第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国の経済状況は、新興国経済の減速の影響はあるものの、米国および欧州諸国での景気回復もあり、輸出業種には明るい見通しもありますが、個人消費の伸び悩み、設備投資に対する慎重な姿勢により国内景気の回復は遅れている状況にあります。

 当社グループの主力市場である測量・不動産登記に係る市場におきましては、期初に実施された統一地方選挙の影響もあり、自治体における公共事業の予算執行が停滞し、その結果、測量業界での公共事業請負金額が前年を下回り、設備投資意欲も一進一退の状況となりました。一方、国土交通省が提唱するICTを積極的に用いる建設業務への取組みである「i-Construction」をフラッグシップとした土木測量現場での活用をはじめ、各分野でのニーズが一層の高まりを見せているUAV(無人飛行機)の利活用には、異業種からも新たに参入する状況となってまいりました。また、ITS分野においては、自動走行運転技術の実現に向け、大手自動車メーカーや部品メーカーが共同開発を行うとともに、産学連携での実証実験が各方面で進められる中、当社が蓄積してきた測量計算技術に基づく高精度三次元地図作成技術やノウハウが、これまで以上に高い関心を寄せられる状況となってまいりました。

 こうした状況の中で当社グループは、ライカジオシステムズ株式会社(以下、ライカ)の最新計測機器と組み合わせたシステムソリューションを中心とした営業展開を引き続き進めるとともに、新たな発想で刻々と変化する作業環境に対応する、主力製品「Wingシリーズ」の最新バージョン「Wingneo INFINITY Ver.6」の導入提案を進めてまいりました。また平成28年3月には、愛知県の「平成27年度新あいち創造開発研究補助金」を活用して開発した、高精度三次元地図計測用UAV「Winser(ウインザ)」の市場への投入とあわせ、大規模三次元点群データの生産効率を飛躍的に向上させる「3DWING」を発売しました。

 他方、ITSの分野においては、高精度三次元システム(以下、MMS)を利活用した高精度三次元地図データの有用性が評価され、当該業務に係る計測・地図作成案件が増加するとともに、経済産業省が実施する「平成27年度戦略的イノベーション創造プログラム(衛星測位活用に向けた基礎評価に関する調査)」業務においては当社が代表機関として受託するほか、内閣府の2015年度委託事業「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)・自動走行システム」の検討課題のひとつである「自動走行システムの実現に向けた諸課題とその解決の方向性に関する調査・検討におけるダイナミックマップ構築に向けた試作・評価に係る調査検討」業務においては、三菱電機株式会社を代表機関とする「ダイナミックマップ構築検討コンソーシアム」に参画して受託しました。更には、愛知県幸田町において、愛知県内企業・大学・自治体による産学官連携体制にて、自動運転のインフラ技術として今後普及が期待される高精度三次元地図の作製並びに地域住民の自動運転車試乗による社会受容性実証実験の準備を開始するなど、産学官が一体となり自動運転システムの実現を目指す状況の中、高精度な三次元地図情報や当社が創業来培ってきた高精度に位置情報を求める演算技術の需要が加速度的に伸びてまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は、MMSや最新の測量計測機器を組み合わせたシステムの販売が好調だったことに加え、高精度三次元地図に係る受託業務が好調に推移した一方、受注したMMSの製造に一定期間を要すことから一部の契約案件の収益計上が翌期にスライドしたことにより、2,794百万円(前年同期比1.1%減)となりました。営業利益は、高精度三次元地図に係る効率的な生産体制を整備し、計測業務等の多くを内製化したことに加え、全社的なコスト管理を徹底したことにより、317百万円(前年同期比12.8%増)となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等調整額が増加したことなどにより213百万円(前年同期比3.6%減)となりました。

