第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、社員の一体感を高め、社員全体が一丸となってパワーを発揮できる組織とし、未来のために貢献できる会社を目指したいとの思いの下、「社員すべてが心と力を合わせ、企業の発展と成長を通じて、未来のより良い環境作りに貢献する。」を経営理念とし、以下の3つの責任を果たしてまいります。

・個人責任  人間性と技術力を磨き、最高のサービスをお客様に提供します。

・企業責任  社員相互が信頼し合い、安心かつ働きがいのある会社を作ります。

・社会責任  お客様、投資家、株主から信頼され、社会から必要とされる会社を作ります。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、企業価値を向上させるとともに株主価値を高めるため、事業規模拡大の成果を示す売上高と、収益性向上による利益拡大の成果を示す営業利益、経常利益を重視しております。また、財務体質強化の観点からは、実質有利子負債の削減を重視し企業経営に取組んでおります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

近年の情報サービス産業は、生産年齢人口の減少及び新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、足元でICTを活用した労働生産性の向上や働き方の見直し等が以前にも増して求められています。また、2020年3月から5Gのサービス提供が開始した一方で、2030年代に向けた「Beyond5G」の取組みが既に始まっており、ICTインフラの進展に伴う国民生活や経済活動の変革が弛まずに進んでいくことが想定されます。当社は持続的な成長を続けるため、あらゆる産業で進むデジタル変革をビジネスチャンスと捉え、事業本部間で連携し、時代の流れを見極めた新たなソリューションの創出及び新規事業領域の開拓を進めてまいります。

また、当社ブランド力強化に資する製品・サービス・共同研究等への投資を進め、広く社会から認知される会社像を目指す中で、従業員がこれまで以上に働きがいを実感できる企業文化を醸成し、従業員エンゲージメントの強化にも努めてまいります。これらの取組みにより、当社では外部環境に左右されない盤石な経営基盤を持つ企業として、ITのBtoB市場における存在意義を高め、より一層の企業価値向上を目指してまいります。

①公共関連事業

国内においては、当社が住基カードの時代から携わってきたマイナンバーの利用拡大やデジタル庁の創設等、当社の更なる成長が期待できる国策が着々と進んでおります。これまで公共関連事業の大規模システム開発で培った様々な業務ノウハウを武器に、既存案件はもちろんのこと新規案件の確実な受注獲得に向け、引続き大規模案件のプロジェクトマネジメントを実行できる人材及び先端技術者の育成・確保に注力しつつ、対応できる公共システムの領域拡大を図ってまいります。

②エンタープライズ事業

あらゆる産業におけるデジタル変革が提唱されるなか、企業間でDX格差が生まれております。当社はERP事業において戦略的にSAP製品を組入れることで「intra-mart」と「SAP」を同一部門で取扱うことができる稀有な存在となりました。これにより、あらゆる顧客に最適なトータルソリューションを提供し、大きな潮流をビジネスチャンスにしていくことができるようになったことから、対象となるマーケットを拡げ、事業基盤の盤石化と事業領域の拡大を着実に進めてまいります。

③広域ソリューション事業

今後コアネットワークが4Gから5Gに置き換えられていく中で、遠隔制御・コネクテッドカー・ロボット等IoT関連の実装が進んでいくことが想定されます。当社が長年培ってきた通信制御・組込み分野のノウハウ及び事業基盤と、年々実績を増やしているクラウド・AI・RPA等のスキルを最大限に活用し、既存顧客における安定的な案件の確保及び新規顧客への積極的なアプローチを行ってまいります。また、DX関連ビジネスにおきましては、IT投資の活性化を睨み先端技術力の更なる向上に取組みつつ、DX推進部署を軸とした部門間連携を強化し、東名阪における新たなビジネスチャンスの拡大・獲得を図ってまいります。

 

④イノベーション事業

長年培ってきたインフラ構築・メインフレーム構築・ソフトウェア設計開発等の技術を基に、新たな業務領域の案件を獲得すると共に、自社製品を主軸としたソリューションの提供等、技術者数に依存しない事業領域の拡充を進めることで、事業基盤の更なる安定化と当社ブランドの認知拡大の両立を図ってまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症の拡大が経済活動に今なお影響を及ぼしており、先行き不透明感が続いております。そのような中、当社は、より広く、より長期的な視野で常にBCP(事業継続計画)を見直し、実効性を高め、当社の事業を取巻く複合的なリスクに対処できる企業であり続けなければならないと考えております。事業継続力及びコーポレートガバナンス体制を強化することで、信頼性の向上と持続的な成長を実現してまいります。

