文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、社員の一体感を高め、社員全体が一丸となってパワーを発揮できる組織とし、未来のために貢献できる会社を目指したいとの思いの下、「社員すべてが心と力を合わせ、企業の発展と成長を通じて、未来のより良い環境作りに貢献する。」を経営理念とし、以下の3つの責任を果たしてまいります。
①個人責任 人間性と技術力を磨き、最高のサービスをお客様に提供します。
②企業責任 社員相互が信頼し合い、安心かつ働きがいのある会社を作ります。
③社会責任 お客様、投資家、株主から信頼され、社会から必要とされる会社を作ります。
当社は、企業価値を向上させると共に株主価値を高めるため、事業規模拡大の成果を示す売上高と、収益性向上による利益拡大の成果を示す営業利益、経常利益を重視しております。また、財務体質強化の観点からは、実質有利子負債の削減を重視し企業経営に取組んでまいります。
生産年齢人口の減少やウィズコロナ時代の到来等に伴い、労働生産性の向上や働き方の改善等を含む、より多様なIT活用方法の提案が求められております。当社は、社会の営みを観察し、時代の流れを見極めた新たなソリューションの創出及び新規事業領域の開拓等により成長を続けていく考えです。
また、当社ブランドの認知向上に資する製品・サービス・共同研究等への投資及び事業活動を通じて、環境にやさしく、広く社会に認知される企業像を目指しております。更には、従業員がこれまで以上に働きがいと誇りを実感できる企業文化を醸成するため、ビジョンの浸透や従業員エンゲージメントの強化にも努めてまいります。
これらの取組みにより、多彩な事業ポートフォリオにより外部環境に影響されにくい盤石な経営基盤を持つ当社は、BtoB市場における存在感を一層高め、更なる企業価値向上を図ってまいります。
国内においては、当社が住基カードの時代から携わるマイナンバーの活用やデジタル庁の創設等、当社の成長が期待できる国策が着々と進んでおります。引続き、大規模な公共システム開発で培う専門的な知見を次世代に継承すると共に、先端技術の適用にも注力してまいります。これまで以上に、多くの新規案件を完遂できる高い組織力を備え、顧客にとっても替えのきかないビジネスパートナーのポジションを不動のものとすべく施策を尽くし、更なる安定成長を図ってまいります。
新規顧客からの受注比率が高い事業構造であるため、先端ニーズを捉えダイナミックなデジタル変革にも対応し、中規模以上の組織に必要となる主要な技術を同一部門で取扱う稀有な存在として、担う役割を広げております。4大クラウド等を機軸としたソリューションのほか、時代を先読みする独自の総合的なITソリューションを強みに、更なる新規案件の獲得と事業領域の拡大を図ってまいります。
需要が高まる先端技術の獲得と、既存顧客における安定的な案件の獲得及び新規顧客への積極的なアプローチをバランスよく進めております。更に広い顧客のニーズに応えるべく、短期間で低コストかつ高品質を実現するローコードでのアプリケーション開発にも一層注力してまいります。また、DX推進の専属部門を軸に部門間連携を強化し、東名阪における新たなビジネスチャンスの拡大・獲得を図ってまいります。
④イノベーション事業
大手取引先であると同時に、事業推進パートナーとしての関係を築いてきた日本アイ・ビー・エム㈱と、同社より分社化したキンドリルジャパン㈱との更なる関係醸成を積極的に進めるべく、長年培ってきたインフラ設計・構築、メインフレーム業務、システム開発等の技術を基に、新たな業務領域の案件の獲得に注力してまいります。他方で、自社製品を主軸としたソリューションの提供等、技術者数に依存しない事業領域の拡充を進めることで、事業基盤の更なる安定化と当社ブランドの認知拡大の両立を図ってまいります。
ウィズコロナの新しい生活様式・働き方に適応する社会とITとの関わり方は多様化が一層進むことが予想されます。また、最終ユーザーの業界に影響を及ぼし得るインフレ圧力の高まりによる影響にも警戒が必要です。当社は、より広く、より長期的な視野で、事業継続力及びコーポレートガバナンス体制を強化し、信頼性を高め、持続的な成長を実現してまいります。
また、IT人材の高需要に伴い、高スキル人材の獲得競争も激化し、人件費は高まる傾向にあります。従業員がかけがえのない経営資源である当社としましては、一層の採用強化及び従業員定着率向上に繋がる取組みに注力することで対応いたします。
当社は、高い付加価値を維持継続するための教育・研修投資と働き方改革等を進めると共に、当社の魅力を広く社会に伝え、企業価値の向上に努めてまいります。
また、各セグメントにおける主な課題は、以下のとおりであります。