 セグメント別においては、次の通りであります。

①測地ソリューション事業

 測地ソリューション事業におきましては、主力製品「Wingneo INFINITY」や測量現場で利用するソフトウェアと計測機器や複合機等の周辺機器を組み合わせた販売活動を進め、お客様の業務をトータルでソリューションする活動を実施してまいりました。あわせて、人間中心設計のハードウェアと、新たな開発思想のもとに生まれたソフトウェアが合体した「現場最強ツール」として、測量業務における作業効率支援のためのハイブリットデータコレクタ「Pocket シリーズ バージョンⅢ」を平成27年12月に発売を開始し、測量計測機器とあわせた導入提案を実施いたしました。また、日々刻々と変化する作業環境に新たな発想を取り入れ対応したWingneo INFINITYの最新バージョンである「Wingneo INFINITY Ver.6」の導入提案も現行製品所有ユーザーを中心として積極的に実施しました。

 以上の結果、測地ソリューション事業の売上高は1,642百万円(前年同期比0.4%増)、セグメント利益(営業利益)は379百万円(前年同期比5.8%減)となりました。

②G空間ソリューション事業

 G空間ソリューション事業におきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの実用化を目指す自動車の自動走行技術の研究開発及び実証実験が、各方面でより活発になってきました。その中で当社は、愛知県幸田町での自動運転実証実験に向けた取り組みや、主に研究開発機関に向け「高精度3次元ナビゲーションシステム 3Dツインナビ」を開発するなど、国立大学法人 名古屋大学をはじめとした産学官連携による自動運転技術の実用化とITS業界市場創出に向けた活動を実施してまいりました。また、当事業においては、将来ニーズが高まると予想されるMMSや産業用UAVを利用した高精度三次元地図情報の整備に向け、先行研究開発や最先端計測機器への先行投資も積極的に進めてまいりました。

 以上の結果、G空間ソリューション事業の売上高は1,138百万円(前年同期比0.6%減)となり、当セグメント利益(営業利益)は133百万円(前年同期比60.9%増)となりました。

③その他

 その他事業の売上高は13百万円(前年同期比70.0%減)、当セグメント利益は0百万円(前年同期は0百万円の営業損失)となりました。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,018百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は229百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益316百万円、減価償却費118百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果、支出した資金は86百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出50百万円、無形固定資産の取得による支出110百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果、支出した資金は130百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出48百万円、配当金の支払額36百万円等によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

測地ソリューション事業(千円)

671,191

101.0

G空間ソリューション事業(千円)

651,933

110.1

その他(千円)

1,906

6.9

合計(千円)

1,325,031

103.2

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.消費税等は含まれておりません。

 

(2)商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

測地ソリューション事業(千円)

509,065

106.2

G空間ソリューション事業(千円)

768,570

96.8

その他(千円)

52

0.3

合計(千円)

1,277,689

99.0

 (注)1.金額は仕入価格によっております。

2.消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

測地ソリューション事業(千円)

1,642,564

100.4

G空間ソリューション事業(千円)

1,138,493

99.4

その他(千円)

13,070

30.0

合計(千円)

2,794,128

98.9

 (注)消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

(1)現状の認識について

 変化の激しいIT業界において、これまで測量市場を牽引してきた最新OSとパソコンをバンドルしたビジネスモデルは、タブレットPC及びスマートフォンの台頭により大きく転換しました。ソフトウェアの運用におきましても「クラウド」モデルが一般的となった今日においては、当社グループが開発・販売するソフトウェアとソリューションも同様の転換期にある環境です。また、当社グループにおける主たる販売市場であります測量市場におきましても、公共事業請負金額が前年を下回る状況において、従来型の公共事業ではこれまでと同様の経済効果を得る事は懐疑的であり、高度経済成長期に整備された道路・港湾・トンネルに代表される社会インフラの老朽化が加速度的に進む中、その維持管理において財政面を含めて適切な対応を施す方向性が強く求められております。

(2)当面の対処すべき課題の内容

 当社グループといたしましては、現在、当社グループが保有するテクノロジーを、時代背景に合わせた顧客ニーズの変化を迅速かつ的確に捉え、製品・サービスの創出、営業力、技術力を変化させていく事を課題と据えながら、国産初の準天頂衛星「みちびき」に代表される新しい測量時代に向けた「モノ創り」に全うしてまいります。

