第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、グループ理念に「時代に応える、 時代を先取る快適さを実現する。」を掲げております。日常に当たり前にある「快適さ」や、世の中になかった新しい「快適さ」を届けることで、そこに住み、そこに生きる人々や街、社会が、より豊かに、より魅力溢れるものになるよう挑戦を続けていくことで、お客様との相互理解を深め、人々に、時代に求められている「快適さ」を実現し、社会の持続的発展に貢献してまいります。 

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループが、時代に求められている「快適さ」を実現し、社会の持続的発展に貢献するためには、各事業規模の拡大とサービスの拡充及び進化が重要であることから、高い成長性と収益性の確保が経営課題であると認識しております。そのため、最も重視する経営指標に経常利益成長率を掲げ、2桁成長の継続を目指しております。
 2020年10月期は全事業において新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響を受けたことにより当期純損失を計上、それに伴い株主資本が大きく毀損いたしました。そのため、財務の健全化を図ることが経営の重要課題と認識し、2025年10月期末に目指す財務指標として、株主資本比率30%超を目標としております。
 

(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

短期的な経営環境につきましては、感染症の拡大によって厳しい状況が続くと見込んでおります。感染症の拡大が世界経済及び日本経済をさらに下振れさせるリスクも懸念されており、企業収益の低下による雇用・所得環境の悪化、個人消費の低迷等による当社グループへの業績影響は避けられないと考えております。
 中長期的な経営環境につきましては、「所有から利用へ」「自動車のIoT化」「自動車燃料の変化」「自動運転」等、モビリティに関する新しい概念が誕生し、同時に技術革新が世界的に急速に進展することで大きく変化しております。
 当社グループは、これからのモビリティ社会において、当社グループが有する人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場の4つのネットワークをさらに拡大し、これらをサービスの拡充によってシームレスにつなげることで、駐車場の慢性的不足や移動に関する不便さ等の社会課題を解決に導き、日本国内をはじめ世界においても、時代に求められている「快適さ」を実現し、社会の持続的発展に貢献してまいります。
 国内外ともに駐車場事業においては、安定的に駐車場を開発することで駐車場ネットワークの拡大を推進すると同時に、より快適にご利用いただける駐車場サービスの開発に努めてまいります。特に国内の駐車場は慢性的に不足しており、需給ギャップの大きさから開発は十分にできる環境であると認識しており、安定的な成長を見込んでおります。
 モビリティ事業においては、レンタカーサービスとカーシェアリングサービスの融合を強力に推進することで、お客様が借りたい時間に、借りたい場所で、借りたいタイプのクルマを、借りたい期間だけ借りることができる極めて利便性の高い新しいモビリティサービス「タイムズカー」を構築してまいります。カーシェアリングサービスは、日常生活の中で手軽に利用できるモビリティサービスとして順調に成長しており、コロナ禍においては、不特定多数との接触がなく、密を回避できる移動手段として認識されはじめたことにより、さらにその需要が高まっております。こうした背景から、会員数・利用件数ともに順調に伸長しており、今後も引き続き大きく伸長すると見込んでおります。そのため、モビリティ車両の増加及び貸出拠点数の増加を積極的に進めることでモビリティネットワークの拡大を推進してまいります。

 

お客様の目的地となる街においては、キャッシュレス決済サービス「タイムズペイ」の加盟店数を増やすことで加盟店とお客様、両者の快適さを実現すると同時に、街(目的地)のネットワーク拡大を図ってまいります。
 会員においては、クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場、それぞれのサービスがシームレスにつながることで、より便利にご利用いただけるよう、アプリの開発等によるソフト面の強化に注力してまいります。さらに、サービスの利便性を高めることで、法人・個人ともに会員規模の拡大を図ってまいります。
 海外においては、7か国(豪州、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、英国、台湾、韓国)で駐車場事業を展開しており、各国ともに国内同様、駐車場ネットワークの拡大と駐車場サービスの開発に努めております。海外事業の中核となる豪州、英国においては、国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに各国の駐車場需要環境に最適化した短期契約駐車場の開発を促進することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオの転換を図り、事業リスクを低減させるとともに収益性の向上に努めてまいります。
 これらの取り組みにより、2024年10月期の目標として国内駐車場100万台、モビリティ車両10万台、タイムズ会員数1,000万人を掲げております。
 当社グループは、世界各地で駐車場を含めたモビリティサービスを提供する企業として、収益性においてはもちろんサービス面においても世界No.1の企業となるべく持続的成長を図るとともに、企業の社会的責任を果たすことで企業価値の向上に努め、全てのステークホルダーの信頼と期待に応えてまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