公共関連事業においては、比較的景気変動に強い事業セグメントではありますが、国全体の景気後退に伴い間接的に影響を受ける場合があります。また、予算縮減及びオフショアによる受注単価抑制の継続が予想されるなか、事業の成長を担う中核人材の高齢化も徐々に進んでおります。一方で、政府のDX進展に伴い見込まれる案件増加を吸収できる、さらに高い組織的な対応力が課題となります。なかでも、DX案件を実行することのできる人材の確保及び社内育成並びにノウハウ等の共有が最重要課題と認識しております。公共案件に長く携わる中で得てきた知見やノウハウを社内で共有し、先端技術を持つ人材の拡充に注力してまいります。
エンタープライズ事業においては、主となる最終ユーザーの多くが法人企業であり、為替変動・インフレ進行等に起因し景気の循環が鈍化する等顧客の業況が悪化した場合、案件の縮小・延期・中止等により、事業計画を余儀なく変更する可能性があります。同セグメントの顧客ポートフォリオには常に新規顧客を一定割合組入れられていることから、新たに獲得した案件においてもトラブルを未然に防ぐプロジェクトマネジメントの強化が重要な要素となります。今後、一層のストックビジネス比率向上等により、市況変動に強い安定した収益源の確保に注力してまいります。
広域ソリューション事業においては、為替変動・インフレ進行等に起因し顧客の業況が悪化した場合、案件の縮小・延期・中止等により事業計画を余儀なく変更する可能性があります。足元で直接的な影響は生じておりませんが、為替変動の影響を受けにくい、市況変動に強いビジネスモデルの確立を図ってまいります。また、請負案件・一次請け案件を増やし利益率向上に繋げるため、プロジェクトマネジメントを実行できる人材の育成・確保にも継続的に注力してまいります。
イノベーション事業においては、特定顧客との強固なパイプが当セグメントにおける安定的な収益基盤となる一方で、その依存度が他セグメントと比較して相対的に高くなっております。顧客の事業成功に伴走する形で確かな信頼を得ることにより、特定顧客の事業方針変更や業績不振等に影響されない強固な事業基盤の構築に努めてまいります。他方で、暗号、電子透かし、ビーコンや指向性受信機等、自社製品の拡販によるストックビジネス比率の向上及び自社ブランド強化にも注力してまいります。
これらの取組みによって、当社の企業価値向上を図ることで顧客基盤を拡大し、将来に亘り安全・安心な社会作りに貢献してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 特定の事業分野への依存について
公共関連システム分野を事業の安定的収益基盤かつ当社の特長の一つとしており、売上高が占める割合は、全体の29.2%(前事業年度は32.4%)となっております。それらの多くの直接の販売先は、大手SIerでありますが、最終ユーザーは主に官公庁や地方自治体であり、政権交代や政策転換、国家的緊急事態の発生等により、予算の組替え・削減等が起きた場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が携わる公共関連システムは、社会性・公共性が高いシステムが多く、当該リスクが発生した場合にも、多くのシステムが連続的に消失する可能性は低く、経営基盤を揺るがすほどの影響を及ぼすことは考え難い一方で、リスク発生時の影響を最低限に留める必要があります。当社は各事業本部において事業部を超えて連携できる体制を整備し、人員の柔軟な配置を可能としているほか、新規案件の獲得及び新規ビジネスの推進に努めております。
(2) 特定取引先への依存について
当事業年度における、主要顧客上位4社向け売上高が占める割合は、全体の45.9%(前事業年度は46.8%、上位3社で構成。内1社が分社化)となっております。4社ともに、長期にわたり継続的に取引を維持できておりますが、その継続が保証されるものではなく、その事業方針の変更や案件の獲得(受注)状況によって、当社の経営成績が変動する可能性があります。
主要顧客との継続取引は、安定的な収益確保のために必要不可欠であり、当社は主要顧客にとってかけがえのない存在であり続けなければなりません。顧客のニーズに的確に即応すべく、当社は長期的に継続する多数の大型案件に携わってきたことで培ってきた深い専門知識と豊富な実績を当社の強みと位置付け、慣例的にジョブローテーション等を実施することはせずに、各案件においてスペシャリストを育成し、顧客満足度を高めるためのサポート体制を維持しております。
(3) 協力会社への依存について
当社は受注増大等への対応のため、業務の一部を協力会社に委託しております。当期の売上原価に占める外注費の割合は約6割となっております。当社が協力会社から十分な数の開発人員を調達できず受注数が低減する場合、プロジェクト管理に問題が生じ協力会社への委託割合が急激に高まった場合等には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