(3)対処方針

 事業セグメント別及び研究開発部門、間接部門における対処すべき課題は以下の通りです。

 (測地ソリューション事業)

 本事業では測量・不動産登記を業務とする法人、個人事業主を主な顧客とし活動しております。その市場規模は、測量業者として国土交通省に登録している法人業者数、測量及び不動産の表示に関する登記の専門家である土地家屋調査士の個人会員数ともに減少傾向にあります。その中でも「i-Construction」「UAV」といった新たな動きも登場する環境の下、市場のニーズに即した測量計測機器、測地ソフトウェア、サポートサービス、周辺機器と業務の効率化を目指した製品・サービスの提案を強化していく必要があります。

 (G空間ソリューション事業)

 自動車産業の分野で加速度的に需要が増加しつつある高精度三次元地図データベース構築受託業務においては、計測受託から成果品作成、品質管理に至るビジネスモデルの改良継続による利益率の更なる向上を目指す必要があります。

 また、従来の屋外を中心とした計測業務から屋内を含め、トータルでの三次元計測事業の確立に向けた技術の蓄積と体制の強化を行う必要があります。

 (研究開発部門)

 2018年準天頂衛星本格運用時代に向けて、当社がこれまで培ってきた技術とこれまで実施してきた研究開発活動を融合し、新たな製品・サービスの開発に邁進する体制が必要となります。

 研究開発投資を当社グループの収益に貢献させるべく、その活動の成果を明確にし、より効率的な活動を行っていく必要があります。

 (間接部門)

 各項目にて述べた課題を克服すべく、適切なコスト負担による人材獲得と教育投資による人材の徹底活用を推進してまいります。また、毎年改正される税制及び各種会計基準に適正に対処すべく、関係機関とも連携を強化し、対応していく必要があります。

 また、社内の様々な業務のIT化を推進し、事業部門及び間接部門の生産性を高めてまいります。

(4)具体的な取組状況等

 当社グループは、今後とも測量業務をソフトウェアから測量計測機器までのトータルでのソリューション実現が可能であり、且つ、自動車の自動走行に必要とされる高精度三次元地図に「測量」の技術を融合させることのできる国内唯一の企業として、市場での存在を確かなものとし、あわせて、組織体制、コンプライアンス体制、リスク管理体制をよりいっそう充実させるとともに、更なるコストの見直しと削減を進めてまいります。また、コーポレート・ガバナンス、内部統制の強化にも継続的に取り組み、公正で透明性の高い、社会から信頼を寄せられる経営を進めることで、当社グループに関わるステークホルダーに貢献してまいります。

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)測量CADシステムへの依存

 当社グループは、測量設計業・建設コンサルタント業及び土地家屋調査士業向けのCADシステムの開発及び販売を中心に、それらに付帯するサポートサービスの提案・販売を事業としております。これらの業種は公共事業に係る予算及び執行状況に需要が比例し、加えて関連する法改正の影響を受けるものであり、それらによって当社グループの業績に影響を与える場合があります。

(2)特定の供給元への依存について

 当社グループは各種計測機器及びUAVの供給に関して、特定の供給元に依存しております。その供給が停止されると計測機器販売のみならず、当社が手がける高精度三次元計測事業にも支障が生じ、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3)高精度三次元地図作成受託業務への対応について

 高精度三次元地図作成の受託業務に関して、計測機器の特徴から計測が可能な時間、天候が限定されます。また、その成果品に関する品質は高い水準を維持する必要があります。これらの業務は、特に年度末に納品が集中する傾向にあり、そのための作業時期が冬場に集中し、その場合、1日に計測可能な時間が短時間であること、降雪の可能性のある地域では天候に業務が左右され、契約の納品時期及び成果品の品質に影響を及ぼすことがあり、その結果、当社グループの業績に影響を与える場合があります。