また、情報サービス産業における高スキル人材の獲得についても厳しい競争状態が続いており、人材がかけがえのない経営資源である当社としましては、一層の採用強化及び従業員定着率向上に向けた取組みが求められます。この様な状況を踏まえ、当社は、従業員及び求職者にとってより魅力ある企業になるべく、企業認知度を高め、高付加価値をつけるための教育・研修投資及び働き方改革等の施策により、企業価値の向上に努めてまいります。

また、各セグメントにおける主な課題は、以下のとおりであります。

公共関連事業においては、新型コロナウイルス感染症に係る経済対策に伴い、公共事業に関する予算縮小等による業務量の減少や、オフショアによる単価削減の継続が予想されます。その一方で、2021年9月に予定されているデジタル庁創設等、政府のDX進展に伴う案件増加が期待できることから、当社の事業優位性を発揮するにあたり、DX案件を実行することのできる人材の育成及び確保並びにノウハウ等の共有が最重要課題と認識しております。公共案件に長く携わる中で得てきた知見やノウハウを社内で共有し、DX案件の獲得に向けた人材育成及び組織強化につなげてまいります。また、先端技術を持つ人材の拡充も進めてまいります。

エンタープライズ事業においては、主となる最終ユーザの多くが法人企業であり、新型コロナウイルス感染症等の顧客を取巻く市況の変化により顧客の業況が悪化した場合、案件の縮小・延期・中止等により、事業計画を余儀なく変更する可能性があります。対象とする市場は多岐にわたることから、引続き新規案件の獲得に注力しリスク分散を図ります。また、トラブルを発生させないためのプロジェクトマネジメントの強化及びストックビジネス比率の向上等により、安定的な収益性の確保を図ってまいります。

広域ソリューション事業においては、新型コロナウイルス感染症等の顧客を取巻く市況の変化により顧客の業況が悪化した場合、案件の縮小・延期・中止等により、事業計画を余儀なく変更する可能性があります。短期間・低コスト・高品質のアプリケーション開発の需要拡大に対応すべく、ローコードや自動化案件の取込みに一層注力してまいります。また、請負案件・一次請け案件を増やし利益率向上に繋げるため、プロジェクトマネジメントを実行できる人材の育成・確保にも注力してまいります。

イノベーション事業においては、特定顧客との強固なパイプが当セグメントにおける安定的な収益基盤となっていると同時に、特定顧客への依存度が他セグメントと比較して相対的に高くなっております。一方で、暗号や電子透かし、ビーコン等の自社製品を開発・販売していることから、ストックビジネス比率の向上及び当社ブランド力強化に努め、特定顧客の事業方針変更や業績不振等に影響されない強固な事業基盤の構築に注力してまいります。

これらの取組みによって、当社の企業価値向上を図ることで顧客基盤を拡大し、将来に亘り安全・安心な社会作りに貢献してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 特定の事業分野への依存について

公共関連システム分野を事業の安定的収益基盤かつ当社の特長の一つとしており、売上高が占める割合は、全体の32.4%(前事業年度は32.2%)となっております。それらの多くの直接の販売先は、大手SIerでありますが、最終ユーザーは主に官公庁や地方自治体であり、政権交代や政策転換、国家的緊急事態の発生等により、予算の組替え・削減等が起きた場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社が携わる公共関連システムは、社会性・公共性が高いシステムが多く、当該リスクが発生した場合にも、多くのシステムが連続的に消失する可能性は低く、経営基盤を揺るがすほどの影響を及ぼすことは考え難い一方で、リスク発生時の影響を最低限に留める必要があります。当社はセグメント問わず、全事業本部において営業企画又は業務推進専門の部門を設置しており、事業部を超えた連携により人員の柔軟な配置を可能とする体制を整備すると共に、平時より新規案件の獲得及び新規ビジネスの推進に努めております。