 「(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略」で言及のとおり、感染症は当社グループの業績に大きな影響があると想定しておりますが、感染症による影響が顕在化した初期段階から、グループを挙げて迅速に様々な対応策に取り組んでおります。
A.  お客様の安全確保
 お客様が当社グループサービスを安心してご利用いただけるよう、シェアリングサービスであるモビリティ車両の清掃や除菌グッズの設置等を強化し、駐車場の料金精算は多様なキャッシュレス決済が可能な精算機の設置を推進してまいります。

B.  社員の安全確保
 感染症の罹患状況に合わせて各事業所内滞在率を定めるとともに、在宅勤務を推奨しております。そのため、在宅勤務がストレスなく行えるICT環境の整備を引き続き進めてまいります。やむをえず出勤する社員には、時差出勤や社有車・自社モビリティサービスを利用した出勤を推奨し、営業活動は感染リスクを最大限考慮して実施するなど、感染しない・させないための対策を徹底しております。

C.  事業構造の改革
 駐車場事業国内においては、現在の需要環境に合わせて既存物件の料金体系や車室数を調整する等の運用施策を行うことで、需給バランスを合致させ、個別物件の収益を最大化させると同時に、不採算物件の対策や管理・メンテナンスの見直し、販売管理費も含めたコスト抑制を徹底的に行います。さらに、開発については確実に収益化する物件のみに絞って厳選開発を行います。これらにより、事業体質を筋肉質化することで、感染症収束後に勢いのある事業成長を実現するための準備をいたします。
 駐車場事業海外においては、赤字幅縮小に向けて、賃料交渉や管理・メンテナンスの効率化等を強力に推進することでコスト抑制を行うと同時に、国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに各国の駐車場需要環境に最適化した短期契約駐車場の開発を促進することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオの転換を図り、事業リスクを低減させるとともに収益性の向上に努めてまいります。

 

モビリティ事業においては、レンタカーとカーシェアを融合した新たなモビリティサービス「タイムズカー」の構築を強力に推進することで、車両1台当たりの収益力を高めると同時に、保有車両数を大幅に拡大することで、収益の最大化とサービス品質の向上を図ってまいります。

D. 財務の健全性強化
 中長期的には感染症の収束を見据えて成長軌道に戻すため、成長投資のための長期性資金を確保すると同時に、財務の健全性を維持・向上させることを目的に、劣後特約付シンジケートローンによる資金調達を2020年12月30日に実行いたしました。

 

また、上記に加えて、当社グループの中長期的な会社の経営戦略に基づく対処すべき課題は以下のとおりです。

 
① 4つのネットワークの拡大
 当社グループは、4つのネットワーク、人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場、それぞれの規模を拡大することで、お客様に、より快適に当社グループサービスをご利用いただく環境を構築してまいります。そのため、それぞれのネットワークにおける開発力やサービス提案力等営業力の強化に加え、事業データ分析やデータマーケティング等においてICTの活用も推進してまいります。
② 4つのネットワークのシームレス化
 当社グループは、4つのネットワークをシームレスにつなげることで、お客様に当社グループサービスを回遊してご利用いただく快適な環境を提供してまいります。そのため、マーケティングをベースにしたサービスの設計やICTを活用した高付加価値サービスの開発等を推進してまいります。
③ 安定したサービスの提供
 当社グループは、駐車場サービス及びモビリティサービスは社会インフラとしての側面も持ち合わせていると認識しております。そのため、各サービスが安定的に供給できるよう、グループで一元管理できる運用体制の構築に加え、品質を維持するための厳格なルールを制定して事業を推進しております。
 さらに、当社グループは、システムを通じてお客様へのサービス提供をおこなっております。そのため、システムにおいては十分な設備投資並びに人材の育成・採用等を行うことで安定稼働に努めてまいります。 
④ グローバルな事業展開
 当社グループは、2006年にアジア、2017年にM&Aによってオセアニアと欧州に駐車場事業を拡大いたしました。2017年にグループ化したSecure Parking Pty LtdとNational Car Parks Limitedにおいては、グループ理念の浸透を推進し、持続的成長に向けた意識の共有を図ってまいります。さらに、事業基盤の整備と強化並びに事業拡大による収益性の改善と向上が喫緊の課題と認識しております。そのため、駐車場の管理及び運営体制の改善、新しいサービスの展開による新規マーケットへの参入等を強力に推進することで課題の解決に注力してまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンスの強化
 当社グループの持続的成長による企業価値の向上を実現するためには、経営基盤強化としてコーポレート・ガバナンスの強化が重要と考えております。そのため、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制並びに適正な監督・監視体制の構築を図っております。また、経営の健全性、公正性の観点から、コーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、当社グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取組みを徹底することで自浄能力の向上に努め、全てのステークホルダーからの信頼の向上につなげてまいります。