(4)高額商材の販売について

 高精度三次元計測機器であるMMS車両の1商談あたりの取引単価は50百万円以上となります。本商材の販売実績が計画値と乖離することにより、当社グループの業績予想に影響を与える場合があります。

(5)経営成績の季節的変動について

 当社グループの各事業は季節による需要の変動が大きく、第4四半期に売上高が偏る傾向にあります。なお、直近3ヵ年の平均実績としましては、年間売上高に対する各四半期の売上高の比率は下表のとおりとなっております。

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

直近3ヵ年

売上高比率

17.73%

20.56%

21.06%

40.65%

(6)急速に進む技術革新について

 IT関連の技術革新を機に一層の加速が進む今日では、クラウドコンピューティングに代表される使用時間に比例した従量課金制のシステムの台頭から、その対応への速度が求められます。また、基本ソフトウェア(OS)に関してもマイクロソフトのWindowsを搭載したパソコンからGoogleのAndroidやアップルのiOSなどのOSが普及するとともに業務用の機器もパソコンから、タブレット、スマートフォンへの移行も進み、その対応が必要となります。各OSへの対応並びにバージョンアップ及びアップグレード毎への当社グループ製品の対応に遅延が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(7)知的財産について

 ソフトウェアに係る知的財産については、様々な特許等が存在し、かつ、申請される今日においては、当社グループが保有する知的財産への侵害と当社製品の抵触の可能性の双方が存在します。これらについて当社は、顧問弁理士・弁護士との協議から当社の知的財産の保全に努めるとともに、製品開発では知的財産に係る事前調査の徹底を図っておりますが、場合によっては、それらに対応する費用の発生によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

技術援助契約等の概要

契約発効日

契約締結先

契約内容

対価

有効期間

平成11年7月1日

㈲キーノスロジック

当社のソフトウェア開発に係る研究開発業務の一部を委託

委託内容・対価等は、個別契約によって支払っております。

平成11年7月1日から平成16年6月30日までの5年契約とする。以後2年ごとの自動更新。

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは経営戦略・事業戦略を実現するため、製品競争力強化と事業拡大に向けた研究開発を積極的に推進しております。当社グループが保有するMMSを用いて取得した三次元の高精度位置情報を処理するソフトウェアの製品開発や、国産初の準天頂衛星「みちびき」の配信データを利活用するための高精度な位置情報解析技術に係る研究活動に取組んでまいりました。当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は192百万円となっております。

 

(1) 測地ソリューション事業

 主力製品Wingneoシリーズの次世代製品「WingneoINFINITY」の機能強化を進めるとともに、測量現場における作業効率支援のためのデータコレクタ「Pocketシリーズ バージョンⅢ」の製品開発を進め、発売致しました。

 これら測地ソリューション事業に係る研究開発費は89百万円であります。

 

(2) G空間ソリューション事業

 創業来培ってきた測量用ソフトウェアにおける高精度位置計算技術や道路設計技術を活用し、MMSにより取得する高精度三次元点群データをもとに、自動走行を支援するための高精度三次元地図データベース作成等の研究開発を行ってまいりました。

 また、UAVを活用した自動走行用三次元地図作成を目的としてUAV機体の開発を行い、空中写真測量・レーザー計測に特化した測量モデルの産業用最新UAVを㈱プロドローンと共同開発し、当社ブランドUAV「Winser(ウインザ)」として発売を開始しました。

 これらG空間ソリューション事業に係る研究開発費は22百万円であります。

 

(3) 基礎研究

 大量の3次元点群データを効率的に処理する技術開発や、準天頂衛星「みちびき」による、高精度な位置情報を利用するための実証実験を進め、実証実験から得られたデジタル地図と高精度な衛星測位情報との間のズレに関する課題の解決に向けた研究を進めてまいりました。