(2) 大型開発案件における特定取引先への依存について

当事業年度における、主要顧客上位3社向け売上高が占める割合は、全体の46.8%(前事業年度は44.8%)となっております。3社共に、長期に亘り継続的に取引を維持できておりますが、その継続が保証されているものではなく、その事業方針の変更や案件の獲得(受注)状況によって、当社の経営成績が変動する可能性があります。

大型開発案件における主要顧客との継続的取引は、安定的な収益確保のために必要不可欠であり、当社は主要顧客にとってかけがえのない存在であり続けなければなりません。顧客のニーズに的確に即応すべく、当社は長期的に継続する多数の大型案件に携わってきたことで培ってきた深い専門知識と豊富な実績を、同業他社にとって参入障壁となり得る当社の強みと位置付け、慣例的にジョブローテーション等を実施することはせずに、各案件においてスペシャリストを育成し、顧客満足度を高めるためのサポート体制を維持しております。

(3) 協力会社への依存について

受託開発等、顧客のニーズに即した受注増大への対応及びコスト低減・効率化等を目的として、業務の一部を協力会社へ委託しております。

当社売上原価に占める外注費の割合は、当期は約6割となっております。協力会社から十分な開発人員を確保できない場合や、品質管理に問題が生じる場合等には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は独立系のシステムインテグレーターであり、その事業内容は人材や保有する技術力に大きく依存するため、要件を満たす人材の適時確保及び適切な管理体制が必要不可欠です。当社は、直接部門と間接部門が連携をとりながら、協力会社との関係強化及び協力会社の満足度向上を図り、安定的な人材確保に努めております。また、スキルレベルの観点から協力会社に依存することがないよう、当社の従業員に対しては、多岐にわたる研修プログラムの提供及び先端技術を習得するための機会創出に取組んでおります。

(4) 人材の確保について

雇用環境や市場の変化等によって新卒もしくはキャリア採用が想定通りに進まなかった場合、当社から人材が多数離職した場合、また採用や育成に伴う経費が増大した場合は、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

人材が最も重要な経営資源である当社にとって、優秀な人材の確保・育成・定着率向上のための戦略的な取組みは必要不可欠です。当社は、顧客のニーズに即した人材の採用・育成及び協力会社との連携体制強化に努めるほか、ワークライフバランスやダイバーシティ、健康経営の推進を通じて、働きやすい職場環境を整備する等、人材の定着にも注力しております。

 

(5) 不採算案件の発生について

請負契約形態のプロジェクトにおいては、当初想定していた見積り内容からの乖離やプロジェクト管理等の問題によって、予定外の原価の増加や納期遅延に伴う損害金等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

ICT技術の急速な進歩に伴い、システムの高度化・複雑化・短納期化が進んでいる中、不採算案件発生の回避及び発生時の影響の極小化するためのリスクマネジメントの徹底は必要不可欠です。当社は受注時における見積精度の向上、受注判定会議の厳格化、また受注後における進捗管理・品質管理の高度化に努めております。

(6) コンプライアンスについて

法改正等による対応に不備を生ずる事態が発生した場合、信用失墜による社会的信用の低下、発生した損害に対する損害賠償請求等、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

会社法をはじめ、多岐にわたる法令等の遵守を最優先に事業を推進すべく、故意・過失によりコンプライアンス違反が発生するリスクの軽減及びコンプライアンス違反発生時の早期発見を実現するための仕組みが必要不可欠です。当社は「内部統制システム構築の基本方針」に基づき、コンプライアンス体制の構築や、社内教育の実施、コンプライアンス通報制度の構築等、法令遵守の徹底を図っております。

(7) 情報セキュリティについて

システムインテグレーションも含めたITサービス事業の性質上、システム上に保存、蓄積された顧客情報を取扱う場合があります。万が一、第三者によるサイバー攻撃又は当社の責めに帰すべき事由による個人情報や機密情報の紛失、破壊、漏洩等が発生した場合、社会的信用の喪失、損害賠償責任等により、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

情報セキュリティ対策は当社の重要課題であり、厳格な情報管理と徹底した社内教育が必要不可欠であります。当社はセキュリティポリシーを定め、関連規程を整備し、プライバシーマーク付与認定及び情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得しております。また従業員が故意・過失関わらず情報セキュリティ事故を起こすことがないよう、社員教育の徹底を図っております。