 

⑥ 多様な人材育成と働きがいのある環境の創出
 当社グループは、従業員がお客様へ提供するサービス等、価値の多くを生み出しており、その持続的発展のためには、人材の育成と採用及び働きがいのある環境の創出が不可欠と考えております。商品やサービスが厳しく選別される時代において、従業員は企業の競争優位性を決定づける大切な経営資源であることから、人材ビジョンに「持てる個性を最大限発揮し、期待される役割りを十二分に果たすとともに自らの能力を持続的に高める人材」を掲げ、多様性を尊重した人材育成及び採用に努めております。

⑦ 健康経営の推進
 当社は社員が健康で生き生きと長く働くことの出来る職場環境を構築するために「健康経営宣言」を制定しております。社員が主体的に心身の健康づくりに積極的に取り組める環境を提供し、パフォーマンスの高い活性化された組織を作っていくことを目指しております。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

[特に重要なリスク]

新型コロナウイルス感染症に係るリスク

(1) 需要減少による当社グループの財政状態の悪化リスク

2021年10月期の連結業績予想については、感染症の影響は受けつつも、2021年10月期末にかけて緩やかに回復するという想定に基づき業績影響を試算しております。しかしながら、見積りに用いた上記の仮定には不確定要素が多く、感染症の収束時期及び経済環境への影響が変化した場合には、今後の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
 そのような状況下においても当社グループは、各事業の構造改革をはじめ、生産性の向上やコスト削減等の対策を継続し、収益減少を最小限に抑えるよう努めてまいります。

(2) お客様の感染リスク

当社グループにおけるモビリティサービスはクルマのシェアリングサービスです。そのため、お客様への感染被害抑止として、社員による定期的な車内除菌清掃の徹底を行っているほか、お客様ご自身でも車内除菌ができるように除菌グッズを車中に設置しております。しかしながら、当社グループサービスをご利用のお客様が感染症に罹患された場合、当社グループサービスの利用を控える動きが強まることで業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 社員の感染リスクと事業継続リスク

当社グループは、各拠点に勤務する社員の健康と安全を確保するため、事業所在籍率の目安を適宜設定し、時差出勤や在宅勤務等が柔軟にできる体制を整えるとともに、働き方についてもオンライン会議や電話会議を活用することで不要な移動や接触を控えるよう努めております。しかしながら、社員が感染症に罹患し、社員同士の接触等により社内での感染が拡大した場合には、事業所の閉鎖や事業の一部休業等を行う可能性があります。

(4) 顧客の財政状態悪化に起因する需要消失や債権の回収不能リスク

当社グループの得意先が、感染症の影響により財政状態が悪化し、その結果、事業継続が困難となった場合、安定的に推移していた取引高の消失や、得意先に対して当社グループが有する売掛債権の回収が困難となる可能性があります。

 

[重要なリスク]

(1) 経済環境変化リスク

世界的なあるいは特定の地域における景気減速は個人消費の減少や交通量の低下をもたらします。その結果、駐車場やモビリティサービスの需要が低下し、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、将来の経済状況が、燃料及びエネルギー価格、金利及び税率を含む諸問題に影響を与えた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 災害等リスク

地震、津波、洪水、台風、積雪、火山噴火等により、駐車場及びモビリティ車両が毀損した場合、これらのサービス提供に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、駐車場やモビリティサービスの展開地域の分散を図ることで、リスク回避に努めておりますが、管理センターや情報センター等の設備が壊滅的に損害を被った場合、お客様へのサービス提供が困難になると同時に修復・買替等に多額の費用が発生する等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がります。

 