 これら基礎研究に係る研究開発費の総額は80百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、当社グループは金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、第46期事業年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで)の連結財務諸表について、仰星監査法人により監査を受けております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループは、ライカジオシステムズ株式会社(以下、ライカ)の最新計測機器と組み合わせたシステムソリューションを中心とした営業展開を引き続き進めるとともに、新たな発想をもとに刻々と変化する作業環境に対応した、主力製品「Wingシリーズ」の最新バージョン「Wingneo INFINITY Ver.6」の導入提案を進めてまいりました。また平成28年3月には、愛知県の「平成27年度新あいち創造開発研究補助金」を活用して開発した、高精度三次元地図計測用UAV「Winser(ウインザ)」の市場への投入とあわせ、大規模三次元点群データの生産効率化を飛躍的に向上させる「3DWING」を発売しました。

 他方、ITSの分野においては、高精度三次元システム(以下、MMS)を利活用した高精度三次元地図データの有用性が評価され、当該業務に係る計測・地図作成案件が増加するとともに、経済産業省が実施する「平成27年度戦略的イノベーション創造プログラム(衛星測位活用に向けた基礎評価に関する調査)」業務においては当社が代表機関として受託したほか、内閣府の2015年度委託事業「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)・自動走行システム」の検討課題のひとつである「自動走行システムの実現に向けた諸課題とその解決の方向性に関する調査・検討におけるダイナミックマップ構築に向けた試作・評価に係る調査検討」業務においては、三菱電機株式会社を代表機関とする「ダイナミックマップ構築検討コンソーシアム」に参画して受託しました。更には、愛知県幸田町において、愛知県内企業・大学・自治体による産学官連携体制にて、自動運転のインフラ技術として今後普及が期待される高精度三次元地図の作製並びに地域住民の自動運転車試乗による社会受容性実証実験の準備を開始するなど、産学官が一体となり自動運転システムの実現を目指す状況の中、高精度な三次元地図情報や当社が創業来培ってきた高精度に位置情報を求める演算技術の需要が加速度的に伸びてまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は、MMSや最新の測量計測機器を組み合わせたシステムの販売が好調だったことに加え、高精度三次元地図に係る受託業務が好調に推移した一方、受注したMMSの製造に一定期間を要すことから一部の契約案件の収益計上が翌期にスライドしたことにより、2,794百万円(前年同期比1.1%減)となりました。営業利益は、高精度三次元地図に係る効率的な生産体制を整備し、計測業務等の多くを内製化したことに加え、全社的なコスト管理を徹底したことにより、317百万円(前年同期比12.8%増)となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等調整額が増加したことなどにより213百万円(前年同期比3.6%減)となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4) 経営戦略の現状と見通し

 当社グループの主力市場であります測量・不動産登記に係る市場において、切れ目のない景気の下支えをめざし、公共事業予算の8割を平成28年9月までに前倒しで執行することが検討されているとともに、平成28年4月に発生しました熊本地震における災害復興事業の発生も予想されます。同時に、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えた首都圏を中心とする民間設備投資が増加傾向にあるものの、建設業界を中心とした人手不足は測量市場でも同様の傾向であり、引き続き予断を許さない状況といえます。

 このような状況の中、当社グループにおきましては、現在の経営組織をさらに有効なものとするべく改編を行い、成長市場への経営資源の選択と集中を引き続き進めてまいります。研究開発部門においては、研究開発投資による収益性を高めるべく取り組んでまいります。管理部門におきましては、ITの利活用により様々な社内業務の生産性を高めるべく、必要な設備投資を実施し、経営資源の効果的活用を実現する組織体を引き続き目指してまいります。

 測地ソリューション事業においては、主力製品「Wingneo INFINITY」とライカの最新計測機器を組み合わせた提案活動を積極的に展開するとともに、建設・測量市場で急速にニーズが高まっているUAVに関しては、本年3月に発売開始しました「Winser(ウインザ)」を積極的に提案することでお客様の業務をトータルにソリューションし、測量業務の効率化をサポートする事業展開を進めてまいります。また、測量・位置情報に関する最新ソリューションを各地域のお客様に紹介するフェアを定期的に開催し、最新ソリューションの展示、デモンストレーションを実施し、成約を目指してまいります。