(8) 自然災害等について

地震・風水害等の自然災害、火災等の事故、大規模な停電、紛争・テロ、重篤な感染症の大流行等が予測の範囲を超える規模で発生し、就業場所の確保、協力会社も含めた技術者の確保、情報システムの正常稼働に支障が生じて事業活動が停滞した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また当社の施設やシステムが被害を免れた場合においても、取引先の被害状況によっては同様のリスクが発生する可能性があります。

万が一、そのような自然災害等が発生した際に、適切な対応を取るための仕組みが必要不可欠です。当社はBCP(事業継続計画)の観点から、リスク発生時の被害を最小限に留め、早期復旧するための体制構築やマニュアル整備、防災訓練等を実施しております。

なお、新型コロナウイルス感染症につきましては、当社又は協力会社において感染が拡大した場合や、顧客企業のIT投資の削減が進んだ場合、プロジェクトの縮小・延期・中止等が発生する可能性があります。そのような中、当社は、政府が示した「新しい生活様式」の実践に努める等、引き続き感染防止に取組むと共に、当社の事業活動及び経営成績への影響を最小限に留めるため、「新しい働き方のスタイル」に順応するための創意工夫を図っております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にありますが、一部に弱さを含みつつも持ち直しの動きが見られます。

また、世界経済につきましても持ち直しの動きが見られますが、引き続き新型コロナウイルス感染症の感染再拡大によるリスクに十分留意する必要があります。

情報サービス業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、産業を問わずデジタル化・リモート化を前提とした活動にシフトしていく中、ICTはこれまで以上に重要性が増しております。また、ICTを活用した変革や新たな価値の創造が求められており、高速・低遅延・大量接続を可能とする「第5世代移動通信システム(5G)」をはじめ、IoT、ビッグデータ、AI等のデジタル技術の活用が進んでいくことが想定される一方で、先端技術を持つ技術者の不足はより一層顕著な問題になっております。

このような状況の中、当社は、社員・顧客・協力会社・地域社会・株主・環境等全てに対して会社が生み出した付加価値を分配し、事業を通じて社会に貢献する会社を目指しております。その一環として、リスクをとって果敢に新しい事業に挑戦し持続的に成長するという考えの下、「SAP関連事業の戦略的拡大」や「医療分野におけるAIに係る業務資本提携」等、ビジネス領域を広げ更に次のステージへ移行するための投資を行いました。また既存ビジネスにおきましては、新型コロナウイルス感染症拡大により一部案件の延期や中止が発生したものの、多岐にわたる事業ポートフォリオが奏功し、会社全体では成長基調を維持しました。

この結果、当事業年度業績は、売上高23,485百万円(前事業年度比3.4%増)、営業利益1,450百万円(前事業年度比1.5%増)、経常利益1,469百万円(前事業年度比0.1%増)、当期純利益1,025百万円(前事業年度比10.2%増)となり、売上高・各利益共に過去最高を更新しました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

なお、第1四半期会計期間より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当事業年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいています。

(公共関連事業)

主な最終ユーザが官公庁及び地方自治体となるマイナンバー関連システム、財務システム、貿易システム、航空管制システム、自動車関連システム、健康保険及び年金に関するシステム等社会インフラ基盤のシステム実現に向けた提案、設計、製造、試験からシステム稼動後の運用、保守に至るまでトータルソリューションの技術支援を行っております。

当セグメントにおきましては、案件によりシステム更改と運用の入れ替わりに伴う収益の拡大・縮小が生じる中、公共医療等を含む各種プロジェクトが順調に推移し、セグメント全体で増収増益となりました。

その結果、売上高は7,609百万円(前年同期比4.2%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は1,325百万円(前年同期比8.5%増)となりました。

(エンタープライズ事業)

主に法人企業の基幹業務システム・Webアプリケーション・クラウドアプリケーションの開発、ネットワーク・インフラの設計・構築、RPAソリューション、付随する運用・保守、ICTに係るコンサルティングを行っております。

当セグメントにおきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、期首に案件の先送り等が生じ固定費が収益を圧迫する厳しいスタートとなったものの、ネットワーク及びインフラ案件等を着実に伸ばすと共に新規案件を積極的に獲得したことにより、利益の減少を最小限に留めました。