(3) 駐車場事業国内に関わるリスク

① 駐車場解約リスク

当社グループの主力事業である駐車場事業国内は、土地や施設を保有せずに土地や駐車場施設等のオーナー様から、賃貸借契約に基づいてそれらを借り受けるサブリース型駐車場が事業の大宗を占めております。サブリース型駐車場は、スタンダードにおいては小規模駐車場の開発を、パートナーサービスにおいては当社グループの各サービスと連携することで解約されにくい駐車場の開発を推進し、事業基盤の安定化を図っておりますが、複数の高収益物件の賃貸借契約の解約が発生した場合、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 地価上昇リスク

地価の上昇は、土地オーナー様の売却(解約)意向の上昇や、新規開発段階における賃料の上昇につながり、駐車場規模の拡大戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は地価上昇が賃料に影響を及ぼしにくいエリアでの開発を推進していることから、過去に地価上昇が賃料の上昇に繋がったことはないものの、解約率及び賃料の上昇が起こった場合、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) モビリティ事業に関わるリスク

① 競合状況リスク

モビリティ事業においては、同業他社のみならずオートリース会社、タクシー会社等との間で、パーソナルモビリティ市場における品質、価格、サービス等を巡って競合状態にあり、他社の状況によっては当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 中古車市場リスク

モビリティ車両の中古車市場への売却を営業サイクルの一環として行っておりますが、中古車市場の状況が急激に変化した場合、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③サービスの安全性リスク

モビリティ車両は、法定点検のみならず当社グループの基準において整備を行っておりますが、車両整備に関する事故が発生した場合、当社グループに対するお客様の信頼や社会的評価が失墜し、事故直後から中長期にわたって需要が低下し、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 駐車場事業海外に関わるリスク

当社グループは、2017年にSecure Parking Pty LtdとNational Car Parks Limitedをグループ化し、現在は豪州・ニュージーランド・シンガポール・マレーシア・英国・台湾・韓国の7か国で駐車場事業を展開しております。

会社の自律的な法令遵守やリスク管理等、適切な内部統制確立のために各地におけるガバナンス体制の構築を早期に図っておりますが、その取り組み等の遅れにより不祥事が発生した場合、当社グループに対するお客様の信頼や社会的評価が失墜することで、駐車場需要の低下や駐車場開発における制限等、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、海外各国においてもリスクを早期に察知し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をするよう取り組んでおりますが、予期できない租税制度や法律、規制等の改正、政治的要因及び経済的要因の変動、伝染病の流行による社会的・経済的混乱、予測の範囲を超えた市場や為替レートの変動、テロ・戦争の勃発による社会的・経済的混乱等、予測の範囲を超える変化があった場合、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) ITシステムリスク

当社グループは、お客様へのサービス提供及びそれらに付随する業務等、システム依存度が高い事業を展開しております。自然災害、事故、コンピュータ・ウィルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等によりかかるシステムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発生した場合、お客様へのサービス提供及び事業運営の維持が困難になるとともに、信用失墜により当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 顧客情報漏洩リスク

当社グループは、会員制ポイントプログラム「タイムズクラブ」やカーシェアリングサービス「タイムズカーシェア」等の会員情報をはじめ、膨大な顧客等に関する情報を保持しており、個人情報保護法やその他諸外国の類似法令により、これらの個人情報を適切に管理することが求められております。

当社グループでは、プライバシーポリシーを定め、情報管理者への教育・研修による情報管理の重要性の周知を徹底するとともに、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じております。また、セキュリティホールをなくすべく、業務手順の改定やシステム改修を継続的に実施しておりますが、不正アクセスや業務上の過失等、何らかの原因により大規模な個人情報漏洩事故が発生した場合、多額の損害賠償費用が発生し、また、信用失墜により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 法的規制に関わるリスク

当社グループは、国内で事業を遂行していく上で、駐車場法、道路交通法、道路運送法等様々な法的規制の適用を受けております。また、海外事業を展開していく上でも関係する法律、規制等の適用を受けております。これらの法律、規制等が変更された場合、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入された場合、当社グループの事業や経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9) 人材確保・人材育成に関わるリスク

当社グループは、持続的な成長によって企業価値向上を図るため、人材ビジョンに「持てる個性を最大限発揮し、期待される役割を十二分に果たすとともに自らの能力を持続的に高める人材」を掲げ、多様性を尊重した人材育成に努め、その結集としての組織力強化を図っております。また、グループ経営を推進する人材の育成に向けて、持続的な企業成長を推進するトップ及びミドルマネジメント層のリーダーシップ強化に取り組んでおります。しかしながら、グループ経営を推進する人材や事業活動に必要な高い専門性を持った人材を十分に確保・育成できない場合は、競争優位性のある組織が実現しない可能性があります。

