売上総利益率は26.1%であります。

販売費及び一般管理費は11億31百万円でありました。

 

c. 営業外収益と営業外費用

営業外収益は受取手数料、受取利息及び受取配当金など、合計16百万円となりました。営業外費用は支払利息13百万円など、19百万円となりました。

 

d.  法人税等及び調整額

法人税・住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせて87百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は2億18百万円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の事業は、受託した調査を4月に着手して3月に完了する契約が多く、3月末時の売掛金残高は年間売上高のおよそ3分の1になる傾向があります。それにより4~5月の売掛金回収までの間、毎月平均的に発生する人件費・外注委託費等の営業費用の支払を目的とする資金需要が生じます。

当社の資金計画は、現金及び預金の月末残高が各月の資金需要の1~1.5ヶ月相当を目安としており、安定した財務流動性を維持するため、取引銀行3行と総額15億円のコミットメントライン契約を締結しております。

設備投資目的の資金は、分析測定機器等、経常的な更新の場合には手元資金またはリース契約に依っており、土地建物等の取得や高額の設備を導入する場合には長期資金を調達することを基本としております。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、開示に影響を与える判断と見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 〔連結財務諸表等〕(1)連結財務諸表 〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

  当連結会計年度の研究開発活動費用の総額は4百万円であります。

 当社では、応用測定(受託研究)分野での事業において環境分析技術や当社が蓄積した分析技術を活かし農業に関連する栽培技術を開発しております。