事業部門と間接部門が密に連携することで、協力会社との公正かつ健全な関係を醸成し、従業員満足度と適正価格を両立する長期安定的な人材確保に努めております。また、当社の従業員は多岐にわたる研修プログラム及び多彩な技術習得の機会を通してプロジェクトをやり遂げる力を強化し、協力会社への過度な依存とならないよう努めております。
(4) 人材の確保について
雇用環境や市場の変化等によって新卒もしくはキャリア採用が想定通りに進まなかった場合、当社から人材が多数離職した場合、また採用や育成に伴う経費が増大した場合は、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
人材が最も重要な経営資源である当社にとって、優秀な人材の確保・育成・定着率向上のための戦略的な取組みは必要不可欠です。当社は、顧客のニーズに即した人材の採用・育成及び協力会社との連携体制強化に努めるほか、ワークライフバランスやダイバーシティ、健康経営の推進を通じて、働きやすい職場環境を整備する等、人材の定着にも注力しております。
(5) 不採算案件の発生について
顧客仕様のソフトウェア開発を実施する案件においては、計画外の原価増や納期遅延に伴う損害等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
ITの急速な発展に伴い、システムの高度化・複雑化・短納期化が進む中、不採算案件発生の予防及び発生時の影響を極小化するマネジメントの徹底は安定した事業運営に必要不可欠です。当社は契約締結時、事業年度内での納品完了と契約期間の分割を基本とし、プロジェクト運営に伴うリスクの低減に努めております。また、見積精度の向上及び受注判定の厳格化、更には受注後における進捗管理と品質管理の高度化に努めております。
(6) コンプライアンスについて
法改正等による対応に不備を生ずる事態が発生した場合、信用失墜による社会的信用の低下、発生した損害に対する損害賠償請求等、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
会社法をはじめ、多岐にわたる法令等の遵守を最優先に事業を推進すべく、故意・過失によりコンプライアンス違反が発生するリスクの軽減及びコンプライアンス違反発生時の早期発見を実現するための仕組みが必要不可欠です。当社は「内部統制システム構築の基本方針」に基づき、コンプライアンス体制の構築や、社内教育の実施、コンプライアンス通報制度の構築等、法令遵守の徹底を図っております。
(7) 情報セキュリティについて
システムインテグレーションも含めたITサービス事業の性質上、システム上に保存、蓄積された顧客情報を取扱う場合があります。万が一、第三者によるサイバー攻撃又は当社の責めに帰すべき事由による個人情報や機密情報の紛失、破壊、漏洩等が発生した場合、社会的信用の喪失、損害賠償責任等により、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
情報セキュリティ対策は当社の重要課題であり、厳格な情報管理と徹底した社内教育が必要不可欠であります。当社はセキュリティポリシーを定め、関連規程を整備し、プライバシーマーク付与認定及び情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得しております。また従業員が故意・過失関わらず情報セキュリティ事故を起こすことがないよう、社員教育の徹底を図っております。
(8) 自然災害等について
地震・風水害等の自然災害、火災等の事故、大規模な停電、紛争・テロ、重篤な感染症の大流行等が予測の範囲を超える規模で発生し、就業場所の確保、協力会社も含めた技術者の確保、情報システムの正常稼働に支障が生じて事業活動が停滞した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また当社の施設やシステムが被害を免れた場合においても、取引先の被害状況によっては同様のリスクが発生する可能性があります。
万が一、そのような自然災害等が発生した際に、適切な対応を取るための仕組みが必要不可欠です。当社はBCP(事業継続計画)の観点から、リスク発生時の被害を最小限に留め、早期復旧するための体制構築やマニュアル整備、防災訓練等を実施しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法」を参照ください。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況ですが、一部に弱さを含みつつも持直しの動きが見られます。