(10) 財務に関わるリスク

当社グループの事業資金は、銀行借入・社債発行等により調達を行っております。しかしながら、今後、当社グループの事業環境が悪化した場合、金融市場が混乱した場合、税制・金融政策及び政府系金融機関の保証制度等が変更された場合、もしくは当社の信用格付けが格下げされた場合等においては、当社にとって有利な条件による資金調達が困難又は不可能となる結果、資金調達コストが増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、当初は堅調な企業収益や雇用環境の改善により緩やかな回復基調で推移しておりましたが、感染症の世界的流行の影響により経済活動が急速に悪化しました。また、海外においても感染症の拡大が続いており、収束の見通しが立たないことから、各国において経済見通しの下方修正が続くなど世界経済の減速懸念が増大しています。
 このような環境のもと、当社グループは、グループ理念「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」に向けて、人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場の4つのネットワークの拡大を推進し、これらをシームレスにつなぐ新たなサービスの創出に取り組んでおりますが、感染症の影響により大変厳しい経営環境となりました。
 当社グループでは、感染症に対して、「お客様の安全を守る」「社員の安全を守る」そして「交通インフラサービス企業としての使命を果たす」の方針に基づいて事業継続のための取り組みを実施しております。その上で、可能な限り各事業の拡大はしつつも、原価及び販管費については最大限グループ内費用の見直しを実施、不要不急の投資は抑制する等、業績回復に向けた取り組みを実施いたしました。
 営業概況といたしましては、第1四半期連結会計期間は堅調に推移していたものの、第2四半期連結会計期間から感染症拡大防止のために人の移動が顕著に減少し、各事業のサービス稼働に大きく影響を及ぼしたことにより売上高が減少しましたが、第3四半期連結会計期間には底を打ち、徐々に回復しました。第4四半期連結会計期間におきましては、サービスの稼働は新規感染者数の増減に多分に影響を受けたものの、各事業ともに第3四半期連結会計期間より回復しました。
 また、世界的に感染症の収束の見通しが立たない状況を踏まえ、豪州及び英国の将来計画を見直したことにより、のれん及びその他事業資産の減損損失を計上いたしました。

 これらの結果、当連結会計年度の当社グループ業績は、売上高は2,689億4百万円(前期比15.3%減)、営業損失は146億98百万円(前期営業利益223億22百万円)、経常損失は151億68百万円(前期経常利益215億66百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は466億52百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益123億48百万円)となりました。

 

 報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

①駐車場事業国内

 2019年の消費増税対応として行った駐車料金の変更は順調に進捗し、売上高も堅調に推移しておりましたが、2月頃から感染症拡大防止のための外出自粛や企業の営業活動縮小が駐車場の稼働に影響を及ぼし始め、4月に発出された政府の緊急事態宣言以降はその影響がさらに強くなりました。その後、5月下旬の緊急事態宣言の解除から6月下旬にかけて人の移動は順調に回復し、駐車場の稼働も回復基調となりましたが、7-8月は新規感染者数が全国的に急増したことに伴い各自治体が警戒レベルを引き上げ、移動自粛要請を行った影響等により回復ペースが若干鈍化しました。9-10月は新規感染者数の大きな増減がなかったことから交通量は安定して回復、これに伴って駐車場の稼働も緩やかに回復いたしました。

 感染症拡大の影響によって売上高は落ち込みましたが、不採算物件への対応をはじめ、管理・メンテナンスの見直しや人件費の抑制等、可能な限りのコストの抑制を行うことで収益の確保に努めました。新規開発については、このような状況においても収益化が可能な物件に絞って開発を進めた一方で、不採算物件の解約も一定数発生しました。

 この結果、国内のタイムズパーキングの運営件数は18,914件(前連結会計年度末比100.0%)、運営台数は592,225台(同98.0%)、月極駐車場及び管理受託駐車場を含めた国内の総運営件数は20,353件(同100.1%)、総運営台数は746,033台(同98.7%)となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は1,552億16百万円(前期比6.5%減)、営業利益は152億76百万円(同44.0%減)となりました。なお、当連結会計年度より、当社の子会社であるタイムズ24株式会社から同じく子会社であるタイムズモビリティ株式会社へカーシェアリングサービスを移管したことに伴い、駐車場事業国内とモビリティ事業において、新たにセグメント間の内部取引が発生しております。