 G空間ソリューション事業においては、当社が保有するMMSを用いて作成される高精度三次元地図作成や準天頂衛星を利用し求める高精度位置情報を算出する当社技術が各方面で認知されている状況の中、自動車の自動走行のために必要な高精度三次元地図データベースの需要が更に拡大すると見込まれ、その需要に対応すべくグループ内ビジネスモデルの再構築を進めてまいります。更には、各自治体とも連携した自動車の自動走行に係る実証実験等にも積極的に取り組んでまいります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、13百万円増加し、1,018百万円となりました。

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

平成26年

3月期

平成27年

3月期

平成28年

3月期

 自己資本比率(%)

48.6

51.5

50.9

 時価ベースの自己資本比率(%)

146.2

322.8

983.2

 キャッシュ・フロー

 対有利子負債比率(年)

1.3

0.7

1.3

 インタレスト・カバレッジ・

 レシオ(倍)

47.3

63.7

41.1

※ 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)

連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2)

株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注3)

キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(注4)

有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について

 変化の激しいIT業界において、これまで測量市場を牽引してきた最新OSとパソコンをバンドルしたビジネスモデルは、タブレットPC及びスマートフォンの台頭により大きく転換しました。ソフトウェアの運用におきましても「クラウド」モデルが一般的となった今日においては、当社グループが開発・販売するソフトウェアとソリューションも同様の転換期にある環境です。また、当社グループにおける主たる販売市場であります測量市場におきましても、公共事業請負金額が前年を下回る状況において、従来型の公共事業ではこれまでと同様の経済効果を得る事は懐疑的であり、高度経済成長期に整備された道路・港湾・トンネルに代表される社会インフラの老朽化が加速度的に進む中、その維持管理において財政面を含めて適切な対応を施す方向性が強く求められております。

 当社グループといたしましては、現在、当社グループが保有するテクノロジーを、時代背景に合わせた顧客ニーズの変化を迅速かつ的確に捉え、製品・サービスの創出、営業力、技術力を変化させていく事を課題と据えながら、国産初の準天頂衛星「みちびき」に代表される新しい測量時代に向けた「モノ創り」に全うしてまいります。

 測地ソリューション事業では、測量・不動産登記を業務とする法人、個人事業主を主な顧客とし活動しております。その市場規模は、測量業者として国土交通省に登録している法人業者数、測量及び不動産の表示に関する登記の専門家である土地家屋調査士の個人会員数ともに減少傾向にあります。その中でも「i-Construction」「UAV」といった新たな動きも登場する環境の下、市場のニーズに即した測量計測機器、測地ソフトウェア、サポートサービス、周辺機器と業務の効率化を目指した製品・サービスの提案を強化していく必要があります。

 G空間ソリューション事業では、自動車産業の分野で加速度的に需要が増加しつつある高精度三次元地図データベース構築受託業務において、計測受託から成果品作成、品質管理に至るビジネスモデルの改良継続による利益率の更なる向上を目指す必要があります。

 また、従来の屋外を中心とした計測業務から屋内を含め、トータルでの三次元計測事業の確立に向けた技術の蓄積と体制の強化を行う必要があります。

 研究開発部門では、2018年準天頂衛星本格運用時代に向けて、当社がこれまで培ってきた技術とこれまで実施してきた研究開発活動を融合し、新たな製品・サービスの開発に邁進する体制が必要となります。研究開発投資を当社グループの収益に貢献させるべく、その活動の成果を明確にし、より効率的な活動を行っていく必要があります。

 間接部門では、各項目にて述べた課題を克服すべく、適切なコスト負担による人材獲得と教育投資による人材の徹底活用を推進してまいります。また、毎年改正される税制及び各種会計基準に適正に対処すべく、関係機関とも連携を強化し、対応していく必要があります。

 また、社内の様々な業務のIT化を推進し、事業部門及び間接部門の生産性を高めてまいります。