また、世界経済につきましても持直しの動きが見られますが、引続き新型コロナウイルス感染症の感染再拡大に加え、ウクライナ情勢・原油高・インフレ等の影響による先行き不透明感がある中、景気の下振れリスクに十分留意する必要があります。
情報サービス業界におきましては、産業を問わずデジタル化・リモート化を前提にクラウド化・仮想化へと徐々にシフトしていく中、IT活用及び情報セキュリティ対策の需要はこれまで以上に高まっております。また、ロボティクス技術による自動化及び開発プロセスのローコード化・ノーコード化をはじめ、IoT・ビッグデータ・AI・メタバース等デジタル技術の活用が一層加速していくことが想定される一方で、各種先端技術の担い手不足は引続き顕著な問題となっております。
このような状況の中、当社は、社員・顧客・協力会社・株主等あらゆるステークホルダー及び地域社会・環境等に対して生み出した付加価値を分配し、事業を通じて社会に貢献し続ける会社を目指しております。今期においては、産学連携の共同研究及び「Beyond TheBook」「指向性受信機」といった自社製品の開発と販売等、事業領域を新たに広げる取組みを実現しました。また、既存事業においては取扱製品の拡充や従業員の増強等を推し進め、全ての事業セグメントで成長基調を維持しました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高26,278百万円(前事業年度比11.9%増)、営業利益1,640百万円(前事業年度比13.1%増)、経常利益1,600百万円(前事業年度比9.0%増)、当期純利益1,066百万円(前事業年度比4.0%増)となり、売上高・各利益共に過去最高を更新しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
公共関連事業
公共関連事業では、主な最終ユーザーが官公庁及び地方自治体となるマイナンバー関連システム、財務システム、貿易システム、航空管制システム、自動車関連システム、健康保険及び年金に関するシステム等社会インフラのシステム実現に向けた提案、設計、製造、試験からシステム稼動後の運用、保守に至るまで総合的な技術支援を行っております。
当セグメントにおきましては、積極的に新規案件を積上げたことが奏功し、前年業績に貢献した大規模案件の反動減を吸収しました。
その結果、売上高は7,669百万円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益(営業利益)は1,374百万円(前年同期比3.8%増)となりました。
エンタープライズ事業
エンタープライズ事業では、主に法人企業の基幹業務システム・Webアプリケーション・クラウドアプリケーションの開発、ネットワークインフラ設計・構築、RPAソリューション、付随する運用・保守、ICTに係るコンサルティングを行っております。
当セグメントにおきましては、ネットワークインフラ案件と基幹業務システムを成長ドライバーに、RPAと新たなセキュリティソリューションも奏功しました。
その結果、売上高は6,587百万円(前年同期比18.5%増)、セグメント利益(営業利益)は803百万円(前年同期比18.3%増)となりました。
広域ソリューション事業
広域ソリューション事業では、東京・名古屋・大阪地域における、通信制御・組込み・法人企業及び行政機関向けの各システム開発、AIソリューション、付随する運用・保守、ICTに係るコンサルティングを行っております。
当セグメントにおきましては、入札案件の獲得等、新規既存問わず旺盛なシステム投資需要の着実な取込みにより、組込み系の鈍化を補いました。
その結果、売上高は4,970百万円(前年同期比10.5%増)、セグメント利益(営業利益)は622百万円(前年同期比10.8%増)となりました。
イノベーション事業
イノベーション事業では、法人企業向けのインフラ設計・構築、メインフレーム業務、システム開発、付随する運用・保守、IoT及び情報セキュリティ分野における自社製品の製造・ソリューション提供を行っております。
当セグメントにおきましては、インフラ設計・構築の堅調な伸びに加え、新たに獲得した大規模案件を取込みました。
その結果、売上高は7,050百万円(前年同期比21.2%増)、セグメント利益(営業利益)は702百万円(前年同期比26.6%増)となりました。
② 財政状態の状況
当事業年度における資産は、前事業年度末に比較し5,564百万円増加し、23,372百万円となりました。これは主に投資有価証券の増加4,439百万円、売掛金及び契約資産の増加613百万円等によるものであります。