 

 

②駐車場事業海外

 当社グループの展開国における感染症拡大の影響は、2月頃からアジア圏(シンガポール、マレーシア、台湾、韓国)で、3月頃からオセアニア及び欧州(豪州・ニュージーランド、英国)で受け始め、一部の国で政府から強制力の強いロックダウンや行動制限が発令されたことにより駐車場の稼働は低下しましたが、5月以降は段階的な行動制限の緩和に伴い徐々に回復いたしました。しかしながら、7月以降は豪州と英国の一部地域で新規感染者数が増加したことに伴い地域ごとにロックダウンや行動制限が再度発令されたことにより、改善幅は緩やかになり、特に豪州では回復が鈍化しました。一方でアジア圏は、新規感染者数の動向による影響は受けながらも、各国ともに4-5月を底に堅調な回復を示しました。

 海外においては、国内以上に感染症拡大の影響を受けていることから、大きく売上高が落ち込みました。そのため、不採算物件の賃料交渉を積極的に行うと同時に、有人管理物件の無人化をはじめとする管理・メンテナンスの効率化や人件費の抑制等のコスト削減及びコスト抑制を積極的に行いました。

 この結果、当連結会計年度末における海外の駐車場の総運営件数は2,834件(前連結会計年度末比107.7%)、総運営台数は696,495台(同104.6%)、日本を含む全世界における駐車場の総運営件数は23,187件(同101.0%)、総運営台数は1,442,528台(同101.5%)、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は451億69百万円(前期比31.5%減)、営業損失は144億6百万円(前期営業損失9億92百万円)となりました。

※当連結会計年度における海外各国の連結対象期間は2019年10月1日~2020年9月30日であります。

 

③モビリティ事業

 感染症拡大の影響は、レンタカーサービスについては1月下旬から海外からの入国制限に伴うインバウンド需要の大幅な低下に加え、国内の旅行観光需要を低下させ、カーシェアリングサービスについては2月頃から移動の自粛等を引き起こし、いずれのサービスも利用件数が大きく落ち込みましたが、5月を底に回復基調となりました。特に、レンタカーは利用件数の減少が著しかったため、需要に合わせて保有車両台数の適正化を図りました。一方で、カーシェアリングは日常生活の中で手軽に利用できるモビリティサービスとして順調に成長しており、コロナ禍においては、不特定多数との接触がなく、密を回避できる移動手段として認識されはじめたことにより、さらにその需要が高まっております。そのため、会員数は感染症拡大前より増加幅が大きく、利用件数も順調に伸長しており、7月以降の利用料における売上高前年同月比及び1台当たり売上高前年同月比は100%を超える水準を継続しました。
 さらに、今期から本格的に始動した新しいモビリティサービス「タイムズカー」(レンタカーとカーシェアを融合したサービス)をより強力に推進し、コストを抑制すると同時に車両の稼働を効率的に上げる取り組みを行っております。

 この結果、当連結会計年度末におけるモビリティ車両台数は前連結会計年度末比77.7%の44,841台となり、当事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は734億84百万円(前期比14.4%減)、営業損失は25億95百万円(前期営業利益91億12百万円)となりました。なお、カーシェアリングサービスに関しては、当社の子会社であるタイムズ24株式会社から同じく子会社であるタイムズモビリティ株式会社へ移管したことに伴い、駐車場事業国内とモビリティ事業において、新たにセグメント間の内部取引が発生しております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べて306億4百万円増加し、552億69百万円となりました。

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られたキャッシュ・フローは、394億円前連結会計年度末比62億94百万円の減少)となりました。主な内訳といたしましては、減価償却費、減損損失、のれん償却額を加えた税金等調整前当期純利益226億73百万円、たな卸資産の減少112億50百万円、未払金及び未払費用の増加62億18百万円等に対し、法人税等の支払額46億59百万円があったことなどによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用したキャッシュ・フローは、218億19百万円同276億34百万円の支出の減少)となりました。これは主として、タイムズパーキングの開設、営業車両の取得に伴う有形固定資産の取得による支出177億88百万円、長期前払費用の取得による支出22億10百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、128億86百万円の資金の調達(同136億68百万円の調達の増加)となりました。これは、長期借入れによる収入292億86百万円、短期借入金の純増額167億49百万円があった一方で、リース債務の返済による支出136億69百万円、配当金の支払額108億19百万円があったことなどによるものです。