その結果、売上高は5,560百万円(前年同期比12.2%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は679百万円(前年同期比1.8%減)となりました。

 

(広域ソリューション事業)

東京・名古屋・大阪地域における、通信制御・組込み・法人企業及び行政機関向けの各システム開発、AIソリューション、付随する運用・保守、ICTに係るコンサルティングを行っております。

当セグメントにおきましては、期首より名古屋圏において一部案件の中止等が発生し、厳しいスタートをきったものの、5G関連ビジネスの拡大及び関西地域の地方自治体案件の好調な推移等により、増収増益となりました。

その結果、売上高は4,500百万円(前年同期比6.6%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は562百万円(前年同期比13.8%増)となりました。

(イノベーション事業)

法人企業向けのインフラ基盤設計・構築、メインフレーム構築、システム開発、付随する運用・保守、IoT及び情報セキュリティ分野における自社製品の製造・ソリューションの提供をしております。

当セグメントにおきましては、インフラ設計・構築や運用・保守等、ITサービス案件が概ね計画通りに推移した一方で、デジタルフォレンジック製品の収益が減少したことが業績に大きく影響しました。

その結果、売上高は5,814百万円(前年同期比6.5%減)となりました。セグメント利益(営業利益)は555百万円(前年同期比20.5%減)となりました。

 

② 財政状態の状況

 当事業年度における資産は、前事業年度末に比較し2,446百万円増加し、17,808百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少87百万円、土地の減少40百万円があった一方で、投資有価証券の増加2,550百万円、売掛金の増加129百万円等によるものであります。

負債は、前事業年度末に比較し268百万円増加し、6,744百万円となりました。これは主に社債の減少310百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少146百万円、1年内償還予定の社債の減少130百万円があった一方で、繰延税金負債の増加547百万円、長期借入金の増加286百万円等によるものであります。

純資産は、前事業年度末に比較し2,177百万円増加し、11,063百万円となりました。これは主にその他有価証券評価差額金の増加1,439百万円、繰越利益剰余金の増加724百万円等によるものであります。

当社は、財務体質強化の観点から実質有利子負債の削減を重視して企業経営に取組んでおりますが、2018年3月期に実質無借金を実現させた後も更なる改善を達成しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比較し90百万円減少し、3,971百万円(前事業年度比2.2%減)となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローでは、936百万円の収入がありました。これは主に、法人税等の支払額540百万円、未払金の減少額107百万円があった一方で、税引前当期純利益1,500百万円、減価償却費140百万円等によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、624百万円の支出がありました。これは主に、保険積立金の解約による収入76百万円があった一方で、投資有価証券の取得による支出499百万円、無形固定資産の取得による支出109百万円、有形固定資産の取得による支出80百万円等によるものであります。

財務活動におけるキャッシュ・フローでは、401百万円の支出がありました。これは、長期借入れによる収入900百万円、短期借入金の純増額200百万円、社債の発行による収入197百万円があった一方で、長期借入金の返済による支出760百万円、社債の償還による支出640百万円、配当金の支払額299百万円によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

公共関連事業

6,288,881

3.4

エンタープライズ事業

4,691,111

12.1

広域ソリューション事業

3,939,527

5.4

イノベーション事業

4,924,771

3.3

合計

19,844,291

5.7

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

公共関連事業

7,502,452

1.9

1,568,040

△6.4

エンタープライズ事業

5,594,969

18.5

992,237

3.6

広域ソリューション事業

4,556,188

13.4

905,199

6.5

イノベーション事業

5,456,172

△17.8

861,645

△29.4

合計

23,109,784

1.6

4,327,122

△8.0

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

公共関連事業

7,609,157

4.2

エンタープライズ事業

5,560,928

12.2

広域ソリューション事業

4,500,612

6.6

イノベーション事業

5,814,872

△6.5

合計

23,485,572

3.4

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本アイ・ビー・エム㈱

4,165,707

18.3

4,514,692

19.2

㈱NTTデータ・アイ

2,640,899

11.6

3,346,416

14.2

㈱エヌ・ティ・ティ・データ

3,360,231

14.8

3,136,909

13.4

 