負債は、前事業年度末に比較し1,863百万円増加し、8,608百万円となりました。これは主に社債の減少360百万円、1年内償還予定の社債の減少150百万円があった一方で、繰延税金負債の増加1,298百万円、買掛金の増加332百万円、長期借入金の増加219百万円等によるものであります。
純資産は、前事業年度末に比較し3,700百万円増加し、14,764百万円となりました。これは主にその他有価証券評価差額金の増加3,056百万円、繰越利益剰余金の増加629百万円等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比較し380百万円増加し、4,352百万円(前事業年度比9.6%増)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローでは、1,249百万円の収入がありました。これは主に、売上債権の増加額686百万円、法人税等の支払額456百万円があった一方で、税引前当期純利益1,612百万円、仕入債務の増加額332百万円、減価償却費131百万円、未払金の増加額123百万円等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、277百万円の支出がありました。これは主に、保険積立金の解約による収入28百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出97百万円、貸付けによる支出61百万円、保険積立金の積立による支出60百万円、無形固定資産の取得による支出45百万円、投資有価証券の取得による支出35百万円等によるものであります。
財務活動におけるキャッシュ・フローでは、590百万円の支出がありました。これは、長期借入れによる収入800百万円、短期借入金の純増額100百万円があった一方で、長期借入金の返済による支出545百万円、社債の償還による支出510百万円、配当金の支払額435百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)当事業年度に受注実績に著しい変動がありました。これは、「イノベーション事業」におきまして比較的
長期大規模の受注があったことによるものです。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
※ キンドリルジャパン㈱は、2021年9月に日本アイ・ビー・エム㈱より分社しております。そのため、前事業年度のキンドリルジャパン㈱については、記載しておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載されているとおりであります。
この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
(ア)コスト総額の見積りに基づくインプット法による収益認識
当社のシステム開発に係る収益の計上基準のうち、受注制作のソフトウェアに該当する一部の案件について、一定の期間にわたり充足される履行義務として、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積りは、コスト総額の見積りに対する発生コストの割合(インプット法)で算出しております。
当事業年度に当該インプット法に基づき認識した収益の金額1,563,478千円のうち、当事業年度末現在において完全に履行を充足していない案件は68,565千円であります。
インプット法の適用に当たっては、当事業年度末におけるコスト総額の見積りに基づき、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積る必要があります。
インプット法による収益認識の基礎となるコスト総額の見積りは、契約ごとのプロジェクト実行予算計画を作成して見積りを行っており、コスト総額の見積りの妥当性については、受注決裁にあたり、独立した事業部においてその合理性について検証を行うとともに、プロジェクト実行予算と実際発生コストのモニタリングによるコスト総額の見積りの見直しについて検証を行っております。
プロジェクト実行予算の作成にあたり、過去の類似案件の経験等を基に、社内で掛かる工数及び協力会社への外注委託する工数を契約ごとに見積っており、開発のために必要となる作業内容及び工数の見積りに不確実性を伴うため、見積りの変動を生じさせるような事象が発生した場合、当社の業績を変動させる可能性があります。
また、損失の発生が見込まれる契約について、将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上しております。なお、当事業年度末においては損失見込額がないため計上しておりません。