 

(受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当社グループは、国内と海外における駐車場事業及びモビリティ事業を行っており、生産実績として表示すべき適当な指標はありません。これにかえて、セグメントの売上高及び事業規模と比較的関連性が強いと認められる国内及び海外における駐車場数・駐車能力(駐車台数)及び営業所数・車両数(台数)を次のとおり示しております。

セグメント

当連結会計年度末

2020年10月31日現在)

前連結会計年度末比増減(%)

駐車場事業国内

 

 

 駐車場数(ヵ所)

18,914

+0.0

 駐車能力(駐車台数)

592,225

△2.0

駐車場事業海外

 

 

 駐車場数(ヵ所)

2,834

+7.7

 駐車能力(駐車台数)

696,495

+4.6

モビリティ事業

 

 

 営業所数(ヵ所)

284

△16.5

 車両数(台数)

44,841

△22.3

 

(注)この内、カーシェア車両は27,033台(前連結会計年度末比0.2%減)であります。

 

(2) 販売実績

セグメントごとにおける販売実績は以下のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2019年11月1日 至 2020年10月31日

前期比増減(%)

駐車場事業国内(百万円)

150,386

△9.3

駐車場事業海外 (百万円)

45,169

△31.5

モビリティ事業(百万円)

73,347

△14.4

合計

268,904

△15.3

 

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 記載の金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。また、連結財務諸表の作成にあたっては、固定資産の減損、繰延税金資産の計上等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき行い、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。

なお、感染症の今後の拡大や収束時期を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、 帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しておりますが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(繰延税金資産の回収可能性)

繰延税金資産については、将来の事業計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

(売上高と営業利益)

当連結会計年度の売上高は前期比485億34百万円減少2,689億4百万円前期比15.3%減)、営業損失は146億98百万円(前期営業利益223億22百万円)となりました。

これは、感染症拡大により展開国の一部の国で政府から強制力の強いロックダウンや行動制限が発令されたことによる駐車場の稼働の低下、レンタカーサービスにおけるインバウンド需要や国内の旅行観光需要の減少を主な要因とするものです。売上高及び営業損失の内訳は「(業績等の概要) (1)業績」をご参照下さい。

 

(営業外損益と経常利益)

営業外収益は前期比27億82百万円増加し34億41百万円、営業外費用は同24億96百万円増加し39億11百万円となりました。助成金収入が増加し、支払利息と減価償却費が増加しました。

この結果、経常損失は151億68百万円(前期経常利益215億66百万円)となりました。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純損失は491億92百万円(前期税金等調整前当期純利益193億45百万円)となりました。特別損失で連結子会社であるMEIF Ⅱ CP Holdings 2 Limited(英国)とSecure Parking Pty Ltd(豪州・ニュージーランド)等におけるのれん及びその他事業資産の減損損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は466億52百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益123億48百万円)となりました。

 

 

(3) 財務状態の分析

(資産)

総資産は、前連結会計年度末比26億78百万円増加して2,957億75百万円となりました。主な増減といたしましては、増加で現金及び預金を含む流動資産が266億49百万円、使用権資産が268億34百万円、減少で機械装置及び運搬具が174億93百万円、リース資産が33億85百万円、のれんが205億85百万円、契約関連無形資産が50億62百万円等となっております。

 

(負債)

負債合計は、同623億24百万円増加し、2,646億29百万円となりました。主な増加といたしましては、増加でリース債務が281億3百万円、長・短期借入金が377億35百万円となり、減少で未払法人税等が26億74百万円となっております。

 

(純資産)

純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による減少466億52百万円、利益剰余金の配当による減少108億11百万円、為替換算調整勘定の増加13億3百万円等により、同596億45百万円減少し、311億46百万円となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況は、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、事業活動に必要な資金を営業活動によるキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入金や新株予約権付社債により調達しておりましたが、感染症拡大の影響により純資産を大きく毀損した為、成長投資の長期性資金の確保をすると同時に財務健全性の維持・向上を目的に2020年12月に500億円の劣後特約付シンジケートローンを実行しております(「(重要な後発事象) 多額な資金の借入」をご参照ください。)。この資金の運用については、車両やIT投資の資金需要に対して充当してまいります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

特記事項はありません。