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載されているとおりであります。

この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下の通りです。

(a) 工事契約(請負)に関する収益の会計処理

当社のシステム開発に係る収益の計上基準のうち、請負契約に関するものについては、「工事契約に関する会計基準及び適用指針」に準拠し、原則として、工事完成基準又は工事進行基準を適用しております。

当社は、当事業年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる契約に対しては工事進行基準を適用しておりますが、当会計年度に工事進行基準に基づいて計上した売上高1,048,625千円のうち、当会計年度末時点で未完成の工事進行基準売上高は209,044千円です。

工事進行基準の適用にあたっては、工事収益総額、工事原価総額及び事業年度末における工事進捗度を合理的に見積る必要があります。

工事進行基準による収益の計上の基礎となる工事原価総額は、契約ごとの実行予算を使用して見積りを行っており、工事原価総額の見積りの妥当性については、受注決裁にあたり然るべき専門性を持った独立した事業部で積算し、他の事業部において承認を行っております。

工事契約等の実行予算の策定にあたり、過去の類似案件の経験等を基に、社内で掛かる工数及び協力会社への外注委託する工数を契約ごとに見積っており、工事等の完成のために必要となる作業内容及び工数の見積りに不確実性を伴うため、見積りの変動を生じさせるような事象が発生した場合、当社の業績を変動させる可能性があります。また、損失の発生が見込まれる工事契約について、将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上しております。

なお、当事業年度末においては損失見込額がないため計上しておりません。

(b) 投資の減損

当社は、所有する有価証券について、決算日の市場価格等に基づく時価相当額で計上しております。時価のある有価証券については、市場価格等が取得価額に比べて50%超下落した場合に、原則として減損処理を行っております。また、下落率が30%以上50%以下の有価証券については、過去2年間の平均下落率においても概ね30%以上50%以下に該当した場合に減損処理を行っております。時価のない有価証券については、その発行会社の財政状態の悪化により実質価額が取得価額に比べて50%超下落した場合に原則として減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

(c) 繰延税金資産の回収可能性

当社は、繰延税金資産の回収可能性があると考えられる金額まで減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を検討するに当たっては、将来の課税所得見込み及び税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産の取崩しが必要となる可能性があります。

(d) 貸倒引当金

当社は、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。取引先の財務状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加で引当金が必要になる可能性があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

(a) 経営成績の分析

当事業年度の経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況」をご覧ください。

 

(b) 財政状態の分析

当事業年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要② 財政状態の状況」をご覧ください。

(c) キャッシュ・フローの分析

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要③ キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

当社の資金需要の主なものは、ソフトウェア開発を下請け外注するための協力会社への支払及び人件費の支払であります。

当社は、必要な運転資金について外部借入により賄っております。外部借入の場合、短期借入金、長期借入金、無担保社債の発行を行っており、当社では、今後とも営業活動によって得る自己資本を基本的な資金源としながら、必要に応じて銀行借入により資金調達を行っていく考えであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

経営上の重要な契約等はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社の研究開発活動としましては、新技術の共同基礎研究及び新技術の共同開発を行っております。

当事業年度の研究開発は、各セグメントに配分できない研究開発であり、当事業年度の研究開発費の総額は11,391千円となっております。

 

主な研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1)グループワークの話し合いをリアルタイムで見える化、教育・研修を支援するシステムに係る研究

当社は、ハイラブル株式会社とグループワークにおける話し合いの様子をテキストやグラフ等でリアルタイムに見える化し、講師のファシリテーションを支援する教育・研修システムの共同研究に着手しております。遠隔地にいる講師がグループ単位でリアルタイムに把握できる本システムは業界初となります。当事業年度における研究開発費の金額は8,050千円であります。

 

(2)IoT機器無充電の実現を目指す「三次電池」に係る研究

当社は、国立大学法人筑波大学と三次電池に関し、電極に用いる最適な物質を特定する等の共同研究を重ねた結果、特定の物質を電極に利用することで安定した電圧を繰り返し得ることに成功し、特許を出願しました。今後は「三次電池を起電力としたIoT機器を稼働させる実証実験」等、三次電池の社会実装に向けた取組みを進め、将来的にはあらゆるデジタル機器に利用可能なコア技術の開発を目指します。当事業年度における研究開発費の金額は2,166千円であります。