(イ)投資の減損
当社は、所有する有価証券について、決算日の市場価格等に基づく時価相当額で計上しております。時価のある有価証券については、市場価格等が取得価額に比べて50%超下落した場合に、原則として減損処理を行っております。また、下落率が30%以上50%以下の有価証券については、過去2年間の平均下落率においても概ね30%以上50%以下に該当した場合に減損処理を行っております。時価のない有価証券については、その発行会社の財政状態の悪化により実質価額が取得価額に比べて50%超下落した場合に原則として減損処理を行っております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
(ウ)繰延税金資産の回収可能性
当社は、繰延税金資産の回収可能性があると考えられる金額まで減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を検討するに当たっては、将来の課税所得見込み及び税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産の取崩しが必要となる可能性があります。
(エ)貸倒引当金
当社は、売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。取引先の財務状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加で引当金が必要になる可能性があります。
当社の当事業年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
(ア)経営成績の分析
当事業年度の経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご覧ください。
(イ)財政状態の分析
当事業年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご覧ください。
(ウ)キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社の資金需要の主なものは、ソフトウェア開発を下請け外注するための協力会社への支払及び人件費の支払であります。
当社は、必要な運転資金について外部借入により賄っております。外部借入の場合、短期借入金、長期借入金、無担保社債の発行を行っており、当社では、今後とも営業活動によって得る自己資本を基本的な資金源としながら、必要に応じて銀行借入により資金調達を行っていく考えであります。
経営上の重要な契約等はありません。
当社は、「社員すべてが心と力を合わせ、企業の発展と成長を通じて、未来のより良い環境作りに貢献する」の理念に基づき、多様化・高度化する市場ニーズをとらえた新技術の共同基礎研究及び開発を行っております。
当事業年度の研究開発は、各セグメントに配分できない研究開発であり、総額は
主な研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1)事業研究開発
エネルギー分野において、産学共同し、正極と負極の酸化還元電位の温度係数の差を利用しわずかな温度変化で充電される「三次電池」の実証実験を進めております。実証実験が成功すると、使い捨て電池や充電池の交換・廃棄から解放され、今後さらに増えていく各種IoT機器、多彩な小型電子機器に応用することで、市場が広がります。例えば、カーボンニュートラル等、未来のより良い環境作りに貢献する画期的な技術となり得るものであります。
生物コミュニケーション分野において、音環境分析の特許を持つ企業を含めた事業連携により、生物同士や人と生物にまつわる社会問題を解決する多様な動物とのコミュニケーション変革に向けた「Project Dolittle(ドリトル)」を始動させました。また、進化認知科学・音環境分析・ITが三つ巴の産学連携で、トリの交流計測・分析システム「Dormi-Tori」開発に着手しました。トリの社会関係形成プロセスから、ヒトのコミュニケーションひいてはコミュニティ設計等への応用を視野に入れる研究であります。当社は生物多様性保護ソリューション創出の可能性も探ります。
このほか、医療分野において、AIを活用する研究、個人のDNAの損傷から疾病リスクを認知し対策や予防の機会を提供するソリューション創出に向けた共同研究等、事業化を見据えた多彩な研究を進めております。
これらに係る研究開発費は23,833千円であります。
(2)調査・探索
当社は、将来事業シーズとなり得る未検証の研究及びその研究者の発掘・探索活動を進めました。
これらに係る研究開発費は28,000千円であります。